特開2015-152310(P2015-152310A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シンフォニアテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015152310-シャシーダイナモメータ 図000003
  • 特開2015152310-シャシーダイナモメータ 図000004
  • 特開2015152310-シャシーダイナモメータ 図000005
  • 特開2015152310-シャシーダイナモメータ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-152310(P2015-152310A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】シャシーダイナモメータ
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20150728BHJP
【FI】
   G01M17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-23380(P2014-23380)
(22)【出願日】2014年2月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100134980
【弁理士】
【氏名又は名称】千原 清誠
(74)【代理人】
【識別番号】100187986
【弁理士】
【氏名又は名称】淡路 俊作
(74)【代理人】
【識別番号】100093469
【弁理士】
【氏名又は名称】杉岡 幹二
(72)【発明者】
【氏名】東山 勇志
(57)【要約】
【課題】従来よりも小型に構成できるシャシーダイナモメータを得る。
【解決手段】シャシーダイナモメータは、回転軸(16a)を中心として回転するローラ(16)と、ローラ(16)にトルクを与えるリニアモータ(20)と、リニアモータ(20)を支持する支持部(22)とを備える。リニアモータ(20)は、固定子(20a)と円環状の可動子(20b)とを有する。可動子(20b)は、ローラ(16)と同軸上に配置されかつローラ(16)と一体になって回転するようにローラ(16)に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有しかつ前記回転軸を中心として回転可能なローラと、
固定子および円環状の可動子を有するリニアモータと、
前記固定子を支持する支持部とを備え、
前記可動子は、前記ローラと同軸上に配置されかつ前記ローラと一体になって回転するように前記ローラに固定される、シャシーダイナモメータ。
【請求項2】
前記支持部は、架台と、前記架台によって支持された計測装置とを有し、
前記計測装置は、前記固定子を支持しかつ前記可動子との間で前記固定子に生じる反力を計測する、請求項1に記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項3】
前記計測装置は、前記固定子から与えられる荷重を計測するロードセルを含む、請求項2に記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項4】
前記計測装置は、前記固定子に生じる鉛直方向の反力を計測する、請求項2または3に記載のシャシーダイナモメータ。
【請求項5】
前記ローラは、前記回転軸を中心として回転しかつ試験車両の駆動輪を支持する円筒部を有し、
前記可動子は、前記円筒部の内周面上に固定され、
前記固定子は、前記円筒部の内側に、前記ローラの径方向に前記可動子と対向して配置される、請求項1から4のいずれかに記載のシャシーダイナモメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車および自動四輪車等の車両の性能試験を行うためのシャシーダイナモメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の性能試験を行うために、シャシーダイナモメータが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているシャシーダイナモメータは、円筒状のモータ、一対のローラ、一対の検量アーム、およびロードセルを備える。一対のローラはモータの左右に配置され、各ローラの軸はモータの回転軸に連結される。これにより、一対のローラは、モータの回転軸と一体になって回転する。一対のローラ上には、それぞれ、試験車両の駆動輪が配置される。一対の検量アームは、モータの外周面(より具体的には、円筒状の固定子の外周面)からモータの径方向外方に延びるように設けられる。モータは、回転軸を中心として揺動可能に構成される。ロードセルは、一対の検量アームのうちの一方の下面を支持し、モータの揺動を規制するとともに検量アームから受ける荷重を計測する。
【0004】
特許文献1のシャシーダイナモメータでは、モータは、一対の駆動輪と一対のローラとの間に作用する力に基づいて揺動する。したがって、ロードセルが計測した荷重に基づいて、一対の駆動輪と一対のローラとの間に作用する力を測定できる。これにより、様々な走行条件下で試験車両の馬力等の性能特性を計測および試験できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−42170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のシャシーダイナモメータでは、モータの回転軸(可動子)を、一対のローラとは別体に設けなければならない。より具体的には、モータの固定子の中心を通るように回転軸を設け、回転軸の両端部に一対のローラの軸を連結しなければならない。この場合、固定子の内側に回転軸を通すためのスペースが必要になり、固定子を小さくできない。このため、モータ自体の小型化が難しく、シャシーダイナモメータの小型化が容易ではない。
【0007】
本発明の目的は、従来よりも小型に構成できるシャシーダイナモメータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係るシャシーダイナモメータは、回転軸を有しかつ前記回転軸を中心として回転可能なローラと、固定子および円環状の可動子を有するリニアモータと、前記固定子を支持する支持部とを備える。前記可動子は、前記ローラと同軸上に配置されかつ前記ローラと一体になって回転するように前記ローラに固定される。
【0009】
上記の構成を有する本発明のシャシーダイナモメータによって試験車両の性能試験を行う際には、例えば、ローラ上に載置された試験車両の駆動輪を回転させつつ、リニアモータによってローラにトルクを与える。上記の構成では、リニアモータの可動子がローラに固定されているので、リニアモータの固定子との間で可動子に推力を生じさせることによって、ローラにトルクを与えることができる。試験車両の性能試験においては、リニアモータからローラに与えるトルクを調整することによって、試験車両に与える負荷を調整することができる。これにより、種々の走行条件を模擬することができる。
【0010】
ここで、従来のシャシーダイナモメータでは、上述のように、モータの回転軸(可動子)をローラとは別体に設けなければならず、モータ自体の小型化が難しい。これに対して、本発明のシャシーダイナモメータでは、リニアモータの可動子がローラに固定される。すなわち、ローラとリニアモータの可動子とを一つの回転体として構成できる。この場合、可動子を配置するためのスペースをリニアモータの固定子に確保する必要がないので、固定子を小さくできる。これにより、リニアモータ自体を小さくできるとともに、固定子を支持する支持部も小さくできる。その結果、シャシーダイナモメータを小型に構成できる。
【0011】
上述のシャシーダイナモメータにおいて、前記支持部は、架台と、前記架台によって支持された計測装置とを有し、前記計測装置は、前記固定子を支持しかつ前記可動子との間で前記固定子に生じる反力を計測してもよい。この場合、計測装置が、固定子を支持する役割を担いつつ固定子に生じる反力を計測する役割も担う。このため、固定子を支持するための部材および上記反力を計測するための部材を別個に設ける必要がないので、支持部をより簡単に構成できる。また、固定子を計測装置によって支持することによって、固定子に生じる反力を計測装置によって直接、計測できる。これにより、計測装置と固定子との間に他の部材を設ける場合に比べて、上記反力を高精度に計測できる。さらに、本発明のシャシーダイナモメータでは、上述のように固定子を小さくできるので、小さな計測装置で固定子を支持できる。これにより、シャシーダイナモメータの小型化が簡単になる。
【0012】
上述のシャシーダイナモメータにおいて、前記計測装置は、前記固定子から与えられる荷重を計測するロードセルを含んでもよい。この場合、固定子を支持しかつ該固定子に生じる反力を計測可能な計測装置を簡単に構成できる。
【0013】
上述のシャシーダイナモメータにおいて、前記計測装置は、前記固定子に生じる鉛直方向の反力を計測してもよい。この場合、計測装置において、固定子を支持するための支持構造を簡単にできる。
【0014】
上述のシャシーダイナモメータにおいて、前記ローラは、前記回転軸を中心として回転しかつ試験車両の駆動輪を支持する円筒部を有し、前記可動子は、前記円筒部の内周面上に固定され、前記固定子は、前記円筒部の内側に、前記ローラの径方向に前記可動子と対向して配置されてもよい。この場合、可動子および固定子をローラ内に収容できるので、可動子および固定子をローラによって保護できるとともに、シャシーダイナモメータをより小型に構成できる。また、円筒部が、可動子を保持する役割を担いつつ、試験車両の駆動輪を支持する役割も担うことができる。言い換えると、可動子を保持するための部材および試験車両の駆動輪を支持するための部材を別個に設ける必要がない。これにより、ローラをより簡単に構成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来よりも小型に構成できるシャシーダイナモメータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るシャシーダイナモメータを示す側面図である。
図2図1のシャシーダイナモメータの断面図である。
図3】ローラの他の構成およびリニアモータの他の配置例を示す図である。
図4】リニアモータの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0018】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るシャシーダイナモメータ10を示す側面図である。図2は、シャシーダイナモメータ10の断面図(図1のA−A線断面図)である。シャシーダイナモメータ10は、例えば、四輪の試験車両1の性能試験に用いられる。以下の説明では、試験車両1の前後方向をシャシーダイナモメータ10の前後方向とし、試験車両1の左右方向をシャシーダイナモメータ10の左右方向とする。
【0019】
図1および図2に示すように、シャシーダイナモメータ10は、筐体12と、筐体12内に配置される本体部14とを備える。筐体12は、底部12a、側壁部12bおよび天井部12cを有する。天井部12cは、左右に配置される一対の開口部12dを有する。各開口部12dは、本体部14の後述する一対のローラ16をそれぞれ筐体12から上方に露出させる。天井部12c上に、試験車両1が配置される。図1および図2に示す例では、試験車両1の一対の駆動輪(前輪)2がそれぞれローラ16上に載せられている。
【0020】
本体部14は、左右に配置される一対のトルク発生装置14a,14bを含む。なお、トルク発生装置14aおよびトルク発生装置14bは同一の構成を有するので、以下においては、トルク発生装置14aの構成を詳細に説明し、トルク発生装置14bについての詳細な説明を省略する。
【0021】
トルク発生装置14aは、ローラ16、ローラ16を回転可能に保持する一対の保持部18、ローラ16を回転駆動する一対のリニアモータ20、およびリニアモータ20の後述する固定子20aを支持する一対の支持部22を含む。
【0022】
ローラ16は、回転軸16a、円筒部16bおよび連結部16cを有する。回転軸16aは、円柱形状を有しかつ左右方向に延びる。円筒部16bは、回転軸16aと同軸上に、かつ回転軸16aの外側(回転軸16aの径方向における外側)に配置される。連結部16cは、円板形状を有し、回転軸16aの外周面と円筒部16bの内周面とを連結する。本実施形態では、連結部16cの外周縁は、円筒部16bの筒軸方向の中央部に連結される。円筒部16bの外周面上に、試験車両1の駆動輪2が載せられる。
【0023】
一対の保持部18は、図示しない軸受を介して回転軸16aの両端部を回転可能に保持する。これにより、ローラ16は、一対の保持部18によって、回転軸16aを回転中心として回転可能に保持される。
【0024】
各リニアモータ20は、固定子20aおよび円環状の可動子20bを有する。固定子20aは、回転軸16aの後方に配置される。より具体的には、回転軸16aおよび固定子20aを前方または後方から見た場合、回転軸16aと固定子20aとが重なるように、回転軸16aおよび固定子20aが配置される。可動子20bは、ローラ16と同軸上に配置されかつローラ16と一体になって回転するように、ローラ16に固定される。本実施形態では、可動子20bは、円筒部16bの内周面上に固定される。固定子20aは、円筒部16bの内側に、ローラ16の径方向に可動子20bと対向して配置される。
【0025】
本実施形態では、例えば、固定子20aは電磁力を発生するためのコイルを含み、可動子20bは永久磁石を含む。固定子20aのコイルには、電源(図示せず)から配線(図示せず)を介して電流が供給される。本実施形態では、固定子20aのコイルに供給される電流を制御することによって、固定子20aとの間で可動子20bに生じる推力を調整できる。なお、詳細な説明は省略するが、リニアモータとしては、種々のリニア交流モータまたは種々のリニア直流モータを用いることができる。
【0026】
各支持部22は、架台22aと、架台22a上に設置される計測装置22bとを含む。図2に示すように、架台22aは、その上端部に設置部22cを有する。架台22aは、設置部22cが円筒部16bの内側まで延びるように、前方から見てL字状に形成される。設置部22c上に計測装置22bが設置され、計測装置22b上にリニアモータ20の固定子20aが設置される。計測装置22bは、可動子20bとの間で固定子20aに生じる鉛直方向の反力を計測できるように、固定子20aを支持する。本実施形態では、計測装置22bはロードセルを含み、固定子20aからロードセルに与えられる鉛直方向の荷重を計測する。
【0027】
図1および図2を参照して、試験車両1の性能試験を行う場合には、例えば、駆動輪2を回転させながら、駆動輪2に負荷を与えるために、リニアモータ20によってローラ16にトルクを与える。本実施形態では、可動子20bがローラ16に固定されているので、固定子20aとの間で可動子20bに推力を生じさせることによって、ローラ16にトルクを与えることができる。
【0028】
図1を参照して、本実施形態では、シャシーダイナモメータ10を左側から見た場合に、例えば、駆動輪2が反時計回りに回転し、ローラ16が時計回りに回転する。駆動輪2に負荷を与えるために、リニアモータ20は、ローラ16に対して反時計回りの方向のトルクを与える。すなわち、リニアモータ20は、ローラ16の回転方向とは反対方向のトルクをローラ16に与える。本実施形態では、固定子20aは、回転軸16aの後方に配置されている。このため、固定子20aは、ローラ16に反時計回りの方向のトルクを与えるために、可動子20bに対して上方向の推力を与える。
【0029】
固定子20aから可動子20bに推力を与える際には、可動子20bから固定子20aに反力が作用する。本実施形態では、上記のように、固定子20aは可動子20bに上方向の推力を与えるので、固定子20aには、下方向の反力が生じる。
【0030】
各固定子20aに生じた反力は、鉛直方向の荷重として各計測装置22bによって計測される。計測装置22bによって計測された荷重のデータは、例えば、図示しない制御装置に送られる。制御装置は、計測装置22bによって計測された荷重のデータに基づいて、リニアモータ20からローラ16に与えられるトルクを算出する。また、制御装置は、例えば、上記算出されたトルクに基づいてリニアモータ20を制御(フィードバック制御等)し、ローラ16に与えられるトルクを調整する。このようにして、試験車両1の性能試験の目的に応じた適切なトルクをローラ16に与えることができる。
【0031】
(実施形態の効果)
上述のシャシーダイナモメータ10では、リニアモータ20の可動子20bがローラ16に固定される。すなわち、ローラ16とリニアモータ20の可動子20bとを一つの回転体として構成できる。この場合、可動子20bを配置するためのスペースをリニアモータ20の固定子20aに確保する必要がないので、固定子20aを小さくできる。これにより、リニアモータ20自体を小さくできるとともに、固定子20aを支持する支持部22も小さくできる。その結果、シャシーダイナモメータ10を小型に構成できる。
【0032】
シャシーダイナモメータ10では、計測装置22bが、固定子20aを支持する役割を担いつつ固定子20aに生じる反力を計測する役割も担う。このため、固定子20aを支持するための部材および上記反力を計測するための部材を別個に設ける必要がないので、支持部22をより簡単に構成できる。また、固定子20aを計測装置22bによって支持することによって、固定子20aに生じる反力を計測装置22bによって直接、計測できる。これにより、計測装置22bと固定子20aとの間に他の部材を設ける場合に比べて、上記反力を高精度に計測できる。さらに、シャシーダイナモメータ10では、上述のように固定子20aを小さくできるので、小さな計測装置22bで固定子20aを支持できる。これにより、シャシーダイナモメータ10の小型化が簡単になる。
【0033】
シャシーダイナモメータ10では、計測装置22bは、ロードセルを用いて固定子20aに生じる荷重を計測する。この場合、固定子20aを支持しかつ該固定子20aに生じる反力を計測可能な計測装置22bを簡単に構成できる。
【0034】
シャシーダイナモメータ10では、計測装置22bは、固定子20aに生じる鉛直方向の反力を計測する。この場合、計測装置22bにおいて、固定子20aを支持するための支持構造を簡単にできる。
【0035】
シャシーダイナモメータ10では、可動子20bが円筒部16bの内周面上に固定され、固定子20aは、円筒部16bの内側に、ローラ16の径方向に可動子20bと対向して配置される。この場合、固定子20aおよび可動子20bをローラ16内に収容できるので、固定子20aおよび可動子20bをローラ16によって保護できるとともに、シャシーダイナモメータ10をより小型に構成できる。また、円筒部16bが、可動子20bを保持する役割を担いつつ、試験車両1の駆動輪2を支持する役割も担う。このため、ローラ16において、可動子20bを保持するための部材および試験車両1の駆動輪2を支持するための部材を別個に設ける必要がない。これにより、ローラ16をより簡単に構成できる。
【0036】
シャシーダイナモメータ10では、トルク発生装置14a,14bにそれぞれ設けられたリニアモータ20によって、トルク発生装置14aのローラ16とトルク発生装置14bのローラ16とを別々に制御することができる。これにより、実際の負荷状況に近い、より高精度な性能試験が可能になる。
【0037】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、トルク発生装置14aに一対のリニアモータ20が設けられているが、いずれか一方のリニアモータ20が設けられなくてもよい。トルク発生装置14bについても同様である。
【0038】
また、ローラの構成およびリニアモータの配置は、上述の例に限定されない。例えば、上述のローラ16の代わりに、図3(a)〜(c)に示すローラ24を用いてもよい。なお、図3は、図2に相当する位置のローラおよびリニアモータを示す図である。
【0039】
ローラ24がローラ16と異なるのは、円筒部16b(図2参照)の代わりに、円筒部24aを有している点である。円筒部24aは、連結部16cの外縁部から一方向(図3に示す例では右方向)にのみ延びるように形成されている。
【0040】
ローラ24を用いる場合には、例えば、図3(a)に示すように、円筒部24aに一つのリニアモータ20のみを設けてもよい。また、図3(b)に示すように、リニアモータ20の代わりに、固定子26aおよび円環状の可動子26bを有するリニアモータ26を用いてもよく、図3(c)に示すように、リニアモータ20の代わりに、固定子28aおよび円環状の可動子28bを有するリニアモータ28を用いてもよい。
【0041】
図3(b)に示す例では、円筒部24aの一端面(右端面)に可動子26bを固定し、回転軸16aに平行な方向(左右方向)において可動子26bと対向する位置に固定子26aを配置している。また、図3(c)に示す例では、円筒部24aの他端面(左端面)および連結部16cの外縁部のうちの少なくとも一方に可動子28bを固定し、回転軸16aに平行な方向(左右方向)において可動子28bと対向する位置に固定子28aを配置している。なお、可動子28bの代わりに、円筒部24aの内周面(連結部16cの直径)よりも小さな外径を有する可動子を用いてもよい。この場合、可動子は、例えば、連結部16cの固定子28a側の側面(左側面)に固定される。また、図3(b),(c)のように可動子を配置する場合においても、図2および図3(a)に示した場合と同様に、可動子の径方向において可動子と対向する位置に固定子を配置してもよい。
【0042】
また、固定子の形状は上述の例に限定されない。図4に示すリニアモータ30のように、固定子30aが、可動子30bを間に挟むように一対の突出部30cを有していてもよい。可動子30bは、上述の可動子と同様に、円環状に形成されかつローラに固定される。リニアモータ30では、例えば、各突出部30cにコイルが設けられる。
【0043】
図1を参照して、上述の実施形態では、保持部18と支持部22とが別個の部材として構成されているが、保持部18と支持部22とを一体に構成してもよい。また、図2を参照して、例えば、一対のローラ16の間に設けられる2つの保持部18および2つの架台22aを一体に構成してもよい。
【0044】
図2を参照して、上述の実施形態では、トルク発生装置14aの回転軸16aとトルク発生装置14bの回転軸16aとが別個に設けられているが、これら2つの回転軸16aを一体に構成してもよい。この場合、トルク発生装置14aのローラ16とトルク発生装置14bのローラ16とが一体になって回転するので、トルク発生装置14a,14bのうちのいずれか一方のみにリニアモータ20を設けてもよい。
【0045】
上述の実施形態では、固定子20aを支持部22(計測装置22b)によって下方から支持しているが、固定子20aを支持部(計測装置)によって上方から支持してもよい。より具体的には、例えば、固定子20aを計測装置によって上方から吊り下げてもよい。
【0046】
上述の実施形態では、ローラの回転軸の後方に固定子を配置しているが、固定子の位置は上述の例に限定されない。例えば、ローラの回転軸の前方に固定子を配置してもよい。この場合、計測装置は、例えば、上述のシャシーダイナモメータ10の場合と同様に、固定子に生じる鉛直方向の反力を計測できるように配置される。
【0047】
また、例えば、ローラの回転軸の上方または下方に固定子を配置してもよい。この場合、計測装置は、例えば、固定子に生じる前後方向の反力を計測できるように配置される。
【0048】
上述の実施形態では、各リニアモータは、1つの可動子に対して1つの固定子を有しているが、リニアモータが、1つの可動子に対して複数の固定子を有していてもよい。この場合、例えば、複数の固定子にそれぞれ対応するように複数の計測装置を設け、各計測装置によって各固定子に生じる反力を計測する。これによって、リニアモータからローラに与えられるトルクを算出できる。
【0049】
上述の実施形態では、シャシーダイナモメータ10によって四輪の試験車両1の性能試験を行う場合について説明したが、本発明に係るシャシーダイナモメータは、自動二輪車または自動三輪車等の他の車両の性能試験にも利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、車両の性能試験を行うシャシーダイナモメータに利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 試験車両
2 駆動輪
10 シャシーダイナモメータ
16,24 ローラ
16a 回転軸
16b,24a 円筒部
20,26,28,30 リニアモータ
20a,26a,28a,30a 固定子
20b,26b,28b,30b 可動子
22 支持部
22a 架台
22b 計測装置
図1
図2
図3
図4