【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]上下の別方向に光を照射可能であり、上方照射用光源(20)と、下方照射用光源(30)と、これらの各光源を収容するケーシング(11)と、を備えた照明装置(10)において、
前記ケーシング(11)の周壁のうち正面側に透光性を有する光出射面(12)を形成し、
前記ケーシング(11)内に、
前記上方照射用光源(20)を、その光軸が前記光出射面(12)に交差しない位置に収容すると共に、該上方照射用光源(20)からの直接光を反射し、該反射した間接光を前記光出射面(12)から少なくとも斜め上方に向けて出射させる上方反射面(51)を設け、
かつ、前記下方照射用光源(30)を、その光軸が前記光出射面(12)に交差し、該下方照射用光源(30)からの直接光を前記光出射面(12)から斜め下方に向けて出射させる位置に収納すると共に、該下方照射用光源(30)からの直接光の一部を反射し、該反射した間接光を前記光出射面(12)から直接光が向かう斜め下方に向けて重ねて出射させる下方反射面(52,53)を設けたことを特徴とする照明装置(10)。
【0011】
[2]前記ケーシング(11)内に収納され、前記上方照射用光源(20)と前記下方照射用光源(30)を取り付ける光源ユニット(40)を有し、該光源ユニット(40)に、前記上方反射面(51)と前記下方反射面(52,53)を一体に設けたことを特徴とする前述の[1]に記載の照明装置(10)。
【0012】
[3]前記ケーシング(11)の周壁を、絶縁性を有する樹脂材料により密閉可能に構成し、該周壁のうち正面側以外に、据付箇所に対して固定する取付面(13)を形成し、
前記取付面(13)に、前記据付箇所に固定するための取付部品の一部を、前記ケーシング(11)内に貫通させない状態で取り付け可能な被取付部(19)を設けたことを特徴とする前述の[1]または[2]に記載の照明装置(10)。
【0013】
[4]前記ケーシング(11)の取付面(13)における被取付部(19)は、蟻溝状の断面形状に形成され、その内部に、前記取付部品であるボルト(110)を貫通させた金属製の細幅な取付プレート(111)を挿入可能であり、該取付プレート(111)と共に前記ボルト(110)の頭部が前記被取付部(19)の内部に収容される一方、前記取付プレート(111)に貫通して突出した前記ボルト(110)の脚部が、前記取付面(13)より突出することを特徴とする前述の[3]に記載の照明装置(10)。
【0014】
[5]前記上方照射用光源(20)と前記下方照射用光源(30)とを、それぞれ同一構造の光源から構成し、
前記上方反射面(51)からの間接光の照射範囲を、前記下方照射用光源(30)からの直接光および前記下方反射面(52,53)からの間接光の照射範囲よりも大きく設定したことを特徴とする前述の[1],[2],[3]または[4]に記載の照明装置(10)。
【0015】
[6]前記ケーシング(11)は、両側方向に延びる長尺の形状であり、
前記上方照射用光源(20)、前記下方照射用光源(30)、前記上方反射面(51)、および前記下方反射面(52,53)も、それぞれ前記ケーシング(11)の両側方向に沿って延びる長尺な形状であることを特徴とする前述の[1],[2],[3],[4]または[5]に記載の照明装置(10)。
【0016】
[7]前記上方照射用光源(20)と前記下方照射用光源(30)は、それぞれ細幅な基板(21,31)上に複数のLED(22,32)を配列させて成ることを特徴とする前述の[1],[2],[3],[4],[5]または[6]に記載の照明装置(10)。
【0017】
[8]前記照明装置(10)は、鉄道車輌基地の床下に設けられた点検ピット(A)における車輌点検作業時の安全性を確保するものであり、
前記ケーシング(11)は、前記点検ピット(A)内における開口断面の両側壁、あるいは両側壁の上方に沿って敷設された一対の軌条(B)に設置され、
前記上方照射用光源(20)は、前記点検ピット(A)内で点検作業を行う作業者の目線位置ないし前記一対の軌条(B)上にある車輌底面を間接的に照射し、
前記下方照射用光源(30)は、前記点検ピット(A)内の床面ないし作業者の足元を直接的かつ間接的に照射することを特徴とする前述の[1],[2],[3],[4],[5],[6]または[7]に記載の照明装置(10)。
【0018】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の照明装置(10)によれば、ケーシング(11)の正面側の光出射面(12)より上下の別方向に光が出射される。すなわち、ケーシング(11)内において、上方照射用光源(20)からの直接光は、光出射面(12)に交差してそのまま出射されることはなく、いったん上方反射面(51)により反射され、この反射された間接光が光出射面(12)から少なくとも斜め上方に向けて出射される。
【0019】
また、ケーシング(11)内において、下方照射用光源(30)からの直接光は、光出射面(12)を交差してそのまま光出射面(12)より斜め下方に向けて出射される。加えて、下方照射用光源(30)からの直接光の一部は、下方反射面(52,53)により反射され、この反射された間接光は、前記光出射面(12)から直接光が向かう斜め下方に向けて重ねて出射される。
【0020】
このような配光制御により、上方へは間接光で下方へは直接光および間接光による上下に非対称の2方向に光を照射可能となる。例えば、前記[8]に記載したように、鉄道車輌基地の点検ピット(A)用の照明装置(10)とした場合、点検ピット(A)内で点検作業を行う作業者の目線位置ないし車輌底面には間接光を照射し、作業者の足元の点検ピット(A)床面には直接光および間接光を照射するので、作業者への眩しさを低減し、車輌下面や足元を効率良く照射することができる。
【0021】
点検ピット(A)における照明装置(10)の取付位置は、作業者の目線の近傍となるよう比較的高い位置に設定されるため、作業者の足元の点検ピット(A)床面からは離れることになるが、特に、下方照射用光源(30)からの光は、光出射面(12)を交差してそのまま出射される直接光だけでなく、下方反射面(52,53)で反射された間接光も加わるため、より十分な照度を確保することが可能となる。
【0022】
前記[2]に記載の照明装置(10)によれば、上方照射用光源(20)と下方照射用光源(30)を取り付ける光源ユニット(40)を有し、この光源ユニット(40)に、上方反射面(51)と下方反射面(52,53)も一体に設けたので、部品点数を増やすことなく組立作業も容易に行うことができ、製造コストを抑えることができる。
【0023】
前記[3]に記載の照明装置(10)によれば、ケーシング(11)の周壁を、絶縁性を有する樹脂材料により密閉可能に構成し、該周壁のうち正面側以外に、据付箇所に対して固定する取付面(13)を形成する。この取付面(13)に、据付箇所に固定するための取付部品の一部を、ケーシング(11)内に貫通させない状態で取り付け可能な被取付部(19)を設けたから、照明装置(10)の取り付けに際しても確実に絶縁性を保つことができ、しかも、金属製の取付部品の使用によって、取り付け強度を高めることができる。
【0024】
このように、照明装置(10)の絶縁性を、材料と構造の組み合わせにより実現したが、具体的には例えば、前記[4]に記載したように、ケーシング(11)の取付面(13)における被取付部(19)は、蟻溝状の断面形状に形成し、その内部に、取付部品であるボルト(110)を貫通させた金属製の細幅な取付プレート(111)を端から挿入する。
【0025】
すると、取付プレート(111)と共にボルト(110)の頭部は、被取付部(19)の内部に収容される。一方、取付プレート(111)に貫通して突出したボルト(110)の脚部は、前記取付面(13)より突出することになり、ボルト(110)の脚部によって据付箇所に対して容易に取り付けることができる。ここでボルト(110)は通常は金属製であり、また、ケーシング(11)の取付面(13)に対しては、同じく金属製の取付プレート(111)を介して被取付部(19)に強固に取り付けられるため、十分な取り付け強度を確保することができる。
【0026】
前記[5]に記載の照明装置(10)によれば、上方照射用光源(20)と下方照射用光源(30)とを、それぞれ同一構造の光源から構成する。これにより、部品が共用化されてコスト低減が可能となる。また、上方反射面(51)からの間接光の照射範囲を、下方照射用光源(30)からの直接光および下方反射面(52,53)からの間接光の照射範囲よりも大きく設定する。これにより、上方照射に関しては、いっそう眩しさを低減することができ、また広い範囲を照らすことができる。
【0027】
前記[6]に記載の照明装置(10)によれば、前記ケーシング(11)は、両側方向に延びる長尺の形状であり、上方照射用光源(20)と、下方照射用光源(30)と、上方反射面(51)と、下方反射面(52,53)も、それぞれ前記ケーシング(11)の両側方向に沿って延びる形状とする。これにより、各々のユニットを例えば長手方向に連なるように配置することにより、長手方向に延びる広範囲な照明として活用するのに適する。
【0028】
前記[7]に記載の照明装置(10)によれば、上方照射用光源(20)と、下方照射用光源(30)は、それぞれ基板(21,31)上に複数のLED(22,32)を配列させて構成する。これにより、従来の蛍光灯に比べて小型化が可能であり、消費電力を抑えることができ、配光制御も容易となり、また長寿命でもあるから交換の頻度を減らすことができる。