【解決手段】 道路または道路周辺の構造物を点検するため、道路または道路周辺の構造物の複数の測定点にそれぞれ設置された複数のセンサと、道路に設置されて、道路を走行する車両に対して課金処理を実行し、かつ、複数の測定点における測定値を収集する測定値収集装置と、道路を走行する複数の車両に搭載されて、複数のセンサから測定値を受信して保持し、測定値収集装置の設置位置まで運搬し、測定値収集装置に転送し、かつ、測定値収集装置との間で課金処理を実行する車載器と、を備える。
前記車載器と前記複数のセンサとの間の通信と、前記車載器と前記測定値収集装置との間の通信とは、共通の通信形式で行なわれる、請求項1に記載の構造物点検システム。
前記車載器は、さらに、前記車両のセンサから走行履歴情報を受信して保持し、前記測定値収集装置に前記車両のセンサから収集した走行履歴情報を転送する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の構造物点検システム。
前記測定値収集装置は、前記車載器から前記測定値が転送された後に、前記車載器に保持された前記測定値を消去する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の構造物点検システム。
前記測定値収集装置は、前記車載器による前記測定値の転送に応じて、課金すべき料金の割引あるいはサービスポイントの提供を行なう請求項1乃至7のいずれか1項に記載の構造物点検システム。
前記測定値収集装置が収集した測定値に基づいて、前記構造物の安全評価を行なう安全評価手段を、さらに備える請求項1乃至10のいずれか1項に記載の構造物点検システム。
道路または前記道路周辺の構造物を点検するため、前記道路または前記構造物の複数の測定点にそれぞれ設置された複数のセンサから、前記道路を走行する複数の車両の車載器が測定値を受信する測定値受信ステップと、
前記複数の車両の車載器が、前記複数の測定点における測定値を収集する測定値収集装置の設置位置まで、前記測定値を保持して運搬する測定値運搬ステップと、
前記複数の車両の前記車載器と前記測定値収集装置との間で前記道路を走行する車両に対して課金処理を行ない、かつ、前記複数の車両の前記車載器から前記測定値収集装置に、前記運搬された測定値を転送する測定値転送ステップと、
を含む構造物点検方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。本実施形態においては、車両を使った道路または、道路周辺の構造物あるいは道路に沿った構造物である道路関連設備の点検システムを中心に説明するが、それに限定されない。例えば、鉄道線路や、線路周辺の構造物あるいは線路に沿った構造物の点検システムや、さらに、スマホやタブレットを使った建築物の点検システムなどへの適用も可能である。
【0016】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての構造物点検システム100について、
図1を用いて説明する。構造物点検システム100は、構造物の安全性を点検するためのシステムである。
【0017】
図1に示すように、構造物点検システム100は、複数のセンサ110と、測定値収集装置120と、車載器130と、を含む。複数のセンサ110は、道路101または道路101周辺の構造物102を点検するため、道路101または構造物102の複数の測定点にそれぞれ設置されている。測定値収集装置120は、道路101に設置されて、道路101を走行する車両に対して課金処理を実行し、かつ、複数の測定点における測定値を収集する。車載器130は、道路101を走行する複数の車両に搭載されて、複数のセンサ110から測定値を受信して測定値収集装置120の設置位置まで運搬し、測定値収集装置120に転送し、かつ、測定値収集装置120との間で課金処理を実行する。
【0018】
本実施形態によれば、車両に搭載された車載器を、道路周辺の構造物の点検用データを収集するためのネットワークとして活用することにより、少ない設備投資により構造物の監視点検をすることができる。
【0019】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る構造物点検システムについて説明する。本実施形態に係る構造物点検システムは、道路や道路周辺の構造物である、例えばトンネル壁や橋梁など、に設置され、構造物の安全性を分析するための安全評価の基準となる種々の検出センサの検出データを集めて、走行する車両の車載器に送信する複数のセンサBOXを有する。これらセンサBOXからの検出データは、車両の走行に伴い車載器に蓄積されて、測定値収集を行なう路側機、特に課金処理のための路側機に対して、課金処理時に蓄積された検出データを送信する。そして、路側機は、複数の車両の車載器から課金処理時に送信された検出データを集めて保守サーバ(保守センター)に送信する。保守サーバは集められた検出データを分析して、道路および構造物の安全性を評価する。
【0020】
《構造物点検システム》
図2乃至
図4を参照して、本実施形態の構造物点検システム200について説明する。
【0021】
(概要)
図2は、本実施形態に係る構造物点検システム200の概要を示す図である。なお、
図2は、課金ゲート206を有する有料道路205における処理の概要を示すが、本実施形態の構造物点検システムの適用は有料道路205に限定されず、路側機は課金ゲート206に設置されたものに限定されない。
【0022】
図2の有料道路205には、構造物としてトンネル203と橋204とが図示されている。トンネル203には、老朽化などの安全性評価のための複数のセンサBOX211が設置されている。また、橋204には、老朽化などの安全性評価のための複数のセンサBOX212が設置されている。また、有料道路205には、老朽化などの安全性評価のための複数のセンサBOX213が設置されている。
【0023】
走行中の複数の車両201、202は、それぞれ車載器231、232を有し、車載器231、232は、上記センサBOX211〜213からセンサの検出データを無線通信により取得して蓄積する。そして、蓄積された検出データは車両201、202の走行に伴って運搬される。そして、車両201、202が課金ゲート206に設置された課金処理用の路側機220の近傍を通過する時に、車載器231、232と路側機220間で課金処理が行なわれると共に、車載器231、232から受信され蓄積され運搬された検出データが路側機220に転送される。
【0024】
路側機220は、車載器231、232から転送された検出データを管理センタ240の保守センタ241に集中させ、保守センタ241において、道路および構造物の安全性が分析され、保守処理や危険警報が行なわれる。このように、車載器231、232を含み、道路および道路の沿った構造物の状態をセンサで調査する構成であることから、以下、“インフラプローブ”とも称する。これに対して、車両に配置されたセンサにより車両の走行状態や周囲の走行環境(道路の凸凹やスリップなど)を調査するCAN(Controller Area Network)を使用したデータ収集を、以下、“車両(V:Vehicle)プローブ”と称する。
図2には、例えば、車両のタイヤや車軸の振動から道路の凹凸を検出して車載器231、232に蓄積している。これら車両プローブのデータも路側機220に転送されて、保守センタ241における道路および構造物の安全性分析に使用される。
【0025】
また、管理センタ240の課金センタ242においては、課金処理用の路側機220からの課金明細に基づいて課金処理が行なわれる。なお、課金処理は既知の処理であり本実施形態においては、検出データの収集のために路側機が兼用されるものであり、ここでは詳細説明は省略する。
【0026】
(構成)
図3は、本実施形態に係る構造物点検システム200の構成を示すブロック図である。
【0027】
図3において、センサBOX211〜21mは、道路または道路周辺の構造物に配置されて、種々のセンサの測定値を集めて、車両の車載器231〜23nに送信する。例えば、構造物の老朽化を含む安全性を分析するための測定値は、歪センサ、温度センサ、湿度センサ、水平センサ、振動センサ、張力センサなどにより集められる。
【0028】
センサBOX211〜21mに集められ、車載器231〜23nに送信されたセンサの測定値は、車載器231〜23nに蓄積される。そして、蓄積された測定値は、車載器231〜23nによって搬送されて、車載器231〜23nから路側機221〜22pに送信される。なお、高速道路や有料道路の場合、路側機221〜22pは課金用路側機であってもよい。また、入口に設置された路側機であってもよい。さらに、一般道路に設置された路側機であってもよい。しかし、既に設置された課金用路側機などをセンサ測定値の収集用に兼用するのが、設備投資の削減や秘密情報保護の面でも望ましい。このように、センサの測定値は、車載器231〜23nにより道路ネットワークを経由しながら集められて蓄積され、路側機221〜22pまで搬送され収集される。
【0029】
路側機221〜22pで複数の車両の車載器から収集されたセンサ測定値は、有線や無線を含むネットワーク350を介して、保守管理を行なう保守サーバ(保守センタ)241や、課金を管理する課金サーバ(課金センタ)242に、全てのデータが集められて、分析される。なお、他のサービスサーバが接続されてもよいし、複数のサーバが統合されてもよい。
【0030】
このように、道路を走行する複数の車両のデータ運搬が通信ネットワークを代替することにより、新たなネットワーク構築なしに、センサ測定値の収集ができる。
【0031】
(動作手順)
図4は、本実施形態に係る構造物点検システム200の動作手順を示すシーケンス図である。
【0032】
センサ群からの測定値が、ステップS401において、各センサBOX210(211〜21mを210で代表させる)に集められる。集めるタイミングは、定期的であっても、変化があった時でも、あるいは、車載器230からのアクセス時であってもよい。また、各センサBOX210には、その記憶容量に対応して所定量の測定値が蓄積されてもよい。
【0033】
ステップS403、S405、または、S407において、各センサBOX210からセンサ群の測定値あるいは測定値履歴が、各センサBOX210の近傍を走行した車両の車載器230(231〜23nを230で代表させる)にそれぞれ送信される。そして、車載器230は、受信した測定値あるいは測定値履歴を蓄積する。
【0034】
各車載器230は、ステップS409、S413、または、S417において、本例では高速道路あるいは有料道路の出口にある課金用の路側機220(221〜22pを220で代表させる)との通信を行ない、蓄積した測定値あるいは測定値履歴を、路側機220を介して、保守サーバ241に転送する。同時に、各車載器230は、ステップS411、S415、または、S419において、課金用の路側機220から走行履歴情報に基づいて算出された課金明細を受信する。かかる課金明細は、料金精算のために、課金用の路側機220から課金サーバ242に送られる。なお、
図4の蓄積データは、センサBOX210からのセンサ測定値に限定されず、車両に設置されたセンサが取得した車両の走行履歴データにおいて、道路または道路周辺の構造物の分析に使用できるデータを含んでもよい。走行履歴データとしては、例えば、道路状態である道路表面の凸凹やスリップ、あるいは車体の振動などが含まれる。
【0035】
保守サーバ241は、ステップS421において、課金用の路側機220から収集したセンサ測定値、また、さらに走行履歴データを分析して、道路または道路周辺の構造物の老朽化などを評価して安全性を管理する。
【0036】
《センサBOXの機能構成》
図5は、本実施形態に係るセンサBOX210の概略機能構成を示すブロック図である。なお、
図5においては、詳細な機能構成とその接続は省略する。
【0037】
センサBOX210は、センサ部510を有する。センサ部510には、構造物の点検に必要なセンサとして、例えば、歪センサ511、温度センサ512、…、張力センサ51qなどを含む。なお、センサ部510の各センサは、センサBOX210の内部にあっても外部にあってもよい。センサBOX210は、車載器230と通信して、取得したセンサ測定値を送信するための無線通信制御部501を有する。
【0038】
また、センサBOX210は、センサBOX210に電源を供給する電源モジュール502を有する。電源モジュール502は、蓄電部521を有する。蓄電部521は電池を含む。また、外部からの電源を受給する受電部522を有してもよい。この場合には、蓄電部521は充電式であるのが望ましい。
【0039】
また、センサBOX210は、センサBOX210の動作を制御する制御部503と、制御部503が使用する記憶領域やセンサ測定値の記憶領域を含む記憶部504とを有する。
【0040】
《車載器の機能構成》
図6Aは、本実施形態に係る車載器230の概略機能構成を示すブロック図である。
【0041】
車載器230は、センサBOX210と通信してセンサ測定値を送信すると共に、路側機220と通信して蓄積したセンサ測定値あるいは走行履歴情報を送信ための無線通信制御部601を有する。ここで、本実施形態の無線通信制御部601は、5.8GHz帯DSRCの標準規格に従って無線通信を行なう。
【0042】
また、車載器230は、車載器230に電源を供給する電源モジュール602を有する。ここで、電源モジュール602は、蓄電機能を有する発電部621を含む。なお、蓄電部を別途、設けてもよい。また、車載器230は、車載器230の動作を制御する制御部603と、制御部603が使用する記憶領域やセンサ測定値の蓄積領域を含む記憶部604とを有する。
【0043】
さらに、車載器230は、車載器230から外部とのデータ送受信を行なうインタフェース部605を有する。インタフェース部605は、
図3のネットワーク350を介してサーバと接続することも可能である。本実施形態においては、カーナビ・アプリケーションなどによりサーバからのサービス情報を取得するために使用される。
【0044】
なお、以下、車載器230において、無線通信制御部601と、制御部603と、記憶部604とを含む、車載器230がETC対応機能を有する構成部分を、DSRC部610と総称する。また、車載器230において、インタフェース部605を含むカーナビゲーション機能を有する構成部分を、カーナビ部630と総称する。
【0045】
(DSRC部の詳細機能構成)
図6Bは、本実施形態に係る車載器230のDSRC部610の詳細機能構成を示すブロック図である。かかる車載器230のDSRC部610が、本実施形態の主要な機能構成部となる。
【0046】
車載器230のDSRC部610は、無線通信制御部601を介してセンサBOX210の識別子を受信して、センサBOX210を識別するセンサBOX識別部611を有する。また、DSRC部610は、無線通信制御部601を介してセンサBOX210からセンサ測定値を受信するセンサ測定値受信部612を有する。
【0047】
また、DSRC部610は、車両に搭載されたセンサおよび機器、あるいは、車載器230に直接接続された周辺機器とのインタフェースを行なう入出力インタフェース613を有する。入出力インタフェース613を介して、例えば、車両に設置されたセンサなどからの車両測定値を取得し、あるいは、ETC用のICカードとの情報交換を行なう。
【0048】
DSRC部610は、
図6Aの記憶部604に相当する、測定値保持部を含むデータベース(以下、DB)604を有する。本実施形態において、DB604は、センサ測定値受信部612が取得したセンサ測定値と、入出力インタフェース613を介して取得した車両測定値の内で道路や構造物の点検に関連する測定値とを含む構造物情報604aを格納する。また、DB604は、課金計算の元となる走行履歴情報604bを記憶する。
【0049】
また、DSRC部610は、無線通信制御部601を介して路側機220の識別子を受信して、路側機220を識別する路側機識別部614を有する。そして、路側機識別部614が識別した路側機220が課金用の路側機である場合に、ICカードのカードIDを路側機220に送信するカードID送信部615を有する。また、所定プロトコルに従って、路側機220とのネゴシエーションが取れれば、課金のための走行履歴情報を路側機220に送信する走行履歴送信部616を有する。また、DSRC部610は、走行履歴情報に基づいて課金用の路側機220が算出して送信した、課金情報を示す課金明細を取得する課金明細受信部617を有する。かかる課金明細は、ICカードに記録される。
【0050】
DSRC部610は、課金明細受信部617が課金明細を取得した場合に、構造物情報を路側機220に送信する測定値転送部としての構造物情報送信部618を有する。そして、課金明細の取得と構造物情報の送信が完了した場合に、路側機220からのデータ消去指示を受信すると、DB604に格納された全体あるいは一部のデータを消去するデータ消去部619を有する。
【0051】
なお、DSRC部610と情報交換してサービスを提供するサービス情報処理部としてのカーナビ部630については、詳説をしない。
【0052】
(DSRC部およびカーナビ部の処理構成)
図6Cは、本実施形態に係る車載器230のDSRC部610およびカーナビ部630の処理構成を示すブロック図である。なお、
図6Cは、
図6Aや
図6Bの機能構成を、より具体的な処理部の構成として図示したものである、個々の処理部の処理はその名称や内容記載から明瞭なので、ここでは説明を省略する。また、DSRC部610とカーナビ部630との役割分担は、
図6Cに限定されない(非特許文献1および2参照)。
【0053】
DSRC部610は、送受信部/変復調部と、DSRC制御処理部と、ETC処理部と、を有する。また、DSRC部610は、DSRC−ASL部と、基本API処理部と、セキュリティプラットホーム部と、を有する。また、DSRC部610は、ICカードインタフェース部と、メモリ部と、HMI部と、外部機器接続部と、を有する。
【0054】
一方、カーナビ部630は、ナビデータ処理部と、VICS(登録商標)処理部と、プローブデータ処理部と、を有する。これら処理部には、高精度測位計測部として、GPSやジャイロセンサなどが接続される。また、カーナビ部630は、HTTPブラウザ、音声コーデック、画像コーデック、等を含むHMI処理部を有する。HMI処理部には、ボタンやタッチパネル、等からなる操作部や、ディスプレイやスピーカを含む表示部が接続される。
【0055】
カーナビ部630には、各種の通信媒体を介してVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)のサービスを受けるための装備631が準備されるが、本実施形態において使用する通信媒体ではないので、説明を省略する。
【0056】
(プロトコルスタック)
図6Dは、本実施形態に係る車載器230のプロトコルスタックを示す図である。なお、車載器230のプロトコルスタックは、
図6Dに限定されない(非特許文献1および2参照)。
【0057】
図6Dは、DSRC部610とカーナビ部630とを整合させて接続しながら、車載器230によりユーザに種々のサービスを提供するためのプロトコルスタックの一例である。
図6Dは、本実施形態を動作させるための基礎構成と本実施形態におけるDSRCの役割を示した。
【0058】
《路側機の機能構成》
図7は、本実施形態に係る路側機220の機能構成を示すブロック図である。
【0059】
路側機220は、車載器230と5.8GHz帯DSRCの標準規格に従って無線通信を行なう無線通信制御部701を有する。
【0060】
課金用の路側機220は、車載器230からETC用のICカードのカードIDを受信するカードID受信部702を有する。また、車載器230から車両の走行履歴情報を受信する走行履歴情報受信部703を有する。課金用の路側機220は、カードIDなどによる認証と、走行履歴情報とに基づいて、料金を計算する料金計算部704を有する。そして、課金用の路側機220は、計算した料金を課金するための課金明細を生成する課金明細生成部705を有する。課金明細生成部705が生成した課金明細は、課金明細送信部706により車載器230に差し込まれたICカードに送信される。一方、課金明細は、料金清算のために通信制御部707を介して、課金サーバ242に送られる。
【0061】
一方、路側機220は、車載器230から構造物情報を受信する構造物情報受信部710を有する。構造物情報受信部710が取得した構造物情報は、構造物情報送信部711によって保守サーバ241に送信される。なお、構造物情報受信部710が取得した構造物情報は、構造物情報格納部713に履歴が蓄積されて、まとめて送信されてもよい。
【0062】
課金明細が送信され、構造物情報が取得されたならば、路側機220のデータ消去指示部712は、車載器230に対して、蓄積されていた走行履歴情報や構造物情報の全部あるいは一部を消去するように指示する。
【0063】
《保守センタのサーバの機能構成》
図8は、本実施形態に係る保守センタのサーバ241の機能構成を示すブロック図である。なお、
図8には、本実施形態に特に関連する機能を図示し、サーバ241が有する他の機能は図示されていない。
【0064】
サーバ241は、路側機220とインターネットプロトコル(IP)に従って、ネットワーク350を介して通信を行なう通信制御部801を有する。サーバ241は、センサから集められ路側機220により送信された構造物情報を受信する構造物情報受信部802を有する。路側機220により受信した構造物情報は構造物情報DB804に、構造物に対応付けてセンシング時間により整理されて格納される。例えば、タイムスタンプに基づいて重複した情報は削除される。
【0065】
サーバ241は、構造物情報DB804の情報を分析して構造物の老朽化や現在の保守状態を判定する保守状態分析部805を有する。保守状態分析部805が判定した構造物の保守状態は、保守状態送信部806により、例えば、各構造物を保守している現場の通信端末に送信される。また、保守状態分析部805が判定した構造物の保守状態は、保守状態出力部807により、表示部に表示されたり印刷部で印刷されたり、音声報知されたりして、保守センターによる構造物監視を支援する。
【0066】
なお、サーバ241は、センサ測定値を取得できないセンサBOXの識別子から、センサBOXの障害やセンサBOX設置位置の異常を判定してもよい。
【0067】
《データ構成》
図9は、本実施形態に係る構造物点検システム200のデータ構成を示す図である。
図9には、センサBOX210からサーバ241に転送されるデータ構成を順に示している。なお、
図9では、テーブル状態で示したが、データ間の関連性が保持されれば
図9の構成に限定されない。
【0068】
センサBOX210から車載器230へ転送されるデータ構成910は、センサBOXID911に対応付けて、各センサBOXが有するあるいは接続するセンサID912とセンサ種類913とを記憶する。そして、各センサID912とセンサ種類913とに対応付けて、複数のタイムスタンプ914に対応するセンサ測定値915を記憶する。
【0069】
なお、データ構成910は、センサBOX210においてセンサ単位に測定値が整理されている例を示したが、センサBOX210は取得タイム順に格納して、そのまま車載器230に転送し、車載器230や路側機220、あるいはサーバ241において、センサ単位に整理されてもよい。どこで整理するかは、処理速度や記憶容量などにより適切に決めればよい。
【0070】
車載器230から路側機220へ転送されるデータ構成920は、車載器ID921に対応つけて、センサBOXからデータを取得したデータ取得位置922と、センサBOXID911とを記憶する。なお、データ取得位置922は、車載器230が有するGPSややジャイロセンサなどによる正確な位置を記憶する。以下のデータ構成910は、センサBOX210から車載器230へ転送されたデータ構成と同様であるので、説明を省略する。
【0071】
路側機220からサーバ241へ転送されるデータ構成930は、路側機ID931に対応つけて、路側機を通過してデータを転送した複数の車載器ID921を記憶する。以下のデータ構成920は、車載器230から路側機220へ転送されたデータ構成と同様であるので、説明を省略する。
【0072】
(車載器におけるデータベース)
図10は、本実施形態に係る車載器におけるデータベース604の構成を示す図である。データベース604は、構造物情報604aと走行履歴情報604bとを含む。なお、データベース604には、車両測定値の他の情報、例えば、エンジン動作や運転操作などの関連する情報も格納されてよい。
【0073】
構造物情報604aは、測定値を取得したタイムスタンプ1011と取得したデータ取得位置1012とを対応付けて、センサ測定値データ1013及び車両測定値データ1014の少なくともいずれかを記憶する。なお、センサ測定値データ1013と車両測定値データ1014とを分けて整理して記憶してもよい。
【0074】
走行履歴情報604bは、例えば、高速道路や有料道路の場合は、入力ゲートに設置された路側機から取得した入口情報1021、途中の分岐点や合流点、あるいはサービスエリアや駐車場などの路側機から取得した第1〜第n経路情報1022〜1024、そして、出力ゲートに設置された路側機から取得した出力情報1025、を記憶する。
【0075】
《通信プロトコル》
図11Aおよび
図11Bを参照して、本実施形態で使用される通信プロトコルについて説明する(非特許文献1および2参照)。なお、路側機220とサーバ間のネットワーク350を介した通信については、本実施形態に特有のものではないので説明を省略する。また、本実施形態においては、センサBOXとの通信妨害を防ぎやセンサ測定値の機密を守るために、センサBOX−車載器間通信のプロトコルにも路車間通信のプロトコルと同様のプロトコルを使用して共通の通信形式で行なわれる。しかしながら、センサBOX−車載器間通信のプロトコルは、
図11Aに限定されない。
【0076】
(センサBOX−車載器間通信のプロトコル)
図11Aは、本2実施形態に係るセンサBOX−車載器間通信のプロトコル1110を示す図である。なお、基本的にはETCのプロトコルを使用するが、
図11Aに限定されない。
【0077】
まず、車載器230からセンサBOX210に、レイヤ1(L1:物理層)で、車載器230自身の識別子であり、ARIB((社)電波産業会:Association of Radio Industries and Businesses)規格に規定されているWCN(Wireless Call Number)が送信される。続いて、車載器230からセンサBOX210に、レイヤ2(L2:データリンク層)で、車載器230宛のデータであることを識別するための、ARIB規格に規定されているLID(Link ID)が送信される。
【0078】
次に、車載器230とセンサBOX210との間において、レイヤ7(L7:アプリケーション層)で、互いに提供可能なアプリケーションを確認して、センサ測定値の通信アプリケーションのネゴシエーションを行なう。なお、かかる確認手順は、あらかじめ車載器が選定されている場合には、省くことができる。また、
図11Aにおいて、車載器230からセンサBOX210へのアプリケーションリストの送信が破線で示されているのは、必須ではないことを示している。
【0079】
ここで、測定値通信アプリケーションの確認があれば、車載器230からセンサBOX210へ、測定値通信アプリケーションで、契約情報であるICカードIDがICカードから読み込まれて送信される。かかる手順は、本実施形態においては、ETCによる課金処理とセンサ測定値の収集処理とが一体の処理として実現させるので、センサBOX210から車載器230へのセンサ測定値の送信は、ICカードが差し込まれていることを示すICカードIDにより確認される。なお、センサ測定値の収集を許可する他の認証情報を車載器230に持たせてもよいが、ICカードIDを使用するのが新たな処理を付加しないので望ましい。
【0080】
ETCの標準プロトコルでは、次に、車載器230からセンサBOX210にナンバープレートなどの車載器固有情報や入口情報、走行履歴情報などを送信して、路側機220から課金明細を受信する。しかしながら、センサBOX−車載器間通信では、センサBOXのステータスなどを取得する必要がなければ、このプロトコルに相当する手順は必須ではない。例えば、センサBOXからのステータス、センサBOXあるいは接続センサの不調や故障などを含む、を取得する構成の場合には、車載器固有情報として保守専用車の固有情報を送って、センサBOXからのステータス(センサ情報)を取得してもよい。
【0081】
最も単純なプロトコルでは、ステップS1111において、ICカードIDを確認したセンサBOX210が、測定値通信アプリケーションで、測定して蓄積したセンサ測定値を車載器230に送信する。そのデータ構成の一例が
図9に示されている。
【0082】
最後に、オプションとして、車載器230はセンサ測定値の受信を完了すると、センサBOX210に蓄積されたセンサ測定値の消去を指示する。なお、このセンサ測定値の消去は、センサ測定値の重複をセンサBOX−車載器間通信において省くための工夫であり、センサ測定値の重複をセンサBOXIDとタイムスタンプtpに基づいてサーバ241で行なうのであれば、必要ない。この場合、センサBOX210は、巡回アドレスの記憶部により、最も旧いセンサ測定値を新しいセンタ測定値で上書きするように構成するのが望ましい。
【0083】
(路車間通信のプロトコル)
図11Bは、本実施形態に係る路車間通信のプロトコル1120を示す図である。なお、基本的にはETCのプロトコルを使用するが、
図11Bに限定されない。
【0084】
まず、車載器230から路側機220に、レイヤ1(L1:物理層)で、車載器230自身の識別子であり、ARIB規格に規定されているWCNが送信される。続いて、車載器230から路側機220に、レイヤ2(L2:データリンク層)で、車載器230宛のデータであることを識別するための、ARIB規格に規定されているLIDが送信される。
【0085】
次に、車載器230と路側機220との間において、レイヤ7(L7:アプリケーション層)で、互いに提供可能なアプリケーションを確認して、ETCアプリケーションのネゴシエーションを行なう。
【0086】
ここで、ETCアプリケーションの確認があれば、車載器230から路側機220へ、ETCアプリケーションで、契約情報であるICカードIDがICカードから読み込まれて送信される。かかる手順により、路側機220から車載器230への課金明細の送信が、ICカードが差し込まれていることを示すICカードIDにより確認される。
【0087】
次に、車載器230から路側機220に、ナンバープレートなどの車載器固有情報や入口情報、走行履歴情報などを送信する。路側機220は、車載器固有情報や入口情報、走行履歴情報などから料金計算を行なって課金明細を生成して、路側機220から車載器230に、出口情報、走行履歴情報、課金明細を送信する。
【0088】
さらに、ステップS1121において、車載器230から路側機220に、車載器230に蓄積された構造物蓄積情報が送信される。
【0089】
最後に、路側機220は構造物蓄積情報の受信を完了すると、路側機220に蓄積されたセンサ測定値や車両測定値を含む構造物蓄積情報と、走行履歴情報との消去を指示する。なお、この構造物蓄積情報と走行履歴情報との消去は、構造物蓄積情報および走行履歴情報が悪用されないように機密を守るためである。
【0090】
《車載器のハードウェア構成》
図12は、本実施形態に係る車載器230のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0091】
図12で、CPU(Central Processing Unit)1210は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図6A乃至
図6Dの車載器230の機能構成部を実現する。ROM(Read Only Memory)1220は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。また、無線通信制御部601は、ネットワークあるいはLANを介してセンサBOX210や路側機220と通信する。
【0092】
なお、CPU1210は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPUを含んでもよい。また、無線通信制御部601は、CPU1210とは独立したCPUを有して、RAM1240の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM1240とストレージ1250との間でデータを転送するDMACを設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、入出力インタフェース613は、CPU1210とは独立したCPUを有して、RAM1240の領域に入出力データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。したがって、CPU1210は、RAM1240にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU1210は、処理結果をRAM1240に準備し、後の送信あるいは転送は無線通信制御部601やDMAC、あるいは入出力インタフェース613に任せる。
【0093】
RAM1240は、CPU1210が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM1240には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。センサBOXからの受信データ1241は、センサBOX210から受信したセンサ測定値である。路側機への送信データ1242は、路側機220へ送信される構造物履歴情報である。通信用データ1243は、WCNやLIDを含むETCのプロトコルで使用するデータである。ICカードID1244は、挿入されたETC用ICカードのカード会社などから割り振られた固有の識別子である。走行履歴情報、入口/出口情報1245は、課金処理のために路側機220に送信する情報である。課金明細データ1246は、走行履歴情報、入口/出口情報1245に基づいて路側機220で算出されて生成され、路側機220から受信した課金明細のデータである。
【0094】
ストレージ1250には、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。通信プロトコル1251は、
図11Aおよび
図11Bに示した通信プロトコルや、カーナビ部630が外部装置とインターネット接続する通信プロトコルなどを含む。センサ測定値蓄積部と車両測定値蓄積部とは、データベース604の構造物情報604aに相当するデータを蓄積する。走行履歴情報蓄積部604bは、データベース604の走行履歴情報に相当するデータを蓄積する。
【0095】
ストレージ1250には、以下のプログラムが格納される。車載器制御プログラム1252は、本車載器230全体を制御する制御プログラムである。センサ測定値取得モジュール1253は、センサBOX210からセンサ測定値を取得するためのモジュールである。車両測定値取得モジュール1254は、車両に配置されたセンサからセンサ測定値を取得するためのモジュールである。課金明細取得/構造物情報送信モジュール1255は、路側機220から課金明細を取得すると共に、路側機220に構造物履歴情報を送信するためのモジュールである。ICカード制御モジュール1256は、本実施形態で利用するETCにおいて、ICカードを制御するためのモジュールである。
【0096】
入出力インタフェース613は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース613には、表示部1261、タッチパネル/キーボードなどの操作部1262、が接続される。また、スピーカやマイクなどの音声入出力部1263が接続される。さらに、挿入されたICカードを制御するICカード制御部1264が接続される。さらに、撮像部やGPS位置検出部なども含む車両用センサ1265が接続される。
【0097】
なお、
図12のRAM1240やストレージ1250には、車載器230が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
【0098】
《車載器の処理手順》
図13は、本実施形態に係る車載器230の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、CPU1210がRAM1240を使用して実行し、
図6A乃至
図6Dの機能構成部を実現する。
【0099】
車載器230は、ステップS1311において、センサBOX210からの応答があったか否かを判定する。センサBOX210からの応答があった場合、車載器230は、ステップS1313において、センサ測定値を取得する。そして、車載器230は、ステップS1315において、センサBOX210から取得したセンサ測定値をデータベース604に蓄積する。
【0100】
また、車載器230は、ステップS1321において、路側機220からの応答があったか否かを判定する。路側機220からの応答があった場合、車載器230は、ステップS1323において、課金処理が有るか否かを判定する。かかる判定は、応答した路側機220が高速道路や有料道路の出口ゲートに設置された、課金用アプリケーションを有するか否かにより行なわれる。課金処理が有れば、車載器230は、ステップS1325において、課金処理を行なう。課金処理としては、車載器230から路側機220への走行履歴情報の送信と、路側機220からの課金明細の受信とを含む。次に、車載器230は、ステップS1327において、車載器230から路側機220へ構造物履歴情報を送信する。
【0101】
車載器230は、ステップS1329において、路側機220からの履歴情報の消去指示を待つ。路側機220からの履歴情報の消去指示は、路側機220が構造物履歴情報の受信を完了したことを示す。路側機220からの履歴情報の消去指示を受信すると、車載器230は、ステップS1331において、データベース604から走行履歴情報および構造物履歴情報を消去する。なお、ステップS1331の消去は、全部あるいは選択された一部であってもよい。
【0102】
なお、センサBOX210、路側機220、サーバ241および242のハードウェア構成とフローチャートについては、以上の記載から明瞭であるので、図示および詳細な説明は省略する。
【0103】
本実施形態によれば、既存のETC用設備を使用して、道路または道路周辺の構造物の点検ができる。したがって、少ない設備投資により、情報漏洩を防ぐと共に構造物の監視点検をすることができる。
【0104】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る構造物点検システムについて説明する。本実施形態に係る構造物点検システムは、上記第2実施形態と比べると、各車両の各車載器が収集すべきセンサ測定値を路側機−特に、高速道路や有料道路の入口の路側機、が選択指示する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0105】
《構造物点検システムの動作手順》
図14は、本実施形態に係る構造物点検システムの動作手順を示すシーケンス図である。なお、
図14において、第2実施形態の
図4と同様のステップには同じステップ番号を付して、説明を省略する。
図14には、高速道路や有料道路の入口に設置された路側機1420が追加されている。
【0106】
まず、本実施形態の車載器1430は、ステップS1400において、路側機1420から収集すべきセンサ測定値を保持するセンサBOX、あるいは収集すべきセンサの指定を受けて記憶する。
【0107】
その後の走行中に、ステップS1403、S1405、または、S1407において、各センサBOX210からセンサ群の測定値あるいは測定値履歴は、路側機1420により指定されたセンサBOXあるいはセンサが選択されて受信される。
図14において、×が図示されたセンサBOXからのデータは受信あるいは蓄積されない。
【0108】
なお、
図14においては、センサBOX単位での選択をしたが、センサ単位の選択も同様にできる。以下のステップS409からS421の動作は
図4と同様なので、説明を省略する。
【0109】
《車載器の機能構成》
図15は、本実施形態に係る車載器1430のDSRC部1510の詳細機能構成を示すブロック図である。なお、
図15において、第2実施形態の
図6Bと同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0110】
測定値選択部としてのセンサ選択受信部1511は、入口に配置された路側機1420からセンサ選択情報を受信する。そして、受信したセンサ選択情報は、センサ選択記憶部1512に保持される。そして、センサ選択情報は、センサBOXの選択であれば、センサBOX識別部611に対してセンサ測定値を受信するか否かを選択させる。図示はしないが、センサの選択であれば、センサ測定値受信部612に対してセンサ測定値を受信するか否かを選択させる。あるいは、データベース604における蓄積時に格納するか否かを選択してもよい。
【0111】
(路車間通信のプロトコル)
図16は、本実施形態に係る路車間通信のプロトコル1600を示す図である。なお、
図16において、第2実施形態の
図11Bと同様の処理手順については、説明を省略する。
【0112】
路側機1420は、ステップS1601において、センサBOX(orセンサ)選択情報あるいは測定値選択情報を車載器1430に送信する。なお、行き先までの複数の経路がある場合に、走行経路指示情報を送信して、走行経路を指定してもよい。
【0113】
《車載器の処理手順》
図17は、本実施形態に係る車載器1430の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、CPU1210がRAM1240を使用して実行し、
図15の機能構成部を実現する。なお、
図17において、第2実施形態の
図13と同様のステップには同じステップ番号を付して、説明を省略する。
【0114】
センサBOX210からの応答があった場合、車載器1430は、ステップS1712において、入口の路側機1420指定されたセンサBOXか否かを判定する。指定されたセンサBOXでなければ、センサ測定値の受信をせずに処理を終了する。指定されたセンサBOXであれば、以降、ステップS1313およびS1315において、センサ測定値を取得して蓄積する。
【0115】
路側機から応答があった場合、車載器1430は、ステップS1723において、路側機が入口の路側機1420か、出口の路側機220か、その他の路側機かを判定する。出口の路側機220であれば、車載器1430は、
図15と同様に、課金処理と構造物履歴情報の路側機220への送信処理を実行する。その他の路側機であれば、課金処理をスキップして、構造物履歴情報の路側機への送信処理を実行する。
【0116】
そして、入口の路側機1420であれば、車載器1430は、ステップS1725において、入口情報を取得する。そして、車載器1430は、ステップS1727において、入口情報にセンサBOX指定が有るか否かを判定する。センサBOX指定が有れば、車載器1430は、ステップS1729において、指定されたセンサBOXを記憶する。
【0117】
本実施形態によれば、あらかじめ必要な収集データを走行経路なども参照して車載器に割り当てることにより、重複するセンサ測定値を収集して、後で重複をなくして必要なデータを抽出する処理をなくすことができる。
【0118】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る構造物点検システムについて説明する。本実施形態に係る構造物点検システムは、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、センサBOXの電源を車載器が供給する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態あるいは第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0119】
《車載器およびセンサBOXの機能構成》
図18は、本実施形態に係る車載器1830およびセンサBOX1810の機能構成を示すブロック図である。なお、
図18は、第2実施形態の
図5および
図6Aに対応する詰めであり、
図5または
図6Aと同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0120】
図18の
図5および
図6Aとの相違点は、センサBOX1810の電源モジュール1812と車載器1830の電源モジュール1832とである。
図18においては、車載器1830の電源モジュール1832からセンサBOX1810の電源モジュール1812に、無線通信により電力が供給される。
【0121】
このため、センサBOX1810の電源モジュール1812には、無線通信により電力を受信する受電部1822が設けられ、車載器1830の電源モジュール1832には、無線通信により電力を送信する給電部1823が設けられている。
【0122】
かかる給電部1823と受電部1822との間の電力伝送は、既存の種々の方式が使用されてよい。なお、本実施形態によれば、データ伝送に5.8GHz帯DSRCの標準規格に従う無線通信が使用されており、これを電力伝送にも援用して十分な電力供給ができる。
【0123】
本実施形態においては、センサBOX1810の電源が車載器1830からの給電に依存するので、センサBOX1810の電力使用を抑える必要がある。そのためには、センサBOX1810の起動期間の短縮制御や、データの不揮発性記憶、蓄電部521の改良が望まれる。
【0124】
《車載器の処理手順》
図19は、本実施形態に係る車載器1830の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、CPU1210がRAM1240を使用して実行し、
図18の機能構成部を実現する。なお、
図19において、第2実施形態の
図13と同様のステップには同じステップ番号を付して、説明を省略する。
【0125】
センサBOX1810からの応答があった場合、車載器1830は、ステップS1912において、給電部1823から受電部1822への無線通信による電力供給を開始する。
【0126】
そして、車載器1830は、ステップS1913において、ステップS1313におけるセンサ測定値の取得完了を待つ。センサ測定値の取得完了を判定すれば、車載器1830は、ステップS1914において、給電部1823から受電部1822への無線通信による電力供給を終了する。
【0127】
本実施形態によれば、センサBOXの電源を車載器からの無線通信による電力供給により行なうので、センサBOXを作成段階で構造物に埋め込んでおけば、構造物の耐久年の間、半永久的にセンサ測定値を取得することができる。すなわち、大容量の電池や有線配線による電力供給、あるいは、センサBOXを給電できる表面に設置し、定期的に電力供給する手間などを省くことができる。
【0128】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る構造物点検システムについて説明する。本実施形態に係る構造物点検システムは、上記第2実施形態乃至第4実施形態と比べると、センサBOXからセンサ測定値を集めて路側機を介して保守サーバに転送した車両に対して、課金の割引あるいはポイント提供をする点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第4実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0129】
《路側機の機能構成》
図20は、本実施形態に係る路側機2020の機能構成を示すブロック図である。なお、
図20において、第2実施形態の
図7と同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0130】
路側機2020において、課金明細生成部2005は、構造物情報受信部710が車載器から構造物情報を取得すれば、料金計算部704が計算した料金から割り引いた課金明細を生成して、車載器およびサーバに通知する。これにより、利用料金が割り引かれる。あるいは、図示しないが、車載器に挿入されたICカードにサービスポイントを追加することで、構造物情報の運搬のインセンティブを与えてもよい。
【0131】
《路側機の処理手順》
図21は、本実施形態に係る路側機2020の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、路側機2020の制御を司るCPUがRAMを使用して実行し、
図20の機能構成部を実現する。なお、
図21のフローチャートは、本実施形態の特徴的な部分のみを抽出して図示している。
【0132】
路側機2020は、ステップS2101において、車載器からICカードのカードIDを取得する。路側機2020は、ステップS2103において、車載器から走行履歴情報を取得して、料金を計算する。
【0133】
次に、路側機2020は、ステップS2105において、車載器から構造物情報を取得したか否かを判定する。構造物情報を取得しなかった場合は、値引きやポイント提供なしに課金される。構造物情報を取得した場合、路側機2020は、ステップS2107において、値引きまたはポイント提供を行なう。
【0134】
また、路側機2020は、ステップS2105において、他の値引き要因があるか否かを判定する。値引き要因がなければ、値引きやポイント提供なしに課金される。値引き要因があれば、路側機2020は、ステップS2111において、値引きまたはポイント提供を行なう。
【0135】
路側機2020は、ステップS2113において、値引きを反映させた課金明細書を生成して、車載器に送信する。そして、路側機2020は、ステップS2115において、車載器に対して蓄積データの消去を指示する。
【0136】
本実施形態によれば、自車両の車載器によってセンサ測定値の収集を支援した場合に、値引きやポイント提供を受けられるので、ユーザに対して構造物情報の運搬のインセンティブを与えることができる。
【0137】
[他の実施形態]
上記実施形態においては、道路と、道路周辺の構造物あるいは道路に沿った構造物としてトンネルや橋などを点検の対象としたが、道路周辺の建築物あるいは道路の沿った建築物であってもよく、その場合は、センサ群は、建築物の壁、柱、床または天井に設置されて、建築物の安全評価の基準となる測定値を取得する。
【0138】
また、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0139】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
前記車載器と前記複数のセンサとの間の通信と、前記車載器と前記測定値収集装置との間の通信とは、共通の通信形式で行なわれる、請求項1に記載の構造物点検システム。
前記車載器は、さらに、前記車両のセンサから走行履歴情報を受信して保持し、前記測定値収集装置に前記車両のセンサから収集した走行履歴情報を転送する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の構造物点検システム。
前記測定値収集装置は、前記車載器から前記測定値が転送された後に、前記車載器に保持された前記測定値を消去する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の構造物点検システム。
前記測定値収集装置は、前記車載器による前記測定値の転送に応じて、課金すべき料金の割引あるいはサービスポイントの提供を行なう請求項1乃至7のいずれか1項に記載の構造物点検システム。
前記測定値収集装置が収集した測定値に基づいて、前記構造物の安全評価を行なう安全評価手段を、さらに備える請求項1乃至10のいずれか1項に記載の構造物点検システム。
道路または前記道路周辺の構造物を点検するため、前記道路または前記構造物の複数の測定点にそれぞれ設置された複数のセンサから、前記道路を走行する複数の車両の車載器が測定値を受信する測定値受信ステップと、
前記車載器から前記複数のセンサに電力を伝送する電力伝送ステップと、
前記複数の車両の車載器が、前記複数の測定点における測定値を収集する測定値収集装置の設置位置まで、前記測定値を保持して運搬する測定値運搬ステップと、
前記複数の車両の前記車載器と前記測定値収集装置との間で前記道路を走行する車両に対して課金処理を行ない、かつ、前記複数の車両の前記車載器から前記測定値収集装置に、前記運搬された測定値を転送する測定値転送ステップと、
を含む構造物点検方法。
前記道路を走行する複数の車両に搭載されて、前記複数のセンサから測定値を受信して保持し、前記測定値収集装置の設置位置まで運搬し、前記測定値収集装置に転送し、かつ、前記測定値収集装置との間で前記課金処理を実行する車載器
道路または前記道路周辺の構造物を点検するため、前記道路または前記構造物の複数の測定点にそれぞれ設置された複数のセンサから、前記道路を走行する複数の車両の車載器が測定値を受信する測定値受信ステップと、
前記複数の車両の前記車載器と前記測定値収集装置との間で前記道路を走行する車両に対して課金処理を行ない、かつ、前記複数の車両の前記車載器から前記測定値収集装置に、前記運搬された測定値を転送する測定値転送ステップと、