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特開2015-152678基板内蔵コネクタ、光電変換コネクタ、光電変換ユニットおよび光電変換ユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-152678(P2015-152678A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】基板内蔵コネクタ、光電変換コネクタ、光電変換ユニットおよび光電変換ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20150728BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20150728BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20150728BHJP
   H01R 12/72 20110101ALI20150728BHJP
   H01S 5/022 20060101ALN20150728BHJP
   H01R 12/73 20110101ALN20150728BHJP
   H01R 12/79 20110101ALN20150728BHJP
【FI】
   G02B6/42
   H01L31/02 B
   H01R12/71
   H01R12/72
   H01S5/022
   H01R12/73
   H01R12/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-24364(P2014-24364)
(22)【出願日】2014年2月12日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】加藤 清
(72)【発明者】
【氏名】立石 博志
【テーマコード(参考)】
2H137
5E123
5F088
5F173
【Fターム(参考)】
2H137AB05
2H137AB06
2H137AC02
2H137BA01
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB31
2H137BC10
2H137BC73
2H137CA45
2H137CC26
2H137DA07
2H137EA06
5E123AC23
5E123BA07
5E123BA68
5E123BB01
5E123BB12
5E123CA25
5E123CB31
5E123CB38
5E123CD01
5E123CD02
5E123DA05
5E123DB09
5E123DB23
5E123EA03
5E123EA31
5F088BA16
5F088BB01
5F088JA14
5F088JA20
5F173MB03
5F173MC23
5F173MC24
5F173MF03
5F173MF23
(57)【要約】
【課題】基板が内蔵されたコネクタにおいて、基板と端子の物理的かつ電気的な接続を容易にすること。基板が内蔵された光電変換コネクタを用いた光電変換ユニットの製造を容易にすること。
【解決手段】ハウジング10と、ハウジング10に固定されたリード端子20と、ハウジング10内に収容され、リード端子20に電気的に接続される導電パターンが形成された内部基板30と、を備え、内部基板30は、導電パターンの基板側接点部21に接触するリード端子20の弾性により、当該リード端子20とハウジング10に形成された基板支持面131との間に挟まれて保持されている基板内蔵コネクタ1とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに固定されたリード端子と、
前記ハウジング内に収容され、前記リード端子に電気的に接続される導電パターンが形成された内部基板と、
を備え、
前記リード端子が前記導電パターンの基板側接点部に接触することで前記リード端子と前記導電パターンが電気的に接続されるとともに、前記基板側接点部に接触する前記リード端子の弾性により、前記内部基板が前記リード端子と前記ハウジングに形成された基板支持面との間に挟まれて保持されていることを特徴とする基板内蔵コネクタ。
【請求項2】
前記リード端子は、
前記基板側接点部に接触する端子側接点部と、
前記端子側接点部から先端に向かって前記基板支持面から離れるように延びる誘導部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の基板内蔵コネクタ。
【請求項3】
前記基板側接点部の幅方向両側には、当該基板側接点部よりも突出した端子規制部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板内蔵コネクタ。
【請求項4】
前記リード端子は、前記ハウジングに圧入される圧入部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板内蔵コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の基板内蔵コネクタにおける前記ハウジング内に、
前記内部基板に形成された導電パターンに電気的に接続された光電変換素子と、
前記光電変換素子と光学的に接続される相手方光学部材が係合する、光透過性材料で形成された部分を有するコネクタ側光学部材と、
を備えることを特徴とする光電変換コネクタ。
【請求項6】
請求項5に記載の光電変換コネクタが外部基板に実装された光電変換ユニットであって、
前記リード端子は、前記外部基板にはんだ付けされたリード部を有することを特徴とする光電変換ユニット。
【請求項7】
前記リード端子のリード部は、前記ハウジングの下端面に沿う方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の光電変換ユニット。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の光電変換ユニットの製造方法であって、
前記ハウジングに固定された前記リード端子のリード部を前記外部基板にはんだ付けし、ハウジング・端子・外部基板組を得る工程と、
前記内部基板、前記光電変換素子、および前記コネクタ側光学部材を一体化した内部基板・光電変換素子・光学部材組を得る工程と、
前記ハウジング・端子・外部基板組における前記リード端子と前記基板支持面の間に、前記内部基板・光電変換素子・光学部材組における前記内部基板を挿入し、当該内部基板を固定する工程と、
を含むことを特徴とする光電変換ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板が内蔵された基板内蔵コネクタや光電変換コネクタ、この光電変換コネクタを用いた光電変換ユニットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、基板が内蔵された光電変換コネクタが記載されている。かかる特許文献1に記載のコネクタでは、内蔵される基板(23)と端子(24)がはんだ付けにより物理的かつ電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−137537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなはんだ付けによって基板と端子を接続する方法では、専用設備が必要となる。また、製造にかかる時間(タクトタイム)も長い。
【0005】
本発明は、基板が内蔵されたコネクタにおいて、基板と端子の物理的かつ電気的な接続を容易にすることを目的とする。また、このような基板が内蔵された光電変換コネクタを用いた光電変換ユニットの製造を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる基板内蔵コネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに固定されたリード端子と、前記ハウジング内に収容され、前記リード端子に電気的に接続される導電パターンが形成された内部基板と、を備え、前記リード端子が前記導電パターンの基板側接点部に接触することで前記リード端子と前記導電パターンが電気的に接続されるとともに、前記基板側接点部に接触する前記リード端子の弾性により、前記内部基板が前記リード端子と前記ハウジングに形成された基板支持面との間に挟まれて保持されていることを特徴とする。
【0007】
前記リード端子は、前記基板側接点部に接触する端子側接点部と、前記端子側接点部から先端に向かって前記基板支持面から離れるように延びる誘導部と、を有するとよい。
【0008】
前記基板側接点部の幅方向両側には、当該基板側接点部よりも突出した端子規制部が形成されているとよい。
【0009】
前記リード端子は、前記ハウジングに圧入される圧入部を有するとよい。
【0010】
上記課題を解決するために本発明にかかる光電変換コネクタは、上記基板内蔵コネクタにおける前記ハウジング内に、前記内部基板に形成された導電パターンに電気的に接続された光電変換素子と、前記光電変換素子と光学的に接続される相手方光学部材が係合する、光透過性材料で形成された部分を有するコネクタ側光学部材と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために本発明にかかる光電変換ユニットは、上記光電変換コネクタが外部基板に実装された光電変換ユニットであって、前記リード端子は、前記外部基板にはんだ付けされたリード部を有することを特徴とする。
【0012】
前記リード端子のリード部は、前記ハウジングの下端面に沿う方向に延びるように形成されているとよい。
【0013】
上記課題を解決するために本発明にかかる光電変換ユニットの製造方法は、前記ハウジングに固定された前記リード端子のリード部を前記外部基板にはんだ付けし、ハウジング・端子・外部基板組を得る工程と、前記内部基板、前記光電変換素子、および前記コネクタ側光学部材を一体化した内部基板・光電変換素子・光学部材組を得る工程と、前記ハウジング・端子・外部基板組における前記リード端子と前記基板支持面の間に、前記内部基板・光電変換素子・光学部材組における前記内部基板を挿入し、当該内部基板を固定する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる基板内蔵コネクタや光電変換コネクタは、リード端子とハウジングに形成された基板支持面との間に内部基板が挟み込まれて保持される。つまり、リード端子と基板支持面との間に内部基板を挿入するだけで、リード端子と内部基板の電気的な接続が実現されるとともに、ハウジングを利用した物理的な接続(内部基板がハウジング内で動かないように固定された状態とすること)も実現される。
【0015】
リード端子が端子側接点部から先端に向かって基板支持面から離れるように延びる誘導部を有するものであれば、リード端子と基板支持面の間の内部基板を挿入する入口となる部分が広がった構造となるから、両者の間に内部基板を挿入する作業が容易になる。
【0016】
基板側接点部の幅方向両側に基板側接点部よりも突出した端子規制部が形成されていれば、基板側接点部とリード端子が非接触の状態となってしまうこと(リード端子が外れてしまうこと)を防止できる。かかる機能は、振動環境下で使用される車載用コネクタに特に有効である。
【0017】
リード端子がハウジングに圧入される圧入部を有していれば、リード端子とハウジングの位置ずれを防止することができる。
【0018】
本発明にかかる光電変換ユニットは、リード端子とハウジングが一体化されたものを外部基板にはんだ付けした後、リード端子と基板支持面の間に内部基板を挿入することで、内部基板およびそれと一体化されたコネクタ側光学部材をハウジングに組み付けることができる。つまり、リード端子と外部基板と接続するはんだ付けの熱がコネクタ側光学部材に及んでしまうことがないため、コネクタ側光学部材を耐熱性に乏しい材料で形成しても問題がない。すなわち、安価な材料を選択する等、材料の選択幅が広がり、製造が容易になる。
【0019】
リード端子のリード部がハウジングの下端面に沿う方向に延びるように形成されていれば、ハウジングとリード端子が一体化されたものを、外部基板の表面に実装することができる(外部基板の表面にはんだ付けすることができる)。つまり、その他の素子等とともに、ハウジングとリード端子が一体化されたものを外部基板に実装することができ、工程が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態にかかる光電変換コネクタ(基板内蔵コネクタ)の外観図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる基板実装型の光電変換コネクタの断面図(図1のA−A線断面図)である。
図3】ハウジングとリード端子が一体化されたもの(ハウジング・端子組)の外観図である。
図4】ハウジングとリード端子が一体化されたものの断面図(図3のB−B線断面図)である。
図5】リード端子(端子側接点部)と内部基板(基板側接点部)の接触部分の幅方向断面を模式図であって、内部基板の各基板側接点部の幅方向両側に形成された端子規制部を示した図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる光電変換ユニットの製造工程を説明するための断面図であって、(a)はハウジングとリード端子が一体化されたものを外部基板にはんだ付けする前の状態を、(b)はハウジングとリード端子が一体化されたものが外部基板にはんだ付けされたハウジング・端子・外部基板組を、(c)はハウジング・端子・外部基板組に対し内部基板・光電変換素子・光学部材組を組み付けた光電変換ユニットを示す。
図7】リード端子に形成された圧入部がハウジングに形成された凹部に圧入されることによって、ハウジングとリード端子が一体化される構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、特に明示した場合を除き、以下の説明では、相手方コネクタが嵌合する側を前とし、その反対側を後とする。図1および図2に示す本発明の一実施形態にかかる光電変換コネクタ1(基板内蔵コネクタ)は、基板実装型の車載用光電変換コネクタであって、ハウジング10、リード端子20、内部基板30、光電変換素子40、光学部材(相手方コネクタに搭載された光学部材と区別するため、コネクタ側光学部材50と称する)を備える。
【0022】
ハウジング10は、非導電性材料で形成されている。本実施形態におけるハウジング10は、嵌合部11、光学部材収容部12、基板収容部13を有する。嵌合部11は図示されない相手方コネクタが嵌合する部分である。当該嵌合構造は周知の構造が適用できるから説明を省略する。光学部材収容部12は、嵌合部11の後方に形成された、コネクタ側光学部材50が収容される空間である。基板収容部13は、光学部材収容部12の後方に形成された、内部基板30が収容される空間である。本実施形態では、ハウジング10における光学部材収容部12と基板収容部13が形成された箇所は、上方が開口している。当該開口は最終的に図示されない蓋部材(アッパーハウジング)に覆われる。
【0023】
ハウジング10には、基板支持面131が形成されている。基板支持面131は、基板収容部13に面する。具体的には、ハウジング10内の最奥の空間である基板収容部13は、その他の空間に比べて高さ(上下方向の大きさ)が小さくなっており、空間を狭めるように形成された凸状部131aの上面が基板支持面131となっている。基板支持面131の大きさは、内部基板30の大きさと略同じかそれよりも大きい。
【0024】
リード端子20は、導電性材料で形成された線状の部材であって、弾性を有する。ハウジング10には、複数のリード端子20が固定されている。本実施形態では、インサート成形によってハウジング10と複数のリード端子20が一体化されている(図3および図4参照)。各リード端子20は、ハウジング10に埋設された上下方向に延びる部分20aと、この上下方向に延びる部分20aの上端から前方に向かって延びる部分20bと、上下方向に延びる部分20aの下端から後方に向かって延びる部分20cとを有する。前方に向かって延びる部分20bは、ハウジング10に埋設された上下方向に延びる部分20aの上端を支点として片持ち状に設けられている。
【0025】
前方に向かって延びる部分20bには、端子側接点部21および誘導部22が設けられる。端子側接点部21は、前方に向かって延びる部分20bの最も下端に位置し、後述する基板側接点部31に接触する箇所である。誘導部22は、端子側接点部21から先端に向かって基板支持面131から離れるように延びる箇所である。つまり、基板支持面131とリード端子20との距離は、端子側接点部21が最も小さく、そこから先端に向かうに従い大きくなっていく。端子側接点部21と基板支持面131の距離は、内部基板30の厚みより小さく設定される。誘導部22(前方に向かって延びる部分20b)の先端と基板支持面131の距離は、内部基板30の厚みより大きく設定されていることが好ましい。
【0026】
後方に向かって延びる部分20cは、外部基板80にはんだ付けされるリード部23となっている。リード部23は、ハウジング10の下端面に沿う方向に延びる。より具体的には、リード部23の下端面とハウジング10の下端面は略面一である。
【0027】
内部基板30は、ハウジング10内に収容される基板である。内部基板30には、所定の導電パターンが形成されている。この導電パターンの一部が、リード端子20が接触する基板側接点部31(いわゆるランド)となっている。図1に示すように、内部基板30には、幅方向に並ぶ、端子ピンと同数の基板側接点部31が形成されている(端子側接点部21以外の導電パターンは図示省略)。各基板側接点部31は、前後方向に長い長方形状である。各基板側接点部31の幅は、端子ピンの幅よりも大きい。各基板側接点部31の幅方向両側には、基板側接点部31(導電面)よりも突出した端子規制部32が設けられている(図5参照)。
【0028】
本実施形態ではハウジング10内に支持基板70が設けられる。支持基板70は上下方向に沿うようにハウジング10内に設置され、互いに直交するように位置する内部基板30と支持基板70はフレキシブル基板60を介して接続されている(図1および図2参照)。本実施形態では、二つのコネクタ側光学部材50のそれぞれを支持する支持基板70が二つ設けられている。内部基板30に形成された導電パターンと支持基板70に形成された導電パターンは、フレキシブル基板60に形成された導電パターンを介して電気的に接続されている。
【0029】
各支持基板70には光電変換素子40が実装されている(図2参照)。本実施形態では、一方の支持基板70に光信号を電気信号に変換する受光素子(例えばフォトダイオード)が、他方の支持基板70に電気信号を光信号に変換する発光素子(例えばレーザダイオード)が実装されている。内部基板30および支持基板70の少なくともいずれか一方には、光信号から変換された電気信号、または光信号に変換させる電気信号を処理する回路(導電パターン)が構築されている。つまり、内部基板30に形成された導電パターン(基板側接点部31)は、光電変換素子40に電気的に接続されている。
【0030】
各支持基板70にはコネクタ側光学部材50が固定されている(図1および図2参照)。本実施形態におけるコネクタ側光学部材50は、相手方コネクタに搭載された光学部材(例えば、光ファイバが固定されたフェルール)が嵌まり込む嵌合部を有する筒状の部材(スリーブなどとも称される)である。一方の支持基板70に固定されたコネクタ側光学部材50は、相手方コネクタの光学部材から送られた光を受光素子に集光させる機能を有する。他方の支持基板70に固定されたコネクタ側光学部材50は、発光素子から出射された光を相手方コネクタの光学部材に集光させる機能を有する。
【0031】
このような構成を有する光電変換コネクタ1は、次のように組み付けることができる。ハウジング10と端子ピンが一体化されたユニットと、内部基板30、フレキシブル基板60、支持基板70、光電変換素子40、コネクタ側光学部材50が一体化されたユニットを得る。その後、ハウジング10の上方に形成された開口を通じて、内部基板30をリード端子20と基板支持面131の間に挿入する。端子側接点部21と基板支持面131の距離は内部基板30の厚みより小さく設定されているため、内部基板30を挿入することにより、リード端子20の前方に向かって延びる部分20bがハウジング10に埋設された上下方向に延びる部分20aの上端を支点として弾性変形する(図2および図4参照)。この弾性により、内部基板30はリード端子20(端子側接点部21)と基板支持面131との間に挟まれて保持される。つまり、内部基板30が物理的にハウジング10に固定される。リード端子20の端子側接点部21が内部基板30の基板側接点部31に接触するまで内部基板30を挿入することで、リード端子20と内部基板30の導電パターンが電気的に接続される。このように、本実施形態では、内部基板30の導電パターンに電気的に接続される対象であるリード端子20の弾性を利用して、内部基板30をリード端子20とハウジング10(基板支持面131)との間に物理的に固定する。
【0032】
また、リード端子20には、端子側接点部21から先端に向かって基板支持面131から離れるように延びる誘導部22が設けられている(図2および図4参照)。したがって、リード端子20と基板支持面131の間の内部基板30を挿入する入口となる部分(リード端子20の先端と基板支持面131の間)が広がった構造となるから、両者の間に内部基板30を挿入する作業が容易である。
【0033】
また、リード端子20の端子側接点部21が接触する基板側接点部31の幅方向両側には、基板側接点部31(導電面)よりも突出した端子規制部32(図5参照)が設けられているため、振動等によって基板側接点部31に接触する端子側接点部21が幅方向にずれてしまいそうになっても、基板側接点部31が端子規制部32に接触するため、当該ずれは阻止される。つまり、両接点部が非接触状態になってしまうのが阻止される。なお、端子規制部32は基板側接点部31の幅方向両側に設けられている(基板側接点部31の後側には設けられていない)ため、端子規制部32が内部基板30をリード端子20と基板支持面131の間に挿入する際の抵抗になることはない。また、内部基板30の製造を容易にするため、端子規制部32は、基板側接点部31を内部基板30の表面よりも低くすること(基板側接点部31を溝(凹部)とすること)により構築されることが好ましい。ただし、内部基板30における基板側接点部31の幅方向両側に別途突起を形成することで構築されるものであってもよい。
【0034】
支持基板70およびそれに固定されたコネクタ側光学部材50の固定方法等は、特定の方法に限定されるものではないため説明を省略する。
【0035】
このように、本実施形態にかかる光電変換コネクタ1は、リード端子20とハウジング10に形成された基板支持面131との間に内部基板30が挟み込まれて保持される。つまり、リード端子20と基板支持面131との間に内部基板30を挿入するだけで、リード端子20と内部基板30の電気的な接続が実現されるとともに、ハウジング10を利用した物理的な接続(内部基板30がハウジング10内で動かないように固定された状態とすること)も実現される。
【0036】
かかる技術思想は、ハウジング10内に基板が内蔵される基板内蔵コネクタ全てに適用することができる。例えば、光学的な要素が設けられていない基板内蔵型の電気コネクタに適用することもできる。
【0037】
以下、上記光電変換コネクタ1を用いた本発明の一実施形態にかかる光電変換ユニット1uについて説明する。本実施形態にかかる光電変換ユニット1u(図6(c)参照)は、上記光電変換コネクタ1が外部基板80に実装されたものである。
【0038】
上述したように、光電変換コネクタ1のリード端子20はリード部23を有する。このリード部23が外部基板80にはんだ付けされることにより、光電変換ユニット1uが構築される。外部基板80に実装されるその他の部品(素子等)は、特定のものに限定されない。リード端子20のリード部23は、ハウジング10の下端面に沿う方向に延びるように形成されている。つまり、リード部23は外部基板80の表面にはんだ付けされる。換言すれば、光電変換コネクタ1は、外部基板80に対し表面実装可能な基板実装型コネクタであるということとなる。
【0039】
本実施形態にかかる光電変換ユニット1uの製造工程は、以下の第一工程〜第三工程を含むものとすることが好ましい。
・第一工程
ハウジング10とリード端子20が一体化されたもの(図6(a)参照)におけるリード端子20のリード部23を外部基板80にはんだ付け(表面実装)し、ハウジング・端子・外部基板組を得る(図6(b)参照)。この際、他の部品(素子等)を外部基板80にはんだ付けしてもよい。上述したように、リード部23はハウジング10の下端面に沿う形状であるため、いわゆるリフロー方式によってハウジング・端子組を他の部品とともに外部基板80にはんだ付けすることができる。
・第二工程
内部基板、光電変換素子40、およびコネクタ側光学部材50を一体化した内部基板・光電変換素子・光学部材組を得る。本実施形態では、光電変換素子40およびコネクタ側光学部材50は支持基板70に固定されているため、これらが固定された支持基板70と内部基板30を、フレキシブル基板60を介して一体化する。
・第三工程
ハウジング・端子・外部基板組におけるリード端子20と基板支持面131の間に、内部基板・光電変換素子・光学部材組における内部基板30を挿入し、当該内部基板30を固定する。
【0040】
これらの工程を経た後、支持基板70やコネクタ側光学部材50をハウジング10に固定したり、蓋部材(アッパーハウジング)をハウジング10に固定したりして、光電変換ユニット1uを得る(図6(c)参照。ただし図6(c)では蓋部材を省略している)。なお、上記第一工程と第二工程はどちらを先に行ってもよい。つまり、ハウジング・端子・外部基板組と、内部基板・光電変換素子・光学部材組を別々に作成した後、リード端子20の弾性を利用してハウジング10に内部基板30を固定する第三工程を行うものであればよい。
【0041】
このように、本実施形態にかかる光電変換ユニット1uは、リード端子20とハウジング10が一体化されたものを外部基板80にはんだ付けした後、リード端子20と基板支持面131の間に内部基板30を挿入することで、内部基板30およびそれに一体化されたコネクタ側光学部材50をハウジング10に組み付けることができる。つまり、リード端子20と外部基板80とを接続するためのはんだ付けの熱がコネクタ側光学部材50に及んでしまうことがないため、コネクタ側光学部材50を耐熱性に乏しい材料で形成しても問題がない。すなわち、安価な材料を選択する等、材料の選択幅が広がり、製造が容易になる。
【0042】
また、リード端子20のリード部23は、ハウジング10の下端面に沿う方向に延びるように形成されているため、ハウジング10とリード端子20が一体化されたものを、外部基板80の表面に実装することができる。つまり、いわゆるリフロー方式により、その他の素子等とともに、ハウジング10とリード端子20が一体化されたものを外部基板80に実装することができ、工程が簡略化される。
【0043】
なお、外部基板80のレイアウトや工程の設計上、外部基板80の裏面にリード端子20をはんだ付けする方が好ましい場合には、リード端子20のリード部23は上下方向に延びる形状としてもよい。つまり、リード部23が外部基板80に形成されたスルーホールを貫き、外部基板80の裏面にはんだ付けされる構成としてもよい。この場合であっても、リード端子20とハウジング10が一体化されたものを外部基板80にはんだ付けした後、内部基板30およびそれに一体化されたコネクタ側光学部材50をハウジング10に組み付けることができるため、はんだ付けの熱がコネクタ側光学部材50に及んでしまうことがない。なお、このようなリード部23の形状とした方が好ましいケースとしては、いわゆるフロー方式によって外部基板80の裏面に各種素子等の端子をはんだ付けする設計としたものが例示できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0045】
上記実施形態では、インサート成形によりリード端子20とハウジング10が一体化されていることを説明したが、ハウジング10に対するリード端子20の固定手法はこれに限られるものではない。ハウジング10内に内部基板30を物理的に固定するのに十分なリード端子20の弾性が発現される態様であれば、その手法はどのようなものであってもよい。
固定構造の一例としては、図7に示すような構造が挙げられる。リード端子20には、その上下方向に延びる部分20aから前方に延びる圧入部24が形成される。ハウジング10には、各リード端子20を挿入する溝が形成される。各溝内には、前方に向かって窪む凹部14が形成される。各リード端子20は、ハウジング10の後方から各溝内に挿入されるとともに、その圧入部24が凹部14に圧入される。圧入部24と凹部14と係合しているから、リード端子20は上下方向に移動することができない。つまり、内部基板30をリード端子20と基板支持面131との間に挿入すると、リード端子20が上方に引っ張られる方向の力を受けることとなるが、その力は凹部14に圧入された圧入部24によって受け止められる。したがって、リード端子20が弾性変形し、その弾性によって内部基板30がリード端子20と基板支持面131との間に挟まれて保持される。
【符号の説明】
【0046】
1 光電変換コネクタ
1u 光電変換ユニット
10 ハウジング
131 基板支持面
14 凹部
20 リード端子
21 端子側接点部
22 誘導部
23 リード部
24 圧入部
30 内部基板
31 基板側接点部
32 端子規制部
40 光電変換素子
50 コネクタ側光学部材
80 外部基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7