(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-151409(P2015-151409A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】油回収システム
(51)【国際特許分類】
C10G 1/00 20060101AFI20150728BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20150728BHJP
【FI】
C10G1/00 B
C02F11/00 KZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-23810(P2014-23810)
(22)【出願日】2014年2月10日
(71)【出願人】
【識別番号】390031978
【氏名又は名称】株式会社テクネット
(71)【出願人】
【識別番号】514032773
【氏名又は名称】CYC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514036047
【氏名又は名称】アイテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和夫
(72)【発明者】
【氏名】板津 幸治
(72)【発明者】
【氏名】板津 雅春
【テーマコード(参考)】
4D059
4H129
【Fターム(参考)】
4D059AA10
4D059BD01
4D059BD11
4D059CA06
4D059CA14
4D059CC03
4H129AA01
4H129BA08
4H129BB03
4H129BC06
4H129BC28
4H129BC35
4H129NA21
4H129NA40
4H129NA42
4H129NA43
4H129NA44
4H129NA45
(57)【要約】
【課題】高い油回収率で効率よく油を回収することができ、再利用効率を向上させることができ、コストの増大を抑制することができる。
【解決手段】オイルスラッジMから油を回収するための油回収システムであって、内部に供給されたオイルスラッジMを密閉状態で加熱させてオイルガスG0を生成する油化装置2と、油化装置2で得られたオイルガスG0を凝縮することで、油G1及びオフガスG2に分離する凝縮装置3と、を備え、凝縮装置3で分離された油G1は油回収装置4によって回収され、オフガスG2は油化装置4に供給されることを特徴とする油回収システム1を提供することである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルスラッジから油を回収するための油回収システムであって、
内部に供給された前記オイルスラッジを密閉状態で加熱させてオイルガスを生成する加熱処理部と、
該加熱処理部で得られたオイルガスを凝縮することで、油及びオフガスに分離する凝縮処理部と、
を備え、
前記凝縮処理部で分離された前記油は油回収部によって回収され、前記オフガスは前記加熱処理部に供給されることを特徴とする油回収システム。
【請求項2】
前記加熱処理部には、加熱水蒸気が導入されていることを特徴とする請求項1に記載の油回収システム。
【請求項3】
前記油回収部によって回収された油は、油精製部によって燃料ガスとして精製されることを特徴とする請求項1又は2に記載の油回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルスラッジや油汚染土壌等のオイルスラッジから効率よく油を回収することができる油回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、石油精製工程で生じる原油中のオイルスラッジは、原油ピットの底に溜まってしまうことから、適宜取り出されて燃やされたうえで廃棄されている。
このようなオイルスラッジ等のオイルスラッジは、単に燃焼させる方法ではなく、例えば特許文献1に記載されているように、廃スラッジに液体燃料を混合させ、その混合物を燃焼させることにより加熱室用燃料とする方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−150630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の油回収方法では、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1の場合には、オイルスラッジに対して新たに液体燃料を加える方法となるので、費用および時間がかかるうえ、液体燃料の割合などの管理が難しいことから、回収にかかる効率が低いという問題があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、高い油回収率で効率よく油を回収することができ、再利用効率を向上させることができ、コストの増大を抑制することができる油回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る油回収システムでは、オイルスラッジから油を回収するための油回収システムであって、内部に供給された前記オイルスラッジを密閉状態で加熱させてオイルガスを生成する加熱処理部と、該加熱処理部で得られたオイルガスを凝縮することで、油及びオフガスに分離する凝縮処理部と、を備え、前記凝縮処理部で分離された前記油は油回収部によって回収され、前記オフガスは前記加熱処理部に供給されることを特徴としている。
【0007】
上記構成に係る油回収システムでは、例えばオイルスラッジから油を回収する際に、オイルスラッジを加熱処理部に供給して加熱させることでオイルガスを生成させ、そのガス化した油(オイルガス)を凝縮処理部で凝縮処理して油及びオフガスに分離することができる。そのため、凝縮処理部で分離された油のみを効果的に回収して再利用することが可能となる。
この場合、加熱処理部においてオイルスラッジ中の油を一旦、ガス化させるため、ガス化に伴って生じる残渣に残る油分濃度を極めて少なくすることが可能となるので、オイルスラッジに含まれる油を効率よく回収することができる。このように、本発明の油回収システムでは、高い回収率を実現することができるので、回収した油の再利用効率を向上させることができる。しかも、本発明の油回収システムでは、別途の液体燃料を用いることもないので、コストの増大を抑制することができる。
【0008】
また、凝縮処理部で分離されたオフガスは、燃焼処理部に供給されて、加熱処理部の加熱用の燃料として再利用されるので、加熱処理部の加熱にかかるコストの低減も図ることが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る油回収システムでは、前記加熱処理部には、加熱水蒸気が導入されていることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、前記加熱処理部内で例えば400〜600℃に維持させると、加熱処理部を構成する加熱室の内部壁面にタール等が付着し、残留するが、加熱水蒸気を加熱中の加熱室内に注入することで、前記内部壁面への付着を抑制することができる。そのため、内部壁面へのタールの付着に伴う除去作業にかかる時間や手間を低減することができるとともに、付着による燃焼効率の低下も抑制することができるという利点がある。
【0011】
また、本発明に係る油回収システムでは、前記油回収部によって回収された油は、油精製部によって精製燃料として精製されることが好ましい。
【0012】
この場合、オイルスラッジから得られた油を精製して灯油などの燃料および発電機を使用して発電に使用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の油回収システムによれば、オイルスラッジを密閉状態で加熱させた後、オイルガスを凝縮させることで、効率よく油とオフガスに分離することが可能となるので、高い油回収率で効率よく油を回収することができ、再利用効率を向上させることができ、コストの増大を抑制することができる。しかも、オフガスは燃焼処理部に供給され、加熱処理部の加熱用の燃料として再利用されるので、加熱処理部の加熱にかかるコストの低減も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態よる油回収システムを模式的に示した図である。
【
図2】
図1に示すバッチ式の油回収システムにおける油化装置の詳細を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る油回収システムの実施の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態による油回収システム1は、石油精製時において原油から生じる油汚染土壌等のオイルスラッジから油を回収するためのものである。本実施の形態では、オイルスラッジMをオイルスラッジの一例として以下説明する。
【0017】
油回収システム1は、内部に供給されたオイルスラッジMを密閉状態で加熱させてオイルガスG0を生成する油化装置2(加熱処理部)と、油化装置2で得られたオイルガスG0を凝縮することで、油G1及びオフガスG2に分離する凝縮装置3(凝縮処理部)と、凝縮装置3で分離された油G1を回収する油回収装置4(油回収部)と、凝縮装置3で分離された油G1を精製燃料として精製する油精製装置5(油精製部)と、を備えている。
【0018】
図2に示すように、油化装置2は、ボックス型の鋼材から外殻体21が形成されており、内部に適宜量の原料(オイルスラッジM)が供給される加熱室22と、加熱室22内を加熱するための燃焼室23と、を有している。外殻体21は、密閉式であり、加熱室22において酸素を遮断し得る構成となっている。
【0019】
油化装置2は、バッチ式であり、加熱室22が適宜な大きさの内部空間に設定されている。加熱室22には、原料(オイルスラッジM)が供給される原料供給部24と、加熱水蒸気Wを導入する水蒸気導入部25と、加熱室22で加熱されたオイルスラッジMがガス化したオイルガスG0を取り出す排出路26と、が設けられている。これら原料供給部24は、外殻体21に対して開閉可能でかつ気密可能な開閉扉であって、例えば外殻体21の側面に配置され、手動あるいは自動で開閉できるようになっている。水蒸気導入部25及び排出路26は、適宜な管径の鋼管等が用いられ、加熱室22に対する接続位置も適宜設定されている。
【0020】
燃焼室23は、後述するオフガスG2が供給される燃料供給部23aに接続され、このオフガスG2を加熱源として燃焼を発生させる領域である。燃焼室23では、本実施の形態のオイルスラッジMの場合において、加熱室22内の温度を例えば400〜600℃に維持させるように加熱されることになる。
【0021】
水蒸気導入部25は、加熱水蒸気Wを加熱室22内に供給するものであり、加熱中の加熱室22内に加熱水蒸気Wを供給することで、加熱室22の内部壁面への付着を抑制することができる。オイルガス排出路26は、一端が加熱室22に、他端が凝縮装置3に接続されており、加熱室22で油化されたオイルガスG0を凝縮装置3に送り込むための配管である。
【0022】
このように油化装置2では、気密環境下で原料となるオイルスラッジMを所定温度で加熱させることで、オイルガスG0を生成することができ、オイルガスG0以外で油分除去された残渣Dは適宜な方法により回収され廃棄処理される。
なお、油化装置2として、例えばシー・ワイ・シー社製の炭化装置(CYT−25000B)等を用いることができる。
【0023】
図1に示すように、凝縮装置3は、多管式の熱交換器に冷却水を流通させた周知の構成のものが採用され、油化装置2から導入されたオイルガスG0を低温で凝縮させることによって油G1及びオフガスG2のそれぞれに分離する。
【0024】
油回収装置4は、凝縮装置3に接続され、この凝縮装置3で分離された油G1を回収するための装置である。また、本実施の形態では、油回収装置4で回収された油G1は、油精製装置5に向けて送り出されるか、原油に戻されるように構成されている。
油精製装置5は、凝縮装置3で分離された油G1を精製燃料として精製する機能を有する周知の装置を用いることができ、精製されたもの(精製油G3)は灯油などの燃料として利用される。
【0025】
また、凝縮装置3で分離されたオフガスG2は、燃焼室23に接続される燃料供給部23aに供給され、加熱室22を加熱するための燃料として再利用される。ここで、オフガスG2の成分としては、一酸化炭素(CO)、水素(H
2)、メタン(CH
4)等である。
【0026】
次に、上述した構成の油回収システム1を使用した油回収方法と、油回収システム1の作用について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態の油回収システム1では、オイルスラッジMから油を回収する際に、適宜量のオイルスラッジMを油化装置2の加熱室22内に供給して加熱させることでオイルガスG0を生成させ、そのガス化したオイルガスG0を凝縮装置3で凝縮処理して油G1及びオフガスG2に分離することができる。そのため、凝縮装置3で分離された油のみを効果的に回収して再利用することが可能となる。
【0027】
この場合、油化装置2においてオイルスラッジM中の油を一旦、ガス化させるため、ガス化に伴って生じる残渣Dに残る油分濃度を極めて少なくすることが可能となるので、オイルスラッジMに含まれる油を効率よく回収することができる。
このように、本実施の形態の油回収システム1では、高い回収率を実現することができるので、回収した油の再利用効率を向上させることができる。しかも、別途な液体燃料を用いることもないので、コストの増大を抑制することができる。
【0028】
また、凝縮装置3で分離されたオフガスG2は、再び油化装置2に供給されて、油化装置2の加熱室22の加熱用の燃料として再利用されるので、加熱室22の加熱にかかるコストの低減も図ることが可能となる。
【0029】
また、本実施の形態の油回収システム1では、油化装置2の加熱室22内で例えば400〜600℃に維持させると、加熱室22の内部壁面にタール等が付着し、残留するが、加熱水蒸気Wを加熱中に加熱室22内に注入することで、その内部壁面への付着を抑制することができる。そのため、内部壁面へのタールの付着に伴う除去作業にかかる時間や手間を低減することができるとともに、付着による燃焼効率の低下も抑制することができるという利点がある。
【0030】
また、本実施の形態では、オイルスラッジMから得られた油を油精製装置5によって精製して灯油などの燃料や、発電機を使用した発電にも使用することができる利点がある。
【0031】
上記構成からなる油回収システムは、オイルスラッジMを密閉状態で加熱させた後、オイルガスG0を凝縮させることで、効率よく油G1とオフガスG2に分離することが可能となるので、高い回収率で、かつ効率よく油を回収することができ、再利用効率を向上させることができ、コストの低減を図ることができる。
しかも、オフガスG2は油化装置2に供給され、油化装置2の加熱用の燃料として再利用されるので、油化装置2の加熱にかかるコストの低減も図ることができる。
【0032】
以上、本発明による油回収システムの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0033】
例えば、本実施の形態では、油化装置2をバッチ式としているが、これに限らずロータリー式で連続式としてもよい。このような連続式にすることにより、処理量が増えるとともに、常に加熱室内の温度を400〜600℃に維持することができるので、コストも安く運転することができる。また、とくに連続式の場合には、加熱処理部にオイルスラッジを供給する過程(例えば、配管等)に、フィルター(ストレーナー)を配置し、オイルスラッジに含まれる比較的大きなゴミ等を取り除くようにしても良い。
また、連続供給を行うために、原料中に粗大な物質を効率よく処理するために、クラッシャー等の細断・粉砕装置を設けてもよい。さらに、残渣中に油の残留が多い場合には、油を炭化させる炭化装置を付加するようにしてもよい。
【0034】
また、オイルスラッジとして、上記実施の形態ではオイルスラッジMを一例に挙げているが、これに限定されることはなく、油汚染土壌、廃塗料スラッジ、蒸留残渣、廃グリス、廃インク、廃白土、プラスチック、オイルサンド、オイルシェール残渣、潤滑油系残渣、燃料系残渣、タールピッチ系残渣、廃溶剤残渣なども適用対象とすることができる。
さらには、複数種の異なるオイルスラッジを混合したものを同時に加熱処理部に供給して、油を回収することも可能である。
【0035】
また、本実施の形態では、加熱処理部(油化装置2)の加熱室22に加熱水蒸気Wを導入しているが、必ずしも加熱水蒸気Wを加えなくてもよい。
さらに、本実施の形態の油精製装置5は省略することも可能である。
【0036】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 油回収システム
2 油化装置(加熱処理部)
3 凝縮装置(凝縮処理部)
4 油回収装置(油回収部)
5 油精製装置(油精製部)
21 外殻体
22 加熱室
23 燃焼室
D 残渣
G0 オイルガス
G1 油
G2 オフガス
G3 精製油
M オイルスラッジ
W 加熱水蒸気