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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-152569(P2015-152569A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】薬液濃度計
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/06 20060101AFI20150728BHJP
【FI】
   G01N27/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-29652(P2014-29652)
(22)【出願日】2014年2月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 義久
(72)【発明者】
【氏名】宮後 真
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA06
2G060AE17
2G060AF08
2G060AG01
2G060AG07
2G060AG11
2G060FA01
2G060FA09
2G060FA15
(57)【要約】
【課題】薬液濃度計において、管路内の流体の温度または圧力が変動した場合であっても、薬液濃度計の測定値を精度よく保つことができること。
【解決手段】薬液濃度計において、電極プレート12Rおよび12Q相互間に配されるライナー部材20は、電極プレート12Rおよび12Qに隣接して一対の補強ブロック14B相互間に挟持され、電極プレート12Pおよび12Q相互間に配されるライナー部材18は、電極プレート12Pおよび12Qに隣接して一対の補強ブロック14A相互間に挟持されるもの。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液が流れる流路に該薬液の流れ方向に沿って所定の間隔をもって配される少なくとも一対の電極であって、電極相互間を流れる電流に基づいて該薬液の濃度に応じて出力を送出する該電極を収容する電極収容部を有するハウジングと、
前記複数の電極からの出力に基づいて前記薬液の濃度をあらわす信号を形成する信号処理部と、を備え、
前記ハウジングの電極収容部は、前記薬液の温度または圧力の変化に基づく前記電極相互間距離、および、前記電流が通過する通路の横断面積の変化が抑制されることを特徴とする薬液濃度計。
【請求項2】
前記ハウジングの電極収容部は、前記電極相互間距離および電極相互間を流れる電流の通路の横断面積の変化を制限する補強部材を前記電極相互間に備えることを特徴とする請求項1記載の薬液濃度計。
【請求項3】
前記補強部材の嵌合部は、前記電極収容部内の流路を形成するライナー部材の被嵌合部に嵌合されることを特徴とする請求項2記載の薬液濃度計。
【請求項4】
前記補強部材の嵌合部は、前記電極収容部内の流路を形成する接続パイプの被嵌合部に、嵌合されることを特徴とする請求項2記載の薬液濃度計。
【請求項5】
前記ハウジングの電極収容部は、少なくとも一対の電極を離隔して両端に一体に有するガラスカーボン製円筒体を備えることを特徴とする請求項1記載の薬液濃度計。
【請求項6】
前記ハウジングの電極収容部は、前記少なくとも一対の電極の相互間距離を規制する絶縁パイプが前記流路の内周面に対し隙間をもって位置決めされていることを特徴とする請求項1記載の薬液濃度計。
【請求項7】
前記補強部材は、前記少なくとも一対の電極の相互間に配される筒状部材の線膨張率よりも小なる線膨張率を有することを特徴とする請求項2記載の薬液濃度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液濃度計に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液の濃度を計測する薬液濃度計としては、流体の導電率を計測する導電率計が、実用に供されている。直接印加式導電率計は、例えば、特許文献1乃至特許文献3にも示されるように、計測される流体が流れる管路内に、流体の流れ方向に沿って所定の間隔をもって3つの環状の電極が、流体と接触するように配置されている。3つの電極のうち中間の電極がアンプに接続され、残りの2つの電極が交流電源に接続されている。斯かる直接印加式導電率計の構成においては、交流電圧が、中間の電極と一方の端に位置する電極、および、中間の電極と他方の端に位置する電極とに並列に印加されるので並列合成抵抗が形成される。この並列合成抵抗を流れる電流が上述のアンプにより検出され電圧に変換されることによって、その流体の導電率がその電圧値に基づいて求められている。
【0003】
また、例えば、特許文献4にも示されるように、一対の電極を管路内の液体にさらすことなく管路の外側の対向する位置に設け、一対の基準電圧電源から周波数の異なる交流電圧を電極に与え、得られた2種類の電流値と、基準電圧値と、その周波数値とにより演算処理部において演算して流体の導電率を求めるものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−329633号公報
【特許文献2】特開2004−20231号公報
【特許文献3】特開2005−241590号公報
【特許文献4】特開平3−261872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような導電率計により測定される流体の導電率は、複数の電極が所定の間隔をもって管路に配されるもとで、管路内の流体を介して電極相互間に検査電流を流し、その抵抗を流れた電流に基づいて検出される。即ち、複数の電極相互間の距離が、管路内の流体の温度または圧力に起因して変動した場合、得られた導電率の精度が低下する虞がある。
【0006】
以上の問題点を考慮し、本発明は、薬液濃度計であって、管路内の流体の温度または圧力が変動した場合であっても、薬液濃度計の測定値を精度よく保つことができる薬液濃度計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明に係る薬液濃度計は、薬液が流れる流路に薬液の流れ方向に沿って所定の間隔をもって配される少なくとも一対の電極であって、電極相互間を流れる電流に基づいて薬液の濃度に応じて出力を送出する電極を収容する電極収容部を有するハウジングと、複数の電極からの出力に基づいて薬液の濃度をあらわす信号を形成する信号処理部と、を備え、ハウジングの電極収容部は、薬液の温度または圧力の変化に基づく電極相互間距離、および、電流が通過する通路の横断面積の変化が抑制されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る薬液濃度計によれば、ハウジングの電極収容部は、薬液の温度または圧力の変化に基づく電極相互間距離、および、電流が通過する通路の横断面積の変化が抑制されるので管路内の流体の温度または圧力が変動した場合であっても、薬液濃度計の測定値を精度よく保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る薬液濃度計の第1実施例の要部を示す断面図である。
図2】(A)は、図1におけるIIA−IIA線に沿って示される断面図であり、(B)は、図1におけるIIB−IIB線に沿って示される断面図であり、(C)は、図1におけるIIC−IIC線に沿って示される断面図である。
図3】本発明に係る薬液濃度計の第2実施例の要部を示す断面図である。
図4】(A)は、図3におけるIVA−IVA線に沿って示される断面図であり、(B)は、図3におけるIVB−IVB線に沿って示される断面図であり、(C)は、図3におけるIVC−IVC線に沿って示される断面図である。
図5】本発明に係る薬液濃度計の第3実施例の要部を示す断面図である。
図6】(A)は、図5におけるVIA−VIA線に沿って示される断面図であり、(B)は、図5におけるVIB−VIB線に沿って示される断面図である。
図7】本発明に係る薬液濃度計の第4実施例の要部を示す断面図である。
図8】(A)は、図7におけるVIIIA−VIIIA線に沿って示される断面図であり、(B)は、図8(A)におけるVIIIB−VIIIB線に沿って示される断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明に係る薬液濃度計の第1実施例を示す。
【0011】
図1に示される薬液濃度計は、例えば、矢印が示す方向に沿って所定の溶液SOが供給される配管Duの所定の中継地点に接続されている。薬液濃度計は、外郭部を形成するハウジング10と、ハウジング10内に配され上述の配管DUに一端が接続されるテフロン(登録商標)製の接続パイプ16および22と、3つの電極プレート12P、12Q,および、12Rと、電極プレート12Pと電極プレート12Qとの間、電極プレート12Qと電極プレート12Rとの間にそれぞれ、共通の軸線上に配される円筒状のライナー部材18および20と、ライナー部材18および20の外周部を取り囲みライナー部材18および20を補強する一対の補強ブロック14Aおよび14Bと、を主な要素として含んで構成されている。
【0012】
薬液濃度計において、配管Du内に連通する溶液SOの流路は、後述する接続パイプ16および22の内周部、電極プレート12P、12Q,および、12Rの孔、ライナー部材18および20の内周部と、により形成されている。
【0013】
ハウジング10は、例えば、樹脂材料で作られ、図1に示されるように、電極プレート12Qに対応する位置で二つに分割されたハウジング部10Aとハウジング部10Bとから構成されている。ハウジング部10Aとハウジング部10Bとは、互いに同一の構成を有するのでハウジング部10Aについて説明し、ハウジング部10Bの説明を省略する。
【0014】
ハウジング部10Aは、接続パイプ16が通過する開口部10Hを、横断面の中央部に有している。開口部10Hは、ハウジング部10Aの内側に溶液SOの流れ方向に沿って延びる凹部に連通している。その凹部は、電極プレート12Pと電極プレート12Qと、補強ブロック14Aと、ライナー部材18と、接続パイプ16とを収容するものとされる。
【0015】
また、開口部10Hの周囲には、図2(B)に示されるように、後述する4本の締結ボルト24がそれぞれ挿入される貫通孔10dが4箇所に形成されている。貫通孔10dの一端の周縁には、締結ボルト24の頭部および皿ばね26が挿入される凹部が形成されている。その凹部の座面部には、図2(A)に示されるように、締結ボルト24が挿入される複数の皿ばね26が重ね合わされて配されている。締結ボルト24は、図2(B)に示されるように、ハウジング部10Aおよびハウジング部10Bの貫通孔を貫通しており、対応するハウジング部10Bの凹部に配されるナットNu1により締結されている。
【0016】
これにより、複数の皿ばね26の弾性力に応じた締結ボルト24の軸線方向に沿った所定の押圧力が、ハウジング部10Aおよび10B、接続パイプ16および22、補強ブロック14Aおよび14Bを介して電極プレート12P、電極プレート12Q、および、電極プレート12Rに作用するので電極プレート12P、電極プレート12Q、および、電極プレート12Rが所定位置に拘束されることとなる。従って、溶液SOの温度、圧力の変化に起因した電極プレート12P、電極プレート12Q、および、電極プレート12Rの相互間距離の変動も、抑制されることとなる。
【0017】
ハウジング部10Aにおける電極プレート12Pと電極プレート12Qとに対応する位置には、図1に示されるように、溶液SOの流れ方向に直交するように貫通孔10aおよび10bが形成されている。貫通孔10aおよび10bには、それぞれ、図示が省略されるが、電極プレート12Pおよび電極プレート12Qに接続されるリード線が配される。その各リード線は、電極プレート12Pおよび電極プレート12Qと制御部における導電率演算部(不図示)とを接続する。
【0018】
ハウジング10の内側に所定の間隔をもって溶液SOの流れ方向に沿って配される電極プレート12P、電極プレート12Q、および、電極プレート12Rは、図2(C)に示されるように、例えば、ガラスカーボンで作られ、それぞれ、横断面中央部に溶液SOが通過する孔12p、12q、および12rを有している。電極プレート12Pにおける両端面には、それぞれ、接続パイプ16のフランジ部16Fの端面と、ライナー部材18のフランジ部の端面とが当接する当接面が形成されている。そのような当接面には、その端面を密封するOリングが挿入される環状のOリング溝が形成されている。電極プレート12Qにおける両端面には、それぞれ、ライナー部材18のフランジ部18Fの端面と、それに向かい合うライナー部材20のフランジ部20Fの端面とが当接する当接面が形成されている。そのような当接面には、その端面を密封するOリングが挿入される環状のOリング溝が形成されている。電極プレート12Rにおける両端面には、それぞれ、接続パイプ22のフランジ部22Fの端面と、ライナー部材20のフランジ部20Fの端面とが当接する当接面が形成されている。そのような当接面には、その端面を密封するOリングが挿入される環状のOリング溝が形成されている。
【0019】
電極プレート12Qは、例えば、所謂、プラス電極とされ、一方、電極プレート12P、および、電極プレート12Rは、それぞれ、マイナス電極とされる。電極プレート12Qは、図示が省略されるが、交流発生回路に接続された交流増幅回路に接続されている。電極プレート12P、および、電極プレート12Rは、接地されている。なお、その交流増幅回路は、溶液SOの導電率をあらわす信号を形成する信号処理回路(不図示)内に設けられている。これにより、交流増幅回路が作動状態とされる場合、図1に矢印で示されるように、所定の検査電流が、電極プレート12Qから電極プレート12P、および、電極プレート12Rに溶液SOを介して流れるとき、交流増幅回路により、並列合成抵抗に流れる電流が検出され電圧に変換されることとなる。従って、信号処理回路において、その電圧値に基づいて導電率をあらわす信号が形成されることとなる。
【0020】
例えば、テフロン(登録商標)で作られるライナー部材18および20は、互いに同一の構成を有するのでライナー部材20について説明し、ライナー部材18の説明を省略する。フランジ部20Fを両端に有するライナー部材20は、円筒状に成形され、横断面中央に通路20aを有している。これにより、ライナー部材20における円筒状部およびフランジ部20Fの外周部が、後述する一対の補強ブロック14Bの嵌合部に嵌合される被嵌合部を形成することとなる。
【0021】
ライナー部材20は、図2(B)に示されるように、電極プレート12Rおよび12Qに隣接して一対の補強ブロック14B相互間に挟持されている。
【0022】
一対の補強ブロック14Bは、例えば、セラミックで作られ、それぞれ、ライナー部材20の外周部が嵌合される凹部を内側に有している。各補強ブロック14Bにおける嵌合部としての凹部は、ライナー部材20の両端のフランジ部20Fの外周部がそれぞれ嵌合する一対の円弧部と、その一対の円弧部を連結するU字形のトンネル部とからなる。一対の補強ブロック14Bは、図2(B)に示されるように、その貫通孔に挿入される小ネジBS1およびナットにより締結されている。これにより、溶液SOの温度および圧力が仮に上昇した場合、ライナー部材20は、一対の補強ブロック14Bにより挟持されているのでライナー部材20の半径方向および軸線方向の変形が抑制されることとなる。従って、検査電流が通過する横断面積、および、電極プレート12P、12Qおよび12Rの相互間距離の変動も抑制されるので薬液濃度計の測定値を精度よく保つことができる。
【0023】
また、ライナー部材18および20を含んで構成される流路内に突起物がないので溶液SOの一部が滞留する虞もない。
【0024】
図3および図4(A)、(B)、および、(C)は、それぞれ、本発明に係る薬液濃度計の第2実施例を示す。
【0025】
図3に示される薬液濃度計は、例えば、矢印が示す方向に沿って所定の溶液SOが供給される配管Duの所定の中継地点に接続されている。薬液濃度計は、外郭部を形成するハウジング30と、ハウジング30内に配され上述の配管DUに両端が接続されるテフロン(登録商標)製の1本の接続パイプ36と、3つの棒電極32P、32Q,および、32Rと、棒電極32Pと棒電極32Qとの間、棒電極32Qと棒電極32Rとの間にそれぞれ、その外周部分を取り囲み接続パイプ36を補強する一対の補強ブロック46Aおよび46Bと、を主な要素として含んで構成されている。
【0026】
薬液濃度計において、配管Du内に連通する溶液SOの流路は、後述する接続パイプ36の内周部により形成されている。
【0027】
ハウジング30は、金属材料、例えば、ステンレス鋼で作られ、図4(A)に示されるように、棒電極32P、32Q、および、32Rにそれぞれ対応する位置で分割され隣接して配されるハウジング部30Aと、ハウジング部30B1および30B2と、ハウジング部30Cとから構成されている。ハウジング部30Aとハウジング部30Cとは、締結ボルト44が挿入される孔、および、雌ねじ孔を除き、互いに同一の構成を有するのでハウジング部30Aについて説明し、ハウジング部30Cの説明を省略する。
【0028】
ハウジング部30Aは、接続パイプ36の外周部が嵌合される開口部30Hを、横断面の中央部に有している。開口部30Hは、ハウジング部30Aの内側に溶液SOの流れ方向に沿って延びる凹部に連通している。その凹部は、接続パイプ36の大径部を収容するものとされる。
【0029】
また、開口部30Hの周囲には、図4(B)に示されるように、後述する4本の締結ボルト44がそれぞれ挿入される貫通孔が4箇所に形成されている。貫通孔の一端の周縁には、図4(A)に示されるように、締結ボルト44の頭部が挿入される凹部が形成されている。締結ボルト44は、図4(A)に示されるように、ハウジング部30Aの貫通孔、ハウジング部30B1および30B2の貫通孔を通過し、ハウジング部30Cの雌ねじ孔にねじ込まれている。
【0030】
ハウジング部30Aにおける棒電極32Pに対応する位置には、図3に示されるように、板ばね38および棒電極32Pの端部を凹部内で挟持するセラミック製の一対の棒電極支持ブロック34Aおよび34Fが設けられている。その凹部は、溶液SOの流れ方向に直交するように形成されている。ハウジング部30B1における棒電極32Qに対応する位置には、板ばね38および棒電極32Qの端部を凹部内で挟持するセラミック製の一対の棒電極支持ブロック34Bおよび34Eが設けられている。その凹部は、溶液SOの流れ方向に直交するように形成されている。また、ハウジング部30B2における棒電極32Rに対応する位置には、板ばね38および棒電極32Rの端部を凹部内で挟持するセラミック製の一対の棒電極支持ブロック34Cおよび34Dが設けられている。その凹部は、溶液SOの流れ方向に直交するように形成されている。
【0031】
ハウジング30に所定の間隔をもって溶液SOの流れ方向に沿って配される棒電極32P,32Q,および、32Rは、例えば、ガラスカーボンで作られている。
【0032】
棒電極32Qは、例えば、所謂、プラス電極とされ、一方、棒電極32P、および、棒電極32Rは、それぞれ、マイナス電極とされる。棒電極32Qは、上述した交流発生回路と同様な交流発生回路に接続された交流増幅回路に接続されている。棒電極32P、および、32Rは、接地されている。なお、その交流増幅回路は、溶液SOの導電率をあらわす信号を形成する信号処理回路(不図示)内に設けられている。これにより、交流増幅回路が作動状態とされる場合、図3に矢印で示されるように、所定の検査電流が、棒電極32Qから棒電極32P、および、棒電極32Rに溶液SOを介して流れるとき、交流増幅回路により、並列合成抵抗に流れる電流が検出され電圧に変換されることとなる。従って、信号処理回路において、その電圧値に基づいて導電率をあらわす信号が形成されることとなる。
【0033】
例えば、テフロン(登録商標)で作られる接続パイプ36は、円筒状に成形され、横断面中央に通路36aを有している。接続パイプ36は、溶液のSOの流れ方向に沿って両端、および、中間部に厚肉部を有している。その厚肉部相互間には、薄肉部が形成されている。これにより、接続パイプ36の厚肉部および薄肉部の外周部が、後述する各補強ブロック46Aおよび46Bの嵌合部としての凹部に嵌合される被嵌合部を形成することとなる。接続パイプ36は、図4(B)に示されるように、一対の補強ブロック46Aおよび46B相互間に挟持されている。接続パイプ36には、棒電極32P、32Q、および、32Rが、それぞれ、溶液SOの流れ方向に対し略直交する方向に貫通する一対の貫通孔が、その厚肉部に形成されている。各貫通孔の内周部には、棒電極32P、32Q、および、32Rの外周部を密封するOリングおよびテフロンパッキンが設けられている。
【0034】
互いに向かい合う一対の補強ブロック46Aおよび46Bは、例えば、セラミックで作られ、それぞれ、接続パイプ36の外周部が嵌合される凹部を内側に有している。各補強ブロック46Aおよび46Bの嵌合部としての凹部は、それぞれ、接続パイプ36のフランジ部の外周部がそれぞれ嵌合する円弧部と、その円弧部を連結するU字形のトンネル部とからなる。一対の補強ブロック46Aおよび46Bは、図4(B)に示されるように、その貫通孔に挿入される小ネジBS1およびナットにより締結されている。これにより、溶液SOの温度および圧力が仮に上昇した場合、接続パイプ36は、一対の補強ブロック48Aおよび48Bにより挟持されているので接続パイプ36の半径方向および軸線方向の変形が抑制されることとなる。また、棒電極32P、棒電極32Q、および、棒電極32R相互間にあっては、各板ばね38の弾性力、および、締結ボルト44の締結力に応じた軸線方向の一対の棒電極支持ブロック34A〜34Fに作用する押圧力が、棒電極32P、棒電極32Q、および、棒電極32Rの位置を所定位置に維持するように作用することとなる。
【0035】
従って、検査電流が通過する横断面積、および、棒電極32P、32Q、および、32Rの相互間距離の変動も抑制されるので薬液濃度計の測定値を精度よく保つことができる。
【0036】
図5および図6(A)、(B)は、それぞれ、本発明に係る薬液濃度計の第3実施例を示す。
【0037】
図5に示される薬液濃度計は、例えば、矢印が示す方向に沿って所定の溶液SOが供給される配管Duの所定の中継地点に接続されている。薬液濃度計は、外郭部を形成するハウジング50と、ハウジング50内に配される一本の棒電極52Qと、一体に形成される環状の電極52P、および、電極52Rと、を主な要素として含んで構成されている。
【0038】
薬液濃度計において、配管Du内に連通する溶液SOの流路は、後述するハウジング50の内周部、および、環状の電極52P、および、電極52Rの内周部により形成されている。
【0039】
ハウジング50は、例えば、テフロン(登録商標)で作られ、図6(A)に示されるように、電極52P、および、電極52Rの中間部にそれぞれ対応する位置で分割され隣接して配されるハウジング部50Aと、ハウジング部50Bと、ハウジング部50Cとから構成されている。ハウジング部50Aとハウジング部50Cとは、締結ボルト54が挿入される孔、および、雌ねじ孔を除き、互いに同一の構成を有するのでハウジング部50Aについて説明し、ハウジング部50Cの説明を省略する。
【0040】
ハウジング部50Aは、配管Duに接続される円筒状部を横断面の中央部に有している。円筒状部の内周部は、ハウジング部50Aの内側に溶液SOの流れ方向に沿って延びる凹部に連通している。その凹部は、後述する電極52Pを収容するものとされる。また、凹部内における電極52Pの外周部が嵌合される部分には、Oリングが挿入されるOリング溝が形成されている。
【0041】
また、ハウジング部50Aの円筒状部の周囲には、図6(A)に示されるように、後述する4本の締結ボルト54がそれぞれ挿入される貫通孔が4箇所に形成されている。貫通孔の一端の周縁には、図6(A)に示されるように、締結ボルト54の頭部および複数の皿ばね26が挿入される凹部が形成されている。各締結ボルト54は、図6(A)に示されるように、ハウジング部50Aの貫通孔、ハウジング部50Bの貫通孔を通過し、ハウジング部50Cの貫通孔を貫通しナットNu2で締結されている。
【0042】
ハウジング部50Aとハウジング部50Cとの間に挟持されるハウジング部50Bは、溶液SOの流れ方向に沿った中央部分に設けられる支持ブロック部50BSに、棒電極52Qが挿入される孔50bsが形成されている。溶液SOの流れ方向に直交する方向に形成される孔50bsに挿入された棒電極52Qの外周部には、Oリングおよびテフロンパッキンが挿入されている。支持ブロック部50BSは、ハウジング部50Bの他の部分に対しOリングを介して小ネジで固定されている。
【0043】
ハウジング部50A、ハウジング部50B、および、ハウジング部50Cの内周部を貫通する電極52P、および、電極52Rは、それぞれ、図6に示されるように、ガラスカーボンにより、一体に成形された円筒体の両端に露出した形で形成されている。即ち、円筒体の中間部分の内周部は、テフロン製のライナー56で被覆されている。また、ライナー56の内周部56aにおける電極52Qに対応する位置には、ライナー56および円筒体を貫通する孔56bが形成されている。円筒体の外周部には、所定の間隔をもって4箇所にOリングが設けられている。
【0044】
ガラスカーボンで作られる電極52Qは、例えば、所謂、プラス電極とされ、一方、電極52P、および、電極52Rは、それぞれ、マイナス電極とされる。電極52Qは、上述した交流発生回路と同様な交流発生回路に接続された交流増幅回路に接続されている。電極52P、および、52Rは、接地されている。なお、その交流増幅回路は、溶液SOの導電率をあらわす信号を形成する信号処理回路(不図示)内に設けられている。これにより、交流増幅回路が作動状態とされる場合、図5に矢印で示されるように、所定の検査電流が、電極52Qから電極52P、および、電極52Rに溶液SOを介して流れるとき、交流増幅回路により、並列合成抵抗に流れる電流が検出され電圧に変換されることとなる。従って、信号処理回路において、その電圧値に基づいて導電率をあらわす信号が形成されることとなる。
【0045】
これにより、溶液SOの温度および圧力が仮に上昇した場合、電極52P、および、電極52Rは、一体に成形された円筒体の両端に露出した形で形成されているので電極52P、および、電極52Rの半径方向および軸線方向の変形が抑制されることとなる。従って、検査電流が通過する横断面積、および、電極52P、52Q、および、52Rの相互間距離の変動も抑制されるので薬液濃度計の測定値を精度よく保つことができる。
【0046】
図7および図8(A)、(B)は、それぞれ、本発明に係る薬液濃度計の第4実施例を示す。
【0047】
図7に示される薬液濃度計は、例えば、矢印が示す方向に沿って所定の溶液SOが供給される配管Duの所定の中継地点に接続されている。薬液濃度計は、外郭部を形成するハウジング60と、ハウジング60の内周部内に配され流路の一部を形成する接液部としてのインナーブロック67と、ハウジング60の内側に溶液SOの流れ方向に沿って所定の間隔をもって配される3本の棒電極62P、62Q,および、62Rと、棒電極62Pと棒電極62Qとの間、棒電極62Qと棒電極62Rとの間にそれぞれ、支持される絶縁パイプ66と、を主な要素として含んで構成されている。
【0048】
薬液濃度計において、配管Du内に連通する溶液SOの流路は、テフロン製のインナーブロック67の両端にそれぞれ、接続されたテフロン製の接続パイプ68Aおよび68Bの内周部と、インナーブロック67の内周部67a、67b、67cと、により形成されている。
【0049】
ハウジング60は、金属材料、例えば、ステンレス鋼で作られ、図8(A)、(B)に示されるように、ハウジング部60Aと、ハウジング部60Bと、ハウジング部60C、および、ハウジング部60Dとから構成されている。
【0050】
ハウジング部60Aは、インナーブロック67の外周部が接合される内周部を横断面の中央部に有している。
【0051】
また、ハウジング部60Aおよび60Cにおける接続パイプ68A側のインナーブロック67が接合される端部には、図8(B)に示されるように、4本の小ネジBS2がそれぞれ挿入される貫通孔が4箇所に形成されている。貫通孔の一端の周縁には、図8(B)に示されるように、各小ネジBS2の頭部が挿入される凹部が形成されている。各小ネジBS2は、図8(B)に示されるように、ハウジング部60Aおよび60Cの貫通孔を通過し、ハウジング部60Bおよび60Dの雌ねじ孔にねじ込まれている。
【0052】
ハウジング部60Bにおける棒電極62Pに対応する位置には、図8(B)に示されるように、板ばね64および棒電極62Pの一方の端部を凹部内で挟持するセラミック製の棒電極支持ブロック72A、および、72Bが設けられている。ハウジング部60Dにおける棒電極62Pに対応する位置には、板ばね64および棒電極62Pの他方の端部を凹部内で挟持するセラミック製の棒電極支持ブロック72A´、および、72B´が設けられている。その凹部は、溶液SOの流れ方向に直交するように形成されている。
【0053】
ハウジング部60Bにおける棒電極62Qに対応する位置には、板ばね64および棒電極62Qの一方の端部を凹部内で挟持するセラミック製の一対の棒電極支持ブロック72Bおよび72Cが設けられている。ハウジング部60Dにおける棒電極62Qに対応する位置には、板ばね64および棒電極62Qの他方の端部を凹部内で挟持するセラミック製の一対の棒電極支持ブロック72B´および72C´が設けられている。その凹部は、溶液SOの流れ方向に直交するように形成されている。
【0054】
また、ハウジング部60Bにおける棒電極62Rに対応する位置には、板ばね64および棒電極62Rの一方の端部を凹部内で挟持するセラミック製の一対の棒電極支持ブロック72Cおよび72Dが設けられている。ハウジング部60Dにおける棒電極62Rに対応する位置には、板ばね64および棒電極62Rの他方の端部を凹部内で挟持するセラミック製の一対の棒電極支持ブロック72C´および72D´が設けられている。
【0055】
その凹部は、溶液SOの流れ方向に直交するように形成されている。これにより、各小ネジBS2の締結力に応じて一対の棒電極支持ブロック72A〜72D,72A´〜72D´に作用する軸線方向の押圧力、板ばね64の弾性力によって棒電極62P,62Q,および、62Rの相互間距離は、溶液SOの温度、圧力変化に影響されることなく所定の距離に維持されることとなる。
【0056】
ハウジング60に所定の間隔をもって溶液SOの流れ方向に沿って互いに平行に配される棒電極62P,62Q,および、62Rは、例えば、ガラスカーボンで作られている。
【0057】
棒電極62Qは、例えば、所謂、プラス電極とされ、一方、棒電極62P、および、棒電極62Rは、それぞれ、マイナス電極とされる。棒電極62Qは、上述した交流発生回路と同様な交流発生回路に接続された交流増幅回路に接続されている。棒電極62P、および、62Rは、接地されている。なお、その交流増幅回路は、溶液SOの導電率をあらわす信号を形成する信号処理回路(不図示)内に設けられている。これにより、交流増幅回路が作動状態とされる場合、図7に矢印で示されるように、所定の検査電流が、棒電極62Qから棒電極62P、および、棒電極62Rに溶液SOを介して流れるとき、交流増幅回路により、並列合成抵抗に流れる電流が検出され電圧に変換されることとなる。従って、信号処理回路において、その電圧値に基づいて導電率をあらわす信号が形成されることとなる。
【0058】
補強部材としての絶縁パイプ66は、例えば、円筒状のセラミック全体にテフロンコーティングが施されたものとされる。なお、絶縁パイプ66は、斯かる例に限られることなく、例えば、線膨張係数が比較的小さいガラスカーボンをテフロンの中にインサート成形したものであってもよい。
【0059】
絶縁パイプ66は、棒電極62P,62Q,および、62Rがそれぞれ、溶液SOの流れ方向に直交する方向に貫通する孔を所定の間隔で有している。また、その孔の周縁には、テフロン(登録商標)製のスペーサ70が棒電極62P,62Q,および、62Rの外周部に巻装されている。スペーサ70は、絶縁パイプ66をインナーブロック67の内周部67a,67b,および、67cに対し所定の隙間CLをもって位置決めするものとされる。また、スペーサ70、インナーブロック67、および、絶縁パイプ66は、一体成形により形成されているので棒電極62Qから棒電極62P、棒電極62Rに、溶液SOを介して流れる検査電流が、上述した隙間CLに流れないものとされる。なお、スペーサ70、インナーブロック67、および、絶縁パイプ66は、斯かる例に限られることなく、一体成形されることなく、例えば、棒電極62Qから棒電極62P、棒電極62Rに、溶液SOを介して流れる検査電流が、上述した隙間CL内に流れ込まないように、スペーサ70が、絶縁パイプ66およびインナーブロック67の孔の内周部と棒電極62Q、棒電極62P、棒電極62Rの外周部との間の隙間を遮断するとともに、絶縁パイプ66の外周部から上述した隙間CL内に露出した棒電極62Q、棒電極62P、棒電極62Rの外周部を溶液SOと遮断するように構成されるものであってもよい。
【0060】
絶縁パイプ66の外周部とインナーブロック67の内周部67a,67b,および、67cとの間の圧力と、絶縁パイプ66の内周部の圧力とは、同一となる。
【0061】
これにより、溶液SOの温度および圧力が仮に上昇した場合、棒電極62P,62Q,および、62Rは、絶縁パイプ66により補強されるとともに、絶縁パイプ66の外周部とインナーブロック67の内周部67a,67b,および、67cの内周部との間の圧力と、絶縁パイプ66の内周部の圧力とは、同一となるので絶縁パイプ66自体が圧力上昇により変形する虞がなく、棒電極62P,62Q,および、62R相互間距離も変化することが抑制されることとなる。従って、検査電流が通過する横断面積、および、棒電極62P、62Q、および、62Rの相互間距離の変動も抑制されるので薬液濃度計の測定値を精度よく保つことができる。
【0062】
また、上述したように検査電流が隙間CLに流れないので棒電極62Qから棒電極62P、棒電極62Rに、溶液SOを介して流れる検査電流が通過する横断面積は、絶縁パイプ66の内周部に限られる。仮に、絶縁パイプ66がない場合、検査電流が通過する横断面積は、インナーブロック67の内周部により形成される流路となり大となる。
【0063】
本願発明の第4実施例においては、このような場合に比して、所定のセル定数(電流流路長/電流通過横断面積)を得るのに電流通過横断面積がより小となることによって比較的短い電流流路長で済む。従って、薬液濃度計の小型化が図られるうえに、溶液SOが、絶縁パイプ66の内周部と上述の隙間CLに流れるので絶縁パイプ66がない場合とほぼ同一の圧力損失(損失水頭)を保つことができる。
【0064】
なお、上述の各実施例において、信号処理回路において、その電圧値に基づいて導電率をあらわす信号が形成される場合、管路内に配される温度センサ、例えば、サーミスタ、超音波式温度計からの出力に基づいて導電率をあらわす信号が温度補償されてもよい。また、上述の各実施例において、耐食性材料としてテフロン(登録商標)、セラミック、ガラスカーボン等が使用されているが、斯かる例に限られることなく、他の耐食性材料が適宜選択され用いられてもよいことは勿論である。さらに、上述の例において、ハウジング部60Aおよび60Cが分離して形成されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、ハウジング部60Aおよび60Cが一体に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10、30、50、60 ハウジング
12P,12Q,12R 電極プレート
14A,14B、46A、46B 補強ブロック
32P,32Q,32R,52Q,62P,62Q,62R 棒電極
52P、52R 電極
66 絶縁パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8