【解決手段】シールド電線11は、主電線20とシールド体30とを備える。シールド体30は、主電線20の周囲を囲む状態に結集された複数種類の周囲電線31を含む。周囲電線31は、それぞれ異なる金属材料を含む線状導体を有する。そして、複数種類の周囲電線31の全てまたは1種類を除く残りの全ては線状導体を含む芯線310および芯線310の周囲を覆う絶縁被覆311を有する絶縁電線である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0022】
<第1実施形態>
図1〜6を参照しつつ、第1実施形態に係るシールド電線11の構成について説明する。シールド電線11は、自動車等の車両に搭載される。
【0023】
シールド電線11は、シールド対象の主電線20と主電線20を覆うシールド体30とを備える。シールド体30は、主電線20の周囲を囲み電磁ノイズを遮蔽する。
【0024】
図1は、シールド電線11の主要部の概略側面斜視図である。
図2は、シールド電線11におけるシールド体30の一部の断面およびその付近の拡大図である。
図3は、シールド体30の側面の一部の拡大図である。
図4は、シールド体30の第1変形例に係るシールド体30Xの拡大図である。
【0025】
<主電線>
図1に示されるように、主電線20は、シールド体30により覆われる。
図1に示される例では、シールド体30が、3本の主電線20を一括して覆っている。なお、シールド体30のシールド対象が、1本の主電線20である場合、2本の主電線20である場合又は3本以上の主電線20である場合も考えられる。
【0026】
主電線20は、例えば、銅又はアルミニウムなどを主成分とする導体と、その導体の周囲を覆う絶縁被覆と、を有する被覆電線である。絶縁被覆は、ポリエチレン、塩化ビニル又はポリアミド系ナイロンなどを主成分とする合成樹脂の部材である。
【0027】
<シールド体>
シールド体30は、主電線20の周囲を囲む状態に結集された複数種類の周囲電線31を含む。本実施形態は、シールド体30が、複数種類の周囲電線31が編み込まれて筒状に形成された構造を有する場合の事例である。
【0028】
複数種類の周囲電線31は、それぞれ異なる金属材料を含む線状導体を有する。複数種類の周囲電線31の全てまたは1種類を除く残りの全ては線状導体を含む芯線310および芯線の周囲を覆う絶縁被覆311を有する絶縁電線である。
【0029】
本実施形態は、複数種類の周囲電線31の全てが絶縁電線である場合の事例である。
【0030】
周囲電線31は、例えば、エナメル線であることが考えられる。この場合、絶縁被覆311は、芯線310に塗布された絶縁塗料である。絶縁塗料としては、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂又はポリアミド(PA)系樹脂などが考えられる。また、周囲電線31の絶縁被覆311が、芯線310の周囲に押出成形によって形成された熱可塑性樹脂の被覆であることも考えられる。
【0031】
複数種類の周囲電線31の芯線310は、それぞれ異なる金属材料を含む複数種類の線状導体を含む。例えば、芯線310は、複数の線状導体(素線)の束である。また、芯線310が1本の線状導体からなる単線であることも考えられる。芯線310に含まれる線状導体としては、銅、鉄などの磁性体又はアルミニウムなどの金属材料が考えられる。
【0032】
例えば、周囲電線31の芯線310が銅を含む線状導体を含む場合、この周囲電線31は、電気抵抗およびインダクタンスが小さいという利点を有する。
【0033】
また、例えば、周囲電線31の芯線310が鉄などの磁性体を含む線状導体を含む場合、この周囲電線31は、磁気シールド性能に優れている。
【0034】
また、例えば、周囲電線31の芯線310がアルミニウムを含む線状導体を含む場合、この周囲電線31は、軽量であるという利点を有する。
【0035】
また、本実施形態においては、複数種類の周囲電線31各々は種類ごとに異なる色の絶縁被覆311を有している。換言すれば、同じ色の絶縁被覆311を有する周囲電線31は、それぞれ同種の金属材料の線状導体を有している。
【0036】
例えば、
図1〜3に示される例では、シールド体30は、2種類の周囲電線31が主電線20の周囲を囲む状態に結集された構造を有する。
【0037】
以下、必要に応じて、種類の異なる2種類の周囲電線31をそれぞれ周囲電線31Aおよび周囲電線31Bと区別して称する。また、便宜上、
図2〜6,9において、周囲電線31各々には種類ごとに模様の異なるハッチングが付されている。
【0038】
図3に示される例においては、複数の周囲電線31は、同種の電線が並列に並ぶとともに異種の電線が交差する状態で編み込まれている。この場合、周囲電線31Aと周囲電線31Bとが重なる部分を多数設けることができる。
【0039】
また、
図4に示されるシールド体30Xのように、複数の周囲電線31が、異種の電線が並列に並ぶとともに相互に交差する状態で編み込まれている場合も考えられる。他にも、周囲電線31Aおよび周囲電線31Bが不規則に編み込まれている場合も考えられる。
【0040】
また、シールド体30における周囲電線31Aと周囲電線31Bとの本数の比率は、同じであっても同じでなくてもよい。シールド体30Xにおいても同様である。なお、
図3,4は、周囲電線31Aの数と周囲電線31Bの数とが同じ比率である例を示す。
【0041】
例えば、昨今の車両の軽量化の要請を満たすシールド電線11が求められている場合、シールド電線11におけるシールド体30(30X)を、アルミニウムを含む芯線310を有する周囲電線31Aと銅を含む芯線310を有する周囲電線31Bとを用いて作ることにより、上記要請に応えることができる。また、この場合、シールド体30(30X)に含まれる周囲電線31Aの比率を上げることで、さらに軽量なシールド電線11を作ることもできる。もちろん、いずれにしてもシールド電線11のシールド性能が要求仕様を満足する範囲である。
【0042】
他にも、例えば、高周波帯のシールド性能に優れたシールド電線11が求められている場合、シールド電線11におけるシールド体30(30X)を、鉄などの磁性体を含む芯線310を有する周囲電線31Aと銅を含む芯線310を有する周囲電線31Bとを用いて作ることにより、上記要請に応えることができる。また、この場合、磁性体を含む周囲電線31Aの比率の高いシールド体30(30X)が採用されれば、より磁気シールド性能に優れたシールド電線11を作ることもできる。
【0043】
<効果>
本実施形態においては、芯線310に含まれる線状導体に使用する金属材料の組み合わせにより、例えば、シールド体30(30X)の軽量化に比重を置いたシールド電線11又は高周波帯のシールド性能の向上に比重を置いたシールド電線11などを任意に作ることができる。
【0044】
従って、シールド体30(30X)を備えるシールド電線11において、軽量化およびシールド性能などの多様な要求仕様に応じて適切なシールド体30(30X)を提供することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態においては、複数種類の周囲電線31の全てが、線状導体を含む芯線310および芯線310の周囲を覆う絶縁被覆311を有する絶縁電線である。この場合、表皮効果による高周波帯のシールド性能の低下を抑制するとともに、それぞれ異なる種類の金属材料を含む線状導体を有する周囲電線31間の異種金属接触腐食による電気抵抗の増大および断線を防止できる。これにより、シールド電線のシールド性能の低下を抑制できる。
【0046】
また、本実施形態においては、複数種類の周囲電線31各々は種類ごとに異なる色の絶縁被覆311を有している。この場合、異なる複数種類の周囲電線31の判別を容易に行うことができる。これにより、周囲電線31を結集させてシールド体30(30X)を作る作業および端末処理作業をより簡易に行うことが可能となる。さらに、シールド体30(30X)の廃棄時に、周囲電線31を芯線310(金属)の種類ごとに分別廃棄することも容易となる。
【0047】
また、本実施形態において、シールド電線11における周囲電線31の絶縁被覆311が高耐熱材料である場合、このシールド電線11におけるシールド体30(30X)の耐熱性が向上する。
【0048】
また、本実施形態において、周囲電線31がエナメル線の場合、周囲電線31の外径を小さくすることができる。これにより、シールド体30(30X)をよりコンパクトにすることができる。
【0049】
<第1実施形態:シールド体の応用例>
次に、
図5,6を参照しつつ、シールド電線11に適用可能なシールド体30Yの応用例について説明する。
図5は、シールド体30Yの一部の拡大側面図である。
【0050】
シールド体30Yは、シールド撚り線32を有する点でシールド体30(30X)と異なる。以下、シールド体30Yにおけるシールド体30(30X)と異なる点について説明する。
【0051】
シールド体30Yは、撚り合わされた複数種類の周囲電線31をそれぞれ含む同一のシールド撚り線32を含む。そして、シールド体30Yは、シールド撚り線32が主電線20の周囲を囲む状態に結集された構造を有する。
【0052】
図5が示す例は、シールド体30Yが、複数のシールド撚り線32が編み込まれて筒状に形成された構造を有する場合の例である。
図6は、シールド撚り線32単体の側方斜視図である。
【0053】
図5に示される例においては、シールド体30Yは、2種類の周囲電線31Aおよび周囲電線31Bを有する。即ち、
図5に示される例においては、シールド体30Yが、周囲電線31Aと周囲電線31Bとが撚り合わされたシールド撚り線32が主電線20の周囲を囲む状態に結集された構造を有する。
【0054】
シールド体30Yが適用されたシールド電線11においては、複数種類の周囲電線31の芯線310(金属)が、シールド撚り線32各々に均一に配分された状態になる。さらに、シールド体30Yが変形しても、複数種類の芯線310の均一な分布状態が崩れにくい。
【0055】
従って、シールド体30Yの場所ごとのシールド性能をより均一にすることができ、シールド体30Yの一部においてシールド性能が特に悪化するといった状況を回避する事が可能となる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、
図7〜9を参照しつつ、第2実施形態に係るシールド電線12について説明する。
【0057】
シールド電線12は、シールド電線11におけるシールド体30とは周囲電線31の並びの構造が異なるシールド体40を有する。以下、シールド電線12におけるシールド電線11と異なる点について説明する。
【0058】
図7は、シールド電線12の側方斜視図である。本実施形態において、シールド電線12は、それぞれ主電線20の長手方向に沿っているとともに主電線20の周囲に並んだ複数種類の周囲電線31を有する筒状のシールド体40を備える。従って、シールド体40において、複数の周囲電線31は交差せずに並列に並んでいる。
【0059】
図7〜9に示される例では、シールド体40は、2種類の周囲電線31を含む。なお、
図9に示す例では、種類の異なる周囲電線31をそれぞれ周囲電線31Aおよび周囲電線31Bと区別して称する。
【0060】
シールド体40において、複数の周囲電線31が、主電線20を囲む筒状に形成される前に、並列に並んだ状態でひと繋がりに連結されていることが考えられる。
図8は、シールド体40を構成する周囲電線の連結構造の一例を示した側面斜視図である。
【0061】
図8が示す例では、周囲電線31各々の絶縁被覆311は、芯線310の周囲に押出成形によって形成された熱可塑性樹脂の被覆である。さらに、並列に並ぶ複数の周囲電線31の両端部各々において、隣り合う周囲電線31の絶縁被覆311同士が部分的に相互に接着されている。
【0062】
図8が示す例では、隣り合う周囲電線31の絶縁被覆311の端部における相互に接触する部分にスポット状の接着部90が形成されている。接着部90は、例えば熱可塑性樹脂の絶縁被覆311同士の溶着部である。また、接着部90が、絶縁被覆311同士が接着剤によって接着された部分であることも考えられる。これにより、複数の周囲電線31がシート状に一体になったシールド体40が得られる。
【0063】
その後、このシート状のシールド体40が主電線20の周囲を取り囲むように筒状に巻かれる。その結果、筒状のシールド体40が得られる。筒状のシールド体40は、2種類の周囲電線31が主電線20の周囲を囲む状態に結集された構造を有する。
【0064】
図9(a)〜(c)は、シールド電線12のシールド体40における周囲電線31の配列のいくつかの具体例を示した図である。
【0065】
図9(a)に示される例では、シールド体40は、周囲電線31Aおよび31Bが1本ずつ交互に並んだ形態を有する。
【0066】
図9(b)に示される例では、シールド体40は、並列にならんだ複数の周囲電線31Aを含む周囲電線群3Aと並列にならんだ複数の周囲電線31Bを含む周囲電線群3Bとが交互に並んだ形態を有する。
図9(b)に示される例は、周囲電線群3Aが2本の周囲電線31Aを含み、周囲電線群3Bが2本の周囲電線31Bを含む場合の例である。なお、周囲電線群3Aに含まれる周囲電線31Aの数と周囲電線群3Bに含まれる周囲電線31Bの数とが異なる場合も考えられる。
【0067】
図9(c)に示される例では、シールド体40は、周囲電線31Aと周囲電線31Bとが撚り合わされたシールド撚り線32が並列に並んだ形態を有する。
【0068】
本実施形態においても、第1実施形態と同様、シールド体40を備えるシールド電線12において、軽量化およびシールド性能などの多様な要求仕様に応じて適切なシールド体40を提供することが可能となる。
【0069】
また、
図9(c)に示される例においては、シールド体40の場所ごとのシールド性能をより均一にすることができ、シールド体40の一部においてシールド性能が特に悪化するといった状況を回避する事が可能となる。
【0070】
<第1応用例>
次に、
図10を参照しつつ、第1実施形態におけるシールド電線11および第2実施形態におけるシールド電線12に適用可能な周囲電線61について説明する。
図10は、周囲電線61の断面図である。なお、
図10において、
図1〜9に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0071】
本例において、周囲電線61の絶縁被覆610は、積層した複数の被覆層を有する。
図10が示す例は、周囲電線61の絶縁被覆610が積層した2層の被覆層を有する場合の例である。
【0072】
図10に示されるように、周囲電線61の絶縁被覆610は内側に形成された第一被覆611と第一被覆611の外側に形成された第二被覆612とを有する。第二被覆612は、第一被覆611よりも自己潤滑性が高い合成樹脂を含む。
【0073】
第一被覆611および第二被覆612は、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂又はポリアミド(PA)系樹脂などの絶縁塗料又は押出成形によって形成された熱可塑性樹脂の被覆である場合などが考えられる。一般的に自己潤滑性が高い合成樹脂としては、ポリアミド(PA)系樹脂またはポリアミドイミド(PAI)系樹脂などが考えられる。例えば、
図10に示される例において、周囲電線61の絶縁被覆610における第一被覆611がウレタン樹脂であり、第二被覆612がポリアミド(PA)系樹脂である場合などが考えられる。
【0074】
周囲電線61がシールド電線11又は12に適用された場合、自己潤滑性の高い第二被覆612が周囲電線61の最外層を形成しているため、周囲電線61同士が接触することによる摩擦抵抗が軽減する。
【0075】
従って、周囲電線61が適用されたシールド電線11においては、周囲電線61同士の摩擦抵抗を低減できる。この場合、シールド電線11作成時および配線作業の際にシールド体30,40を曲げやすく、さらに、シールド体30,40が一時的に曲げられて元の形状に戻されたときに、シールド体30,40における複数種類の周囲電線61が均一に分配された元の状態に戻りやすい。
【0076】
なお、周囲電線61の絶縁被覆610が、3層以上の被覆層を有する場合も考えられる。この場合、絶縁被覆610の最外層が、自己潤滑性が高いポリアミド(PA)系樹脂などの合成樹脂を含む。
【0077】
<参考例>
次に、
図11を参照しつつ、第1実施形態におけるシールド電線11および第2実施形態におけるシールド電線12に適用可能な参考例に係る周囲電線71について説明する。
図11は、周囲電線71の断面図である。なお、
図11において、
図1〜10に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0078】
図11に示される例においては、周囲電線71は、複数の芯線310と絶縁被覆711とを有する。複数の芯線310に含まれる線状導体は、それぞれ異なる金属材料を含む線状導体を含む。
【0079】
図11が示す例は、周囲電線71が2種類の芯線310を有する例である。以下、種類の異なる2種類の芯線310をそれぞれ芯線310Pおよび芯線310Qと区別して称する。なお、周囲電線71が、3種類以上の異なる金属材料を含む芯線310を有している場合も考えられる。
【0080】
絶縁被覆711は、複数の芯線310の周囲を一括して覆う。絶縁被覆711は、第1実施形態と同様、ウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂又はポリアミド(PA)系樹脂などの絶縁塗料又は押出成形によって形成された熱可塑性樹脂の被覆であることなどが考えられる。
【0081】
複数種類の周囲電線31によりシールド体30(30X)が構成される第1実施形態に係るシールド電線11とは異なり、本参考例に係る周囲電線71が適用されたシールド電線11においては、シールド体30(30X)は、1種類の周囲電線71が主電線20の周囲を囲む状態に結集された構造を有する。
【0082】
本参考例に係る周囲電線71がシールド電線11に適用された場合においても、シールド体30(30X)の場所ごとのシールド性能を均一にすることができ、シールド体30(30X)の一部においてシールド性能が特に悪化するといった状況を回避する事が可能となる。なお、第2実施形態に係るシールド電線12においても同様である。
【0083】
<第2応用例>
次に、
図12を参照しつつ、第1実施形態におけるシールド電線11に適用可能な第2応用例に係るシールド体30Zについて説明する。
図12は、筒状に編まれたシールド体30Zの一部の断面およびその付近の拡大図である。なお、
図12において、
図1〜11に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0084】
シールド体30Zは、1種類の裸電線である周囲電線31と1種類もしくは複数種類の絶縁電線である周囲電線31とを含む。即ち、シールド体30Zは、1種類の裸電線と1種類もしくは複数種類の絶縁電線とで構成されている。
【0085】
図12が示す例は、シールド体30Zが、1種類の裸電線である周囲電線31と1種類の絶縁電線である周囲電線31とを含む場合の例である。以下、裸電線である周囲電線31を周囲電線31Cと称し、絶縁電線である周囲電線31を周囲電線31Aと称する。また、便宜上、
図12においては、周囲電線31Aおよび周囲電線31Cには種類ごとに模様の異なるハッチングが付されている。
【0086】
図12に示されるように、周囲電線31Cは、金属材料の線状導体を含む芯線310のみを有する。
【0087】
周囲電線31Cが有する芯線310と周囲電線31Aが有する芯線310とは、それぞれ異なる金属材料の線状導体を含む。例えば、周囲電線31Cの芯線310が銅を含む線状導体を含み、周囲電線31Aにおける芯線310がアルミニウムを含む線状導体を含んでいる場合等が考えられる。
【0088】
シールド体30Zが適用されたシールド電線11においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、シールド体30Zにおいては、周囲電線31Aが有する絶縁被覆311により、周囲電線31Cにおける芯線310と周囲電線31Aにおける芯線310との間の異種金属接触腐食が防止される。即ち、表皮効果による高周波帯のシールド性能の低下を抑制するとともに、それぞれ異なる種類の金属材料を含む線状導体を有する周囲電線31Aと周囲電線31Cとの間の異種金属接触腐食による電気抵抗の増大および断線を防止できる。これにより、シールド性能の低下を抑制できる。
【0089】
また、
図12が示す例においては、シールド体30Zの周囲電線31Aと周囲電線31Cとが、同種の電線が並列に並ぶとともに異種の電線が交差する状態で編み込まれている。しかしながら、
図4に示されるシールド体30Xのように、周囲電線31Aおよび周囲電線31Cが、異種の電線が並列に並ぶとともに相互に交差する状態で編み込まれている場合も考えられる。他にも、周囲電線31Aおよび周囲電線31Cが不規則に編み込まれている場合も考えられる。
【0090】
また、シールド体30Zが、第2実施形態に示されるシールド体40のように、複数の周囲電線31Aと複数の周囲電線31Cとが並列に並んで筒状に形成された形態であってもよい。
【0091】
<その他の応用例>
シールド体30を構成する周囲電線31の芯線310が、異なる複数種類の金属材料の線状導体で形成されている場合も考えられる。この場合、シールド体30の場所ごとのシールド性能を均一にすることができ、シールド体30の一部においてシールド性能が特に悪化するといった状況を回避する事が可能となる。シールド体30Xおよびシールド体40においても同様である。
【0092】
また、シールド撚り線32が、3種類以上の周囲電線31を含む場合も考えられる。また、シールド撚り線32が、周囲電線31Aと周囲電線31Cとを含む場合も考えられる。
【0093】
また、シールド体30が、周囲電線31の他にさらに、非金属の線材を含む場合も考えられる。この場合、シールド体30全体の重量の増加を抑えて、シールド体30の強度を向上させることが可能となる。シールド体30Xおよびシールド体40においても同様である。例えば、非金属の線材が、綿糸又は芳香族ポリアミド(PA)繊維などであることが考えられる。
【0094】
また、シールド電線11,12における周囲電線31の絶縁被覆311がポリアミド(PA)系樹脂又はポリアミドイミド(PAI)系樹脂などの自己潤滑性の高い合成樹脂である場合、周囲電線31同士の摩擦抵抗を低減することができる。これにより、シールド電線11の作成時および配線作業の際にシールド体30(30X)を曲げやすく、さらに、シールド体30(30X)が一時的に曲げられて元の形状に戻されたときに、シールド体30(30X)における複数種類の周囲電線31が均一に分配された元の状態に戻りやすい。
【0095】
なお、本発明に係るシールド電線は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態、各実施形態の応用例及びその他の応用例を自由に組み合わせること、或いは各実施形態、各実施形態の応用例及びその他の応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。