【解決手段】所定の第1距離内に存在する機器との無線通信手段を備え、無線通信機能の有効/無効を切り替えることが可能な通信装置、及び、車両に搭載される車載装置を含み、前記通信装置が前記無線通信手段により前記車載装置と通信を行なう車載通信システムにおいて、車両の複数のドアの内のいずれか1つ又は複数のドアの外側の取手部に、該取手部から所定の第2距離内に存在する人体を通信経路とする通信により所定信号を送信する送信機が設けられ、前記通信装置は、人体を通信経路として伝送される信号を受信する受信部を備え、更に、該受信部が、前記所定信号を受信したか否かを判断する判断手段を備え、前記切替手段は、前記判断手段が受信したと判断した場合、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化する。
所定の第1距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の無線通信機能の有効/無効を切り替える切替手段とを備える通信装置、及び、車両に搭載される車載装置を含み、前記通信装置が前記無線通信手段により前記車載装置と通信を行なう車載通信システムにおいて、
前記車両の複数のドアの内のいずれか1つ又は複数のドアの外側の取手部に、該取手部から所定の第2距離内に存在する人体を通信経路とする通信により所定信号を送信する送信機が設けられ、
前記通信装置は、
該通信装置から所定の第2距離内に存在する人体を通信経路として伝送される信号を受信する受信部を備え、
更に、
該受信部が、前記所定信号を受信したか否かを判断する判断手段を備え、
前記切替手段は、前記判断手段が受信したと判断した場合、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化するようにしてある
ことを特徴とする車載通信システム。
所定の第1距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の無線通信機能の有効/無効を切り替える切替手段とを備える通信装置が、車両に搭載される車載装置と前記無線通信手段により通信を開始する通信制御方法において、
前記通信装置は、
前記車両の複数のドアの内のいずれか1つ又は複数のドアの外側の取手部に設けられ、該取手部から所定の第2距離内に存在する人体を通信経路とする通信により所定信号を送信する送信機から前記所定信号を受信したか否かを判断し、
受信したと判断した場合、前記切替手段により前記無線通信手段の無線通信機能を有効化させる
ことを特徴とする通信制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、通信装置の無線LAN通信機能を有効化するためには、ユーザが手動で有効化する操作を行なうか、専用のアプリプログラムを起動させる操作を行なう必要がある。また、車載装置と通信装置との間で通信をさせずに、通信装置単独で運転情報を提供する装置として利用する場合であっても、ユーザはナビアプリを起動する操作をする必要がある。ユーザにとっては、これらの操作が煩雑である。
【0006】
また、複数の通信装置が車内に持ち込まれる場合、いずれの通信装置と車載装置とが通信を行なうかを特定することが困難である。特許文献1、2に開示されている方法により、通信対象とする通信装置を特定することができるが、ユーザが各々座席に着席するまでは通信が開始されず、ユーザが着席後にペアリング確立などの事前処理等に時間を要し、ユーザの満足度を向上させることができない場合がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、通信装置における車両に係る所定のプログラムの起動、又は車載装置との無線通信LAN機能の有効化を、通信装置を所持するユーザの乗車タイミングに合わせて自動的に実行し、ユーザの操作を簡易化することができる車載通信システム、通信装置、及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載通信システムは、所定の第1距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の無線通信機能の有効/無効を切り替える切替手段とを備える通信装置、及び、車両に搭載される車載装置を含み、前記通信装置が前記無線通信手段により前記車載装置と通信を行なう車載通信システムにおいて、前記車両の複数のドアの内のいずれか1つ又は複数のドアの外側の取手部に、該取手部から所定の第2距離内に存在する人体を通信経路とする通信により所定信号を送信する送信機が設けられ、前記通信装置は、該通信装置から所定の第2距離内に存在する人体を通信経路として伝送される信号を受信する受信部を備え、更に、該受信部が、前記所定信号を受信したか否かを判断する判断手段を備え、前記切替手段は、前記判断手段が受信したと判断した場合、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る車載通信システムは、前記通信装置は、車両に関する所定のプログラムを実行するプログラム実行手段を更に備え、該プログラム実行手段は、前記判断手段が受信したと判断した場合、前記所定のプログラムの実行を開始するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る車載通信システムは、前記送信機は少なくとも、前記車両の運転席ドアの外側の取手部に1つ設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る車載通信システムは、前記車載装置は、通信対象を識別する識別情報を予め記憶する記憶手段と、前記無線通信手段とは異なる形式の無線通信、又は、有線通信により前記送信機へ前記識別情報を送信する送信手段とを備え、前記送信機は、前記送信手段から送信された前記識別情報を受信する手段と、受信した前記識別情報を含む信号を前記通信装置へ送信する手段とを更に備え、前記通信装置は、前記識別情報を前記送信機から送信される信号から抽出する手段と、該手段が抽出した識別情報により、前記無線通信手段の無線通信機能の有効化の実行/不実行を決定する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る車載通信システムは、前記送信機は、前記取手部から前記所定の第2距離内への人体の進入を検知する検知手段と、該検知手段が進入を検知した場合に、前記識別情報の送信を要求する送信要求を前記車載装置へ送信する手段とを更に備え、前記車載装置は、前記送信要求を受信する手段を更に備え、前記送信要求を受信した場合、前記送信手段により前記識別情報を送信するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る通信装置は、所定の距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の無線通信機能の有効/無効を切り替える切替手段とを備える通信装置において、前記通信装置は、該通信装置から所定の距離内に存在する人体を通信経路として伝送される信号を受信する受信部を備え、更に、該受信部が、所定の信号を受信したか否かを判断する判断手段を備え、前記切替手段は、前記判断手段が受信したと判断した場合、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る通信制御方法は、所定の第1距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の無線通信機能の有効/無効を切り替える切替手段とを備える通信装置が、車両に搭載される車載装置と前記無線通信手段により通信を開始する通信制御方法において、前記通信装置は、前記車両の複数のドアの内のいずれか1つ又は複数のドアの外側の取手部に設けられ、該取手部から所定の第2距離内に存在する人体を通信経路とする通信により所定信号を送信する送信機から前記所定信号を受信したか否かを判断し、受信したと判断した場合、前記切替手段により前記無線通信手段の無線通信機能を有効化させることを特徴とする。
【0015】
本発明では、通信装置を車載装置と連携させるに際し、ユーザが乗車するために、ユーザの手などの体の一部がドアノブに接触又は接近したことにより送受信される信号をトリガに、通信装置における無線通信機能が有効化される。
【0016】
本発明では、ユーザが乗車するために、ユーザの手などの体の一部がドアノブに接触又は接近したことにより送受信される信号をトリガにして、通信装置における車両に関する所定のプログラムが実行される。
【0017】
本発明では、ドアノブに接触又は接触した場合に信号を送信する送信機は少なくとも、運転席ドアに設けられる。これにより、運転者が乗車するタイミングに、運転者が所持する通信装置の無線通信機能の有効化、又は所定のプログラムの起動が実行される。複数の通信装置が複数のユーザによって持ち込まれた場合、第1に運転者が所持する通信装置にて車載装置との通信を開始することが可能となる。
【0018】
本発明では、予め車載装置に記憶してある識別情報の信号が送信機から送信され、通信装置において、送信機から送信された信号から得られる識別情報が、自身の通信装置と対応するか否かに基づいて、無線通信機能の有効化の実行/不実行が決定される。識別情報が対応しない場合、通信装置は無線通信機能を有効化されない。予め識別情報が記憶してある特定の通信装置のみで無線通信機能が有効化されるので、安全性が向上する。
【0019】
本発明では、ユーザの体の一部の接触又は接近が検知されてから、送信機側から識別情報の送信を車載装置へ要求し、要求に応じてから識別情報を送信するため、無用に識別情報を送信することを回避し、安全性をより向上させることができる。また、送信機及び車載装置における省電力化が実現できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による場合、通信装置の無線LAN通信機能の有効化又は情報処理装置における所定のプログラムの起動が、ユーザが車両に乗り込もうとドアノブに接触したことをトリガとして自動化される。これにより、ユーザは、通信装置における無線LAN通信の有効化、又は所定のプログラムの起動を自動化させることができ、操作が簡易化される。更に、車内に持ち込まれる無線LAN通信機能を有する複数の通信装置の内、車載装置と実際に連携する通信装置を特定することができると共に、無線LAN通信機能の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る車載通信システムの概要を示す模式図である。車載通信システムは、車両Vに乗り込むユーザ(人体)Dが所持するスマートフォン等の通信装置1と、車両Vに搭載されている車載無線通信装置2とを含む。通信装置1及び車載無線通信装置2はいずれもWiFi等の無線LAN通信機能を有している。車載無線通信装置2は、通信装置1と無線LAN通信を行なうことにより、通信装置1で起動される各種アプリケーションプログラム(以下、アプリという)により得られる情報を車載無線通信装置2で取得したり、通信装置1の基地局との通信機能を利用してインターネット等の通信網から情報を取得したりするなど、連携によって各種の機能を発揮する。通信装置1は、無線LAN通信機能が無効化されている場合であっても、通信装置1を所持するユーザDが車両VのドアVDの外側のドアノブ(取手部)Gに接触(又は所定の距離内に接近)したことをトリガに、無線LAN通信機能を有効化するか、又は所定のアプリを起動する。
【0024】
以下、ドアノブGへの接触又は接近をトリガとした無線LAN通信機能の有効化又は所定のアプリの起動を実現するための構成を、具体例を挙げて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図2は、実施の形態1における車載通信システムの構成を示すブロック図である。車載通信システムは、通信装置1、車載無線通信装置2、及び送信機3を含む。
【0026】
通信装置1は、上述したようにいわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯型の通信端末装置である。通信装置1は他に、タブレット型端末装置、又は携帯型ゲーム機等の無線通信端末装置であってもよい。
【0027】
車載無線通信装置2は、上述したように車両Vに搭載されている装置である。車載無線通信装置2は、例えばWiFiを用いた無線LAN通信機能を有しており、無線LAN通信機能が有効化されている通信装置1と通信が可能である。車載無線通信装置2は、CAN(Controller Area Network )又はLIN(Local Interconnect Network)等の車内ネットワークを介し、図示しない他のECUと通信が可能である。他のECUは、通信装置1から得られる情報を車載無線通信装置2から取得して各種機能を発揮することができる。
【0028】
送信機3は、人体を通信媒体とした信号を送信する。人体通信の方式は、電界方式又は電流方式等のいずれの方式を用いてもよい。送信機3は、例えば運転席ドアVDの外側のドアノブGに設けられている。送信機3は、人体通信用の電極、変調器等を含み、ユーザDがドアノブGに接触、又は通信可能な所定の距離内に接近した場合、通信装置1の無線LAN通信機能を有効化させる所定のデジタル信号を人体通信信号へ変調して送信する。このとき所定のデジタル信号とは、他の送信機からの人体通信信号と区別するために、予め規定された識別信号等を含む信号である。
【0029】
以下、通信装置1の内部構成について、より詳細に説明する。
【0030】
通信装置1は、制御部10、一時記憶部11、記憶部12、操作部13、基地局通信部14、無線通信部15、受信機16及び人体通信部17を備える。
【0031】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit )を用いる。制御部10は、記憶部12に記憶されてある各アプリ用のプログラムを含む複数のプログラムを各実行し、各プログラムに基づいて各構成部を制御し、種々の機能を発揮させる。
【0032】
一時記憶部11は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAMを用いる。一時記憶部11は、制御部10の処理によって生成される各種情報を記憶する。
【0033】
記憶部12は、フラッシュメモリ等の記憶装置を用いる。記憶部12は、制御部10が処理時に参照する情報を記憶する。記憶部12は、制御部10が読み出す基本となるOS(Operating System)プログラム、及び各アプリ用のコンピュータプログラムのほか、制御部10が無線通信部15による無線LAN通信機能の有効/無効を切り替えるための制御プログラム1P、車載無線通信装置2と連携するためのアプリプログラム1Aを記憶している。
【0034】
操作部13は、タッチパネル内蔵ディスプレイを用いる。操作部13は、制御部10に基づき、操作に係るアイコン等のオブジェクトをディスプレイに表示すると共に、ユーザの手指、又はペン等のディスプレイへの接触を検知し、接触個所の位置情報を制御部10へ通知する。
【0035】
基地局通信部14は、基地局と接続して通信を実行するための通信モジュールである。基地局通信部14により、移動通信網を介した音声通話が可能となると共に、インターネット等の公衆通信網を介したデータ通信が可能である。
【0036】
無線通信部15は、無線LANアンテナ及びWiFiチップを含むWiFiモジュールを用いる。無線通信部15は、無線信号が到達する範囲内に存在する車載無線通信装置2との間で無線通信を実現する。無線通信部15の無線通信機能は、無効/有効を切り替えることが可能であり、有効化されている間、通信対象の機器を探索する処理を定期的に行なう。無効/有効の切替は、制御部10からの指示に基づき行なわれる。なお、無線通信部15による通信規格は、WiFi対応の無線LANには限らず、他の無線LANでもよいことは勿論、車載無線通信装置2と対応するBluetooth (登録商標)、赤外線、若しくは光通信等の無線通信を用いる構成としてもよい。
【0037】
受信機16は、人体を通信媒体とした信号を受信し、電気信号へ変換する。人体通信の方式は、電界方式又は電流方式等のいずれの方式を用いてもよい。送信機3は、電極、電界センサ、又は増幅回路等を含み、人体通信信号を電気信号へ変換して人体通信部17へ出力する。
【0038】
人体通信部17は、受信機16で受信した信号をデジタル信号へ変換する。人体通信部17は、変換した信号を制御部10へ通知する。
【0039】
このように構成される車載通信システムにおいて、通信装置1の無線LAN通信機能が有効化されるまでの処理手順の詳細を、フローチャートを参照して説明する。
図3は、実施の形態1における通信装置1の制御部10による処理手順の一例を示すフローチャートである。通信装置1の制御部10は、制御プログラム1Pに基づき、無線通信部15による無線LAN通信機能が無効化されている場合、以下に示す処理を定期的に実行する。
【0040】
通信装置1の制御部10は、制御プログラム1Pに基づき、人体通信部17から受信機16で信号が受信されたか否かを判断する(ステップS1)。制御部10は、受信機16で信号が受信されていないと判断した場合(S1:NO)、処理を終了する。制御部10は、次に処理が開始された場合にステップS1の処理を行ない、これにより、受信機16にて信号が受信されたか否かが定期的に判断される。
【0041】
制御部10は、受信機16で信号が受信されたと判断した場合(S1:YES)、人体通信部17にて変換された信号が、車両Vに搭載された送信機3からの予め規定された識別信号等を含む所定のデジタル信号であるか否かを判断する(ステップS2)。制御部10は、所定のデジタル信号でないと判断した場合(S2:NO)、そのまま処理を終了する。この場合、送信機3ではない他の送信機からの信号である。
【0042】
制御部10は、ステップS2にて、所定のデジタル信号であると判断した場合(S2:YES)、車載無線通信装置2との連携用のアプリプログラム1Aを読み出して起動する(ステップS3)。
【0043】
次に制御部10は、アプリプログラム1Aの起動が初回であるか否かを判断する(ステップS4)。制御部10は、起動が初回であると判断した場合(S4:YES)、操作部13に、無線LAN通信機能の自動有効化、及び車載無線通信装置2との接続についてユーザの認証を受けるための画面を表示させ(ステップS5)、認証されたか否かを判断する(ステップS6)。制御部10は、認証されたと判断した場合(S6:YES)、制御部10は、起動したアプリプログラム1Aに基づき、無線通信部15による無線LAN通信機能を有効化する(ステップS7)。制御部10は、無線通信部15により車載無線通信装置2との間でペアリングを確立させる処理を行ない(ステップS8)、一定期間内にペアリングが確立されたか否かを判断する(ステップS9)。制御部10は、ペアリングが確立されたと判断した場合(S9:YES)、処理を終了する。以後、制御部10は、アプリプログラム1Aによる連携処理を実行する。
【0044】
制御部10は、ステップS4にて、起動が初回でないと判断した場合(S4:NO)、ステップS5,6をスキップし、処理をステップS7へ進める。
【0045】
制御部10は、ステップS6にて、許諾の操作がされないと判断した場合(S6:NO)、無線LAN通信機能の自動有効化、及び車載無線通信装置2との接続について認証がされなかったため、そのまま処理を終了する。
【0046】
制御部10は、ステップS9にて、一定期間内にペアリングが確立されないと判断した場合(S9:NO)、無線通信部15による無線LAN通信機能を無効化し(ステップS10)、処理を終了する。
【0047】
制御部10は、アプリプログラム1Aが終了する際に、無線通信部15による無線LAN通信機能を自動的に無効化してもよい。また、制御部10は、アプリプログラム1Aの実行の有無に関わらず、ペアリングが解消されている場合、これを検知して無線LAN通信機能を無効化するようにしてもよいし、ペアリングが確立されていても、通信が所定の期間以上行なわれていない場合には、自動的に無効化するようにしてもよい。
【0048】
なお、
図3に示した処理手順におけるステップS3及びS4の順序は問わず、また、同時並行的に実行するようにしてもよいことは勿論である。上述した例では、無線通信部15による無線LAN通信機能を有効化の処理を、アプリプログラム1A経由で行なったためアプリプログラム1Aの起動(S3)が先に実行されている。
【0049】
なお、上述した制御部10による処理を実現する制御プログラム1Pは、従来からスマートフォン等で用いられているWiFi制御プログラムに組み込まれるようにしてもよいし、無線通信部15の有効化をアプリプログラム1Aによって行なう場合には、アプリを監視、制御するアプリ制御プログラムに組み込まれるようにしてもよい。
【0050】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2における車載通信システムの構成を示すブロック図である。実施の形態2における車載通信システムは、通信装置1、車載無線通信装置2、送信機3及び送信装置4を含む。実施の形態2における車載通信システムの通信装置1、車載無線通信装置2、送信機3は、実施の形態1と同様であるから同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、実施の形態2における車載通信システムでは、送信機3は送信装置4に接続されており、送信装置4から送信される信号を受信し、受信した信号を所定のデジタル信号に含めて送信する。
【0051】
送信装置4は、例えば運転席ドアVD内部に設けられており、送信機3と接続されてある。送信装置4は、制御部40及び記憶部41を備えている。
【0052】
制御部40は、例えばマイクロコンピュータのCPUを用いる。制御部40は、記憶部41に記憶されてある通信装置1の固有の識別情報42を電気信号として、定期的に送信機3へ送信する。これにより、送信機3からは定期的(例えば500ミリ秒間隔)に、固有の識別情報42を含む所定のデジタル信号が送信される。つまり、送信機3からは、予め規定された識別信号と、上述の識別情報をデータ信号として含むデジタル信号が送信される。
【0053】
記憶部41は、例えばフラッシュメモリを用いる。記憶部41には、車両VのユーザDが所有する通信装置1の固有の識別情報42を予め記憶してある。記憶部41は取り出して外部から書き込みが可能な構成としてあるか、又は車内ネットワークを介して書き込み可能にしてあることにより、車両Vのディーラにて記憶される。固有の識別情報42とは例えば、通信装置1の基地局通信に係るIMSI(International Mobile Subscriber Identity)の情報である。識別情報42はその他、電話番号、IMEI(International Mobile Equipment Identity )、又はMEID(Mobile Equipment Identifier )等の識別番号、又は通信装置1のシリアル番号など、対象を一意に特定する固有の情報であればよい。また、識別情報42は、1つの通信装置1のみならず、複数の通信装置1を識別する複数の情報であってもよい。例えば、車両Vの所有者の家族などの通信装置1について、各識別情報42が予め記憶されておいてもよい。
【0054】
実施の形態2における通信装置1の無線LAN通信機能が有効化されるまでの処理手順について説明する。
図5は、実施の形態2における通信装置1の制御部10による処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順の内、
図3の実施の形態1における処理手順と共通する手順については、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0055】
制御部10は、ステップS2にて、所定のデジタル信号であると判断した場合(S2:YES)、該信号から識別情報を抽出する(ステップS11)。制御部10は、抽出した識別情報が、自身の固有の識別情報(例えばIMSI)と一致するか否かを判断する(ステップS12)。制御部10は、一致すると判断した場合(S12:YES)、車載無線通信装置2との連携用のアプリプログラム1Aを読み出して起動し(S3)、以後の処理を続行する。
【0056】
制御部10は、ステップS12にて一致しないと判断した場合(S12:NO)、そのまま処理を終了する。
【0057】
このように、送信装置4の制御により、送信機3から固有の識別情報42が送信されることにより、通信装置1における識別情報と一致する場合のみ、無線LAN通信機能を有効化する。つまり、車載無線通信装置2は、予め識別情報が記憶されている通信装置1を選択して通信を行なう。したがって、車載通信システムの安全性を向上させることができる。
【0058】
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3における車載通信システムの構成を示すブロック図である。実施の形態3における車載通信システムは、通信装置1、車載無線通信装置2、送信機3、中継装置5、複数のECU(Electronic Controller Unit)6、及びセンサ7を含む。実施の形態3における車載通信システムの通信装置1及び送信機3は、実施の形態1と同様であるから同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、実施の形態3における車載通信システムでは、車載無線通信装置2は、中継装置5を介して複数のECU6を含む車内ネットワークに接続されており、送信機3は、ECU6の1つであるドアノブECU60と接続されている。
【0059】
実施の形態3において、車内ネットワークは、ドアノブECU60を含む複数のECU6が、群毎に異なる通信線に接続しており、異なる通信線は夫々、中継装置5に接続されて構成されている。複数のECU6は、マイクロコンピュータを備え、各種車載センサ又はアクチュエータ等を制御する制御装置であり、通信線を介したCAN又はLIN等の規格に基づく車内通信により相互にデータを送受信する。中継装置5は、CPU及び複数の通信規格に応じたトランシーバを備え、複数の異なる通信線間の通信を、各通信線の通信規格に応じて中継する装置である。中継装置5は、異なる通信線間でのECU6によるデータの送受信を中継し、また、車載無線通信装置2と車内ネットワークとの間のデータの送受信を中継する。そして、車内ネットワーク外の装置である通信装置1との通信が可能な車載無線通信装置2が、中継装置5に接続されてある。車載無線通信装置2が中継装置5に接続されている構成により、外部装置が複数のECU6と直接的に通信することを回避し、安全性の向上が図られている。
【0060】
車載無線通信装置2は、制御部20、記憶部21、無線通信部23、車内通信部24、及び入力部25を備える。
【0061】
制御部20は、CPU及びRAMを用いる。制御部20は、記憶部21に記憶されてある制御プログラムをRAMに読み出して実行することによって各構成部を制御し、種々の機能を発揮させる。なおRAMには、CPUにより生成される情報が一時的に記憶される。
【0062】
記憶部21は、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリを用いる。記憶部21には、ハードディスク等の磁気記憶装置を用いてもよい。記憶部21は、上述した制御プログラム、及び制御部20が処理時に参照する情報が予め記憶されてある。また、記憶部21には、入力部25が入力する通信装置1の固有の識別情報22を記憶する。なお、識別情報22は、1つの通信装置1のみならず、複数の通信装置1を識別する複数の情報であってもよい。例えば、車両Vの所有者の家族などの通信装置1について識別情報22が予め記憶されておいてもよい。
【0063】
無線通信部23は、無線LANアンテナ及びWiFiチップを含むWiFiモジュールを用いる。通信装置1における無線通信部15の通信規格がWiFi以外である場合には、対応する通信規格用のハードウェアを用いればよい。無線通信部23は、無線信号が到達する範囲内に存在する通信装置1との間で無線通信を実現する。無線通信部23の無線通信機能は、車載無線通信装置2が起動している間は、有効である。
【0064】
車内通信部24は、CAN又はLIN等の規格に基づき中継装置5との通信を実現する。車内通信部24は、制御部20から与えられた情報を中継装置5へ送信すると共に、中継装置5から受信した情報を制御部20へ与える。
【0065】
入力部25は、外部から情報を入力するインタフェースである。入力部25は例えば、可搬型の外部メモリから通信装置1の固有の識別情報を読み取る読取装置を用いる。又は、入力部25は、タッチパネル内蔵ディスプレイを用い、ユーザ又はディーラオペレータの操作に応じて通信装置1の固有の識別情報22を入力する。
【0066】
このように構成される車載無線通信装置2では、制御部20が、外部メモリ又はタッチパネル内蔵ディスプレイを介して入力部25から通信装置1の固有の識別情報22を入力し、入力した識別情報22を記憶部21に記憶しておく。
【0067】
ドアノブECU60は、ドアノブGのロック/アンロックの切替制御、及びドアVDの開閉検知を行なう制御装置である。ドアノブECU60は、制御部61、車内通信部62、及び送信部63を備える。なお、ドアノブECU60は、ドアノブGのロック/アンロックの切替制御以外に、ウィンドウ、ライト、エアーコンディショナー等の制御を含むボディ系の制御を統合的に行なうECUであってもよい。
【0068】
制御部61は、マイクロコンピュータを用いる。制御部61は、予め内蔵メモリに記憶してある制御プログラムに基づき、車内ネットワークを介して受信する情報に基づき切替制御を行なう。また、制御部61は、センサ7に接続されており、センサ7から出力される信号に基づき、ドアノブGにユーザDが接触又は接近したことを検知する。
【0069】
車内通信部62は、CAN又はLIN等の規格に基づき他のECU6又は中継装置5との通信を実現する。車内通信部62は、制御部61から与えられた情報を通信線へ送信すると共に、ECU6又は中継装置5から受信した情報を制御部61へ与える。
【0070】
送信部63は、人体通信を実現する送信機3に接続されている。送信部63は、制御部61から与えられる情報を電気信号により送信機3へ出力する。
【0071】
センサ7は、運転席ドアVDの外側のドアノブGに設けられており、ドアノブGにユーザDが接触、又は、人体通信が可能な所定の距離内に接近したことを検知する。センサ7は、検知信号をドアノブECU60の制御部61へ出力する。なお、センサ7は、ドアVDの開閉センサであってもよく、開閉センサはドアVDが外側から開けられた場合に、これを検知する。
【0072】
ドアノブECU60では、制御部61がドアノブGのロック/アンロックの切替制御、及び、ドアVDの開閉検知の他に、ドアノブGにユーザDが接触又は接近したことを検知したことをトリガに、車載無線通信装置2から固有の識別情報を取得し、送信部63から送信機3へ送信する制御を行なう。
【0073】
実施の形態3における通信装置1の無線LAN通信機能が有効化されるまでの処理手順について詳細に説明する。
図7は、実施の形態3における車載通信システムの車内ネットワーク側で実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0074】
ドアノブECU60及び車載無線通信装置2は、車両Vのエンジン又は駆動モータが始動していないときに、以下に示す処理を定期的に実行する。
【0075】
ドアノブECU60の制御部61は、センサ7からの検知信号により、ユーザDの接触又は接近を検知したか否かを判断する(ステップS21)。制御部61は、検知しないと判断した場合(S21:NO)、処理をステップS21へ戻す。
【0076】
制御部61は、ユーザDの接触又は接近を検知したと判断した場合(S21:YES)、車内通信部62により、識別情報22の送信要求を車載無線通信装置2へ送信する(ステップS22)。送信要求及び以下に示す送受信は中継装置5により中継される。
【0077】
一方、車載無線通信装置2の制御部20は、識別情報22の送信要求を受信したか否かを判断する(ステップS31)。制御部20は、受信していないと判断した場合(S31:NO)、処理をステップS31へ戻し、受信したと判断するまで待機する。制御部20は、受信したと判断した場合(S31:YES)、記憶部21から識別情報22を読み出し(ステップS32)、識別情報22を車内通信部24からドアノブECU60へ送信し(ステップS33)、処理を終了する。
【0078】
ドアノブECU60の制御部61は、送信要求に応じて送信される識別情報22を受信し(ステップS23)、受信した識別情報22を送信部63から送信機3へ送信し(ステップS24)、処理を終了する。
【0079】
これにより、実施の形態3では、ドアノブECU60が、センサ7でユーザDの接触又は接近を検知したことをトリガに、車載無線通信装置2へ送信要求を送信して通信装置1の固有の識別情報22を取得し、送信機3から送信させた。これにより、無用に識別情報22を送信することを回避し、安全性をより向上させることができる。
【0080】
なお、センサ7での検知を行なうことなしに、ドアノブECU60が定期的に、車載無線通信装置2に固有の識別情報の送信要求を送信し、送信要求に応じて送信される識別情報を受信する都度、該識別情報を含む信号を送信機3から送信させる構成としてもよい。
【0081】
上述の実施の形態1から3では、送信機3は車両Vの運転席ドアVDのドアノブGに設けられる構成とした。しかしながら、運転席以外の席のドアのドアノブに設けられてもよいことは勿論であり、また、複数のドアに設けられ、各送信機3から送信される信号によって、複数の通信装置1にて同時的に、無線通信部15の無線LAN通信機能が有効化されるようにしてもよい。このとき、運転席ドアVDのドアノブGに設けられる送信機3から送信される信号によって無線LAN通信機能が有効化された通信装置1がマスタとなって、複数の通信装置1と車載無線通信装置2との間で通信が行なわれるようにしてもよい。
【0082】
なお、上述のように開示された本実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。