【解決手段】スプール12の内部に、入力用ポートPに常時連通するパイロット通路15を形成し、このパイロット通路15とパイロットピストン22の一側の第2受圧室30とを、前記スプール12とパイロットピストン22とが連なる部分に形成した常開連通路35を通じて常時連通させると共に、該第2受圧室30と前記パイロットピストン22の他側の第1受圧室29とを、ピストン箱に形成されてパイロット弁4で開閉される開閉連通路36を通じて連通させ、前記パイロット弁4をオン、オフさせて前記第1受圧室29に対してパイロットエアを給排することにより、前記パイロットピストン22を駆動してスプール12を切り換える。
入力用、出力用、排気用のポートを有する弁ボディと、該弁ボディの内部に、該弁ボディを貫通し且つ前記ポートに連通するように形成された弁孔と、該弁孔内に該弁孔の軸線方向に摺動自在に挿入され、前記ポート同士を結ぶ流路を開閉するスプールと、該スプールの内部に、該スプールの動作位置に拘わらず常に前記入力用ポートに連通するように形成されたパイロット通路とを有する主弁部、及び、前記弁ボディの端部に設けられたパイロット弁部を有し、
前記パイロット弁部は、前記弁ボディに接続されたピストン箱と、前記スプールの端部に連なるように形成されて該ピストン箱の内部に摺動自在に収容された、前記スプールより大径のパイロットピストンと、該パイロットピストンの一側と他側とに区画された第1受圧室及び第2受圧室と、前記スプールとパイロットピストンとが連なる部分に、前記パイロット通路と前記第2受圧室とを常時連通させるように形成された常開連通路と、前記ピストン箱に、前記パイロット通路と前記第1受圧室とをパイロット弁を介して連通させるように形成された開閉連通路と、該開閉連通路を開閉する電磁操作式の前記パイロット弁と、
を有することを特徴とする電磁パイロット式スプール弁。
前記開閉連通路は、一端が前記第2受圧室に連通することにより、該第2受圧室及び前記常開連通路を介して前記パイロット通路に連通していることを特徴とする請求項1に記載のスプール弁。
前記パイロットピストンは、前記スプールと別体に形成されて該スプールに連結され、前記常開連通路は、該スプールと前記パイロットピストンとの間に介在する隙間によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプール弁。
前記パイロットピストンの外周に取り付けられたピストンパッキンは、シールに方向性を有するリップタイプのピストンパッキンであり、該ピストンパッキンは、前記第1受圧室から第2受圧室に向かうエアは遮断しないが、前記第2受圧室から第1受圧室に向かうエアは遮断する向きに配設されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のスプール弁。
【背景技術】
【0002】
電磁操作方式のパイロット弁によってスプールを切り換える電磁パイロット式スプール弁は、例えば特許文献1に開示されているように既に周知のものである。この種のスプール弁には、2つのパイロット弁を有するダブルパイロット式のスプール弁と、1つのパイロット弁を有するシングルパイロット式のスプール弁とがある。
【0003】
このうち、前記ダブルパイロット式のスプール弁は、スプールの両端に設けたパイロットピストンに、前記2つのパイロット弁を交互にオン、オフさせてパイロットエアを交互に作用させることにより、前記スプールを往復動させて複数のポート間の流路を切り換えるものである。
【0004】
一方、前記シングルパイロット式のスプール弁は、スプールの一端と他端とに互いに径の異なるパイロットピストンを配設し、小径のパイロットピストンにパイロットエアを常時作用させた状態で、前記パイロット弁をオン、オフさせて大径のパイロットピストンに対してパイロットエアを給排することにより、両パイロットピストンの受圧面積差に基づく作用力差を利用して、前記スプールを往復動させて複数のポート間の流路を切り換えるものである。
【0005】
この種のスプール弁は、通常、特許文献1に開示されているように、前記スプールを内蔵する弁ボディの両端にピストン箱を接続し、このピストン箱の内部に前記パイロットピストンを収容し、前記パイロットエアは、前記弁ボディに形成された入力ポートから、該弁ボディの内部を通るパイロット通路を通じて前記ピストン箱まで導き、該ピストン箱に形成された通路を通じて前記パイロットピストンに作用させるように構成されている。
【0006】
このため、前記従来のスプール弁においては、入力用、出力用、排気用の複数のポートや、各種の部品を取り付けるための窪みや孔、あるいはマニホールドベースに取り付けるための複数の取付孔等が設けられている前記弁ボディの内部に、前記パイロット通路をさらに形成する必要があり、この結果、弁ボディの内部構造が複雑になって設計及び加工が煩雑であるという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1−
図3は本発明に係る電磁パイロット式スプール弁の第1実施形態を示すものである。この第1実施形態のスプール弁1Aは、1つのパイロット弁4を有するシングルパイロット式のスプール弁であって、5ポート弁としての弁構造を有する主弁部2と、該主弁部2の一端側に設けられたパイロット弁部3とを有している。
【0017】
前記主弁部2の弁ボディ10には、入力用、出力用、排気用の5つのポートP,A1,A2,R1,R2が形成されている。この5つのポートの配置は、中央の入力用ポートPの両側に第1及び第2の出力用ポートA1,A2が位置し、該第1及び第2の出力用ポートA1,A2の両外側に第1及び第2の排気用ポートR1,R2が位置するような配置である。また、前記弁ボディ10の内部には、前記5つのポートP,A1,A2,R1,R2に連通する円形の弁孔11が、該弁ボディ10を第1端10a側から第2端10b側まで貫通するように形成されている。
【0018】
前記弁孔11の内部には、隣接する前記ポート同士を結ぶ流路を開閉するスプール12が、該弁孔11の軸線L方向に摺動自在に挿入されている。該スプール12は、前記入力用ポートPと第1の出力用ポートA1とを結ぶ流路を開閉する第1ランド部12aと、前記入力用ポートPと第2の出力用ポートA2とを結ぶ流路を開閉する第2ランド部12bと、前記第1の出力用ポートA1と第1の排気用ポートR1とを結ぶ流路を開閉する第3ランド部12cと、前記第2の出力用ポートA2と第2の排気用ポートR2とを結ぶ流路を開閉する第4ランド部12dとを有していて、各ランド部12a−12dの外周にシール部材13が取り付けられている。
【0019】
また、前記スプール12は、前記第3ランド部12cより外側の端部に、前記弁孔11の第1端10a側の孔端を常時閉鎖する第1封止用ランド部12eを有すると共に、前記第4ランド部12dより外側の端部に、前記弁孔11の第2端10b側の孔端を常時閉鎖する第2封止用ランド部12fを有し、各封止用ランド部12e,12fの外周にシール部材14が取り付けられている。
【0020】
更に、前記スプール12の内部には、該スプール12の中心を軸線L方向に延びるパイロット通路15が形成され、該パイロット通路15の一端15aは、前記弁ボディ10の第1端10a側において前記スプール12の端部に開口し、前記パイロット通路15の他端は、前記第1ランド部12aと第2ランド部12bとの間の位置で前記スプール12の側面に開口するパイロット入力孔15bに連通し、このパイロット入力孔15bを通じて前記入力用ポートPに連通している。前記パイロット入力孔15bが開口する位置は、前記第1ランド部12a及び第2ランド部12bのどちらが流路を開放しあるいは閉鎖している状態でも、常に前記入力用ポートPに連通する位置である。従って、前記パイロット通路15は、前記スプール12がどのような動作位置にあっても、常に前記入力用ポートPに連通していることになる。
【0021】
前記パイロット弁部3は、前記弁ボディ10の第1端10aに接続されたピストン箱20と、該ピストン箱20に連結された前記パイロット弁4とを有している。
前記ピストン箱20の内部には、前記弁孔11の端部に通じるピストン室21が形成され、該ピストン室21の内部に、パイロットピストン22が軸線L方向に摺動自在に収容されている。前記ピストン室21は前記弁孔11より大径であり、従って、前記パイロットピストン22は前記スプール12より大径である。
【0022】
前記パイロットピストン22の、前記スプール12に向き合う側の面には、前記弁孔11よりやや小径の円柱状をなすピストン軸23が形成され、該ピストン軸23を直径方向に横断する溝状の凹部24内に、前記スプール12の端部に形成されたフランジ状の凸部25が係止することにより、前記パイロットピストン22と前記スプール12とが、後述の常開連通路35となる隙間26を介して一体に連結されている。また、前記ピストン軸23は、前記パイロットピストン22によるスプール12の切り換え動作に伴って前記弁孔11内に嵌入したり脱出したりし、該ピストン軸23が前記弁孔11内に嵌入したとき該ピストン軸23の外周と前記弁孔11の内周との間には、前記隙間26に通じる環状の隙間27(
図3参照)が形成される。
【0023】
前記パイロットピストン22の外周にはピストンパッキン28が取り付けられ、このピストンパッキン28により、該パイロットピストン22の一側と他側とに第1受圧室29と第2受圧室30とが区画されると共に、前記パイロットピストン22の一方の面と他方の面とに、前記第1受圧室29に面する第1受圧面31と、前記第2受圧室30に面する第2受圧面32とが形成されている。該第2受圧面32は、前記ピストン軸23の回りを取り囲む環状の面と該ピストン軸23の端面とを含む面であって、その受圧面積は前記第1受圧面31の受圧面積と等しい。
【0024】
前記ピストンパッキン28は、シールに方向性を有するリップタイプのピストンパッキンであり、該ピストンパッキン28は、リップを第2受圧室30側に向けることにより、前記第1受圧室29から第2受圧室30に向かうパイロットエアは遮断しないが、前記第2受圧室30から第1受圧室29に向かうパイロットエアは遮断するような向きに配設されている。しかし、前記ピストンパッキン28はOリングであっても良い。
【0025】
前記パイロット通路15と前記第2受圧室30とは、前記常開連通路35を通じて常時連通し、前記パイロット通路15と前記第1受圧室29とは、前記パイロット弁4で開閉される開閉連通路36を通じて相互に連通している。
【0026】
前記常開連通路35は、前記スプール12とパイロットピストン22との連結部分に形成された前記隙間26によって形成されている。なお、前記ピストン軸23が前記弁孔11内に嵌入したとき該ピストン軸23の外周と弁孔11の内周との間に形成される前記隙間27も、前記常開連通路35の一部であるということもできる。
【0027】
一方、前記開閉連通路36は、前記ピストン箱20に形成されていて、前記第2受圧室30とパイロット弁4とを結ぶ第1連通路部分37と、前記パイロット弁4と前記第1受圧室29とを結ぶ第2連通路部分38とに分かれている。前記第1連通路部分37は、第1連通孔39を通じて前記第2受圧室30に連通することにより、該第2受圧室30と前記常開連通路35とを介して前記パイロット通路15に常時連通し、前記第2連通路部分38は、手動操作部41の操作孔43内に形成された第2連通孔40を通じて前記第1受圧室29に連通している。
【0028】
前記パイロット弁4は、3ポート式の電磁弁であり、該パイロット弁4に通電すると、前記開閉連通路36の第1連通路部分37と第2連通路部分38とが連通して、前記第2受圧室30からのパイロットエアが第1受圧室29に供給され、前記パイロット弁4を非通電にすると、前記開閉連通路36の第1連通路部分37と第2連通路部分38とが遮断されると共に、該第2連通路部分38が大気に開放し、前記第1受圧室29内のパイロットエアが大気に排出される。
【0029】
前記ピストン箱20には、前記手動操作部41が設けられている。この手動操作部41は、停電時やメンテナンス時等に、前記パイロット弁4に通電したときと同じ状態を操作子42の手動操作で実現させるもので、操作孔43の内部に前記操作子42が押し下げ操作可能に収容されている。前記操作孔43は、手動用パイロット流路44を通じて前記第2受圧室30に連通し、該操作孔43の一部に前記第2連通路部分38の前記第2連通孔40が形成されている。
【0030】
前記操作子42は、通常、
図1−
図3に示すように、復帰ばね45で押されて上昇した非操作位置にあり、このとき、該操作子42のOリング46は前記第2連通孔40より上方(手動用パイロット流路44側)にあるため、前記手動用パイロット流路44は遮断されるが、前記第2連通路部分38は遮断されない。
この状態から前記操作子42を押し下げると、前記Oリング46が前記第2連通孔40より下方(第2連通路部分38側)の位置に移動するため、前記第2連通路部分38は前記第2連通孔40から遮断され、前記手動用パイロット流路44が該第2連通孔40に連通する。このため、前記手動用パイロット流路44を通じて第2受圧室30にパイロットエアが供給され、前記パイロットピストン22が動作する。
【0031】
前記構成を有する第1実施形態のスプール弁1Aの作用は次の通りである。
図1はパイロット弁4がオフのときの切換状態であり、このとき、パイロット弁4によって開閉連通路36の第1連通路部分37と第2連通路部分38とが遮断されると共に、該第2連通路部分38が大気に開放されることにより、第1受圧室29のパイロットエアは大気に排出されている。このため、前記パイロットピストン22は、入力用ポートPからパイロット通路15、常開連通路35を通じて第2受圧室30に供給されるパイロットエアによって左方に押され、スプール12と共に図の第1切換位置を占めている。このとき、前記主弁部2では、前記入力用ポートPと第2の出力用ポートA2が連通すると共に、第1の出力用ポートA1と第1の排気用ポートR1が連通し、第2の排気用ポートR2は遮断されている。
【0032】
この状態から、前記パイロット弁4がオンになると、前記開閉連通路36の第1連通路部分37と第2連通路部分38とが連通することにより、該開閉連通路36を通じてエアが第1受圧室29に供給され、このエアの圧力が前記第1受圧面31に作用する。該第1受圧面31の受圧面積は前記第2受圧面32の受圧面積と等しいため、前記パイロットピストン22の両面に互いに逆向きに作用する作用力はバランスするが、前記スプール12とパイロットピストン22との連結部分において該スプール12の端面に図の右方向に作用するエア圧力により、該スプール12は、前記パイロットピストン22と共に右方向に移動し、
図3の第2切換位置を占める。この結果、前記主弁部2においては、前記入力用ポートPと第1の出力用ポートA1が連通すると共に、第2の出力用ポートA2と第2の排気用ポートR2が連通し、第1の排気用ポートR1は遮断される。
【0033】
このように、前記第1実施形態のスプール弁1Aは、スプール12にパイロット通路15を形成し、このパイロット通路15でパイロットピストン22の一側の第2受圧室30を入力用ポートPに常時連通させ、他方の第1受圧室29には、パイロット弁4で開閉される開閉連通路36により、前記第2受圧室30を介してパイロットエアを供給するようにしているので、1つのパイロットピストン22の両面に1つのパイロット弁4でパイロットエアを供給することにより、前記スプール12を切り換えることができる。しかも、前記パイロット通路15を主弁部2の弁ボディ10の内部に形成する必要がないため、流路の配分が容易で、該弁ボディ10の内部構造も簡単になるため、該弁ボディ10の設計及び加工も容易である。
【0034】
図4(a)、(b)は、前記第1実施形態のスプール弁1Aの第1変形例の要部を示すもので、この第1変形例は、前記スプール弁1Aに、前記スプール12の切換位置を確認するためのインジケータ50を設けたものである。このインジケータ50は、弁ボディ10の第2端10b側の端部に取り付けられた透明のカバー51と、前記スプール12の端部に形成された被検出部52とによって形成されている。
【0035】
前記カバー51は、弁孔11の端部に臨む部分に、外側に向けて凸形に湾曲する半球面状の透視部51aを有し、該透視部51aの中央位置に、該透視部51aを大気に開放する開放孔51bが形成されている。
一方、前記被検出部52は、前記スプール12の端部の半球状の部分により形成されていて、この被検出部52が、前記透視部51aの内部に嵌合したり脱出したりすることができるようになっている。この被検出部52は、赤やオレンジ色等の目立ち易い色に着色されていても良い。
【0036】
そして、
図1のように、パイロット弁4がオフの状態で前記スプール12が前記第1切換位置にあるとき、
図4(a)に示すように、前記被検出部52は弁孔11内に位置し、前記透視部51a内に嵌入していないことによって該透視部51aを通じて視認されないため、前記スプール12が前記第1切換位置にあることを確認することができる。
一方、
図3のように、パイロット弁4がオンの状態で前記スプール12が第2切換位置にある場合には、
図4(b)に示すように、前記被検出部52は前記透視部51a内に嵌合し、この透視部51aを通じて視認されるため、前記スプール12が前記第2切換位置にあることを確認することができる。
【0037】
図5(a)、(b)は、前記第1実施形態のスプール弁1Aの第2変形例の要部を示すもので、この第2変形例は、前記スプール弁1Aに、前記スプール12の切換位置を検出するための位置検出装置55を設けたものである。
この位置検出装置55は、弁ボディ10の第2端10bに取り付けられたブラケット56に、押し釦57aでオン、オフに切り換えられる切換スイッチ57を取り付け、この切換スイッチ57の前記押し釦57aを、前記スプール12の端部の半球状の押圧部58に対向させて配置したものである。
【0038】
そして、
図1のように、パイロット弁4がオフの状態で前記スプール12が前記第1切換位置にあるとき、
図5(a)に示すように、前記押し釦57aは前記スプール12の押圧部58で押されないため、前記切換スイッチ57はオフの状態にあり、該切換スイッチ57から位置検出信号は出力されない。
一方、
図3のように、パイロット弁4がオンの状態で前記スプール12が第2切換位置にあるとき、
図5(b)に示すように、前記押し釦57aが前記スプール12の押圧部58で押されて変位するため、前記切換スイッチ57はオンになり、該切換スイッチ57から位置検出信号が不図示の制御装置や表示装置等に出力される。
【0039】
図6は本発明に係る電磁パイロット式スプール弁の第2実施形態を示すものである。この第2実施形態のスプール弁1Bは、2つのパイロット弁を有するダブルパイロット式のスプール弁であるところが、前記第1実施形態のスプール弁1Aと相違している。即ち、該第2実施形態のスプール弁1Bは、主弁部2の弁ボディ10の第1端10a側と第2端10b側の両方に、それぞれパイロット弁部を有している。
【0040】
前記弁ボディ10の第1端10a側に設けられた第1パイロット弁部3aと、第2端10b側に設けられた第2パイロット弁部3bとは、左右相対するように配設されているが、両者の構成は実質的に同じであり、前記第1実施形態のスプール弁1Aのパイロット弁部3の構成とも実質的に同じである。
また、主弁部2の構成も、スプール12の内部にパイロット通路15が軸線L方向に貫通した状態に形成されていること以外、前記第1実施形態のスプール弁1Aの主弁部2の構成と同じである。
【0041】
従って、説明の重複を避けるため、
図6において、主弁部2の主要な部分には、前記第1実施形態のスプール弁1Aの主弁部2のものと同じ符号を付し、前記第1パイロット弁部3aの主要な部分には、前記第1実施形態のスプール弁1Aのパイロット弁部3の符号に「a」を付けた符号を付し、前記第2パイロット弁部3bには、前記第1実施形態のスプール弁1Aのパイロット弁部3の符号に「b」を付けた符号を付し、構成の説明は省略することとする。
【0042】
前記構成を有する第2実施形態のスプール弁1Bの作用は次の通りである。
図6は、第1パイロット弁部3aのパイロット弁4aがオフになり、第2パイロット弁部3bのパイロット弁4bがオンになっているときの切換状態である。
【0043】
このとき、前記第1パイロット弁部3aにおいては、パイロット弁4aによって開閉連通路36aの第1連通路部分37aと第2連通路部分38aとが遮断されると共に、該第2連通路部分38aが大気に開放されることにより、第1受圧室29a内のパイロットエアは大気に排出されている。
一方、第2パイロット弁部3bにおいては、開閉連通路36bの第1連通路部分37bと第2連通路部分38bとが連通することにより、該開閉連通路36bを通じてパイロットエアが第1受圧室29bに供給され、このパイロットエアの圧力がパイロットピストン22bの第1受圧面31bに作用する。
また、第1パイロット弁部3aの第2受圧室30aと第2パイロット弁部3bの第2受圧室30bには、パイロット通路15を通じて入力用ポートPからパイロットエアが常時供給され、各々のパイロットピストン22a,22bの第2受圧面32a,32bにエア圧力が互いに逆向きに作用しているが、2つのパイロットピストン22a,22bは互いに同径で、前記第2受圧面32a,32bの受圧面積も互いに等しいため、両パイロットピストン22a,22bに相互に逆向きに作用する作用力はバランスしている。
【0044】
このため、前記第2パイロット弁部3bのパイロットピストン22bによってスプール12は左方向に押され、図の第1切換位置を占めている。
そしてこのとき、主弁部2においては、入力用ポートPと第2の出力用ポートA2が連通すると共に、第1の出力用ポートA1と第1の排気用ポートR1が連通し、第2の排気用ポートR2は遮断されている。
【0045】
この状態から、前記第1パイロット弁部3aのパイロット弁4aがオンになると共に、前記第2パイロット弁部3bのパイロット弁4bがオフになると、第2パイロット弁部3bの第1受圧室29b内のパイロットエアが大気に排出されると共に、第1パイロット弁部3aの第1受圧室29aにパイロットエアが供給されるため、前記第1パイロット弁部3aのパイロットピストン22aによってスプール12は
図6の右方向に押され、
図6とは逆の第2切換位置に切り換わる。
このとき、主弁部2においては、入力用ポートPと第1の出力用ポートA1が連通すると共に、第2の出力用ポートA2と第2の排気用ポートR2が連通し、第1の排気用ポートR1は遮断される。
【0046】
また、
図6に示すように、前記第1パイロット弁部3aのパイロット弁4aがオフ、前記第2パイロット弁部3bのパイロット弁4bがオンの状態で、前記スプール12が第1切換位置を占めているとき、前記第2パイロット弁部3bのパイロット弁4bをオフにすると、前記スプール12は第1切換位置をそのまま維持し、同様に、前記第1パイロット弁部3aのパイロット弁4aがオン、前記第2パイロット弁部3bのパイロット弁4bがオフの状態で、前記スプール12が第2切換位置を占めているとき、前記第1パイロット弁部3aのパイロット弁4aをオフにすると、前記スプール12は第2切換位置をそのまま維持する。
【0047】
この第2実施形態においても、パイロット通路15を主弁部2の弁ボディ10の内部に形成する必要がないため、流路の配分が容易で、弁ボディ10の内部構造も簡単になるため、該弁ボディ10の設計及び加工も容易である。
【0048】
なお、前記第1実施形態のシングルパイロット式のスプール弁1Aにおいては、パイロットピストン22をスプール12と別体に形成し、該スプール12に一体に連結しているが、前記スプール12とパイロットピストン22とを、1つの素材によって一体に形成することもでき、この場合、スプール12の内部のパイロット通路15と第2受圧室30とを結ぶ前記常開連通路35は、前記スプール12とパイロットピストン22とが連なる部分に、その外周に開口するように通孔を設けることによって形成することができる。
【0049】
また、第2実施形態のダブルパイロット式のスプール弁1Bの場合にも、一方のパイロットピストン22aとスプール12とを1つの素材によって一体に形成し、他方のパイロットピストン22bを、前記スプール12と別体に形成して該スプール12に連結しても良い。
【0050】
また、図示した各実施形態は5ポート式のスプール弁であるが、本発明は、3ポート式あるいは4ポート式など、その他のポート数のスプール弁にも適用することができる。