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特開2015-151128翼、エアロカー並びに翼を収納及び展開する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-151128(P2015-151128A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】翼、エアロカー並びに翼を収納及び展開する方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 3/56 20060101AFI20150728BHJP
   B64C 3/16 20060101ALI20150728BHJP
   B64C 21/04 20060101ALI20150728BHJP
   B64D 27/02 20060101ALI20150728BHJP
   B60F 5/02 20060101ALI20150728BHJP
   B64C 37/00 20060101ALN20150728BHJP
【FI】
   B64C3/56
   B64C3/16
   B64C21/04
   B64D27/02
   B60F5/02
   B64C37/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-26445(P2015-26445)
(22)【出願日】2015年2月13日
(31)【優先権主張番号】14/180,614
(32)【優先日】2014年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】ナム テウ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】重量及び複雑さを低減し、各モードにおける操作性に影響を与えず、路面走行モードにおける効率的な操作に資することができ、運転者の後方及び側方の視野を、制限しないエアロカーの翼を提供する。
【解決手段】翼34であって、インボードチャネル54から翼幅方向に延びるアウトボードチャネル56を有した二重チャネル翼を具備し、アウトボードチャネルがアウトボード軸線OP周りに形成され、且つ、インボードチャネルがインボード軸線IP周りに形成される。アウトボード軸線に沿ったアウトボード推進器62と、インボード軸線に沿ったインボード推進器60と、を具備する。アウトボードチャネル56は、アウトボードチャネル56がインボードチャネル54の上に収納されるように、翼弦軸線Wを中心に約180度揺動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼であって、インボードチャネルから翼幅方向に延びるアウトボードチャネルを有した二重チャネル翼を具備する翼。
【請求項2】
前記二重チャネル翼が、吹き出しチャネル循環制御翼である請求項1に記載の翼。
【請求項3】
前記吹き出しチャネル循環制御翼が、少なくとも1つの関連した前縁スロットに給気する前縁給気プレナムを含む請求項2に記載の翼。
【請求項4】
前記吹き出しチャネル循環制御翼が、少なくとも1つの関連した後縁スロットに給気する後縁給気プレナムを有する請求項2に記載の翼。
【請求項5】
前記吹き出しチャネル循環制御翼が、少なくとも1つの関連した前縁スロットに吸気する前縁給気プレナムと、少なくとも1つの関連した後縁スロットに吸気する後縁給気プレナムと、を有する、請求項2に記載の翼。
【請求項6】
前記アウトボードチャネルがアウトボード軸線周りに形成され、且つ、前記インボードチャネルがインボード軸線周りに形成された、請求項1に記載の翼。
【請求項7】
前記アウトボード軸線に沿ったアウトボード推進器と、前記インボード軸線に沿ったインボード推進器と、を更に具備する請求項6に記載の翼。
【請求項8】
前記アウトボード推進器及び前記インボード推進器がプロペラを有する、請求項7に記載の翼。
【請求項9】
前記アウトボード推進器が、前記インボード推進器の軸線方向前方にある、請求項7に記載の翼。
【請求項10】
前記アウトボード推進器の後方において前記アウトボードチャネル内に補助翼を更に具備する、請求項7に記載の翼。
【請求項11】
前記アウトボードチャネルは、該アウトボードチャネルが前記インボードチャネルの上に収納されるように、翼弦軸線周りで揺動する、請求項1に記載の翼。
【請求項12】
前記翼は、該翼が、路面走行モードと展開された飛行モードとの間で折りたたみ可能なように、翼軸線周りで搖動する、請求項11に記載の翼。
【請求項13】
前記翼弦軸線が前記翼軸線に対して垂直である、請求項12に記載の翼。
【請求項14】
インボードチャネルから翼幅方向に延びるアウトボードチャネルを有した二重チャネル翼であって前記アウトボードチャネルがアウトボード軸線周りに形成され、且つ、前記インボードチャネルがインボード軸線周りに形成された二重チャネル翼と、
前記アウトボード軸線に沿ったアウトボード推進器と、
前記インボード軸線に沿ったインボード推進器と、を具備する、エアロカー。
【請求項15】
前記アウトボード推進器が前記インボード推進器の軸線方向前方にある、請求項14に記載のエアロカー。
【請求項16】
前記アウトボード推進器の後方において前記アウトボードチャネル内に補助翼を更に具備する請求項15に記載のエアロカー。
【請求項17】
前記アウトボードチャネルは、該アウトボードチャネルが前記インボードチャネルの上に収納されるように、翼弦軸線周りで揺動し、且つ、前記翼は、該翼が路面走行モードと展開された飛行モードとの間で折りたたみ可能なように、翼軸線周りで搖動する、請求項14に記載のエアロカー。
【請求項18】
翼を収納及び展開する方法であって、アウトボードチャネルがインボードチャネルの上で収納されるように、前記アウトボードチャネルを翼弦軸線周りに揺動させることと、
前記翼が路面走行モードと展開された飛行モードとの間で折りたたみ可能なように、翼軸線周りに前記翼を揺動させることと、含む方法。
【請求項19】
前記インボードチャネル内の前記インボード推進器の軸線方向前方において、アウトボード推進器を前記アウトボードチャネル内に配置することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記翼弦軸線が、前記翼軸線に対して垂直な、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固定翼航空機として飛行することができ、かつ陸上の乗り物として走行することができる乗り物に関し、より詳細には、そのためのチャネル翼の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行は、人類の歴史において、常に夢の中心であった。エアロカー、すなわち路面走行可能な航空機は、路上を走行し得ると同時に、航空機として離陸し、飛行し、及び着陸し得る乗り物として定義される。そのような性能を示す乗り物は、移動性が、私的かつ個人的であることを維持しつつ3次元になるため、運転者に、自由、快適さ、及び目的地に素早く到達する能力を提供する。しかしながら、そのような乗り物においては、飛行モード及び路面走行モードにおける操作を可能にするために、種々のトレードオフが要求され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、陸上の乗り物の車体は、駐車及び路上での機動性を促進するために比較的短いが、航空機の機体は、飛行安定性及び操縦確実性(control authority)を促進するために、比較的長い。1つの従来の路面走行可能な航空機では、陸上モードにおいて、各翼は、根元で上向きに折りたたまれ、翼の中ほどの位置で下向きに折りたたまれて、機体に対して収納される(stow)。効率的ではあるものの、折りたたむ位置の数が増えるほど重量及び複雑さは増し、必然的に、各モードにおける操作性に影響を与える。さらに、そのような翼の収納は、路面走行モードにおける効率的な操作に資する、運転者の後方及び側方の視野を、制限する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
翼を含むエアロカー及び前記翼の収納及び展開方法が開示される。前記翼は、インボードチャネル又は内側溝(inboard channel)、及び、アウトボードチャネル又は外側溝(outboard channel)の、2つのチャネルを含み得る。前記翼は、路面走行モードにおいて、翼弦軸線(chord axis)を中心に前記アウトボードチャネルを折りたたむことにより、前記アウトボードチャネルを前記インボードチャネルの上に収納し、並びに前記インボードチャネル及び前記アウトボードチャネルの組み合わせを、翼軸線を中心に折りたたんで前記翼全体を収納することにより、エアロカーの内部に、又はエアロカー沿って収納することができる。前記翼は、飛行モードにおいて折りたたみのプロセスを逆に行うことにより、展開することができる。
【0005】
本開示の1つの開示される非限定的実施形態に係る翼は、インボードチャネルから翼幅方向(spanwise)に延びるアウトボードチャネルを有する、二重チャネル翼を含む。
【0006】
本開示の別の開示される非限定的実施形態に係るエアロカーは、インボードチャネルから翼幅方向に延びるアウトボードチャネルを有する二重チャネル翼(dual channel wing)であって、前記アウトボードチャネルが前記アウトボード軸線の周りに画定され、及び前記インボードチャネルがインボード軸線の周りに画定される、二重チャネル翼;前記アウトボード軸線に沿ったアウトボード推進器;並びに、前記インボード軸線に沿ったインボード推進器;を含む。
【0007】
本開示の別の開示される非限定的実施形態に係る翼の収納及び展開方法は、アウトボードチャネルがインボードチャネルの上に収納されるように、前記アウトボードチャネルを、翼弦軸線を中心に揺動させること(swinging);並びに、前記翼が収納された路面走行モード及び展開された飛行モードの間で折りたたみ可能なように、前記翼を、翼軸線を中心に揺動させること;を含む。
【0008】
明確に別途示されない限り、前述の特徴及び要素は、非排他的に、種々の組み合わせで組み合わせることができる。これらの特徴及び要素並びにそれらの操作は、以下の記載及び添付される図面に照らして、より明確となるであろう。しかしながら、以下の記載及び図面は、本質的に例示として意図され、限定することを意図してはいないということが、理解されるべきである。
【0009】
開示される非限定的実施形態の、以下の詳細な説明から、当業者には、種々の特徴が明らかになるであろう。その詳細な説明に付随する図面を簡単に説明すると、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】1つの開示される非限定的実施形態に係る、チャネル翼を有するエアロカーの、飛行モードにおける、概略斜視図である。
図2】路面走行モードにおける、図1のエアロカーの概略斜視図である。
図3】飛行モードにおける、図1のエアロカーの概略正面図ある。
図4】飛行モード及び路面走行モード間の、チャネル翼が部分的に折りたたまれた状態の、図1のエアロカーの概略斜視図である。
図5】別の開示される非限定的実施形態に係る、図1のエアロカーで使用するための吹き出しチャネル循環制御翼(CCW)の概略断面図である。
図6】飛行モードにおける図1のエアロカーの概略側面図である。
図7】別の開示される非限定的実施形態に係る、内燃機関ベースの動力システムを有する図1のエアロカーの概略上面図である。
図8】別の開示される非限定的実施形態に係る、ガスタービンエンジン動力システムを有する図1のエアロカーの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、飛行モード(図1)及び路面走行モード(図2)で操作可能な乗り物20を模式的に例示した図である。乗り物20は一般的に、少なくとも1つの操縦可能な車輪24A及び少なくとも1つの駆動輪24Bを含む複数の車輪24を有する車体22、動力システム26、推進システム28、先尾翼30、尾翼32及び翼システム34を含む。特定のシステム及びサブシステムが個々に定義されているが、サブシステムのそれぞれ又そのうちのいずれかを組み合わせるか、又は分離し得るということが理解されるべきである。
【0012】
車体22には、運転者、乗客及び貨物のための座席が設けられている。車体22は、路面走行モード(図2)における操作のために、複数の車輪24上に支持される。先尾翼30、尾翼32及び翼システム34は、路面走行モードの際に、目立たずかつスタイリッシュであり、運転者の側方及び後方への視野も妨げない設計の可能性を促進するために、車体22内部に容易に収納可能である。1つの例においては、幅が約6フィート(約182.88cm)、離陸全備重量が3200ポンド(約1451.50kg)である車体22に対して、約18フィート(約548.64cm)の翼幅が提供される。開示される非限定的実施形態においては、特定の構成及び形状で描写されているが、本明細書に記載される概念は、例示されるこれらのものにのみ限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0013】
開示される非限定的実施形態における1対の先尾翼30は、操縦可能な車輪24Aそれぞれの前方に位置する。各先尾翼30は、乗り物20の縦操縦及び横操縦を容易にするために、それぞれの軸線Cを中心に傾斜する全可動面であってもよい。各先尾翼30は、車体22内部に少なくとも部分的に収納されるために(図2)、軸線CS(図3)を中心に回転可能である。この開示される非限定的実施形態において、各先尾翼30は、収納された路面走行モード及び展開された飛行モードの間で、軸線CSを中心に約135度の回転距離で回転可能である。例えばスライド式、伸縮式、又は他の配置などの他の収納配置もまた、本開示により利益を受けるということが理解されるべきである。
【0014】
尾翼32は一般的に、間に昇降舵40を挟んで、左舷及び右舷垂直安定板36、38を含む。開示される非限定的実施形態において、垂直安定板(vertical stabilizers)36、38は、それぞれ、方向操縦を容易にするための方向舵42、44を含む。昇降舵40は、乗り物20の縦操縦を容易にするために、軸線Eを中心に傾斜する全可動面であってもよい。
【0015】
尾翼32は、路面走行モードにおける、車体22内部への収納のために、軸線ESを中心に回転可能である。尾翼32が車体22内に向かって回転すると、昇降舵40は、車体22内への、少なくとも部分的な収納を可能にするために、その軸線Eを中心に傾斜し得る。すなわち、昇降舵40は、車体22に対して、実質的に平らになるように傾斜し(pitched)得る。あるいは、昇降舵40は、乗り物20が路面走行モードにあるとき、スポイラーとして機能し得るように配置されてもよい。例えばスライド式配置などの他の収納配置もまた、本開示により利益を受けるということが理解されるべきである。
【0016】
動力システム26は、路面走行モードにおいては駆動輪24Bに、及び飛行モードにおいては推進システム28に、選択的に動力を提供するように機能する。種々の前輪駆動、後輪駆動及び全輪駆動が、本開示により利益を受けるということが理解されるべきである。動力システム26は、内燃装置、ガスタービン装置、ハイブリッド電気装置、燃料電池装置、及び他のエネルギー変換装置を含む、種々の形態であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0017】
1つの開示される非限定的実施形態において、翼トルク箱構造(wing torque box structure)46は、車体22および翼システム34に対する支持を提供するために、乗員室48の後方に位置する。翼トルク箱構造46は、一般に乗り物20の重心位置(CG)に位置し、さらに燃料を備蓄するための燃料タンクとして機能し得る。1つの例において、210リットル(55ガロン)の燃料がその中に容易に備蓄される。CGに位置することにより、燃料量の変化は、乗り物20に対して最小の影響しか及ぼさず、例として約475マイル(約764.27km)、45分間の範囲の予備保持量を提供する。
【0018】
開示される非限定的実施形態における翼システム34は、左舷翼50及び右舷翼52を含み、そのそれぞれがインボードチャネル54及びアウトボードチャネル56を有する二重チャネル翼である。インボードチャネル54は、インボード軸線IPの周りに画定され、アウトボードチャネル56は、アウトボード軸線OPの周りに画定される。左舷翼50及び右舷翼52は、アウトボードチャネル56が、インボードチャネル54から翼幅方向に延びるように、軸線WSを中心にして翼トルク箱構造46に取り付けられている。
【0019】
この開示される非限定的実施形態において、アウトボードチャネル56は、アウトボードチャネル56がインボードチャネル54の上に収納されるように、翼弦軸線Wを中心に約180度揺動する(図4)。すなわち、アウトボードチャネル56は、インボードチャネル54の上に収納され、実質的に、概ねコンパクトな円筒形状を形成する。各翼50、52もまた、車体22内部に収納される路面走行モード及び展開された飛行モードの間で、折りたためるように、翼軸線WSを中心に、180度揺動する。翼軸線WSは、翼弦軸線Wに対して垂直であってもよく、又は、アウトボードチャネル56がインボードチャネル54の上に収納されて実質上円筒形状を形成し、ついで該円筒が翼弦軸線Wを中心に揺動して車体22内部に収納されるように、小さなねじり変位を与えてもよい。例えばスライド式配置などの他の収納配置もまた、本開示により利益を受けるということが理解されるべきである。また、路面走行モードにける、目立たずかつスタイリッシュな設計の可能性、及び飛行モードにおける、空気力学的に滑らかな面を可能にするために、種々の扉(図示せず)が設けられていてもよいということが理解されるべきである。
【0020】
各翼50、52のインボードチャネル54及びアウトボードチャネル56は、推進システム28の推進器60、62を支持するそれぞれの支柱58を含む。推進器60、62を支持するそれぞれの支柱58は、傾斜が固定されていてもよく、又は推力偏向を容易にするために、ティルトローター機能を提供し得るということが、理解されるべきである。各推進器60、62は、それぞれインボード軸線IP及びアウトボード軸線OPに沿って位置する、推進プロペラ、オープンローター、プロップローター、ターボファン又は他の推力発生システムを含み得る。1つの例においては、例えば電気モーターで駆動されるプロペラなどの、各推進器60、62は、約55hpの推力を発生させる。
【0021】
アウトボードチャネル56がインボードチャネル54の上に収納される際に障害とならないように、各推進器60、62を軸方向にオフセットすることができる。この開示される非限定的実施形態において、アウトボード推進器62は、インボード推進器60の軸方向前方に位置する。
【0022】
各アウトボード推進器62の後方には、乗り物20の横操縦および縦操縦を容易にするために、補助翼64が、アウトボードチャネル56に渡って位置している。各補助翼64は、乗り物20の横操縦を容易にするために、軸線Aを中心に傾斜する全可動面であってもよい。アウトボード推進器62が、それぞれの補助翼64の前方にあるため、横操縦はアウトボード推進器62からの直接気流により増強され、ウェーク対応(wake enabled)の低速の横操縦および縦操縦を提供する。
【0023】
推進器スリップストリームを使用することにより、翼システム34は、高揚力形態幾何学を変化させることなく、有意な揚力係数及び効率的な下向きの推力偏向を提供する。このような高揚力形態は、小さな敷地や、ますます過密化する都市環境から運用される個人輸送、及び軍事輸送に付随する、数多くの利益を提供する、短距離離着陸(STOL)又は垂直・短距離離着陸(VSTOL)能力を促進する。
【0024】
図5を参照すると、別の開示される非限定的実施形態において、翼50、52のそれぞれは、揚力をさらに増大させる吹き出しチャネル循環制御翼(CCW)70である。種々の循環制御翼/上面吹き出し(CCW/USB)及び/又は境界層制御装置(BLCS)空気圧式システムもまた本開示により利益を受けるということが理解されるべきである。このような空気圧式チャネル翼システムによる揚力増強は、比較的小さい翼面積を可能にする(図6)。このような翼50、52の面積は、典型的な民間機の翼の面積の約30%であり得るが、それでもなお、後縁フラップを有するこのような従来の翼の約350%から500%、及びフラップの無い従来の翼と比較して最大900%の、揚力増強を提供する。
【0025】
吹き出しチャネルCCW70は、一般的に、関連する前縁スロット74に給気する(feeds)前縁給気プレナム72、及び関連する後縁スロット78に給気する後縁給気プレナム76を含む。給気プレナム72、76は空気源システム80に連結され、加圧された空気をスロット74、78から選択的に排気する。スロット74、78を介した加圧された空気の選択的な排気により、エアロカー、すなわち路面走行可能な航空機型の乗り物に一般に望まれるとおり、非常に低い飛行速度においても、乗り物20のSTOL、VSTOL、方向操縦、横操縦、及び縦操縦の操縦性増強を促進することができる。
【0026】
図7を参照すると、1つの開示される非限定的実施形態において、動力システム26は、発電機92に動力を供給する内燃機関90を含む。内燃機関90は、高所での動作を促進するスーパーチャージャー又はターボチャージャーであってもよい。発電機92は、推進システム28の推進器60、62を駆動する配電構造(electric distributed architecture)に電力を提供する。例えば左舷及び右舷垂直安定板36、38内に位置する電池システム94は、電力の貯蔵を提供し、効率的な路面走行及び飛行操作、ならびにエンジン出力低下状態において操縦システムに動力を供給するための発電機92のフェイルセーフ動作を、さらに促進する。1つの例においては、約275hpの能力を有する内燃機関90は、発電機92に動力を供給して、クルーズ時に推進器60、62に連続的に動力を供給すると同時に、約23kWhの、例示される電池システム94を再充電する。
【0027】
内燃機関90は、シャフト96を介して駆動輪24Bに動力を供給することができ、かつ空気源システム80にも動力を供給し得る。空気源システム80は、乗員室48に空気調節を提供し、かつ吹き出しチャネルCCW70に高圧空気を提供するための、1つ又は複数のコンプレッサーを含んでいてもよい。
【0028】
図8を参照すると、別の開示される非限定的実施形態における動力システム26は、ガスタービンエンジン100及び発電機102を含む。ガスタービンエンジン100は抽気(bleed air)を提供し、それにより直接的に吹き出しチャネルCCW70に供給することができ、それによって内燃機関を有する実施形態と比較して、コンプレッサーの数を低減させ得る。空気源システム80は、乗員室48に空気調節を提供し、かつ、例えば、エンジン出力低下状態が発生して抽気が利用できなくなった場合には、吹き出しチャネルCCW70に高圧空気のフェイルセーフ供給を提供するための、1つ又は複数のコンプレッサーをさらに含んでいてもよい。
【0029】
全体として、翼システム34は、デュアルモード移行のための翼/車体統合を促進する翼面積の低減を生み出し、クルーズに必要とされる動力を低減させ、かつ、よりコンパクトな翼はより大型の翼に比べて突風に対してより低感度であるため、乗り心地を改善する。
【0030】
例えば「前方(forward)」「後方(aft)」「上部の(upper)」「下部の(lower)」「の上(above)」「の下(below)」等の、相対的な位置を表す用語は、乗り物の通常の操作姿勢を基準にしたものであり、限定するものと考慮されるべきではないということが、理解されるべきである。
【0031】
異なる非限定的実施形態が、特定の例示される要素を有するが、本発明の実施形態はこれらの特定の組み合わせに限定されない。非限定的実施形態のうちのいずれかからの構成要素又は特徴のうちのいくつかを、他の非限定的実施形態のうちのいずれかからの特徴又は構成要素と組み合わせて使用することが可能である。
【0032】
複数の図面に渡って、同様の参照番号が、対応するか又は類似する要素を特定するということが理解されるべきである。また、特定の構成要素の配置が例示される実施形態において開示されているが、他の配置もまた、本開示により利益を受けるということが理解されるべきである。
【0033】
特定の工程の順番が示され、説明され、及び請求されているが、特に指示がない限り、各工程は、あらゆる順番で、個々に、又は組み合わせて実施してもよく、それでもなお本開示から利益を受けるということが、理解されるべきである。
【0034】
前述の記載は、制限するためのものではなく、例示的なものである。種々の非限定的実施形態が本明細書に開示されているが、当業者は、上述される教示に照らして、種々の改変及び変形が、添付される請求の範囲の範囲内に含まれるということを認識するであろう。したがって、添付される請求の範囲の範囲内で、具体的に記載される以外の様式で、本開示を実践し得るということが理解される。それゆえ、本発明の真の範囲及び内容を判断するためには、添付される請求の範囲が検討されるべきである。
【符号の説明】
【0035】
20 乗り物
28 推進システム
54 インボードチャネル
56 アウトボードチャネル
60 インボード推進器
62 アウトボード推進器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8