特開2015-152605(P2015-152605A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2015-152605計時器共振器を維持し規制するためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-152605(P2015-152605A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】計時器共振器を維持し規制するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G04B 18/00 20060101AFI20150728BHJP
【FI】
   G04B18/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-27477(P2015-27477)
(22)【出願日】2015年2月16日
(31)【優先権主張番号】14155427.9
(32)【優先日】2014年2月17日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー・エスレ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ・サルチ
(72)【発明者】
【氏名】マルク・シュトランツル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可能な限り正確な計時器用タイムベースを製造する。
【解決手段】固有周波数(ω0)で振動する計時器共振器は、少なくとも1つの振動メンバー及び振動維持手段を有する。振動メンバーは、固有周波数(ω0)の2以上の整数倍の値の0.9〜1.1倍の規制周波数(ωR)で振動するレギュレーターを支える。ムーブメントは、固有周波数(ω0)の共振器を有する。レギュレーターは、固有周波数(ω0)の2以上の整数倍の値の0.9〜1.1倍の規制周波数(ωR)で、共振器の共振周波数、Q及び/又は安静点の周期的調整を行う。計時器は、特に腕時計であり、このような計時器用ムーブメントを少なくとも1つ有する。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有周波数(ω0)で振動するように構成する強制振動を行う計時器用共振機構(1)であって、
一方では、少なくとも1つの振動メンバー(100)を有し、他方では、前記振動メンバー(100)に対して衝撃、力及び/又はトルクを及ぼすように構成する振動を維持するための手段(200)を有し、
前記振動メンバー(100)は、少なくとも1つの振動する規制デバイス(2)を支え、
前記規制デバイス(2)の固有周波数は、前記共振機構(1)の固有周波数(ω0)の整数倍(この整数は、2以上及び10以下である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数(ωR)であり、
前記規制デバイス(2)は、前記振動メンバー(100)に緩くピボット回転可能にマウントされ副ピボット軸に対して偏心的なアンバランス(261)を備えた少なくとも1つの副ばね仕掛けバランス(260)を有し、前記副ピボット軸を中心に前記副ばね仕掛けバランス(260)がピボット回転する
ことを特徴とする共振機構(1)。
【請求項2】
前記振動メンバー(100)は、主ピボット軸を中心にピボット回転し、
前記少なくとも1つの副ばね仕掛けバランス(260)は、前記主ピボット軸に対して偏心的な副ピボット軸を中心にピボット回転する
ことを特徴とする請求項1に記載の共振機構(1)。
【請求項3】
前記規制デバイス(2)は、第1の副ばね仕掛けバランス(260)及び第2の副ばね仕掛けバランス(260)を少なくとも有し、
前記アンバランス(261)は、応力がない安静状態において、前記副ばね仕掛けバランス(260)がピボット回転する前記副ピボット軸に位置合わせされている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の共振機構(1)。
【請求項4】
前記振動メンバー(100)は、主ピボット軸を中心にピボット回転し、
前記少なくとも1つの副ばね仕掛けバランス(260)は、前記主ピボット軸に対して偏心的な副ピボット軸を中心にピボット回転する
ことを特徴とする請求項3に記載の共振機構(1)。
【請求項5】
前記副ばね仕掛けバランス(260)の少なくとも1つは、前記振動メンバー(100)が備える前記副ばね仕掛けバランス(260)を保持するための弾性保持手段によって定められる仮想副軸を中心にピボット回転し、
その運動の振幅は、前記振動メンバー(100)と比べて制限されている
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の共振機構(1)。
【請求項6】
前記前記副ばね仕掛けバランス(260)の少なくとも1つは、前記振動メンバー(100)と一体化されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の共振機構(1)。
【請求項7】
前記副ばね仕掛けバランス(260)の少なくとも1つは、前記振動メンバー(100)が備えるバランス(26)と一体化されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の共振機構(1)。
【請求項8】
前記規制デバイス(2)は、前記振動メンバー(100)上の点(73)において、ばね(72)によって取り付けられた慣性ブロック(71)を有する少なくとも1つのばね−慣性ブロックのアセンブリーを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の共振機構(1)。
【請求項9】
前記振動メンバー(100)は、主ピボット軸を中心にピボット回転し、
前記ばね(72)の少なくとも1つは、前記主ピボット軸を中心に放射状に延在する
ことを特徴とする請求項8に記載の共振機構(1)。
【請求項10】
前記振動メンバー(100)は、前記ばね−慣性ブロックのアセンブリーを複数支えており、
前記ばね(72)は、前記ピボット軸を中心に放射状に延在し、
前記アセンブリーの少なくとも1つは、その慣性ブロック(71)をそのばね(72)よりも前記ピボット軸から遠くで支え、
前記アセンブリーの少なくとも1つは、その慣性ブロック(71)をそのばね(72)よりも前記ピボット軸の近くで支える
ことを特徴とする請求項9に記載の共振機構(1)。
【請求項11】
前記振動メンバー(100)は、主ピボット軸を中心にピボット回転をし、
前記ばね(72) の少なくとも1つは、前記主ピボット軸に対して前記点(73)の接線方向に延在する
ことを特徴とする請求項8に記載の共振機構(1)。
【請求項12】
前記ばね−慣性ブロックのアセンブリーの少なくとも1つは、前記取り付け点(73)を除いて、前記振動メンバー(100)に対して自由に運動できる
ことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の共振機構(1)。
【請求項13】
前記ばね−慣性ブロックのアセンブリーの少なくとも1つは、前記振動メンバー(100)が備えるガイド手段によって制限される形態で運動可能であるか、あるいは前記振動メンバー(100)が備えるパス(74)内を運動する
ことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の共振機構(1)。
【請求項14】
前記規制デバイス(2)は、空気力学的な変化の影響の下で運動可能であって、かつ、前記振動メンバー(100)に対して、ピボット(81)、弾性細長片又はアーム(85)によって取り付けられる1つのフラップ(80)又は1つの細長片(84)を少なくとも有する
ことを特徴とする請求項1に記載の共振機構(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのフラップ(80)又は細長片(84)は、このフラップ又は細長片を支える前記ピボット(81)、前記弾性細長片又は前記アーム(85)に対して傾斜することができる
ことを特徴とする請求項14に記載の共振機構(1)。
【請求項16】
前記振動メンバー(100)は、バランス(26)又は音叉(55) 又は振動する細長片を有する
ことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の共振機構(1)。
【請求項17】
前記振動メンバー(100)は、少なくとも1つのバランスばね(4)及び/又は少なくとも1つのねじれワイヤーを有する振動維持手段(200)の作用を受けるバランス(26)である
ことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の共振機構(1)。
【請求項18】
前記振動メンバー(100)は、音叉(55)であり、その少なくとも1つのブランチ(56)は、前記振動維持手段(200)の作用を受ける
ことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の共振機構(1)。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の共振機構(1)を少なくとも1つ有する計時器用ムーブメント(100)であって、
前記振動メンバー(100)は、前記規制デバイス(2)を少なくとも1つ支える
ことを特徴とする計時器用ムーブメント(10)。
【請求項20】
前記ムーブメントは、前記少なくとも1つの共振機構(1)とは別個な前記規制デバイス(2)を少なくとも1つ有し、
この規制デバイス(2)は、前記共振機構(1)の少なくとも1つの部品と接触することによって、あるいは前記共振機構(1)の遠隔位置から、空気力学的な流れ、磁場、静電場又は電磁場を調整することによって、作用する
ことを特徴とする請求項19に記載の計時器用ムーブメント(10)。
【請求項21】
前記共振機構(1)は、剛性及び/又は慣性が可変な少なくとも1つの変形可能な部品を有し、
前記少なくとも1つの規制デバイス(2)は、前記変形可能な部品を変形してその剛性及び/又は慣性を変えるように構成する手段を有する
ことを特徴とする請求項19又は20に記載の計時器用ムーブメント(10)。
【請求項22】
前記少なくとも1つの規制デバイス(2)は、前記共振機構(1)を変形し、前記共振機構(1)の重心の位置を調整するように構成する手段を有する
ことを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(10)。
【請求項23】
前記少なくとも1つの規制デバイス(2)は、前記共振機構(1)の少なくとも1つの部品に損失発生手段を有する
ことを特徴とする請求項19〜22のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(10)。
【請求項24】
前記少なくとも1つの規制デバイス(2)は、弾性戻し手段(83)によって構造体(50)からつるされた少なくとも1つのパッド(83)を有する前記振動メンバー(100)の近傍において空気力学的な流れを調整する手段を有する
ことを特徴とする請求項19〜22のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(10)。
【請求項25】
請求項19〜24のいずれかに記載の計時器用ムーブメント(10)を有し、腕時計である
ことを特徴とする計時器(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固有周波数で振動するように構成する強制振動を行う計時器用共振機構であって、一方では、少なくとも1つの振動メンバーを有し、他方では、前記振動メンバーに対して衝撃、力及び/又はトルクを及ぼすように構成する振動を維持するための手段を有し、前記振動メンバーは、少なくとも1つの振動する規制デバイスを支え、前記規制デバイスの固有周波数は、前記共振機構の固有周波数の整数倍の値の0.9〜1.1倍である規制周波数であるものに関する。
【0002】
本発明は、さらに、その固有周波数の近傍で振動するように構成する少なくとも1つの共振機構を有する計時器用ムーブメントに関する。
【0003】
本発明は、さらに、このようなムーブメントを少なくとも1つ有する腕時計である計時器に関する。
【0004】
本発明は、機械的な時計製造におけるタイムベースの分野に関する。
【背景技術】
【0005】
計時器のタイムベースの性能を改善しようとする試みが常になされてきた。
【0006】
機械的な腕時計のクロノメーター的性能に対する大きな制約は、伝統的なインパルスエスケープの使用に基づいており、この種の干渉を回避することができるエスケープは存在しない。
【0007】
SWATCH GROUP RESEARCH & DEVELOPMENT Ltd名義の欧州特許出願EP 1843227A1は、第1の低周波共振器及び第2のより高い周波数の共振器を備えた連結型共振器を開示しており、これは、共振器どうしを恒久的につなぐ手段を有する。
【0008】
PATEK PHILIPPE名義のスイス特許CH 615314A3は、バランスばねの作用を受け、固定メンバーに磁気的につながれた振動メンバーによって同期される振動バランスを有する可動アセンブリーを開示している。この振動メンバーの周波数は、バランスのものよりも高い。バランス及び振動メンバーは、同時に振動し発振する同一で単一な可動要素を形成する。振動メンバーの振動周波数は、バランスの振動周波数の整数倍である。
【0009】
NIVAROX名義の欧州特許出願EP 2690507A1は、プレート又はブリッジへの取り付け手段を有するバランスばねスタッドを有する計時器アセンブリーを開示している。このアセンブリーは、内側端と外側端の間でコイル状に巻かれた少なくとも1つのストランドを備えたバランスばねを有し、コレットに固定される内側端は、ピボット軸を中心にピボット運動可能であり、外側端はバランスばねスタッドと一体化されている。このスタッド及び/又はコレットは、バランスばねの縮み又は伸びの間の加速が所望値よりも大きい場合に少なくとも第1のコイルと連係するように構成するブレーキ手段を有し、これによって、ブレーキ手段への少なくとも第1のコイルの局所的な連結によって、アクティブなコイルの数が変更された場合にもたらされるバランスばねの剛性を変える。
【0010】
DEBAEHNI & CO名義のドイツ特許DE 1217883Bは、インクリメンタルエンコーダ及び歯車列を駆動するメンバーを備えた電気計時器を開示しており、これは、磁気歪振動子を使用する。
【0011】
MONTRES BREGUET SA名義の欧州特許出願EP 2487547A1は、エスケープ機構又は打撃ワーク用の計時器レギュレーターを開示しており、これは、遠心及び渦電流の規制を行う。
【0012】
SEIKO EPSON名義の欧州特許出願EP 1772791A1は、空気摩擦の調整による規制と組み合わさった遠心規制に関連しており、流体の粘性の抵抗を使用する非接触レギュレーターを開示しており、これは、パワー伝達手段によって動力が供給されるローターと、ローターの外周上に配置されたローターの回転軸に垂直な表面を有するウィングを備え、これは、ローターの回転によって作られる遠心力の影響の下で放射状に運動可能である。ウィングは、弾性戻し手段によって戻される。ローターの周と反対側の表面は、ウィングに与えられる運動の量に依存する抵抗の発生源である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、可能な限り正確なタイムベースを製造することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このために、本発明は、 固有周波数で振動するように構成する強制振動を行う計時器用共振機構であって、一方では、少なくとも1つの振動メンバーを有し、他方では、前記振動メンバーに対して衝撃、力及び/又はトルクを及ぼすように構成する振動を維持するための手段を有し、前記振動メンバーは、少なくとも1つの振動する規制デバイスを支え、前記規制デバイスの固有周波数は、前記共振機構の固有周波数の整数倍の値の0.9〜1.1倍である規制周波数であり、前記規制デバイスは、前記振動メンバーに緩くピボット回転可能にマウントされ副ピボット軸に対して偏心的なアンバランスを備えた少なくとも1つの副ばね仕掛けバランスを有し、前記副ピボット軸を中心に前記副ばね仕掛けバランスがピボット回転するものに関する。
【0015】
本発明の特徴の1つによると、前記規制デバイスは、前記振動メンバー上の点において、ばねによって取り付けられた慣性ブロックを有する少なくとも1つのばね−慣性ブロックのアセンブリーを有する。
【0016】
本発明の特徴の1つによると、前記規制デバイスは、空気力学的な変化の影響の下で運動可能であって、かつ、前記振動メンバーに対して、ピボット、弾性細長片又はアームによって取り付けられる1つのウィング又は細長片を少なくとも有する。
【0017】
本発明は、固有周波数の近傍で振動するように構成する少なくとも1つの共振機構を有する計時器用ムーブメントであって、前記ムーブメントは、前記共振機構の固有周波数の整数倍(この整数は、2以上及び10以下である)の値の0.9〜1.1倍の規制周波数を備えた前記共振機構の共振周波数、Q及び/又は安静点の周期的調整を行うことによって、前記共振機構に作用するように構成する少なくとも1つのレギュレーターデバイスを有する。
【0018】
本発明の特徴の1つによると、前記ムーブメントは少なくとも1つのこのような共振機構を有し、振動メンバーが少なくとも1つの前記規制デバイスを支える。
【0019】
本発明の特徴の1つによると、前記ムーブメントは、前記少なくとも1つの共振機構とは別個な前記規制デバイスを少なくとも1つ有し、この規制デバイスは、前記共振機構の少なくとも1つの部品と接触することによって、あるいは前記共振機構の遠隔位置から、空気力学的な流れ、磁場、静電場又は電磁場を調整することによって、作用する。
【0020】
本発明は、さらに、このような計時器用ムーブメントを有し、腕時計である計時器に関する。
【0021】
添付図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。添付図面には、本発明の様々な実装態様及び変種に対応するパラメトリック発振器を部分的かつ概略的に示してある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明によって規制されるパラメトリック共振機構についての概略的な部分上面図を示しており、このパラメトリック共振機構は、共振器を形成する計時器用ばね仕掛けバランスを有する。このばね仕掛けバランスの慣性及び/又はQは、ばねを介して放射状又は接線方向に構成し、当該ばね仕掛けバランス(バランスばねを図示せず)が組み込まれるばね仕掛けバランス共振器の周波数の2倍の周波数で励起される重りによって調整される。このバランスは、そのリム上に、バランスのピボット回転運動の間に放射状又は接線方向に振動する要素を支えている。
図2】リムに接続され重りを支えている4つの放射状のばねを有するバランスについての概略的な部分上面図を示す。これは、バランスが組み込まれたばね仕掛けバランス共振器(バランスばねを図示せず)の周波数の2倍の周波数で励起を規制される。
図3】緩くマウントされた内蔵のばね仕掛けバランスを支えるバランスについての概略的な部分上面図を示す。各バランスは、高度なアンバランスを有する。
図4】直径方向で反対側の放射状の2つのばねによってつるされたバランスについての概略的な部分上面図を示す。そのバランスの重心の軌道は、2つのばねの共通の方向に対応する。
図5図5A、5B、5Cは、バランスについての概略的な部分上面図を示しており、このバランスは、リム上に、バランスのピボット回転運動の間にピボット回転する要素を支えている。
図6】バランスについての概略的な部分上面図を示しており、その近傍において、空気力学的なブレーキパットが、バランスが組み込まれたばね仕掛けバランス共振器(バランスばねを図示せず)の周波数の2倍の周波数で運動可能である。
図7図3のバランスと同様なバランスを示しており、2つのばね仕掛けバランスが、高度なアンバランスを有し、同じ直径上でアンバランスのアライメント位置(安静点)において緩くマウントされている。これらのアンバランスは、図3のものと異なり、同位相又は反位相の振動を行う。
図8】音叉についての概略的な部分上面図を示す。その1つのアームは、音叉共振器の周波数の2倍の周波数で励起される摩擦パッドに接している。
図9】ねじれワイヤーを保持するコレットを有するバランスを有する共振機構を示す。これにおいて、共振デバイスは、バランスの周波数の2倍の周波数で張力を保ちながらの周期的変化及びねじれワイヤー共振器を制御する。
図10】計時器用ばね仕掛けバランスを有する本発明に係る規制されたパラメトリック共振機構についての概略図を示す。これにおいて、バランスばねの外側コイルは、規制デバイスが周期的運動を与えるバランスばねスタッドにピン止めされ、前記スタッドは、必要であれば、バランスばねをねじるように、平行移動、ピボット回転、傾斜する運動を行うことができる。
図11】ピンを有するインデックス機構を備えるバランスばねについての概略図を示す。これは、バランスばねの有効長における連続的な変異のために、インデックスの連続運動を作動させるためのクランクロッドシステムを有する。
図12】バランスばねについての概略図を示す。その上にカムが存在し、バランスばねの有効長、取り付け点の位置、及び/又はバランスばねの幾何学的構成における連続的な変化が行われる。この図は、単一のカムが片側面のバランスばねのみに存在するような単純化された表現である。2個のカムを組み合わせて両側のバランスばねをクランプするように構成することが可能であることは明らかであろう。
図13】ばね仕掛けバランスアセンブリーのバランスばねについての部分的な概略図を示す。これにおいて、付加的なコイルがバランスばねに固定され、バランスばねの外側の終端カーブを局所的に位置決めしており、規制デバイスがこの付加的なコイルの一端を駆動させる。
図14】バランスばねを示しており、その終端カーブの近傍において別のコイルを有し、これは、規制デバイスによって動かされる支持体によって第1の端で保持され、規制デバイスの作用の下で終端カーブと当該支持体で周期的に接触するように構成する第2の端において自由である。
図15図2に示す種類の共振器で得られる規制を示す。
図16図16A及び16Bは、共振器の重心の調整を示す。これにおいて、ばね仕掛けバランス共振器は、リムに取り付けられた実質的に放射状のばねを支え、一部はリムの内側に一部はリムの外側に振動する慣性ブロックを支えるバランスを有する。
図17図17A及び17Bは、図5と同様な形態で可撓性を有するピボットを備えたウィングを有する別のバランスシステムを示す。これによって、空気力学的な損失及び慣性を変更することが可能になる。
図18図18A〜18Dは、内蔵のばね仕掛けバランスを有する図3又は図7の共振器のような共振器に基づく重心の調整を示す。
図19】金膜で重みを加えられた周部の慣性ブロックを支えるケイ素ばねベアリングを支えるバランスコレットを有するパラメトリック発振器の例示的な実施形態を示す。これにおいて、ばね−慣性ブロックのアセンブリーは、規制周波数ωRで振動する。
図20図19と同様なばね−慣性ブロックのアセンブリーを有するバランスを示す。
図21】緩くピボット回転可能にマウントされる副ばね仕掛けバランスを支えているブランチを有する音叉を示す。
図22】自由に振動するようにばね−慣性ブロックのアセンブリーがマウントされたブランチを有する音叉を示す。
図23】2倍の周波数の規制デバイスによって本発明によって規制される共振機構を備えた機械的ムーブメントを有する腕時計のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、機械的な計時器、特に、機械的な腕時計を作るための、可能な限り正確なタイムベースを作ることを目的とする。
【0024】
これを達成する1つの方法は、直接又はエスケープを介して異なる共振器どうしを関連づけすることを伴う。
【0025】
エスケープ機構に関わる不安定性の要因を克服するために、パラメトリック共振システムによって、エスケープ機構の影響を減少させ、これによって、腕時計をより正確にすることが可能になる。
【0026】
パラメトリック発振器は、振動の維持のために、規制周波数ωRに応じて発振器のパラメーターの少なくとも1つを変えることを伴うパラメトリックアクチュエーションを使用する。
【0027】
慣例によって、また、パラメーターどうしを明白に区別するために、ここにおいて、「レギュレーター」2は、ここで「共振器」1と呼ばれる他の維持されたシステムの維持及び規制のために使用される発振器を意味する。
【0028】
寸法1のパラメトリック共振器のラグランジアンLは、以下の通りである。
【0029】
【数1】
【0030】
ここで、Tは、運動エネルギーであり、Vは、位置エネルギーであり、前記共振器の慣性I(t)、剛性(t)及び静止位置x0(t)は、時間の周期関数であり、xは、共振器の一般化座標である。
【0031】
消散的な機構を考慮して強制関数f(t)及びランジュバン力を加えることによって、ラグランジアンLを求める強制的で減衰したパラメトリック共振式をラグランジアンの式を介して得ることができる。
【0032】
【数2】
【0033】
ここで、xにおける一次導関数の係数は、
【0034】
【数3】
【0035】
である。ここで、β(t)(>0)は、損失を表す項であり、0次項の係数は、共振器の周波数に依存する。
【0036】
【数4】
【0037】
関数f(t)は、非強制的な発振器の場合に値0をとる。
【0038】
この関数f(t)は、さらに、周期関数であってもよく、又はディラックインパルスを表していてもよい。
【0039】
本発明は、レギュレーターと呼ばれる維持発振器の作用を介して、規制される発振器システムの固有周波数ω0の整数倍(特に、2倍)の値の0.9〜1.1倍の値である規制周波数ωRによって、項β(t)、k(t) 、I(t)、x0(t)の1つ及び/又は他のもの又はすべてを変えることを伴う。
【0040】
この現象を理解するために、長さが変わる振り子にたとえることができる。減衰される発振器の式は以下のとおりである。
【0041】
【数5】
【0042】
ここで、xにおける一次項は、損失項であり、0次項は、共振器の周波数項であり、x0(t)は、共振器の安静位に対応する。
【0043】
関数f(t)は、非強制的な発振器の場合、値0をとる。
【0044】
この関数f(t)は、さらに、周期関数であってもよく、又はディラックインパルスを表すことができる。
【0045】
本発明は、維持発振器又はレギュレーター2の作用を介して、規制周波数ωRで、項β(t)、k(t)、l(t)、x0(t)の1つ及び/又は他のもの又はすべてを変えることを伴う。この規制周波数ωRは、この場合の共振器1において、規制される発振システムの固有周波数ω0の整数の倍数の0.9〜1.1倍の値である。この整数は、2以上及び10以下(特に、2に等しいもの)である。特定用途において、規制周波数ωRは、固有周波数ω0の1.8〜2.2倍であり、特に、規制周波数ωRは、固有周波数ω0の2倍である。
【0046】
好ましくは、項β(t)、k(t)、l(t)、x0(t)の1つ又はいくつか又はすべての項は、このように定めた規制周波数ωRに応じて変わる。この規制周波数ωRは、好ましくは、規制される共振システム1の固有周波数ω0の整数倍(特に、2倍)である。
【0047】
一般に、パラメトリック項の調整に加えて、したがって、維持又は規制に使用される発振器は、パラメトリック体制に到達すると振幅を無視できるようなノンパラメトリックな維持項f(t)が導入される[W. B. Case, The pumping of a swing from the standing position, Am. J. Phys. 64, 215 (1996)]。
【0048】
変種において、強制項f(t)を第2の維持機構によって導入することができる。
【0049】
維持発振器又はレギュレーター2によって、さらに、項f(t)を、ゼロでない場合に、変えることが可能になる。
【0050】
非強制減衰される発振器の例の場合であって、x0が一定である場合には、式のパラメーターは、周波数項ω及び損失項βによってまとめることができる。特に、機械的、空気力学的又は他の摩擦による損失である。
【0051】
発振器のQは、Q=ω/βによって定められる。
【0052】
現象をより良く理解するために、長さを変えることができる振り子にたとえることができる。
【0053】
【数6】
【0054】
このような場合、Lは、振り子の長さであり、gは、重力の引力である。
【0055】
この特定の例において、長さLが、周波数2ω及び十分な調整振幅δL(δL/L > 2β/ω)で時間にわたって周期的に調整される場合、システムは減衰せずに周波数ωで振動する。
【0056】
この特定の例において、長さLが、周波数2ω及び十分な調整振幅δL(δL/L > 2β/ω)で時間にわたって周期的に調整される場合、システムは減衰せずに周波数ωで振動する[D. Rugar and P. Grutter, Mechanical parametric amplification and thermomechanical noise squeezing, PRL 67, 699 (1991), A. H. Nayfeh and D. T. Mook, Nonlinear Oscillations, Wiley-Interscience, (1977)]。
【0057】
0次項もω2(A、t)の形態であることができる。ここで、Aは、振動振幅である。
【0058】
したがって、本発明は、計時器用共振機構1をその固有周波数ω0の近傍で維持及び規制する方法及びシステムに関する。本発明によると、周期的運動で共振機構1に作用する少なくとも1つの規制デバイス2が実装される。
【0059】
したがって、本発明は、計時器用共振機構1をその固有周波数ω0の近傍で規制する方法及びシステムに関する。
【0060】
本発明によると、このような内部部品に空気力学的な影響又は制動のような影響を及ぼしたり、磁気的、静電気的又は電磁的な場を調整したり、又は共振器1のこのような内部部品に「戻し」力(ここにおいて、引力や斥力というような広い意味で使用している)を与えるような、共振機構1の少なくとも1つの内部部品又は外部部品に、周期的運動を与える少なくとも1つの規制デバイス2が実装される。
【0061】
本発明によると、この周期的運動は、固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上であって10以下である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRで、共振機構1の少なくとも共振周波数、Q及び/又は安静点の周期的調整を行う。
【0062】
本発明の第1の特定の実装態様において、この周期的運動は、固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上及び10以下である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRで、共振機構1の少なくとも共振周波数の周期的調整を行う。
【0063】
本発明の第2の特定の実装態様において、この周期的運動は、固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上及び10以下である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRで、共振機構1の少なくともQの周期的調整を行う。
【0064】
本発明の第3の特定の実装態様において、この周期的運動は、固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上及び10以下である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRで、共振機構1の少なくとも安静位置の周期的調整を行う。
【0065】
当然、本発明の他のいくつかの特定の実装態様は、前記第1、第2及び第3の態様の組み合わせを許容する。
【0066】
したがって、第1及び第2の態様を組み合わせる本発明の第4の特定の実装態様において、この周期的運動は、固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上及び10以下である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRで、共振機構1の少なくとも共振周波数及びQの周期的調整を行う。
【0067】
第2及び第3の態様を組み合わせる本発明の第5の特定の実装態様において、この周期的運動は、固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上及び10以下である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRで、共振機構1の少なくともQ及び安静位置の周期的調整を行う。
【0068】
第1及び第3の態様を組み合わせる本発明の第6の特定の実装態様において、この周期的運動は、固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上及び10以下である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRで、共振機構1の少なくとも共振周波数及び安静位置の周期的調整を行う。
【0069】
第1、第2及び第3の態様を組み合わせる本発明の第7の特定の実装態様において、この周期的運動は、固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上及び10以下である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRで、共振機構1の少なくとも共振周波数、Q及び安静位置の周期的調整を行う。
【0070】
本方法のこれらの様々な実装態様の特定の実装において、調整はすべて、同じ周波数ωRで行われるか、又は複数の周波数ωRであって他と倍数の関係があるもので行われる。
【0071】
以下において、本発明の最初の3つの主な実装態様を詳細に説明する。
【0072】
本発明の第1の実装態様の特定の実装において、周期的運動は、共振機構1の剛性及び/又は慣性に作用することによって、共振機構1の共振周波数の周期的調整を行う。より詳細には、周期的運動は、共振機構1の剛性の調整及び共振機構1の慣性の調整の両方を行うことによって、共振機構1の共振周波数の周期的調整を行う。
【0073】
異なる好ましい変種において、この第1の実装態様で本発明を達成する異なる手段を使用することを許容するものである。
【0074】
第1の実装態様の第1の変種において、この周期的運動は、共振機構1の質量の調整によって、及び/又は共振機構1の形の調整によって(図1、2又は3に示すように)、及び/又は例えば、図4の描画に示すように、共振機構1の重心の位置の調整によって、共振機構1の慣性を調整して、共振機構1の共振器周波数の周期的調整を行う。
【0075】
第1の態様の依然としてこの第1の変種において、図16A及び16Bは、さらに、共振器の重心及びその慣性の変更を示している。
【0076】
図18A〜18Dは、第1の態様の依然としてこの第1の変種において、図3又は図7の共振器と同様な共振器に基づく重心の調整を示す。この種のシステムは、第2のインビルト型ばね仕掛けバランス260を有する。これらの副ばね仕掛けバランス260は、好ましいことに、アーバーのないシステムによって置き換えることができる。すなわち、可撓性を有するガイドを有するシステムである。これは、振動の振幅が必ずしも高くないということを考慮して、達成するのがより容易である。その場合、主なばね仕掛けバランスの慣性のみが変更される。小さなばね仕掛けバランスのアンバランスの角度的位置に依存して、したがって、重心が調整されるようなシステムを作ることができる。
【0077】
この重心位置の調整は、好ましくは、共振器1の部品の一又は複数に作用する動的な調整である。慣性調整は、共振器の回転中心に対して、共振器の形を調整すること、質量の変更、又は重心の変更によって達成することができる、これは、例えば、可撓性を有するバランスを使用することによって行うことができる。また、図7に示すように、位相振動又は反位相振動においてアンバランスとなっている適切な位相比の非対称性を有するような、内蔵の共振器を使用することもできる。
【0078】
第1の態様の第2の変種において、この周期的運動は、共振機構1が備える弾性戻し手段の剛性を調整することによって、又は共振機構1内の磁気的、静電気的又は電磁的な場によってはたらく復帰力を調整することによって、共振機構1の共振周波数の周期的調整を行う。具体的には、この第2の変種において、周期的運動は、(図11及び12に示すように)共振機構1が備えるばねの有効長を調整することによって、(図13及び14に示すように) 共振機構1が備えるばねの断面を調整することによって、共振機構1が備える戻し手段の弾性係数を調整することによって、また、共振機構1が備える戻し手段の形を調整することによって、共振機構1の共振周波数を周期的に調整する。共振器1の部品の弾性係数の調整は、圧電システム、電場(電極)の実装によって、周期的な局所的な加熱、特殊合金を膨張させる磁場の作用によって、光学機械的な共振システムによって、トーションねじれ又はツイストねじれ(特に、形状記憶材料に対して)によって、得ることができる。
【0079】
本発明の第3の実装態様と組み合わせて得られた第1の態様の第3の変種において、周期的運動は、共振機構1の剛性の調整及び共振機構1の安静位置の調整の両方を行うことによって、共振機構1の共振周波数の周期的調整を行う。
【0080】
剛性に作用するために、磁気歪の現象を有利に使用することができる。これは、適切な材料で作られた共振器1の部品を磁場(内部磁化及び/又は外部場)に置いたり又はショックを与えることによって、合成を周期的に変更することによる。
【0081】
弾性係数に作用するために、磁気歪の現象を使用することができるが、周期的温度上昇、形状記憶部品、圧電効果、又は特定の応力を利用して実現した非線形の体制も使用することができる。
【0082】
本発明の第2の実装態様の特定の実装において、この周期的運動は、共振機構1の損失、減衰及び/又は摩擦に作用することによって、共振機構1のQの周期的調整を行う。処置を異なる方法で講じることができる。
【0083】
− この第2の態様の第1の変種において、周期的運動は、共振機構1のQの周期的調整を行う。これは、共振機構1の形を調整することを通して(ピボット回転するウィングを備えるバランスに対しての図5又は図17に示すように)、及び/又は共振機構1の近傍の環境の変更を通して(周期的運動によって運動されるパッドがバランスの近傍の空気の流れを変更している図6に示すように)、共振機構1の空気力学的な損失に作用することによって行う。
【0084】
− この第2の態様の第2の変種において、周期的運動は、共振機構1のQの周期的調整を行う。これは、共振機構1が備える弾性戻し手段の内部減衰を調整することによって行う。この調整は、例えば、中空ボデー内の液体の流れによって(例、ばね仕掛けバランスアセンブリーのバランスばね又はバランス)、又はバランスばねに周期的に与えられるねじれの影響の下などによって行い、これによって、ばねを有する共振器の剛性と減衰の両方の変更が行われる。特定の場合では、剛性を変更せずに内部損失を変更することができる。全体的な等価な剛性を有する単一のばねを2つのばねで置き換える。すると、内部損失は高くなる。2つのばねを、特に、直列に配置することができ、あるいは場合によっては、並列に配置することができ、ばねのうちの1つに対してあらかじめ応力をかけることができる。同じ剛性を維持しながら損失を変更する別の手段は、ばねに対する温度補償を使用することである(ケイ素ドーピング又は酸化による)。また、熱弾性的効果も、ばねのコイルの2つの別々の部品の間の伝熱とともに利用することができる。この熱弾性的効果もドーピングレベルの影響を受けうる。
【0085】
− この第2の態様の第3の変種において、周期的運動は、重力の仮想的な増加と同様の効果で共振機構1内の機械的摩擦を調整することによって、共振機構1のQの周期的調整を行う。図8には、調整された手法で、摩擦細長片が音叉アームと連係している例を示す。
【0086】
本発明の第3の態様の特定の実装において、この周期的運動は、共振機構1の取り付け位置の調整によって及び/又は共振機構1に対して作用する復帰力どうしの間の平衡を調整することによって、共振機構1の安静位置の周期的調整を行う。共振機構1の取り付け位置の調整は、共振器1の少なくとも1つの取り付け点に対して行うことができる。例えば、ばね仕掛けバランス3を備えた共振器1において、ピボット緩衝要素に対する作用によって少なくとも1つのピボット点にバランスばね4を取り付けるためのコレット7及び/又はバランスばねスタッドに対して作用することができる。ムーブメントのいくつかの機能をこの目的に使用することができる。例えば、従来のエスケープ機構において、レバーのばねなどへの衝撃を使用することができる。
【0087】
− より詳細には、この第3の態様の第1の変種において、周期的運動は、機械的弾性戻し手段、磁気的戻し手段及び/又は静電気的戻し手段によって生成された共振機構1に作用する復帰力どうしの間の平衡を調整することによって、共振機構1の安静位置の周期的調整を行う。この平衡の調整するための最も単純な手法は、異なる起点のいくつかの復帰力を共振器に与えることである。時間、強度及び/又は方向について、復帰力の少なくとも1つを調整することで十分である。これらの力は、必ずしもすべて同じ性質であるとは限らない。一部が機械的であって(ばね)、他のものが場の印加に関連することがある。特定の例においては、2つのばねを備えるばね仕掛けバランス3へのアプリケーションであり、これにおいて、平衡を調整するのには、バランスばねスタッドの1つのみの位置を調整することで十分である。図10の角Ψでバランスばねをねじることは、共振器1に加えられた力のバランスを変更して平衡を調整する良い手段である。この点に関して、6つの自由度をスタッドに適用することができることは注目される。図においては、特定の単純化されたアプリケーションを示しており、特に、軸Zを中心とする回転が有利でありうる。
【0088】
− この第3の態様の第2の変種では、安静点の調整が第1の態様による剛性の調整と組み合わされる。実際に、力の平衡が変更される場合、全体的な剛性もしばしば変更される。このように、安静点に対する調整行為は、剛性に対する調整行為と組み合わされる。
【0089】
好ましくは、剛性を調整することができる部品がいくつかの要素で作られる場合、このような要素の少なくとも1つに対して調整が行われる。
【0090】
本発明の別の実装態様において、周期的運動は、共振機構1のQの周期的調整を行う。本発明によると、周期的運動は、共振機構1の部品と、共振機構1の少なくとも1つの部品に対する損失発生機構との両方に対して同じ規制周波数ωRで行われる。
【0091】
本発明の更なる別の実装態様においては、上で説明した様々な態様のそれぞれと互換性を有し、レギュレーター機構2は、共振機構1の逆Qよりも高い相対的な振幅で、共振機構1の周波数の周期的調整を与える。
【0092】
本発明の実装することが容易な態様では、規制デバイス2は、共振機構1の少なくとも1つの取り付けに作用する。
【0093】
周波数ωRについては、諸特性の周期的調整と想像することができるが、静止の共振周波数、Q、安静点は、周波数ω0の異なる倍数のそれぞれに対して発生する(例、基本的な周波数の2倍で剛性調整を行う。このことは、いずれかの特定の利点を備えていない。なぜなら、周波数が2倍である場合、パラメトリック増幅の最大の影響及び安定性を得ることができるからである。また、レギュレーター2が複数ある場合を除いて各特性がそれぞれ異なるように調整されるような複雑になるシステムを考えるのは簡単なことではない。したがって、すべてのパラメーターの調整は、好ましくは、同じ周波数ωRで行われる。
【0094】
本発明の異なるアプリケーションが可能である。
【0095】
従来のアプリケーションにおいては、本発明は、少なくとも1つの弾性戻し手段40を有する共振機構1に適用され、このような規制デバイス2の少なくとも1つは、共振機構1の周波数及び/又は共振機構1のQにおける周期的変化を制御することによって作用するようにされる。
【0096】
通常の腕時計製造におけるアプリケーションにおいては、本発明は、弾性戻し手段40として少なくとも1つのばね4を備えたバランス26を有する少なくとも1つのばね仕掛けバランスアセンブリー3を有する共振機構1に適用される。具体的には、図3に示すように、共振機構1の慣性及びQは、規制デバイス2によって変更される。これは、バランス26に偏心的にマウントされた高度残留アンバランス261を有する副ばね仕掛けバランス260を動作時にセットし、共振器1の速さに応じて振動する。
【0097】
少なくとも1つのばね4を弾性戻し手段40として備えるバランス26を有するばね仕掛けバランスアセンブリー3に対してのアプリケーションの別の変種では、共振機構1のQは、規制デバイス2の作用の下でバランス26の幾何学的構成の局所的な調整によって生成されるバランス26の空気の摩擦の調整を介して変更される。この規制デバイス2は、ここでは、バランス26に対して行われる。例えば、図5に示すように、バランス26は、その周囲においてヒンジ付けされているフラップに類似する飛行機の翼を支えることができる。特に、可撓性を有するガイド部材等によってである。これらのフラップは、好ましくはリバーシブルであって、運動の方向に応じて完全に先端に付くことができる。好ましくは、これらのフラップは、可撓性を有する細長片によって保持される。中間速さで、図5Aに示すように、フラップはリムに接近している。図5Bにおける最大速さにおいて、空気力学的な効果によって、フラップが持ち上げられる(飛行機の翼の効果)。この例においては、ばね仕掛けバランス共振器の固有周波数の4倍の周波数に慣性が変更される。このようにして、Q及び/又は慣性に影響があるバランスの周囲にフラップを有するように、エアロブレーキングのタイプの空気摩擦が得られる。このフラップは、緩くピボット回転可能にマウントされたり、ピボット回転可能にマウントされたり、バランスばね、可撓性を有するガイド部材などによって戻される。1つの変種は、バランスリムが様々な幾何学的構成を有することを伴う。したがって、このような変種においては、共振機構1のQは、規制デバイス2の作用の下で、バランス26の幾何学的構成を局所的に調整することによって生成されるバランス26の空気摩擦の調整を介して変更される。なお、レギュレーター2は、共振器1の速さとは独立に動くことができる。特定の変種においては、この変種を、偏心的なバランスばね260が振動するようにされている前の変種と組み合わせることを伴う。
【0098】
実際のバランスではなく環境が作用することができるような別の変種においては、共振機構1のQは、バランス26の空気摩擦の調整を介して変更される。これは、周期的運動によって移動されるパッドがバランスの近傍の空気の流れを変更するような、図6に示すような規制デバイス2の作用の下でバランス26の近傍の環境の幾何学的構成の局所的な調整によって生成される。
【0099】
したがって、本発明は、機械的な戻し手段を持たない共振機構1にも適用可能である。このようにして、特定のアプリケーション(図示せず)では、レギュレーター機構2の周期的運動は、遠隔の電気的、磁気的又は電磁的な力を介して共振機構1の周波数、Q及び/又は安静点を調整する。
【0100】
図9に示す本発明の別の変種アプリケーションは、弾性戻し手段40を形成するねじれワイヤー46を保持するコレット7を有する少なくとも1つのバランス26を有する共振機構1に関する。ここで、少なくとも1つの規制デバイス2が、ねじれワイヤー46の張りにおける周期的変化を制御することによって作用するように作られる。同様な変種において、ねじれワイヤーは、可撓性を有するガイド部材によって置き換えられる。
【0101】
図8に示す本発明の別の変種アプリケーションは、少なくとも1つの音叉を有する共振機構1に関し、ここで、少なくとも1つの規制デバイス2は、共振機構1の周波数及び/又は共振機構1のQを定める少なくとも1つの音叉アームの剛性における周期的変化を制御することによって作用するようにされる。より具体的には、音叉の取り付けに、及び/又は音叉の少なくとも1つのアームに対して圧力をかけるホイールセットに、規制デバイス2を作用させることができる。なお、この種の音叉は、従来の形の音叉である必要はなく、他の可能性のある形の中で、例えば、ハート形又はH字形であることができる。
【0102】
変種において、また、本発明は、単一のアームを備えた共振器、又はねじれて動作する共振器、又は伸びて動作する共振器にも適用可能である。
【0103】
好ましいことに、本発明は、共振機構1を始動させる及び/又は維持させるために、規制デバイス2を使用することが可能になる。好ましくは、この規制デバイス2は、共振機構1の始動及び/又は維持機構と連携して、共振機構1の振動振幅を増加させる。
【0104】
好ましいことに、本発明によって、共同維持が可能になる。すなわち、振動を維持するためのパラメトリック法と組み合わさった標準的な低出力の維持である。規制デバイス2は、単独で又は始動及び/又はインパルス維持機構と連係して、共振機構1の連続的な維持に使用される。
【0105】
例えば、このような維持は、図2の構成による振動する慣性ブロックを支えるリムばね上にバランスを有するばね仕掛けバランスシステムで得ることができる。これによって、レバーエスケープなどによって、バランス及び小さな慣性ブロックの振動を励起させることが可能になる。ばねと慣性ブロックは、所定の周波数で振動する。これはここでは、ばね仕掛けバランスの固有周波数の2倍である。慣性ブロックは慣性連成によって振動する。パラメトリック効果が発生する。なぜなら、バランスの慣性がばね仕掛けバランスの2倍の周波数で変わるからである。図15は、この種の共振器で得られる規制を示す。なお、この場合、空気力学的な損失も変更される。
【0106】
別の例は、移動止めエスケープを使用することを伴う。これによって、バランスばね4の剛性に(動くピンで)作用するレギュレーター機構2と連係して計数機能を確実にする。
【0107】
本発明は、さらに、このような共振機構1を少なくとも1つ有する計時器用ムーブメント10に関する。本発明によると、このムーブメント10はこのような規制デバイス2を少なくとも1つ有し、これは、共振機構1の固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRで、共振周波数、Q及び/又は安静点の共振機構1の一又は複数の物理的特性の周期的調整を行うことによって、共振機構1に作用するように構成する。
【0108】
変種において、この規制デバイス2は、規制周波数ωRで直接周期的運動を与えることによって、共振機構1に作用するように構成する。
【0109】
変種において、この規制デバイス2は、共振機構1の少なくとも1つの取り付け部に、及び/又は共振機構1の周波数に、特に剛性及び/又は慣性に、及び/又は共振機構1のQに、及び/又は共振機構1の摩擦の損失に作用する。
【0110】
変種では、規制デバイス2は、共振機構1の部品及び/又は共振機構1の少なくとも1つの部品に対する損失発生機構に周期的運動を与えることによって、共振機構1に作用する。
【0111】
本発明は、さらに、このような計時器用ムーブメント10を少なくとも1つ有する計時器30に関する。
【0112】
ここで説明したわずかな数のパラメトリック発振器の例は、それに限定されないものである。図15〜18のもののようないくらかは、既存のムーブメントにすぐに挿入されて、バランスのような標準的な部品に置き換わることができる。このことは、好ましい。なぜなら、このようなムーブメントの機構部品のデザイン及び製造は問題とはならないからである。
【0113】
これらのシステムの利点のうちの1つは、エスケープの効率の生来的な減少にもかかわらず、高周波でばね仕掛けバランスを操作することが可能であるということである。
【0114】
実装するのに最も容易な原理は、バランスの一部分を振動させることを伴う。これらの振動(ばね仕掛けバランスの固有周波数のn(≧2)倍の周波数で)は、慣性又は重心又は空気力学的な損失のいずれかを変更する。
【0115】
図面は、本発明の実施形態の単純な例(これに限定されない)を示す。いくらかは、例えば、特定のバランスを標準バランスに置き換えることによって、非常に単純に実装することができる。
【0116】
これらの例は、レギュレーター2の構成要素が、共振器1のいくらかの部品に組み込まれることができることを示す。多くの場合に、本発明は、第2の励起回路を要求せず、共振器1の固有周波数ω0との特定の関係の所定の周波数ωRで振動することを可能にするレギュレーター部品の寸法である。
【0117】
図1は、本発明によって規制されるパラメトリック共振機構1であって、バランス26でばね仕掛けバランス3を有する共振器を形成するバランスばね(図示せず)を示す。慣性及び/又はQは、ばね71を介して放射状又は接線方向に構成する慣性ブロック71によって調整され、後者は、バランス26の構造体への取り付け点73に、特に、リムに固定される。これらの慣性ブロックばねアセンブリーは、ばね仕掛けバランス3を備えた共振器1の周波数ω0の2倍の周波数で励起される。ここで、共振器1は、慣性ブロック−ばねのアセンブリーで形成されるレギュレーター2の要素を支える。これは、バランス26のピボット回転運動の間に放射状及び/又は接線方向に振動する。特にいくらかは、バランス26が備えるパス74にガイドされることができる。慣性ブロックの半径方向の振動は、慣性及び摩擦項に影響し、接線方向の振動は、動的な慣性に影響を与える。バランス26は、さらにここで、主として放射状に振動する振動する細長片84を支えるアーム85を支える。レギュレーター2が高度に効率的であるために、ばね72は好ましくはバランスと比較して大量にあり、それらの放射状の足跡は、例えば、実際のバランスのリムの半径のオーダーでの大きさであり、コレット7の半径を4倍のばね72及び慣性ブロック71の放射状の足跡よりも大きい。
【0118】
好ましくは、このことはすべての例に対してもいえる。レギュレーターが備えるすべての振動するアセンブリーは、本発明によって定められる周波数ωRと同じ周波数で振動する。また、それらのいくつかが、固有周波数ω0に関する本発明によって定められる周波数ωRの整数倍の周波数で振動することも受け入れ可能である。
【0119】
図2は、さらに、バランス26がレギュレーター2の要素を支え、るばね仕掛けバランス3を備えた共振器1を示す。放射状の4つのばね72が点73でリムへ取り付けられ、慣性ブロック71を支え、共振器1の周波数ω0の2倍の周波数で規制励起を経る。図15は、この種の共振器で得られる規制を示す。
【0120】
図3は、既存のバランスを置き換えるための非常に容易な手法を示す。これにおいて、図1及び2のものと同様な共振器1を有しており、これは、それぞれ高いアンバランス261を有する緩くピボット回転するように取り付けられた第2のインビルト型のばね仕掛けバランス260を支えるバランス26を有する。2つの実施形態がある。
【0121】
− 副ばね仕掛けバランス260は、完全自由に回転することができる。これには、振幅制限なしであり、例えば、従来の機械的なピボット回転がある。
【0122】
− あるいは、副ばね仕掛けバランス260の振幅が制限され、例えば、シリコン内又は同様な実施形態において、バランス26と一体化されるように作られる。これにおいて、可撓性を有するピボット及びしたがって制限のある振幅で。
【0123】
図4は前の図のものと同様な共振器1を示す。2つの直径方向で全く反対の実質的に放射状のばね51によって一又は複数の構造体50からサスペンド保留されるバランス26を有し、これらの2つのばね51の共通の方向に対応するバランス26の重心の軌道である。変種において、バランススタッフは、ばねによって保持される。別の変種では、バランス26は、従来のアーバーでピボット回転されるのではなく、可撓性を有するガイド部材によってのみピボット回転される。この場合、仮想的なバランススタッフは、ばねの方向によって定められる。図においては、意図的に、2つのばねのみに単純化される。3つ以上のばね51にバランス26をつるすことを当然考えることができる。バランス26の所望のピボット回転する振幅の範囲内で、この全アセンブリーが一体化された実施形態も可能である。機能部品を複数の平面上に分布させるように、複数の高さレベルにわたる実施形態も可能であることは明らかである。
【0124】
図5A、5B、5Cは、空気力学的な輪郭を有するリムフラップ60を支えるバランス26が組み込まれた別の同様な共振器1を示しており、上で説明したように、このリムフラップ60は、バランス26のリムにおいて、可撓性を有するピボット81にヒンジ付けされており、バランス26のピボット回転運動時にピボット回転する。この構成は、固有周波数ω0の2倍のフラップ規制周波数の真空において、又はω0の4倍の周波数の空気中において、作動することができる。
【0125】
図6は、バランス26を備えた共振器1を示す。ここで、レギュレーター2は、共振器1と完全に離れている。バランス26のリムの近傍のパッド82は、空気力学的なブレーキを形成し、構造体53からばね83でつるされており、バランスを組み込むばね仕掛けバランス共振器1の2倍の周波数で運動可能である。この運動性は、外部の励起源によってもたらすこともできる。また、バランスリムの輪郭(例、歯付き輪郭)によってもたらすこともできる。これによって、パッド82の近傍の気流においてばらつきを発生させる。
【0126】
図7は、図3と同様なバランスを示しており、これにおいて、2つの副ばね仕掛けバランス260が高度なアンバランス261を有しており、これらは、同じ直径上で、(安静点において)アンバランスのアラインメント位置において、緩くマウントされており、これらのアンバランスは、図3のものとは異なり、また、同位相又は反位相振動を行う。好ましくは、この実施形態は、ケイ素又は別の同様なマイクロ機械加工可能な材料(特に、酸化ケイ素、石英、「LIGA」、アモルファス金属など)で作られる。副ばね仕掛けバランス及びそれらのアンバランス261は、これらが可撓性を有する接続を介してピボット回転する部品と比べて、バランス26と一体化された部品となっており、これらのアンバランスのアラインメントは、この構造体の安静状態である。この種のバランスは、クロノメーター的性能を改善するために既存のバランスを交換するための非常に容易な解決策である。
【0127】
図8は、音叉55を備えた共振器1を示しており、これは、構造体50に固定されている。その1つのアーム56は、音叉共振器の周波数の2倍の周波数で励起される摩擦パッド57と接している。
【0128】
図9は、ねじれワイヤー46を保持するコレット7を有するバランス26を有する共振機構を示している。これにおいて、共振器デバイス2は、バランス及びねじれワイヤー共振器1の2倍の周波数で、張力の周期的な変化を制御する
【0129】
図10は、ばね仕掛けバランス3を有するパラメトリック共振機構1を示す。これにおいて、バランスばね4の外側コイル6は、規制デバイス2が周期的運動を与えるバランスばねスタッド5にピン固定され、前記スタッド5は、必要であれば、バランスばね4をねじるように空間において、平行移動、ピボット回転、傾斜運動をすることができる。
【0130】
図11は、インデックス12及びピン11を有するインデックス機構を備えるバランスばね4を備えた別のばね仕掛けバランス3の共振器1を示す。これは、インデックス12の連続動作を作動させて、バランスばね4の有効長における連続的な変化のための、クランクロッドシステムを備えたレギュレーターシステム2を備える。
【0131】
図12には、同様な形態で、カム14が上にあるバランスばね4を示しており、これは、バランスばね4の有効長、及び/又は取り付け点の位置、及び/又はバランスばねの幾何学的構成における連続的な変化のために、レギュレーター2によって回転駆動される。この図においては、単純化して表現しており、単一のカムが片側のみでバランスばね上に位置する。バランスばね4を両側でクランプするように構成する2つのカムを組み合わせることができることは明らかである。
【0132】
図13は、同様の形態でバランスばね4を示しており、付加的なコイル18がバランスばね4に固定され、バランスばねの終端カーブ17を局所的に位置合わせしており、規制デバイス2がこの付加的なコイル18の一端18Aを駆動する。
【0133】
図14は、別のバランスばね4を示す。これは、終端カーブ17の近傍において、別のコイル23を有しており、これは、規制デバイス2によって動作する支持体59によって第1の端24において保持され、この支持体上で規制デバイス2の作用の下で終端カーブ17と周期的に接触するように構成する第2の端25において自由である。
【0134】
図16A及び16Bは、共振器1の重心の調整を示しており、これは、リムに取り付けられ、振動する慣性ブロック71を支える実質的に放射状のばね72を支えるバランス26を有するばね仕掛けバランス3の共振器を備える。慣性ブロック71は、図2のものと同様だが、一部はリムの内側に、一部はリムの外側に振動する。関連づけられた求心又は遠心効果によって、共振器1の重心の位置の調整が可能になる。
【0135】
図17A、17Bは、図5と同様な方法で、空気力学的な損失及び慣性の変更のために、可撓性を有するピボット81を備えたフラップ80を有する別の変種のバランスシステム26を示している。
【0136】
図18A〜18Dは、図3又は図7のものと同様な共振器に基づいた重心の調整を示しており、これは、アンバランス261を備えた内蔵の副ばね仕掛けバランス260を備えている。
【0137】
図19は、ケイ素ばね72を支えるバランスコレット7を有するパラメトリック発振器の例示的な実施形態を示しており、このケイ素ばね72は、直流電気での析出又は他の手段などによって得られた金又は他の重金属の層75によって重みが加えられた周部の慣性ブロック71を支えており、ばね−慣性ブロックのアセンブリーは、規制周波数ωRで振動する。例えば、ω0=(10Hz)、ωR=(20Hz)である。図20は、これらのばね−慣性ブロックのアセンブリーがコレット7からリムの最大の直径まで延在するようなバランス26を示す。
【0138】
図21は、支持体50に組み込まれた音叉55を示しており、1つのブランチ56が、ブランチ56に緩くピボット回転可能にマウントされた偏心的なアンバランス261を備えた副ばね仕掛けバランスアセンブリー260を支える。
【0139】
図22は、音叉55を示しており、その1つのブランチ56は、自由に振動するように取り付けられた、ばね72−慣性ブロック71のアセンブリーを支える。
【0140】
本発明は、さらに、好ましい一実施形態において、固有周波数ω0で振動するように構成する強制振動を行う計時器用共振機構1に関し、これは、一方で、少なくとも1つの振動メンバー100を有し、これは、好ましくは、バランス26又は音叉55又は振動する細長片などを有し、他方では、前記振動メンバー100に対して、衝撃、力及び/又はトルクを及ぼすように構成する振動維持手段200を有する。
【0141】
本発明によると、この振動メンバー100は、少なくとも1つの振動する規制デバイス2を支える。その固有周波数は、前記共振機構1の固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRである。固有周波数ω0に対するωRの特定の値は、好ましくは、上記の特定のルールに従う。
【0142】
第1の変種において、この規制デバイス2は、副ピボット軸を中心にピボット回転する少なくとも1つの副ばね仕掛けバランス260を有し、これは、前記副ばね仕掛けバランス260の前記副ピボット軸に対して偏心的なアンバランス261を有しており、振動メンバー100に緩くピボット回転可能にマウントされる。
【0143】
具体的には、振動メンバー100は、主ピボット軸を中心にピボット回転する。この少なくとも1つの副ばね仕掛けバランス260は、主ピボット軸に対して偏心的な副軸を有する。
【0144】
特定の実施形態では、規制デバイス2は、少なくとも第1の副ばね仕掛けバランス260及び第2の副ばね仕掛けバランス260を有する。これらのアンバランス261は、応力がない安静状態において、副ばね仕掛けバランス260の副ピボット軸と位置あわせされている。より詳細には、振動メンバー100は、主ピボット軸を中心にピボット回転し、前記副ばね仕掛けバランス260の少なくとも1つは、前記主ピボット軸に対して偏心的な副ピボット軸を有する。
【0145】
マイクロ材料の技術によって可能となる好ましい一実施形態において、このような副ばね仕掛けバランス260の少なくとも1つが、副ばね仕掛けバランス260を保持するための振動メンバー100に備えられた弾性維持手段によって定められる仮想副軸を中心にピボット回転し、その運動の振幅は、振動メンバー100に対して制限されている。
【0146】
好ましいことに、このような副ばね仕掛けバランス260の少なくとも1つは、振動メンバー100と一体化されている。
【0147】
より詳細には、前記少なくとも1つの副ばね仕掛けバランス260は、振動メンバー100が備える又は振動メンバー100を形成するバランス26と一体化されている。
【0148】
第2の変種では、規制デバイス2は、振動メンバー100上の点73においてばね72によって取り付けられた慣性ブロック71を有する少なくとも1つのばね−慣性ブロックのアセンブリーを有する。
【0149】
具体的には、振動メンバー100は、主ピボット軸を中心にピボット回転し、このようなばね72の少なくとも1つは、前記主ピボット軸を中心に放射状に延在する。
【0150】
特定の実施形態では、振動メンバー100は、このようなばね−慣性ブロックのアセンブリーをいくつか支える。そのばね72は、主ピボット軸を中心に放射状に延在し、少なくとも1つのアセンブリーは、そのばね72よりもその慣性ブロック71を主ピボット軸から遠くで支え、少なくとも別のアセンブリーは、そのばね72よりその慣性ブロック71を主ピボット軸の近くで支える。
【0151】
具体的には、振動メンバー100は、主ピボット軸を中心にピボット回転し、このようなばね72の少なくとも1つは、主ピボット軸に対して、点73での接線方向に延在する。
【0152】
特に、このようなばね−慣性ブロックのアセンブリーの少なくとも1つは、その取り付け点73を除いて、振動メンバー100に対して自由に運動することができる。
【0153】
特定の実施形態において、ばね−慣性ブロックのアセンブリーの運動性は、前記振動メンバー100が備えるガイド手段によって制限されているか、又は前記振動メンバー100が備えるパス74内で運動する。
【0154】
第3の変種では、規制デバイス2は、空気力学的な変化の影響の下で運動可能であって、振動メンバー100に対してピボット81、弾性細長片又はアーム85によって取り付けられている、少なくとも1つのフラップ80又は細長片84を有する。
【0155】
具体的には、特定の実施形態において、少なくとも1つのフラップ180又は細長片84が、ピボット81、弾性細長片又はアーム85に対して傾斜することができ、これらによって支えられる。
【0156】
既存のムーブメントに本発明を容易に適応させることを可能にする好ましい一実施形態では、最小のコストでクロノメーター的性能を相当に改善することを可能にし、振動メンバー100は、振動維持手段200の作用を受けるバランス26であり、これらは、少なくとも1つのバランスばね4及び/又は少なくとも1つのねじれワイヤー46を有する戻し手段である。
【0157】
別の特定の実施形態では、振動メンバー100は、音叉55であって、その少なくとも1つのブランチ56が振動維持手段200の作用を受ける。
【0158】
これらの異なる制限されない変種を、お互いどうしで及び/又は本発明の原理が観測される他の変種と組み合わせることは明らかである。
【0159】
本発明は、さらに、その固有周波数ω0の近傍で振動するように構成する少なくとも1つの共振機構1を有する計時器用ムーブメント10に関する。本発明によると、このムーブメント10は、少なくとも1つの規制デバイス2を有する。これは、前記共振機構1の固有周波数ω0の整数倍(この整数は、2以上及び10以下である)の値の0.9〜1.1倍である規制周波数ωRで、共振機構1の共振周波数、Q及び/又は安静点の周期的調整を行うことによって、前記共振機構1に作用するように構成する手段を有する。
【0160】
第1の変種において、このムーブメント10は、このような共振機構1を少なくとも1つ有し、その振動メンバー100は、少なくとも1つの前記規制デバイス2を支える。
【0161】
第2の変種において、ムーブメント10は、前記少なくとも1つの共振機構1とは別個の少なくとも1つの前記規制デバイス2を有し、これは、前記共振機構1の少なくとも1つの部品と接触することによって、あるいは前記共振機構1とは遠隔位置において、空気力学的な流れ、磁場、静電場又は電磁場を調整することによって、作用する。
【0162】
好ましいことに、この共振機構1は、剛性及び/又は慣性が可変な少なくとも1つの変形可能な部品を有し、前記少なくとも1つの規制デバイス2は、その剛性及び/又は慣性を変えるために変形可能な部品を変形するように構成する手段を有する。
【0163】
特定の実施形態において、これ少なくとも1つの規制デバイス2は、共振機構1を変形し、共振機構1の重心の位置を調整するように構成する手段を有する。
【0164】
特定の実施形態において、この少なくとも1つの規制デバイス2は、前記共振機構1の少なくとも1つの部品において損失発生手段を有する。
【0165】
好ましい実施形態において、実装するのが非常に簡単であるので、規制デバイス2は、振動メンバー100の近傍において空気力学的な流れを調整する手段を有し、これらの調整手段は、弾性戻し手段83によって構造体50からつるされた少なくとも1つのパッド83を有する。
【0166】
本発明は、さらに、このような計時器用ムーブメント10を少なくとも1つ有する計時器30、特に腕時計、に関する。
【0167】
当然、クロック時計のような別の計時器に本発明を適用することは完全に可能である。機械的な振動メンバー100、特に振り子、を有する任意の種類の発振器に適用可能である。
【0168】
上で定めたような周波数ωRの励起、具体的には、周波数ω0の2倍での励起は、矩形信号又はパルス信号で達成することができる。シヌソイド励起である必要はない。
【0169】
維持レギュレーターは、非常に正確である必要がない。精度に問題があっても、振幅の損失のみをもたらし、もちろん周波数が非常に可変であるような回避すべき状況でなければ、周波数変動がない。実際に、これらの2つの発振器、すなわち、維持するレギュレーター及び被維持共振器は、連結されず、一方が他方を維持する。これは、理想的には、単一方向である(必須ではない)。
【0170】
好ましい実施形態において、維持レギュレーター2と被維持共振器1の間には、連結するばねがない。
【0171】
本発明は、さらに、以下の点で既知の回路と異なる。すなわち、レギュレーターの周波数が共振器の固有周波数の2倍ないし倍数である点 (又は少なくとも倍数に非常に近い)と、エネルギー伝達のモードの点においてである。
【符号の説明】
【0172】
1 共振機構
2 規制デバイス
26 バランス
71 慣性ブロック
72 ばね
73 点
74 パス
80 フラップ
81 ピボット
84 細長片
85 アーム
100 振動メンバー
200 振動維持手段
260 副ばね仕掛けバランス
261 アンバランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23