【解決手段】(a)ワイヤボンディング装置1を用意する工程と、(b)ボンディングツール40をワイヤ42の一部が、半導体デバイス100の自由端に設けられた第1ボンド点としての電極125に当接する位置まで下降させる工程と、(c)ボンディングツール40を、ワイヤ42の一部が電極に当接した状態で半導体デバイス100の自由端を撓ませるようにさらに下降させる工程と、(d)少なくとも超音波振動の付与によってワイヤ42の一部を電極にボンディングする工程と、(e)半導体デバイス100の自由端を元の位置に戻すようにボンディングツール40を上昇させる工程とを含む。(e)において、ボンディングツール40を下降させるときにボンディングツール40に加わるボンディング荷重を検出し、当該検出結果に基づいて、ボンディングツール40の下降距離を制御する。
前記(c)は、前記検出されたボンディング荷重と所定のしきい値との関係に基づいて、前記ボンディングツールの下降距離を制御する工程を含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
前記(c)は、前記検出されたボンディング荷重が、前記所定のしきい値を超えたときに、前記ボンディングツールの下降を停止する工程を含む、請求項2記載の半導体装置の製造方法。
前記(c)は、前記検出されたボンディング荷重が、所定のしきい値以下であるときに、前記ボンディングツールによる荷重と前記半導体デバイスの自由端からの反力とがつり合う位置で、前記ボンディングツールの下降を停止する工程を含む、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
前記(e)の後、前記ボンディングツールの先端から前記ワイヤを繰り出しながら前記ボンディングツールを所定の軌跡に沿って前記第2ボンド点へ移動させて、前記ワイヤを所定の形状に延出させる工程をさらに含む、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
前記ワイヤの一部はボール状に形成され、前記(d)において前記ワイヤのボール状に形成された一部を前記電極にボンディングすることによってデフォームドボールを形成する、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
前記制御部は、前記検出されたボンディング荷重と所定のしきい値との関係に基づいて、前記ボンディングツールの下降距離を制御することを含む、請求項7記載のワイヤボンディング装置。
前記制御部は、前記検出されたボンディング荷重が、前記所定のしきい値を超えたときに、前記ボンディングツールの下降を停止することを含む、請求項8記載のワイヤボンディング装置。
前記制御部は、前記検出されたボンディング荷重が、所定のしきい値以下であるときに、前記ボンディングツールによる荷重と前記半導体デバイスの自由端からの反力とがつり合う位置で前記ボンディングツールの下降を停止することを含む、請求項7記載のワイヤボンディング装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題を解決することができる半導体装置の製造方法及びワイヤボンディング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる半導体装置の製造方法は、第1ボンド点と第2ボンド点とが接続されるワイヤループを形成する半導体装置の製造方法であって、(a)ワイヤを挿通するボンディングツールと、前記ボンディングツールを介してボンディング対象に超音波振動を付与する超音波振動子と、前記超音波振動子の超音波振動を前記ボンディングツールに伝達する超音波ホーンと、前記ボンディングツールの先端に加わるボンディング荷重を検出する荷重センサと、前記ボンディングツールの動作を制御する制御部と、を含むワイヤボンディング装置を用意する工程と、(b)前記ボンディングツールを前記ワイヤの一部が、半導体デバイスの自由端に設けられた第1ボンド点としての電極に当接する位置まで下降させる工程と、(c)前記ボンディングツールを、前記ワイヤの一部が前記電極に当接した状態で前記半導体デバイスの自由端を撓ませるようにさらに下降させる工程と、(d)少なくとも超音波振動の付与によって前記ワイヤの一部を前記電極にボンディングする工程と、(e)前記半導体デバイスの自由端を元の位置に戻すように前記ボンディングツールを上昇させる工程と、を含み、前記(c)において、前記ボンディングツールを下降させるときに前記ボンディングツールの先端に加わるボンディング荷重を検出し、当該検出結果に基づいて、前記ボンディングツールの下降距離を制御することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、半導体デバイスの自由端に設けられた電極にワイヤをボンディングする方法において、ボンディングツールを下降させるときにボンディングツールに加わるボンディング荷重を検出し、当該検出結果に基づいて、ボンディングツールの下降距離を制御する。したがって、半導体デバイスの自由端が正常に撓む状況にない場合であっても、過度に荷重を付与することを防止し、そのような過度の荷重を加えた状態で超音波振動を付与することを防止することができる。よって、このような半導体デバイスについて、ワイヤと電極との良好な電気的接合を達成することができる。
【0009】
上記半導体装置の製造方法において、前記(c)は、前記検出されたボンディング荷重と所定のしきい値との関係に基づいて、前記ボンディングツールの下降距離を制御する工程を含んでもよい。
【0010】
上記半導体装置の製造方法において、前記(c)は、前記検出されたボンディング荷重が、前記所定のしきい値を超えたときに、前記ボンディングツールの下降を停止する工程を含んでもよい。
【0011】
上記半導体装置の製造方法において、前記(c)は、前記検出されたボンディング荷重が、前記所定のしきい値以下であるときに、前記ボンディングツールによる荷重と前記半導体デバイスの自由端からの反力とがつり合う位置で、前記ボンディングツールの下降を停止する工程を含んでもよい。
【0012】
上記半導体装置の製造方法において、前記(e)の後、前記ボンディングツールの先端から前記ワイヤを繰り出しながら前記ボンディングツールを所定の軌跡に沿って前記第2ボンド点へ移動させて、前記ワイヤを所定の形状に延出させる工程をさらに含んでもよい。
【0013】
上記半導体装置の製造方法において、前記ワイヤの一部はボール状に形成され、前記(d)において前記ワイヤのボール状に形成された一部を前記電極にボンディングすることによってデフォームドボールを形成してもよい。
【0014】
本発明の一態様に係るワイヤボンディング装置は、半導体デバイスの自由端に設けられた電極にワイヤをボンディングするワイヤボンディング装置であって、前記ワイヤを挿通するボンディングツールと、前記ボンディングツールを介してボンディング対象に超音波振動を付与する超音波振動子と、前記超音波振動子の超音波振動を前記ボンディングツールに伝達する超音波ホーンと、前記ボンディングツールの先端に加わるボンディング荷重を検出する荷重センサと、前記ボンディングツールの動作を制御する制御部と、を含み、前記荷重検出センサは、前記ボンディングツールを、前記ワイヤの一部が前記電極に当接した状態で前記半導体デバイスの自由端を撓ませるようにさらに下降させるときに、前記ボンディング荷重を検出し、前記制御部は、当該検出結果に基づいて、前記ボンディングツールの下降距離を制御することを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、半導体デバイスの自由端に設けられた電極にワイヤをボンディングする装置において、ボンディングツールを、ワイヤの一部が電極に当接した状態で半導体デバイスの自由端を撓ませるようにさらに下降させるときにボンディングツールに加わるボンディング荷重を荷重センサによって検出し、制御部が当該検出結果に基づいてボンディングツールの下降距離を制御する。したがって、半導体デバイスの自由端が正常に撓む状況にない場合であっても、過度に荷重を付与することを防止し、そのような過度の荷重を加えた状態で超音波振動を付与することを防止することができる。よって、このような半導体デバイスについて、ワイヤと電極との良好な電気的接合を達成することができる。
【0016】
上記ワイヤボンディング装置において、前記制御部は、前記検出されたボンディング荷重と所定のしきい値との関係に基づいて、前記ボンディングツールの下降距離を制御することを含んでもよい。
【0017】
上記ワイヤボンディング装置において、前記制御部は、前記検出されたボンディング荷重が、前記所定のしきい値を超えたときに、前記ボンディングツールの下降を停止することを含んでもよい。
【0018】
上記ワイヤボンディング装置において、前記制御部は、前記検出されたボンディング荷重が、前記所定のしきい値以下であるときに、前記ボンディングツールによる荷重と前記半導体デバイスの自由端からの反力とがつり合う位置で前記ボンディングツールの下降を停止することを含んでもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、半導体デバイスの自由端が正常に撓む状況にない場合であっても、過度に荷重を付与することを防止し、そのような過度の荷重を加えた状態で超音波振動を付与することを防止することができる。よって、このような半導体デバイスについて、ワイヤと電極との良好な電気的接合を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施の形態に限定して解するべきではない。
【0022】
図1は、本実施形態に係るワイヤボンディング装置を示した図であり、
図2は、ワイヤボンディング装置におけるボンディングアームの一部拡大図であり、
図2(A)は、ボンディングアームの頂面図、
図2(B)は、ボンディングアームの底面図である。
【0023】
図1に示すように、ワイヤボンディング装置1は、XY駆動機構10、ボンディングアーム20、超音波ホーン30、ボンディングツール40、荷重センサ50、超音波振動子60及び制御部80を備える。
【0024】
XY駆動機構10はXY軸方向(平面方向)に移動可能に構成されており、XY駆動機構(リニアモータ)10には、ボンディングアーム20をZ軸方向(上下方向)に移動可能なZ駆動機構(リニアモータ)12が設けられている。
【0025】
ボンディングアーム20は、支軸14に支持され、XY駆動機構10に対して揺動自在に構成されている。ボンディングアーム20は、XY駆動機構10から、ボンディング対象である半導体デバイス100が置かれたボンディングステージ16に延出するように略直方体に形成されている。ボンディングアーム20は、XY駆動機構10に取り付けられるアーム基端部22と、アーム基端部22の先端側に位置して超音波ホーン30が取り付けられるアーム先端部24と、アーム基端部22とアーム先端部24とを連結して可撓性を有する連結部23とを備える。この連結部23は、ボンディングアーム20の頂面21aから底面21bの方向へ延出した所定幅のスリット25a、25b、及び、ボンディングアーム20の底面21bから頂面21aの方向へ延出した所定幅のスリット25cによって構成されている。このように、連結部23が各スリット25a、25b、25cによって局部的に薄肉部として構成されているため、アーム先端部24はアーム基端部22に対して撓むように構成されている。
【0026】
図1及び
図2(B)に示すように、ボンディングアーム20の底面21b側には、超音波ホーン30が収容される凹部26が形成されている。超音波ホーン30は、ボンディングアーム20の凹部26に収容された状態で、アーム先端部24にホーン固定ネジ32によって取り付けられている。この超音波ホーン30は、凹部26から突出した先端部においてボンディングツール40を保持しており、凹部26には超音波振動を発生する超音波振動子60が設けられている。超音波振動子60によって超音波振動が発生し、これが超音波ホーン30によってボンディングツール40に伝達され、ボンディングツール40を介してボンディング対象に超音波振動を付与することができる。超音波振動子60、例えば、ピエゾ振動子である。
【0027】
また、
図1及び
図2(A)に示すように、ボンディング20の頂面21a側には、頂面21aから底面21bに向かって順番にスリット25a及び25bが形成されている。上部のスリット25aは、下部のスリット25bよりも幅広に形成されている。そして、この幅広に形成された上部のスリット25aに、荷重センサ50が設けられている。荷重センサ50は、予圧用ネジ52によってアーム先端部24に固定されている。荷重センサ50は、アーム基端部22とアーム先端部24との間に挟みこまれるように配置されている。すなわち、荷重センサ50は、超音波ホーン30の長手方向の中心軸からボンディング対象に対する接離方向にオフセットして、ボンディングアーム20の回転中心とアーム先端部24における超音波ホーン30の取付面(すなわち、アーム先端部24におけるボンディングツール40側の先端面)との間に取り付けられている。そして、上記のように、ボンディングツール40を保持する超音波ホーン30がアーム先端部24に取り付けられているため、ボンディング対象からの反力によりボンディングツール40の先端に荷重が加わると、アーム基端部22に対してアーム先端部24が撓み、荷重センサ50において荷重を検出することが可能となっている。荷重センサ50は、例えば、ピエゾ荷重センサである。
【0028】
ボンディングツール40は、ワイヤ42を挿通するためのものであり、例えば挿通穴が設けられたキャピラリである。この場合、ボンディングツール40の挿通穴にボンディングに使用するワイヤ42が挿通され、その先端からワイヤ42の一部を繰り出し可能に構成されている。ボンディングツール40は、バネ力等によって交換可能に超音波ホーン30に取り付けられている。また、ボンディングツール40の上方には、ワイヤクランパ44が設けられ、ワイヤクランパ44は所定のタイミングでワイヤ42を拘束又は解放するよう構成されている。ワイヤクランパ44のさらに上方には、ワイヤテンショナ41が設けられ、ワイヤテンショナ41はワイヤ42を挿通し、ボンディング中のワイヤ42に適度なテンションを付与するよう構成されている。
【0029】
ワイヤ42の材料は、加工の容易さと電気抵抗の低さなどから適宜選択され、例えば、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)又は銀(Ag)等が用いられる。なお、ワイヤ42は、トーチ電極(図示しない)によるスパーク(放電)によって、ボンディングツール40の先端から延出したワイヤ42の先端にボール43を形成できるようになっている。
【0030】
制御部80は、XY駆動機構10、Z駆動機構12、超音波ホーン30(超音波振動子60)及び荷重センサ50に接続されており、制御部80によってこれらの構成の動作を制御することにより、ワイヤボンディングのための必要な処理を行うことができるようになっている。制御部80は、例えばXY駆動機構10、Z駆動機構12、荷重センサ50、超音波ホーン30(超音波振動子60)など、上記の各構成との間で信号の送受信を行うインタフェース(図示しない)を備えている。制御部80は、荷重センサ50によって検出されたボンディング荷重の検出結果を格納するよう構成され、このボンディング荷重の検出結果に基づいて、上記したワイヤボンディングのための処理にフィードバックさせるよう構成されている。具体的には、制御部80は、ボンディング荷重の検出結果に基づいて、ボンディングツール40のXYZ軸方向の移動距離やZ方向の荷重の制御、ボンディングツール40に付与される超音波振動のタイミングや時間及びスクラブ動作の制御など、ボンディングツールの動作に関わる制御を行う。
【0031】
また制御部80には、制御情報を入力するための操作部82と、制御情報を出力するための表示部84が接続されており、これにより作業者が表示部84によって画面を認識しながら操作部82によって必要な制御情報を入力することができるようになっている。なお、制御部80は、CPU及びメモリなどを備えるコンピュータ装置であり、メモリには予めワイヤボンディングに必要な処理を行うためのボンディングプログラムや荷重センサ50からの検出結果のデータなどが格納される。
【0032】
次に、
図3〜
図7を参照して、本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を説明する。この半導体装置の製造方法は、ワイヤボンディング装置1を用いて半導体デバイス100にワイヤボンディングする方法を含む。この半導体デバイス100は、Z方向の応力によって撓む自由端を備えている。
【0033】
ここで、
図3は、ワイヤボンディング方法のフローチャートであり、
図4(A)〜(C)及び
図5(A)〜(C)はワイヤボンディングの処理を示したものである。また、
図6及び
図7は、ワイヤボンディング方法に関するタイミングチャートであり、
図6が半導体デバイスの自由端の撓みが正常である場合の一例、
図7がその自由端の撓みが正常ではない場合の一例を示したものである。
図3のフローチャート中の時刻の表記t1〜t4、t2´及びt3´は、
図6及び7の横軸の同じ表記と対応している。本実施形態に係るワイヤボンディング方法によれば、
図7のように半導体デバイスの自由端が正常に撓まない場合でも、ワイヤと電極とを良好に電気的に接続することができる。
【0034】
<時刻t0以前及び時刻t0〜t1の処理>
まず、
図1及び
図4(A)に示すように、ボンディングステージ16に半導体デバイス100を用意する。
【0035】
半導体デバイス100は、電極が設けられた部分が自由端となっている、少なくとも1つの半導体ダイを備える半導体デバイス(すなわちオーバーハングデバイス)である。
図4(A)に示す例では、半導体デバイス100は、基板110と、基板110上に搭載された下層半導体ダイ120と、下層半導体ダイ120上にスペーサ122を介して搭載された上層半導体ダイ124とを備え、XY平面視において、上層半導体ダイ124の一部がスペーサ122(及び下層半導体ダイ120)からはみ出して自由端を構成している。この自由端には、ワイヤがボンディングされる少なくとも1つの電極125が形成されている。また、基板110には、所定の配線パターンが形成されており、この配線パターンは、上層半導体ダイ124の電極125と電気的に接続するための配線111、及び、下層半導体ダイ120の電極121と電気的に接続するための配線113とを有している。本実施形態の例では、半導体デバイス100の電極125が第1ボンド点であり、半導体デバイス100の配線111が第2ボンド点である。また
図4(A)に示す例では、下層半導体ダイ120の電極121は、ワイヤ116を介して基板110の配線113に電気的に接続されている。上層半導体ダイ124、スペーサ122、下層半導体ダイ120及び基板110のそれぞれの間は、接着剤112によって相互に接着されていてもよい。なお、半導体デバイス100の態様は本例に限定されるものではなく、例えば、スペーサ及び下層半導体ダイのいずれかが省略された構成であってもよく、また、下層半導体ダイの基板への電気的接続は例えばワイヤ以外のフリップチップボンディングによるものであってもよく、自由端を備えるものであればその態様は限定されるものではない。
【0036】
まず、
図3及び
図4(A)に示すように、時刻t0において、ワイヤ40の先端にボール43を形成する(S10)。具体的には、ボンディングツール40の先端から延出したワイヤの一部に所定の高電圧を印加したトーチ電極(図示しない)を近づけて、当該ワイヤの一部とトーチ電極との間で放電を発生させる。こうして、
図4(A)に示すように、表面張力によって当該ワイヤ42の先端に溶融したボール(フリーエアーボール)43を形成する。ワイヤ42の先端にボール43を形成したら、ボンディングツール40を、これからボンディングしようとする半導体デバイス100の電極125に向かって下降させる。
【0037】
次に、ボンディングツール40を下降させて、時刻t1において、ボール43を半導体デバイス100の電極125に当接させる(S11)。このとき、ボンディングツール40(例えばボンディングツール40から延出したワイヤの先端のZ軸方向の位置)は高さZ0に位置しており、
図4(B)に示すように、半導体デバイス100の自由端は撓まずに初期状態を保っている。
【0038】
<時刻t1〜t4の処理>
次に、ボール43を電極125に当接した状態で、ボンディングツール40をさらに下降させる(S12)。すなわち、半導体デバイス100の自由端を撓ませるように、ボンディングツール40を高さZ0から徐々に下降させていく。ここで、ボンディングツール40を高さZ0から下降させるとき、荷重センサ50によってボンディングツール40に加わるボンディング荷重を検出する。荷重センサ50は、ボンディングツール40の下降を停止させるまでの間、複数点の検出結果をサンプリングしてボンディング荷重を検出する。本実施形態のワイヤボンディング方法によれば、荷重センサ50による検出結果に基づいて、ボンディングツール40の下降距離を制御する。例えば、
図3に示すように、ボンディングツール40を下降させるときに荷重センサ50によって検出したボンディング荷重の検出結果が、所定のしきい値Thを超えたか否かを判定することによってボンディングツール40の下降距離を制御する(S13)。
【0039】
以下、ボンディング荷重の検出結果がしきい値Thを超えない場合を
図3、
図4(C)、
図5(A)及び
図6を参照しつつ説明し、他方、ボンディング荷重の検出結果がしきい値Thを超えた場合を
図3及び
図7を参照しつつ説明する。
【0040】
(ボンディング荷重の検出結果がしきい値Thを超えない場合)
図3に示すように、荷重センサ50の検出結果がしきい値Thを超えない場合(S13 NO)、すなわち、
図6に示すようにボンディングツール40をZ0から下降させ続けても、ボンディング荷重の検出値がしきい値Th以下の場合は、ボンディングツール40を、ボンディングツール40による荷重と半導体デバイス100の自由端からの反力とがつり合う位置(高さZ1)まで下降させ、時刻t2において、このような高さZ1に到達したらボンディングツール40の下降を停止してボンディングを開始する(S14)。このとき、半導体デバイス100の自由端は、
図4(C)に示すように撓んだ状態となっている。なお、ボンディングツール40の移動目標時間(時刻t2)や移動目標距離(高さZ1)は、事前データ(例えば制御部80のボンディングプログラムに予め格納したデータ)に基づいて設定してもよいし、あるいは、作業者がその場で入力することによって設定することも可能である。ボンディングが開始されると、
図6に示すように、時刻t1から時刻t3にかけて超音波を作動させ、さらに、時刻t2から時刻t3にかけてスクラブ動作を作動させてワイヤ40を電極125にボンディングする。なお、超音波及びスクラブ動作の時間は、上記の事前データに基づいて設定してもよいし、あるいは、作業者がその場で入力することによって設定してもよい。
【0041】
その後、
図3に示すように、時刻t3においてボンディングを終了し、ボンディングツール40を上昇させる(S15)。
図5(A)に示すように、半導体デバイス100の自由端が元の位置に戻ろうとする反力に基づいて、ボンディングツール40を上昇させることができる。こうして、時刻4において、半導体デバイス100の自由端を元の位置に戻すことができる(S16)。
【0042】
(ボンディング荷重の検出結果がしきい値Thを超える場合)
他方、
図3に示すように、荷重センサ50の検出結果がしきい値Thを超える場合(S13 YES)、すなわち、
図7に示すようにボンディングツール40をZ0から下降させ続けると、ある時点においてボンディング荷重の検出値がしきい値Thを超えてしまう場合は、しきい値Thを超えるタイミングに基づいてボンディングツール40の下降を停止させる。例えば、ボンディング荷重の検出値がしきい値Thを超えるタイミングと略同時に、時刻t2´において高さZ2でボンディングツール40の下降を停止させて、この時点でボンディングを開始する(S20)。半導体デバイス100の自由端の直下に異物がある場合などにおいては、自由端が正常に撓まずにボンディングツール40の下降に追従しないことが生じ得、これによりボンディング荷重の検出結果が急激に増加してしまう。ボンディング荷重の検出値が大きいにも関わらず、さらにボンディングツール40を下降させ続けると、過度の荷重を加えた状態でボンディングを行うおそれがある。これに対して本実施形態では、上記のように、荷重センサ50のボンディング荷重の検出値としきい値Thとの関係に基づいてボンディングツール40の下降を停止するので、このような弊害を防止することができる。
【0043】
なお、ボンディングツール40の移動目標時間(時刻t2´)や移動目標距離(高さZ2)は、事前データ(例えば制御部80のボンディングプログラムに予め格納したデータ)に基づく設定するものとは異なり、荷重センサ50のボンディング荷重の検出結果に基づいて制御部80による自動制御によって設定してもよいし、作業者がボンディング荷重の検出結果を目視で確認しながらその場で設定してもよい。いずれにしても、時刻t2´は、事前データによる時刻t2よりも前の時刻であり、また、高さZ2は事前データによる高さZ1よりも高い位置になる。
【0044】
ボンディングが開始されると、
図7に示すように、時刻t1から時刻t3にかけて超音波を作動させ、さらに、時刻t2´から時刻t3にかけてスクラブ動作を作動させてワイヤ40を電極125にボンディングする。なお、超音波及びスクラブ動作の時間は、上記の事前データに基づいて設定してもよいし、あるいは、作業者がその場で入力することによって設定してもよい。
【0045】
その後、
図3に示すように、時刻t3においてボンディングを終了する(t3)。その後、半導体デバイス100の自由端が元の位置に戻ろうとする反力に基づいて、ボンディングツール40を上昇させる場合は、時刻t3よりも後の時刻である時刻t3´においてボンディングツール40を上昇させる(S22)。こうして、時刻4において、半導体デバイス100の自由端を元の位置に戻すことができる(S16)。
【0046】
<時刻t4以降の処理>
図5(B)に示すように、電極125へのボンディングが終了すると、電極125上にはワイヤ42のボール43がボンディングによって変形したデフォームドボール45が形成される。本実施形態に係るデフォームドボール45は、上記のように半導体デバイス100の自由端の撓み状況に関わらずに所望の形状に形成することができ、半導体デバイス100に設けられる複数のデフォームドボール45のばらつきを防止又は低減することができる。
【0047】
図3に示すように、ワイヤ40を電極125にボンディングした後、ボンディングツール40を所定の軌跡に沿って移動させる(S17)。具体的には、
図5(B)に示すように、ワイヤクランパ44がワイヤ42を解放した状態でボンディングツール40の先端からワイヤ42を繰り出しながら、ボンディングツール40を第1ボンド点である電極125から上昇させ、その後、ボンディングツール40を基板110の電極111に向かって所定の軌跡に沿って移動させる。上記した例によれば、半導体デバイス100の自由端が元の位置を始点として、ワイヤ42の軌跡を描くことになるのでワイヤのループ高さのばらつきも防止又は低減することができる。なお、ボンディングツール40が描く所定の軌跡は、事前データに基づいて設定することができる。
【0048】
その後、第2ボンド点である配線111へのボンディング終了後、ワイヤクランパ44がワイヤ42を拘束した状態で、ボンディングツール40を上昇させることによってワイヤ42を切断する(S18)。こうして、
図5(C)に示すように、半導体デバイス100において、電極125と配線111とをデフォームドボール45及びルーピング後のワイヤ46を介して電気的に接続し、ワイヤボンディングの一連の処理が終了する。その後、上記したS11〜S18(S14〜S15を経由するステップ及びS20〜S22を経由するステップのいずれかを含む)までの各処理を、半導体デバイス100の次の自由端に設けられた電極に対して繰り返し行う。
【0049】
以上のとおり、本実施形態によれば、半導体デバイス100の自由端に設けられた電極125にワイヤ42をボンディングする方法において、ボンディングツール40を下降させるときにボンディングツール40に加わるボンディング荷重を検出し、当該検出結果に基づいて、ボンディングツール40の下降距離を制御する。したがって、半導体デバイス100の自由端が正常に撓む状況にない場合であっても、過度に荷重を付与することを防止し、そのような過度の荷重を加えた状態で超音波振動を付与することを防止することができる。よって、このような半導体デバイス100について、ワイヤ42と電極125との良好な電気的接合を達成することができる。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、ボンディングツール40の下降を開始した後に超音波を先に作動させて、ボンディングツール40の下降を停止した後にスクラブ動作を作動させていたが、超音波及びスクラブ動作の作動期間はこの例に限るものではない。例えば、ボンディングツール40をZ0から下降させる途中(時刻t1〜t2の間の時刻)や下降を停止した後に超音波を作動させてもよいし、ボンディングツール40の下降を停止する前(時刻t2又はt2´よりも前の時刻)にスクラブ動作を作動させてもよい。
【0052】
また、ボンディングツール40の単位時間当たりの下降距離又は上昇距離は、上記実施形態で示したように一定であってもよいし、あるいは変化させてもよい。例えば、ボンディングツール40の下降において、Z0からZ1´(Z1´は、Z0とZ1の間(又はZ0とZ2の間)の高さ)までの単位時間当たりの下降距離を、Z1´からZ1(又はZ1´からZ2)までの単位時間当たりの下降距離よりも小さくしてもよい。これにより、例えばワイヤのボールに急激に高い荷重を付加することを防止して、より良好なワイヤボンディングを行うことができる。
【0053】
上記発明の実施形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施形態の記載に限定されるものではない。そのような組み合わせ又は変更若しくは改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。