【構成】 変換継手10は、金属製の管部材(100)と合成樹脂製の管部材(102)とを接続する。変換継手10は、金属によって筒状に形成される継手本体12を備え、継手本体12の一方端部には、樹脂管接続部22が形成される。樹脂管接続部22には、樹脂管16の一方端部が外嵌されると共に、樹脂管接続部22と樹脂管16との嵌合部分には、樹脂管16の一方端部の内周面を樹脂管接続部22の外周面に押し付ける金属製のリング18が外嵌される。リング18には、奥側に向かうに従い内径が大きくなる拡径部36が形成される。また、拡径部36の内周面には、1つまたは複数の凸部38が形成される。
前記拡径部が形成される軸方向範囲内に、前記リングの内周面と前記樹脂管接続部の外周面との距離が最も小さくなる部分がある、請求項1ないし3のいずれかに記載の変換継手。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1の変換継手では、樹脂管が低温時に収縮したり、経年変化して痩せてきたりすると、リングの締め付けが緩くなって、リングが奥側または手前側に離脱してしまう恐れがある。
【0007】
特許文献1の変換継手では、接続ソケットの管接続部の外周面には同じ高さの凹凸が単純に並んでいるだけで、樹脂管が抜け易い構造になっている。このため、特許文献1の変換継手では、リングの軸方向長さを長くすることによって締付性能を確保しようとしているが、リングを長くすると、製造コストが高くなってしまう。また、リングの拡径部の手前側の小径部分の内周面に溝が形成されているので、樹脂管の一方端部にリングを無理嵌めするときに、樹脂管の外周面が傷付き、見栄えが悪くなる。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、変換継手を提供することである。
【0009】
この発明の他の目的は、リングの離脱を適切に防止できる、変換継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、金属製の管部材と合成樹脂製の管部材とを接続する変換継手であって、金属によって形成され、一方端部に樹脂管接続部を有する筒状の継手本体、一方端部が樹脂管接続部に外嵌される樹脂管、樹脂管の一方端部に外嵌されて、当該樹脂管の一方端部の内周面を樹脂管接続部の外周面に押し付けるリング、リングに形成され、奥側に向かうに従い内径が大きくなる拡径部、および、拡径部の内周面に形成される1つまたは複数の凸部を備える、変換継手である。
【0011】
第1の発明では、変換継手は、例えばユニオン型の変換継手であって、金属製の管部材と合成樹脂製の管部材とを接続する。変換継手は、金属によって筒状に形成される継手本体を備え、継手本体の一方端部には、樹脂管接続部が形成される。樹脂管接続部には、樹脂管の一方端部が外嵌されると共に、樹脂管接続部と樹脂管との嵌合部分には、樹脂管の一方端部の内周面を樹脂管接続部の外周面に押し付ける金属製のリングが外嵌される。リングには、奥側に向かうに従い内径が大きくなる拡径部が形成される。また、拡径部の内周面には、1つまたは複数の凸部が形成される。
【0012】
このようにリングに拡径部を形成することによって、樹脂管接続部と樹脂管との嵌合部分にリングを外嵌し、リングの内周面と樹脂管の一方端部の外周面とが圧着状態となるとき、樹脂管の一方端部の外径は、拡径部の内径に沿って奥側に向かうに従い大きくなる。このため、樹脂管が収縮した場合でも、樹脂管の一方端部の奥側部分の外周面がストッパとなり、樹脂管に対するリングの奥側への移動が規制される。また、拡径部の内周面に凸部を形成することによって、樹脂管の外周面に凸部が食い込む状態となる。このため、樹脂管が収縮した場合でも、樹脂管に食い込んだ凸部がストッパとなって、樹脂管に対するリングの移動、特に手前側への移動が規制される。
【0013】
また、拡径部の内周面に凸部を形成することによって、樹脂管接続部の手前側部分における樹脂管の外周面が凸部に接触しにくくなるため、樹脂管接続部の手前側部分における樹脂管外周面の傷付きが防止される。
【0014】
第1の発明によれば、リングに拡径部を形成することによって、樹脂管の一方端部の外周面がストッパとなり、リングの奥側への移動を規制することができる。また、拡径部の内周面に凸部を形成することによって、樹脂管の外周面に凸部が食い込み、樹脂管に対するリングの移動を規制することができる。したがって、温度低下や、経年変化によって樹脂管が収縮した場合でも、リングの離脱を適切に防止できる。また、拡径部の内周面に凸部を形成することによって、樹脂管接続部の手前側部分における樹脂管外周面の傷付きを防止できる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明に従属し、リングは、拡径部より手前側に内周面が平坦な同径部を備える。
【0016】
第2の発明では、リングには、拡径部より手前側において同径部が設けられる。この同径部の内周面は平坦に形成される。つまり、凸部が形成されるのは拡径部の内周面のみであって、同径部の内周面に凹凸は形成されない。この際、凸部の内径は同径部の内径より小さくならないようにされる。
【0017】
第2の発明によれば、樹脂管接続部の手前側部分における樹脂管外周面の傷付きを防止することができる。
【0018】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、樹脂管接続部の外周面に形成される1つまたは複数の突起部を備え、突起部のうち最も外径が大きい突起部は拡径部と対向する位置に形成される。
【0019】
第3の発明では、樹脂管接続部の外周面には、周方向に延びる1つまたは複数の環状の突起部が形成される。そして、突起部のうち最も外径が大きい突起部は拡径部と対向する位置に形成される。ここで、拡径部の対向位置の突起部は、外径の設定可能範囲が広く、突起部の外径を大きく設定することができる。つまり、第3の発明では、リングに拡径部を形成し、その拡径部の対向位置に最大高さの突起部を形成することによって、突起部の最大高さを大きく設定できるようにした。突起部の外径を大きく設定すれば、樹脂管接続部と樹脂管との嵌合部分にリングを外嵌して、樹脂管の内周面と樹脂管接続部の外周面とが圧着したときに、樹脂管接続部の突起部が樹脂管に深く食い込むので、樹脂管が確実に係止される。
【0020】
さらに、最も外径が大きい突起部を樹脂管接続部の外周面奥部に形成することで、樹脂管の一方端部にかかる応力が軸方向に分散される。
【0021】
第3の発明によれば、突起部の外径を大きく設定することができるので、樹脂管が確実に係止され、樹脂管接続部に対する樹脂管の抜け防止の効果が高まる。また、樹脂管接続部に対する樹脂管の抜け防止効果が高いので、リングおよび樹脂管接続部の軸方向長さを短くすることができ、製造コストを低減することができる。さらに、樹脂管の一方端部にかかる応力を平均化することができるので、応力集中による樹脂管の破断が防止される。
【0022】
第4の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明に従属し、拡径部が形成される軸方向範囲内に、リングの内周面と樹脂管接続部の外周面との距離が最も小さくなる部分がある。
【0023】
第4の発明では、拡径部が形成される軸方向範囲内に、リングの内周面と樹脂管接続部の外周面との距離が最も小さくなる部分を設けた。つまり、拡径部を形成することによって樹脂管接続部の外周面とリングの内周面との距離が大きくなった分以上に、突起部の高さを大きくして、拡径部が形成される軸方向範囲内に最小距離となる部分がくるようにした。
【0024】
第4の発明によれば、樹脂管の一方端部に掛かる応力を分散させることができるので、応力集中による樹脂管の破断を防止できる。また、突起部の突出高さを大きくしたので、樹脂管が確実に係止され、樹脂管接続部に対する樹脂管の抜け防止の効果が得られる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、リングに拡径部を形成することによって、樹脂管の一方端部の外周面がストッパとなり、リングの奥側への移動を規制することができる。また、拡径部の内周面に凸部を形成することによって、樹脂管の外周面に凸部が食い込み、樹脂管に対するリングの移動を規制することができる。したがって、温度低下や、経年変化によって樹脂管が収縮した場合でも、リングの離脱を適切に防止できる。また、拡径部の内周面に凸部を形成することによって、樹脂管接続部の手前側部分における樹脂管外周面の傷付きを防止できる。
【0026】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1および
図2を参照して、この発明の一実施例である変換継手10は、金属製の管部材100と合成樹脂製の管部材102とを接続するユニオン型の変換継手(異種管継手)であり、継手本体12、ユニオンナット14、樹脂管16およびリング18等を備える。たとえば、変換継手10は、水道用配管において、銅合金などの金属によって形成されるバルブまたは水道メータなどの管部材100に対して、ポリエチレン等の合成樹脂によって形成される配管102aを接続するために用いられる。なお、変換継手10の樹脂管16と配管102aとは、合成樹脂製の管部材102の一例である電気融着継手102bなどを適宜用いて連結される。変換継手10の呼び径は、たとえば20−100mmであり、その軸方向長さは、たとえば50−400mmである。
【0029】
図3−
図5に示すように、変換継手10の継手本体12は、銅合金などの金属によって形成される筒状体であり、その一方端部には、外方に向かって突出する環状のユニオン鍔部20が形成される。また、継手本体12の他端部には、樹脂管接続部22が形成される。
【0030】
図5(A)からよくわかるように、樹脂管接続部22は、継手本体12の中央部分よりも外周面が縮径された短筒状に形成され、継手本体12の中央部分と樹脂管接続部22との境界に当たる部分には、段差部24が形成される。また、樹脂管接続部22の先端部には、導入部26が形成される。導入部26の外周面は、樹脂管16の管端を受け入れ易く、かつ導入部26での応力集中の発生を抑制できるように、手前側に向かって2段階で縮径するテーパ状に形成される。また、導入部26の外周面奥側の部分は、面取りされて曲面状に形成される。
【0031】
樹脂管接続部22の外周面には、周方向に延びる1つまたは複数の環状の突起部30が形成される。この実施例では、軸方向に並ぶ3つの突起部30が形成されている。突起部30は、略台形状の断面を有し、その手前側の側面は、手前側に向かって縮径するテーパ面とされ、奥側の側面は、略垂直面とされる。これによって、樹脂管接続部22に樹脂管16を外嵌し易くなると共に、突起部30によって樹脂管16を係止し易くなって、樹脂管接続部22に対する樹脂管16の抜けが防止される。
【0032】
また、突起部30の外径は、奥側のものほど大きくなるように形成され、3つの突起部30のうち最も外径の大きい突起部30は、後述するリング18に形成される拡径部36と対向する位置に形成される。ここで、拡径部36の対向位置、つまり、リング18の内周面の径が大きくなる位置に配置される突起部30は、その外径の設定可能範囲が広い。このため、拡径部36の対向位置の突起部30は、その突出高さを大きく設定することができる。そして、突起部30の突出高さを大きく設定することによって、樹脂管16の内周面に突起部30が大きく食い込むので、樹脂管接続部22に対する樹脂管16の抜けが確実に防止される。また、樹脂管接続部22の外周面の奥側部分に高い突起部30を形成することによって、樹脂管接続部22の手前側部分において樹脂管16にかかる応力を低減することができる。つまり、樹脂管16の一方端部にかかる応力を軸方向に分散させて平均化させることができる。
【0033】
また、拡径部36の対向位置、つまり樹脂管接続部22の奥側部分に、リング18の内周面と樹脂管接続部22の外周面との距離が最も小さくなる部分が設けられている。つまり、拡径部36を形成することによって樹脂管接続部22の外周面とリング18の内周面との距離が大きくなった分以上に、突起部30の外径(突出高さ)を大きくして、拡径部36が形成される軸方向範囲内に最小距離となる部分がくるようにしている。この実施例では、3つの突起部30のうち最も高い突起部30の頂点がある軸方向位置において、リング18の内周面と樹脂管接続部22の外周面との距離が最小距離となるように設定している。このように、樹脂管接続部22の奥側部分に最小距離となる部分を設けることで、応力平均化の効果を高めることができる。また、突起部30の突出高さを大きくすることで、樹脂管16の抜止効果が高まる。
【0034】
なお、樹脂管接続部22の外周部分、すなわち導入部26および突起部30等は、切削加工によって形成するとよい。
【0035】
また、
図3に示すように、継手本体12のユニオン鍔部20側には、継手本体12に対して回転可能にユニオンナット14が外嵌される。ユニオンナット14は、銅合金などの金属によって形成される六角筒状の袋ナットであり、ユニオンナット14の内周面には、金属製の管部材100の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部32が形成される。また、ユニオンナット14の一方端部には、内方に向かって突出する環状の係止部34が形成され、この係止部34がユニオン鍔部20に係止される。
【0036】
さらに、
図3および
図4に示すように、樹脂管接続部22には、樹脂管16の一方端部が外嵌されると共に、樹脂管接続部22と樹脂管16との嵌合部分には、リング18が外嵌される。樹脂管16は、ポリエチレン等の合成樹脂によって形成される短管であって、合成樹脂製の管部材102(
図2参照)との接続部として利用される。樹脂管16の内径は、継手本体12の樹脂管接続部22の外径と同径または小さく設定されており、樹脂管16の一方端部を樹脂管接続部22に外嵌するときには、樹脂管16内に樹脂管接続部22が無理入れされる。
【0037】
リング18は、樹脂管16の一方端部を外部から締め付けて、樹脂管16の内周面を樹脂管接続部22の外周面に押し付けることによって樹脂管16の離脱を防止する部材である。
図5(B)に示すように、リング18は、ステンレスや銅等の金属によって短筒状に形成され、その奥側に形成される拡径部36と、拡径部36より手前側に形成される同径部40とを含む。拡径部36は、奥側に向かうに従って内径が大きくなるように形成される。拡径部36の内周面には、1つまたは複数の周方向に延びる環状の凸部38が設けられる。この実施例では、軸方向に並ぶ2つの凸部38が形成されている。凸部38は、略台形状の断面を有し、その奥側の側面は、奥側に向かって拡径するテーパ面とされ、手前側の側面は、略垂直面とされる。また、2つの凸部38の先端部分は奥側に向うに従い内径が大きくなる傾斜面とされ、奥側の凸部38の先端部分の内径は手前側の凸部38の先端部分の内径より大きく設定される。
【0038】
同径部40の内周面は平坦面とされ、凹凸は形成されない。つまり、凸部38は拡径部36の内周面にのみ形成される。また、凸部38の内径は同径部40の内径より小さくならないようにされる。
【0039】
リング18の内径は、樹脂管接続部22に外嵌した状態の樹脂管16の一方端部の外径よりも小さく設定されており、リング18を樹脂管16の一方端部に外嵌するときには、リング18内に樹脂管16の一方端部が無理入れされる。なお、リング18の内径は、継手本体12の中央部分の外径よりも大きくなり、リング18を樹脂管16の一方端部に外嵌したときに、リング18と継手本体12の段差部24とは当接しない。
【0040】
このように、リング18に拡径部36を形成することによって、樹脂管接続部22と樹脂管16との嵌合部分にリング18を外嵌し、リング18の内周面と樹脂管16の一方端部の外周面とが圧着状態となるとき、樹脂管22の一方端部の外径は、拡径部36の内径に沿って奥側に向かうに従い大きくなる。このため、樹脂管16の一方端部の奥側部分の外周面がストッパとなり、樹脂管16に対するリング18の奥側への移動が規制される。また、拡径部36の内周面に凸部38を形成することによって、樹脂管16の外周面に凸部38が食い込む。このため、樹脂管16に食い込んだ凸部38がストッパとなって、樹脂管16に対するリング18の移動、特に手前側への移動が規制される。
【0041】
また、上述のように、拡径部36の対向位置において樹脂管接続部22の突起部30の突出高さが大きく設定されていることで、樹脂管16の外周面がリング18の内周面に密着すると共に、リング18に形成された凸部38が樹脂管16の外周面に確実に食い込み、リング18の移動規制の効果が高まる。
【0042】
続いて、
図6を参照して、各部材12,14,16,18を組み立てて変換継手10を製作する方法について説明する。先ず、
図6(A)に示すように、継手本体12に対してユニオンナット14を外嵌する。具体的には、継手本体12を樹脂管接続部22側からユニオンナット14内に挿入し、ユニオン鍔部20と係止部34とが当接するまで、ユニオンナット14をユニオン鍔部20側までそのまま移動させる。なお、継手本体12に外嵌したユニオンナット14は、継手本体12の外周面上を軸方向に移動可能であり、かつ周方向に回転可能である。
【0043】
次に、
図6(B)に示すように、継手本体12の樹脂管接続部22に対して樹脂管16の一方端部を外嵌する。具体的には、樹脂管接続部22の導入部26のテーパ面に沿わせて樹脂管16を押し込み、そのまま樹脂管16内に樹脂管接続部22を無理入れする。すなわち、樹脂管16の一方端部を樹脂管接続部22によって拡径させながら、継手本体12の段差部24に当接するまで樹脂管16を押し込む。このとき、樹脂管接続部22の無理入れによって拡径された樹脂管16の一方端部には、元の径に戻ろうとする復元力が生じるので、樹脂管16の内周面は突起部30に密着する。
【0044】
その後、
図6(C)に示すように、樹脂管16の一方端部、つまり樹脂管16と樹脂管接続部22との嵌合部分にリング18を外嵌する。具体的には、樹脂管接続部22に接続された状態の樹脂管16の一方端部をリング18の奥側から挿入する。そして、そのままリング18内に樹脂管16の一方端部を無理入れする。すなわち、樹脂管16の一方端部をリング18によって外部から押圧しながら、リング18の奥側端面が樹脂管16の奥側端面の位置にくるまでリング18を押し込む。このとき、上述のように、凸部38は拡径部のみに形成されており、凸部38の内径が同径部40の内径より大きく設定されていることによって、樹脂管接続部22の手前側部分における樹脂管16の外周面が凸部38に接触しにくい。このため、樹脂管接続部22の手前側部分における樹脂管16外周面の傷付きが防止される。また、樹脂管16と樹脂管接続部22との嵌合部分にリング18が外嵌され、樹脂管16の内周面と樹脂管接続部22の外周面とが圧着状態となるとき、樹脂管16の内周面に突起部30が食い込む。これによって、樹脂管16と樹脂管接続部22との間の止水性能が確保されると共に、樹脂管接続部22に対する樹脂管16の離脱が防止される。また、リング18の内周面と樹脂管16の一方端部の外周面とが圧着状態となって、樹脂管16の一方端部の外径が、拡径部36の内径に沿って奥側に従い大きくなると共に、拡径部36に形成された凸部38が樹脂管16の外周面に食い込む。これによって、リングの移動が規制される。
【0045】
以上のように、変換継手10は、継手本体12にユニオンナット14を外嵌した後、継手本体12の樹脂管接続部22に樹脂管16とリング18とを無理入れするだけの単純構造であるので、リング18のかしめ作業などを行う必要がなく、容易に製作することができる。
【0046】
この実施例によれば、リング18に拡径部36を形成することによって、樹脂管16の一方端部の奥側部分の外周面がストッパとなり、リング18の奥側への移動を規制することができる。また、拡径部36の内周面に凸部38を形成することによって、樹脂管16の外周面に凸部38が食い込み、樹脂管16に対するリング18の移動、特に手前側への移動を規制することができる。このため、樹脂管16が収縮した場合でも、リング18の離脱を適切に防止できる。
【0047】
さらに、拡径部36の内周面に凸部38を形成することによって、リング18内に樹脂管16を無理入れするときに、樹脂管接続部22の手前側部分における樹脂管16外周面の傷付きを防止できる。
【0048】
また、リング18に拡径部36を形成し、その拡径部36の対向位置に最大高さの突起部30を形成することによって、突起部30の最大高さを大きく設定することができる。突起部30の突出高さを大きく設定することによって、樹脂管16が確実に係止される。そして、樹脂管接続部22に対する樹脂管16の抜け防止効果が高いので、リングおよび樹脂管接続部22の軸方向長さを短くすることができ、製造コストを低減することができる。
【0049】
さらに、樹脂管16の一方端部にかかる応力を平均化することができるので、応力集中による樹脂管16の破断を防止することができる。
【0050】
続いて、
図7および
図8を参照して、この発明の他の実施例である変換継手10について説明する。
図7に示す実施例は、最も奥側の突起部30の奥側側面に形成される階段部42を備える点が、上述の実施例と異なる。それ以外の構成については同様であるので、重複する部分については、同じ参照番号を用い、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0051】
図7および
図8を参照して、この発明の一実施例である変換継手10は、一方端部に形成されるユニオン鍔部20と他端部に形成される樹脂管接続部22とを有する金属製の継手本体12を備える。また、継手本体12のユニオン鍔部20側には、継手本体12に対して回転可能にユニオンナット14が外嵌される。一方、継手本体12の樹脂管接続部22には、樹脂管16の一方端部が外嵌されると共に、樹脂管接続部22と樹脂管16との嵌合部分には、樹脂管16の一方端部の内周面を樹脂管接続部22の外周面に押し付けるリング18が外嵌される。
【0052】
樹脂管接続部22の外周面には、周方向に延びる1つまたは複数の環状の突起部30が形成される。この実施例では、軸方向に並ぶ3つの突起部30が形成されている。突起部30は、略台形状の断面を有し、その手前側の側面は、手前側に向かって縮径するテーパ面とされ、奥側の側面は、略垂直面とされる。
【0053】
また、最も奥側の突起部30の奥側側面には断面略長方形状の階段部42が形成されている。突起部30を高くすると、奥側の根元部分には樹脂管16の樹脂が回り込み難くなるが、あらかじめ突起部30の奥側側面に階段部42を設けておくことで、突起部30の奥側側面にも樹脂管16の樹脂が隙間なく回り込んで、樹脂管16の内周面と樹脂管接続部22の外周面との圧着性能が高まる。これによって、樹脂管16と樹脂管接続部22との間の止水性能および樹脂管接続部22に対する樹脂管16の抜け止め効果が得られる。
【0054】
また、このような階段部42を形成することによって、リング18の奥側部分での締付力が確保され、リング18の奥側への離脱を確実に防止できる。
【0055】
図7に示す実施例においても、
図3に示す実施例と同様に、樹脂管16が収縮した場合でも、リング18の離脱を適切に防止できる。
【0056】
また、階段部42を形成したので、樹脂管16の内周面と樹脂管接続部22の外周面との圧着性能を高めることができる。これによって、樹脂管16と樹脂管接続部22との間の止水性能および樹脂管接続部22に対する樹脂管16の抜け止め効果が得られる。
【0057】
さらに、階段部42を形成したことによって、リング18の奥側部分での締付力が確保され、リング18の奥側への離脱を確実に防止できる。
【0058】
なお、
図7に示す実施例では、最も奥側の突起部30の奥側側面に断面略長方形状の1段の階段部42を形成しているが、階段部42の段数および形状などはこれに限定されない。また、この実施例では、最も奥側の突起部30の奥側側面のみに階段部42を形成したが、階段部42の位置および数はこれに限定されない。例えば、各突起部30の奥側側面に階段部42を形成してもよい。この場合、各突起部30の奥側側面に樹脂管16の樹脂が隙間なく回り込んで、樹脂管16の内周面と樹脂管接続部22の外周面との圧着性能がさらに高まる。
【0059】
続いて、
図9および
図10を参照して、この発明のさらに他の実施例である変換継手10について説明する。
図9に示す実施例は、樹脂管接続部22の外周面奥部に形成される傾斜部44を備える点が、上述の実施例と異なる。それ以外の構成については同様であるので、重複する部分については、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0060】
図9および
図10を参照して、この発明の一実施例である変換継手10は、一方端部に形成されるユニオン鍔部20と他端部に形成される樹脂管接続部22とを有する金属製の継手本体12を備える。継手本体12の樹脂管接続部22には、樹脂管16の一方端部が外嵌されると共に、樹脂管接続部22と樹脂管16との嵌合部分には、樹脂管16の一方端部の内周面を樹脂管接続部22の外周面に押し付けるリング18が外嵌される。
【0061】
樹脂管接続部22の外周面には、周方向に延びる1または複数の突起部30が形成される。この実施例では、軸方向に並ぶ2つの突起部30が形成される。
【0062】
樹脂管接続部22の外周面奥部には、外径が奥側に向かうに従い大きくなる傾斜部44が形成される。傾斜部44は、樹脂管接続部22のベース部分を肉厚にすることによって形成される。奥側の突起部30は、この傾斜部44上に形成される。樹脂管接続部22の外周面奥部に傾斜部44を形成することによって、樹脂管接続部22と樹脂管16の嵌合部分にリング18を外嵌したとき、リング18よって樹脂管16を圧着する力は、リング18の奥側に向かうに従って徐々に増す状態となり、リング18の奥側部分での締付力が確保される。これによって、リング18の奥側への離脱がより確実に防止される。
【0063】
また、樹脂管接続部22の外周面奥部に傾斜部44を設けることで、樹脂管接続部22の外周面奥部に樹脂管16の樹脂が隙間なく回り込んで、樹脂管16の内周面と樹脂管接続部22の外周面との圧着性能が高まる。これによって、樹脂管16と樹脂管接続部22との間の止水性能および樹脂管接続部22に対する樹脂管16の抜け止め効果が得られる。
【0064】
図9に示す実施例においても、
図3に示す実施例と同様に、樹脂管16が収縮した場合でも、リング18の離脱を適切に防止できる。
【0065】
また、傾斜部44を形成したので、リング18の奥側部分での締付力が確保され、リング18の奥側への離脱を確実に防止できる。
【0066】
さらに、傾斜部44を形成したことによって、樹脂管16の内周面と樹脂管接続部22の外周面との圧着性能を高めることができる。これによって、樹脂管16と樹脂管接続部22との間の止水性能および樹脂管接続部22に対する樹脂管16の抜け止め効果が得られる。
【0067】
なお、
図9に示す実施例では、樹脂管接続部22の外周面奥部のみに傾斜部44を形成したが、傾斜部44を形成する範囲はこれに限定されない。たとえば、傾斜部44は、樹脂管接続部22の最奥部から導入部26の奥側側面まで形成されていてもよい。
【0068】
また、上述の各実施例では、樹脂管接続部22に対して、軸方向に並ぶ2つまたは3つの突起部30を形成したが、
図11に示すように、例えば4つの突起部30を形成してもよい。この実施例では、軸方向に並ぶ4つの環状の突起部30が形成され、そのうち奥側2つの突起部30は拡径部36の対向位置に形成されている。また、最も奥側の突起部30は軸方向幅が狭く設定されている。このとき、最も奥側の突起部30の奥側側面には樹脂管16の樹脂が回り込み難くなるので、最も奥側の突起部30と段差部24との間の溝を浅くしておくのが好ましい。この実施例では、拡径部の対向位置に2つの突起部30を形成することで、2つの突起部30の外径を大きく設定することができるようにした。2つの突起部30の突出高さを大きくすることで、突起部30が樹脂管16に引っ掛かり易くなり、樹脂管16がより確実に係止される。
【0069】
なお、樹脂管接続部22に形成される突起部30の形状、突出高さ、および数などは、上述の各実施例に開示されるものに限定されない。環状の突起部30の代わりに、たとえば、あや目状に突起部を形成してもよいし、複数の突起部をランダムに形成してもよい。
【0070】
また、上述の各実施例では、リング18の拡径部36に形成される2つの凸部38の先端部分を奥側に向かうに従い内径が大きくなる傾斜面とし、奥側の凸部38の内径を手前側の凸部38の内径より大きく設定したが、
図12に示すように、凸部38の先端部分は水平面であってもよく、奥側の凸部38の内径を手前側の凸部38の内径以下の大きさに設定してもよい。この場合、凸部38の突出高さをより大きく設定することができるので、凸部38が樹脂管16の外周面に大きく食い込んで、リング18の移動規制の効果が高まる。
【0071】
なお、リング18の拡径部36に形成される凸部38の形状、高さ、および数などは、上述の各実施例に開示されるものに限定されない。
【0072】
また、上述の各実施例では、拡径部36の対向位置に形成される突起部30の頂点がある軸方向位置に、リング18の内周面と樹脂管接続部22の外周面との距離が最小となる部分を設けたが、最小距離となる部分は、必ずしも拡径部36が形成される軸方向範囲内になくてもよい。例えば、リング18の内周面と樹脂管接続部22の外周面との距離は、同径部40の対向位置に形成される突起部30の頂点がある軸方向位置において最小となるようにしてもよい。さらに、リング18の内周面と樹脂管接続部22の外周面との距離が最小となる部分は、必ずしも突起部30の頂点と凸部38の頂点とが対向する軸方向位置でなくてもよい。例えば、突起部30の頂点からずらして、突起部30の側面と凸部38の頂点とが対向する軸方向位置において最小距離となるように設定してもよい。
【0073】
さらにまた、上述の各実施例では、変換継手10の一例としてユニオン型の変換継手を例示したが、
図13に示すように、変換継手10は、金属製の管部材100との接続部が継手本体12に一体成形される雄ねじ型のタイプの変換継手であってもよいし、あるいは、雌ねじ型などの他のタイプの変換継手であってもよい。つまり、金属製の管部材100と接続される側の継手本体12の端部の形状(構成)は、適宜変更可能である。
【0074】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。