(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-153595(P2015-153595A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】車載用電気機器および車載用電気機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20150728BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20150728BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20150728BHJP
【FI】
H01R13/52 301F
H01R12/71
H01R43/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-26018(P2014-26018)
(22)【出願日】2014年2月14日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
(72)【発明者】
【氏名】松本 真
【テーマコード(参考)】
5E051
5E087
5E123
【Fターム(参考)】
5E051BA02
5E051BA08
5E051BB05
5E087EE11
5E087FF03
5E087GG01
5E087JJ09
5E087LL04
5E087LL14
5E087MM04
5E087RR06
5E087RR12
5E123AA21
5E123AB15
5E123AC03
5E123AC04
5E123AC12
5E123BA01
5E123BA07
5E123CB24
5E123CB31
5E123CD01
5E123DB09
5E123EA31
5E123EA36
(57)【要約】
【課題】基板およびそれに実装されるコネクタを備えた車載用電気機器において、コネクタの端子を覆う防水材料の剥離を抑制すること。このような車載用電気機器を容易に製造することができる製造方法を提供すること。
【解決手段】導電パターンが形成された基板2と、導電パターンに接続された端子20、およびこの端子20が固定されたハウジング10を有するコネクタ3と、を備え、ハウジング10には、凹部11および凸部12の少なくともいずれか一方である剥離防止部が形成されており、剥離防止部および端子20におけるハウジング10から露出した部分を覆う防水材料からなる防水部30が形成されている車載用電気機器1とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電パターンが形成された基板と、
前記導電パターンに接続された端子、およびこの端子が固定されたハウジングを有するコネクタと、
を備え、
前記ハウジングには、凹部および凸部の少なくともいずれか一方である剥離防止部が形成されており、
当該剥離防止部および前記端子における前記ハウジングから露出した部分を覆う防水材料からなる防水部が形成されていることを特徴とする車載用電気機器。
【請求項2】
前記剥離防止部である凹部または凸部は、先端側の断面積よりも根元側の断面積の方が小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車載用電気機器。
【請求項3】
前記ハウジングは、相手方コネクタが嵌合する嵌合空間の内底面を構成するとともに、前記端子が固定される底壁部を有し、
当該底壁部の側面に、前記剥離防止部である凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用電気機器。
【請求項4】
前記基板には貫通孔が形成されており、
前記防水部は当該貫通孔を通じて前記基板の表面側および裏面側に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車載用電気機器。
【請求項5】
前記防水部を覆うカバー部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車載用電気機器。
【請求項6】
請求項5に記載の車載用電気機器の製造方法であって、
前記コネクタが実装された前記基板に、前記カバー部材を取り付ける工程と、
前記ハウジングと前記カバー部材の間の空間に防水材料を流し込み、前記防水部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする車載用電気機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水対策が施された車載用電気機器およびその製造方法に関する
【背景技術】
【0002】
このような車載用電気機器として、下記特許文献1に記載されるものが公知である。かかる機器は、基板全体を防水材料で覆うことにより、基板の防水性能を向上させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−84277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車載用電気機器のように、基板全体を防水材料で覆うとコストが嵩むため、防水処理が必要な部分のみを防水材料で覆う形態とすることが望ましい。しかし、防水材料を局所的に付着させた構成とすると、温度変化や外力の作用によって接合面が剥離する可能性がある。防水材料とそれを付着させる材料の組み合わせによっては、その蓋然性がさらに高くなる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基板およびそれに実装されるコネクタを備えた車載用電気機器において、コネクタの端子を覆う防水材料の剥離を抑制することにある。また、このような車載用電気機器を容易に製造することができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかる車載用電気機器は、導電パターンが形成された基板と、前記導電パターンに接続された端子、およびこの端子が固定されたハウジングを有するコネクタと、を備え、前記ハウジングには、凹部および凸部の少なくともいずれか一方である剥離防止部が形成されており、当該剥離防止部および前記端子における前記ハウジングから露出した部分を覆う防水材料からなる防水部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
前記剥離防止部である凹部または凸部は、先端側の断面積よりも根元側の断面積の方が小さくなるように形成されているとよい。
【0008】
前記ハウジングは、相手方コネクタが嵌合する嵌合空間の内底面を構成するとともに、前記端子が固定される底壁部を有し、当該底壁部の側面に、前記剥離防止部である凹部が形成されているとよい。
【0009】
前記基板には貫通孔が形成されており、前記防水部は当該貫通孔を通じて前記基板の表面側および裏面側に形成されているとよい。
【0010】
前記防水部を覆うカバー部材が設けられているとよい。
【0011】
上記課題を解決するために本発明にかかる車載用電気機器の製造方法は、上記カバー部材が設けられた車載用電気機器の製造方法であって、前記コネクタが実装された前記基板に、前記カバー部材を取り付ける工程と、前記ハウジングと前記カバー部材の間の空間に防水材料を流し込み、前記防水部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる車載用電気機器は、ハウジングに形成された凹部および凸部の少なくともいずれか一方である剥離防止部が形成され、保護対象である端子と当該剥離防止部を覆うように防水部が形成される。そのため、防水部とハウジングとの接触面積が増加し、防水部とハウジングの接合強度が向上する。また、剥離される方向への外力に対する防水部の抵抗力が上昇するから、防水部が剥離しにくい。さらに、剥離防止部である凹部や凸部は、水等の浸入を妨げる障壁にもなる。
【0013】
剥離防止部である凹部または凸部が、先端側の断面積よりも根元側の断面積の方が小さくなるように形成されていれば、接触面積の増加による接合強度の向上が見込める。また、防水部を剥離するためには、広げたり、潰したりするように防水部の一部を変形させる必要があるから、剥離に対する抵抗力がさらに上昇する。
【0014】
底壁部の側面に剥離防止部である凹部が形成されていれば、凹部を形成することによるハウジングの機械的強度の低下を抑制することができる。また、凹部を形成可能にするために底壁部を厚くすることで、ハウジングに対する端子の固定強度が向上する。つまり、ハウジングの機械的強度の低下およびハウジングに対する端子の固定強度の向上という二つの利点がある。
【0015】
基板に貫通孔を形成し、防水部が基板の表面側および裏面側に形成されるようにすれば、基板を挟むようにして防水部が基板の両側に形成された態様となるから、さらに防水部が剥離しにくくなる。
【0016】
防水部を覆うカバー部材が設けられていれば、さらに防水部が剥離しにくくなる。
【0017】
上記カバー部材は、製造工程において、防水部を形成するための型機能を発揮する部材として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第一実施形態にかかる車載用電気機器の外観図である。
【
図2】本発明の第一実施形態にかかる車載用電気機器の断面を模式的に示した図である。
【
図3】本発明の第二実施形態にかかる車載用電気機器の断面を模式的に示した図である。
【
図4】本発明の第三実施形態にかかる車載用電気機器の断面を模式的に示した図である。
【
図5】本発明の第四実施形態にかかる車載用電気機器の断面を模式的に示した図である。
【
図6】本発明の第五実施形態にかかる車載用電気機器の断面を模式的に示した図である。
【
図7】本発明の第六実施形態にかかる車載用電気機器(カバー部材が基板の表面側にのみ設けられたもの)の外観図である。
【
図8】本発明の第六実施形態にかかる車載用電気機器(カバー部材が基板の表面側にのみ設けられたもの)の断面を模式的に示した図である。
【
図9】本発明の第六実施形態にかかる車載用電気機器(カバー部材が基板の表面側および裏面側に設けられたもの)の断面を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、特に明示した場合を除き、以下の説明における前後方向とは各断面図(
図1および
図7以外)の左右方向であって相手方コネクタ3の嵌合方向に沿う方向(相手方コネクタ3が嵌合する側を前とする)をいい、上下方向とは各断面図の上下方向(基板2側を下とする)をいい、幅方向とは前後方向および上下方向に直交する方向をいうものとする。また、平面方向とは、基板2の表面に平行な方向をいうものとする。
【0020】
本発明の実施形態にかかる車載用電気機器1は、水、湿気等から電気的要素を守る防水機能を有するものである。
図1および
図2に示す第一実施形態にかかる車載用電気機器1aは、基板2およびこの基板2に実装されたコネクタ3を備える。基板2には、実装された各種素子や導電パターンによって所定の回路が構築されている。
【0021】
コネクタ3は、本実施形態にかかる車載用電気機器1aと外部の機器とを電気的に接続するためのものである。コネクタ3は、ハウジング10および端子20を有する。ハウジング10は、その前方に相手方コネクタのハウジング10が嵌合可能な嵌合部を有する。かかるハウジング10の嵌合構造については、公知の構造が適用できるから説明は省略する。
【0022】
ハウジング10には、剥離防止部として機能する凹部11が形成されている。本実施形態における凹部11は、ハウジング10の内底面を構成する底壁部13の側面に形成されている。つまり、底壁部13の厚み(前後方向の大きさ)は凹部11の幅(前後方向の大きさ)よりも大きい。それゆえ、凹部11の深さが深くなっても、当該凹部11がハウジング10の空間に届くような貫通孔とはならない。凹部11の幅(前後方向の大きさ)を大きくする場合には、それに合わせて底壁部13の厚み(前後方向の大きさ)を大きくすることになる。凹部11は、ハウジング10の上面および幅方向両側面の全体に亘るように形成されている。
【0023】
端子20は、ハウジング10の後方に固定されている。具体的には、端子20は、前後方向に延びる部分21とその後端から屈曲する上下方向に延びる部分22を有し、前後方向に延びる部分21がハウジング10の内底面を構成する底壁部13を貫くようにしてハウジング10に固定されている。例えば、端子20の前後方向に延びる部分21が、ハウジング10の底壁部13に圧入されることによって固定される。したがって、底壁部13が厚くなればなるほど(前後方向の大きさが大きくなればなるほど)、固定代が大きくなるため、ハウジング10に対する端子20の固定強度が増す。端子20の上下方向に延びる部分22は、その下端側が基板2に形成された導電パターン(ランド)にはんだ付け等により接続されている。つまり、かかる端子20と導電パターンの接続により、端子20と導電パターンの電気的接続、コネクタ3と基板2の物理的接続が図られている。なお、コネクタと基板2の物理的接続を図るその他の要素が設けられていてもよい。
【0024】
基板2に対し実装されたコネクタ3の端子20は、前後方向に延びる部分21の一部(ハウジング10の底壁部13内に挿入された部分より後方の部分)および上下方向に延びる部分22がハウジング10から露出した状態にある。かかる端子20の露出した部分を覆うように防水部30が形成されている。防水部30は、端子20の露出した部分と、剥離防止部である凹部11を覆うようにして形成される。より具体的には、防水材料がその粘性により、ハウジング10、端子20および基板2の所定部位に接合されることにより形成される。
【0025】
このような防水部30を形成することにより、端子20におけるハウジング10から露出した部分を保護することができる。ハウジング10には防水部30によって覆われる凹部11が形成されているため、防水部30とハウジング10との接触面積が増加し、防水部30とハウジング10の接合強度が向上する。また、凹部11により、剥離される方向への外力に対する防水部30の抵抗力が上昇するから、防水部30が剥離しにくい。さらに、剥離防止部である凹部11は、水等の浸入を妨げる障壁にもなる。
【0026】
また、底壁部13の側面に剥離防止部である凹部11が形成されているため、凹部11を形成することによるハウジング10の機械的強度の低下が抑制される。しかも、凹部11を形成可能にするために底壁部13の厚みは比較的大きく設定されるから、底壁部13に固定される端子20の固定強度が向上する。つまり、底壁部13を凹部11が形成可能な程度に厚みを大きくすることは、凹部11を形成することによるハウジング10の機械的強度の低下の抑制につながるだけでなく、ハウジング10に対する端子20の固定強度の向上にもつながる。
【0027】
図3に示す第二実施形態にかかる車載用電気機器1bは、剥離防止部として凸部12が形成されたものである。防水部30は、端子20の露出した部分と、剥離防止部である凸部12を覆うようにして形成される。かかる構造としても、防水部30とハウジング10との接触面積が増加するから、防水部30とハウジング10の接合強度が向上する。また、凸部12により、剥離される方向への外力に対する防水部30の抵抗力が上昇するから、防水部30が剥離しにくい。さらに、剥離防止部である凸部12は、水等の浸入を妨げる障壁にもなる。
【0028】
第三実施形態にかかる車載用電気機器1cは、ハウジング10に形成された剥離防止部としての凹部11が、先端側の断面積よりも根元側の断面積の方が小さくなるように形成されたものである。かかる条件を満たす凹部11の形状としては
図4(a)〜(c)に示すように種々考えられる(凹部11a、11b、11c)。防水部30は、端子20の露出した部分と、当該凹部11a、11b、11cを覆うようにして形成される。凹部11a、11b、11cをこのような形状とすれば、接触面積の増加による接合強度の向上が見込める。また、剥離する方向の力が防水部30に作用したとき、凹部11a、11b、11c内に入り込んだ防水材料が凹部11a、11b、11cの狭い入口によって潰れるように変形したり、当該入口に引っ掛かったりすることになるから、剥離に対する抵抗力がさらに上昇する。
【0029】
第四実施形態にかかる車載用電気機器1dは、ハウジング10に形成された剥離防止部としての凸部12が、先端側の断面積よりも根元側の断面積の方が小さくなるように形成されたものである。かかる条件を満たす凸部12の形状としては
図5(a)〜(c)に示すように種々考えられる(凸部12a、12b、12c)。防水部30は、端子20の露出した部分と、当該凸部12a、12b、12cを覆うようにして形成される。凸部12a、12b、12cをこのような形状とすれば、接触面積の増加による接合強度の向上が見込める。また、剥離する方向の力が防水部30に作用したとき、凸部12a、12b、12cを挟む防水材料が、断面積が大きい凸部12a、12b、12cの先端側の部位によって広がるように変形したり、当該先端側の部位に引っ掛かったりすることになるから、剥離に対する抵抗力がさらに上昇する。
【0030】
上記第一実施形態〜第四実施形態は、ハウジング10に凹部11または凸部12が形成されたものであるが、一のハウジング10に凹部11や凸部12が複数形成された構成としてもよい(凹部11と凸部12が混在した構成としてもよい)。
【0031】
図6に示す第五実施形態にかかる車載用電気機器1eは、防水部30が基板2の表面側(コネクタ3が実装される側)だけでなく、裏面側(コネクタ3が実装されない側)にも形成されているものである。基板2には、防水材料が基板2の一方側から他方側に行き渡るようにするための一または複数の貫通孔2aが形成されている。端子20における露出した部分全体を確実に覆うのでれば、
図6に示されるように端子20(上下方向に延びる部分22)を前後方向に挟むように複数の貫通孔2aが形成されているとよい。この貫通孔2aを通じて表側の防水部30と裏側の防水部30は繋がっている。かかる構造とすれば、基板2を挟むようにして防水部30が基板2の両側に形成された態様となるから、さらに防水部30が剥離しにくくなる。端子20が基板2の裏面ではんだ付けされる態様であれば、当該はんだ付けされた部分も防水部30で覆われることとなる。
【0032】
本実施形態において、ハウジング10に形成される凹部11または凸部12はどのような形状であってもよい。つまり、上記第一〜第四実施形態における凹部11または凸部12を、一または複数個所ハウジング10に形成した態様であればよい。
【0033】
図7〜
図9に示す第六実施形態にかかる車載用電気機器1fは、防水部30を覆うカバー部材40が取り付けられたものである。カバー部材40はねじ等によって基板2に固定することができる構成であるとよい。基板2の表面側にのみ防水部30が形成される構成とするのであれば、基板2の表面側にのみカバー部材40を設ければよい(
図7および
図8参照)。具体的には、防水部30の上面、後面、および幅方向両側面を覆うカバー部材40とする。基板2の両側に防水部30が形成される構成とするのであれば、防水部30を挟み込むようにしてカバー部材40が取り付けられていればよい(
図9参照)。具体的には、防水部30の上面(基板2表面側)および下面(基板2裏面側)、後面(基板2表面側、裏面側両方)、および幅方向両側(基板2表面側、裏面側両方)を覆うカバー部材40とする。カバー部材40の基板2表面側の部分と、基板2裏面側の部分とは、直接連結されていることが好ましい。
【0034】
このような構成とすれば、防水部30がさらに剥離しにくくなる。なお、カバー部材40は防水部30の全体を覆う形状であることが好ましいが、一部防水部30が露出するような形状であっても、防水部30の剥離抑制機能を発揮する。具体的には、カバー部材40は、基板2との間に防水部30の少なくとも一部を挟み込むような形状であればよい。
【0035】
上記第六実施形態にかかる車載用電気機器1fの好適な製造方法は次の通りである。まず、コネクタ3が実装された基板2に、カバー部材40を取り付ける(カバー部材40取付工程)。防水部30を基板2の表面側にのみ形成するのであれば基板2の表面側にのみ、防水部30を基板2の両側に形成するのであれば基板2の両側にカバー部材40を取り付ける。カバー部材40は、前方が開口し、それ以外の箇所が封鎖された形状であることが望ましい。
【0036】
カバー部材40を基板2に取り付けた後、ハウジング10とカバー部材40の間の空間に防水材料を流し込み、防水部30を形成する(防水部30形成工程)。空気だまりが生じないように防水材料を流し込めば、流し込まれた防水材料は、カバー部材40とハウジング10の間の空間形状に形成される。
【0037】
防水部30を基板2の表面側にのみ形成するのであれば、予め基板2やカバー部材40に空気逃がし用の孔を形成しておくとよい。つまり、防水材料が勢いよく流れ出てしまわない程度の小さい孔を形成しておくことで、防水材料を注ぎ込む際に空気だまりができてしまうことを防止できる。空気逃がし用の孔は、防水材料を注ぎ込む入口からできるだけ離れた箇所(できるだけ奥側)に形成するとよい。
【0038】
防水部30を基板2の両側に形成する場合には、防水材料を基板2の一方側におけるハウジング10とカバーの間の開口から注ぎ込む。そうすると、基板2に形成された貫通孔2aを通じて、基板2の他方側にも防水材料が行き渡ることとなる。防水材料を基板2の一方側から注ぎ込む際、空気は基板2の他方側におけるハウジング10とカバーの間の開口から逃げていくことになるから、空気だまりが生じてしまうことがない。
【0039】
このような製造方法によれば、防水部30の剥離を抑制するためのカバー部材40を、防水部30を成形するための部材として利用することができる。つまり、カバー部材40を、防水部30の剥離を抑制する部材としてだけでなく、防水部30を形成するための型機能を発揮する部材として利用することもできる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1(1a、1b、1c、1d、1e、1f) 車載用電気機器
2 基板
2a 貫通孔
3 コネクタ
10 ハウジング
11(11a、11b、11c) 凹部
12(12a、12b、12c) 凸部
13 底壁部
20 端子
30 防水部