【解決手段】 被補償トランジスタのゲート漏れ電流を補償する電流補償回路であって、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン及び該ソース及びバックゲートのうち少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流を所定の倍率で増幅することにより所定の補償電流を生成し、該生成した所定の補償電流を前記被補償トランジスタのゲートに供給するように構成された少なくとも1つの電流増幅回路と、を備える電流補償回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の特許文献1及び2に開示されるようなカレントミラー回路は、いずれも負帰還回路が付加されることによって、ゲート漏れ電流によって失われた電流を補償していた。しかしながら、負帰還回路は、十分なチップ面積及び消費電力を必要とするため、結果として、電流補償回路のチップ面積及び消費電力が増大してしまうという問題があった。
【0010】
また、特許文献3に開示されるようなゲート漏れ電流補償回路では、補償トランジスタの面積を電流補償の対象であるトランジスタの面積の合計と一致させる必要があり、また、補償対象であるMOSトランジスタのゲートの数に比例して回路規模が増大することから、該電流補償回路のチップ面積を削減することは困難であった。また、該電流補償回路は、補償対象であるカレントミラー回路における基準電流を供給する電流源の近傍に接続されるため、ゲートに接続される配線が抵抗を有している場合、該抵抗による電圧降下を補償することができないという問題もあった。さらに、該電流補償回路は、配線を介してカレントミラー回路のゲートに直接接続されるため、電流補償回路を構成する補償トランジスタが有する容量とゲートに接続される配線が有する抵抗とが、ローパスフィルタを構成することによって、カレントミラー回路の高周波特性を劣化させてしまうという問題もあった。
【0011】
そこで、本発明は、MOSトランジスタの微細化に伴うゲート漏れ電流を効果的に補償する電流補償回路を提供することを目的とする。
【0012】
より具体的には、本発明は、チップ面積の増大を抑えつつ、低消費電力を実現する電流補償回路を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、ゲート配線の抵抗による電圧降下を補償することを可能にする電流補償回路を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、補償対象である回路(被補償回路)の高周波特性を劣化させることのない電流補償回路を提供することを目的とする。
【0015】
さらにまた、本発明は、MOSトランジスタを用いた半導体集積回路の設計を容易にする電流補償回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的特徴乃至は発明特定事項を含んで構成される。
【0017】
即ち、ある観点に従う本発明は、被補償トランジスタのゲート漏れ電流を補償する電流補償回路であって、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうちの少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流を所定の倍率で増幅することにより所定の補償電流を生成し、該生成した所定の補償電流を前記被補償トランジスタのゲートに供給するように構成された少なくとも1つの電流増幅回路と、を備える電流補償回路である。
【0018】
ここで、前記電流増幅回路は、電源を共通にする第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを含み、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流に基づいて決定される前記第2のトランジスタのゲートの電位に基づいて、前記第3のトランジスタから前記所定の補償電流を供給しても良い。
【0019】
さらに、前記電流補償回路は、前記第3のトランジスタと前記被補償トランジスタとの間に設けられた第1の抵抗をさらに備えても良い。
【0020】
また、前記電流補償回路は、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとの間に設けられた第4のトランジスタをさらに備え、前記第4のトランジスタのゲートに、前記被補償トランジスタのゲートの電位と略等しい電位が与えられても良い。
【0021】
さらに、前記電流補償回路は、前記第1のトランジスタと前記第4のトランジスタとの間に設けられた第2の抵抗をさらに備えても良い。
【0022】
また、前記電流補償回路は、複数の前記電流増幅回路がカスコード構造により構成されても良い。
【0023】
また、前記第2のトランジスタのサイズと前記第3のトランジスタのサイズとの比は、前記所定の補償電流の大きさに基づいて決定されても良い。
【0024】
また、前記第1のトランジスタは、NMOSトランジスタであり、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタは、PMOSトランジスタであっても良い。
【0025】
また、前記第1のトランジスタは、PMOSトランジスタであり、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタは、NMOSトランジスタであっても良い。
【0026】
さらに、別の観点に従う本発明は、被補償NMOSトランジスタのゲート漏れ電流を補償する電流補償回路であって、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうちの少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のNMOSトランジスタと、ソースが電源線に接続され、ドレイン及びゲートが前記第1のNMOSトランジスタのゲートに接続された第1のPMOSトランジスタと、ソースが前記電源線に接続され、ゲートが前記第1のNMOSトランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記被補償NMOSトランジスタのゲートに接続された第2のPMOSトランジスタと、を備え、前記第1のNMOSトランジスタは、前記第1のPMOSトランジスタを流れる電流を基準電流として引き抜き、前記第2のPMOSトランジスタは、前記基準電流に基づいて所定の補償電流を生成し、該生成した所定の補償電流を前記被補償NMOSトランジスタのゲートに供給する、電流補償回路である。
【0027】
さらに、別の観点に従う本発明は、被補償PMOSトランジスタのゲート漏れ電流を補償する電流補償回路であって、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうち少なくとも何れか一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のPMOSトランジスタと、ソースが接地線に接続され、ドレイン及びゲートが前記第1のPMOSトランジスタのゲートに接続された第1のNMOSトランジスタと、ソースが前記接地線に接続され、ゲートが前記第1のPMOSトランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記被補償PMOSトランジスタのゲートに接続された第2のNMOSトランジスタと、を備え、前記第1のPMOSトランジスタは、前記第1のNMOSトランジスタに基準電流を供給し、前記第2のNMOSトランジスタは、前記基準電流に基づいて所定の補償電流を生成し、該生成した所定の補償電流を前記被補償PMOSトランジスタのゲートに供給する、電流補償回路である。
【0028】
さらに、別の観点に従う本発明は、バイアス線にゲート接続された被補償NMOSトランジスタ及び被補償PMOSトランジスタのゲート漏れ電流を補償する電流補償回路であって、前記バイアス線に接続され、前記被補償NMOSトランジスタのゲート漏れ電流を補償する第1の電流補償回路ブロックと、前記バイアス線に接続され、前記被補償PMOSトランジスタのゲート漏れ電流を補償する第2の電流補償回路ブロックと、を備え、前記第1の電流補償回路ブロックは、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうちの少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のNMOSトランジスタと、ソースが電源線に接続され、ドレイン及びゲートが前記第1のNMOSトランジスタのゲートに接続された第1のPMOSトランジスタと、ソースが前記電源線に接続され、ゲートが前記第1のNMOSトランジスタのゲートに接続され、ソースが前記被補償NMOSトランジスタのゲートに接続された第2のPMOSトランジスタと、を備え、前記第1のNMOSトランジスタが、前記第1のPMOSトランジスタ及び前記第2のPMOSトランジスタを流れる電流を基準電流として引き抜き、前記第2のPMOSトランジスタは、前記基準電流に基づいて所定の補償電流を生成し、該生成した所定の補償電流を前記被補償NMOSトランジスタのゲートに供給し、前記第2の電流補償回路ブロックは、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうちの少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第3のPMOSトランジスタと、ソースが接地線に接続され、ドレイン及びゲートが前記第1のPMOSトランジスタのゲートに接続された第2のNMOSトランジスタと、ソースが前記接地線に接続され、ゲートが前記第1のPMOSトランジスタのゲートに接続され、ドレインが前記被補償PMOSトランジスタのゲートに接続された第3のNMOSトランジスタと、を備え、前記第3のPMOSトランジスタが、前記第2のNMOSトランジスタ及び前記第3のNMOSトランジスタに基準電流を供給し、前記第3のNMOSトランジスタは、前記基準電流に基づいて所定の補償電流を生成し、該生成した所定の補償電流を前記被補償PMOSトランジスタのゲートに供給する、電流補償回路である。
【0029】
さらに、別の観点に従う本発明は、第1のバイアス線の電位に基づいて出力電流を生成する被補償トランジスタを有するカスコードアンプにおけるゲート漏れ電流を補償する電流補償回路であって、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうち少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流を所定の倍率で増幅することにより補償電流を生成し、該生成した補償電流を前記被補償トランジスタのゲートに供給する電流増幅回路と、を備える電流補償回路である。
【0030】
ここで、前記電流増幅回路は、電源を共通にする第2のトランジスタ及び第3のトランジスタをさらに含み、前記第1のトランジスタによって生成される基準電流に基づいて決定される前記第2のトランジスタのゲートに接続されたノードの電位に基づいて、前記第3のトランジスタから前記補償電流を供給しても良い。
【0031】
さらに、前記電流補償回路は、前記第3のトランジスタと前記被補償トランジスタとの間に設けられた第1の抵抗をさらに備えても良い。
【0032】
さらに、前記電流補償回路は、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとの間に設けられた第4のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記第4のトランジスタとの間に設けられた第2の抵抗と、をさらに備え、前記第4のトランジスタのゲートに、前記被補償トランジスタのゲートの電位と略等しい電位が与えられても良い。
【0033】
さらに、別の観点に従う本発明は、電流補償回路を備えたカスコードアンプであって、第1のバイアス線の電位に基づいて出力電流を生成する被補償トランジスタを備え、前記電流補償回路は、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうち少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流を所定の倍率で増幅することにより補償電流を生成し、該生成した補償電流を前記被補償トランジスタのゲートに供給する電流増幅回路と、を備える、カスコードアンプである。
【0034】
さらに、別の観点に従う本発明は、電流補償回路を備えたカスコードアンプであって、第1のバイアス線の電位に基づいて出力電流を生成する被補償トランジスタと、前記第1のバイアス線に接続された被補償MOS構造素子と、を備え、前記電流補償回路は、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうち少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流を第1の倍率で増幅することにより第1の補償電流を生成し、該生成した第1の補償電流を前記被補償トランジスタのゲートに供給するとともに、前記基準電流を第2の倍率で増幅することにより第2の補償電流を生成し、該生成した第2の補償電流を前記被補償MOS構造素子のゲートに供給する電流増幅回路と、を備える、カスコードアンプである。
【0035】
さらに、別の観点に従う本発明は、差動増幅回路におけるゲート漏れ電流を補償する電流補償回路であって、前記差動増幅回路は、第1のバイアス線の電位に基づいて出力電流を生成する第1の被補償トランジスタと、前記第1の被補償トランジスタに接続され、相補の関係にある一対の第2のバイアス線の電位に基づいて前記第1の被補償トランジスタにより生成された前記出力電流が流れるように構成された一対の第2の被補償トランジスタと、を備え、前記電流補償回路は、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうちの少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流を第1の倍率で増幅することにより第1の補償電流を生成し、該生成した第1の補償電流を前記第1の被補償トランジスタのゲートに供給するとともに、前記基準電流を第2の倍率で増幅することにより一対の第2の補償電流を生成し、該生成した第2の補償電流を前記第2の被補償トランジスタのゲートに供給する、電流増幅回路と、を備える電流補償回路である。
【0036】
ここで、前記電流増幅回路は、電源を共通にする第2のトランジスタ、第3のトランジスタ及び一対の第4のトランジスタを含み、前記第1のトランジスタによって生成される基準電流に基づいて決定される前記第2のトランジスタのゲートに接続されたノードの電位に基づいて、前記第3のトランジスタから前記第1の補償電流を供給し、前記第1のトランジスタによって生成される基準電流に基づいて決定される前記ノードの電位に基づいて、前記一対の第4のトランジスタから前記一対の第2の補償電流を供給しても良い。
【0037】
さらに、前記電流補償回路は、前記一対の第4のトランジスタと前記一対の第1の被補償トランジスタとの間にそれぞれ設けられた一対の第1の抵抗をさらに備えても良い。
【0038】
さらに、また、前記電流補償回路は、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとの間に設けられた第5のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記第5のトランジスタとの間に設けられた第2の抵抗と、をさらに備え、前記第5のトランジスタのゲートに、前記第1のトランジスタのゲートの電位と略等しい電位が与えられても良い。
【0039】
さらに、別の観点に従う本発明は、電流補償回路を備えた差動増幅回路であって、第1のバイアス線の電位に基づいて出力電流を生成する第1の被補償トランジスタと、前記第1の被補償トランジスタに接続され、相補の関係にある一対の第2のバイアス線の電位に基づいて前記第1の被補償トランジスタにより生成された前記出力電流が流れるように構成された一対の第2の被補償トランジスタと、を備え、前記電流補償回路は、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうちの少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流を第1の倍率で増幅することにより第1の補償電流を生成し、該生成した第1の補償電流を前記第1の被補償トランジスタのゲートに供給するとともに、前記基準電流を第2の倍率で増幅することにより一対の第2の補償電流を生成し、該生成した第2の補償電流を前記一対の第2の被補償トランジスタのゲートに供給する、電流増幅回路と、を備える、差動増幅回路である。
【0040】
さらに、別の観点に従う本発明は、被補償回路におけるゲート漏れ電流を補償する電流補償回路であって、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうちの少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流を所定の倍率で増幅することにより所定の補償電流を生成する電流増幅回路と、を備え、前記被補償回路は、ループフィルタを構成するための被補償MOS構造素子と、電圧制御発振器を構成するための容量可変形のMOS容量素子とを備え、前記電流増幅回路は、前記生成した所定の補償電流を、前記被補償回路における前記被補償MOS容量素子のゲートに供給するように構成される、電流補償回路である。
【0041】
ここで、前記電流増幅回路は、電源を共通にする第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを含み、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流に基づいて決定される前記第2のトランジスタのゲートの電位に基づいて、前記第3のトランジスタから前記所定の補償電流を供給しても良い。
【0042】
さらに、前記電流補償回路は、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとの間に設けられた第4のトランジスタをさらに備え、前記第4のトランジスタのゲートに、前記被補償MOS構造素子のゲートの電位と略等しい電位が与えられても良い。
【0043】
さらに、また、前記ループフィルタは、ラグリードフィルタ及びローパスフィルタを有し、前記被補償MOS構造素子は、前記ラグリードフィルタ及び前記ローパスフィルタの少なくとも一方を構成するMOSトランジスタであり、前記被補償MOS容量素子は、MOSトランジスタであっても良い。
【0044】
さらに、別の観点に従う本発明は、ゲート漏れ電流を補償する複数の電流補償回路を備えるアナログデジタルコンバータであって、シリアル形式のアナログ信号をパラレル形式のデジタル信号に変換するための複数の入力コンパレータと、前記複数の入力コンパレータのそれぞれに分圧されたバイアス信号のそれぞれを入力する分圧回路と、を備え、前記複数の電流補償回路のそれぞれは、ドレイン及びソースが短絡され、ゲートと、該ドレイン、該ソース及びバックゲートのうちの少なくとも一つとの間の電位差に基づいて基準電流を生成するための第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタによって生成される前記基準電流を所定の倍率で増幅することにより所定の補償電流を生成し、該生成した所定の補償電流を、対応する入力コンパレータにおける被補償トランジスタのゲートに供給するように構成される、アナログデジタルコンバータである。
【0045】
ここで、前記複数の入力コンパレータのうちの第1の入力コンパレータ群のそれぞれは、Nチャネルゲート入力コンパレータであり、前記複数の入力コンパレータのうちの第2の入力コンパレータ群のそれぞれは、Pチャネルゲート入力コンパレータであっても良い。
【0046】
また、前記複数の入力コンパレータはレイルツーレイル入力コンパレータであっても良い。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、ゲート漏れ電流補償回路は、MOSトランジスタの微細化に伴うゲート漏れ電流を効果的に補償することができるようになる。
【0048】
より具体的には、本発明によれば、ゲート漏れ電流補償回路は、チップ面積の増大を抑えつつ、低消費電力を実現することができるようになる。
【0049】
また、本発明によれば、ゲート漏れ電流補償回路は、ゲート配線の抵抗による電圧降下を補償することができるようになる。
【0050】
さらに、本発明によれば、ゲート漏れ電流補償回路は、補償対象である回路(被補償回路)の高周波特性の劣化を防止することができるようになる。
【0051】
さらにまた、本発明によれば、ゲート漏れ電流補償回路は、MOSトランジスタを用いた半導体集積回路における設計容易性を実現することができるようになる。
【0052】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0055】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路を含む回路構成の一例を示す図である。同図に示すように、電流補償回路1は、被補償回路2に接続され、被補償回路2において発生するゲート漏れ電流ILEAKと同じ電流量をもつ補償電流ICOMPを生成し、該電流を被補償回路2に供給する。電流補償回路1は、例えば、トランジスタTR1、TR2及びTR3を含んで構成される。
【0056】
トランジスタTR1は、電流源として機能し、電流補償回路1が被補償回路2に対して電流を供給するにあたって基準となる基準電流IREFを生成する。トランジスタTR1は、例えば、NMOSトランジスタを含んで構成され、トランジスタTR1のドレイン及びソースは接地線GNDに接続され、そのゲートは基準信号線W_IREFを介してトランジスタTR2のドレインに接続されるとともに、基準信号線W_IREFの分岐線上のノードaを介してトランジスタTR2及びTR3のそれぞれのゲートに接続される。これにより、トランジスタTR1は、自身のゲートと、ドレイン、ソース及びバックゲートとの間の電位差によって該ゲートから該ドレイン、該ソース及び該バックゲートを介して接地線GNDに流れるゲート漏れ電流を基準電流IREFとして生成し、その結果、トランジスタTR2及びTR3を流れる電流が基準電流IREFとして引き抜かれることになる。なお、本稿において、NMOSトランジスタのバックゲートには、典型的には、ソースと同じ電位が供給されるが、これに限られるものではなく、必要な電位が供給されて良い。
【0057】
トランジスタTR2は、電流電圧変換素子として機能し、トランジスタTR1によって引き抜かれる基準電流IREFに基づいて、ノードaの電位を決定する。トランジスタTR2は、例えば、PMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR2のソースは電源線VDDに接続され、ドレインは基準信号線W_IREF及びノードaを介して自身のゲート及びトランジスタTR3のゲートに接続される。
【0058】
また、トランジスタTR2においては、自身のソースとバックゲートからゲートを介してノードaに流れるゲート漏れ電流が存在する。即ち、トランジスタTR2のドレインとソースとの間を流れる電流の電流量は、基準電流IREFからゲート漏れ電流が差し引かれた量となるため、ゲート漏れ電流が大きい場合、ゲート漏れ電流は電流補償回路1の精度に対して顕著な影響を及ぼす可能性がある。従って、トランジスタTR2は、該ゲート漏れ電流が基準電流IREFに対して十分に小さくなるように設計される。
【0059】
トランジスタTR3は、電圧電流変換素子として機能し、ノードaの電位に基づいて、補償電流ICOMPを生成する。トランジスタTR3は、例えば、PMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR3のソースは電源線VDDに接続される一方、ドレインは補償信号線W_ICOMPに接続され、また、ゲートは、上述したように、ノードaを介して基準信号線W_IREFに接続される。トランジスタTR3においても、自身のソース及びバックゲートからゲートを介してノードaに流れるゲート漏れ電流が存在する。トランジスタTR3は、該ゲート漏れ電流が基準電流IREFに対して十分に小さくなるように設計される。
【0060】
かかるトランジスタTR2及びTR3は、電流増幅回路を構成し、トランジスタTR1により生成された基準電流IREFに対して、その電流量を所望の倍率で増幅し、該増幅した電流を補償電流ICOMPとして、被補償回路2に出力する。所望の倍率は、例えば、後述する被補償回路2が必要とする補償電流ICOMPの電流量と、トランジスタTR1が引き抜く基準電流IREFの電流量とに基づいて、トランジスタTR2とTR3との(ゲート幅/ゲート長)の比率を調整することによって決定される。従って、トランジスタTR3のゲートサイズは、基準電流IREFと、被補償回路2が必要とする補償電流ICOMPと、トランジスタTR2のゲートサイズとによって決定される。
【0061】
被補償回路2は、ゲート漏れ電流による損失が補償されるべきMOS構造素子(以下、「被補償MOS構造素子」と称することもある。)を含んで構成される回路である。MOS構造素子は例えば、トランジスタ(以下、「被補償トランジスタ」と称することもある。)TR200や、MOS容量素子である。被補償回路2は、少なくとも1つ以上のMOS構造素子を含んでいるものであれば適合し、例えば、カレントミラー回路や、差動増幅回路、チャージポンプ回路、ADコンバータといった回路であり得る。
【0062】
トランジスタTR200は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。トランジスタTR200は、例えば、電源スイッチや電圧電流変換素子として機能し得る。トランジスタTR200のドレイン及びソースは、それぞれ回路における他のコンポーネントに接続され、また、ゲートは、バイアス線W_VBと電流補償回路1における補償信号線W_ICOMPとに接続される。トランジスタTR200は、バイアス線W_VBの電位に基づいて、自身のオン/オフを制御し、また、自身のドレインとソースとの間に流れる電流を制御する。
【0063】
以上のように構成された電流補償回路1を含む回路において、トランジスタTR200のゲートからソース及びバックゲートに向かって流れるゲート漏れ電流ILEAKが存在し得る。しかしながら、電流補償回路1は、ゲート漏れ電流ILEAKと同じ電流量をもつ補償電流ICOMPをトランジスタTR200のゲートに供給することにより、被補償回路2の誤作動や特性変動を防止することができる。
【0064】
即ち、電流補償回路1は、基準電流IREFを所望の倍率で増幅することによって、トランジスタTR200で発生するゲート漏れ電流ILEAKと同じ電流量である補償電流ICOMPを、バイアス線W_VBを介してトランジスタTR200のゲートに供給することにより、トランジスタTR200のゲートの電位が維持される。従って、ゲート漏れ電流ILEAKの影響によるゲートの電位の意図しない降下を防止でき、被補償回路2の誤動作や特性変動を防止することができる。
【0065】
また、電流補償回路1における基準電流IREFに要求される電流量は非常に少ないため、該基準電流IREFを生成するトランジスタTR1は大きなチップ面積を必要としない。また、トランジスタTR2及びTR3は、該基準電流IREFの増幅を行えるだけの能力があれば十分であり、同様に、大きなチップ面積を必要としない。さらに、電流補償回路1において消費される電力は、基準電流IREFと補償電流ICOMPとによる消費のみであり非常に少ない。さらにまた、電流補償回路1は、少ないコンポーネントで構成されるため、設計が容易である。
【0066】
なお、本例においては、電流補償回路1は、一個のトランジスタTR3及び補償信号線W_ICOMPを有しているが、これに限られるものではなく、複数個のトランジスタTR3(0)乃至TR3(N)及び補償信号線W_ICOMP(0)乃至W_ICOMP(N)を有しても良い。また、その場合、トランジスタTR3(0)乃至TR(N)のそれぞれは、そのゲートサイズが異なるものであっても良い。
【0067】
従って、電流補償回路1は、複数個のトランジスタTR3(0)乃至TR3(N)のサイズをそれぞれ最適に調整することで、特性が異なる複数個の被補償回路2(0)乃至2(N)に対する電流補償を実現する。即ち、電流補償回路1は、電流補償を行う対象の数が増えても、トランジスタTR3及び補償信号線W_ICOMPを追加するだけで対応することができるため、斯かる場合においても少ないチップ面積で電流補償を実現することができる。
【0068】
図2は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路の構成の他の例を示す図である。同図に示すように、電流補償回路1Aは、本実施形態に係る電流補償回路1に対して、補償信号線W_ICOMP上に抵抗R1が付加された構成となっている。
【0069】
抵抗R1は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、被補償回路2のトランジスタTR200のゲートに入力される信号の高周波特性の劣化を抑制する。抵抗R1は、補償信号線W_ICOMPにおいて、トランジスタTR3とバイアス線W_VBとの間に設けられる。抵抗R1は、バイアス線W_VBに接続されるコンポーネントによってもたらされる寄生容量の増大による影響を緩和し、被補償回路2のトランジスタTR200に入力される信号の高周波特性の劣化を抑制する。
【0070】
なお、電流補償回路1AにおけるトランジスタTR1、TR2及びTR3と、被補償回路2とのそれぞれの機能及び構成に関しては、前記実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0071】
図3は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路の構成の他の例を示す図である。同図に示すように、電流補償回路1Bは、本実施形態に係る電流補償回路1に対して、基準信号線W_IREF上にトランジスタTR4及び抵抗R2が付加された構成となっている。トランジスタTR1、TR2及びTR3、並びに被補償回路2のそれぞれの機能及び構成は、上記実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0072】
トランジスタTR4は、例えばネイティブNMOSトランジスタを含んで構成され、トランジスタTR4は、基準信号線W_IREFの電位をバイアス線W_VBの電位に近づけることで、被補償回路2に対する電流補償の精度を向上させる。トランジスタTR4のドレインは、トランジスタTR2のドレインと、ノードaを介してトランジスタTR2及びTR3のゲートに接続され、ソースは抵抗R2に接続され、ゲートはバイアス線W_VBに等しいか又は非常に近い電位を有するバイアス線W_VBBに接続される。
【0073】
具体的には、トランジスタTR4は、非ネイティブのMOSトランジスタのしきい値電圧(例えば700mV程度)に比較して、低いしきい値電圧(例えば50mV程度)を有しており、トランジスタTR4のゲートとソースとの間の電位差は、そのしきい値電圧に調整される。このとき、トランジスタTR4のゲートに接続されるバイアス線W_VBBの電位は、被補償回路2におけるバイアス線W_VBに等しいか又は非常に近い電位となるため、基準信号線W_IREFの電位は、バイアス線W_VBの電位からトランジスタTR4が有するしきい値電圧分だけ低い電位となる。即ち、基準信号線W_IREFの電位は、バイアス線W_VBの電位に非常に近い電位となる。トランジスタTR4は、ドレインとソースとの間に流れる電流が微小電流である可能性が高いことと、トランジスタTR4自身のゲート漏れ電流による影響を排除する必要があることから、可能な限り小さなサイズが選択される。
【0074】
従って、電流補償回路1Bは、バイアス線W_VBBの電位をバイアス線W_VBの電位に近づけることで、被補償回路2に対して、より精度の高い電流補償を実現する。例えば、トランジスタTR4は、バイアス線W_VBBの電位の変動に基づいて、トランジスタTR1のゲートの電位を変動させる。このとき、トランジスタTR1は、変動された該ゲートの電位に基づいて基準電流IREFを生成し、ノードaを介してトランジスタTR2及びTR3に出力する。そして、トランジスタTR2及びTR3は、変動した基準電流IREFに基づいて補償電流ICOMPを生成し、被補償回路2に出力する。従って、電流補償回路1Bは、被補償回路2のバイアス線W_VBの電位の変動に応じた補償電流ICOMPを、被補償回路2に供給することができる。
【0075】
また、トランジスタTR4は、上述したように、ネイティブのMOSトランジスタであり、かつ、ドレインとソースとの間に流れる電流が基準電流IREFであることから、ほぼ1未満の利得を有する。従って、トランジスタTR4は、電流補償回路1Bと被補償回路2とで構成される回路構成が正帰還となり発振することを防止することができる。
【0076】
また、抵抗R2は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、電流補償回路1B及び被補償回路2とで構成される回路構成が正帰還となり発振することをさらに防止する役割を担う。抵抗R2は、電流補償回路1B及び被補償回路2で構成される回路構成が正帰還となり発振する可能性が十分に低いと判断される場合、省略することができる。
【0077】
図4は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路の構成の他の例を示す図である。同図に示すように、電流補償回路1Cは、本実施形態に係る電流補償回路1において、トランジスタTR2及びTR3で構成される電流増幅回路に、トランジスタTR5及びTR6で構成されるカスコード構造が付加された構成となっている。電流補償回路1CにおけるトランジスタTR1、TR2及びTR3と、被補償回路2とのそれぞれの機能及び構成に関しては、前記実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0078】
トランジスタTR5及びTR6は、電流電圧変換素子として機能し、トランジスタTR1に引き抜かれる基準電流IREFに基づいて、トランジスタTR2及びTR3のそれぞれのドレインの電位を電源線VDDの電位によらずに等しくなるように調整する。トランジスタTR5は、例えば、PMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR5のソースはトランジスタTR2のドレインと、ノードaを介してトランジスタTR2及びTR3のゲートとに接続され、ドレインは基準信号線W_IREFと、ノードbを介して自身及びトランジスタTR6のゲートとに接続される。トランジスタTR5は、基準電流IREFに基づいて、ノードbの電位を決定するため、上述した変形例に係る電流補償回路1Bのように、ノードbの電位をバイアス線W_VBの電位に調整することで、被補償回路2に対する電流補償の精度を向上させることができる。
【0079】
トランジスタTR6は、例えば、PMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR6のソースはトランジスタTR3のドレインに接続される一方、ドレインは補償信号線W_ICOMPに接続され、また、ゲートは上述したように、ノードbを介して基準信号線W_IREFに接続される。
【0080】
上述したように、電流補償回路1Cは、トランジスタTR5及びTR6でカスコード構造を構成し、TR2及びTR3のドレインの電位を電源線VDDの電位によらずに等しくなるように調整することによって、電源線VDDの電位の変動に対する動作の安定性を実現している。また、トランジスタTR5によって、ノードaの電位を、バイアス線W_VBの電位に調整することで、被補償回路2に対して高精度な電流補償を実現する。
【0081】
なお、上述した電流補償回路1A乃至1Cにおいては、その構成は単独で実現されるのみに限られず、電流補償回路1A乃至1Cの他の構成と同時に実現されても良い。
【0082】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路を含む回路構成の一例を示す図である。同図に示すように、電流補償回路1Dは、被補償回路2Aに接続される。電流補償回路1Dは、被補償回路2Aにおいて発生するゲート漏れ電流ILEAKと同じ電流量をもつ補償電流ICOMPを生成し、該電流を被補償回路2Aから引き抜く。電流補償回路1Dは、例えば、トランジスタTR11、TR12及びTR13を含んで構成される。
【0083】
トランジスタTR11は、電流源として機能し、電流補償回路1Dが被補償回路2Aに対して電流を供給するにあたって基準となる基準電流IREFを生成する。トランジスタTR11は、例えば、PMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR11のドレイン及びソースは電源線VDDに接続され、そのゲートは基準信号線W_IREFを介してトランジスタTR12のドレインに接続されるとともに、基準信号線W_IREFの分岐線上のノードcを介してトランジスタTR12及びTR13のそれぞれのゲートに接続される。これにより、トランジスタTR11は、自身のドレイン、ソース及びバックゲートとゲートとの間の電位差によって電源線VDDから該ドレイン、該ソース及び該バックゲートを介して該ゲートに流れるゲート漏れ電流に基づいて基準電流IREFを生成し、該電流をトランジスタTR12及びTR13に供給する。
【0084】
トランジスタTR12は、電流電圧変換素子として機能し、トランジスタTR11から供給される基準電流IREFに基づいて、ノードcの電位を決定する。トランジスタTR12は、例えば、NMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR12のソースは接地線GNDに接続され、ドレインは基準信号線W_IREF及びノードcに接続され、ゲートはノードcに接続される。なお、上記第1の実施形態と同様に、トランジスタTR2のゲートサイズは、自身において発生するゲート漏れ電流の影響を無視できる程度に、トランジスタTR11に対して小さく決定される。
【0085】
トランジスタTR13は、電圧電流変換素子として機能し、ノードcの電位に基づいて、補償電流ICOMPを生成し、補償信号線W_ICOMPを介して該電流を被補償回路2Aから引き抜く。トランジスタTR13は、例えば、NMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR13のソースは接地線GNDに接続される一方、ドレインは補償信号線W_ICOMPに接続され、また、ゲートは上述したように、ノードcを介して基準信号線W_IREFに接続される。なお、上記第1の実施形態と同様に、トランジスタTR13のゲートサイズは、基準電流IREFと、被補償回路2Aが必要とする補償電流ICOMPと、トランジスタTR12のゲートサイズとによって決定される。
【0086】
かかるトランジスタTR12及びTR13は、電流増幅回路を構成し、トランジスタTR11により生成された基準電流IREFに対して、その電流量を所望の倍率で増幅し、該増幅した電流を補償電流ICOMPとして、被補償回路2Aに出力する。上述した所望の倍率は、例えば、後述する被補償回路2Aが必要とする補償電流ICOMPの電流量と、トランジスタTR11が供給する基準電流IREFの電流量とに基づいて、トランジスタTR12とTR13との(ゲート幅/ゲート長)の比率を調整することによって決定される。
【0087】
被補償回路2Aは、ゲート漏れ電流による損失が補償されるべきMOS構造素子を含んで構成される回路である。MOS構造素子は、例えば、トランジスタTR201やMOS容量素子である。被補償回路2Aは、少なくとも1つ以上のMOS構造素子を含んでいるものであれば適合し、例えば、カレントミラー回路や、差動増幅回路、チャージポンプ回路、ADコンバータといった回路であり得る。
【0088】
トランジスタTR201は、例えばPMOSトランジスタを含んで構成される。トランジスタTR201は、例えば、電源スイッチや電圧電流変換素子として機能し得る。トランジスタTR201のドレイン及びソースは、それぞれ被補償回路における他のコンポーネントに接続され、また、ゲートは、バイアス線W_VBと電流補償回路1Dにおける補償信号線W_ICOMPとに接続される。トランジスタTR201は、バイアス線W_VBの電位に基づいて、自身のオン/オフを制御し、また、自身のドレインとソースとの間に流れる電流を制御する。
【0089】
以上のように構成された電流補償回路1Dを含む回路において、トランジスタTR201のソース及びバックゲートからゲートに向かって流れるゲート漏れ電流ILEAKが存在し得る。電流補償回路1Dは、ゲート漏れ電流ILEAKと同じ電流量をもつ補償電流ICOMPをトランジスタTR201のゲートから引き抜くことにより、該ゲートの電位を維持することができ、従って、被補償回路2の誤作動や特性変動を防止することができる。
【0090】
図6は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路の他の例を示す図である。同図に示すように、電流補償回路1Eは、本実施形態に係る電流補償回路1Dに対して、補償信号線W_ICOMP上に抵抗R11が付加された構成となっている。
【0091】
抵抗R11は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、抵抗R11は、補償信号線W_ICOMPにおいて、トランジスタTR13と、バイアス線W_VBとの間に設けられる。抵抗R11は、被補償回路2AのトランジスタTR200のゲートに入力される信号の高周波特性の劣化を抑制する。
【0092】
なお、抵抗R11の機能の詳細は、上述した第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、電流補償回路1DにおけるトランジスタTR11、TR12及びTR13と、被補償回路2とのそれぞれの機能及び構成に関しては、上述した第2の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0093】
図7は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路の他の例を示す図である。同図に示すように、電流補償回路1Fは、本実施形態に係る電流補償回路1Dに対して、基準信号線W_IREF上にトランジスタTR14及び抵抗R12が付加された構成となっている。
【0094】
トランジスタTR14は、例えばネイティブPMOSトランジスタを含んで構成され、トランジスタTR14は基準信号線W_IREFの電位をバイアス線W_VBの電位に近づけることで、被補償回路2Aに対する電流補償の精度を向上させる。トランジスタTR14は基準信号線W_IREF上に設けられ、トランジスタTR14のドレインは、トランジスタTR12のドレインと、ノードcを介してトランジスタTR12及びTR13のゲートに接続され、ソースは抵抗R12に接続され、ゲートはバイアス線W_VBに等しいか又は非常に近い電位を有するバイアス線W_VBBに接続される。なお、トランジスタTR14は、可能な限り小さなサイズが選択される。
【0095】
また、トランジスタTR14は、バイアス線W_VBBの電位の変動に基づいてトランジスタTR11のゲートの電位を変動させるため、トランジスタTR11は、バイアス線W_VBBに基づいて電位基準電流IREFを生成する。即ち、トランジスタTR12及びTR13は、バイアス線W_VBBの電位に基づいて補償電流ICOMPを生成し、被補償回路2Aに出力する。従って、電流補償回路1Fは、バイアス線W_VBの電位の変動に基づいて補償電流ICOMPを変動させることによって、被補償回路2Aに対してより高精度な電流補償を実現することができる。
【0096】
また、トランジスタTR14は、上述したように、ネイティブのMOSトランジスタであり、かつ、ドレインとソースとの間に流れる電流が基準電流IREFであることから、ほぼ1未満の利得を有する。従って、トランジスタTR14は、電流補償回路1Fと被補償回路2Aとで構成される回路構成が正帰還となり発振することを防止することができる。
【0097】
抵抗R12は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、電流補償回路1F及び被補償回路2Aで構成される回路構成が正帰還となり発振することをさらに防止する役割を担う。抵抗R12は、電流補償回路1F及び被補償回路2Aで構成される回路構成が正帰還となり発振する可能性が十分に低いと判断される場合、省略することができる。
【0098】
なお、電流補償回路1FにおけるトランジスタTR11、TR12及びTR13と、被補償回路2Aとのそれぞれの機能及び構成に関しては、上述した第2の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0099】
図8は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路の構成の他の例を示す図である。同図に示すように、電流補償回路1Gは、本実施形態に係る電流補償回路1Dにおいて、トランジスタTR12及びTR13で構成される電流増幅回路に、トランジスタTR15及びTR16で構成されるカスコード構造が付加された構成となっている。電流補償回路1GにおけるトランジスタTR11、TR12及びTR13と、被補償回路2Aとのそれぞれの機能及び構成に関しては、上述した第2の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0100】
トランジスタTR15及びTR16は、電流電圧変換素子として機能し、トランジスタTR11から供給される基準電流IREFに基づいて、トランジスタTR12及びTR13のそれぞれのドレインの電位を電源線VDDの電位によらず等しくなるように調整する。トランジスタTR15は、例えば、NMOSトランジスタを含んで構成され、トランジスタTR15のソースはトランジスタTR12のドレインと、ノードcを介してトランジスタTR12及びTR13のゲートとに接続され、ドレインは基準信号線W_IREFと、ノードdを介して自身及びトランジスタTR16のゲートとに接続される。また、トランジスタTR16は、例えば、NMOSトランジスタを含んで構成され、トランジスタTR16のソースはトランジスタTR13のドレインに接続される一方、ドレインは補償信号線W_ICOMPに接続され、また、ゲートは上述したように、ノードdを介して基準信号線W_IREFに接続される。
【0101】
なお、上述した電流補償回路1D乃至1Gにおいては、その構成は単独で実現されるのみに限られず、電流補償回路1D乃至1Gの他の構成と同時に実現されても良い。
【0102】
[第3の実施形態]
図9は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路を含む回路構成の一例を示す図である。
【0103】
同図に示すように、電流補償回路ブロック1Hは、トランジスタTR1乃至TR4と、抵抗R1乃至R2とを含んで構成され、被補償回路2BにおけるトランジスタTR200のゲート漏れ電流ILEAKNに対して電流補償を行う。具体的には、電流補償回路ブロック1Hは、上述した第1の実施形態に係る電流補償回路1A乃至1Bの両方の構成が電流補償回路1に付加されることで構成され、補償信号線W_ICOMPを介して、被補償回路2Bと電流補償回路1Iとに接続される。このような構成により、電流補償回路ブロック1Hは、被補償回路2Bに補償電流ICOMPNを供給することによって、被補償回路2Bに入力される信号の高周波特性の劣化を防ぎつつ、バイアス線W_VBBの電位をバイアス線W_VBの電位に近づけ被補償回路2BのトランジスタTR200に対する高精度な電流補償を実現する。
【0104】
また、電流補償回路1Iは、トランジスタTR11乃至TR14と、抵抗R11乃至R12とを含んで構成され、被補償回路2BにおけるトランジスタTR201のゲート漏れ電流ILEAKPに対して電流補償を行う。具体的には、電流補償回路1Iは、[第2の実施形態]に係る電流補償回路1E乃至1Fの両方の構成が電流補償回路1Dに付加されることで構成され、補償信号線W_ICOMPを介して被補償回路2Bと電流補償回路ブロック1Hとに接続される。このような構成により、電流補償回路1Iは、被補償回路2Bから補償電流ICOMPPを引き抜くことによって、被補償回路2Bに入力される信号の高周波特性の劣化を防ぎつつ、バイアス線W_VBBの電位をバイアス線W_VBの電位に近づけ被補償回路2BのトランジスタTR201に対する高精度な電流補償を実現する。
【0105】
また、同図で示すように被補償回路2Bは、MOS構造素子を含んで構成される。MOS構造素子は、例えば、トランジスタTR200及び201や、MOS容量素子である。被補償回路2Bは、例えば、カレントミラー回路や、差動増幅回路や、チャージポンプ回路や、ADコンバータなど、少なくとも一つ以上のMOS構造素子を含んで構成される回路であり得る。
【0106】
トランジスタTR200及びTR201は、上述したように、そのドレイン及びソースは、それぞれ被補償回路における他のコンポーネントに接続され、またゲートはバイアス線W_VB、電流補償回路1における補償信号線W_ICOMP及びトランジスタTR201のゲートに接続される。従って、被補償回路2Bは、トランジスタTR200及びTR201のゲート同士が接続されるように構成される。
【0107】
電流補償回路ブロック1H及び1Iで構成される回路構成は、電流補償回路ブロック1H及び1Iが補償電流ICOMPを被補償回路2Bに対して供給することによって、被補償回路2BにおけるトランジスタTR200及びTR201の両方のゲート漏れ電流を、補償することができる。
【0108】
なお、本例においては、被補償回路2Bにおいて発生するゲート漏れ電流に対する電流補償は、電流補償回路ブロック1H及び1Iによって行われたが、これに限られるものではなく、上述した電流補償回路1乃至1Gの何れによって行われても良いし、以降において述べる電流補償回路1における種々の変形例によって行われても良い。また、電流補償回路ブロック1H及び1Iと、被補償回路2Bとにおける各コンポーネントの機能及び構成の詳細に関しては、上述した第1の実施形態又は第2の実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0109】
[第4の実施形態]
図10は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路をカスコードアンプに適用した回路構成の一例を示す図である。同図に示すように、電流補償回路1Aは、カスコードアンプ20に接続される。電流補償回路1Aは、カスコードアンプ20において発生するゲート漏れ電流ILEAKと同じ電流量をもつ補償電流ICOMPを生成し、該電流を、カスコードアンプ20に供給する。電流補償回路1Aの機能及び構成の詳細に関しては、上述した第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0110】
また、カスコードアンプ20は、入力信号INを受け、該信号の電位の変動を増幅して、出力信号OUTを生成し出力する。また、カスコードアンプ20は、自身が有する特定のトランジスタにおいて発生するゲート漏れ電流ILEAKが、電流補償回路1Aによって補償されるように、電流補償回路1Aに接続される。カスコードアンプ20は、例えば、電流源I211と、トランジスタTR211、TR212及びTR213と、抵抗R211及びR212と、キャパシタC211とを含んで構成される。また、カスコードアンプ20において、電流源I211とトランジスタTR211とを接続する配線上にノードeが設けられる。
【0111】
電流源I211は、例えばMOSトランジスタであり、カスコードアンプ20における参照電流ICASを生成し、該電流をトランジスタTR211及びバイアス線W_VBに供給する。電流源I211は、ノードeを介してトランジスタTR211のドレイン及びゲートと、抵抗R211の一端とに接続される。
【0112】
トランジスタTR211は、電流電圧変換素子として機能し、電流源I211から供給される参照電流ICASに基づいて、ノードeの電位を調整する。トランジスタTR211は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR211のソースは接地線GNDに接続され、ドレインはノードeを介して電流源I211と、自身のゲートと、抵抗R211の一端とに接続される。なお、トランジスタTR211においては、自身のゲートからソース及びバックゲートに向かってゲート漏れ電流が流れるため、該ゲート漏れ電流による影響が無視できるように、トランジスタTR211のゲートサイズが小さく決定されるか、又は、参照電流ICASの電流量が大きく決定される。
【0113】
トランジスタTR212は、電圧電流変換素子として機能し、自身のゲートの電位に基づいて、出力電流IOUTを生成し、該電流をトランジスタTR213及び抵抗R212に供給する。トランジスタTR212は、例えば、NMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR212のソースは接地線GNDに接続される一方、ゲートはバイアス線W_VBを介して抵抗R211の他端と、補償信号線W_ICOMPと、入力信号線W_INを介してキャパシタC211とに接続され、また、ドレインはトランジスタTR213のソースに接続される。また、トランジスタTR212においては、自身のゲートからドレインに向かってゲート漏れ電流ILEAKが流れる。
【0114】
トランジスタTR213は、トランジスタTR212に対してカスコード接続されることで、トランジスタTR212のドレインの電位を一定に保持する。トランジスタTR213は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR213のドレインは抵抗R212及び出力信号線W_OUTに接続される一方、ゲートは電源線VDDに接続され、ソースは上述したようにトランジスタTR212のドレインに接続される。
【0115】
抵抗R211は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、トランジスタTR211及び電流源I211によってバイアス線W_VBにもたらされる寄生容量を含めたインピーダンスの低下による影響を緩和し、入力信号INの高周波特性の劣化を抑制する。抵抗R211は、バイアス線W_VB上に設けられ、その一端は上述したように、トランジスタTR211のゲートと、ノードeを介して電流源I211とトランジスタTR211のドレインとに接続され、他端は、補償電流線W_ICOMPと、入力信号線W_INを介してキャパシタC211と、トランジスタTR212のゲートとに接続される。
【0116】
抵抗R212は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、出力信号線W_OUTの電位を調整する。抵抗R212は、その一端は電源線VDDに接続され、他端は上述したように、出力信号線W_OUTと、トランジスタTR213のドレインとに接続される。抵抗R212は、トランジスタTR212によって供給される電流IOUTに基づいて、出力線W_OUTの電位を調整する。
【0117】
キャパシタC211は、入力信号INの直流成分を除去し、該信号をバイアス線W_VBに供給する。キャパシタC211は、例えばセラミックコンデンサや容量セルであり、入力信号線W_IN上に設けられ、上述したように、バイアス線W_VBを介して抵抗R211と、補償信号線W_ICOMPと、トランジスタTR212のゲートとに接続される。
【0118】
カスコードアンプ20は、電流源I211が供給する参照電流ICASを、トランジスタTR211及びTR212によって所定の倍率で増幅することで出力電流IOUTを生成する。そして、カスコードアンプ20は、トランジスタTR212及び213と、抵抗R212とによって、出力電流IOUTを、所定の電位に変換することによって、出力線W_OUTに所定のバイアスを与える。また、カスコードアンプ20は、斯かる構成において、トランジスタTR212のゲートに入力される入力信号INの電位の変動を、所定の倍率で増幅することで出力信号OUTを生成し、該信号を出力信号線W_OUTから外部に出力する。
【0119】
抵抗R211は、上述したように、入力信号INの高周波特性の劣化を抑制するために必要であるが、トランジスタTR212におけるゲート漏れ電流ILEAKによる抵抗R211における電圧降下によって、バイアス線W_VBの電位を低下させる働きがある。このため、電流補償回路1Aは、カスコードアンプ20において発生するゲート漏れ電流ILEAKと同じ電流量をもつ補償電流ICOMPを、バイアス線W_VBに供給することで、斯かる電位の降下を防止する。
【0120】
なお、本例においては、カスコードアンプ20において発生するゲート漏れ電流ILEAKを補償する手段として、電流補償回路1Aが適用されているが、これに限られるものではなく、例えば、上述した第1の実施形態に示される電流補償回路1乃至1Cや、以降において述べる電流補償回路1における種々の変形例の何れも適用可能である。
【0121】
図11は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路をカスコードアンプに適用した回路構成の他の例を示す図である。同図に示される構成は、上述した
図10に示される構成において、電流補償回路1Aに代えて電流補償回路ブロック1Hが設けられるように構成される。
【0122】
電流補償回路ブロック1Hは上述したように、基準信号線W_IREFの電位をバイアス線W_VBの電位に近づけることで、カスコードアンプ20に対して高精度な電流補償を実現する。ここで、バイアス線W_VBBの電位は、図示しないバイアス回路によって生成されても良いし、バイアス線W_VBBとノードeとが接続されることによって、生成されても良い。
【0123】
斯かる電流補償回路ブロック1Hと、カスコードアンプ20とを含んだ構成は、カスコードアンプ20におけるノードeの電位が、電流補償回路1Hに入力されることで、カスコードアンプ20に対する高精度な電流補償を実現する。
【0124】
図12は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路をカスコードアンプに適用した回路構成の他の例を示す図である。同図に示される構成は、上述した
図10に示される構成において、電流補償回路1Aに代えて電流補償回路1Jが設けられ、またカスコードアンプ20に代えてカスコードアンプ20Aが設けられるように構成される。
【0125】
同図に示すように、カスコードアンプ20Aは、カスコードアンプ20に対して、抵抗R213と、トランジスタTR214とが付加された構成となっている。カスコードアンプ20Aのバイアス線W_VB上においては、トランジスタTR211と抵抗R211との間にノードfが、抵抗R211とトランジスタTR212との間にはノードgが設けられる。
【0126】
トランジスタTR214は、キャパシタとして機能し、バイアス線W_VBにおいて、後述する抵抗R213とローパスフィルタを構成することで、電流源I211及びトランジスタTR211から入力される高周波ノイズを除去する。トランジスタTR214は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成され、そのドレイン及びソースは接地線GNDに接続され、ゲートはバイアス線W_VB上のノードfに接続される。また、トランジスタTR214においては、自身のゲートとドレイン、ソース及びバックゲートとの間の電位差によって、該ゲートから該ドレイン、該ソース及び該バックゲートを介して接地線GNDに、ゲート漏れ電流ILEAK(1)が流れる。
【0127】
抵抗R213は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、バイアス線W_VBにおいて、トランジスタTR214とローパスフィルタを構成することで、電流源I211及びトランジスタTR211から入力される高周波ノイズを除去する。抵抗R213は、その一端はトランジスタTR211のゲートと、ノードeを介して電流源I211及びトランジスタTR211のドレインとに接続され、他端は補償信号線W_ICOMP(1)と、ノードfを介してトランジスタTR214のゲート及び抵抗R211の一端とに接続される。
【0128】
また、同図に示すように、電流補償回路1Jは、電流補償回路1Aにおいて、補償信号線W_ICOMP(1)上に設けられる抵抗R1(1)が取り除かれた構成となっている。これは、カスコードアンプ20Aにおいては、ノードfとトランジスタTR212との間に抵抗R211が設けられることで、ノードfに接続される寄生容量がノードgの電位に与える影響が微小となるためである。電流補償回路1Jにおいて、補償信号線W_ICOMP(1)はカスコードアンプ20Aにおけるノードfに接続され、補償信号線W_ICOMP(2)はカスコードアンプ20Aにおけるノードgに接続される。
【0129】
トランジスタTR3(1)は、補償信号線W_ICOMP(1)を介して、補償電流ICOMP(1)をバイアス線W_VBにおけるノードfに供給する。トランジスタTR3(1)は、本変形例において付加されたトランジスタTR214において発生するゲート漏れ電流ILEAK(1)を補償する。
【0130】
トランジスタTR3(2)は、補償信号線W_ICOMP(2)を介して、補償電流ICOMP(2)をバイアス線W_VBにおけるノードgに供給する。トランジスタTR3(2)は、上述したトランジスタTR212において発生するゲート漏れ電流ILEAK(2)を補償する。
【0131】
従って、電流補償回路1Jは、カスコードアンプ20Aにおいて発生する、トランジスタTR212及びTR214におけるゲート漏れ電流ILEAK(1)乃至(2)に対して、それぞれ電流補償を実現することができる。
【0132】
[第5の実施形態]
図13は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路を差動増幅回路に適用した回路構成の一例を示す図である。同図に示すように、本実施形態に係る構成は、差動増幅回路21に対して電流補償回路1Jが接続されるように構成される。
【0133】
電流補償回路1Jは、差動増幅回路21に接続される。電流補償回路1Jは、補償電流ICOMP(1)乃至(3)を、差動増幅回路21に供給することで、該回路において発生するゲート漏れ電流ILEAK(1)乃至(3)を補償する。電流補償回路1Jにおける各コンポーネントの機能及び構成の詳細に関しては、上述した第4の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0134】
差動増幅回路21は、例えば電流モード論理回路(CML:Current Mode Logic)として構成され、一対の差動入力信号INP及びINNを受け、該信号の電位差を増幅して、差動出力信号OUTP及びOUTNを生成し出力する。また、差動増幅回路21においては、該回路が有する各トランジスタにおいて発生するゲート漏れ電流ILEAK(1)乃至(3)は、電流補償回路1Jが供給する補償電流ICOMP(1)乃至(3)によって補償される。差動増幅回路21は、例えば、電流源I212及びI213と、トランジスタTR215、TR216、TR217、TR218、TR219及びTR220と、抵抗R214、R215、R216及びR217と、キャパシタC212及びC213とを含んで構成される。また、差動増幅回路21においては、電流源I212と、トランジスタTR217のドレインとを接続する配線上にノードhが設けられる。また、該回路においては、トランジスタTR219のゲートと、抵抗R214と、補償信号線ICOMP(3)と、キャパシタC212との間にノードiが設けられる。また、該回路においては、トランジスタTR220のゲートと、抵抗R215と、補償信号線ICOMP(2)と、キャパシタC213との間にノードjが設けられる。
【0135】
電流源I212は、例えばMOSトランジスタであり、差動増幅回路21における参照電流IAMP1を生成し、該電流をトランジスタTR215及びTR217と、バイアス線W_VB1とに供給する。また、電流源I212は、ノードhを介して、トランジスタTR217のドレインと、バイアス線W_VB1を介してトランジスタTR215のゲート、補償信号線W_ICOMP(1)及びトランジスタTR216のゲートとに接続される。
【0136】
トランジスタTR215は、電流電圧変換素子として機能し、電流源I212から供給される参照電流IAMP1に基づいて、バイアス線W_VB1の電位を調整する。トランジスタTR215は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR215のソースは接地線GNDに接続される一方、ドレインはトランジスタTR217のソースに接続され、また、ゲートは上述したように、バイアス線W_VB1を介して補償信号線W_ICOMP(1)と、トランジスタTR216のゲートと、ノードhを介して電流源I212と、トランジスタTR217のドレインとに接続される。なお、トランジスタTR215においては、自身のゲートからドレインに向かってゲート漏れ電流が流れるため、トランジスタTR215のゲートサイズは、該ゲート漏れ電流による影響が無視できる程度に小さく決定される。
【0137】
トランジスタTR216は、電流源として機能し、バイアス線W_VB1の電位に基づいて、出力電流IOUTを生成し、該電流をトランジスタTR219及びTR220に供給する。トランジスタTR216は、例えば、NMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR216のソースは接地線GNDに接続される一方、ドレインはトランジスタTR219及びTR220のソースに接続され、また、ゲートは上述したように、バイアス線W_VB1を介してトランジスタTR215のゲートと、補償信号線ICOMP(1)と、ノードhを介して電流源I212と、トランジスタTR217のドレインとに接続される。また、トランジスタTR216においては、自身のドレインとゲートとの間の電位差によって、該ゲートから該ドレインに向かってゲート漏れ電流ILEAK(1)が流れる。該電流は出力電流IOUTの減少を招き、出力電流IOUTの減少は、出力線W_OUTP及びW_OUTNの電流能力及び電位に影響を与える。従って、ゲート漏れ電流ILEAK(1)が差動増幅回路21にもたらす影響は、可能な限り排除されることが望ましい。
【0138】
トランジスタTR217は、トランジスタTR215に対してカスコード接続されることで、トランジスタTR215のドレインの電位をTR216のドレインの電位とほぼ同じになるように一定に保持する。トランジスタTR217は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR217のソースはトランジスタTR215のドレインに接続される一方、ゲートはバイアス線W_VB2を介して電流源I213と、トランジスタTR218のドレイン及びゲートと、抵抗R214及びR215のそれぞれ一端とに接続され、また、ドレインは上述したように、ノードhを介して電流源I212と、バイアス線W_VB1を介してトランジスタTR215のゲート、補償信号線ICOMP(1)及びトランジスタTR216のゲートに接続される。なお、トランジスタTR217においては、自身のゲートからソース及びバックゲートに向かってゲート漏れ電流が流れるため、トランジスタTR217のゲートサイズは、該ゲート漏れ電流による影響が無視できる程度に小さく決定される。
【0139】
電流源I213は、例えばMOSトランジスタであり、参照電流IAMP2を生成し、該電流をトランジスタTR217及びTR218と、バイアス線W_VB2とに供給する。電流源I213は上述したように、トランジスタTR218のドレイン及びゲートと、バイアス線W_VB2を介してトランジスタTR217のゲートと、抵抗R214及びR215のそれぞれ一端とに接続される。
【0140】
トランジスタTR218は、電流電圧変換素子として機能し、電流源I213から供給される参照電流IAMP2に基づいて、バイアス線W_VB2の電位を調整する。トランジスタTR218は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR218のソースは接地線GNDに接続され、ドレインは自身のゲートと、電流源I213と、バイアス線W_VB2を介してトランジスタTR217のゲートと、抵抗R214及びR215のそれぞれの一端とに接続される。
【0141】
トランジスタTR219は、電圧電流変換素子として機能し、自身のゲートの電位に基づいて、出力電流IOUTPを生成し、該電流を抵抗R216及び出力線W_OUTPに供給する。トランジスタTR219は、例えば、NMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、そのソースは上述したようにトランジスタTR216のドレインと、トランジスタTR220のソースとに接続される一方、ゲートはノードiを介して抵抗R214の他端と、補償信号線ICOMP(3)と、入力信号線W_INPを介してキャパシタ212とに接続され、また、ドレインは抵抗R216と出力信号線W_OUTPとに接続される。また、トランジスタTR219においては、自身のゲートからソース及びバックゲートに向かってゲート漏れ電流ILEAK(3)が流れる。該電流に関しては、後述する。
【0142】
また、トランジスタTR219は、入力信号線W_INPから差動入力信号INPを受け、該信号の電位の変動を増幅することで差動出力信号OUTPを生成し、該信号を出力線W_OUTPに出力する。
【0143】
トランジスタTR220は、電圧電流変換素子として機能し、自身のゲートの電位に基づいて、出力電流IOUTNを生成し、該電流を抵抗R217及び出力線W_OUTNに供給する。トランジスタTR220は、例えば、NMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、そのソースは上述したように、トランジスタTR216のドレインと、トランジスタTR219のソースとに接続される一方、ゲートはノードjを介して抵抗R215の他端と、補償信号線ICOMP(2)と、入力信号線W_INPを介してキャパシタ213とに接続され、また、ドレインは抵抗R217と出力信号線W_OUTNとに接続される。また、トランジスタTR220においては、自身のゲートからソース及びバックゲートに向かってゲート漏れ電流ILEAK(2)が流れる。該電流に関しては、後述する。
【0144】
また、トランジスタTR220は、入力信号線W_INNから差動入力信号INNを受け、該信号の電位の変動を増幅することで差動出力信号OUTNを生成し、該信号を出力線W_OUTNに出力する。
【0145】
抵抗R214は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、トランジスタTR217及びTR218と電流源I213によってバイアス線W_VB2にもたらされる寄生容量を含めたインピーダンスの低下による影響を緩和することによって、差動入力信号INPの高周波特性の劣化を抑制する。抵抗R214は、その一端は上述したように、電流源I213と、トランジスタTR217及びTR218のゲートと、トランジスタTR218のドレインと、抵抗R215の一端とに接続され、他端は上述したように、ノードiを介してトランジスタTR219のゲートと、補償信号線ICOMP(3)と、入力信号線W_INPを介してキャパシタC212とに接続される。
【0146】
抵抗R215は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、トランジスタTR217及びTR218と電流源I213によってバイアス線W_VB2にもたらされる寄生容量を含めたインピーダンスの低下による影響を緩和することによって、差動入力信号INNの高周波特性の劣化を抑制する。抵抗R215は、その一端は上述したように、電流源I213と、トランジスタTR217及びTR218のゲートと、トランジスタTR218のドレインと、抵抗R214の一端とに接続され、他端は上述したように、ノードjを介してトランジスタTR220のゲートと、補償信号線ICOMP(2)と、入力信号線W_INNを介してキャパシタC213とに接続される。
【0147】
抵抗R216は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、出力信号線W_OUTPの電位を調整する。抵抗R216は、その一端は電源線VDDに接続され、他端は上述したように、出力信号線W_OUTPと、トランジスタTR219のドレインとに接続される。抵抗R216は、トランジスタTR219によって供給される電流IOUTPに基づいて、出力線W_OUTPの電位を調整する。
【0148】
抵抗R217は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、出力信号線W_OUTNの電位を調整する。抵抗R217は、その一端は電源線VDDに接続され、他端は上述したように、出力信号線W_OUTNと、トランジスタTR220のドレインとに接続される。抵抗R217は、トランジスタTR220によって供給される電流IOUTNに基づいて、出力線W_OUTNの電位を調整する。
【0149】
キャパシタC212は、差動入力信号INPの直流成分を除去し、該信号をトランジスタTR219のゲートに供給する。キャパシタC212は、例えばセラミックコンデンサや容量セルであり、入力信号線W_INP上に設けられ、上述したように、抵抗R214の他端と、ノードiを介して補償信号線W_ICOMP(3)と、トランジスタTR219のゲートとに接続される。
【0150】
キャパシタC213は、差動入力信号INNの直流成分を除去し、該信号をトランジスタTR220のゲートに供給する。キャパシタC213は、例えばセラミックコンデンサや容量セルであり、入力信号線W_INN上に設けられ、上述したように、ノードjを介して抵抗R215の他端と、補償信号線W_ICOMP(2)と、トランジスタTR220のゲートとに接続される。
【0151】
差動増幅回路21は、電流源I212が供給する基準電流IAMP1を、トランジスタTR215及びTR216によって所定の倍率で増幅することで出力電流IOUTを生成し、該電流をトランジスタTR219及びTR220によって分流することによって、出力電流OUTP及びOUTNを生成する。そして、差動増幅回路21は、該電流をそれぞれ抵抗R216及びR217によって電位に変換することによって、出力線W_OUTP及びW_OUTNに所定の電位を与える。また、差動増幅回路21は、斯かる構成において、トランジスタTR219及びTR220のゲートに入力される差動入力信号INP及びINNの電位差の変動を、所定の倍率で増幅することによって、差動出力信号OUTP及びOUTNを生成し、該信号を出力信号線W_OUTP及びW_OUTNから外部に出力する。
【0152】
抵抗R214及びR215は、上述したように、差動入力信号INP及びINNの高周波特性の劣化を抑制するために必要であるが、トランジスタTR219及びTR220におけるゲート漏れ電流ILEAK(2)乃至(3)による抵抗R214及びR215における電圧降下によって、ノードi及びjの電位を低下させる働きがある。また、同様に、バイアス線W_VB1上に設けられる図示しない配線抵抗は、トランジスタTR216におけるゲート漏れ電流ILEAK(1)による該抵抗における電圧降下によってバイアス線W_VB1の電位を低下させることによって、上述したように出力電流IOUTを減少させる働きがある。このため、電流補償回路1Jは、差動増幅回路21において発生するゲート漏れ電流ILEAK(1)乃至(3)と同じ電流量をもつ補償電流ICOMP(1)乃至(3)を、それぞれノードi及びjと、バイアス線W_VB1とに供給することで、斯かる電位の降下と出力電流IOUTの減少とを防止する。
【0153】
なお、本例においては、差動増幅回路21において発生するゲート漏れ電流ILEAK(1)乃至(3)を補償する手段として、電流補償回路1Jが適用されているが、これに限られるものではなく、例えば、上述した実施形態における、電流補償回路1乃至1Cや、電流補償回路ブロック1Hや、以降において述べる電流補償回路1における種々の変形例の何れも適用可能である。
【0154】
図14は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路を差動増幅回路に適用した回路構成の他の例を示す図である。同図に示される構成は、上述した
図13に示される構成において、電流補償回路1Jに代えて電流補償回路1Kが設けられるように構成される。
【0155】
電流補償回路1Kは上述した第1の実施形態において述べたように、基準信号線W_IREFの電位をバイアス線W_VB2の電位に近づけることで、差動増幅回路21に対して高精度な電流補償を実現する。ここで、バイアス線W_VBBの電位は、図示しないバイアス回路によって生成されても良いし、バイアス線W_VBBとバイアス線W_VB2とが接続されることによって、生成されても良い。
【0156】
[第6の実施形態]
図15は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路をチャージポンプ回路、ループフィルタ回路及び電圧制御発振回路によって構成される被補償回路に適用した回路構成の一例を示す図である。同図に示すように、本実施形態に係る被補償回路は、ループフィルタ回路23及び電圧制御発振回路24に対して、電流補償回路1Aが接続されるように構成される。
【0157】
電流補償回路1Aは、ループフィルタ回路23及び電圧制御発振回路24に接続され得る。電流補償回路1Aは、ループフィルタ回路23及び電圧制御発振回路24において発生するゲート漏れ電流ILEAK(1)乃至(4)と同じ電流量をもつ補償電流ICOMP(1)乃至(2)を生成し、該電流を、ループフィルタ回路23及び電圧制御発振回路24に供給する。電流補償回路1Aにおける各コンポーネントの機能及び構成の詳細に関しては、上述した第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0158】
チャージポンプ回路22は、図示しない回路装置(例えば位相検出器)から供給される一対の信号UP及びDNに基づいて電流を生成し、チャージポンプ出力信号CPOUTとして、バイアス線W_VBを介して、該信号をループフィルタ回路23に出力する。チャージポンプ回路22は、例えばトランジスタTR221、TR222、TR223及びTR224を含んで構成される。
【0159】
トランジスタTR221は、電圧電流変換素子として機能し、自身のゲートに入力されるバイアス線W_VB3の電位に基づいて、出力電流ICPPを生成し、該電流をトランジスタTR222及びバイアス線W_VBに供給する。トランジスタTR221は、例えばPMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR221のソースは電源線VDDに接続される一方、ゲートはバイアス線W_VB3に接続され、また、ドレインはトランジスタTR222のソースに接続される。
【0160】
トランジスタTR222は、電源スイッチとして機能し、自身のゲートに入力される信号UPに基づいて、電源線VDDからバイアス線W_VBへの電流の供給のオン/オフを切り替える。トランジスタTR222は、例えばPMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR222のソースは上述したようにトランジスタTR221のドレインに接続される一方、ゲートは信号線W_UPに接続され、また、ドレインはトランジスタTR223のドレインと、後述するノードkを介してループフィルタ回路23における抵抗R218及びR219の一端と、補償信号線W_ICOMP(1)と、トランジスタTR226のゲートとに接続される。
【0161】
トランジスタTR223は、電源スイッチとして機能し、自身のゲートに入力される信号DNに基づいて、バイアス線W_VBから接地線VDDへの電流の引き抜きのオン/オフを切り替える。トランジスタTR223は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR223のソースはトランジスタTR224のドレインに接続される一方、ゲートは信号線W_DNに接続され、また、ドレインは上述したように、トランジスタTR222のドレインと、後述するノードkを介してループフィルタ回路23における抵抗R218及びR219の一端と、補償信号線W_ICOMP(1)と、トランジスタTR226のゲートとに接続される。
【0162】
トランジスタTR224は、電圧電流変換素子として機能し、自身のゲートに入力されるバイアス線W_VB4の電位に基づいて、出力電流ICPNを生成し、その結果、トランジスタTR223及びバイアス線W_VBに流れる電流が出力電流ICPNとして引き抜かれることになる。トランジスタTR224は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR224のソースは接地線GNDに接続される一方、ゲートはバイアス線W_VB4に接続され、また、ドレインは上述したように、トランジスタTR223のソースに接続される。
【0163】
以上のように構成される、チャージポンプ回路22は、信号UP及びDNに基づいて、出力電流ICPP及びICPNをバイアス線W_VBに供給することによって、チャージポンプ出力信号CPOUTを生成しバイアス線W_VBを介して該信号をループフィルタ回路23に出力する。
【0164】
ループフィルタ回路23は、チャージポンプ回路22から出力されるチャージポンプ信号CPOUTに対して、所定の伝達関数に従って電流電圧変換を行い、高周波ノイズ除去したのちに、該信号を、電圧制御発振回路24に出力する。ループフィルタ回路23は、トランジスタTR225、226及び227と、抵抗R218及びR219とを含んで構成される。本例では、トランジスタTR225乃至TR227が、そのリーク漏れ電流の損失が補償されるべきトランジスタである。また、本例のループフィルタ回路23において、バイアス線W_VB上の抵抗R219の一端で補償信号線W_ICOMP(1)を接続するノードをノードkとし、他端で補償信号線W_ICOMP(2)を接続するノードをノードlとする。なお、本実施形態においては、リーク漏れ電流の損失が補償されるべき対象として、トランジスタTR225乃至TR227が適用されているが、これに限られるものではなく、例えばMOS容量素子であっても良い。
【0165】
トランジスタTR225、TR226及び抵抗R218は、バイアス線W_VBにおいて、ラグリードフィルタを構成する。即ち、トランジスタTR225はキャパシタとして機能し、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR225のドレイン及びソースは接地線GNDに接続され、ゲートは抵抗R218の一端に接続される。また、トランジスタTR226は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR226のドレイン及びソースは接地線GNDに接続され、ゲートは、抵抗R218の他端及びノードkに接続される。さらに、抵抗R218は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗であり、その一端は、上述したように、トランジスタTR225のゲートと接続され、他端は、ノードkに接続される。
【0166】
このように構成されたラグリードフィルタは、トランジスタTR221乃至TR224によってノードkに入力されるチャージポンプ信号CPOUTに対して、所定の伝達関数に従って電流電圧変換を行うように機能する。
【0167】
なお、トランジスタTR225及びTR226においては、自身のゲートとドレイン、ソース及びバックゲートとの間の電位差によって、該ゲートから該ドレイン、該ソース及び該バックゲートを介して接地線GNDに、ゲート漏れ電流ILEAK(1)乃至(2)が流れる。該電流に関しては後述する。
【0168】
トランジスタTR227及び抵抗R219は、バイアス線W_VBにおいて、ローパスフィルタを構成する。即ち、トランジスタTR227はキャパシタとして機能し、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される。この場合、トランジスタTR227のドレイン及びソースは接地線GNDに接続され、ゲートはノードlを介して抵抗R219の他端と接続される。また、抵抗R219は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗である。抵抗219は、ノードlを介して、電圧制御発振回路24におけるトランジスタTR228に接続される。
【0169】
このように構成されたローパスフィルタは、トランジスタTR221乃至TR224によってノードkに入力されるチャージポンプ信号CPOUTにおける高周波ノイズを除去する。
【0170】
なお、トランジスタTR227においては、自身のゲートと、ドレイン、ソース及びバックゲートとの間の電位差によって、該ゲートから該ドレイン、該ソース及び該バックゲートを介して接地線GNDに、ゲート漏れ電流ILEAK(3)が流れる。該電流に関しては後述する。
【0171】
上述したように、ループフィルタ回路23は、チャージポンプ回路22から出力されるチャージポンプ出力信号に対して、トランジスタTR225、TR226及び抵抗R218で構成されるラグリードフィルタによって所定の伝達関数に従って電流電圧変換を行う。さらに、ループフィルタ回路23は、トランジスタTR227及び抵抗R219で構成されるローパスフィルタによって、該信号が有する高周波ノイズを除去した上で、該信号を電圧制御発振回路24に出力する。
【0172】
電圧制御発振回路24は、ループフィルタ回路23から出力されるチャージポンプ出力信号CPOUTを受け、該信号の電位に応じた周波数で発振することによって、出力クロックを生成し出力する回路である。電圧制御発振回路24は、例えば、トランジスタTR228を含んで構成される。トランジスタTR228は、例えばNMOSトランジスタを含んで構成される可変キャパシタである。トランジスタTR228は、自身に入力される信号電位に応じてその容量を変動させることによって、電圧制御発振回路24が出力する信号の発振周波数を変動させる。本例では、トランジスタTR228が、そのリーク漏れ電流の損失が補償されるべきトランジスタである。トランジスタTR228のドレイン及びソースはバイアス線W_VB5に接続され、また、ゲートは、電圧制御発振回路24における他のコンポーネントと、ノードlを介してチャージポンプ回路22における補償信号線W_ICOMP(1)と、抵抗R219の他端と、トランジスタTR227のゲートとに接続される。バイアス線W_VB5の電位は、例えば、電圧制御発振回路24における図示しないバイアス回路によって生成される。なお、本実施形態においては、リーク漏れ電流の損失が補償されるべき対象として、トランジスタTR228が適用されているが、これに限られるものではなく、例えばMOS容量素子の一例であるMOSバラクタであっても良い。また、トランジスタTR228においては、自身のゲートと、ドレイン、ソース及びバックゲートとの間の電位差によって、該ゲートから該ドレイン、該ソース及び該バックゲートに向かってゲート漏れ電流ILEAK(4)が流れる。該電流に関しては後述する。
【0173】
上述したように、被補償回路における、ループフィルタ回路23及び電圧制御発振回路24において、トランジスタTR225、TR226、TR227及びTR228のゲートからドレイン、ソース及びバックゲートに向かって流れるゲート漏れ電流ILEAK(1)乃至(4)が存在し得る。しかしながら、電流補償回路1Aは、ゲート漏れ電流ILEAK(1)及びILEAK(2)の電流量の合計と同じ電流量をもつ補償電流ICOMP(1)をトランジスタTR225及びTR226に供給し、さらに、ゲート漏れ電流ILEAK(3)及びILEAK(4)の電流量の合計と同じ電流量をもつ補償電流ICOMP(2)をトランジスタTR227及びTR228に供給することによって、該トランジスタに対して電流補償を行うことができる。従って、電流補償回路1Aは、ループフィルタ回路23における、トランジスタTR225、TR226及び抵抗R218で構成されるラグリードフィルタと、トランジスタTR227及び抵抗R219で構成されるローパスフィルタと、電圧制御発振回路24との誤作動や特性変動を防止することができる。
【0174】
なお、本例においては、被補償回路における、ループフィルタ回路23及び電圧制御発振回路24において発生するゲート漏れ電流ILEAK(1)乃至(4)を補償する手段として、電流補償回路1Aが適用されているが、これに限られるものではなく、例えば、上述した実施形態における、電流補償回路1乃至1Cや、電流補償回路ブロック1Hや、電流補償回路1J乃至Kの何れも適用可能である。
【0175】
図16は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路をチャージポンプ回路、ループフィルタ回路及び電圧制御発振回路によって構成される被補償回路に適用した回路構成の他の例を示す図である。
【0176】
電流補償回路ブロック1Hは上述したように、基準信号線W_IREFの電位をバイアス線W_VBの電位に近づけることで、チャージポンプ回路22、ループフィルタ回路23及び電圧制御発振回路24で構成される被補償回路に対して高精度な電流補償を実現する。ここで、バイアス線W_VBBの電位は、図示しないバイアス回路によって生成されても良いし、バイアス線W_VBBとノードkとが接続されることによって、生成されても良い。
【0177】
電流補償回路ブロック1Hと、被補償回路とを含んだ構成は、ループフィルタ回路23におけるノードkの電位が、電流補償回路1Hに入力されることで、被補償回路に対する高精度な電流補償を実現する。
【0178】
[第7の実施形態]
図17は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路をADコンバータに適用した回路構成の一例を示す図である。同図に示すように、本実施形態では、1つのアナログ−デジタルコンバータ(ADコンバータ)25に対して、M個の電流補償回路1Bと、(N−M)個の電流補償回路1Fとが接続される。ここで、Nは例えば、ADコンバータ25が出力するパラレルのデジタル信号のビット数に対応する値である。
【0179】
電流補償回路1Bは、後述するADコンバータ25におけるNチャネルゲート入力コンパレータ201において発生する図示しないゲート漏れ電流ILEAK(1)乃至(M)のそれぞれと同じ電流量をもつ補償電流ICOMP(1)乃至(M)をそれぞれ生成し、該補償電流ICOMP(1)乃至(M)を、ADコンバータ25に供給する。また、電流補償回路1Bは、後述するADコンバータ25における分圧回路200からバイアス線W_VBBの電位を得る。電流補償回路1Bにおける各コンポーネントの機能及び構成の詳細に関しては、上述した第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0180】
電流補償回路1Fは、後述するADコンバータ25におけるPチャネルゲート入力コンパレータ202において発生する図示しないゲート漏れ電流ILEAK(M)乃至(N)のそれぞれと同じ電流量をもつ補償電流ICOMP(M)乃至(N)をそれぞれ生成し、該補償電流ICOMP(M)乃至(N)を、ADコンバータ25に供給する。また、電流補償回路1Fは、後述するADコンバータ25における分圧回路200からバイアス線W_VBBの電位を得る。電流補償回路1Fにおける各コンポーネントの機能及び構成の詳細に関しては、上述した第2の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0181】
ADコンバータ25は、例えば、分圧回路200と、Nチャネルゲート入力コンパレータ201と、Pチャネルゲート入力コンパレータ202とを含んで構成され、シリアルのアナログ信号AINをパラレルのデジタル信号DOUT(1)乃至(N)に変換する。また、ADコンバータ25は、Nチャネルゲート入力コンパレータ201と、Pチャネルゲート入力コンパレータ202において発生する図示しないゲート漏れ電流ILEAKを、電流補償回路1B及び1Fから供給される補償電流ICOMPによって補償する。
【0182】
分圧回路200は、例えば複数の抵抗R220及びR221を含んで構成される。分圧回路200は、バイアス信号VBを生成し、該信号をNチャネルゲート入力コンパレータ及びPチャネル入力コンパレータの非反転入力端子“+”に出力する。また、分圧回路200は、バイアス線W_VBBの電位を生成し、該信号を電流補償回路1B及び1Fに出力する。さらに、分圧回路200は、電流補償回路1B及び1Fから補償電流ICOMPを受け、補償信号線W_ICOMPを介して、Nチャネルゲート入力コンパレータ201及びPチャネルゲート入力コンパレータ202の非反転入力端子“+”に供給する。
【0183】
抵抗R220は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗である。抵抗R220(1)乃至(N+1)は、電源線VREFと接地線GNDとを結ぶ信号線上において直列に接続される。具体的には、抵抗R220(1)乃至(N+1)のそれぞれの間のノードには、対応するバイアス線W_VBBが接続される。
【0184】
抵抗R220(1)乃至(N+1)は、電源線VREFの電位を分圧することによって、バイアス線W_VBB(1)乃至(N)の電位を生成する。バイアス線W_VBB(1)乃至(M)の電位はそれぞれ電流補償回路1B(1)乃至(M)に、バイアス線W_VBB(M+1)乃至(N)の電位はそれぞれ電流補償回路1F(1)乃至(N―M)に供給される。
【0185】
抵抗R221は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗である。抵抗R221は、抵抗R220が設けられている信号線とは別の、電源線VREFと接地線GNDとを結ぶ信号線上において直列に接続される。具体的には、抵抗R221(1)乃至(N+1)のそれぞれの間のノードには、対応する補償信号線W_ICOPMが接続される。
【0186】
抵抗R221(1)乃至(N+1)は、電源線VREFの電位を分圧することによって、バイアス信号VB(1)乃至(N)を生成する。バイアス信号VB(1)乃至(M)は、それぞれNチャネルゲート入力コンパレータ201(1)乃至(M)の非反転入力端子“+”に、バイアス信号VB(M+1)乃至(N)はそれぞれPチャネルゲート入力コンパレータ202(1)乃至(N―M)の非反転入力端子“+”に、補償信号線W_ICOMP(1)乃至(N)を介して、出力される。
【0187】
Nチャネルゲート入力コンパレータ201は、例えばNMOSトランジスタ(図示せず)を含んで構成される。Nチャネルゲート入力コンパレータ201は、反転入力端子“−”に入力されるアナログ入力信号AINの電位と、非反転入力端子“+”に入力されるバイアス信号VBの電位とを比較し、該比較結果に基づいてデジタル出力信号DOUTを生成し出力する。また、Nチャネルゲート入力コンパレータ201においては、図示しないNMOSトランジスタにおいて、そのゲートからソース及びバックゲートに向かってゲート漏れ電流ILEAKが流れる。
【0188】
Pチャネルゲート入力コンパレータ202は、例えばPMOSトランジスタ(図示せず)を含んで構成される。Pチャネルゲート入力コンパレータ202は、反転入力端子“−”に入力されるアナログ入力信号AINの電位と、非反転入力端子“+”に入力されるバイアス信号VBの電位とを比較し、該比較結果に基づいてデジタル出力信号DOUTを生成し出力する。また、Pチャネルゲート入力コンパレータ202においては、図示しないPMOSトランジスタにおいて、そのソース及びバックゲートからゲートに向かってゲート漏れ電流ILEAKが流れる。
【0189】
上述したような、電流補償回路1B及び1FとADコンバータ25とを含んだ構成においては、電流補償回路1B及び1FがADコンバータ25に対して補償電流ICOMPを供給することによって、ADコンバータ25における、Nチャネルゲート入力コンパレータ201及びPチャネルゲート入力コンパレータ202のゲート漏れ電流ILEAKに起因する、アナログ−デジタル特性の劣化を防止することができる。
【0190】
なお、本例においては、ADコンバータ25において発生するゲート漏れ電流ILEAKを補償する手段として、電流補償回路1B及び1Fが適用されているが、これに限られるものではなく、例えば、上述した実施形態における、電流補償回路1乃至1Kの何れも適用可能である。
【0191】
図18は、本発明の一実施形態に係る電流補償回路をADコンバータに適用した回路構成の他の例を示す図である。同図に示すように、本実施形態では、ADコンバータ25に対して、N個の電流補償回路ブロック1H及び1Iが接続される。
【0192】
電流補償回路ブロック1Hは後述するADコンバータ25Aにおけるレイルツーレイル入力コンパレータ203において発生する図示しないゲート漏れ電流ILEAKN(1)乃至(N)のそれぞれと同じ電流量をもつ補償電流ICOMP(1)乃至(N)をそれぞれ生成し、該補償電流ICOMP(1)乃至(N)を、ADコンバータ25Aに供給する。また、電流補償回路ブロック1Hは、後述するADコンバータ25Aにおける分圧回路200からバイアス線W_VBBの電位を得る。電流補償回路ブロック1Hにおける各コンポーネントの機能及び構成の詳細に関しては、上述した第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0193】
電流補償回路ブロック1Hは後述するADコンバータ25Aにおけるレイルツーレイル入力コンパレータ203において発生する図示しないゲート漏れ電流ILEAKP(1)乃至(N)のそれぞれと同じ電流量をもつ補償電流ICOMP(1)乃至(N)をそれぞれ生成し、該補償電流ICOMP(1)乃至(N)を、ADコンバータ25Aに供給する。また、電流補償回路1Iは、後述するADコンバータ25Aにおける分圧回路200からバイアス線W_VBBの電位を得る。電流補償回路ブロック1Hにおける各コンポーネントの機能及び構成の詳細に関しては、上述した第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0194】
ADコンバータ25Aは、例えばアナログ−デジタルコンバータであり、例えば、分圧回路200と、レイルツーレイル入力コンパレータ203とを含んで構成され、シリアルのアナログ信号AINをパラレルのデジタル信号DOUT(1)乃至(N)に変換する。また、ADコンバータ25Aは、レイルツーレイル入力コンパレータ203において発生する図示しないゲート漏れ電流ILEAKN及びILEAKPを、電流補償回路ブロック1H及び1Iから供給される補償電流ICOMPによって補償する。
【0195】
分圧回路200は、例えば複数の抵抗R220及びR221を含んで構成される。分圧回路200は、バイアス信号VBを生成し、該信号をレイルツーレイル入力コンパレータの非反転入力端子“+”に出力する。また、分圧回路200は、バイアス線W_VBBの電位を生成し、該信号を電流補償回路ブロック1H及び1Iに出力する。さらに、分圧回路200は、電流補償回路ブロック1H及び1Iから補償電流ICOMPを受け、補償信号線W_ICOMPを介して、レイルツーレイル入力コンパレータ203の非反転入力端子“+”に供給する。
【0196】
抵抗R220は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗である。抵抗R220(1)乃至(N+1)は、電源線VREFの電位を分圧することによって、バイアス線W_VBB(1)乃至(N)の電位を生成する。該電位は、それぞれ電流補償回路ブロック1H(1)乃至(N)及び1I(1)乃至(N)に供給される。抵抗R220の構成に関しては、上述した第7の実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0197】
抵抗R221は、例えばポリシリコン抵抗や拡散抵抗である。抵抗R221(1)乃至(N+1)は、電源線VREFの電位を分圧することによって、バイアス信号VB(1)乃至(N)を生成する。該信号は、それぞれレイルツーレイツ入力コンパレータ203(1)乃至(N)の非反転入力端子“+”に、補償信号線W_ICOMP(1)乃至(N)を介して、出力される。抵抗R221の構成に関しては、上述した第7の実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
【0198】
レイルツーレイル入力コンパレータ203は、上述した第3の実施形態における被補償回路2Bの構成の一例であり、例えば少なくとも一つのPMOSトランジスタとNMOSトランジスタ(図示せず)とを含んで構成される。該トランジスタのゲートは、互いのゲートと、非反転入力端子“+”とに接続され、ドレイン及びソースは、該コンパレータにおける他のコンポーネントに接続される。レイルツーレイル入力コンパレータは、反転入力端子“−”に入力されるアナログ入力信号AINの電位と、非反転入力端子“+”に入力されるバイアス信号VBの電位とを比較し、該比較結果に基づいてデジタル出力信号DOUTを生成し出力する。また、レイルツーレイル入力コンパレータ203は、被補償回路2Bと同様に、該NMOSトランジスタにおいて、そのゲートからソース及びバックゲートに向かってゲート漏れ電流ILEAKNが流れ、該PMOSトランジスタにおいて、そのソース及びバックゲートからゲートに向かってゲート漏れ電流ILEAKPが流れる。
【0199】
上述したような電流補償回路ブロック1H及び1IとADコンバータ25Aとを含んだ構成においては、電流補償回路ブロック1H及び1Iは、ADコンバータ25Aに対して補償電流ICOMPを供給することで、ADコンバータ25Aにおける、レイツーレイル入力コンパレータ203のゲート漏れ電流ILEAKN及びILEAKPに起因する、アナログ−デジタル特性の劣化を防止することができる。
【0200】
なお、本例においては、ADコンバータ25Aにおいて発生するゲート漏れ電流ILEAKを補償する手段として、電流補償回路ブロック1H及び1Iが適用されているが、これに限られるものではなく、例えば、上述した実施形態における、電流補償回路1乃至1Kの何れも適用可能である。
【0201】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0202】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0203】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。