特開2015-151251(P2015-151251A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-151251(P2015-151251A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20150728BHJP
【FI】
   B65H5/06 J
   B65H5/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-28329(P2014-28329)
(22)【出願日】2014年2月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】前田 邦博
(72)【発明者】
【氏名】原 義志
(72)【発明者】
【氏名】福田 守
【テーマコード(参考)】
3F049
【Fターム(参考)】
3F049AA01
3F049CA03
3F049DA11
3F049DA12
3F049DB02
3F049EA24
3F049LA01
3F049LB01
(57)【要約】
【課題】搬送途中で用紙束に折れやシワを発生したり、用紙束の端部に整合ズレを生じることのない搬送装置を提供する。
【解決手段】用紙を重ねた用紙束500を複数のローラ対R1、R2、R3でニップして搬送する搬送装置1Aにおいて、各ローラ対をローラ間のニップ状態とニップ解放状態を切り換えるニップ状態切換手段12a、12b、12cと、用紙束が各ローラ対に到達する前にニップ解放状態で待機するようニップ状態切換手段を制御し、用紙束が各ローラ対に到達したタイミングより所定時間だけ遅延させたタイミングで各ローラ対を順次ニップ状態に切り換えるようニップ状態切換手段を制御する制御手段11とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を重ねた用紙束を複数のローラ対でニップして搬送する搬送装置において、
各ローラ対をローラ間のニップ状態とニップ解放状態を切り換えるニップ状態切換手段と、前記用紙束が各ローラ対に到達する前にニップ解放状態で待機するよう前記ニップ状態切換手段を制御し、前記用紙束が各ローラ対に到達したタイミングより所定時間だけ遅延させたタイミングで各ローラ対を順次ニップ状態に切り換えるよう前記ニップ状態切換手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記各ローラ対は、外周面の一部に切欠部を有する一対のD型断面のローラで構成され、
前記ニップ状態切換手段は、前記各ローラ対をニップ解放状態とする際は、前記各ローラ対の前記切欠部同士を対向させ、前記各ローラ対をニップ状態とする際は、前記切欠部以外の外周面同士を対向させることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒などに封入される内容物等としての用紙束を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特定の顧客層などに向けて商品案内等をダイレクトメールなどとして郵送する封書を自動的に作成する封書作成装置が開発されている。
【0003】
封書作成装置は、例えば封筒用紙と内容物の用紙とに印刷を施し、封筒用紙を折り畳んで形成した封筒に印刷済みの内容物を封入封緘して封書を作成する。
【0004】
このような封書作成装置に関する技術は種々提案されている(特許文献1等参照)。
【0005】
ところで、従来の一般的な封書作成装置では、印刷された複数種類の用紙束を整合部で整合させた後、複数のローラ対を備えた搬送装置によって、折り処理部や封緘部等に搬送するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−66509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来の搬送装置では、搬送途中で用紙束に折れやシワが発生したり、用紙束の端部に整合ズレを生じる等の不具合があった。
【0008】
即ち、図9に示すように、複数枚の比較的薄い内容物500aと、複数枚の比較的厚い内容物500bとが重ねられて整合された内容物500は、ローラR100a、R100bで構成されるローラ対R100と、ローラR101a、R101bで構成されるローラ対R101とによってニップされて搬送される途中(図9(a)から図9(b)に移行する際)で、内容物500の先端がニップ位置からズレて、内容物500の一部がローラR101a、R101bに当たる所謂腹当りを生じてしまう。
【0009】
これにより、比較的厚い内容物500bに折れやシワを生じたり、比較的薄い内容物500aのみが先に送られて用紙束の端部に整合ズレを生じる(図9(b)参照)という問題があった。
【0010】
また、図10に示すように、厚さが同じ複数の印刷物が重ねられて整合された内容物500は、ローラR100a、R100bで構成されるローラ対R100と、ローラR101a、R101bで構成されるローラ対R101とによってニップされて搬送される途中(図10(a)から図10(b)に移行する際)で、外側に位置する用紙の先端がローラR101a、R101bに当たって減速されてしまう(図10(b)の状態)。
【0011】
これにより、外側に位置する用紙と中側に位置する用紙との搬送速度に差を生じ、図10(c)に示すように、内容物500の先端において、中側の用紙が飛び出して整合ズレを生じるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、搬送途中で用紙束に折れやシワを発生したり、用紙束の端部に整合ズレを生じることのない搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る搬送装置の第1の態様は、用紙を重ねた用紙束を複数のローラ対でニップして搬送する搬送装置において、各ローラ対をローラ間のニップ状態とニップ解放状態を切り換えるニップ状態切換手段と、前記用紙束が各ローラ対に到達する前にニップ解放状態で待機するよう前記ニップ状態切換手段を制御し、前記用紙束が各ローラ対に到達したタイミングより所定時間だけ遅延させたタイミングで各ローラ対を順次ニップ状態に切り換えるよう前記ニップ状態切換手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る搬送装置の第2の態様は、第1の態様に係る搬送装置において、前記各ローラ対は、外周面の一部に切欠部を有する一対のD型断面のローラで構成され、前記ニップ状態切換手段は、前記各ローラ対をニップ解放状態とする際は、前記各ローラ対の前記切欠部同士を対向させ、前記各ローラ対をニップ状態とする際は、前記切欠部以外の外周面同士を対向させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0016】
すなわち、第1の態様に係る搬送装置では、用紙束が各ローラ対に到達する前にニップ解放状態で待機するようニップ状態切換手段を制御し、用紙束が各ローラ対に到達したタイミングより所定時間だけ遅延させたタイミングで各ローラ対を順次ニップ状態に切り換えるようニップ状態切換手段を制御するので、複数枚の比較的薄い内容物と、複数枚の比較的厚い内容物とが重ねられて整合された用紙束を搬送する際に、用紙束の先端がニップ位置からズレて、用紙束の一部がローラに当たる所謂腹当りを生じる事態を回避することができる。したがって、比較的厚い内容物に折れやシワを生じたり、比較的薄い内容物のみが先に送られて用紙束の端部に整合ズレを生じることを防止することができる。
【0017】
第2の態様に係る搬送装置では、ニップ状態切換手段は、各ローラ対をニップ解放状態とする際は、各ローラ対の切欠部同士を対向させ、各ローラ対をニップ状態とする際は、切欠部以外の外周面同士を対向させるように構成されるので、比較的簡易な構成により、低コストで、搬送途中で用紙束に折れやシワを発生したり、用紙束の端部に整合ズレを生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施の形態に係る搬送装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る搬送装置を適用した封書作成装置の概略構成を示す構成図である。
図3】第1の実施の形態に係る搬送装置に適用されるニップ状態切換機構の構成例を示す説明図である。
図4】第1の実施の形態に係る搬送装置におけるローラ対の動作を示す説明図である。
図5】第1の実施の形態に係る搬送装置における各ローラ対の動作を示す説明図である。
図6】第1の実施の形態に係る搬送装置における各ローラ対の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
図7】第2の実施の形態に係る搬送装置の概略構成を示す構成図である。
図8】第2の実施の形態に係る搬送装置における各ローラ対の動作を示す説明図である。
図9】従来技術に係る搬送装置の動作例を示す説明図である。
図10】従来技術に係る搬送装置の他の動作例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0020】
[第1の実施の形態に係る搬送装置の機能構成]
図1を参照して、第1の実施の形態に係る搬送装置1Aの機能構成について説明する。
【0021】
本実施の形態に係る搬送装置1Aは、同一または異種の用紙を重ねた用紙束(封書において内容物を構成する)を複数のローラ対でニップして搬送する搬送装置である。
【0022】
図1に示すように、各ローラ対R1、R2、R3は、所定のタイミングでローラ間のニップ状態とニップ解放状態を切り換えるニップ状態切換手段12a、12b、12cを備える。
【0023】
なお、ローラ対の数は2つ以上であればよく、4つ以上設けるようにしてもよい。
【0024】
ニップ状態切換手段12a、12b、12cは、ローラ対R1、R2、R3による搬送速度に基いて、用紙束が通過したタイミングで各ローラ対R1、R2、R3のニップ状態を順次解放させ、用紙束が各ローラ対R1、R2、R3に到達したタイミングより所定時間だけ遅延させたタイミングで各ローラ対R1、R2、R3を順次ニップ状態に切り換えるように構成されている。
【0025】
より具体的には、搬送方向の最上流側に位置するローラ対(例えば、ローラ対R1)の手前に配置され、用紙束の到来を検出する光センサ等で構成される検出手段10と、検出手段10の検出信号およびローラ対R1、R2、R3による搬送速度とに基いて、用紙束が通過したタイミングで各ローラ対R1、R2、R3のニップ状態を順次解放させ、用紙束が各ローラ対に到達したタイミングより所定時間だけ遅延させたタイミングで各ローラ対R1、R2、R3を順次ニップ状態に切り換えるようにニップ状態切換手段12a、12b、12cを制御するマイクロコンピュータ等で構成される制御手段を備えている。
【0026】
本実施の形態に係る搬送装置1Aにおいて、ニップ状態切換手段12a、12b、12cは、所定のアクチュエータ(例えば、モータやソレノイド等)の駆動によって各ローラ対R1、R2、R3の少なくとも一方のローラを昇降させる昇降機構で構成することができる。
【0027】
なお、ニップ状態切換手段12a、12b、12cを構成する昇降機構の構成例については後述する。
【0028】
また、本実施の形態に係る搬送装置1Aは、検出手段10の配置位置から各ローラ対R1、R2、R3のニップ位置までの距離情報と、搬送速度とに基いて、用紙束の先端が次のローラ対に到達する到達時間を算出する算出手段(例えば、算出プログラム等で構成される)20を備えている。そして、制御手段11は、算出手段20で算出された到達時間に基いて、ニップ状態切換手段12a、12b、12cを制御する。
【0029】
なお、算出手段20は、到達時間に所定のマージン時間を加算し、制御手段11は、算出手段20による算出結果に基いて、ニップ状態切換手段12a、12b、12cを制御するようにしてもよい。
【0030】
このような構成の搬送装置1Aによれば、例えば、複数枚の比較的薄い内容物と、複数枚の比較的厚い内容物とが重ねられて整合された用紙束を搬送する際に、用紙束の先端がニップ位置からズレて、用紙束の一部がローラに当たる所謂腹当りを生じる事態を回避することができる。したがって、比較的厚い内容物に折れやシワを生じたり、比較的薄い内容物のみが先に送られて用紙束の端部に整合ズレを生じることを防止することができる。
【0031】
また、例えば、厚さが同じ複数の印刷物が重ねられて整合された用紙束を搬送する際に、外側に位置する用紙と中側に位置する用紙との搬送速度に差を生じる事態を回避することができる。したがって、用紙束の先端において、中側の用紙が飛び出して整合ズレを生じることを防止することができる。
【0032】
[封書作成装置への適用例]
図2は、第1の実施の形態に係る搬送装置1Aを適用した封書作成装置200の概略構成を示す構成図である。
【0033】
封書作成装置200は、印刷装置(プリンタ)100の後処理装置(フィニッシャ)の一種であり、印刷装置100に隣接させて設けられている。
【0034】
印刷装置100は、厚さやサイズ等が異なる印刷用紙を給紙する給紙部101、102と、給紙された各種用紙に印刷処理を行う印刷部103等を備えている。
【0035】
封書作成装置200は、印刷装置100で印刷された用紙を封書作成装置200内に搬送する搬送部201と、ハガキや封筒用紙などの折り処理を必要としない用紙等を給紙する給紙部202と、封筒等を搬送する搬送経路Aと、印刷装置100または給紙部202から到来する用紙を搬送する搬送経路Bと、それらの用紙を整合する整合部203と、整合された用紙を折加工する折り部204と、ハガキや封筒用紙などの折り処理を必要としない用紙を搬送する搬送経路Cと、搬送されて来た異種の用紙を整合させる異種用紙整合部205と、異種用紙整合部205で整合された用紙束(内容物)を搬送する本実施の形態に係る搬送装置1Aと、封筒の折加工を行う折り部206、207と、封筒の側部に塗布されている感圧接着剤で封止を行う圧着部208と、作成された封書を排出する排出部209等を備えている。
【0036】
このような構成の封書作成装置200によれば、例えば、複数枚の比較的薄い内容物と、複数枚の比較的厚い内容物とが重ねられて整合された用紙束を搬送装置1Aによって搬送する際に、用紙束の先端がニップ位置からズレて、用紙束の一部がローラに当たる所謂腹当りを生じる事態を回避することができる。したがって、比較的厚い内容物に折れやシワを生じたり、比較的薄い内容物のみが先に送られて用紙束の端部に整合ズレを生じることを防止することができる。
【0037】
また、例えば、厚さが同じ複数の印刷物が重ねられて整合された用紙束を搬送装置1Aによって搬送する際に、外側に位置する用紙と中側に位置する用紙との搬送速度に差を生じる事態を回避することができる。したがって、用紙束の先端において、中側の用紙が飛び出して整合ズレを生じることを防止することができる。
【0038】
よって、内容物の揃え不良や、封筒の封緘不良を抑制することができ、均一な品質の封書を作成することができる。
【0039】
[ニップ状態切換機構の構成例]
次に、図3を参照して、第1の実施の形態に係る搬送装置1Aに適用されるニップ状態切換手段(ニップ状態切換機構)12a(12b、12c)としての昇降機構の構成例について説明する。
【0040】
図3に示すニップ状態切換機構12a(12b、12c)は、各ローラ対R1(R2,R3)に設けられる。
【0041】
ニップ状態切換機構12a(12b、12c)は、搬送経路Kを挟んで対向される下側のローラR1a(R2a、R3a)に対して、上側のローラR1b(R2b、R3b)を矢印N方向に昇降させるようになっている。
【0042】
より具体的には、図3に示すように、矢印N方向に揺動可能に回転軸301aに軸支される揺動アーム301が設けられ、この揺動アーム301に上側のローラR1b(R2b、R3b)が回転自在に取り付けられている。
【0043】
なお、本実施の形態に係る搬送装置1Aでは、下側のローラR1a(R2a、R3a)が駆動ローラ、上側のローラR1b(R2b、R3b)が従動ローラとなる。
【0044】
揺動アーム301の回転軸301aの近傍位置には、ローラ解放用の偏心カム300がモータ等により駆動される回転軸300aに固定されて設けられ、偏心カム300の周面が揺動アーム301の下方側の側部に摺接するように構成されている。
【0045】
また、揺動アーム301の他端側にはバネ302が設けられ、上側のローラR1b(R2b、R3b)と下側のローラR1a(R2a、R3a)との間に所定のニップ圧が生じるように付勢している。
【0046】
このような構成のニップ状態切換機構12a(12b、12c)は、アクチュエータとしてのモータが所定のタイミングで駆動されローラ解放用の偏心カム300が矢印M方向に所定の速度で回転すると、偏心カム300の周面の変化に応じて揺動アーム301が矢印N方向に昇降される。
【0047】
これにより、前述のように、検出手段10の検出信号およびローラ対R1、R2、R3による搬送速度とに基づく制御手段11の制御によってモータの駆動を制御することにより、用紙束(内容物)のニップ状態と非ニップ状態とを所望のタイミングで切り換えることができる。
【0048】
なお、ニップ状態切換機構の構成は、図3に示す昇降機構に限定されず、例えばアクチュエータをソレノイドで構成し、そのソレノイドの駆動力により上側のローラR1b(R2b、R3b)または下側のローラR1a(R2a、R3a)を昇降させるように構成してもよい。
【0049】
[第1の実施の形態に係る搬送装置の動作について]
次に、図4図6を参照して、第1の実施の形態に係る搬送装置1Aの動作について説明する。
【0050】
図4では、説明の簡略化のために、2つのローラ対R1、R2の動作について説明する。
【0051】
まず、図4(a)に示す状態では、複数枚の比較的薄い内容物500aと、複数枚の比較的厚い内容物500bとが重ねられて整合された用紙束500がローラ対R1の上側のローラR1bと下側のローラR1aにニップされて、矢印P方向に搬送される。即ち、ローラ対R1の上側のローラR1aは、前述のニップ状態切換機構12aによる上昇は行われず、バネ302によりニップ圧が生じた状態となっている。
【0052】
一方、ローラ対R2の上側のローラR2aは、前述のニップ状態切換機構12bによって上昇した状態とされ、ニップが解放された状態とされている。
【0053】
そして、図4(b)に示すように、ローラ対R1によって、用紙束500がP方向にさらに搬送され、用紙束500の先端部が完全にローラ対R2のニップ位置に到達するか、或いはニップ位置を越えた時点で、ローラ対R2の上側のローラR2aは前述のニップ状態切換機構12bによって降下され、用紙束500をニップした状態に移行する。
【0054】
これにより、搬送途中で用紙束500がローラ対R2のローラR2a、R2bに所謂腹当りを生じることが防止され、搬送途中で用紙束500に折れやシワを発生したり、用紙束500の端部に整合ズレを生じる事態を回避することができる。
【0055】
このような効果は、ローラ対R2、R3等の間でも得られるため、ローラ対が増えた場合であっても搬送途中で用紙束500に折れやシワを発生したり、用紙束500の端部に整合ズレを生じる事態を確実に回避することができる。
【0056】
図5は、本実施の形態に係る搬送装置1Aにおける各ローラ対の動作を示す説明図である。
【0057】
まず、図5(a)に示すように、封書作成装置200が備える整合部205のローラ対R0のローラR0a、R0bによって用紙束500がニップされて、図上、右側方向の搬送方向に搬送される。
【0058】
なお、ローラ対R0も上述のようなニップ状態切換機構を備えているものとする。
【0059】
図5(a)において、光センサ等で構成される検出手段(センサ)10の下流側に配設されるローラ対R1、R2、R3の上側のローラR1b、R2b、R3bは、上述のニップ状態切換機構12a(12b、12c)により、何れも上昇してニップが解放された状態とされている。
【0060】
次いで、図5(b)では、用紙束500が整合部205のローラ対R0によってさらに右側方向に搬送され、用紙束500の先端がセンサ10によって検出されると制御手段11の制御により、ローラ対R1のニップ状態切換機構12aが作動する。
【0061】
より具体的には、制御手段11の算出手段20(図1参照)は、センサ10の配置位置から各ローラ対R1のニップ位置までの距離情報と、搬送速度とに基いて、用紙束500の先端が次のローラ対R2に到達する到達時間を算出する。そして、制御手段11は、算出手段20で算出された到達時間に基いて、ニップ状態切換手段12aを制御する。
【0062】
なお、算出手段20は、到達時間に所定のマージン時間を加算し、制御手段11は、算出手段20による算出結果に基いて、ニップ状態切換手段12aを制御するようにしてもよい。この場合には、次のローラ対R2に用紙束500が確実に到達したタイミングでローラ対R2によるニップを行うことができる。
【0063】
次いで、図5(c)では、制御手段11の制御により、ローラ対R2のニップ状態切換機構12bが作動して、ローラ対R1によって搬送されて来る用紙束500をニップする状態に切り換わる。なお、算出手段20による算出方法は上述の通りである。
【0064】
なお、次の用紙束500の到来に備えて、整合部205のローラ対R0の上側ローラR0bは、ニップ状態切換機構によって上昇されニップを解除した状態に移行する。
【0065】
次いで、図5(d)では、制御手段11の制御により、ローラ対R1のニップ状態切換機構12aが作動して、ローラ対R1の上側ローラR1bは、上昇されニップを解除した状態に移行する。続いて、図5(e)では、制御手段11の制御により、ローラ対R3のニップ状態切換機構12cが作動して、ローラ対R2によって搬送されて来る用紙束500をニップする状態に切り換わる。
【0066】
このように、本実施の形態に係る搬送装置1Aによれば、搬送途中で用紙束500がローラ対R1、R2、R3の各ローラR1a、R1b等に所謂腹当りを生じることが防止され、搬送途中で用紙束500に折れやシワを発生したり、用紙束500の端部に整合ズレを生じる事態を回避することができる。
【0067】
次に、図6は、本実施の形態に係る搬送装置1Aにおける各ローラ対R1、R2、R3の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【0068】
まず、センサ10で用紙束を検出しないタイミング(1)では、ローラ対R1は搬送速度で回転され、各ローラ対R1、R2、R3のニップ状態切換機構12a、12b、12cの偏心カム300により、上側ローラR1b、R2b、R3bは上昇されてニップが解放された状態となっている。
【0069】
タイミング(2)では、センサ10で用紙束500を検出後、センサ10からローラ対R1までの距離情報と、搬送速度情報とに基いて、用紙束500の先端がローラ対R1に到達する時間を算出し、所定のマージン時間αを加算した時間T1でローラ対R1のニップ状態切換機構12aを動作させて、ニップ状態に移行させる。
【0070】
タイミング(3)では、ローラ対R1がニップ状態に移行後、ローラ対R2についても同様に、センサ10からローラ対R2までの距離情報と、搬送速度情報とに基いて、用紙束500の先端がローラ対R2に到達する時間を算出し、所定のマージン時間αを加算した時間T2でローラ対R2のニップ状態切換機構12bを動作させて、ニップ状態に移行させる。
【0071】
ローラ対R3についても、ローラ対R1、R2と同様の制御により、時間T3でローラ対R3のニップ状態切換機構12cを動作させて、ニップ状態に移行させる。
【0072】
また、タイミング(4)では、ローラ対R1のニップ状態移行後に、ローラ対R2で用紙束500をニップし、安定するまでの所定時間を加算した時間t1でローラ対R1のニップ状態切換機構12aを動作させて、ニップを解放した状態に移行させる。
【0073】
これにより、的確なタイミングでローラ対R1、R2、R3のニップ状態を切り換えることができ、搬送途中で用紙束500がローラ対R1、R2、R3の各ローラR1a、R1b等に所謂腹当りを生じることが防止され、搬送途中で用紙束500に折れやシワを発生したり、用紙束500の端部に整合ズレを生じる事態を確実に回避することができる。
【0074】
[第2の実施の形態に係る搬送装置の概略構成]
図7は、第2の実施の形態に係る搬送装置1Bの概略構成を示す構成図である。
【0075】
なお、図7に示すように、封書作成装置200が備える整合部205のローラ対700のローラ700a、700bによって用紙束500が搬送装置1Bに搬送されるようになっている。
【0076】
第2の実施の形態に係る搬送装置1Bでは、ニップ状態切換手段は、各ローラ対R201〜R204自体で構成されている。
【0077】
即ち、各ローラ対R201〜R204は、外周面の一部に切欠部250を有し、回転途中で切欠部250同士が対向するように配置される一対のD型断面のローラ(以下、D型ローラと称する)R201a、R201b等で構成されている。
【0078】
また、各ローラ対R201〜R204のD型断面のローラR201a、R201b等は、同期して回転するように構成されている。
【0079】
即ち、例えば図7に示す例では、透過センサ601と遮蔽部材602とから構成されるエンコーダをR201bの回転軸604とギア603を介して回転させ、透過センサ601から出力されるエンコーダ信号と、ローラ対R201の下流に配設される起動センサ605から出力される用紙束500の検出信号とに基いて、ローラ対R201〜R204を駆動させるモータの同期をとるようになっている。
【0080】
また、ローラ対R201〜R204は歯車伝達機構やベルト伝達機構を介して連結され、同速度で回転するように構成されている。
【0081】
なお、各ローラ対R201〜R204を設置するピッチLの長さは、切欠部250を設けない場合のローラの円周長さと同じ長さであり、連接されるローラ対R201〜R204の切欠部250の配置角度は、それぞれのローラ対R201〜R204の設置ピッチ長と同じ長さとなるローラの円周長の角度分だけ、回転方向の手前の角度に傾けて配置するようにするとよい。
【0082】
また、マイクロコンピュータ等で構成される制御手段により、最も整合部205に近いローラ対R201の切欠部250の位置は、対向方向で向き合う角度で待機するように制御するとよい。
【0083】
次に、図8を参照して、第2の実施の形態に係る搬送装置1Bにおける各ローラ対R201〜R204動作について説明する。
【0084】
まず、封書作成装置200が備える整合部205のローラ対700のローラ700a、700bによって用紙束500が搬送装置1Bに搬送されて来るまでは、ローラ対R201のD型ローラR201a、R201bは、切欠部250が向かい合う位置(即ち、搬送経路に最大の間隙を作る位置)にて停止し待機した状態となっている。
【0085】
この状態において、ローラR201a、R201bは、用紙束500の先端部と接触しないように構成されている。
【0086】
そして、用紙束500の先端が、起動センサ605で検出されるとローラ対R201〜R204が駆動を開始する(図8(b))。
【0087】
この際に、ローラ対R201〜R204は歯車伝達機構等により連接されているので、同時に同速度で回転を開始する。
【0088】
なお、ローラ対R201〜R204は、用紙束500の長さより短いピッチLとなるように設計されている。
【0089】
また、連接するローラ対R201〜R204の切欠部250の角度は、それぞれのローラ対R201〜R204の設置長さLと同じ長さとなるローラの円周角度分だけ、回転方向の手前の角度に傾けて配置されている。
【0090】
次いで、ローラ対R201のローラR201a、R201bの外周面が用紙束500に接触するとニップ圧が生じ、用紙束500は搬送方向(図上、右方向)に搬送される。
【0091】
他のローラ対R202〜R204によってもローラ対R201のローラR201a、R201bと同様の動作が行われる(図8(d)参照)。
【0092】
このように本実施の形態に係る搬送装置1Bによれば、用紙束500の先端がローラR201a、R201b等に腹当たりしないので、用紙束500に重なり位置ズレ等が発生することを防止できる。
【0093】
特に、第1の実施の形態に係る搬送装置1Aに比して、ニップ状態切換手段の構成を簡易化することができるので、コストを低廉化することができるというメリットがある。
【0094】
なお、搬送終了後に、最も整合部205に近いローラ対R201は、遮蔽部材602と透過センサ601によって構成されるエンコーダの出力信号に基づいて、回転角度の位置が制御され、上下のローラR201a、201bの切欠部250が向かい合う位置(搬送経路に最大の間隙を作る位置)で停止され、次の用紙束500の待機状態となる。
【0095】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載にしたがって解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1A、1B…搬送装置
10…センサ(検出手段)
11…制御手段
12a〜12c…ニップ状態切換手段
20…算出手段
100…印刷装置
101…給紙部
103…印刷部
200…封書作成装置
201…搬送部
202…給紙部
203…整合部
204、206、207…折り部
205…異種用紙整合部
208…圧着部
209…排出部
250…切欠部
300…偏心カム
300a…回転軸
301…揺動アーム
301a…回転軸
302…バネ
500…用紙束(内容物)
601…透過センサ
602…遮蔽板
603…ギア
604…回転軸
605…起動センサ
700…ローラ対
A、B、C、K…搬送経路
R0〜R3…ローラ対
R100、R101…ローラ対
R1a〜R3a…下側ローラ
R1b〜R3b…上側ローラ
R202〜R204…ローラ対
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10