【実施例】
【0066】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下の実施例では、特に記載がない限り、以下に示す各種溶媒、濾紙、クロマトグラフィー用担体及びHPLCカラムを用いた。また、特に明記しない試薬については、和光純薬工業社製試薬(特級)を用いた。
【0067】
[溶媒]
メタノール:ナカライテスク社製、一級
HPLC用メタノール:ナカライテスク社製、特級
【0068】
[濾紙]
アドバンテック社製:No.2
【0069】
[クロマトグラフィー用担体]
順相シリカゲルカラムクロマトグラフ用担体:関東化学社製、Silica Gel 60N
逆相ODSカラムクロマトグラフ用担体:富士シリシア社製、Chromatorex ODS1020T
【0070】
[HPLCカラム]
ナカライテスク社製、Cosmosil 5C
18−MS−II、20mm(i.d.)×250mm
【0071】
実施例1
インド産アッサムチャ花部(687.4g)を、メタノール(MeOH)で3時間熱時抽出し、抽出液を濾取した。残渣にメタノールを加え、同様の抽出操作を計3回行った。得られたメタノール抽出液を合わせ、減圧下溶媒を留去し、MeOH抽出エキス(収量280.4g、収率40.8%)(以下、括弧内で収量及び/又は収率を表す場合は、「収量」、「収率」を略して示す。なお、「収率」とは、アッサムチャ花部からの単離収率である。)を得た。
【0072】
このMeOH抽出エキス(270.4g)を、酢酸エチル(EtOAc)と水(1:1)で分配し、EtOAc移行部(17.3g、2.6%)とH
2O移行部を得た。さらにこのH
2O移行部を、n−ブタノール(n−BuOH)と水(1:1)で分配し、n−BuOH移行部(92.1g、13.9%)とH
2O移行部(144.8g、21.9%)を得た。
【0073】
実施例2 膵リパーゼ阻害作用試験
実施例1で得られたアッサムチャ花部のMeOH抽出エキス、EtOAc移行部、n−BuOH移行部、H
2O移行部について、膵リパーゼ阻害作用の検討を行った。具体的には、次に示す方法により膵リパーゼ阻害作用を求めた。表1に示す結果より明らかなように、MeOH抽出エキス、EtOAc移行部およびn−BuOH移行部に有意な阻害活性(膵リパーゼ阻害作用)が認められた。
【0074】
[膵リパーゼ阻害作用の測定]
基質としてトリオレイン溶液[トリオレイン80mg、ホスファチジルコリン10mg及びタウロコール酸5mgに0.1Mトリス緩衝液(pH7.0:0.1MのNaCl含有)9mlを加え、10分間超音波処理を行った溶液]100μlに、被験サンプル溶液5μlを加え、さらに0.1Mトリス緩衝液(pH7.0)95μlを加え、全量を200μlとした。37℃で3分間予備加温したのち、ブタ膵臓由来のリパーゼ溶液50μlを加えて30分間反応させ、その後2分間沸騰水浴(90〜100℃)に入れて反応を停止させた。別に、各サンプルにつきリパーゼ溶液に代えてトリス緩衝液を50μl加え、同様の操作を行ったものを盲検として調製した。生成したオレイン酸の濃度をNEFA C−テストワコー(和光純薬)により測定した。なお、リパーゼはトリス緩衝液に溶解し、本実験条件下で約0.7meq/Lのオレイン酸が生成する濃度に調製した。被験サンプルはDMSOを用いて溶解し希釈した。
【0075】
【数1】
【0076】
【表1】
【0077】
肥満は脂肪の合成または蓄積が分解を上回ることによって進展する。したがって肥満の予防には食事に含まれる脂肪の吸収を遅らせなければならない。食事中の脂肪は膵リパーゼによって分解され、モノグリセライドと脂肪酸となって吸収される。そこで、膵リパーゼによる脂肪の分解を阻害することで肥満を予防できると期待される。表1に示すように、MeOH抽出エキス、EtOAc移行部およびn−BuOH移行部に有意な膵リパーゼ阻害活性が認められるので、これらは脂肪分解阻害剤として使用でき、肥満の予防に効果があると期待される。
【0078】
実施例3 ヒト胃がん細胞(MKN45)を用いた細胞増殖抑制作用試験
実施例1で得られたアッサムチャ花部のMeOH抽出エキス、EtOAc移行部、n−BuOH移行部、H
2O移行部について、次に示す方法により胃がん細胞増殖抑制作用試験を行った。
【0079】
[胃がん細胞増殖抑制作用試験]
理化学研究所から購入したMKN45を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)、100unit/mlペニシリンG及び100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI−1640培地(Sigma社製)で培養(5%CO
2、37°C)した。次に細胞培養用96ウェル平底マイクロプレート(住友ベークライト社製)に、7.5×10
3cells(100μl medium/well)ずつ播種し、24時間培養した。培地に被験物質を含む培地(100μl、DMSO終濃度:0.1%)を添加して、さらに48時間培養(5%CO
2、37°C)した。
【0080】
培養後、5mg/mlの3−(4,5−dimethyl−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium bromide(MTT、PBS(−)溶液)を20μl/well添加し、4時間培養した。培地を除去した後、生成したformazanを0.04M HCl含有2−プロパノール(100μl/well)で溶解し、その後マイクロプレートリーダーにてO.D.値を測定し、以下の式により増殖抑制率を求めた(測定波長:570nm、参照波長:655nm)。
【0081】
【数2】
【0082】
【表2】
【0083】
表2に示すように、MeOH抽出エキス、EtOAc移行部およびn−BuOH移行部に有意な胃がん細胞増殖抑制作用が認められるので、これらは胃がん増殖抑制剤剤として使用でき、胃がんの予防及び増悪の抑制に効果があると期待される。
【0084】
実施例4 アッサムチャ花部の含有成分の単離
実施例1で得られたn−BuOH移行部溶出部を、順相Silica gelカラムクロマトグラフィー[2.4kg、クロロホルム(CHCl
3)→CHCl
3:MeOH:H
2O=7:3:1(下層)→65:35:10→MeOH]にて分画し、画分1(10.3g)、画分2(2.9g)、画分3(31.6g)、画分4(22.9g)、画分5(5.1g)を得た。
【0085】
画分3(30.3g)を逆相ODSカラムクロマトグラフィー[600g、MeOH:H
2O=(20:80)→(30:70)→(35:65)→(40:60)→(50:50)→(60:40)→(70:30)→(80:20)→(90:10)→MeOH→Acetone]にて分画し、画分3−1(20.7mg)、画分3−2(18.6g)、画分3−3(1.3g)、画分3−4(419.7mg)、画分3−5(1.3g)、画分3−6(238.2g)、画分3−7(568.2mg)、画分3−8(1.0g)、画分3−9(5.7g)、画分3−10(282.9mg)、画分3−11(172.3mg)、画分3−12(392.2mg)、画分3−13(899.4mg)、画分3−14(471.2mg)、画分3−15(148.3mg)、画分3−16(80.5mg)、画分3−17(30.7mg)を得た。
【0086】
さらに画分3−8(1.0g)についてHPLC[MeOH:H
2O:酢酸(AcOH)=70:30:1]を用いて分離精製した結果、化合物1(35.4mg、0.0007%)、化合物2(77.8mg、0.014%)、化合物3(18.0mg、0.003%)、化合物4(29.6mg、0.005%)、化合物5(19.9mg、0.004%)、化合物6(23.2mg、0.004%)、化合物9(58.6mg、0.011%)、化合物10(62.5mg、0.011%)、化合物11(22.4mg、0.004%)を単離した。
【0087】
また、画分3−9についてHPLC[MeOH:H
2O:酢酸(AcOH)=70:30:1]を用いて分離精製した結果、化合物12(17.1mg、0.019%)、化合物7(18.1mg、0.018%)、化合物8(34.7mg、0.035%)、化合物13(49.3mg、0.049%)、化合物14(17.1mg、0.018%)を単離した。
【0088】
上記のようにして得られた化合物1〜8及び12について、
1H−NMR、
13C−NMR、質量分析(MSスペクトル)、旋光度、IRスペクトル等の測定を行い、その測定結果に基づき構造決定を行ったところ、
化合物1は、前記構造式(1)で表されるサポニン化合物(新規トリテルペン配糖体:フローラアッサムサポニンI(Floraassamsaponin I)と命名する)、
化合物2は、前記構造式(2)で表されるサポニン化合物(新規トリテルペン配糖体:フローラアッサムサポニンII(Floraassamsaponin II)と命名する)、
化合物3は、前記構造式(3)で表されるサポニン化合物(新規トリテルペン配糖体:フローラアッサムサポニンIII(Floraassamsaponin III)と命名する)、
化合物4は、前記構造式(4)で表されるサポニン化合物(新規トリテルペン配糖体:フローラアッサムサポニンIV(Floraassamsaponin IV)と命名する)、
化合物5は、前記構造式(5)で表されるサポニン化合物(新規トリテルペン配糖体:フローラアッサムサポニンV(Floraassamsaponin V)と命名する)、
化合物6及び化合物12は、前記構造式(6)で表されるサポニン化合物(新規トリテルペン配糖体:フローラアッサムサポニンVI(Floraassamsaponin VI)と命名する)、
化合物7は、前記構造式(7)で表されるサポニン化合物(新規トリテルペン配糖体:フローラアッサムサポニンVII(Floraassamsaponin VII)と命名する)、
化合物8は、前記構造式(8)で表されるサポニン化合物(新規トリテルペン配糖体:フローラアッサムサポニンVIII(Floraassamsaponin VIII)と命名する)であることが確認された。
【0089】
又、化合物9及び化合物13は、前記構造式(9)で表されるサポニン化合物(既知トリテルペン配糖体:フローラティーサポニンD(Floratheasaponin D))、
化合物10及び化合物14は、前記構造式(10)で表されるサポニン化合物(既知トリテルペン配糖体:フローラティーサポニンG(Floratheasaponin G))であることが確認された。いずれもYoshikawa M.et al.,Chem.Pharm.Bull.,vol.55,pp598−605(2007)に記載の化合物である。
【0090】
又、化合物11は、前記構造式(11)で表され、Fu H.et al.,J.Nat.Prod.,vol.74,pp1066−1072(2011)に記載のサポニン化合物(既知トリテルペン配糖体:ゴルドノシドJ(Gordonoside J))であることが確認された。
【0091】
なお、旋光度[α]
D、質量分析、UVスペクトル、IRスペクトル及び
1H−NMR及び
13C−NMR等は、以下に示す測定装置、条件により行った。
【0092】
[旋光度]
[α]
D 堀場高感度SEPA−300デジタルポラリメーター(l=0.5)(堀場製作所社製)を用いて測定した。
【0093】
[質量分析]
高分解能質量分析(高分解能FAB−MS)及び質量分析(FAB−MS)は、日本電子社製JMS−SX 102型質量分析装置を用いて測定した。
【0094】
[IRスペクトル]
Shimadzu FT−IR DR−8000 spectrometer(島津製作所社製)を用いて測定した。
【0095】
[核磁気共鳴スペクトル]
1H−NMR及び
13C−NMRは、日本電子社製のJNM−EX 270(270MHz)、JNM−LA 500(500MHz)及びJNM−ECA 600(600MHz)を用い、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として用いて、測定した。
【0096】
[高速液体クロマトグラフィー(HPLC)]
ポンプはShimadzu LC−6ADを、示差屈折計検出器は、Shimadzu RID−10Aを、紫外可視分光光度計検出器は、Shimadzu SPD−10Aを用いた。(いずれも島津製作所社製)
【0097】
以下、実施例4で得られた新規サポニン化合物1〜8についての、外観、旋光度[α]
D、質量分析、UVスペクトル、IRスペクトル、
1H−NMRの測定結果を示す。
【0098】
[化合物1:Floraassamsaponin I]
・性状:無色無晶形粉末
・旋光度:[α]
D21−18.3°(c=0.80、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):ν
max 3400、2926、1734、1717、1698、1078cm
−1
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1415.6458[C
66H
104O
31Naの計算値: (M+Na)
+:m/z 1415.6459]
・
1H−NMR(600MHz、ピリジン−d
5)δ:0.83、1.02、1.08、1.19、1.27、1.28、1.82(3H each、all s、25、26、29、24、30、23、27−H
3)、1.62、2.05(1H each、both m、15−H
2)、1.63(3H、br d−like、21−O−Tig−4−H
3)、1.92(3H、s、22−O−Ac−H
3)、1.93(3H、d−like、21−O−Tig−5−H
3)、3.26(1H、dd−like、3−H)、3.98(2H、m、28−H
2)、4.74(1H、m、16−H)、4.76(1H、d、J=5.8Hz、1’’’’’−H)、4.97(1H、d,J=6.8Hz、1’−H)、5.71(1H、d,J=7.7Hz、1’’−H)、5.89(1H、br s、12−H)、6.05(1H、s、1’’’’−H)、6.10(1H、d、J=10.3Hz、22−H)、6.14(1H、d−like、1’’’−H)、6.58(1H、d、J=10.3Hz、21−H)、7.09(1H、m、21−O−Tig−3−H)
・
13C−NMR(150MHz、ピリジン−d
5)δ
C:表3に記載
・positive−ion FAB−MS: m/z 1415 (M+Na)
+
【0099】
[化合物2:Floraassamsaponin II]
・性状:無色無晶形粉末
・旋光度:[α]
D21−12.2°(c=0.80、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):ν
max 3400、2925、1734、1716、1697、1078cm
−1
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1415.6462[C
66H
104O
31Naの計算値: (M+Na)
+:m/z 1415.6459]
・
1H−NMR(600MHz、ピリジン−d
5)δ:0.80、0.98、1.04、1.12、1.21、1.29、1.80(3H each、all s、25、26、29、24、30、23、27−H
3)、1.60、2.05(1H each、both m、15−H
2)、1.91(3H、s、22−O−Ac−H
3)、1.96(3H、br d−like、21−O−Ang−5−H
3)、2.05(3H、d−like、21−O−Ang−4−H
3)、3.22(1H、dd−like、3−H)、3.44(2H、m、28−H
2)、4.75(1H、m、16−H)、4.77(1H、d、J=5.8Hz、1’’’’’−H)、4.93(1H、d,J=6.7Hz、1’−H)、5.33(1H、br s、12−H)、5.68(1H、d,J=7.6Hz、1’’−H)、5.92(1H、m、21−O−Ang−3−H)、6.02(1H、s、1’’’’−H)、6.03(1H、d、J=9.7Hz、22−H)、6.13(1H、d−like、1’’’−H)、6.57(1H、d、J=9.7Hz、21−H)
・
13C−NMR(150MHz、ピリジン−d
5)δ
C:表4に記載
・positive−ion FAB−MS: m/z 1415 (M+Na)
+
【0100】
[化合物3:Floraassamsaponin III]
・性状:無色無晶形粉末
・旋光度:[α]
D22−11.6°(c=0.50、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):ν
max 3400、2932、1734、1716、1700、1078cm
−1
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1269.5885[C
60H
94O
27Naの計算値: (M+Na)
+:m/z 1269.5880]
・
1H−NMR(600MHz、ピリジン−d
5)δ:0.83、1.01、1.08、1.12、1.16、1.34、1.86(3H each、all s、25、26、24、29、23、30、27−H
3)、1.66(3H、br d−like、21−O−Tig−4−H
3)、1.77(3H、s、22−O−Ac−H
3)、1.97(3H、d−like、21−O−Tig−5−H
3)、3.25(1H、dd−like、3−H)、3.47、3.73(1H each、both m、28−H
2)、4.16(1H、m、16−H)、4.40(1H、m、15−H)、4.92(1H、d,J=7.1Hz、1’−H)、5.51(1H、br s、12−H)、5.87(1H、d,J=6.8Hz、1’’−H)、6.06(1H、s、1’’’’−H)、6.15(1H、d−like、1’’’−H)、6.28(1H、d、J=10.3Hz、22−H)、6.61(1H、d、J=10.3Hz、21−H)、7.13(1H、m、21−O−Tig−3−H)
・
13C−NMR(150MHz、ピリジン−d
5)δ
C:表5に記載
・positive−ion FAB−MS: m/z 1269 (M+Na)
+
【0101】
[化合物4:Floraassamsaponin IV]
・性状:無色無晶形粉末
・旋光度:[α]
D21−21.3°(c=0.80、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):ν
max 3400、2932、1734、1716、1698、1078cm
−1
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1269.5876[C
60H
94O
27Naの計算値: (M+Na)
+:m/z 1269.5880]
・
1H−NMR(600MHz、ピリジン−d
5)δ:0.83、1.01、1.12、1.19、1.26、1.33、1.84(3H each、all s、25、26、29、24、23、30、27−H
3)、1.66(3H、br d−like、21−O−Tig−4−H
3)、1.78(3H、s、22−O−Ac−H
3)、1.97(3H、d−like、21−O−Tig−5−H
3)、3.28(1H、dd−like、3−H)、3.47、3.73(1H each、both m、28−H
2)、4.19(1H、m、16−H)、4.40(1H、m、15−H)、4.96(1H、d,J=7.1Hz、1’−H)、5.51(1H、br s、12−H)、5.71(1H、d,J=6.8Hz、1’’−H)、6.06(1H、s、1’’’’−H)、6.15(1H、d−like、1’’’−H)、6.23(1H、d、J=10.3Hz、22−H)、6.60(1H、d、J=10.3Hz、21−H)、7.13(1H、m、21−O−Tig−3−H)
・
13C−NMR(150MHz、ピリジン−d
5)δ
C:表6に記載
・positive−ion FAB−MS: m/z 1269 (M+Na)
+
【0102】
[化合物5:Floraassamsaponin V]
・性状:無色無晶形粉末
・旋光度:[α]
D22−15.8°(c=1.10、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):ν
max 3400、2932、1734、1717、1700、1078cm
−1
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1269.5890[C
60H
94O
27Naの計算値: (M+Na)
+:m/z 1269.5880]
・
1H−NMR(600MHz、ピリジン−d
5)δ:0.82、1.00、1.11、1.19、1.26、1.31、1.85(3H each、all s、25、26、29、24、23、30、27−H
3)、1.78(3H、s、22−O−Ac−H
3)、2.03(3H、d−like、21−O−Ang−5−H
3)、2.13(3H、br d−like、21−O−Ang−4−H
3)、3.23(1H、dd−like、3−H)、3.46、3.72(1H each、both m、28−H
2)、4.19(1H、m、16−H)、4.40(1H、m、15−H)、4.96(1H、d,J=7.1Hz、1’−H)、5.50(1H、br s、12−H)、5.71(1H、d,J=7.0Hz、1’’−H)、6.00(1H、m、21−O−Ang−3−H)、6.06(1H、s、1’’’’−H)、6.14(1H、d−like、1’’’−H)、6.23(1H、d、J=10.3Hz、22−H)、6.62(1H、d、J=10.3Hz、21−H)
・
13C−NMR(150MHz、ピリジン−d
5)δ
C:表7に記載
・positive−ion FAB−MS: m/z 1269(M+Na)
+
【0103】
[化合物6:Floraassamsaponin VI]
・性状:無色無晶形粉末
・旋光度:[α]
D22−13.2°(c=0.80、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):ν
max 3400、2926、1734、1719、1700、1076cm
−1
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1253.5941[C
60H
94O
26Naの計算値: (M+Na)
+:m/z 1253.5931]
・
1H−NMR(600MHz、ピリジン−d
5)δ:0.80、0.85、1.10、1.11、1.18、1.34、1.83(3H each、all s、25、26、24、29、23、30、27−H
3)、1.63、1.90(1Heach、both m、15−H
2)、1.67(3H、br d−like、21−O−Tig−4−H
3)、1.92(3H、s、22−O−Ac−H
3)、1.97(3H、d−like、21−O−Tig−5−H
3)、3.25(1H、dd−like、3−H)、3.41、3.65(1H each、both m、28−H
2)、4.47(1H、m、16−H)、4.91(1H、d,J=7.1Hz、1’−H)、5.42(1H、br s、12−H)、5.86(1H、d,J=6.2Hz、1’’−H)、6.08(1H、s、1’’’’−H)、6.15(1H、d−like、1’’’−H)、6.28(1H、d、J=10.3Hz、22−H)、6.61(1H、d、J=10.3Hz、21−H)、7.11(1H、m、21−O−Tig−3−H)
・
13C−NMR(150MHz、ピリジン−d
5)δ
C:表8に記載
・positive−ion FAB−MS: m/z 1253 (M+Na)
+
【0104】
[化合物7:Floraassamsaponin VII]
・性状:無色無晶形粉末
・旋光度:[α]
D22−22.7°(c=0.80、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):ν
max 3400、2926、1732、1717、1700、1078cm
−1
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1253.5917[C
60H
94O
26Naの計算値: (M+Na)
+:m/z 1253.5931]
・
1H−NMR(600MHz、ピリジン−d
5)δ:0.80、0.85、1.09、1.10、1.18、1.32、1.85(3H each、all s、25、26、24、29、23、30、27−H
3)、1.66、1.88(1Heach、both m、15−H
2)、1.94(3H、s、22−O−Ac−H
3)、2.03(3H、d−like、21−O−Ang−5−H
3)、2.13(3H、br d−like、21−O−Ang−4−H
3)、3.27(1H、dd−like、3−H)、3.40、3.65(1H each、both m、28−H
2)、4.48(1H、m、16−H)、4.91(1H、d−like、1’−H)、5.41(1H、br s、12−H)、5.86(1H、d,J=6.0Hz、1’’−H)、6.00(1H、m、21−O−Ang−3−H)、6.09(1H、s、1’’’’−H)、6.17(1H、d−like、1’’’−H)、6.24(1H、d、J=10.3Hz、22−H)、6.64(1H、d、J=10.3Hz、21−H)
・
13C−NMR(150MHz、ピリジン−d
5)δ
C:表9に記載
・positive−ion FAB−MS: m/z 1253 (M+Na)
+
【0105】
[化合物8:Floraassamsaponin VIII]
・性状:無色無晶形粉末
・旋光度:[α]
D22−35.9°(c=0.20、MeOH)
・IRスペクトル(KBr):ν
max 3400、2925、1734、1716、1698、1078cm
−1
・高分解能positive−ion FAB−MS: m/z 1253.5935[C
60H
94O
26Naの計算値: (M+Na)
+:m/z 1253.5931]
・
1H−NMR(600MHz、ピリジン−d
5)δ:0.83、0.90、1.08、1.12、1.17、1.28、1.90(3H each、all s、25、26、24、29、23、30、27−H
3)、1.68、1.90(1Heach、both m、15−H
2)、1.93(3H、s、28−O−Ac−H
3)、1.96(3H、d−like、21−O−Tig−5−H
3)、1.70(3H、br d−like、21−O−Tig−4−H
3)、3.23(1H、dd−like、3−H)、3.25、4.21(1H each、both m、28−H
2)、4.42(1H、m、16−H)、4.86(1H、d−like、1’−H)、5.40(1H、br s、12−H)、5.44(1H、d、J=9.4Hz、22−H)、5.90(1H、d,J=6.0Hz、1’’−H)、6.08(1H、s、1’’’’−H)、6.18(1H、d−like、1’’’−H)、6.40(1H、d、J=9.4Hz、21−H)7.01(1H、m、21−O−Tig−3−H)
・
13C−NMR(150MHz、ピリジン−d
5)δ
C:表10に記載
・positive−ion FAB−MS: m/z 1253 (M+Na)
+
【0106】
化合物1〜化合物8についての、
13C−NMR(150MHz、ピリジン−d
5)の測定結果を、それぞれ以下の表3〜表10に示す。なお、表3〜表10中、Acはアセチルを、Tigはチグロイルを、Angはアンゲロイルを、GlcAはβ−D−グルクロノピラノシルを、Glcはβ−D−グルコピラノシル、Galはβ−D−ガラクトピラノシル、Ara(p)はα−L−アラビノピラノシル、Rhaはα−L−ラムノピラノシルを表す。
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
【表5】
【0110】
【表6】
【0111】
【表7】
【0112】
【表8】
【0113】
【表9】
【0114】
【表10】
【0115】
実施例5 サポニン成分の膵リパーゼ阻害作用
実施例4で得られた化合物1〜8及び化合物11について、膵リパーゼ阻害作用の検討を実施例2と同様な方法で行った。その結果を表11に示す。その結果より明らかなように、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6、化合物7、化合物8及び化合物11に阻害活性が認められた。特に、化合物5、化合物6、化合物7、化合物8及び化合物11には、強い阻害活性が認められた。
【0116】
【表11】
【0117】
表11中のInhibition(%)は、2値平均値を表している。
【0118】
実施例6 サポニン成分のヒト胃がん増殖抑制作用
実施例4で得られた化合物1〜化合物4及び化合物6〜化合物11について、胃がん細胞増殖抑制作用の検討を実施例3と同様な方法で行った。その結果を表12、13に示すが、表12、13より明らかなように、化合物3、化合物4、化合物6、化合物7、化合物8、化合物9、化合物10及び化合物11に有意な胃がん細胞増殖抑制作用が認められた。
【0119】
【表12】
【0120】
【表13】