特開2015-153661(P2015-153661A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-153661(P2015-153661A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20150728BHJP
【FI】
   H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-27687(P2014-27687)
(22)【出願日】2014年2月17日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】前岨 宏芳
(72)【発明者】
【氏名】牧 知秀
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 克司
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB13
5E021FB20
5E021FC31
5E021HA01
5E021HA07
(57)【要約】
【課題】コネクタの嵌合作業を円滑に進め、組み立ての作業性を改善する。
【解決手段】コネクタ10は、ソレノイド40に設置された相手ハウジング80に嵌合可能なハウジング20と、ソレノイド40が組み込まれるバルブボディ50の位置する側に配置されて、ハウジング20を嵌合方向と交差する方向に揺動可能に支持するものであり、バルブボディ50にソレノイド40が組み込まれるのに伴い、ハウジング20を、相手ハウジング80との嵌合状態に至らす揺動支持部61とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイドに設置された相手ハウジングに嵌合可能なハウジングと、
前記ソレノイドが組み込まれるバルブボディの位置する側に配置されて、前記ハウジングを嵌合方向と交差する方向に揺動可能に支持するものであり、前記バルブボディに前記ソレノイドが組み込まれるのに伴い、前記ハウジングを、前記相手ハウジングとの嵌合状態に至らす揺動支持部とを備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記揺動支持部は、前記ハウジングから引き出された電線を覆うカバーに一体に設けられていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングの両側面には、一対の翼部が突出して設けられ、前記揺動支持部は、前記翼部を包囲する一対の包囲部を有し、前記包囲部内に前記翼部が変位可能に収容されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のコネクタは、相手ハウジング(レセプタクルコネクタハウジング)に嵌合可能なハウジング(プラグコネクタハウジング)を備えている。ハウジングは、複数の弾性係合部を有している。そして、ハウジングは、パネル隔壁に設けられた穴部に挿入され、各弾性係止部が穴部の周縁部に当接することで、パネル隔壁に対して嵌合方向と直交する方向に揺動可能に支持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−190720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のコネクタは、ハウジングがパネル隔壁の穴部に挿入された状態で、ハウジングが各弾性係止部を介して嵌合方向と直交する方向に揺動変位することにより、両ハウジングの嵌合誤差を吸収できるようになっている。したがって、パネル隔壁の穴部に相当する構造を有しないものには、上記コネクタの技術を実質的に適用することができないという事情がある。例えば、電子制御ユニットや油圧センサ等とともにコネクタが搭載される自動変速機の油圧制御装置の場合、全体の構成が複雑になるため、相手ハウジングに対するハウジングの嵌合作業に手間取ると、他の部品の組み付け作業にも支障を来たし、作業効率が大幅に低下するという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタの嵌合作業を円滑に進め、組み立ての作業効率を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ソレノイドに設置された相手ハウジングに嵌合可能なハウジングと、前記ソレノイドが組み込まれるバルブボディの位置する側に配置されて、前記ハウジングを嵌合方向と交差する方向に揺動可能に支持するものであり、前記バルブボディに前記ソレノイドが組み込まれるのに伴い、前記ハウジングを、前記相手ハウジングとの嵌合状態に至らす揺動支持部とを備えているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
バルブボディにソレノイドが組み込まれると、ハウジングと相手ハウジングとが嵌合状態に至るため、ソレノイドの組み込み作業とコネクタの嵌合作業とを別々に行う必要がなく、組み立ての作業効率が改善される。ソレノイドがバルブボディに組み込まれる際に、仮に、ハウジングが相手ハウジングとの正規の嵌合位置から位置ずれしていても、揺動支持部によってハウジングの位置ずれが吸収されるため、コネクタの嵌合作業を円滑に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1のコネクタにおいて、ソレノイドの組み付け前、相手ハウジングにハウジングが対向して配置された状態を示す斜視図である。
図2】ソレノイドの組み付けに伴い、相手ハウジングにハウジングが正規嵌合された状態を示す斜視図である。
図3図2の平面視方向の断面図である。
図4図2の側面視方向の断面図である。
図5】カバーに設けられた複数の揺動支持部に揺動支持されたハウジングを示す斜視図である。
図6】コネクタを正面側から見た斜視図である。
図7】コネクタを背面側から見た斜視図である。
図8】コネクタを背面側から見た断面図である。
図9図8のA−A線断面図である。
図10】ハウジングを正面側から見た斜視図である。
図11】ハウジングを背面側から見た斜視図である。
図12】ハウジングの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
前記揺動支持部は、前記ハウジングから引き出された電線を覆うカバーに一体に設けられている。これによれば、揺動支持部とカバーとが別々に設けられる場合に比べ、構成が簡素化されるとともに、部品点数が削減される。
【0010】
前記ハウジングの両側面には、一対の翼部が突出して設けられ、前記揺動支持部は、前記翼部を包囲する一対の包囲部を有し、前記包囲部内に前記翼部が変位可能に収容されている。これによれば、揺動支持部を比較的簡単な構成にすることができる。
【0011】
<実施例>
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本実施例のコネクタ10は、自動車のオートマチックトランスミッションの油圧制御装置90に設けられる場合を例示するものであって、合成樹脂製のハウジング20と、同じく合成樹脂製のカバー60とを備えている。
【0012】
図1及び図2に示すように、油圧制御装置90は、詳細は図示しないが、カバー60と、そのカバー60に高さ方向に積層状に配置されるバルブボディ50とを備えている。バルブボディ50には、複数のソレノイド40が組み込まれる。ハウジング20は、カバー60に、ソレノイド40の個数に応じて複数設置されている。
【0013】
図1に示すように、ソレノイド40は、略円筒状をなし、電磁部41と電磁部41から突出する弁部42とを有している。電磁部41の外周面には、ハウジング20の嵌合相手となる相手ハウジング80が高さ方向に突出して設けられている。一方、バルブボディ50には、ソレノイド40の弁部42が挿入される複数のバルブ挿入部51が設けられている。バルブ挿入部51は、弁部42との間に油圧制御のための油圧回路を構成する。
【0014】
バルブボディ50にソレノイド40を組み込むに際し、バルブ挿入部51がソレノイド40と正対した状態で、且つハウジング20も相手ハウジング80と正対した状態になっていれば、ソレノイド40の組み込み作業とコネクタ10の嵌合作業とを同時に行うことが可能となる。しかし、ハウジング20が相手ハウジング80との間に嵌合誤差を有していると、ソレノイド40の組み込み作業とコネクタ10の嵌合作業とを同時に行うことができない。これに鑑み、本実施例のコネクタ10においては、ハウジング20と相手ハウジング80との嵌合誤差を吸収する機構として、図5に示すように、カバー60に、複数の揺動支持部61が設けられている。
【0015】
揺動支持部61は、図6図9に示すように、左右一対の包囲部62と、幅方向(左右方向)に延びて両端が両包囲部62に連結される連結部63とを有している。包囲部62は、略角箱状をなし、後面板64と、後面板64の前方に対向して配置される前面板65と、前面板65と後面板64の上端間に架設される天面板66と、天面板66の外端から垂下する弾性片67とからなる。後面板64、前面板65、及び弾性片67は、いずれも平板状をなしている。包囲部62は、図5に示すように、カバー60の他の壁に一体に連結されているが、図6図8においては、カバー60の他の壁に対する包囲部62の連結構造が省略されている。図8及び図9に示すように、包囲部62内には、ハウジング20の後述する翼部21が変位可能に収容される。
【0016】
図6及び図7に示すように、弾性片67は、後面板64と前面板65との間に一対のスリット68を有し、両スリット68間にて天面板66の外端との連結部位を支点として撓み変形可能とされている。図8に示すように、弾性片67の下端には、包囲部62の内側へ向けて突出する保持突起69が設けられている。図9に示すように、保持突起69は、弾性片67の下端に沿って前後方向に延びるリブ状の形態とされている。図8に示すように、天面板66には、保持突起69を成形する際に金型が通過するのに伴って貫通する型抜き孔70が形成されている。
【0017】
連結部63は、後述するハウジング本体22の幅寸法よりも若干大きい延出長さを有している。図6及び図7に示すように、包囲部62の上面には、連結部63と左右の天面板66とに亘って平面視略門型に屈曲する立壁部71が設けられている。包囲部62における立壁部71で囲まれる内側の空間には、ハウジング本体22の後端部が収容される。本実施例の場合、揺動支持部61は、バルブ挿入部51と対応する位置毎に、バルブ挿入部51と高さ方向に複数並んで配置されている。
【0018】
続いて、ハウジング20の具体的構造について説明する。図10図12に示すように、ハウジング20は、前後方向に長い略角ブロック状のハウジング本体22と、ハウジング本体22の後端部の左右両側面から幅方向に突出する一対の板状の翼部21とを有している。ハウジング本体22には、端子金具100(図3及び図4を参照)を挿入可能な2室のキャビティ23が設けられている。図3及び図4に示すように、端子金具100は電線200の端末部に接続され、接続された電線200はハウジング本体22の後端から引き出される。また、ハウジング本体22の後端から引き出された電線200は、カバー60内に収容され、その状態でカバー60の内面に沿って所定方向(嵌合方向と交差する方向)に配索させられる。
【0019】
図10及び図11に示すように、ハウジング本体22の上面には、前端から立ち上がったあと後方に延びる撓み変形可能なロックアーム24が設けられている。また、ハウジング本体22の上面には、ロックアーム24の後端部の両側方及び後方を囲むようにして保護部25が立設されている。
【0020】
図10及び図11に示すように、翼部21は、ハウジング本体22の側面に一体に連結されて、高さ方向に沿い且つ板面を前後方向に向けて配置される平板状の第1片部26と、第1片部26の外端に一体に連結されて、高さ方向に沿い且つ板面を幅方向に向けて配置される平板状の第2片部27とを有する。第1片部26と第2片部27とは、互いに直交し、全体として平面視略T字形をなしている。図12に示すように、両第2片部27の下端には、ハウジング本体22から離れる外側へ向けて張り出す張出部28が設けられている。張出部28は、第2片部27の下端に沿って前後方向に延びるリブ状の形態とされている。
【0021】
図1及び図3に示すように、相手ハウジング80は、電磁部41の外周面に沿った円弧状の底面を有する相手ハウジング部81と、相手ハウジング部81から弁部42とほぼ平行に突出するフード部82とを有している。図3に示すように、相手ハウジング部81には、ソレノイド40に電気的に接続される一対のタブ状の相手端子金具300が装着されている。相手端子金具300の先端部は、フード部82内に突出して配置されている。
【0022】
続いて、ソレノイド40の組み込み作業と同期するコネクタ10の嵌合作業について説明する。
揺動支持部61内に下方からハウジング20の後端部を挿入する(図5を参照)。ハウジング20の挿入過程では、両弾性片67が両翼部21を摺動して外側に撓み変形させられる。ハウジング20の正規挿入時には、ハウジング本体22の後端部が立壁部71内に配置されるとともに、両翼部21が両包囲部62内に挿入されて両弾性片67が弾性復帰する。これにより、両翼部21の張出部28が両弾性片67の保持突起69に掛け止められて支持される(図8及び図9を参照)。また、両翼部21は両包囲部62内において幅方向及び上方に隙間Sを有して配置され、その隙間Sの範囲でハウジング20は嵌合方向(前後方向)と交差する方向に揺動変位可能な状態となる。このとき、両翼部21の第2片部27の前端が両包囲部62の前面板65に当接し、両翼部21の張出部28が両弾性片67の保持突起69に当接することにより、ハウジング20が前のめりに傾くのが防止される。また、両翼部21の第2片部27の後端が両包囲部62の後面板64に当接することにより、ハウジング20が後退するのが防止される。そして、揺動支持部61内にハウジング20がフローティング支持された状態で、ハウジング20から引き出された各電線200がカバー60の内面に沿って配索させられる。
【0023】
続いて、上述したハウジング20が複数装着されたカバー60を、バルブボディ50の上方に配置し、各ハウジング20と各バルブ挿入部51とを高さ方向に並列に配置する(図1を参照)。次いで、バルブ挿入部51にソレノイド40の弁部42を挿入する(図2図4を参照)。このとき、バルブ挿入部51にソレノイド40の弁部42が正対した状態で、且つハウジング20に相手ハウジング80が正対した状態にあれば、バルブ挿入部51にソレノイド40の弁部42が正規深さで挿入されるのに伴い、相手ハウジング80のフード部82にハウジング20のハウジング本体22も正規嵌合されて、両ハウジング20、80が嵌合状態に保持される。このとき、ロックアーム24がフード部82の内面に弾性的に当接することにより、嵌合状態にある両ハウジング20、80のガタ付きが抑えられる。
【0024】
一方、バルブ挿入部51にソレノイド40の弁部42が正対した状態において、仮に、ハウジング20に相手ハウジング80が正対した状態になく、相手ハウジング80に対するハウジング20の嵌合軸が芯ずれ又は傾いていても、ハウジング本体22の前端部がフード部82内に誘い込まれて浅く挿入されることにより、ハウジング20が包囲部62内における翼部21の隙間Sの範囲で揺動変位して、相手ハウジング80との正規の嵌合位置に誘導させられる。両ハウジング20、80が正規嵌合されると、両端子金具100、300が正規状態で導通接続される。
【0025】
上記の場合に、ハウジング20が相手ハウジング80の動きに応じて傾動し、翼部21の第1片部26がハウジング本体22に対してねじれる方向に変形し且つそのねじれ状態を弾性的に解消することにより、相手ハウジング80との位置ずれが円滑且つ適正に補正される。したがって、仮に、両ハウジング20、80の嵌合開始時に、ハウジング20が相手ハウジング80との間に位置ずれを生じていても、ソレノイド40の組み込み作業と同期してコネクタ10の嵌合作業を行うことができる。その後、ソレノイド40は、固定手段(図示せず)を介して、バルブボディ50に抜け止め状態に固定される。
【0026】
以上説明したように、本実施例によれば、ソレノイド40がバルブボディ50に組み込まれると同時に、ハウジング20が揺動支持部61を介して相手ハウジング80との正規の嵌合位置に至ることができるため、ソレノイド40の組み込み作業とコネクタ10の嵌合作業とを別々に行う必要がなく、組み立ての作業効率が改善される。とくに、ハウジング20が揺動支持部61によって嵌合方向と交差する方向に揺動変位可能な状態になっているため、ハウジング20と相手ハウジング80との間の位置ずれが適正に補正され、コネクタ10の嵌合作業を円滑に進めることができる。
【0027】
また、揺動支持部61が電線200を覆うカバー60に設けられているため、カバー60と揺動支持部61とを別々に設ける必要がなく、全体の構成が簡素化されるとともに、部品点数が削減される。
【0028】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば、次のような態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)揺動支持部は、ハウジングを嵌合方向と交差する方向に揺動可能に支持するものであればよく、カバーと一体に設けられていなくてもよい。
(2)揺動支持部の包囲部から弾性片が省略されて、揺動支持部の包囲部に、弾性片の代わりに実質的に撓み変形不能な掛止片が設けられ、ハウジングの翼部に、弾性片に相当する構造を有して掛止片に弾性的に係止される部分を設けてもよい。
(3)ハウジングの翼部は実質的に撓み変形不能な剛性を有するものであってもよい。例えば、翼部は、ブロック状に形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
10…コネクタ
20…ハウジング
21…翼部
40…ソレノイド
50…バルブボディ
60…カバー
61…揺動支持部
62…包囲部
80…相手ハウジング
100…端子金具
200…電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12