【解決手段】整合対象となる用紙束を構成する用紙が薄紙であると判断されたときは、用紙束となる一枚目の用紙がトレイ11の載置面11a上の用紙受入位置まで湾曲形成手段である第2搬送ローラ13bを待機位置で待機させ、一枚目の用紙が用紙受入位置まで搬送されてから用紙束を整合処理するまでの間に、第2搬送ローラ13bを待機位置から湾曲形成位置まで移動させて用紙束を持ち上げ、用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成した状態で用紙整合部14により用紙束の幅方向における整合処理を行う。
前記湾曲形成手段は、少なくとも一枚の用紙が前記トレイに載置された後に、前記用紙を下方から持ち上げて前記湾曲部分を形成することを特徴とする請求項1記載の用紙整合装置。
前記湾曲形成手段は、前記トレイの載置面より下方に配置され、前記トレイの載置面より上方に配置された第1搬送ローラに対して相対的に移動可能な第2搬送ローラであることを特徴とする請求項1又は2記載の用紙整合装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本願出願人が新規開発を進める封入封緘装置では、封筒フォームで内容物を包み込むように封入し封緘して封書を作製するため、内容物の搬送方向と直交する用紙幅方向の位置を所定の基準位置と整合させる必要がある。用紙が整合されていないと、後段での搬送処理や封入封緘処理の過程においてジャムが生じたり、封入封緘処理における折り処理や糊塗布処理の際に微細な位置ズレが生じ、作製した封書が不良品となることがあるからである。
【0005】
このような整合不良(位置ズレ)が生じる原因としては、静電気による整合フェンスへの吸着や搬送時の風圧の影響を受けて用紙が撓み、用紙幅方向の整合時に作用する力が十分伝わらないことが挙げられる。特に、内容物として薄紙(例えば坪量が約50g/m
2 以下)を使用した場合は、用紙の剛性が低いため、位置ズレが発生しやすい。従って、良好な封入封緘処理を実施するには、封入処理前に封書に封入される用紙の剛性(厚み)に左右されずに精度良く用紙整合(用紙位置決め)を行うことが必要となる。
【0006】
仮に、厚紙や普通紙の整合処理に加えて、剛性の低い薄紙(例えば坪量が約50g/m
2 以下)に対する整合処理が実施可能な特許文献1に開示される装置を、封入封緘装置の用紙整合部として採用したとする。
【0007】
しかしながら、特許文献1の装置では、例えば用紙束を整合するときに載置された用紙束を上方から押さえ付けることで用紙束に対して湾曲部分を付与する構成であるため、用紙束に掛けられた押さえ負荷が用紙幅方向への整合を妨げ、整合精度に影響が出る虞があった。
【0008】
また、封入封緘装置では、用紙が封入する規定枚数に達するまで用紙整合部に順次搬送されるため、特許文献1の装置では用紙の搬入タイミングに合わせて用紙の押さえ付けを一旦解除して用紙を受け入れる必要があり、既に搬入された用紙にズレが生じるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、用紙に余計な負荷を掛けずに湾曲部分を形成して用紙の剛性に左右されずに精度良く整合処理を実施することのできる用紙整合装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するため、請求項1記載の用紙整合装置は、用紙を載置するトレイと、
一対の整合フェンスで構成され、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に沿って往復移動して前記トレイ上に載置された前記用紙に対する整合処理を行う整合部と、
前記整合部による整合処理を実施する前に、前記用紙を前記トレイの載置面の下方から持ち上げて前記用紙に用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成する湾曲形成手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の用紙整合装置は、請求項1記載の用紙整合装置において、前記湾曲形成手段は、少なくとも一枚の用紙が前記トレイに載置された後に、前記用紙を下方から持ち上げて前記湾曲部分を形成することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の用紙整合装置は、請求項1又は2記載の用紙整合装置において、前記湾曲形成手段は、前記トレイの載置面より下方に配置され、前記トレイの載置面より上方に配置された第1搬送ローラに対して相対的に移動可能な第2搬送ローラであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項1〜3記載の用紙整合装置において、前記トレイ上の用紙が薄紙であるときにのみ、前記湾曲形成手段に前記湾曲部分を形成させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の用紙整合装置によれば、トレイ上に載置される用紙に対し、用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成することで用紙の剛性を上げて整合処理時に整合手段による押さえ力が伝わるようにしたため、用紙幅方向に対する整合処理を精度良く実施することができ、整合不良を未然に防止することができる。
【0015】
請求項2記載の用紙整合装置によれば、少なくとも一枚の用紙が用紙受入位置に搬入してから用紙を整合するまでの間に、用紙を下方から持ち上げて湾曲部分を形成するようにすることで、一枚目に搬入される用紙が湾曲形成手段に引っ掛かることなくスムーズに搬入することができる。
【0016】
請求項3記載の用紙整合装置によれば、用紙をトレイから下流側へ搬送する際に用いる第2搬送ローラを用紙に対する湾曲形成手段として機能させているため、湾曲形成手段として別途他の構成を設ける必要がなく、用紙の剛性を上げながら整合処理を精度良く行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等により考え得る実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれるものとする。
【0019】
[封書作製装置について]
まず、本発明に係る用紙整合装置1が搭載される封書作製装置100について説明する。
図1に示すように、封書作製装置100は、完成品である封書に封入される内容物Pや封筒フォームPEに対して所定の印刷処理を施す印刷ユニット(印刷装置)110と、印刷ユニット110で所定の印刷処理が施された内容物Pや封筒フォームPEに必要な折りを施した後に封筒フォームPEで内容物Pを包み込むように封入し封緘して封書を作製する封入封緘ユニット120(封入封緘装置)とで構成されている。
【0020】
<印刷ユニットについて>
印刷ユニット110は、封筒フォームPEや内容物Pに所定の印刷処理を施して後段の封入封緘ユニット120に排出する装置である。
詳述すると、各部を収納する筐体の内部又は側面等に複数種類の用紙(内容物Pとなる枚葉状の用紙P1〜P3や封筒フォームPE)を所定のタイミングで各用紙を給紙する給紙部111と、導入路112からの用紙を搬送するループ状の搬送経路113、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドC、K、M、Yからなる印刷手段114と、用紙を封入封緘ユニット120に排出する第1の排出路115と、用紙をループ外に排出する第2の排出路116と、搬送経路113を搬送されてきた用紙を受け入れた後に逆行させて搬送経路113に戻して用紙の上下を反転させるスイッチバック路117とを備えている。
【0021】
<封入封緘ユニットについて>
封入封緘ユニット120は、封筒フォームPE及び内容物Pに対して必要な折りを施して封筒フォームPEで内容物Pを包み込むように封入封緘処理をして封書を作製する装置である。なお、本実施例では封筒フォームPEを三つ折りにして内容物Pを包み込むように収容した装置であるが、封筒フォームPEの折り回数や折り方に関しては作製する完成物の形状や用途に応じて種々の形態があるため特に限定はされない。
【0022】
詳述すると、内容物Pを搬送しながら必要に応じて所定の折りを施す内容物折り部121と、封筒となる封筒フォームPEを搬送しながら必要に応じて所定の折りを施す封筒フォーム折り部122と、搬送に伴って封筒フォームPEの一部を折り畳みながら内容物Pを包み込むように収容する収容部123と、収容部123で内容物Pが収容された状態の封筒フォームPEの第2折り位置で折りを施してフラップを形成して封筒フォームPEを封筒形状にするフラップ折り部124と、フラップの折り位置を位置決めするための待機経路として機能し封筒フォームPEに予め転写された再湿糊部分に水を塗布する水塗布処理部125と、搬送に伴って水塗布後の封筒を封緘する封緘部126と、封緘処理された封書を装置筐体外部まで上昇搬送させた後、排出トレイ127aまで水平に排出搬送する排出部127とを備えている。
【0023】
また、封書作製装置100は、例えば封書作製に必要な条件が設定された封書作製ジョブ等の封書作製装置100を構成する各部を駆動するのに必要な情報を記憶する統括記憶部128と、封書作製装置100を構成する各部の駆動制御を行う統括制御部129と、を備えている。
【0024】
なお、封書作製ジョブには、例えば封書の作製通数、使用する封筒フォームPEに関する情報(印刷枚数、フォームサイズ、印刷条件(片面印刷/両面印刷)、印刷する印刷画像データ、折り方等の情報)と、内容物Pに関する情報(印刷部数、一部毎の印刷枚数、出力サイズ、用紙厚み情報(薄紙、普通紙、厚紙)、印刷条件(片面印刷/両面印刷)、印刷する印刷画像データ、折り方等の情報)等、封書を作製するのに必要な封筒フォーム情報及び内容物情報が含まれている。
【0025】
また、封書作製装置100が封書作製ジョブを入手する方法としては、ユーザが使用するPC等の外部端末装置から入力する方法、予め設定した封書作製ジョブを記憶させたUSBメモリ等の補助記憶装置を介して入力する方法、装置本体に各種入力キーやタッチパネル等で構成される設定入力手段を具備させ封書作製ジョブを設定する方法、予め設定した封書作製ジョブを記憶する外部サーバから通信ネットワークを介して入力する方法等がある。
【0026】
そして、本発明に係る用紙整合装置1は、上述した封書作製装置100における「内容物折り部121」の前段に配置され、内容物Pとなる用紙束に用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成して用紙の剛性を上げることで用紙の撓みによる整合不良を防止している。
【0027】
[用紙整合装置について]
<装置構成について>
次に、本発明に係る用紙整合装置1について説明する。
本例の用紙整合装置1は、上述した封入封緘ユニット120の筐体上方付近から水平搬送された用紙を筐体下方に配置される内容物折り部121まで搬送する下降搬送経路中に配設され、
図2又は
図3に示すように、トレイ11と、用紙厚み取得部12と、用紙搬送部13と、用紙整合部14と、記憶部15と、制御部16とを備えて構成されている。
【0028】
なお、以下の実施形態では、内容物Pとして用紙を複数枚積層して構成される用紙束を整合する処理について説明するが、内容物Pの枚数は複数枚に限らず一枚でもよい。すなわち、本装置が実施する用紙の「整合処理」とは、用紙束における用紙幅方向の端縁を揃える処理の他に、内容物Pが封筒フォームPEに正しく封入されるように用紙一枚又は用紙束における用紙幅方向の位置を所定の基準位置と整合させる処理も含まれる。
【0029】
トレイ11は、用紙整合部14が用紙整合時に摺動する際のガイドとなるガイド溝が設けられた載置面11aを有し、印刷ユニット110から順次搬送された内容物Pとなる用紙が載置面11a上に載置される。また、載置面11aには、用紙束搬送時及び用紙束に用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成する際に、トレイ11の下方で待機する後述する第2搬送ローラ13bが載置面11a上に突出又は退避移動するための開口孔11bが設けられている。
【0030】
用紙厚み取得部12は、投光器から用紙に光を出射してその光の透過率を受光器で検知する光透過センサ、用紙に対して発信器から超音波を発信して用紙からの反射率や透過率を受信器で検知する超音波センサ等の用紙の厚みが検出可能な各種センサで構成され、トレイ11に搬送される前段階で用紙の厚みを検出し、その検出結果を用紙厚み情報として制御部16に出力している。
【0031】
本形態では、
図1に示すように印刷ユニット110で印刷処理された用紙が用紙整合装置1に搬送されるまでの間(つまり、用紙整合装置1に用紙が搬入する前段)に配置され、トレイ11に搬送される前に用紙の厚みを検出して、その検出結果を示す用紙厚み情報を制御部16に出力している。
【0032】
なお、封書作製ジョブに用紙厚み情報が含まれている場合は、制御部16が封書作製ジョブから用紙厚み情報を取得することができるため、用紙厚み取得部12の構成は不要となる。
【0033】
用紙搬送部13は、トレイ11の載置面11aより上方に固定配置され、載置面11a上に載置された整合後の用紙束の表面側を支持する固定式の第1搬送ローラ13aと、載置面11aの開口孔11bから上下方向に進退可能なようにトレイの載置面11aより下方に設けられ、載置面11aに載置された用紙束の裏面側を支持する第2搬送ローラ13bとで構成される搬送ローラ対で構成されている。
【0034】
また、第2搬送ローラ13bは、下記の3つの位置に移動可能な構成となっている。第2搬送ローラ13bは、第1の位置として一枚目の用紙が用紙受入位置まで搬入されるまでの間にトレイ11の載置面11aの下方で待機するときの位置である「待機位置」と、第2の位置として用紙束を構成する一枚目の用紙が用紙受入位置まで搬入されてから用紙整合部14による整合処理が開始されるまでの間に載置面11aの開口孔11bを通過して所定高さまで上昇して用紙束に用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成する位置である「湾曲形成位置」と、第3の位置として整合後の用紙束を後段に搬送する際に第1搬送ローラ13aとで用紙束を挟持搬送するための位置である「挟持搬送位置」との3つの位置に移動する。
【0035】
また、第2搬送ローラ13bは、湾曲形成位置まで上昇して用紙受入位置まで搬送された用紙束に対して用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成させる湾曲形成手段として機能する。
【0036】
ここで、
図4を参照しながら湾曲形成手段として機能する第2搬送ローラ13bの移動位置について説明する。
なお、以下の説明における「部」とは、内容物Pとなる用紙の印刷部数を示す単位である。従って、例えば印刷ジョブとして3枚一組を5部印刷する場合は、3枚一組の用紙束が「部」に相当する。
【0037】
待機位置は、
図4(a)に示すように、封書作製ジョブの前回の部に対する整合処理が終了してから、次の部における一枚目の用紙が搬入されるまでの間に第2搬送ローラ13bが待機する位置であり、トレイ11の下方(裏面側)に位置する。
【0038】
湾曲形成位置は、
図4(b)に示すように、整合対象となる部の一枚目の用紙が搬入されてから部の枚数が揃って整合処理が開始されるまでの間に、第1搬送ローラ13aと当接しないように待機位置から所定高さだけ上昇して用紙に対し用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成するために湾曲形成手段である第2搬送ローラ13bが移動する位置である。このように、第2搬送ローラ13bが待機位置から湾曲形成位置まで移動し、載置面11a上に載置される用紙束に所定の湾曲形状を付与することで湾曲形成手段としての機能を果たす。また、第2搬送ローラ13bが湾曲形成位置まで上昇すると、用紙整合部14による整合処理が終了するまでその位置が維持される。
【0039】
なお、湾曲形成位置の高さとしては、少なくとも用紙束に用紙幅方向に沿った湾曲部分が形成されればよいため、湾曲形成位置は少なくともトレイ11の載置面11aと第1搬送ローラ13aとの間に位置すればよいが、使用する用紙の用紙情報(用紙の坪量、用紙の流れ目(縦目、横目)、用紙サイズ)や用紙束の用紙枚数に応じた最適な高さとなるように湾曲形成位置を可変制御してもよい。
【0040】
また、待機位置から湾曲形成位置まで第2搬送ローラ13bを上昇させるタイミングは、少なくとも用紙束を形成する一枚目の用紙が用紙受入位置に搬入されてから用紙束を用紙整合部14で整合するまでの間であればよい。
【0041】
さらに、湾曲形成位置は、使用する用紙が薄紙のときに用紙に対して用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成するために湾曲形成手段である第2搬送ローラ13bが移動する位置である。従って、後述する湾曲形成判断手段16aによって使用する用紙が薄紙でないと判断されたときは、第2搬送ローラ13bは湾曲形成位置に移動せず、待機位置と挟持搬送位置を所定タイミングで往復移動することになる。
【0042】
挟持搬送位置は、
図4(c)に示すように、用紙整合部14によって整合された用紙束を、第1搬送ローラ13aとで挟持して後段の内容物折り部121に搬送するための位置である。図例では、固定式の第1搬送ローラ13aに近接移動して用紙束を挟持するため、湾曲形成位置よりも高い位置となる。また、第2搬送ローラ13bが挟持搬送位置まで移動して用紙束の搬送処理を終了すると、次の部に対する整合処理を行うため、一枚目の用紙が搬入される前に待機位置まで移動する。
【0043】
用紙整合部14は、トレイ11の設けられたガイド溝に沿って相互間隔が拡幅又は縮幅可能に立設された一対の板状部材で構成され、トレイ11上に載置された用紙束の両側縁端と当接して整合基準に合わせた載置位置で整合する第1整合手段14aと、トレイ11の載置面11aに対し用紙搬送方向に沿って移動可能に立設される板状部材で構成され、用紙受入位置を規制するために用紙サイズに応じた位置に移動して用紙の搬送方向前端と当接して整合を行う第2整合手段14bとを有してなる。
【0044】
用紙整合部14は、制御部16からの制御によって使用する用紙のサイズに合わせて第2整合手段14bが用紙搬送方向に移動し、内容物Pとなる枚数だけトレイ11に載置されると、第1整合手段14aを用紙幅方向に沿って往復移動させて用紙束における用紙幅方向の位置を整合している。なお、内容物Pが用紙一枚であった場合は、湾曲形成手段である第2搬送ローラ13bによって用紙幅方向に沿った湾曲部分が形成されるため、用紙整合部14の整合処理によって用紙幅方向の位置が整合される。
【0045】
記憶部15は、例えばEEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリやDRAMやSDRAM等の揮発性メモリを含む各種半導体メモリ、HDD等の各種記憶装置で構成され、用紙が薄紙であるか否かを判断する判断基準となる薄紙判別用閾値の他、用紙整合装置1を構成する各部の駆動制御情報を記憶している。
【0046】
制御部16は、例えばCPU(Central Processing Unit )やROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)又はこれらの機能を具備するMPU(Micro-Processing Unit )等のプロセッサで構成され、用紙整合装置1を構成する各部の駆動制御を行っている。
【0047】
また、制御部16は、用紙束を構成する用紙が薄紙であるか否かの判断結果に応じて第2搬送ローラ13bが湾曲形成手段として機能するように待機位置、湾曲形成位置及び挟持搬送位置に適宜移動させる制御を行う湾曲形成判断手段16aを備えている。
【0048】
湾曲形成判断手段16aは、用紙厚み取得部12から出力された用紙厚み情報と、記憶部15に記憶される薄紙判別用閾値とを比較して用紙束に湾曲部分を形成するか否かを判断し、使用する用紙が薄紙であると判断すると、第2搬送ローラ13bが湾曲形成手段として機能するように待機位置、湾曲形成位置及び挟持搬送位置に適宜移動させる制御を行う。
【0049】
なお、湾曲形成判断手段16aによって用紙厚み情報から使用する用紙が薄紙でないと判断された場合は、湾曲形成位置への移動を行わず、用紙束が整合処理された後、待機位置から挟持搬送位置まで上昇させて通常の用紙搬送処理が実施されるように第2搬送ローラ13bを駆動制御する。
【0050】
<処理動作について>
次に、上述した用紙整合装置1による湾曲付与処理に関する一連の動作について、
図4を参照しながら説明する。
ここでは、上述した封書作製装置100の封入封緘ユニット120に搭載され、使用する用紙が薄紙であるときに、印刷ユニット110で印刷された内容物Pとなる用紙束に湾曲部分を形成した状態で整合を行った後に後段の内容物折り部121に搬出する際の動作例である。また、この動作例における第2搬送ローラ13bを湾曲形成位置に移動させるタイミングは、内容物Pの一枚目が用紙受入位置まで搬入され、二枚目の用紙が搬入される前のタイミングとする。
【0051】
まず、印刷済みの用紙が印刷ユニット110から搬送され、用紙整合装置1に搬入される前に用紙厚み取得部12で用紙の厚みを取得する。そして、取得された用紙厚み情報(ここでは、薄紙であることを示す用紙厚み情報)が制御部16に出力される。このとき、第2搬送ローラ13bは、
図4(a)に示すように待機位置で待機している。
【0052】
次に、制御部16で取得した用紙厚み情報から用紙が薄紙であることを確認されると、一枚目の用紙が搬入された後、二枚目の用紙が用紙整合装置1に搬入される前に、第2搬送ローラ13bを湾曲形成位置まで移動させる。これにより、
図4(b)に示すように、用紙受入位置まで搬入した用紙束に用紙幅方向に沿った湾曲部分が形成される。また、二枚目以降の用紙は、一つ前に搬送された用紙の表面に沿って搬入するため、第2搬送ローラ13bが用紙搬送の邪魔にはならない。
【0053】
次に、内容物Pとして設定された枚数だけ搬入されると、湾曲部分が形成された状態で用紙整合部14によって整合処理される。その後、
図4(c)に示すように、第2搬送ローラ13bを第1搬送ローラ13aに近接移動させて用紙束を挟持し、後段の内容物折り部121へ搬送する。
【0054】
以降、作製する封書通数に応じて一部ずつ内容物Pである用紙束に湾曲部分を形成した状態で整合処理を実施する。
【0055】
また、内容物Pが用紙一枚であったときは、用紙が薄紙であると確認されたときに湾曲形成手段である第2搬送ローラ13bを湾曲形成位置に移動させて用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成することで、用紙整合部14により用紙幅方向の位置が整合される。
【0056】
以上説明したように、上述した用紙整合装置1は、整合対象となる用紙束を構成する用紙が薄紙であると判断されたときは、用紙束となる一枚目の用紙がトレイ11の載置面11a上の用紙受入位置まで湾曲形成手段である第2搬送ローラ13bを待機位置で待機させ、一枚目の用紙が用紙受入位置まで搬送されてから用紙束を整合処理するまでの間に、第2搬送ローラ13bを待機位置から湾曲形成位置まで移動させて用紙を持ち上げ、用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成する。そして、用紙整合部14により湾曲部分が形成された用紙束の幅方向における整合処理を行って用紙束を整合すると、第2搬送ローラ13bを挟持搬送位置まで移動させ、整合後の用紙束を第1搬送ローラ13aとで後段の内容物折り部121に向けて挟持搬送する。
【0057】
これにより、コシの弱い薄紙に対して用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成することで用紙の剛性を上げて整合処理時に第1整合手段14aによる押さえ力が伝わるようにしたため、用紙幅方向に対する整合処理を精度良く実施することができる。従って、静電気による吸着や搬送時の風圧による用紙の撓みを起因とする整合不良を未然に防止することができる。
【0058】
また、用紙搬送部13の第2搬送ローラ13bを待機位置、湾曲形成位置、挟持搬送位置の3つの位置に移動可能な構成とし、用紙束に対する湾曲形成手段として機能させているため、湾曲形成手段として別途他の構成を設ける必要がなく、用紙の剛性を上げながら整合処理を精度良く行うことができる。
【0059】
さらに、用紙がトレイ11に搬入される前に用紙の厚みを検出する用紙厚み取得部12を設けることで、全ての用紙に対する湾曲部分の形成動作を行わずに用紙が薄紙であると判断したときのみ湾曲形成処理を実施することができる。
【0060】
[その他の実施形態について]
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に示すように使用環境等に応じて適宜変更して実施することもできる。また、以下の変更例を本発明の要旨を逸脱しない範囲の中で任意に組み合わせて実施することもできる。
【0061】
上述した形態では、用紙整合装置1を封入封緘ユニット120における内容物折り部121の前段に搭載した例で説明したが、これに限定されることはなく、用紙束を整合して後処理(例えば、印刷処理後のステープル処理や製本処理)を実施する後処理装置の用紙整合部として搭載してもよい。この場合、用紙の印刷に関する情報(例えば、出力サイズ、片面/両面印刷、印刷部数、部数毎の印刷枚数等の情報)は、本装置が接続される主装置のジョブ(印刷ジョブや製本作製ジョブ)に含まれるものとする。
【0062】
また、上述した形態では、使用する用紙が薄紙のときに湾曲形成手段で内容物Pとなる用紙又は用紙束に湾曲部分を形成する構成であるが、例えば用紙の厚さ(坪量)に加えて、用紙の流れ目(縦目、横目)、用紙のサイズ、用紙束枚数等の情報に応じて湾曲形成位置の高さを適宜変更するような構成でもよい。
【0063】
さらに、用紙搬送部13は、内容物Pとなる用紙又は用紙束に所定の湾曲部分を形成するために、可動式の第2搬送ローラ13bを固定式の第1搬送ローラ13aに近接移動させる構成として説明したが、これに限定されることはなく、少なくとも用紙又は用紙束に所定の湾曲部分を形成できる構成であればよい。従って、用紙搬送部13の他の実施形態としては、例えば第1搬送ローラ13a及び第2搬送ローラ13bが相対的に移動可能なように共に可動式とし、トレイの下方から第2搬送ローラ13bで用紙束に湾曲部分を形成した後、第1搬送ローラ13aを第2搬送ローラ13bに近接移動させて挟持搬送する構成が考えられる。
【0064】
また、上述した形態では、用紙搬送部13の各ローラが搬送方向位置に対して固定に設置した形態で説明したが、内容物Pの用紙サイズ(搬送方向サイズ)が異なる場合も考慮して、第1整合手段の整合範囲に応じて適宜搬送方向に沿って移動する構成としてもよい。
【0065】
例えば、
図5(a)に示すように、内容物のサイズがA4用紙とA5用紙を使用した場合、A4用紙の中央付近で湾曲部分を形成しようとすると、A4用紙には湾曲部分が形成されるが、A5用紙は用紙後端部が持ち上がるだけで湾曲部分が形成されない。そこで、
図5(b)に示すように、用紙サイズの小さい方に湾曲部分が形成されるように、用紙サイズの小さい方の略中央付近まで湾曲形成手段(すなわち、第2搬送ローラ13b)を用紙搬送方向に沿って所定距離移動させてから用紙を持ち上げることで、用紙サイズの大きさに拘わらず、用紙束全体に湾曲部分を形成することができる。もちろん、用紙一枚であった場合も、用紙の搬送方向のサイズに応じて適宜湾曲形成手段を所定方向に移動させれば用紙幅方向に沿った湾曲部分を形成することができる。
【0066】
また、封書作製装置100において印刷ユニット110となる印刷装置の構成としてインクジェット記録装置を用いた例で説明したが、作製する封書の作製内容に応じて内容物Pや封筒フォームPE等に所望の画像形成が可能であればよいため、インクジェット記録装置の他に例えば孔版印刷装置、複写機、レーザプリンタ等の各種画像形成装置を採用してもよい。
【0067】
さらに、上述した実施例では、用紙整合装置1に記憶部15及び制御部16を具備する構成で説明したが、本装置が搭載される封書作製装置100の統括記憶部128及び統括制御部129が、その機能を賄ってもよい。