(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-153432(P2015-153432A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】光学ユニットの製造方法および光学ユニットの調整装置
(51)【国際特許分類】
G11B 7/08 20060101AFI20150728BHJP
G11B 7/22 20060101ALI20150728BHJP
【FI】
G11B7/08 A
G11B7/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-23951(P2014-23951)
(22)【出願日】2014年2月12日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】立石 博志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 清
【テーマコード(参考)】
5D117
5D789
【Fターム(参考)】
5D117AA02
5D117CC07
5D117HH01
5D117KK01
5D117KK04
5D117KK15
5D117KK17
5D117KK19
5D789AA38
5D789FA05
5D789JA02
5D789JC07
5D789KA03
5D789NA02
5D789PA04
(57)【要約】
【課題】発光部材とコリメートレンズの相対位置の調整を容易にすること。
【解決手段】発光部911を有する発光部材91、およびこの発光部材91から出射された光を平行光化するコリメートレンズ92を備える光学ユニット90の製造方法であって、重心測定手段10によって測定されるコリメートレンズ92を透過した光の光量の重心が、所定位置となるように発光部材91とコリメートレンズ92の相対位置を調整する第一工程と、この第一工程後、撮像手段20によって撮像されるコリメートレンズ92を透過した光の輪郭が、所定の輪郭となるように発光部材91とコリメートレンズ92の相対位置を調整する第二工程と、を含む光学ユニット90の製造方法とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を有する発光部材、およびこの発光部材から出射された光を平行光化するコリメートレンズを備える光学ユニットの製造方法であって、
重心測定手段によって測定される前記コリメートレンズを透過した光の光量の重心が、所定位置となるように前記発光部材と前記コリメートレンズの相対位置を調整する第一工程と、
この第一工程後、撮像手段によって撮像される前記コリメートレンズを透過した光の輪郭が、所定の輪郭となるように前記発光部材と前記コリメートレンズの相対位置を調整する第二工程と、
を含むことを特徴とする光学ユニットの製造方法。
【請求項2】
前記第二工程は、前記コリメートレンズを透過し、複数の撮像手段によって異なる位置で撮像される光の輪郭が、同じ輪郭となるように前記発光部材と前記コリメートレンズの相対位置を調整する工程であることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニットの製造方法。
【請求項3】
発光部を有する発光部材と、この発光部材から出射された光を平行光化するコリメートレンズとの相対位置を調整する調整装置であって、
前記コリメートレンズを透過した光の光量の重心を測定する重心測定手段と、
前記コリメートレンズを透過した光の像を撮像する撮像手段と、
を備えることを特徴とする光学ユニットの調整装置。
【請求項4】
前記コリメートレンズを透過した光の像を異なる位置で撮像する複数の前記撮像手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の光学ユニットの調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部材とそれから出射された光を平行光化するコリメートレンズを備える光学ユニットの製造方法、および発光部材とコリメートレンズの相対位置を調整する調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光部材とコリメートレンズの相対位置を調整する手法は種々提案されている(例えば下記特許文献1参照)。その一例として、CCD等の撮像手段により、コリメートレンズを透過した光の輪郭を撮像し、当該輪郭が所定の形状になるように、発光部材とコリメートレンズの相対位置を調整する手法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−23626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような撮像手段を用いて調整する手法では、最初のセッティング時における発光部材とコリメートレンズの相対位置が、正しい位置から大きくずれている場合、撮像手段に光の像が全く映らない、光のエッジが認識できないといった状態となり、調整に時間がかかってしまう。撮像手段の撮像可能範囲を大きくする対策も考えられるが、分解能が低下することによって調整の精度が低下してしまうため問題となる。また、撮像手段をコリメートレンズに近づけて設置し、光のエッジが映り込むようにする対策も考えられるが、装置制約上、両者を近づけるのにも限界がある。
【0005】
本発明は、発光部材とコリメートレンズの相対位置の調整を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる光学ユニットの製造方法は、発光部を有する発光部材、およびこの発光部材から出射された光を平行光化するコリメートレンズを備える光学ユニットの製造方法であって、重心測定手段によって測定される前記コリメートレンズを透過した光の光量の重心が、所定位置となるように前記発光部材と前記コリメートレンズの相対位置を調整する第一工程と、この第一工程後、撮像手段によって撮像される前記コリメートレンズを透過した光の輪郭が、所定の輪郭となるように前記発光部材と前記コリメートレンズの相対位置を調整する第二工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
前記第二工程は、前記コリメートレンズを透過し、複数の撮像手段によって異なる位置で撮像される光の輪郭が、同じ輪郭となるように前記発光部材と前記コリメートレンズの相対位置を調整する工程であるとよい。
【0008】
本発明にかかる光学ユニットの調整装置は、発光部を有する発光部材と、この発光部材から出射された光を平行光化するコリメートレンズとの相対位置を調整する調整装置であって、前記コリメートレンズを透過した光の光量の重心を測定する重心測定手段と、前記コリメートレンズを透過した光の像を撮像する撮像手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
前記コリメートレンズを透過した光の像を異なる位置で撮像する複数の前記撮像手段を備えるとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、重心測定手段によってコリメートレンズを透過した光の光量の重心が所定位置となるように調整することにより、発光部材とコリメートレンズの大まかな位置合わせをすることができる。かかる大まかな位置合わせを経ると、撮像手段によってコリメートレンズを透過した光の輪郭(エッジ)を簡単に特定することができるため、発光部材とコリメートレンズの相対位置の調整(光学ユニットの製造)が容易になる。
【0011】
複数の撮像手段によって異なる位置で光を撮像し、当該光の輪郭が同じ輪郭となることをもって平行光化が実現されているという手法とすれば、発光部材とコリメートレンズの相対位置の調整(光学ユニットの製造)を容易かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる光学ユニットの調整装置を模式的に示した図である。
【
図2】光学ユニットの製造方法の第一工程(重心測定手段を用いた工程)を説明するための図であって、(a)は光量の重心がスポット中央に存在しない状態を、(b)は光量の重心がスポット中央に存在しない状態を示している。
【
図3】光学ユニットの製造方法の第二工程(撮像手段を用いた工程)を説明するための図であって、(a)は第一撮像手段で撮像される光の輪郭と第二撮像手段で撮像される光の輪郭が一致していない状態を、(b)第一撮像手段で撮像される光の輪郭と第二撮像手段で撮像される光の輪郭が一致している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に示した本発明の一実施形態にかかる光学ユニットの調整装置1は、相対位置調整手段40、重心測定手段10、および撮像手段20を備える。
【0014】
調整対象物である光学ユニット90は、発光部材91およびコリメートレンズ92を有する。発光部材91としては、レーザダイオードのような自ら光を発する発光素子が例示できる。また、光ファイバのような伝送された光を端面から出射する部材であってもよい。つまり、発光部911を有するものであればどのようなものであってもよい。コリメートレンズ92は、発光部材91の発光部911から出射された発散光を平行光化する。発光部材91とコリメートレンズ92の相対位置関係が所定の関係にあれば、コリメートレンズ92に入射した光が平行光化される(以下、コリメートレンズ92を透過した光が平行光化されるときの相対位置を「正しい」と、平行光化されないときの相対位置を「正しくない」表現する)。
【0015】
相対位置調整手段40は、発光部材91とコリメートレンズ92の相対位置を任意に調整することができる手段である。発光部材91およびコリメートレンズ92の一方を固定し、他方の位置や傾きを調整することができる機構を備えるものであってもよいし、
図1に示すように発光部材91の位置や傾きを変化させることができる発光部材調整機構41と、コリメートレンズ92の位置や傾きを変化させることができるレンズ調整機構42を備えるものであってもよい。これら相対位置調整手段40(発光部材調整機構41、レンズ調整機構42)具体的な構成は特定のものに限定されるわけではないため、詳細な説明を省略する。
【0016】
重心測定手段10は、コリメートレンズ92を透過した光の光量の重心を測定することができる手段である。重心測定手段10としては、例えば光位置センサ(PSD)を適用することができる。本実施形態では、コリメートレンズ92を透過した光は、コリメートレンズ92側に設けられた第一ハーフミラー31に到達し、この第一ハーフミラー31によって反射した光が重心測定手段10に入射することになる。
【0017】
撮像手段20は、コリメートレンズ92を透過した光の像(輪郭)を映し出すことができる手段である。撮像手段20としては、例えばCCDカメラを適用することができる。本実施形態にかかる調整装置1は、二つの撮像手段20(第一撮像手段21および第二撮像手段22)を備える。本実施形態では、コリメートレンズ92および第一ハーフミラー31を透過した光が第二ハーフミラー32に到達し、この第二ハーフミラー32によって反射した光が、第一撮像手段21に映し出される。また、第二ハーフミラー32を透過した光は、全反射ミラー33(ハーフミラーであってもよい)に到達し、この全反射ミラー33によって反射した光が、第二撮像手段22に映し出される。このように、第一撮像手段21と第二撮像手段22がコリメートレンズ92を透過した光を撮像する位置は異なる。したがって、コリメートレンズ92を透過した光が平行光である場合には、両撮像手段21、22で撮像される光の輪郭は全く同じになる。
【0018】
かかる調整装置1を用いた光学ユニット90の製造方法(発光部材91とコリメートレンズ92の相対位置の調整方法)は以下の通りである。まず、発光部材91とコリメートレンズ92を相対位置調整手段40にセットし、発光部材91の発光部911から光を出射させる。
【0019】
発光部材91とコリメートレンズ92の光軸がずれている場合、
図2(a)に示すようにコリメートレンズ92を透過した重心測定手段10によって測定される光の光量の重心Cが、スポット中央に存在しない(光量の正規分布のピーク値が中央に存在しない)状態となる。したがって、第一工程では、相対位置調整手段40を操作し、発光部材91およびコリメートレンズ92の少なくともいずれか一方の位置を変化させることで、
図2(b)に示すように光の光量の重心Cがスポット中央に位置するように両者の相対位置を調整する。
【0020】
発光部材91とコリメートレンズ92の光軸が一致しているとしても、発光部材91とコリメートレンズ92の距離が正しくない場合、コリメートレンズ92を透過した光は発散光または集束光となる。このような場合、
図3(a)に示すように第一撮像手段21によって撮像される光の輪郭と、第二撮像手段22によって撮像される光の輪郭は異なるものとなる。したがって、第二工程では、相対位置調整手段40を操作し、発光部材91およびコリメートレンズ92の少なくともいずれか一方の位置を変化させることで、
図3(b)に示すように両撮像手段21、22によって撮像される光の輪郭が一致するように(像の形状が所定形状Fとなるように)両者の相対位置を調整する。具体的には、光の像の中心座標と、像のエッジが一致するように両者の相対位置を調整する。
【0021】
第二工程後、発光部材91とコリメートレンズ92の相対位置を固定しながら、光学ユニット90を構成するその他の部材に組み付ける。例えば、発光部材91とコリメートレンズ92(を有する光学部材)の双方が基板に固定される光学ユニット90であれば、発光部材91とコリメートレンズ92の双方を基板に固定することで、両者の相対位置が正しい関係にある光学ユニット90が得られる。
【0022】
以上説明した本実施形態にかかる光学ユニットの調整装置1(光学ユニット90の製造方法)によれば、重心測定手段10によってコリメートレンズ92を透過した光の光量の重心が所定位置となるように調整することにより、発光部材91とコリメートレンズ92の大まかな位置合わせをすることができる。かかる大まかな位置合わせを経ると、光の輪郭が撮像手段20によって特定できないくらい正しい位置から大きくずれた状態であることはほとんどなくなるから、撮像手段20によってコリメートレンズ92を透過した光の輪郭(エッジ)を簡単に特定することができる。そのため、発光部材91とコリメートレンズ92の相対位置の調整(光学ユニット90の製造)が容易になる。
【0023】
また、本実施形態のように、二つの撮像手段20によって異なる位置で光を撮像し、当該光の輪郭が同じ輪郭となることをもって平行光化が実現されているという手法とすれば、発光部材91とコリメートレンズ92の相対位置の調整(光学ユニット90の製造)を容易かつ正確に行うことができる。なお、撮像手段20を三つ以上用い、各撮像手段20によって撮像される光の輪郭が一致するように調整する構成としてもよい。
【0024】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0025】
上記実施形態にかかる光学ユニットの調整装置1(光学ユニット90の製造方法)では、複数の撮像手段20を用いていることを説明したが、撮像手段20は一つであってもよい。例えば、調整時において、発光部材91とコリメートレンズ92の一方の取付位置を正確に決めることができる装置の場合、他方の位置を調整し両者の相対位置が正しい位置となったときに、唯一の撮像手段20によって撮像される像の輪郭(中心座標とエッジ)は必ず所定の輪郭となるはずである。したがって、当該唯一の撮像手段20により上記第二工程を行う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 光学ユニットの調整装置
10 重心測定手段
20 撮像手段
21 第一撮像手段
22 第二撮像手段
90 光学ユニット
91 発光部材
911 発光部
92 コリメートレンズ