【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0013】
手段1.電極と、当該電極の所定部位を覆うレジスト膜とを有し、前記電極の所定部位に対して所定の電子部品を実装するための半田が設けられた基板の裏面を支持した状態で、前記基板の表面を検査する基板検査装置であって、
前記基板の裏面を支持する基板支持装置を備えるとともに、
前記基板支持装置は、
上端部において前記基板の裏面を支持可能な複数のバックアップピンと、
前記バックアップピンの配置位置を決定する配置位置決定手段と、
前記配置位置決定手段により決定された前記バックアップピンの配置位置に、前記バックアップピンを配置するバックアップピン配置手段とを有し、
前記配置位置決定手段は、前記基板の裏面のうち、前記レジスト膜で前記電極が覆われた部位であり、かつ、前記電子部品及び前記半田の存在していない部位を支持する位置に前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする基板検査装置。
【0014】
上記手段1によれば、基板のうち、ベース板に対する突出長(厚み)がほぼ一定となる部位をバックアップピンにより支持することができる。従って、バックアップピンと基板との間に大きな隙間が形成されてしまうことをより確実に防止でき、基板の振動を効果的に抑制することができる。その結果、検査精度の向上を図ることができる。
【0015】
また、上記手段1によれば、バックアップピンとして吸着タイプのものを用いた場合に、基板のうち吸着された部位がバックアップピン側に下がってしまうことを防止できる。従って、十分な検査精度を確保するために、被写界深度やダイナミックレンジを極端に大きくする等の必要がなくなり、コストの増大防止を図ることができる。
【0016】
手段2.前記配置位置決定手段は、前記基板の裏面における前記電子部品、前記半田、前記レジスト膜及び前記電極の設計上の配置領域に関するデータに基づいて、前記基板の裏面のうち、前記レジスト膜で前記電極が覆われた部位であり、かつ、前記電子部品及び前記半田の存在していない部位を特定し、前記特定された位置に前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段1に記載の基板検査装置。
【0017】
上記手段2によれば、設計データに基づいて基板の被支持部位が決定される。そのため、配置位置決定手段における処理負担の軽減を図りつつ、基板を適切に支持可能な位置へとバックアップピンを配置することができる。
【0018】
手段3.前記配置位置決定手段は、前記基板の表面における前記半田の設計上の配置情報、及び、前記基板の表面における検査領域に関する情報の少なくとも一方に基づいて、前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段1又は2に記載の基板検査装置。
【0019】
基板のうち精緻な検査を行うべき部位(例えば、半田が密に形成される部位、小さな半田の形成される部位など)や、基板のうち検査対象となる部位は、一層良好な検査精度を実現すべく、振動防止を特に図ることが好ましい。振動防止を特に図るべき部位は、半田の配置情報や検査領域に関する情報から求めることができる。
【0020】
この点、上記手段3によれば、基板の表面における、半田の設計上の配置情報、及び、検査領域に関する情報の少なくとも一方に基づいて、バックアップピンの配置位置が決定される。従って、振動防止を特に図るべき部位に対応してバックアップピンを密に配置すること等が可能となり、基板のうち検査精度が特に求められる部位の振動を一層確実に抑制することができる。その結果、検査精度の効果的な向上を図ることができる。
【0021】
手段4.前記基板の表面には、前記半田が複数設けられ、
前記基板のうち、その表面において前記半田間の距離が設計上で所定値以下となる領域を含む半田近接領域を特定する近接領域特定手段を有し、
前記配置位置決定手段は、
前記バックアップピンの配置位置の変更に伴い、前記バックアップピンの単位面積当たりの数を変更可能であり、
前記基板のうち前記半田近接領域に対応する部位を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数が、前記基板のうち前記半田近接領域に対応する部位以外を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数よりも大きくなるように前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段3に記載の基板検査装置。
【0022】
上記手段4によれば、基板のうち半田近接領域に対応する部位、つまり、基板のうち精緻な検査を必要とする部位に対応して、多くのバックアップピンが配置される。従って、検査精度の一層の向上を図ることができる。
【0023】
一方で、基板のうち半田近接領域に対応する部位以外の部位を支持するために設けられるバックアップピンの数は比較的少ないものとされる。従って、バックアップピン配置手段によるバックアップピンの配置をより効率化することができ、生産性を高めることができる。
【0024】
手段5.前記基板の表面には、前記半田が複数設けられ、
前記基板のうち、その表面において前記半田の単位面積当たりの数が設計上で所定数以上となる領域を含む半田多数領域を特定する多数領域特定手段を有し、
前記配置位置決定手段は、
前記バックアップピンの配置位置の変更に伴い、前記バックアップピンの単位面積当たりの数を変更可能であり、
前記基板のうち前記半田多数領域に対応する部位を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数が、前記基板のうち前記半田多数領域に対応する部位以外を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数よりも大きくなるように前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段3又は4に記載の基板検査装置。
【0025】
上記手段5によれば、基板のうち半田多数領域に対応する部位、つまり、基板のうち精緻な検査を必要とする部位に対応して、多くのバックアップピンが配置される。従って、検査精度のより一層の向上を図ることができる。
【0026】
一方で、基板のうち半田多数領域に対応する部位以外の部位を支持するためのバックアップピンは比較的少ないものとされる。従って、バックアップピンの配置を一層効率化することができ、生産性をより高めることができる。
【0027】
手段6.前記基板の表面には、前記半田が複数設けられ、
前記基板のうち、その表面において設計上における面積が所定値以下となる前記半田を含む半田極小領域を特定する極小領域特定手段を有し、
前記配置位置決定手段は、
前記バックアップピンの配置位置の変更に伴い、前記バックアップピンの単位面積当たりの数を変更可能であり、
前記基板のうち前記半田極小領域に対応する部位を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数が、前記基板のうち前記半田極小領域に対応する部位以外を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数よりも大きくなるように前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段3乃至5のいずれかに記載の基板検査装置。
【0028】
上記手段6によれば、基板のうち半田極小領域に対応する部位、つまり、基板のうち精緻な検査を必要とする部位に対応して、多くのバックアップピンが配置される。従って、検査精度の更なる向上を図ることができる。
【0029】
一方で、基板のうち比較的大きな半田のみが存在する部位を支持するバックアップピンは比較的少ないものとされる。従って、バックアップピンの配置をより一層効率化することができ、生産性をより一層高めることができる。
【0030】
手段7.前記配置位置決定手段は、
前記バックアップピンの配置位置の変更に伴い、前記バックアップピンの単位面積当たりの数を変更可能であり、
前記基板のうち検査対象となる領域に対応する部位を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数が、前記基板のうち検査対象とならない領域に対応する部位を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数よりも大きくなるように前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段3乃至6のいずれかに記載の基板検査装置。
【0031】
上記手段7によれば、基板のうち検査対象となる部位に対応して、バックアップピンが比較的多く配置される。従って、基板のうち検査対象となる部位の振動を極めて効果的に抑制することができ、検査精度をより一層高めることができる。
【0032】
一方で、基板のうち検査対象とならない部位に対応して、比較的少なめのバックアップピンが配置される。従って、バックアップピンの配置をさらに効率化することができ、生産性をより向上させることができる。
【0033】
手段8.電極と、当該電極の所定部位を覆うレジスト膜とを有し、前記電極の所定部位に対して所定の電子部品を実装するための半田が設けられた基板の裏面を支持した状態で、前記基板の表面に設けられた前記半田に前記電子部品を押し込んで実装する部品実装装置であって、
前記基板の裏面を支持する基板支持装置を備えるとともに、
前記基板支持装置は、
上端部において前記基板の裏面を支持可能な複数のバックアップピンと、
前記バックアップピンの配置位置を決定する配置位置決定手段と、
前記配置位置決定手段により決定された前記バックアップピンの配置位置に、前記バックアップピンを配置するバックアップピン配置手段とを有し、
前記配置位置決定手段は、前記基板の裏面のうち、前記レジスト膜で前記電極が覆われた部位であり、かつ、前記電子部品及び前記半田の存在していない部位を支持する位置に前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする部品実装装置。
【0034】
上記手段8によれば、基板のうち、ベース板に対する突出長(厚み)がほぼ一定となる部位をバックアップピンにより支持することができる。従って、バックアップピンと基板との間に大きな隙間が形成されてしまうことをより確実に防止でき、基板の撓みを効果的に抑制することができる。これにより、電子部品の実装時に、特段の支障を伴うことなく、半田に対して電子部品を十分に押し込むことができ、電子部品の実装不良をより確実に防止することができる。
【0035】
手段9.前記配置位置決定手段は、前記基板の裏面における前記電子部品、前記半田、前記レジスト膜及び前記電極の設計上の配置領域に関するデータに基づいて、前記基板の裏面のうち、前記レジスト膜で前記電極が覆われた部位であり、かつ、前記電子部品及び前記半田の存在していない部位を特定し、前記特定された位置に前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段8に記載の部品実装装置。
【0036】
上記手段9によれば、設計データに基づいて基板の被支持部位が決定される。そのため、配置位置決定手段における処理負担の軽減を図りつつ、基板を適切に支持可能な位置へとバックアップピンを配置することができる。
【0037】
手段10.前記配置位置決定手段は、前記基板の表面に実装される前記電子部品の情報、及び、前記基板の表面における前記半田の設計上の配置情報の少なくとも一方に基づいて、前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段8又は9に記載の部品実装装置。
【0038】
尚、「電子部品の情報」とあるのは、例えば、電子部品のサイズや電子部品の有する端子の数、実装後における端子間の距離、基板のどの位置に実装されるかについての情報(実装位置の情報)などをいう。また、電子部品の端子は半田に接合されるため、半田の配置情報(半田のサイズや配置位置を含む)に基づいて、実装される電子部品のサイズや端子の状態、電子部品の実装位置などを大まかに把握することが可能である。
【0039】
実装不良のより確実な防止を図るという観点では、基板のうち電子部品の実装される部位(被実装部位)に対応して多くのバックアップピンを配置することが好ましい。
【0040】
また、基板への実装時において、サイズの大きな電子部品は、より確実な固定を図るべく、比較的大きな力で半田へと押し付けられる。そのため、サイズの大きな電子部品の実装に当たっては、基板の撓みをより確実に抑制すべく、電子部品の被実装部位を多くのバックアップピンで支持することが好ましい。
【0041】
さらに、多くの端子を備えていたり、端子同士が近接状態で設けられたり、端子が比較的小さかったりする電子部品では、端子の配置位置が狙いの位置から若干でもずれてしまうと、実装不良となってしまうおそれがある。端子の配置位置のずれを防止するに当たっては、実装不良を招きやすい端子の配置される部位を多くのバックアップピンで支持し、基板をより確実に水平状態で維持することが好ましい。
【0042】
この点、上記手段10によれば、電子部品の情報、及び、半田の設計上の配置情報の少なくとも一方に基づいて、バックアップピンの配置位置が決定される。従って、撓み防止を特に図るべき部位に対応してバックアップピンを密に配置すること等が可能となる。その結果、電子部品を一層精度よく狙いの位置に配置することができ、実装不良を一層確実に防止することができる。
【0043】
手段11.前記基板の表面には、前記半田が複数設けられ、
前記基板のうち、その表面において前記半田間の距離が設計上で所定値以下となる領域を含む半田近接領域を特定する近接領域特定手段を有し、
前記配置位置決定手段は、
前記バックアップピンの配置位置の変更に伴い、前記バックアップピンの単位面積当たりの数を変更可能であり、
前記基板のうち前記半田近接領域に対応する部位を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数が、前記基板のうち前記半田近接領域に対応する部位以外を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数よりも大きくなるように前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段10に記載の部品実装装置。
【0044】
上記手段11によれば、基板のうち半田近接領域に対応する部位、つまり、基板のうち端子同士が近接状態で設けられ得る部位に対応して、多くのバックアップピンが配置される。従って、基板のうち特に撓み防止を図るべき部位において、基板の撓みを効果的に抑制することができる。その結果、実装不良をより確実に防止することができる。
【0045】
一方で、基板のうち半田近接領域に対応する部位以外の部位、つまり、基板のうち端子同士がある程度離間して配置される部位には、比較的少なめのバックアップピンが配置される。従って、バックアップピンの配置を効率化することができ、生産性を高めることができる。
【0046】
手段12.前記基板の表面には、前記半田が複数設けられ、
前記基板のうち、その表面において前記半田の単位面積当たりの数が設計上で所定数以上となる領域を含む半田多数領域を特定する多数領域特定手段を有し、
前記配置位置決定手段は、
前記バックアップピンの配置位置の変更に伴い、前記バックアップピンの単位面積当たりの数を変更可能であり、
前記基板のうち前記半田多数領域に対応する部位を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数が、前記基板のうち前記半田多数領域に対応する部位以外を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数よりも大きくなるように前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段10又は11に記載の部品実装装置。
【0047】
上記手段12によれば、基板のうち半田多数領域に対応する部位、つまり、基板のうち端子が多数配置され得る部位に対応して、多くのバックアップピンが配置される。従って、基板のうち特に撓み防止を図るべき部位において、基板の撓みを効果的に抑制することができる。その結果、実装不良をより一層確実に防止することができる。
【0048】
一方で、基板のうち半田多数領域に対応する部位以外の部位、つまり、基板のうち比較的少数の端子が配置される部位には、比較的少なめのバックアップピンが配置される。従って、バックアップピンの配置をより効率化することができ、生産性を一層高めることができる。
【0049】
手段13.前記基板の表面には、前記半田が複数設けられ、
前記基板のうち、その表面において設計上における面積が所定値以下となる前記半田を含む半田極小領域を特定する極小領域特定手段を有し、
前記配置位置決定手段は、
前記バックアップピンの配置位置の変更に伴い、前記バックアップピンの単位面積当たりの数を変更可能であり、
前記基板のうち前記半田極小領域に対応する部位を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数が、前記基板のうち前記半田極小領域に対応する部位以外を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数よりも大きくなるように前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段10乃至12のいずれかに記載の部品実装装置。
【0050】
上記手段13によれば、基板のうち半田極小領域に対応する部位、つまり、基板のうち面積の比較的小さな端子が配置され得る部位に対応して、多くのバックアップピンが配置される。従って、基板のうち特に撓み防止を図るべき部位において、基板の撓みを効果的に抑制することができる。その結果、実装不良をさらに効果的に防止することができる。
【0051】
一方で、基板のうち半田極小領域に対応する部位以外の部位、つまり、基板のうち比較的大きな端子のみが配置される部位には、比較的少なめのバックアップピンが配置される。従って、バックアップピンの配置をより一層効率化することができ、生産性をより一層向上させることができる。
【0052】
手段14.前記配置位置決定手段は、
前記バックアップピンの配置位置の変更に伴い、前記バックアップピンの単位面積当たりの数を変更可能であり、
前記基板のうち前記電子部品の実装領域に対応する部位を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数が、前記基板のうち前記電子部品の非実装領域に対応する部位を支持する前記バックアップピンの単位面積当たりの数よりも大きくなるように前記バックアップピンの配置位置を決定することを特徴とする手段10乃至13のいずれかに記載の部品実装装置。
【0053】
上記手段14によれば、基板のうち電子部品の実装される部位に対応して、バックアップピンが比較的多く配置される。従って、電子部品の実装部位における撓みを一層確実に抑制することができ、実装不良をより一層防止することができる。
【0054】
一方で、基板のうち電子部品の実装されない部位には、比較的少なめのバックアップピンが配置される。従って、バックアップピンの配置をさらに効率化することができ、生産性をより向上させることができる。