(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-151140(P2015-151140A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】梱包用箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20150728BHJP
【FI】
B65D5/50 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-24459(P2014-24459)
(22)【出願日】2014年2月12日
(71)【出願人】
【識別番号】592181842
【氏名又は名称】株式会社サガシキ
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】枝吉 宣輝
(72)【発明者】
【氏名】八田 彰
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BC02
3E060BC04
3E060CC14
3E060CC18
3E060CC19
3E060CC42
3E060CG03
3E060DA13
3E060DA26
3E060EA06
3E060EA20
3E060EA21
(57)【要約】
【課題】緩衝材を用いることなく、簡単な構造で収納物を保持することができる梱包用箱を提供する。
【解決手段】
梱包用箱は、箱の対向する内壁のそれぞれの下辺に、箱の内側へ曲げて収納物に被せて押さえる収納物押さえシート15の下辺の接着部16が固着されている梱包用箱である。収納物押さえシート15は、紙製シートあるいはプラスチック製シートであり、収納物押さえシート15の大きさが、シート15を固着する内壁1の大きさと、内壁1の上に連接された、天板6を形成する蓋板7aの大きさとを合わせた大きさで、両側の収納物保持シート15を箱の中心に向けて内側に曲げて収納物14a〜dの上に被せ、重ねた端の部分を接着テープ17で固着して、収納物14a〜dを保持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱の対向する内壁のそれぞれの下辺に、箱の内側へ曲げて収納物に被せて押さえる収納物押さえシートの下辺が固着されていることを特徴とする梱包用箱。
【請求項2】
前記収納物押さえシートが紙製シートあるいはプラスチック製シートであることを特徴とする請求項1に記載の梱包用箱。
【請求項3】
前記収納物押さえシートの大きさが、シートを固着する内壁の大きさと、前記内壁の上に連接された、天板を形成する蓋板の大きさと合わせた大きさであることを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包用箱。
【請求項4】
前記収納物押さえシートの上部にシートが内側に曲がるのを防止する剥離自在の仮止部を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の梱包用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱に梱包する収納物にシートを被せて保持して搬送することができる梱包用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボール箱に物品を梱包して搬送する場合、物品ごとに専用の段ボール箱を用意するかあるいは、異なる大きさや形状の異なる物品を同一の段ボール箱を使用して梱包する場合には、搬送時取扱中のショックを吸収するために、収納した物品の周囲に形成される空間に紙やプラスチック製の緩衝材が充填され、搬送や取扱中の衝撃を吸収するようにしている。
【0003】
例えばインターネット販売などでは、種類の異なる商品を一つの箱に詰め合わせて送る場合があり、注文された商品を詰めた袋物、箱入りの物あるいはむき出しの物など大きさや形状が異なる物品が段ボール箱にまとめて入れられ、これらの物品の周囲に紙製緩衝材や紐状の発砲スチロールやビニールバックなどのプラスチック緩衝材が充填され、搬送や取扱中の衝撃を吸収して破損を防ぐようにしている。
【0004】
緩衝材は、配達先で物品輸送容器から物品が取り出されると、大量のゴミの発生源となるという問題がある。そこで、ゴミが殆ど発生しない構造をした物品輸送容器が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、大きさに違いのある商品を同一の大きさの容器に緩衝材を用いることなく収納・固定する梱包容器として、容器部材の開口部の端部に設けられた第2の蓋部を、梱包容器の開口部に差し渡した伸縮部材上に物品を載置した後に、その差し渡された方向とは垂直方向から伸縮部材の開口部に差し渡した部分および物品を覆うように開口部を閉じ、そして、巻取部材が、第2の蓋部を閉じた状態で伸縮部材に対して差し渡し方向に張力をかけ、第2の蓋部と伸縮部材とで物品を保持した状態で伸縮部材を固定するとともに、開口部を閉じた第2の蓋部が開かないように第2の蓋部を押さえる梱包容器が開示されている。
【0006】
また特許文献2には、緩衝材を用いずに梱包したり、開梱時に収容物を容易に取り出したりすることのできる梱包容器として、底面、一対の長さ面、長さ面に連設する一対の縦フラップ、一対の幅面、幅面に連設する一対の横フラップ、相対するフラップ間に固定されてなる縦バンドおよび横バンド、ならびにリフトアップバンドを備える包装容器を使用する。収容物を縦バンドとリフトアップバンドとの上に載置し、さらに縦フラップにリフトアップバンドの先端を係合させつつ、縦および横の両フラップを閉じて、収容物が宙吊り状に保持される
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−157116号公報
【特許文献2】特開2005−153952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1の梱包容器は、伸縮部材、巻取部材を別途用意し、容器に伸縮部材を固定する差し込み孔を蓋部に設けるひつようがあるため、部品点数が多くまた、容器の構造が複雑であるだけでなく、梱包に手間がかかるという欠点がある。
【0009】
また前記特許文献2の梱包容器も包装容器に縦バンド、横バンド、リフトアップバンを必要とするため部品点数が多くまた、包装容器が複雑となる。またバンドで支持できる物品が限定されるという欠点がある。
【0010】
そこで、本発明は、緩衝材を用いることなく、簡単な構造で収納物を保持することができる梱包用箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の請求項1の発明は、箱の対向する内壁のそれぞれの下辺に、箱の内側へ曲げて収納物に被せて押さえる収納物押さえシートの下辺が固着されていることを特徴とする梱包用箱である。
【0012】
本願の請求項2の発明は、前記収納物押さえシートが紙製シートあるいはプラスチック製シートであることを特徴とする請求項1に記載の梱包用箱である。
【0013】
本願の請求項3の発明は、前記収納物押さえシートの大きさが、シートを固着する内壁の大きさと、前記内壁の上に連接された、天板を形成する蓋板の大きさとを合わせた大きさであることを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包用箱である。
【0014】
本願の請求項4の発明は、前記収納物押さえシートの上部にシートが内側に曲がるのを防止する剥離自在の仮止部を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の梱包用箱である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の梱包用箱は、対向する収納物保持シートが被せられ、重なった端どうしが固着されて収納物が保持されるので、複数の種類の異なる商品を詰め合わせて送る場合でも、梱包用箱の取り扱い中あるいは搬送中に収納物がずれたり崩れたりするのを抑えて収納物の損傷を防止することができる。
【0016】
本発明の梱包用箱は、対向する収納物保持シートを被せ、重ねた端どうしを固着して蓋をするだけなので、手間をかけることなく容易に梱包することができる。
【0017】
本発明の梱包用箱は、展開したブランクにシートを供給してその下辺を固着し、折り曲げるだけで簡単に製造することができる。
【0018】
本発明の梱包用箱は、収納物保持シートの上部に仮止部を設けることにより、収納物保持シートが内側に曲がるのを防止できるので、収納物を入れる際、収納物保持シートが邪魔にならず収納物が入れやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の箱を展開したブランクの平面図である。
【
図3】本発明の箱の使用状態の別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例について図を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明の梱包用箱は、梱包用箱を展開した段ボールのブランクから直方体に形成される。ブランクは、壁板となる第1の側板1、背面板2、第2の側板3および正面板4が、縦方向の折曲線5により折り曲げ可能に順次一体に連設されている。
【0022】
第1の側板1、背面板2、第2の側板3、正面板4のそれぞれの上辺及び下辺には、ブランクを折り曲げて四角筒にした際、四角筒の上下の開口部を塞ぐ天板6を形成するための蓋板7a〜7dおよび底板8を形成するための蓋板9a〜9dが横方向の折曲線10により折曲可能に連設されている。
【0023】
天板6は、第1の側板1および第2の側板3の蓋板7a,7cが背面板2および正面板4の蓋板7b,7dに重ねられて形成される。底板8は、第1の側板1および第2の側板3の蓋板9a,9cが背面板2および正面板4の蓋板9b,9dに重ねられ、接着テープ11で接着して形成される。第1の側板1の側辺には、ブランクを四角筒に折り曲げて正面板4の側辺に貼着する貼着用板12が縦方向の折曲線13を介して折曲可能に連設されている。
【0024】
前記ブランクの第1の側板1、背面板2、第2の側板3、正面板4を四角形に折り曲げ、正面板4の側辺に貼着用板12を貼着して四角筒にし、四角筒の上下の開口部を天板6および底板8で塞いで梱包用箱を製造する。なお、梱包用箱の製造は、前記の方法以外の従来の他の製造方法によってもよい。
【0025】
対向する第1の側板1と第2の側板3のそれぞれには、箱の内側面に収納された収納物14a〜eに被せて保持するための収納物保持シート15が設けられている。なお、収納物は、ケースに入れたもの14a,14c,14d,14e、袋に入れたもの14bなど大きさ、形状の異なる各種の形態のものがあるが、本発明はこれらの異なる収納物に対しても使用可能である。
【0026】
収納物保持シート15はその下辺の接着部16が第1の側板1と第2の側板3の下辺に接着されている。収納物保持シート15は、内側に曲げて重ねた部分を接着テープ17などで固定して収納物を保持して、取り扱い中や搬送中に収納物のずれや崩れを抑えることができる強度と柔軟性を有する紙製シートあるいはプラスチック製シートを使用する。透明のプラスチック製シートにすれば、蓋を開けた際に、収納物を取り出すことなく透明なシートを通して収納物を目視確認できる。
【0027】
収納物保持シート15は、箱形に形成される前にブランクが流れるラインにシートを供給して貼着するだけなので、容易に製造することができる。
【0028】
収納物保持シート15の大きさは、内側へ曲げて収納物14a〜dの全体を上から被せることができ、両側の収納物保持シート15の端部の重なり部分を接着テープ17で固定することができる大きさにする。本実施例ではシート15の大きさは、第1の側板1と蓋板7a、第2の側板3tと蓋板7cを合わせた大きさにしている。これにより、シート15を収納物全体に被せることができ、収納物がずれたり、崩れたりするのを防ぐことができる。
【0029】
本実施例では、収納物保持シート15を対向する第1の側板1と第2の側板3のそれぞれに設けた例について説明したが、対向する両側から曲げて収納物に被せて保持すればよいので、背面板2とこれに対向する正面板4に設けてもよくあるいは、対向する全部の板1〜4に設けてそれぞれ両側から曲げて収納物に被せて端部を重ね、重ねた部分を接着テープで固着して収納物を保持することもできる。また収納物保持シート15の対向する側の端は、直線状だけでなく、指で摘まんで重ねやすい形状また、接着テープ17で接着しやすい形状に形成してもよい。
【0030】
収納物保持シート15が薄いフイルムのような場合、シートの上部が内側へ垂れて曲がってしまい収納物が入れづらくなるので、シートの上部を箱サイズにあわせて1〜3カ所を小さく接着して剥離自在の仮止部19を設ける。仮止部19は収納物保持シート15を商品に被せて包む時には簡単に剥がすことができるように仮止めする。仮止部19を設けることにより、シートが内側に曲がらないので収納物を入れる際に邪魔にならず入れやすくなる。なお、仮止部19は収納物保持シート15が内側へ曲がりにくい厚くて硬いシートの場合には設ける必要はない。
【0031】
次に本発明の包装箱の組立及び使用方法について説明する。
【0032】
第1の側板1、背面板2、第2の側板3、正面板4が縦方向の折曲線5に沿って折り曲げられ、第1の側板1の側辺に連接された貼着用板11が縦方向の折曲線12に沿って折り曲げられ、正面板4の側辺に貼着されて四角筒に形成される。
【0033】
ついて、背面板2および正面板4の蓋板9b,9dが横方向の折曲線10に沿って四角筒の内側に折り曲げられ、この折り曲げられた蓋板9b,9dに第1の側板1および第2の側板3の蓋板9a,9cが折り曲げられて重ねられ、接着テープ14で固着されて底板8が形成され、梱包用箱が形成される。なお、対向する板1〜4の下辺には収納物保持シート15の下辺が接着され、本実施例においては、第1の側板1および第2の側板3の下辺に接着される。
【0034】
こうして得られた梱包用箱に、同じ大きさ、形状のケース入りの物品だけでなく、商品を詰めた袋物、箱入りの物あるいはむき出しの物など大きさや形状が異なる製品を収納する。
【0035】
梱包用箱に物品を収納した後、両側の収納物保持シート15を箱の中心に向けて内側に曲げて収納物14a〜dの上に被せ、シートを引っ張って収納物を押さえ、重ねた部分を接着テープ17で固着して、収納物を保持する。その後、天板6で塞ぎ、注文先に発送する。梱包用箱の搬送中には、収納物全体に収納物保持シート15が被せられて保持されているので、収納物のずれや崩れを抑えて収納物を損傷させることなく搬送することが可能となる。
【0036】
また、
図3に示すように、物品14a,14cを両側から収納物保持シート15で閉じ、箱の上下をひっくり返せば中吊状態となり、下側に空間18ができるので、緩衝材を用いることなく、前記空間が搬送や取扱中の衝撃を吸収して物品の保護性が向上する。
【符号の説明】
【0037】
1:第1の側板
2:背面板
3:第2の側板
4:正面板
5:縦方向の折曲線
6:天板
7a〜d:蓋板
8:底板
9a〜d:蓋板
10:横方向の折曲線
11:接着テープ
12:貼着用板
13:縦方向の折曲線
14a〜e:収納物
15:収納物保持シート
16:接着部
17:接着テープ
18:空間
19:仮止部