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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-151210(P2015-151210A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】粘着テープホルダ
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20150728BHJP
【FI】
   B65H35/07 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-24430(P2014-24430)
(22)【出願日】2014年2月12日
(71)【出願人】
【識別番号】591038026
【氏名又は名称】福岡丸本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093470
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 富士雄
(74)【代理人】
【識別番号】100119747
【弁理士】
【氏名又は名称】能美 知康
(72)【発明者】
【氏名】山本 正和
(72)【発明者】
【氏名】福山 克義
【テーマコード(参考)】
3F062
【Fターム(参考)】
3F062BA06
3F062BC05
3F062BF11
3F062BG01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鋸歯等の刃物を備えず安全に粘着テープの分断を行うことができる粘着テープホルダを提供する。
【解決手段】基材に粘着性材料が塗布された粘着テープ37を巻回した粘着テープ巻回体36が回転自在に保持されるテープ保持部21と、粘着テープ巻回体36から引き出した粘着テープ37を分断する分断手段32とを備えた粘着テープホルダ10であって、分断手段32は、粘着テープ37の幅方向に対して、少なくとも中央部分に凸状の頂部が形成された破断部33を有しており、テープ保持部21と破断部33との間には、粘着テープ37の基材の中央部に、複数の所定の幅を有する破断溝を基材の長手方向に沿って、少なくとも一列形成するための破断溝形成機構24を備えており、粘着テープ37に形成された破断溝と分断手段32に設けられる破断部33とを当接させることで粘着テープ37が分断される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定幅を有する長尺の基材の少なくとも一方の面に粘着性材料が塗布された粘着テープを巻回した粘着テープ巻回体が回転自在に保持されるテープ保持部と、前記粘着テープ巻回体から引き出した前記粘着テープを分断する分断手段とを備えた粘着テープホルダであって、
前記分断手段は、前記粘着テープの幅方向に対して、少なくとも中央部分に凸状の頂部が形成された破断部を有しており、
前記テープ保持部と前記破断部との間には、前記粘着テープ巻回体から引き出された粘着テープの前記基材の中央部に、複数の所定の幅を有する破断溝を前記基材の長手方向に沿って、少なくとも一列形成するための破断溝形成機構を備えており、
前記粘着テープに形成された前記破断溝と、前記分断手段に設けられた前記破断部とを当接させることで前記粘着テープの分断が行なわれることを特徴とする粘着テープホルダ。
【請求項2】
前記破断溝形成機構は、前記粘着テープをはさみ、一方に複数の歯が形成された破断溝形成ローラと、他方に、前記粘着テープを支える支持ローラとを有し、
前記粘着テープが前記破断溝形成機構を通過するときに、前記破断溝形成ローラにより前記粘着テープのいずれか一方側の面から前記破断溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープホルダ。
【請求項3】
前記破断溝は非貫通であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着テープホルダ。
【請求項4】
前記破断溝形成ローラの歯の頂部と前記支持ローラとの間に前記粘着テープの厚さより狭い隙間が形成されるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着テープホルダ。
【請求項5】
前記破断溝形成ローラの両側には、前記破断溝形成ローラの外径より小さい外径であり、前記粘着テープを前記支持ローラに押圧し、一時的に固定する破断溝形成補助ローラが設けらていることを特徴とする請求項2又は4に記載の粘着テープホルダ。
【請求項6】
前記破断部と前記破断溝形成機構との間には、前記粘着テープを送り、被貼付物に押圧する押圧ローラが設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の粘着テープホルダ。
【請求項7】
前記破断部は、曲線状に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の粘着テープホルダ。
【請求項8】
前記破断部は、鈍角に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の粘着テープホルダ。
【請求項9】
前記破断部は、凸状の前記頂部が複数形成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の粘着テープホルダ。
【請求項10】
前記破断部は、前記粘着テープの長手方向において、最も高く形成された頂点部を少なくとも1つ有し、前記頂点部から徐々に低くなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の粘着テープホルダ。
【請求項11】
前記破断部の頂部は、前記粘着テープが引き出される方向に延設されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の粘着テープホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープの分断を容易にする破断溝を粘着テープに引き出しながら形成する機構を備え、且つ、形成された破断溝と当接させて破断させることで容易に粘着テープの分断が行なえる破断部を備えた粘着テープホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着テープを切断するためのディスペンサー等の器具では、粘着テープを所望の長さに切断するために、カッターや鋸状の切断刃等の刃物が用いられていたため、使用者が粘着テープの切断時に刃物により怪我をするおそれがあった。また、粘着テープを引き出しながら貼り付ける粘着テープ貼付具等にもこのような刃物が用いられており、同様に使用者が怪我等をするおそれがある。
【0003】
このような課題を解決するため、所定の間隔に切り取り用のミシン目が設けられた粘着テープ用のテープディスペンサーの発明が下記特許文献1に開示されている。下記特許文献1に開示されたテープディスペンサーは、裏面に粘着剤が塗布され、あらかじめ所望の間隔にミシン目を有して巻き取られているテープを一端から引きだし可能なように収納し得るテープ収納部と、突出する曲面に沿って、引き出したテープの幅方向に形成されたミシン目より切断を補助するための複数本のブレードと、前記テープ収納部とブレードの間にテープ引き出し経路より突出してテープ粘着面を一時的に貼り付けるためのテープ貼り付け面を有している。このような構成を備えることで、下記特許文献1に開示されたテープディスペンサーによれば、粘着テープの一端を持って粘着テープを引き出し、ミシン目をこのミシン目の切断を補助するための複数本のブレードに向けて押し付けるようにすると、ミシン目付近の手前のテープ粘着面がテープ貼り付け面に一時的貼り付き、テープ引き出し動作にブレーキがかかるとともに、テープのミシン目は複数本の適当なブレードに切断が補助され、粘着テープがミシン目より切断されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−113414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたテープディスペンサーに使用される粘着テープでは、一定の間隔毎に粘着テープの幅方向にミシン目が形成されている。このようなミシン目が形成されていると、粘着テープが所望の長さに引っ張り出される際に、途中のミシン目から切断されるおそれがある。また、一定の間隔毎に粘着テープの幅方向にミシン目が形成されていると、ミシン目が形成された一定の間隔に対応する長さ毎でしか使用することができない。なお、ミシン目が形成される間隔を短くすることで所望の長さで切断することができるようになるが、より強度が落ちるため、途中の長さで切断されやすくなってしまう。
【0006】
さらに、一定の間隔毎にミシン目が形成された粘着テープでは、粘着テープの側面部にも切り込みが形成されているため、この部分から幅方向に切断されやすくなっている。そのため、例えば、この粘着テープを使用して梱包した場合、搬送中に外力が加わることによって粘着テープが切断されるおそれもある。また、上記特許文献1に開示されたテープディスペンサーでは、一定の間隔毎に粘着テープの幅方向にミシン目が形成され粘着テープに対しては、ミシン目が形成された一定の間隔に対応する長さ毎でしか切断することができず、使用者の所望の長さに切断することが不可能となる。さらに、一定の間隔毎に粘着テープの幅方向にミシン目が形成された専用の粘着テープを使用する必要があり、汎用性に乏しいものとなっている。
【0007】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべく完成されたものであって、ディスペンサー等の粘着テープ破断器具において、刃物を用いることなく粘着テープを切断するために、粘着テープに所定のスリットを形成する機構を備え、また、形成されたスリットに当接するように専用の凸状の破断部を設けることで、この破断部に粘着テープの破断部を押圧させることで、切断ではなく破断させて粘着テープの分断を行なうことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の粘着テープホルダは、所定幅を有する長尺の基材の少なくとも一方の面に粘着性材料が塗布された粘着テープを巻回した粘着テープ巻回体が回転自在に保持されるテープ保持部と、前記粘着テープ巻回体から引き出した前記粘着テープを分断する分断手段とを備えた粘着テープホルダであって、
前記分断手段は、前記粘着テープの幅方向に対して、少なくとも中央部分に凸状の頂部が形成された破断部を有しており、
前記テープ保持部と前記破断部との間には、前記粘着テープ巻回体から引き出された粘着テープの前記基材の中央部に、複数の所定の幅を有する破断溝を前記基材の長手方向に沿って、少なくとも一列形成するための破断溝形成機構を備えており、
前記粘着テープに形成される前記破断溝と前記分断手段に設けられる前記破断部とを当接させることで前記粘着テープの分断が行なわれることを特徴とする。
【0009】
また、第2の態様の粘着テープホルダは、第1の態様の粘着テープホルダにおいて、前記破断溝形成機構は、前記粘着テープをはさみ、一方に複数の歯が形成された破断溝形成ローラと、他方に、前記粘着テープを支える支持ローラとを有し、
前記粘着テープが前記破断溝形成機構を通過するときに、前記破断溝形成ローラにより前記粘着テープのいずれか一方側の面から前記破断溝が形成されることを特徴とする。
【0010】
また、第3の態様の粘着テープホルダは、第1の粘着テープホルダにおいて、前記破断溝は非貫通であることを特徴とする。
【0011】
また、第4の態様の粘着テープホルダは、第1又は第2の態様の粘着テープホルダにおいて、前記破断溝形成ローラの歯の頂部と前記支持ローラとの間に前記粘着テープの厚さより狭い隙間が形成されるように配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、第5の態様の粘着テープホルダは、第2又は第4の態様の粘着テープホルダにおいて、前記破断溝形成ローラの両側には、前記破断溝形成ローラの外径より小さい外径であり、前記粘着テープを前記支持ローラに押圧し、一時的に固定する破断溝形成補助ローラが設けらていることを特徴とする。
【0013】
また、第6の態様の粘着テープホルダは、第1〜第5のいずれかの態様の粘着テープホルダにおいて、前記破断部と前記破断溝形成機構との間には、前記粘着テープを送り、被貼付物に押圧する押圧ローラが設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、第7の態様の粘着テープホルダは、第1〜第6のいずれかの態様の粘着テープホルダにおいて、前記破断部は、曲線状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、第8の態様の粘着テープホルダは、第1〜第7のいずれかの態様の粘着テープホルダにおいて、前記破断部は、鈍角に形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、第9の態様の粘着テープホルダは、第1〜第8のいずれかの態様の粘着テープホルダにおいて、前記破断部は、凸状の前記頂部が複数形成されたことを特徴とする。
【0017】
また、第10の態様の粘着テープホルダは、第1〜第9のいずれかの態様の粘着テープホルダにおいて、前記破断部は、前記粘着テープの長手方向において、最も高く形成された頂点部を少なくとも1つ有し、前記頂点部から徐々に低くなるように形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、第11の態様の粘着テープホルダは、第1〜第10のいずれかの態様の粘着テープホルダにおいて、前記破断部の頂部は、前記粘着テープが引き出される方向に延設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記構成を備えることにより、以下の優れた効果を奏する。すなわち、第1の態様の粘着テープ破断器具によれば、刃物を使用しない破断部を設けているので、使用者の怪我を抑制することができる。また、この破断部に対応するように粘着テープに破断溝を形成する破断溝形成機構が備えられているので、汎用の粘着テープを使用しすることができる。さらに、粘着テープに形成された破断溝と粘着テープ破断器具の破断部とを当接させることで、粘着テープを容易に破断させ任意の長さに分断することができる。また、テープホルダの使用形態としては、例えば、粘着テープを切断するディスペンサーやテープカッターとすることもでき、また、粘着テープを直接被貼付物に貼り付けるテープ貼付器具として使用することもできる。なお、粘着テープの分断は、粘着テープに形成された破断溝を破断部の頂部に当接させた後、破断部に破断溝を食い込ませ、粘着テープの幅方向に切れ込みが形成されることで、切断されるようになる。
【0020】
また、第2の態様の粘着テープ破断器具によれば、破断溝形成機構を簡易に形成することができる。なお、破断溝形成ローラは、破断溝形成機構を通過する粘着テープの粘着性材料が塗布された側に設けてもよく、また、粘着テープの粘着性材料が塗布されていない基材側に設けることもできる。
【0021】
また、第3の態様の粘着テープ破断器具によれば、破断溝が形成された粘着テープの強度を高くすることができる。
【0022】
また、第4の態様の粘着テープホルダによれば、粘着テープに非貫通の破断溝を容易に形成することができる。
【0023】
また、第5の態様の粘着テープホルダによれば、破断溝形成ローラに破断溝系背補助ローラが設けられることで、破断溝をより容易に形成することができる。特に、破断溝を非貫通で形成する際に、所望の深さの破断溝を正確に形成することができる。
【0024】
また、第6の態様の粘着テープホルダによれば、押圧ローラが設けられることで、粘着テープを直接貼り付ける際に、貼り付けられる側に押し付けやすくなる。このとき、破断部に刃物が設けられていないので、この破断部を直接押圧して貼り付けることができ、そして、貼り付けた後に、この破断部により粘着テープを分断することができるようになる。、また、ディスペンサー等の粘着テープ切断器具として使用する場合は、押圧ローラにより粘着テープを円滑に送ることができ、分断を効率よく行なうことができるようになる。
【0025】
また、第7及び第8の態様の粘着テープホルダによれば、切断部が鋭角に尖らせていないので、より怪我等を抑制することができる。
【0026】
また、第9の態様の粘着テープホルダは、切断部に粘着テープがずれて当たっても、切込部に切断部を当てることができるので、粘着テープを確実に切断することができる。
【0027】
また、第10の態様の粘着テープホルダによれば、粘着テープをより切断しやすくなる。
【0028】
また、第11の態様の粘着テープホルダによれば、分断手段の破断部の構成の幅を広げることができる。特に、粘着テープ貼付器具として使用するとき、破断部を粘着テープが引きだされる方向に延設されているので、粘着テープを押圧する部分を平坦に形成でき、円滑に粘着テープを貼り付け、また、分断することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1Aは実施形態1の粘着テープホルダの側面図であり、図1B図1AのIB−IB線での断面図であり、図1Cは粘着テープ巻回体を省いた状態の図1Bに対応する断面図であり、図1D図1CのID部の拡大図である。
図2図2A図1AのIIA部の拡大図であり、図2Bは粘着テープの平面図であり、図2C図2BのIIC−IIC線での断面図である。
図3図3Aは実施形態1の粘着テープホルダの使用時の分断手段を拡大した斜視図であり、図3Bは分断手段の斜視図である。
図4図4Aは粘着テープを切断する工程を示した正面図であり、図4Bは切断後の正面図である。
図5図5Aは破断溝形成機構の他の例を示す図2Aに対応する図であり、図5Bは粘着テープの平面図であり、図5C図5BのVC−VC線での断面図である。
図6図6Aは他の破断部の構成を示した斜視図であり、図6B図6Aの一方から見た側面図であり、図6Cはさらに他の破断部の構成を示した斜視図であり、図6D図6Cの一方から見た側面図であり、図6Eはさらに他の破断部の構成を示した斜視図であり、図6F図6Eの一方から見た側面図であり、図6F及び図6Gはさらに他の破断部の構成を示した斜視図である。
図7図7Aは粘着テープの破断溝の他の構成を示した平面図であり、図7B図7AのVIIB−VIIB線での断面図であり、図7Cはさらに他の粘着テープの破断溝の構成を示した断面図であり、図7D図7CのVIID部の拡大断面図であり、図7Eは粘着テープのさらに他の構成を示した平面図であり、図7F図7EのVIIE−VIIE線での断面図である。
図8図8Aはさらに他の構成を示した粘着テープの平面図であり、図8B図8AのVIIIB−VIIIB線での断面図であり、図8Cはさらに他の構成を示した粘着テープの図2Cに対応した断面図である。
図9図9A図9Gはさらに他の形状の破断溝を示す平面図であり、図9H図9Jはさらに他の破断溝を示す断面図である。
図10図10Aは実施形態2の粘着テープホルダの側面図であり、図10Bは使用態様を示した側面図である。
図11図11Aは実施形態2の粘着テープホルダの使用時の分断手段を拡大した斜視図であり、図11Bは分断手段の斜視図である
図12図12Aは粘着テープを切断する工程を示した正面図であり、図12Bは切断後の正面図である。
図13図13Aは実施形態2のテープホルダに設けられる分断手段の他の構成の破断部を示す図11Aに対応する斜視図であり、図13B図13Aの分断手段を有するテープホルダの使用態様を示す一部拡大平面図である。
図14図14Aは変形例の粘着テープホルダを示す図1Cに対応する図であり、図14B図14AのXIVB部の拡大図であり、図14Cは粘着テープを通した状態を示す図14Bに対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための粘着テープホルダを例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも均しく適応し得るものである。
【0031】
[実施形態1]
まず、図1図4を参照して、本発明の実施形態1に係る粘着テープホルダ10を説明する。実施形態1の粘着テープホルダ(以下、テープホルダという。)10は、図1に示すような粘着テープを使用者の所望の長さに分断する、いわゆるディスペンサーの形状となっている。実施形態1のテープホルダ10は、テープホルダ本体11と、粘着テープ巻回体36が回転可能な一対の保持ローラ22、23上に保持されるテープ保持部21と、粘着テープ巻回体36から引き出された粘着テープ37を所望の長さに分断する分断手段32を有し、テープ保持部21と分断手段32との間に、粘着テープ巻回体36から引き出された粘着テープ37に破断溝40を形成する破断溝形成機構24が設けられている。また、粘着テープ37は、テープホルダ10のテープ保持部21に配置された粘着テープ巻回体36から引き出され、一方の保持ローラ22を介して破断溝形成機構24に通し、粘着テープ37の先端部分が分断手段32の破断部33上に配置させた状態となっている。
【0032】
そして、実施形態1のテープホルダ10を使用する場合、使用者が分断手段32上の粘着テープ37の先端部分をつまみ、所望の長さを引き出した後、引き出した部分の粘着テープ37に形成された破断溝40を分断手段32の破断部33に当接させることにより分断することで、使用する長さの粘着テープ37が得られるようになる。このとき、粘着テープ37が引き出されることにより、破断溝形成機構24を通過した粘着テープ37に破断溝40が形成されるようになっている。
【0033】
実施形態1のテープホルダ10に使用される粘着テープ巻回体36は、図1及び図2に示すように、所定の幅を有する長尺の基材38と、基材38に塗布された粘着性材料39(図2A参照)とで構成され、この長尺の粘着テープ37をロール状に巻回したものである。この粘着テープ巻回体36は、市販されているものを使用することができ、例えば、基材の材料としてセロハン、紙、樹脂製フィルム、自然分解性を有する有機物又は無機物のフィルム、ゴム、金属性フィルム、木材製フィルム等、テープ材として周知の材料を使用することができる。また、粘着性材料も、周知のもの、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、ブチルゴム等のゴム系の粘着材や、アクリル系の合成粘着材等を用いることができる。
【0034】
次に、実施形態1のテープホルダ10について説明する。テープホルダ10のテープホルダ本体11は、図1に示すように、上面12に開口13を有する箱状体となっており、テーブルや机等に載置される載置面となる矩形状の底面14と、この底面14の長尺辺から立設された一方の側面15及び他方の側面16と、底面14の短尺辺から立設された分断手段32を有する前面18と、前面18に対向する後面19を有している。そして、底面14と対向する上面12に形成された開口13は、粘着テープ巻回体36が挿入される部分となる。
【0035】
また、テープホルダ本体11の一方及び他方の側面15、16には、粘着テープ巻回体36が保持されるテープ保持部21が設けられている。このテープ保持部21は、例えば、一方及び他方の側面15、16の内側に、粘着テープ巻回体36を支持する一対の第1保持ローラ22及び第2保持ローラ23を設け、この第1及び第2保持ローラ22、23上に粘着テープ巻回体36を載置し、粘着テープ巻回体36の側面部分はテープホルダ本体11の一方及び他方の側面15、16に挟まれることで、粘着テープ巻回体36がテープ保持部21に保持されるようになされている。なお、実施形態1のテープホルダ本体11の両側面15、16には、粘着テープ巻回体36を支持する突起部17がそれぞれ設けられている。
【0036】
また、テープ保持部は、図1に示した構成に限られず、他の公知の構成とすることもできる。例えば、粘着テープ巻回体の中心部分に回転自在な芯材を取り付け、テープホルダの一方及び他方の側面の内側に溝部を形成し、この溝部と芯材に設けた軸部と組み合わせることで保持されるような構造とすることができる。このとき、テープ保持部は、テープホルダ本体の底面、両側面及び後面によって形成されるようになる。
【0037】
また、一方及び他方の側面15、16の分断手段32が設けられた側には、切り欠き部20がそれぞれ形成されている。この切り欠き部20は、粘着テープ37を引き出すときに、使用者が指等を挿し込む部分となる。なお、この切り欠き部20の形状は、図1に示した形状に限られず、粘着テープがつまみ出せる形状であれば任意の形状とすることができる。
【0038】
また、破断溝形成機構24は、図1及び図2Aに示すように、テープホルダ本体11のテープ保持部21と分断手段32との間に設けられており、粘着テープ巻回体36から引き出された粘着テープ37の基材38上に、破断溝40を形成するためのものである(図2B図2C参照)。なお、実施形態1では、破断溝40は粘着テープ37の粘着性材料39の塗布されていない側の基材38に形成される。破断溝形成機構24は、粘着テープ37の粘着性材料39の塗布されていない基材38側に設けられる破断溝形成ローラ25と、粘着テープ37を挟んでこの破断溝形成ローラ25と対向するように設けられる支持ローラ29とで構成されている。
【0039】
破断溝形成ローラ25は、粘着テープ37に形成する破断溝40の幅と略同じ幅を有する円盤状で形成されており、この幅に複数の破断溝形成歯27が設けられている。また、破断溝形成ローラ25の中心部分には、テープホルダ本体11の一方及び他方の側面15、16に取り付けられた第1軸体26が取り付けられている。そして、破断溝形成ローラ25はこの第1軸体26を軸に回転可能となっている。
【0040】
破断溝形成歯27は、図2Aに示すように先端28が尖った三角形状で形成されており、この先端28を粘着テープ37の基材38に押し当てることで、破断溝40が形成されるようになる。なお、この先端28の尖り具合は、図2Aに示した大きさに限定されず、より鋭角、例えば先端の角度を10°〜30°とすることもできる。また、図2Aに示すように、破断溝形成歯27を二等辺三角形でなく、先端が尖った形状の他の三角形状や多角形状としてもよい。
【0041】
また、支持ローラ29は、破断溝形成ローラ25の幅と略同じ幅かやや広い幅を有する円盤状で形成されている。支持ローラ29の中心部分には、テープホルダ本体11の一方及び他方の側面15、16に取り付けられた第2軸体30が取り付けられている。そして、支持ローラ29はこの第2軸体30を軸に回転可能となっている。
【0042】
そして、破断溝形成ローラ25の破断溝形成歯27の先端28と支持ローラ29の表面とが、一定の距離の隙間31を有するように取り付けられている。この隙間31は、破断溝形成歯27の先端28が、粘着テープ37の基材38に破断溝40を形成する際に、破断溝形成歯27の先端28が粘着テープ37の基材38を貫通しない距離となっている。このようにすることで、図2Cに示すように、粘着テープ37に形成される破断溝40は、非貫通の溝とすることができる。
【0043】
ここで、粘着テープに形成される破断溝について説明する。破断溝40は、図2B及び図2Cに示すように、基材38の中央部分に所定深さの非貫通孔で形成されている。この破断溝40は、平面視で矩形状に形成されており、長尺辺が基材38の幅方向と平行となるように形成されている。また、破断溝40の深さは、基材38を貫通しない程度の深さとなっている。このとき、切断しやすくするために、少なくとも基材の厚さの半分以上の深さとされていることが好ましい。
【0044】
また、破断溝40は、基材38の長尺方向に所定の間隔で連続して形成されている。この間隔は、できるだけ狭くすることで、使用者が粘着テープを所望の長さで切断することができるようになる。しかし、あまり間隔を狭くすると、粘着テープが引っ張られたときや、粘着テープを使用したときに強度が弱くなるので、破断溝の間隔は、1〜3mm程度とすることが好ましい。なお、この間隔は粘着テープの態様及び使用する状況により任意に変更することができる。例えば、箱の梱包に使用する場合は、粘着テープを使用する長さも長いため破断溝の間隔を広くしたものを用いることができる。一方、紙等の掲示に使用する場合は、粘着テープを短く切断できるように破断溝の間隔を狭くしたものを用いることができる。
【0045】
分断手段32は、テープホルダ本体11の前面18側に設けられており、粘着テープ巻回体36から引き出された粘着テープ37を所望の長さで分断する部分である。この分断手段32には、粘着テープ37を分断するための破断部33が設けられいる。破断部33は、図3に示すように、粘着テープ37の幅方向に対して、中央部分に凸状の頂部34が形成されており、この頂部34を含めて曲線状に形成されている。そして、この頂部34の角度が鈍角に形成されているため、緩やかな山状となっている。なお、粘着テープ37が分断される部分は、この破断部33の先端側35、すなわち、テープ保持部21から最も離れた部分となる。
【0046】
次に、粘着テープの分断について説明する。粘着テープ37を分断する場合は、図4Aに示すように、まず、粘着テープ巻回体36から所望の長さが引き出され、破断溝形成機構24により破断溝40が形成された粘着テープ37を分断手段32の破断部33に押し当てる。このとき、破断部33の頂部34と粘着テープ37の破断溝40とが対応するようになる。その後、粘着テープ37を破断部33に対して下方に若しくは斜め下方に引っ張ることで、粘着テープ37の非貫通の破断溝40が破断部33の頂部34により破断される。そして、粘着テープ37の破断溝40が破断されることで、破断溝40から発生した切れ込み41が粘着テープ37の幅方向に広がり、粘着テープ37の全体が分断される(図4B参照)。
【0047】
このように、実施形態1のテープホルダ10によれば、粘着テープを引き出す際に形成される破断溝と、分断手段の破断部により容易に粘着テープを分断することができるようになる。また、破断部は、従来例のような鋭利なもの、例えば、刃物や突起物、鋸歯等ではないので、安全に使用でき、使用者の怪我を抑制することができる。なお、分断の際に、破断部の頂部と粘着テープの破断溝とが対応していない位置で押し当てても、分断時に粘着テープが引っ張られ、破断部上を粘着テープがずれて移動することで、破断部の頂部と破断溝との位置が対応するようになるため、容易に切断ができるようになる。また、破断溝は引き出しながら形成されるため、専用の粘着テープを必要とせず、市販されている粘着テープを使用することができ、汎用性の高いテープホルダを得ることができる。
【0048】
なお、実施形態1のテープホルダの破断溝形成機構24では、図1及び図2で示すように破断溝40は粘着テープ37の粘着性材料39が塗布されていない側から形成する場合を説明したが、これに限らず、粘着テープ37の粘着性材料39が塗布された側から形成するようにしてもよい。例えば、図5に示すように、テープホルダ10'の破断溝形成機構24'の破断溝形成ローラ25'を粘着テープ37'の粘着性材料39'が塗布された下側に配置し、支持ローラ29'を破断溝形成ローラ25'に対向するように粘着テープ37'の上側に配置する。
【0049】
このようにすることで、粘着テープ37'の粘着性材料39'が塗布された側から破断溝40'を形成することができるようになる(図5B図5C参照)。このとき、破断溝形成ローラ25'の破断溝形成歯27'の先端28'は粘着テープ37'の粘着性材料39'を超えて基材38'に破断溝40'を形成するようになる。このとき、破断溝形成歯27'の先端28'と支持ローラ29'との隙間31'は、実施形態1の隙間31(図1D図2A参照)よりも狭くなる。
【0050】
また、分断手段に設けられる破断部の形状は、実施形態1で示したものに限られず、例えば、図6A図6Hに示すような分断手段32a〜32eの形状とすることもできる。図6A及び図6Bに示した分断手段32aの破断部33aでは、破断部33aの一箇所が最も高くなる頂点部42aを有するように形成されている。そして、粘着テープ37の長手方向に対して、テープ保持部21から最も離れた位置に頂点部42aが形成され、テープ保持部21に近づくにつれて徐々に低くなるように形成されている。また、図6C及び図6Dに示す分断手段32bの破断部33bは、破断部33bの最も高くなる頂点部42bが中央部に形成され、さらに、図6E及び図6Fに示す分断手段32cの破断部33cは、破断部33cの最も高くなる頂点部42cがテープ保持部21に最も近接した位置に形成されている。このようにすることで、粘着テープの破断溝にかかる応力を集中させることができるので、小さな力で粘着テープを切断することができる。
【0051】
また、破断部33の頂部34は1つに限らず、図6Gに示す分断手段32dの破断部33d及び図6Hに示す分断手段32eの破断部33eのように複数の頂部34'が形成されるようにしてもよい。このようにすることで、粘着テープが斜めに引き出されたとしても、粘着テープの破断溝と破断部の頂部とが対応するようにすることができ、確実に切断することができるようになる。
【0052】
一方、粘着テープ37の形状についても実施形態1で示したものに限られず、例えば、図7Aに示したような破断溝40aを有する粘着テープ37aとしてもよい。この破断溝40aでは、基材38aにおいて中央の深い破断溝40aaの外側に浅い破断溝40abが形成されている。このような形状とすることで、深い破断溝40aaから形成された切り込みを浅い破断溝40abにより誘導させることで、粘着テープ37aを直線的に切断しやすくなる。
【0053】
また、粘着テープの他の構成としては、図7C及び図7Dに示すような破断溝40より小さいサブ破断溝43bを形成することもできる。このサブ破断溝43bは、破断溝40の補助的な役割のものとして、基材38bの幅方向に対して破断溝40と並行した位置の両側に形成されている。そのため、粘着テープ37bが破断部33に対して斜めに押し当てられ、破断溝40に的確に当接できない場合でも、サブ破断溝43bに破断部33が押し当てられることで、確実に切断を行うことができるようになる。なお、図7A及び図7Bに示した破断溝40aや図7C及び図7Dに示したサブ破断溝43bは、これらの破断溝又はサブ破断溝用の複数の破断溝形成歯が並行に形成された破断溝形成ローラーを用いることで容易に形成することができる。
【0054】
また、図7E及び図7Fに示すように、粘着テープ37cの粘着性材料39cを基材38の長手方向の端部を除いて塗布するようにしてもよい。このように粘着テープ37cに非塗布部44cを設けることで、粘着テープを使用した後に剥がしやすくすることができる。
【0055】
さらにまた、図8A及び図8Bに示すように粘着テープ37dの基材38dに複数列、例えば2列の破断溝40dを形成するようにしてもよい。このようにすることで、破断部の頂部を確実に粘着テープの破断溝に当接させることができるようになる。
【0056】
また、実施形態の粘着テープでは、破断溝40を非貫通孔のものを説明したが、図8Cに示すように貫通孔からなる破断溝40eを基材38eに形成した粘着テープ37eとしてもよい。貫通孔とすることで、強度がやや低くなるが、形成する破断溝の大きさを小さくすることで補うことができる。また、貫通孔とすることで、切断が行ないやすくなるので、破断溝を小さくしても問題なく切断を行うことができる。
【0057】
さらに、粘着テープに形成される破断溝の平面視の形状は、上記実施形態で説明したものに限られず、他の形状とすることもできる。例えば、図9Aに示す矩形状の破断溝40fや、図9Bに示す長方円形の破断溝40g、図9Cに示す楕円形状の破断溝40h、図9Dに示す矩形状の各角部を面取りした形状の破断溝40i、図9Eに示すひし形の破断溝40j、図9Fに示す台形状の破断溝40k、図9Gに示す楕円状に切れ込みが入った形状の破断溝40m等とすることができる。また、破断溝の深さの断面視の形状についても、他の形状とすることができる。例えば、図9Hに示す湾曲して凹んだ形状の破断溝40nや、図9Iに示す段状の破断溝40o、図9Jに示す上述した図8Cの貫通孔の破断溝40eにV字状の非貫通孔のサブ破断溝43pを組み合わせた形状の破断溝40p等がある。このようにすることで、破断溝の設計の幅を広げることができると共に、粘着テープの使用する態様に最適な破断溝を形成することができるようになる。なお、このような破断溝の形成については、破断溝形成機構の破断溝形成ローラの破断溝形成歯の形状を変更することで容易に形成することができる。
【0058】
[実施形態2]
次に、図10図12を参照して、実施形態2にかかるテープホルダ10Aについて説明する。実施形態2のテープホルダ10Aは、図10に示すように、粘着テープを紙等の被貼付物に直接貼り付ける、いわゆるテープ貼付器具の形状となっている。なお、実施形態1のテープホルダ10と共通する構成については、共通の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0059】
実施形態2のテープホルダ10Aは、図10Aに示ように、テープホルダ本体11Aと、このテープホルダ本体11A内に粘着テープ巻回体36が回転自在に保持されるテープ保持部21Aと、粘着テープ巻回体36から引き出された粘着テープ37が分断される分断手段32Aとを有し、テープ保持部21Aと分断手段32Aとの間に、粘着テープ37に破断溝40を形成する破断溝形成機構24Aが設けられている。また、粘着テープ37は、テープホルダ10Aのテープ保持部21Aに配置された粘着テープ巻回体36から引き出され、送りローラ45を介して破断溝形成機構24に通し、粘着テープ37の先端部分を押圧ローラ46を介して分断手段32の破断部33に配置させた状態となっている。
【0060】
実施形態2のテープホルダ10Aを使用する場合、使用者はテープホルダ10Aを把持し、被貼付物に対して分断手段32から押圧ローラ46にかけて露出して配置されている粘着テープ37を押し当て、テープホルダ10Aを移動させ、所望の長さを引き出した後、引き出した部分の粘着テープ37に形成された破断溝40と分断手段32の破断部33とを当接させることにより分断することで、粘着テープ37を貼り付けることができる(図10B参照)。このとき、粘着テープ37が引き出されることにより、破断溝形成機構24を通過することによって粘着テープ37に破断溝40が形成されるようになっている。なお、粘着テープ巻回体36及び粘着テープ37並びに粘着テープ37に形成される破断溝40については、実施形態1のものと共通するので詳細な説明は省略する。
【0061】
次に、テープホルダ本体11Aについて説明する。テープホルダ本体11Aは、図10に示すように、内部空間47を有する直方体状の箱体で形成されており、貼り付けるために粘着テープ37が露出される部分に開口48が設けられている。テープホルダ本体11Aの内部空間47には、粘着テープ巻回体36が保持されるテープ保持部21Aと、粘着テープ37に破断溝40を形成する破断溝形成機構24Aと、を有しており、テープホルダ本体11Aの開口48が設けられた部分には、分断手段32Aが設けられている。また、テープ保持部21Aと破断溝形成機構24Aとの間には送りローラ45が設けられ、破断溝形成機構24Aと分断手段32Aとの間には押圧ローラ46が設けられている。
【0062】
テープ保持部21Aは、粘着テープ巻回体36が保持される部分であり、粘着テープ巻回体36の中央部分に芯材49を設け、この芯材49を軸にテープホルダ本体11A内に回動自在に取り付けることで、粘着テープ巻回体36が保持されるようになっている。なお、芯材49は一方には回転するが他方には回転しないような構成のものとすることが好ましい。
【0063】
破断溝形成機構24Aは、実施形態1で説明したものと構成は共通し、粘着テープ37を挟み粘着テープ37の粘着性材料39が塗布されていない側に基材38に破断溝40を形成する破断溝形成ローラ25を設け、破断溝形成ローラ25に対向するように支持ローラ29が設けられている。なお、詳細については実施形態1の破断溝形成機構と共通するので説明は省略する。
【0064】
分断手段32Aは、図11に示すように、テープホルダ本体11Aの開口48側に設けられており、粘着テープ巻回体36から引き出された粘着テープ37を所望の長さで分断する部分であり、分断手段32Aには、粘着テープ37を分断するための破断部33が設けられいる。なお、破断部の構成については、実施形態1の破断部33と共通する。しかし、実施形態2の分断手段32Aでは、破断部33の頂部34が粘着テープ37の基材38側に押し当てられるようになる。
【0065】
送りローラ45は、図10に示すように、粘着テープ37をテープ保持部21から破断溝形成機構24に円滑に送るために設けられている。この送りローラ45が設けられていることで、粘着テープ37の軌道を屈曲させて破断溝形成機構24に送ることができるため、適切な角度で粘着テープ37を破断溝形成機構24に送ることができる。
【0066】
また、押圧ローラ46は、図10に示すように、粘着テープ37を被貼付物に貼り付ける部分である。すなわち、粘着テープ37を押圧ローラ46で押圧し、且つ、押圧ローラ46が回動することで円滑に粘着テープ37を被貼付物に貼り付けることができるようになる。
【0067】
次に、粘着テープの分断について説明する。実施形態2のテープホルダ10Aでは、実施形態1のテープホルダ10と異なり、破断部33が粘着テープ37の粘着性材料39の塗布されていない基材38側に押し当てられるようになり、また、分断には粘着テープを引っ張るのではなく、貼り付けられた粘着テープに対してテープホルダを操作することがで分断を行なうようになる。しかし、破断の仕方は実施形態1と同様となり、図12Aに示すように、破断溝40が形成された粘着テープ37が分断手段32の破断部33に押し当てる。その後、テープホルダ10Aを操作し、破断部33を粘着テープ37に対して貼り付けた方向と反対側に引くことで、粘着テープ37の非貫通の破断溝40が破断部33の頂部34により破断される。そして、破断溝40が破断されることで、破断溝40から発生した切れ込み41が粘着テープ37の幅方向に広がり、粘着テープ37の全体が分断される(図12B参照)。
【0068】
なお、実施形態2のテープホルダの破断部については、図11に示した形状に限らず、実施形態1で説明した形状とすることができる。さらに、破断部の形状を図13A及び図13Bに示すように、分断手段32Bに設けられる破断部33Bの頂部34Bを粘着テープ37が引き出される方向に延設させるようにしてもよい。このようにすることで、粘着テープを押圧する部分を平坦に形成でき、円滑に粘着テープを貼り付け、その後、粘着テープを分断することができるようになる。なお、このような粘着テープが引き出される方向に延設された頂部を有する破断部は、実施形態1で説明したテープホルダにも適用してもよい。
【0069】
また、本発明のテープホルダは、実施形態1で説明したディスペンサーや実施形態2で説明したテープ貼付器具に限らず、テープを送り出す機構を有し、上述した破断溝形成機構と分断手段の破断部を備えたものであれば、テープカッターやラインマーカー等として使用することができる。
【0070】
[変形例]
また、上記実施形態1及び2の破断溝形成機構24、24Aでは、破断溝形成ローラ25のみを用いて破断溝40を形成しているが、より正確、かつ、確実に破断溝を形成するために、図14に示すテープホルダ10Bのように、破断溝形成機構24Bには、粘着テープ37に破断溝40を形成する際に、粘着テープ37を支持ローラ29Bに押し当てることで一時的に固定する補助ローラ50を破断溝形成ローラ25の両側に設けることもできる。
【0071】
この一対の補助ローラ50は、それぞれ破断溝形成ローラ25の破断溝形成歯27の先端28の径より小さい径で形成されており、粘着テープ37と接する面は所定の幅を有する平面となっている。そのため、図14Bに示しように、支持ローラ29Bと破断溝形成ローラ25の破断溝形成歯27の先端28との隙間31よりも、支持ローラ29Bと補助ローラ50との隙間31Bが広くなっている。また、破断溝形成ローラ25と補助ローラ50との間には、所定の距離離間させた離間幅51が設けられている。この離間幅51が設けられることで、破断溝を形成する際に破断溝形成歯により押し広げられる肉厚を逃がすことができるようになる。
【0072】
そして、粘着テープ37に破断溝40を形成する場合は、図14Cに示すように、破断溝形成ローラ25と補助ローラ50とが粘着テープ37に当接したとき、補助ローラ50が粘着テープ37を押圧し、粘着テープ37を一時的に固定した後、破断溝形成ローラ25の破断溝形成歯27の先端28が粘着テープ37に入り込み、破断溝40が形成されるようになる。なお、変形例の支持ローラ29Bの幅は、設けられた補助ローラ50と対応するために、実施形態1の支持ローラ29の幅より広く形成されている。
【0073】
このようにすることで、破断溝の形成が確実になるとともに、破断溝の深さを正確に形成することができるようになる。特に、破断溝を非貫通で形成する際に、貫通することを抑制することができるようになる。
【符号の説明】
【0074】
10、10A、10B:粘着テープホルダ(テープホルダ)
11、11A:テープホルダ本体
12:上面
13:開口
14:底面
15:一方の側面
16:他方の側面
17:突起部
18:前面
19:後面
20:切り欠き部
21、21A:テープ保持部
22:第1保持ローラ
23:第2保持ローラ
24、24'、24A、24B:破断溝形成機構
25、25':破断溝形成ローラ
26:第1軸体
27、27':破断溝形成歯
28、28':先端
29、29'、29B:支持ローラ
30:第2軸体
31、31'、31B:隙間
32、32A:分断手段
33、33a〜33e、33A:破断部
34、34A:頂部
35:先端側
36:粘着テープ巻回体
37、37'、37a〜37e:粘着テープ
38、38'、38a、38b、38d、38e:基材
39、39'、39c:粘着性材料
40、40'、40a(40aa、40ab)、40d〜40k、40m〜40p:破断溝
41:切れ込み
42a、42b、42c:頂点部
43b、43p:サブ破断溝
44c:非塗布部
45:送りローラ
46:押圧ローラ
47:内部空間
48:開口
49:芯材
50:補助ローラ
51:離間幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14