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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-151215(P2015-151215A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】ボビンセット装置及び糸巻取機
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/04 20060101AFI20150728BHJP
【FI】
   B65H67/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-24654(P2014-24654)
(22)【出願日】2014年2月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112BA03
3F112CA07
3F112EA04
3F112EB03
3F112GB01
3F112RA01
3F112TA01
(57)【要約】
【課題】ボビンの供給を良好に行うことができるボビンセット装置及び糸巻取機を提供する。
【解決手段】玉揚装置60は、紡績糸10を巻き付けるためのボビン48を保持し、ボビン48を目標位置に供給する動作を行うボビン保持部52と、目標位置に供給動作の障害となる障害物が存在する場合に、ボビン保持部52による供給動作を停止させる玉揚装置制御部31と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を巻き付けるためのボビンを保持し、当該ボビンを目標位置に供給する供給動作を行うボビン保持部と、
前記目標位置に前記供給動作の障害となる障害物が存在する場合に、前記ボビン保持部による前記供給動作を停止させる制御部と、を備える、ボビンセット装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記目標位置に前記障害物が存在しない場合に、前記ボビン保持部によって前記ボビンを前記目標位置に供給させる、請求項1記載のボビンセット装置。
【請求項3】
前記障害物を検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部により検知された結果に基づいて、前記目標位置における前記障害物の有無を判断する、請求項1又は2記載のボビンセット装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ボビンに前記糸が巻き取られたパッケージを保持するパッケージ保持部から前記パッケージを外す動作を行って所定時間経過した後に、前記目標位置における前記障害物の有無を判断する、請求項3記載のボビンセット装置。
【請求項5】
前記ボビンに前記糸が巻き取られたパッケージを支持する支持部と、
前記支持部を、待機位置と、前記パッケージを受け取る第1位置と、当該第1位置にて受け取った前記パッケージを引き渡す第2位置との間で移動させる移動部と、を備え、
前記制御部は、前記移動部が前記支持部を前記第1位置から前記待機位置に移動させた後に、前記目標位置における前記障害物の有無を判断する、請求項3記載のボビンセット装置。
【請求項6】
前記目標位置に前記障害物が存在する場合に、異常が発生していることを報知する報知部を備える、請求項1〜5のいずれか一項記載のボビンセット装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のボビンセット装置と、
前記ボビンに前記糸を巻き付けてパッケージをそれぞれが形成する複数の糸巻取ユニットと、
を備え、
前記複数の糸巻取ユニットのそれぞれは、前記パッケージを保持するパッケージ保持部を備え、
前記目標位置は、前記パッケージ保持部に前記ボビンが保持される位置である、糸巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボビンセット装置及び糸巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2012−086923号公報)には、ボビンを保持可能なクレードルに対しボビンを供給する供給機構と、ボビンに糸が巻き付けられて満巻になったパッケージをクレードルから排出部まで移動させる玉揚機構と、を有する玉揚装置を備えた構成の糸巻取機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−086923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
玉揚装置では、玉揚機構によってパッケージをクレードルから排出部まで移動させる際、例えばパッケージのボビンがクレードルに嵌り込み過ぎているなどの不具合により、パッケージが排出部に排出されず、クレードルにパッケージが残る状態が生じることがある。この状態において、供給機構がクレードルに対してボビンを供給しようとすると、供給機構とパッケージとが接触し、クレードルに残ったパッケージを傷つけたり、供給機構が破損したりするおそれがある。
【0005】
本発明は、ボビンの供給を良好に行うことができるボビンセット装置及び糸巻取機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るボビンセット装置は、糸を巻き付けるためのボビンを保持し、当該ボビンを目標位置に供給する供給動作を行うボビン保持部と、目標位置に供給動作の障害となる障害物が存在する場合に、ボビン保持部による供給動作を停止させる制御部と、を備える。
【0007】
このボビンセット装置では、例えば、制御部は、目標位置である例えばクレードルに障害物となるパッケージが存在する場合、すなわちクレードルがボビンを受け入れ不可能な状態にある場合には、ボビン保持部による供給動作を停止させる。これにより、ボビンセット装置では、ボビン保持部がボビンの供給動作を行おうとしたときに、ボビン保持部と障害物(パッケージ)とが接触することを防止できる。したがって、ボビンセット装置では、ボビンをクレードルに供給する際に、パッケージの破損及び/又はボビン保持部の破損を防止できる。その結果、ボビンセット装置は、ボビンの供給を良好に行うことができる。
【0008】
一実施形態においては、制御部は、目標位置に障害物が存在しない場合に、ボビン保持部によってボビンを目標位置に供給させてもよい。このように、目標位置に障害物が存在しない場合、すなわち例えばクレードルがボビンを受け入れ可能な状態にある場合にボビンを供給するように制御部がボビン保持部を制御することにより、ボビン保持部は、障害物に接触することなくボビンを目標位置に供給できる。したがって、ボビンセット装置は、ボビンの良好な供給を実現できる。
【0009】
一実施形態においては、ボビンセット装置は、障害物を検知する検知部を備え、制御部は、検知部により検知された結果に基づいて、目標位置における障害物の有無を判断してもよい。これにより、制御部は、目標位置における障害物の有無を精度良く判断でき、ボビン保持部の制御をより的確に行うことができる。したがって、ボビンセット装置では、ボビン保持部と障害物との接触をより一層防止することができる。
【0010】
一実施形態においては、制御部は、ボビンに糸が巻き取られたパッケージを保持するパッケージ保持部からパッケージを外す動作を行って所定時間経過した後に、目標位置における障害物の有無を判断してもよい。例えば、パッケージをパッケージ保持部から外す動作を行った直後に障害物の有無の判断を行うと、パッケージがパッケージ保持部から取り外されているにも関わらず、そのパッケージを障害物であると誤判断するおそれがある。そこで、制御部は、パッケージ保持部からパッケージを外す動作を行って所定時間経過した後に障害物の有無を判断する。これにより、制御部が、取り外された直後のパッケージを障害物であると誤判断することを抑制できる。
【0011】
一実施形態においては、ボビンセット装置は、ボビンに糸が巻き取られたパッケージを支持する支持部と、支持部を、待機位置と、パッケージを受け取る第1位置と、当該第1位置にて受け取ったパッケージを引き渡す第2位置との間で移動させる移動部と、を備え、制御部は、移動部が支持部を第1位置から待機位置に移動させた後に、目標位置における障害物の有無を判断してもよい。これにより、制御部は、支持部が待機位置に位置した後に障害物の有無を判断するため、支持部に支持されたパッケージを障害物であると誤判断することを抑制できる。
【0012】
一実施形態においては、ボビンセット装置は、目標位置に障害物が存在する場合に、異常が発生していることを報知する報知部を備えていてもよい。これにより、ボビンセット装置は、ボビンの供給動作を行うことができない異常事態が発生していることを作業者などに知らせることができる。
【0013】
本発明の他側面に係る糸巻取機は、上記ボビンセット装置と、ボビンに糸を巻き付けてパッケージをそれぞれが形成する複数の糸巻取ユニットと、を備え、複数の糸巻取ユニットのそれぞれは、パッケージを保持するパッケージ保持部を備え、目標位置は、パッケージ保持部にボビンが保持される位置である。
【0014】
この糸巻取機は、上記ボビンセット装置を備え、ボビンセット装置の制御部は、ボビンを供給する目標位置に供給動作の障害となる障害物が存在する場合に、ボビン保持部による供給動作を停止させる。これにより、ボビンセット装置では、ボビン保持部がボビンの供給動作を行おうとしたときに、ボビン保持部と障害物(パッケージ)とが接触することを防止できる。したがって、ボビンセット装置を備える糸巻取機では、ボビンをクレードルに供給する際に、パッケージの破損及び/又はボビン保持部の破損を防止できる。その結果、糸巻取機は、ボビンの供給を良好に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ボビンの供給を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る紡績機の正面図である。
図2図1の紡績機に含まれる紡績ユニットの側面図である。
図3】玉揚装置の構成を示すブロック図である。
図4】パッケージ支部部が待機位置にある状態を示す側面図である。
図5】パッケージ支部部が第1位置にある状態を示す側面図である。
図6】パッケージ支持部が第2位置にある状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。本明細書において「上流」及び「下流」とは、紡績時での紡績糸(糸)10の走行方向における上流及び下流を意味する。
【0018】
図1及び図2に示すように、紡績機(糸巻取機)1は、複数の紡績ユニット2と、糸継台車3と、玉揚台車4と、紡績ユニット2の各部において吸引流を発生させるためのエアー吸引源及び/又は旋回流などを発生させるためのエアー供給源などが収容されているブロアボックス5Aと、紡績ユニット2の各部に動力を供給するための原動機などが収容されている原動機ボックス5Bと、紡績機1における各種制御処理を実行する機台制御装置30(図3参照)と、を備えている。
【0019】
最初に、紡績ユニット2について説明する。複数の紡績ユニット2は、一列に配列されており、各紡績ユニット2は、紡績糸10を生成してパッケージ45に巻き取る。各紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に、ドラフト装置7と、紡績装置9と、糸貯留装置12と、巻取装置13と、を主要な構成として備えている。各紡績ユニット2は、当該紡績ユニット2における各種制御処理を実行するユニットコントローラ(図示せず)をそれぞれ備えている。
【0020】
ドラフト装置7は、紡績機1が備えているフレーム6の上端近傍に設けられている。紡績装置9は、ドラフト装置7から送られてくる繊維束8を紡績する。紡績装置9で生成された紡績糸10は、糸貯留ローラ21を経由して巻取装置13によって巻き取られる。これにより、パッケージ45が形成される。以下では、ボビン48と、当該ボビン48に巻かれた紡績糸10の糸層と、を合わせたものをパッケージ45と呼ぶ。
【0021】
ドラフト装置7は、スライバ15を延伸して繊維束8にする。このドラフト装置7は、バックローラ対16、サードローラ対17、エプロンベルト18を装備したミドルローラ対19、及びフロントローラ対20の4つのローラ対を有している。各ローラ対16,17,19,20のボトムローラは、原動機ボックス5Bからの動力又はそれぞれの紡績ユニット2に配置された図示しない電動モータの動力により駆動される。各ローラ対16,17,19,20は、回転速度を異ならせて駆動される。この結果、上流側から供給されたスライバ15が延伸されて繊維束8となり、下流側の紡績装置9に送られる。
【0022】
紡績装置9は、旋回流を利用して繊維束8に撚りを与え、紡績糸10を生成する。紡績装置9は、詳細な説明や図示は省略するが、繊維案内部と、旋回流発生ノズルと、中空ガイド軸体と、を備えている。繊維案内部は、ドラフト装置7から送られた繊維束8を、紡績装置9の内部に形成される紡績室に案内する。旋回流発生ノズルは、繊維束8の経路の周囲に配置され、紡績室内に旋回流を発生させる。この旋回流によって、紡績室内の繊維束8の繊維端が反転され旋回する。中空ガイド軸体は、紡績された紡績糸10を紡績室から紡績装置9の外部へと案内する。紡績装置9の駆動及び停止は、ユニットコントローラによって制御されている。
【0023】
糸貯留装置12は、紡績装置9から送られてくる紡績糸10を一時的に貯留する。糸貯留装置12は、主に、糸貯留ローラ21と、糸係合部材22と、上流側ガイド23と、電動モータ25と、を備えている。
【0024】
糸貯留ローラ21は、その外周面に紡績糸10を巻き付けることにより紡績糸10を貯留する。糸貯留ローラ21は、ユニットコントローラによって制御される電動モータ25によって一定の回転速度で回転駆動される。糸係合部材22は、糸貯留ローラ21に対して相対回転可能に支持されている。更に糸係合部材22は、例えば磁気的手段などからなるトルク発生手段により、糸係合部材22が糸貯留ローラ21に対し相対回転するのに抗するトルク(抵抗トルク)が発生するように構成されている。
【0025】
糸貯留装置12において紡績糸10が糸係合部材22に係合している場合、紡績糸10に掛かる張力が抵抗トルクよりも強ければ、糸係合部材22は糸貯留ローラ21と独立に回転して、紡績糸10を糸貯留ローラ21から解舒する。反対に、紡績糸10に掛かる張力が抵抗トルクよりも弱ければ、糸係合部材22は糸貯留ローラ21と一体的に回転し、紡績糸10を糸貯留ローラ21に巻き付ける。このような糸貯留装置12の動作により、紡績糸10の弛みを解消して適切な張力を付与しながら、紡績装置9から紡績糸10を連続的に引き出すことができる。
【0026】
上流側ガイド23は、糸貯留ローラ21のやや上流側に配置されている。上流側ガイド23は、糸貯留ローラ21の外周面に対して紡績糸10を適切に案内する。更に、上流側ガイド23は、紡績装置9から伝播してくる紡績糸10の撚りが上流側ガイド23よりも下流側に伝わることを防止する。
【0027】
紡績機1のフレーム6の前面側(作業者通路側)であって紡績装置9と糸貯留装置12との間の位置には、ヤーンクリアラ49が設けられている。ヤーンクリアラ49は、走行する紡績糸10の太さ及び/又は紡績糸10に含まれる異物の有無を監視している。ヤーンクリアラ49は、紡績糸10の糸欠陥を検出した場合に、糸欠陥検出信号をユニットコントローラへ送信する。
【0028】
ユニットコントローラは、糸欠陥検出信号を受信すると、直ちに、紡績装置9の旋回流発生ノズルからの圧縮空気の噴出を停止させる。これにより、旋回流が停止して繊維束8の加撚が停止すると共に、紡績装置9への繊維束8の送り出しも停止する。そして、紡績装置9において繊維の連続状態が分断され、紡績糸10が切断される。その後、ユニットコントローラは、更にドラフト装置7などを停止させる。
【0029】
ユニットコントローラは、糸欠陥検出信号を機台制御装置30へ送信する。糸欠陥検出信号を受信した機台制御装置30は、後述する糸継台車3に制御信号を送り、糸継台車3を当該紡績ユニット2の前まで走行させる。その後、ユニットコントローラは、紡績装置9などを再び作動させ、糸継台車3に糸継動作を行わせて、紡績ユニット2に巻取りを再開させる。このとき、糸貯留装置12は、紡績装置9が紡績を再開してから巻取りが再開されるまでの間、紡績装置9から連続的に送出される紡績糸10を糸貯留ローラ21に滞留させて紡績糸10の弛みを取る。
【0030】
巻取装置13は、糸貯留装置12から供給される紡績糸10をボビン48に巻き付け、パッケージ45を形成する。図2に示すように、巻取装置13は、クレードル(パッケージ保持部)70と、巻取ドラム74と、トラバースガイド76と、を有している。
【0031】
クレードル70は、支軸73を中心として回動可能なクレードルアーム71と、ボビン48の両端部を保持すると共に、ボビン48を回転可能に保持するボビンホルダ72と、を有している。巻取ドラム74は、ボビン48又はパッケージ45の外周面に接触した状態で回転する。トラバースガイド76は、糸貯留装置12から供給される紡績糸10に係合可能に設けられている。
【0032】
巻取装置13は、トラバースガイド76を駆動手段(図示せず)によって往復動させながら巻取ドラム74を電動モータ(図示せず)によって駆動することで、巻取ドラム74に接触するボビン48又はパッケージ45を回転させ、紡績糸10を綾振りしつつボビン48又はパッケージ45に巻き取る。
【0033】
クレードルアーム71には図略のバネが取り付けられている。このバネは、起立方向の付勢力をクレードルアーム71に常時加えている。したがって、パッケージ45が巻き太るにつれて、クレードルアーム71は、巻取装置13の正面側に倒れ、パッケージ45の軸の位置が前方へ移動する。クレードルアーム71には、図示しない駆動部(例えば、シリンダ)が連結されている。ユニットコントローラの指令によって、クレードルアーム71を巻取ドラム74から離れる方向及び巻取ドラム74に近づく方向に積極的に回動させるように制御し得る。このような構成により、パッケージ45が満巻となったときは、クレードルアーム71を巻取ドラム74から離れる方向に回動させて、パッケージ45に駆動力を伝達させないようにできる。なお、パッケージ45が巻取ドラム74から離間した後も、パッケージ45は慣性による回転(以下、慣性回転と称する)を続けている。
【0034】
続いて、糸継台車3について説明する。糸継台車3は、紡績糸10が切断された紡績ユニット2において糸継動作を行う。糸継台車3は、走行輪42が設けられた筐体3Aに、スプライサ43と、サクションパイプ44と、サクションマウス46と、が搭載さている。糸継台車3は、一の紡績ユニット2で糸切れ又は糸切断が発生すると、機台制御装置30からの制御信号により、フレーム6に固定されたレール41上を紡績ユニット2まで走行して停止し、糸継動作を行う。
【0035】
サクションパイプ44は、軸を中心に上下方向に回動可能であり、紡績装置9から送り出される糸端(上糸)を吸い込みつつ捕捉して、スプライサ43へ案内する。サクションマウス46は、軸を中心に上下方向に回動可能であり、巻取装置13に支持されたパッケージ45から糸端(下糸)を吸引しつつ捕捉して、スプライサ43へ案内する。スプライサ43の詳細な構成については省略するが、旋回流によって糸端同士を撚り合わせることにより、上糸と下糸とを糸継ぎし得る。
【0036】
続いて、玉揚台車4について説明する。玉揚台車4は、クレードル70にボビン48を供給して紡績糸10の巻取りの準備を行うボビンセット動作と、満巻になったパッケージ45をクレードル70から取り外す玉揚動作と、を行う装置である。玉揚台車4は、走行輪92が設けられた筐体4Aに、玉揚装置(ボビンセット装置)60と、パッケージ受け部84と、を備えている。玉揚台車4は、一の紡績ユニット2において満巻のパッケージ45が完成すると、機台制御装置30からの制御信号により、フレーム6に形成された走行路91上を一の紡績ユニット2まで走行して停止し、玉揚動作又は玉揚動作及びボビンセット動作の両方の動作を行う。
【0037】
玉揚装置60は、ボビン48をクレードル70に装着するボビンセット動作(ボビン48をクレードル70に供給する供給動作)を行うための構成として、ボビン供給機構50と、サクションパイプ88と、クレードル操作アーム89と、を備えている。
【0038】
図2に示すように、ボビン供給機構50は、揺動軸54を中心として回動可能に設けられている。ボビン供給機構50は、モータ51の駆動力によって、揺動軸54を中心として回動される。ボビン供給機構50における揺動軸54と反対側の端部には、ボビン48を保持するボビン保持部52が設けられている。ボビン供給機構50は、ボビン収容部からボビン48を受け取り、ボビン48を保持した状態で回動することにより、ボビン48を、目標位置であるクレードル70のボビンホルダ72に供給する。ボビン供給機構50は、バンチ巻きを行うためのバンチ巻きローラ53を備えている。「バンチ巻き」とは、紡績糸10をボビン48に固定するために、ボビン48の周囲に紡績糸10を棒巻きすることをいう。
【0039】
サクションパイプ88は、回動軸(図示せず)を中心に回動可能かつ伸縮可能に設けられている。サクションパイプ88における回動軸と反対側の端部には、吸引部(図示せず)が形成されている。サクションパイプ88は、紡績装置9から排出される紡績糸10を吸引部にて吸引することで捕捉して、この補捉した紡績糸10を巻取装置13まで案内する。
【0040】
クレードル操作アーム89は、回動軸(図示せず)を中心に回動可能に設けられている。図5に示すように、操作部89Aがクレードル操作アーム89における回動軸と反対側に設けられている。操作部89Aは、一方のボビンホルダ72を他方のボビンホルダ72から離間させることができる。すなわち、クレードル操作アーム89は、満巻になったパッケージ45をクレードル70から取り外すためにクレードルアーム71を開く操作、又は新たなボビン48をクレードル70に取り付けるためにクレードルアーム71を閉じる操作を行う。
【0041】
図2に示すように、玉揚装置60は、満巻になったパッケージ45をクレードル70から取り外してパッケージ受け部84に案内する玉揚動作を行うための構成として、玉揚機構61を備えている。
【0042】
ここで、パッケージ受け部84について説明する。パッケージ受け部84は、パッケージ45を転がして移動させるための傾斜部81と、転がされたパッケージ45が一時的に載せられる載置部82と、を有している。載置部82は、傾斜部81の端部に連続して配置されている。傾斜部81及び載置部82は、何れもパッケージ45の周面に接触するように構成されている。傾斜部81及び載置部82は、ボビンホルダ72より低い位置に配置されている。
【0043】
本実施形態において、載置部82は、コンベヤとして構成されており、複数の紡績ユニット2が並べられる方向に沿ってパッケージ45を搬送する。すなわち、コンベヤは、玉揚装置60によって載置部82に排出されたパッケージ45を連続的に搬送する。コンベヤは、機台制御装置30からの制御信号により搬送制御される。
【0044】
玉揚機構61は、回動アーム(移動部)62と、モータ63と、パッケージ支持部(支持部)65と、を主な構成として有している。玉揚機構61では、パッケージ45を支持するパッケージ支持部65が、パッケージ45を受け取る第1位置P1(図5参照)と、第1位置P1にて受け取ったパッケージ45を引き渡す第2位置P2(図6参照)と、待機位置P0(図4参照)との間で、回動アーム62によって移動可能に設けられている。
【0045】
回動アーム62は、モータ63の駆動力によって例えば図5において反時計回りに回動されることにより、玉揚機構61を玉揚台車4から巻取装置13へ進出させ、玉揚機構61の先端側(パッケージ支持部65)がパッケージ45に近づけられる(図5参照)。言い換えれば、回動アーム62は、反時計回りに回動することにより、パッケージ支持部65を待機位置P0から第1位置P1に移動させる。
【0046】
回動アーム62は、モータ63の駆動力によって例えば図4において時計回りに回動されることにより、玉揚機構61を玉揚台車4に移動させ、玉揚機構61の先端側(パッケージ支持部65)がパッケージ受け部84における載置部82に載置されたパッケージ45から遠ざけられる。言い換えれば、回動アーム62は、反時計回りに回動することにより、パッケージ支持部65を、第1位置P1から第2位置P2に移動させると共に、第2位置P2から待機位置P0(図4参照)に移動させる。待機位置P0とは、パッケージ支持部65が第2位置P2において引き渡されたパッケージ45に接触することがない位置をいう。
【0047】
パッケージ支持部65は、上方に回動されることにより、ボビンホルダ72に保持された状態のパッケージ45と接触することができる。これにより、パッケージ支持部65は、パッケージ45の慣性回転を停止させることができる。また、パッケージ支持部65は、クレードル70から受け取ったパッケージ45の重さを支持しながら、パッケージ45を傾斜部81まで案内する。更に、パッケージ支持部65は、傾斜部81にパッケージ45が接触した後も当該パッケージ45を支持し続け、パッケージ45を傾斜部81に沿って載置部82まで案内する。
【0048】
玉揚装置60は、ボビン48をクレードル70に装着するボビンセット動作を規制するための構成として、図3に示すように、検知部95と、玉揚装置制御部31と、報知部96と、を備えている。
【0049】
検知部95は、障害物を検知する部分であり、筐体4Aに固定されている。検知部95は、障害物として、例えば、クレードル70に位置するパッケージ45を検知する。検知部95は、例えば、光学センサであり、クレードル70に位置するパッケージ45に反射される光を検知したり、クレードル70に位置するパッケージ45に遮断される光を検知したりすることにより、クレードル70に位置するパッケージ45を検知し得る。検知部95は、検知結果を示す検知情報を玉揚装置制御部31に出力する。なお、検知部95の検知対象となる障害物はパッケージ45に限定されず、検知部95は、ボビン48を供給する目標位置のクレードル70及びその周辺に位置するものであれば検知可能である。
【0050】
玉揚装置制御部31は、玉揚機構61におけるパッケージ支持部65の移動、及び、ボビン供給機構50におけるボビン保持部52の移動など、玉揚装置60における各種制御処理を実行する。機台制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスクなどで構成される。玉揚装置制御部31により実施される制御は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されることにより実現される。
【0051】
玉揚装置制御部31は、検知部95により検知された結果に基づいて、クレードル70におけるパッケージ45の有無を判断する。玉揚装置制御部31は、検知部95から出力された検知情報を受け取ると、その検知情報に基づいて、クレードル70におけるパッケージ45の有無を判断する。具体的には、玉揚装置制御部31は、玉揚機構61のパッケージ支持部65が回動アーム62によって待機位置P0に移動させられた後に、クレードル70におけるパッケージ45の有無を判断する。パッケージ支持部65が回動アーム62によって待機位置P0に移動させられた後には、パッケージ支持部65が待機位置P0に位置した時を含む。すなわち、玉揚装置制御部31は、パッケージ支持部65が待機位置P0に位置したと同時に、パッケージ45の有無を判断してもよい。パッケージ支持部65が待機位置P0に位置したことは、パッケージ支持部65を移動させるモータ63を制御するための制御信号、或いは、パッケージ支持部65が待機位置P0に位置したことを検知する原点センサ(図示せず)の検出信号に基づいて取得され得る。
【0052】
玉揚装置制御部31は、クレードル70にパッケージ45が有ると判断した場合には、ボビン供給機構50のボビン保持部52によるボビン48のクレードル70への供給動作を停止させる。すなわち、玉揚装置制御部31は、クレードル70にパッケージ45が存在し、クレードル70がボビン48を受け入れ不可能な状態である場合には、ボビン保持部52によるボビン48のクレードル70への供給動作(ボビンセット動作)を停止させる。玉揚装置制御部31は、クレードル70にパッケージ45が有ると判断した場合、報知部96に異常情報を出力する。
【0053】
玉揚装置制御部31は、クレードル70にパッケージ45が無いと判断した場合には、ボビン供給機構50のボビン保持部52によってボビン48をクレードル70へ供給させる。すなわち、玉揚装置制御部31は、クレードル70にパッケージ45が存在せず、クレードル70がボビン48を受け入れ可能な状態である場合には、ボビン供給機構50のボビン保持部52によってボビン48をクレードル70へ供給させる。
【0054】
報知部96は、クレードル70に障害物が存在する場合に、異常が発生していることを報知する。報知部96は、玉揚装置制御部31から出力された異常情報を受け取ると、異常が発生していることを報知する。報知部96は、例えば、ランプである。なお、報知部96は、所定のエラーコードを表示するセグメントディスプレイであってもよいし、ブザーなどであってもよい。
【0055】
次に、図4図6を参照して、玉揚装置60における玉揚動作及びボビンセット動作について説明する。
【0056】
一の紡績ユニット2のパッケージ45が満巻となったことが図略のセンサによって検知されると、ユニットコントローラは、紡績装置9及びコンベヤの稼働を停止させ、機台制御装置30は、玉揚台車4を当該紡績ユニット2まで移動させる。それとほぼ同時に、ユニットコントローラは、クレードルアーム71を図2の左側(巻取装置13の正面側)へ回動することにより巻取ドラム74から満巻のパッケージ45を離し、当該パッケージ45に駆動力を伝達させないようにする。なお、巻取ドラム74から離間した後も、パッケージ45は慣性回転を行っている。
【0057】
一の紡績ユニット2に玉揚台車4が到達すると、図5に示すように、玉揚装置60は、回動アーム62を反時計回りに回動させることにより、パッケージ支持部65をパッケージ45に近づける。すなわち、玉揚装置60は、パッケージ支持部65を待機位置P0(図4に示すパッケージ支持部65の位置)から第1位置P1(図5に示すパッケージ支持部65の位置)に移動させる。
【0058】
次に、図6に示すように、玉揚装置60は、第1位置P1において、パッケージ支持部65を上方(反時計回り)に回動させ(図6において二点鎖線で示されるパッケージ支持部65)、パッケージ45の周面に接触させる。これにより、クレードル70に保持されたパッケージ45は、周面がパッケージ支持部65によって摩擦制動され慣性回転が停止される。
【0059】
玉揚装置60は、パッケージ45の慣性回転が完全に停止するまでに、クレードル操作アーム89を図5に示す位置に移動させる。パッケージ45の回転が完全に停止すると、玉揚装置60は一方のボビンホルダ72を他方のボビンホルダ72から離間させるようにクレードルアーム71をクレードル操作アーム89により操作して、満巻のパッケージ45をクレードル70から取り外す。
【0060】
玉揚装置60は、取り外された満巻のパッケージ45の重さを支持しながら、パッケージ支持部65を下方(時計周り)に回動させる。次に、図6に示すように、玉揚装置60は、回動アーム62を時計回りに回動させる。言い換えれば、玉揚装置60は、玉揚機構61におけるパッケージ支持部65を、第2位置P2(パッケージ受け部84における載置部82が設けられている位置)に移動させる。これにより、パッケージ45は、パッケージ支持部65により支持されつつ、傾斜部81に沿って転がされるようにして載置部82まで案内される。
【0061】
パッケージ45を載置部82まで案内した後、玉揚装置60は、回動アーム62を更に時計回りに回動させて、パッケージ支持部65を待機位置P0に移動させる(図4に示す玉揚機構61の位置)。機台制御装置30は、パッケージ支持部65が待機位置P0に戻ったことを確認すると、中断していたコンベヤによる搬送を再開する。すなわち、載置部82に搬送されてきたパッケージ45がコンベヤにより搬送される。
【0062】
玉揚装置制御部31は、パッケージ支持部65が待機位置P0に戻ったことを確認すると、検知部95の検知結果に基づいて、クレードル70におけるパッケージ45の有無を判断する。玉揚装置制御部31は、クレードル70にパッケージ45が無いと判断した場合には、ボビン供給機構50のボビン保持部52によってボビン48をクレードル70へ供給させ、ボビン供給機構50にボビンセット動作を実施させる。
【0063】
一方、玉揚装置制御部31は、クレードル70にパッケージ45が有ると判断した場合には、ボビン保持部52によるボビン48のクレードル70への供給動作を停止させる。これと同時に、報知部96は、異常が発生していることを報知する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の紡績機1の玉揚装置60は、ボビン48を供給するクレードル70に障害物が存在する場合に、ボビン保持部52によるボビン48の供給動作を停止させる玉揚装置制御部31を備えている。玉揚装置制御部31は、クレードル70に障害物となる例えばパッケージ45が存在する場合、すなわちクレードル70がボビン48を受け入れ不可能な状態にある場合には、ボビン保持部52による供給動作を停止させる。一方、玉揚装置60は、クレードル70に障害物が存在しない場合、すなわちクレードル70がボビン48を受け入れ可能な状態にある場合には、ボビン保持部52によってボビン48をクレードル70に供給させる。これにより、玉揚装置60では、ボビン保持部52がボビン48の供給動作を行おうとしたときに、ボビン保持部52とパッケージ45とが接触することを防止できる。したがって、玉揚装置60では、パッケージ45の破損及び/又はボビン保持部52の破損を防止できる。その結果、玉揚装置60は、ボビン48の供給を良好に行うことができる。
【0065】
本実施形態の玉揚装置60は、障害物を検知する検知部95を備えている。玉揚装置制御部31は、検知部95により検知された結果に基づいて、クレードル70における障害物の有無を判断する。これにより、玉揚装置制御部31は、クレードル70における障害物の有無を精度良く判断でき、ボビン保持部52の制御をより的確に行うことができる。したがって、玉揚装置60では、ボビン保持部52とパッケージ45との接触をより一層防止することができる。
【0066】
本実施形態の玉揚装置制御部31は、回動アーム62によってパッケージ支持部65が第1位置P1から待機位置P0に移動させられた後に、クレードル70における障害物の有無を判断する。このため、パッケージ支持部65に支持されたパッケージ45を障害物であると誤判断することを抑制できる。したがって、玉揚装置60では、玉揚装置制御部31の誤判断による稼働停止が抑制されるため、稼働効率の低下を抑制できる。
【0067】
本実施形態の玉揚装置60は、クレードル70に障害物が存在する場合に、異常が発生していることを報知する報知部96を備えている。これにより、玉揚装置60は、ボビン48の供給動作を行うことができない異常事態が発生していることを作業者などに知らせることができる。その結果、作業者による回復作業が迅速に実施されるため、稼働効率の低下を抑制できる。
【0068】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0069】
上記実施形態では、玉揚装置制御部31は、パッケージ支持部65が回動アーム62によって待機位置P0に移動させられた後に、クレードル70におけるパッケージ45の有無を判断している。しかし、玉揚装置制御部31によるパッケージ45の有無の判断のタイミングは、他のタイミングであってもよい。例えば、玉揚装置制御部31は、クレードル70からパッケージ45を外す動作(クレードル操作アーム89によって一方のボビンホルダ72を他方のボビンホルダ72から離間させる動作)を行って所定時間経過した後に、パッケージ45の有無の判断を行ってもよい。所定時間は、適宜設定し得る。パッケージ45を外す動作を行った直後に障害物の有無の判断を行うと、パッケージ45がクレードル70から取り外されているにも関わらず、そのパッケージ45を障害物であると誤判断するおそれがある。そこで、玉揚装置制御部31は、クレードル70からパッケージ45を外す動作を行って所定時間経過した後に障害物の有無を判断する。これにより、玉揚装置制御部31が、取り外された直後のパッケージ45を障害物であると誤判断することを抑制できる。したがって、玉揚装置60では、玉揚装置制御部31の誤判断による稼働停止が抑制されるため、稼働効率の低下を抑制できる。
【0070】
上記実施形態では、載置部82がコンベヤとして構成された例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、載置部82は、コンベヤのような搬送機構として構成されるのではなく、パッケージ45を載置可能な平面部として構成されていてもよい。この場合、載置部82上のパッケージ45は作業者によって手作業で回収される。
【0071】
上記実施形態では、載置部82が、玉揚台車4が走行する走行路91の内側(図2に示す右側であって巻取装置13が設けられている側)に配置されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、載置部82は、玉揚台車4が走行する走行路91の外側(図2に示す左側)に配置されていてもよい。
【0072】
上記実施形態では、検知部95が玉揚装置60に配置されている構成を一例に説明したが、検知部95は、紡績ユニット2に配置されていてもよい。検知部95を玉揚装置60に配置する場合には、検知部95を一個だけ設ければよいため、構成の簡易化を図ることができる。
【0073】
上記実施形態では、検知部95によってパッケージ45を検知し、この検知結果に基づいて玉揚装置制御部31がクレードル70における障害物の有無を判断している。しかし、クレードル70における障害物の検知は、他の手法であってもよい。例えば、クレードル70に加わる荷重を取得し、この荷重に基づいてクレードル70における障害物(パッケージ45)の検知を行ってもよい。或いは、ボビン保持部52の先端に接触センサを設け、接触センサによる検知結果に基づいて、クレードル70における障害物の検知を行ってもよい。
【0074】
上記実施形態では、複数の紡績ユニット2に対して1台の糸継台車3及び1台の玉揚台車4が設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態及び変形例の紡績機の構成を、例えば、紡績ユニット2の数に応じて、複数の糸継台車及び/又は複数の玉揚台車が設けられる構成としてもよい。
【0075】
上記実施形態では、上部のドラフト装置7から下部の巻取装置13に向けて、紡績糸10が下向きに走行するように糸道が配置されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものはなく、下から上に向けて紡績糸が走行する糸道が配置された紡績機や紡績ユニットに適用してもよい。
【0076】
上記実施形態では、玉揚装置60における各種制御処理を行う専用のコントローラとしての玉揚装置制御部31を玉揚装置60が備えている例を挙げて説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。上記実施形態及び変形例の紡績機の構成を、例えば、機台制御装置30(制御部)が、紡績ユニット2、糸継台車3及び玉揚台車4の各種制御処理を一括して実行する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…紡績機(糸巻取機)、2…紡績ユニット、10…紡績糸(糸)、31…玉揚装置制御部(制御部)、45…パッケージ、48…ボビン、50…ボビン供給機構、52…ボビン保持部、60…玉揚装置(ボビンセット装置)、62…回動アーム(移動部)、65…パッケージ支持部(支持部)、70…クレードル、95…検知部、96…報知部、P0…待機位置、P1…第1位置、P2…第2位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6