【解決手段】搬送装置60は、複数個の搬送経路構成部材63で櫛歯状に構成された第1部品61と第2部品62を入れ子状に組み合わせて得た搬送経路を有する。搬送経路は、搬入溝9(第1溝)と測定台3がある測定溝(第2溝)と階段状の搬出溝16(第3溝)が直線的に連続し、カプセル7を搬送体14等で搬送する。ブロック状の搬送経路構成部材の組み合わせにより直線状の搬送経路を高精度で構成でき、ワークを確実に高速搬送できる。2個の部品を分解すれば清掃作業は容易かつ確実である。
所定間隔をおいて並設された少なくとも2の搬送経路構成部材(63)で構成されるとともに、ワーク(7)を搬送するための第1溝(8,9)と、ワークを支持する溝部を備えた検査台(3)を配置するために前記第1溝に連続して設けられた第2溝(12)と、ワークを搬送するために前記第2溝に連続して設けられた第3溝(16)が直線的に配置されてなる搬送経路と、
前記搬送経路に沿ってワークを移動させる搬送手段(13,14,17)と、
を具備することを特徴とする搬送装置(60)。
並設された3以上の前記搬送経路構成部材(63)が、並設方向について1つ置きに異なる二つの群(61,62)の一方に属するとともに、前記各群ごとに、複数の前記搬送経路構成部材の長手方向の互いに反対側がそれぞれ連結されており、前記各群が互いに入れ子状に組み合わせられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置(60)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたカプセル重量測定装置の発明における搬送装置によれば、供給されたカプセルを前段の搬送工程で搬送し、これを重量測定工程に搬入して重量の測定を行い、さらに後段の搬送工程において下流側の所定の位置へ搬送している。従って、前段の搬送工程における搬送経路と、重量測定工程におけるカプセルの秤量台と、後段の搬送工程における搬送経路は、カプセルを高速に搬送する必要性から直線的に配置、位置決めし、互いに不用な隙間なく接続する必要があり、組み立てには高い精度を要する。また、薬品のカプセルのように、被搬送物は繰り返して多数個を搬送することによって搬送経路に粉塵等を発生、付着させる場合もあり、一般的に搬送経路は定期的に清掃する必要があるが、上述したような搬送経路の構造では分解や清掃後の組み立てに手間を要するため、時間及び費用が嵩むという問題もあった。
【0005】
本発明は、以上説明した従来の技術における種々の課題に鑑みてなされたものであり、搬送経路の途中に検査工程が設けられた搬送装置において、搬送経路の全体をワークの高速搬送に適するように直線状に構成することができ、しかも分解、組み立てが容易であ
る溝状の搬送経路の清掃性が高い搬送装置と、当該搬送装置を用いた検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された搬送装置60は、
所定間隔をおいて並設された少なくとも2の搬送経路構成部材63で構成されるとともに、ワーク7を搬送するための第1溝8,9と、ワーク7を支持する溝部を備えた検査台3を配置するために前記第1溝8,9に連続して設けられた第2溝12と、ワーク7を搬送するために前記第2溝12に連続して設けられた第3溝16が直線的に配置されてなる搬送経路と、
前記搬送経路に沿ってワーク7を移動させる搬送手段13,14,17と、
を具備することを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載された搬送装置60は、請求項1に記載の搬送装置60において、
並設された3以上の前記搬送経路構成部材63によって2以上の前記搬送経路が互いに並設して構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載された搬送装置60は、請求項1に記載の搬送装置60において、
並設された3以上の前記搬送経路構成部材63が、並設方向について1つ置きに異なる二つの群61,62の一方に属するとともに、前記各群61,62ごとに、複数の前記搬送経路構成部材63の長手方向の互いに反対側がそれぞれ連結されており、前記各群61,62が互いに入れ子状に組み合わせられていることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載された検査装置1は、請求項1に記載の搬送装置60と、前記搬送装置60の前記第2溝12に設けられて前記検査台3に接続された検査手段4と、を有することを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載された検査装置1は、請求項4に記載の検査装置1において、前記第2溝12を構成する搬送経路構成部材63の上端縁が、前記検査台3よりも上方にあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された搬送装置によれば、所定間隔をおいて並設された少なくとも2個の搬送経路構成部材によって、直線的に連続する第1溝と、検査台の第2溝と、第3溝を有する溝状の搬送経路を構成することができるので、この搬送経路に沿ってワークを搬送手段で確実に搬送していくことができ、必要に応じて高速搬送も可能となる。また、搬送経路を清掃したい場合には、並設された少なくとも2個の搬送経路構成部材を互いに分離すれば、個々の搬送経路構成部材を清掃する作業は容易に行うことができ、また清掃後には、当該搬送経路構成部材を組み立てて元の形状の搬送経路を復元することも容易である。
【0012】
請求項2に記載された搬送装置によれば、3個以上の搬送経路構成部材を互いに所定間隔をおいて並設した構成になっているので、2つ以上の上述したような搬送経路を並設して設けることができ、多数のワークを並列して高速搬送できる搬送装置を実現することができる。
【0013】
請求項3に記載された搬送装置によれば、前記所定間隔の2倍の間隔で櫛歯状に並設して根元で連結した複数個の搬送経路構成部材の組を二組用意し、これらを互いに入れ子状に組み合わせることにより、前記所定間隔で複数の搬送経路を構成することができるので、搬送経路の分解、清掃、組み立てを行う際の取り扱いが容易である。
【0014】
請求項4に記載された検査装置によれば、第1溝と、第2溝に設けた検査台と、第3溝とが直線的に連続してなる搬送経路に沿ってワークを搬送手段で確実に搬送していくことができるとともに、搬送装置の第2溝ではワークを検査台に載置して検査手段で検査することができる。従って、検査を含めた搬送作業全般を必要に応じて高速搬送することができる。また、検査作業に伴って搬送経路や検査台に清掃の必要が生じた場合には、搬送経路の分解、清掃、組み立てを容易に行うことができる。
【0015】
請求項5に記載された検査装置によれば、検査手段に接続された検査台が設けられる第2溝は並設された左右一対の搬送経路構成部材で区画され、構成されているが、これら一対の搬送経路構成部材の上端縁は検査台の上端縁よりも上方に突出している。このため、搬送経路の上方から、交換又は着脱可能な本装置の部品等が取付部等から外れる等して落下してきた場合、この落下物は搬送経路構成部材の上端縁に衝突してこれより下方への落下が阻止される可能性が高くなり、検査台や検査台に接続された検査手段に損害を及ぼす可能性が小さくなる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.検査装置である重量測定装置1の全体構成について(
図1〜
図4)
図1は、検査装置としての重量測定装置1を示す外観斜視図であり、一部が透光性とされた開閉自在の扉50を有する外筐体51を備えている。外筐体51の内部には、カプセルの供給部2と、カプセルを搬送する搬送装置60が設けられている。また、
図1には現れないが、
図4に示すように、検査手段としての重量測定部4等も外筐体51の内部に設けられている。外筐体51の上面には、供給部2に連通する供給孔52が設けられており、図示しないホッパを外筐体51の上面に取り付けて供給孔52に連通させることにより、外筐体51の内部にあるカプセルの供給部2にカプセルを供給することができる。
このように本実施形態では、被測定物であるワークとして、薬が封入され、両端が半球状に形成された円柱状のカプセル7を
図4に例示している。
【0018】
図2は重量測定装置1の外筐体51の内部にある構成を示す図であり、カプセルの供給部と、搬送手段を除くカプセルの搬送装置60を斜視図で示したものであり、
図3は、
図2の内容に、カプセルの搬送装置60の一部である搬送手段としての搬送体14を加えて示したものである。
【0019】
図4は重量測定装置1の要部を側面方向から見た断面図である。この重量測定装置1は、被測定物の供給部2と、供給部2から供給されたカプセル7を図中右方から左方へ連続する搬送経路に沿って搬送する搬送装置60と、この搬送経路の途中に設けられて被測定物の重量を測定する検査台としての測定台3と、測定台3に接続されて搬送経路の下方に設けられた検査手段としての重量測定部4を有している。さらに、重量測定装置1は、搬送経路の下流側に連続するように、重量測定結果に応じてカプセル7を振り分ける振り分け部6を備えており、さらに、これらの各構成を統括して制御する図示しない制御部を備えている。
以下、各構成部分ごとにその構成を説明する。
【0020】
2.搬送装置60について(
図4〜
図11)
〈搬送経路の構造〉
カプセル7を搬送するための搬送経路は、
図5及び
図6に示す第1部品61と第2部品62の2つの部品によって構成される。
図5及び
図6は、これら第1部品61と第2部品62の組み立て前の状態を示している。
図5及び
図6に示すように、両部品61,62は、それぞれ、カプセル7の搬送方向を長手方向とする長尺状の搬送経路構成部材63を複数本組み合わせて構成されている。実施形態では、第1部品61が6本の搬送経路構成部材63を備えており、第2部品62が5本の搬送経路構成部材63を備えている。各部品61,62において、複数の搬送経路構成部材63は所定間隔をおいて平行に配置されており、長手方向の互いに反対側がそれぞれ棒状又は板状の連結部材64,65で連結されている。すなわち、両部品61,62は櫛歯状の構造であり、組み立て時には隙間の開いた先端側を互いに対向させて配置される。
【0021】
そして、
図7及び
図8に示すように両部品61,62を入れ子状に組み合わせ、
図9及び
図10に示すように一体化させる。この実施形態では、第2部品62の搬送経路構成部材63の先端が第1部品61の連結部材64に係合し、第1部品61の搬送経路構成部材63の先端が第2部品62の連結部材65に係合し、図示しない適宜の固定手段等により両部品を互いに固定、一体化する。この組み立て状態を示した
図9及び
図10から理解されるように、異なる部品(群)に属する隣接する搬送経路構成部材63,63同士は長手方向と直交する方向に所定間隔で並んでおり、その隙間がカプセル7を搬送するための搬送経路としての溝となっている。本実施形態では、搬送経路となる10本の溝が構成されている。なお、両部品61,62は組み立て及び分解が自在であり、必要に応じて分解することによって適時に搬送経路の清掃を行うことができる。
【0022】
図5及び
図6に示すように、各部品61,62の搬送経路構成部材63は、略一定の高さを有する長尺矩形板状の壁部66と、該壁部66の両側面に突出して設けられた係止部67を有している。但し、第1部品61の最も外側の2個の搬送経路構成部材63,63の外面側には、カプセル7の搬送経路は存在しないので係止部67も設けられていない。
【0023】
図9は、前述した通り、2つの部品61,62を互いに入れ子状に組み合わせて一体化した状態を示しているが、同図(a)中の2カ所の切断線Y−Y及びZ−Zにおける断面図を示したのが、それぞれ
図11の各断面図(2)及び(3)である。これらの断面図に示すように、搬送経路の係止部67の上面の内縁辺には、その長手方向に沿って面取り加工したテーパー部70が設けられている。カプセル7は、隣接する2つの搬送経路構成部材63,63の各係止部67,67間にある溝において、両側のテーパー部70,70に接触した状態で支持され、後述する搬送手段で下流に向けて搬送される。なお、
図9(a)中の切断線X−Xにおける断面図は
図11(1)に示すが、この部分は、後述するようにカプセル7が載置される測定台3を配置するために前後の搬送経路より幅が広くなっており、従って係止部67やテーパー部70は設けられていない。
なお、
図11では、分図(1)において測定台3を後述する重量測定部4に連結するアーム30は図示を省略しており、分図(2),(3)において一部の符号の図示を省略している。
【0024】
上述した搬送経路の構造を
図4に示す視点(搬送経路構成部材63の長手方向と直交する水平方向の視点)から改めて説明する。まず、カプセル7の搬送経路は、測定台3よりも上流側(
図4中、測定台3の右側)にある前半の搬送経路と、測定台3よりも下流側(
図4中、測定台3の左側)にある後半の搬送経路から構成される。前半の搬送経路は、湾曲溝8及び搬入溝9を有しており、本実施形態ではこれら各溝を前半の溝として第1溝と称する。後半の搬送経路は、搬送方向に進むと徐々に高さが低下していく階段状の搬出溝16を有しており、本実施形態ではこの搬出溝16を後半の溝として第3溝と称する。第3溝である搬出溝16は、隣接する前記搬送経路構成部材63の間に構成されている。そして、前半の溝(第1溝)と後半の溝(第3溝)の間には、前記測定台3を配置するための測定溝12が設けられている。本実施形態ではこの測定溝12を第2溝と称する。この第2溝としての測定溝12が、前述した
図9(a)中の切断線X−Xにおける断面図である
図11(1)に示す部分である。
図11(1)に示すように、測定溝12の幅は、測定台3を配置するため、前段の第1溝(湾曲溝8及び搬入溝9)や、
図11(2),(3)に示す搬出溝16の幅よりも広くなっている。
【0025】
以上説明したように、各搬送経路構成部材63は直線的な板状であり、互いに平行に配置されているので、その隙間に構成される第1溝と第2溝と第3溝はカプセル7の搬送方向に沿って直線的に並んでおり、互いに連通している。
【0026】
〈前半の搬送経路の構成の詳細及び搬送手段等について〉
図4に示すように、供給部2は、その上方に配置された図示しないホッパから供給されたカプセル7を、後工程の搬送経路へ間欠的に1個ずつ送り出す機能を有する。この機能を達成するために、供給部2は、搬送経路としてのマガジン10と、ストッパ11を備えている。マガジン10は、ホッパの底部に連通する供給路を有しており、周期的な上下方向の往復動作に伴ってカプセル7を落下させて供給する。カプセル7は、マガジン10の内部において、その軸線を上下方向に向けた縦方向の姿勢で、かつ上下方向に一列に並んだ状態で収容されている。ストッパ11は、マガジン10が上下方向の動作における下端位置から上方に移動した際に供給路を閉鎖し、供給路の下端からカプセル7が落下するのを防止する。
【0027】
供給部2のマガジン10の直下には、搬送経路の一部を構成する湾曲溝8が設けられている。マガジン10から落下したカプセル7は、湾曲溝8に着地することで、その軸線を搬送方向斜め上に向けた姿勢で保持される。この湾曲溝8の搬送方向の下流側には、搬送経路の一部を構成する搬入溝9が連続して設けられている。搬入溝9は、前述したように、内面にある係止部67の上面内縁がテーパー部70とされており、カプセル7との接触面積を小さくしている。このテーパー部70は、搬送対象のカプセル7の大きさが変わっても、同じように支えることができる。
【0028】
搬入溝9におけるカプセル7の搬送方向について、湾曲溝8を挟んで搬入溝9と反対の側には、搬送手段としてのプッシャ13が設けられている。プッシャ13は、搬送方向に沿って湾曲溝8を通過して搬入溝9内に進退自在とされている。プッシャ13は、先端の上部が前方に突出した形状となっているため、湾曲溝8の後方から水平前方に向けてスライドすることにより、湾曲溝8にあるカプセル7の立ち上がりを規制しながら、これを搬入溝9へ送り出すことができる。
【0029】
搬送方向について、搬入溝9の下流側には、搬入溝9に連通して測定溝12が設けられており、この測定溝12内には測定台3が設けられている。この構造は、
図4では現れないが、
図6等から理解されよう。測定台3は、前半の搬送経路である湾曲溝8及び搬入溝9の次工程として配置されている。
図11(1)に示すように、測定台3は、搬入溝9のテーパー部70に連続するようなテーパー面71を有しており、搬入溝9からカプセル7を連続して受け入れられるようになっている。搬入溝9から送り出されたカプセル7は、この測定台3に1個ずつ載せられ、後述する重量測定部4によって1個ずつ重量が測定される。測定台3及び重量測定部4の構成の詳細については次項〈後半の搬送経路の構成の詳細及び搬送手段等について〉の後で説明する。
【0030】
図11(1)に示すように、測定台3が設けられた測定溝12では、並設された左右一対の搬送経路構成部材63の上端縁は測定台3の上端縁よりも上方に突出している。換言すれば、測定台3は測定溝12の内部に隠れており、上方に突き出してはいない。このため、仮に搬送経路の上方から、交換又は着脱可能な本装置の部品等が取付部等から外れる等して落下してきた場合、この落下物は搬送経路構成部材63の上端縁に衝突してこれより下方への落下が阻止される可能性が高い。例えば、前述したマガジン10を着脱する作業を行なっている際に誤ってマガジン10を搬送経路の上に落としてしまったとしても、マガジン10が測定溝12内にある測定台3に直接衝突して損傷を及ぼす可能性は小さい。
【0031】
〈後半の搬送経路の構成の詳細及び搬送手段等について〉
図4に示すように、測定台3の下流側には、間欠搬送部5が設けられている。この間欠搬送部5は、測定台3の後段に配置されており、カプセル7の搬送経路の後半部を構成している。間欠搬送部5は、前述した供給部2及び後述する重量測定部4の各動作と同期して、カプセル7を間欠的に搬送する機能を備えている。この間欠搬送部5は、カプセル7の搬送手段として爪状の搬送体14と階段状搬送機構15を備えている。
【0032】
搬送手段である搬送体14は、例えばE字状等、下向きの空間を備えた爪状の構造を備えている。本実施形態では、下向きに突出する前爪部Fと、中爪部Mと、後爪部Rとを有する。前爪部Fと中爪部Mとの間には、カプセル7がその軸線方向で収容可能となる。搬送体14は、これら前爪部F、中爪部M、後爪部R、及びこれらを連結する上壁部66Wによってカプセル7の逃げ、飛び出しを防止しながら搬送することができる。
【0033】
図4に示すように、搬送体14は、搬送方向について上流側の第1移動位置で、中爪部Mが測定台3のカプセル7の後端に当たる。この状態で、前爪部Fは、先のカプセル7の後端に当たり、後爪部Rは後のカプセル7の前端に当たる。搬送体14は、測定台3のカプセル7を上から被せるように保持し、次段の階段状搬送機構15に送る。搬送体14は、カプセル7を搬送した後、上昇し、カプセル7の搬送軌跡から外れた搬送方向の初期位置に戻される。この循環動作が繰り返されることにより、搬送体14は、供給部2の動きに同期してカプセル7を間欠搬送することができる。この間欠搬送動作においてカプセル7が静止状態にある時間が重量測定部4の秤量タイミングと略一致する。すなわち、カプセル7が秤量可能なタイミングは、搬送体14の停止時間と所期位置への戻り時間の合計である。
【0034】
階段状搬送機構15は、並列された複数の前記搬送経路構成部材63の各隙間に構成された階段状の前記搬出溝16と、各搬出溝16に設けられた搬送手段としての段状プッシャ17を有する。前述したように、搬出溝16の各段部において、カプセル7が搬送される搬送径路は、
図11(3)に示すように、上述した湾曲溝8及び搬入溝9と同様のテーパー部70を備えている。同図中には、高さの異なる段部において支持されている2個のカプセル7を図示している。
前記搬送経路構成部材63は、複数の水平部及び垂直部で構成され、カプセル7の搬送方向について下流に向けて下降していく階段状の部材である。搬送経路構成部材63の各水平部には、搬出溝16に面する縁辺に前述したテーパー部70が形成されている。段状プッシャ17は、搬送経路構成部材63と略同形状の階段状に形成された一体の板状部材である。段状プッシャ17は、搬送経路構成部材63,63の間に構成された搬出溝16内をカプセル7の搬送方向に沿って前後方向に交互にスライドすることができる。また、
図4に示すように、段状プッシャ17が搬送方向の最も上流の位置、すなわちカプセル7を押し出す直前の始点位置にあるとき、段状プッシャ17の各水平部は、搬送経路構成部材63の各水平部よりも、段状プッシャ17及び搬送経路構成部材63の両垂直部の高さの略半分程低くなるような位置関係で配置されている。従って、搬送時に、段状プッシャ17が、搬送経路構成部材63の水平部の長さと同程度の長さだけ前進した終点位置まで進めば、搬送経路構成部材63に支持されたカプセル7は、段状プッシャ17の垂直部に押され、搬送経路構成部材63の次の水平部の上に突出している段状プッシャ17の次の水平部の上に落下する。次の工程で段状プッシャ17が後退すると、段状プッシャ17の水平部に載置されたカプセル7は搬送経路構成部材63の垂直部に突き当たって止められ、階段状プッシャ17がさらに後退して前記始点位置に戻れば、カプセル7は搬送経路構成部材63の次の水平部に落ちて載置される。
【0035】
なお、間欠搬送部5において、階段状搬送機構15の上方には、規制部材18が設けられている。規制部材18は、階段状搬送機構15に対し離間して対向配置され、対向下面が階段形状に倣って形成されており、階段状搬送機構15によるカプセル7の搬送中にカプセル7が規定の方向以外に飛び出すのを防止する。
【0036】
間欠搬送部5の下流側には、振り分け部6が設けられている。本実施形態の振り分け部6は、間欠搬送部5からカプセル7が搬送されるときに、重量測定部4からの計測の結果に基づき、カプセル7の搬送先を切り替えることができる。振り分け部6は、落下口19と開閉蓋20を備えており、間欠搬送部5の動作に同期して開閉蓋20の開閉を制御することにより、上流側の第1搬送先Aと下流側の第2搬送先Bの何れかにカプセル7を選択的に落下させて重量による仕分けを行うことができる。本実施形態では、第1搬送先AはNG品のカプセル7を搬送する場所となり、第2搬送先BはOK品のカプセル7を搬送する場所となる。
【0037】
以上説明したように、被測定物であるカプセル7の搬送経路は、測定台3を挟んで上流側の搬入溝9等と、下流側の階段状の搬出溝16等により構成されているが、本実施形態においては、この搬送経路は1列ではなく、より具体的には、前述したように10連の搬送経路が並んだ多連構造となっており、後に詳述するように、各搬送経路ごとに重量測定部4が設けられている。
【0038】
3.検査手段としての重量測定部4等の構成について(
図4)
以上説明したように、カプセル7の重量を測定するための測定台3は、各搬送経路の中途、すなわち上流側の搬送経路である搬入溝9と、下流側の搬送経路である階段状の搬出溝16の間に設けられている。重量測定部4は
図4において測定台3の下方に配置されている。
【0039】
図4に示すように、測定台3の下方には基部材25が配置されている。前述した通り、本装置1は、
図4の紙面に直交する方向に多数の搬送経路が並んだ多連の構造となっており、重量測定部4も各搬送経路ごとに同方向に並べて配置されているが、基部材25はこれら複数の重量測定部4が取り付けられる単一かつ共通のベース部材として設けられている。この基部材25は、カプセル7の搬送方向(
図4中左右方向)に直交する方向(
図4の紙面に直交する方向)を長手方向とする略直方体状の筐体であり、重量測定部4を取り付けるのに必要な強度乃至剛性を備えている。そして、カプセル7の搬送方向についての位置が異なる基部材25の前面(
図4において右側の面)と後面(
図4において左側の面)に、重量測定部4の固定部26が固定されている。
図4では、図示の煩雑さを避けるために、基部材25の前面に取り付けられた重量測定部4のみを示しているが、多連の搬送経路に対応する複数の重量測定部4は、基部材25の長手方向について千鳥状となるように基部材25の前面と後面に対して交互に取り付けられている。
【0040】
重量測定部4は、基部材25の前面又は後面に固定された固定部26と、固定部26とは反対側の自由端であって、搬送方向に延設されて両端が屈曲した略L字形のアーム30を介して測定台3に連結された可動部27と、可動部27と固定部26を連結するロバーバル部28を備えており、各辺が自由に動けるように構成された略平行四辺形の枠状構造体である。カプセル7を測定台3に載せれば、カプセル7の質量に起因して可動部27が変位するので、その変位に起因して検出される物理量から質量を測定することができる。具体的な質量の検出手法については後述する。
【0041】
本実施形態によれば、測定台3と重量測定部4の複数の組が、共通の基部材25に互い違いに取り付けられている。すなわち、複数の重量測定部4の各固定部26は、カプセル7の搬送方向について位置が異なる基部材25の前面と後面に交互に固定され、これによって各組の重量測定部4は基部材25の長手方向に沿って千鳥状の配置で固定される。その結果、各組の測定台3はカプセル7の搬送方向について同一の位置に配置され、搬送方向と直交する水平方向に密に並んだ状態となる。
【0042】
このように、共通の基部材25に複数の重量測定部4の各固定部26を千鳥状の配置で固定する構成を採用しているため、複数の重量測定部4を並べた多連構造の重量測定装置1を比較的小さな接地面積で構成することが可能となる。このような構造は、複数本の搬送経路構成部材63を櫛歯状に一体化した第2部品62と第1部品61を入れ子状に組み合わせて搬送経路を形成する前記組み立て構造と適合しており、小さな面積に配置した多連の搬送経路でそれぞれカプセル7を搬送しながら効率的な重量測定を行う能率的な作業が実現できる。
【0043】
なお、ロバーバル機構を備えた重量測定部4による具体的な質量検出手法としては、例えば次のような手法を例示することができる。
可動部27の変位を検出するセンサ、例えば可動部27の変位を静電容量の変化として検出できる容量センサを可動部27と固定部26の間に設けておき、測定台3にカプセル7を載置した際の可動部27の変位に基づく静電容量の変化を検出し、これを予め用意しておいたテーブルデータと比較することによってカプセル7の質量を測定する手法がある。
また、ロバーバル機構を備えた重量測定部4においては、上述した容量センサの他、ひずみゲージを使用したロードセル等を用いることもできる。
【0044】
又は、所謂フォースバランス式を用いることもできる。すなわち、可動部27の変位を静電容量の変化として検出できる容量センサを設けるとともに、静電容量の作用を駆動源として、変位した可動部27を平衡状態に復帰させるアクチュエータを設けておく。そして、測定台3にカプセル7を載置して可動部27が変位し、容量センサが静電容量の変化を検出した場合には、この静電容量の変化を電圧値に変換し、この電圧値が所定の値となるように(例えば電圧値が0、すなわち静電容量の変化が0となるように)、アクチュエータに印加する電圧を制御する。これと同時に、アクチュエータに印加する電圧を制御部に出力し、テーブルデータと比較することにより被計量物の質量を測定する。
また、上記フォースバランス式を用いる場合には、可動部27の変位を検出する手段として、上述した容量センサの他、フォトダイオードを用いて変位を検出する手段を利用することもできる。
【0045】
4.重量測定装置1としての作用・効果等について
本実施形態に係る重量測定装置1によれば、以上説明した装置各部は制御部によって同期して駆動制御される。すなわち、上下方向に往復移動する供給部2のマガジン10からカプセル7が落下し、湾曲溝8に入ると、プッシャ13が前方にスライドしてカプセル7を搬入溝9へ送り出す。さらに、搬送体14が循環して作動することにより、搬入溝9のカプセル7を移動させて測定台3の上に載置する。そして、動作の静止期に重量測定部4によって該カプセル7の重量を測定する。重量を測定されたカプセル7は、搬送体14によって間欠搬送部5に入り、さらに間欠搬送部5の動作によって順次下流側へ間欠的に搬送され、重量測定部4による測定結果に応じて作動する振り分け部6により、NG品とOK品に振り分けられる。
【0046】
5.搬送経路構成部材63の組み立て構造による効果について(
図4及び
図5〜
図11)
以上説明したように、本実施形態によれば、所定間隔をおいて並設された複数個の搬送経路構成部材63によって、カプセル7の搬入側である第1溝と、測定台3が設けられる第2溝と、カプセル7の搬出側である第3溝を直線的に連続させた搬送経路を構成することができる。このような搬送経路によれば、カプセル7を搬送手段で確実かつ高速で搬送していくことができ、能率的な重量測定が可能となる。また、搬送経路を清掃したい場合には、並設された第1部品61と第2部品62を分解すれば、個々の搬送経路構成部材63を清掃する作業を容易に行うことができ、また清掃後には第1部品61と第2部品62を組み立てて元の形状の搬送経路を復元することも容易である。
【0047】
以上説明した実施形態では、薬品等が充填されたカプセル7の重量を測定する例を挙げたが、これは一例にすぎず、本発明が対象とする被測定物(ワーク)は特定形状の特定物品に限定されるものではなく、また検査内容も重量測定に限らない。
【0048】
すなわち、実施形態では、検査手段として重量測定部4を挙げたが、検査の目的、検査手段の構成及び原理等には特に限定はなく、例えばX線を用いた異物検出や厚さ測定、電磁誘導の原理を用いた金属異物の検出等、必要に応じてあらゆる検査手段を適用することができる。
【0049】
なお、X線を用いた検査の場合には、搬送される被検査体に鉛直方向の上方からX線を照射し、同下方に設けた検出装置で被検査体を透過したX線を検出する必要があるため、左右一対のテーパー部でワークを支える第1溝及び第3溝のような支持構造では、ワークのテーパー部に接している部分は搬送経路構成部材63が重なってしまうため、透視することができない。しかしながら、本実施形態の第2溝である測定溝12の部分は、カプセル7の全体を視認できる十分な幅を備えているため、測定台に載置されたカプセル7の全体にX線を照射して検査を行うことができる。