(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-154202(P2015-154202A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】車載通信システム及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/00 20090101AFI20150728BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20150728BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20150728BHJP
G01C 21/26 20060101ALN20150728BHJP
【FI】
H04W76/00
H04W48/16 134
H04W84/12
G01C21/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-25706(P2014-25706)
(22)【出願日】2014年2月13日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】中島 達也
(72)【発明者】
【氏名】宮下 之宏
(72)【発明者】
【氏名】上田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】足立 直樹
(72)【発明者】
【氏名】渡部 正志
(72)【発明者】
【氏名】野田 哲矢
【テーマコード(参考)】
2F129
5K067
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC15
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF19
2F129FF57
5K067AA44
5K067BB04
5K067BB21
5K067EE04
5K067EE35
5K067GG01
5K067JJ52
(57)【要約】
【課題】ユーザの操作を簡易化することができる車載通信システム及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】車載通信システムは、車載装置2と通信装置3とを備える。車載装置2は、車輌の停車時に所定の信号を通信装置3に送信する。通信装置3は、所定の距離内に存在する前記車載装置2と無線通信を行い、所定の信号を受信する無線通信部34と、無線通信部34の無線通信機能の有効化/無効化を切替える制御部30とを備える。制御部30は、所定の信号の受信に応じて、車輌の停車位置情報を取得して記憶部32に記録する。無線通信機能が無効化された場合、制御部30は、GPS受信部35が受信した位置情報が、記録されている停車位置情報に一致するか否かを判定し、位置情報が停車位置情報に一致していると判定された場合、無線通信手段の無線通信機能を有効化する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌に搭載される車載装置と、所定の距離内に存在する前記車載装置と無線通信を行う無線通信手段、及び該無線通信手段の無線通信機能の有効化/無効化を切替える切替手段を有する通信装置とを備える車載通信システムにおいて、
前記車載装置は、前記車輌の停車時に所定の信号を前記通信装置に送信する送信手段を備え、
前記無線通信手段は、前記送信手段により送信された前記所定の信号を受信するようにしてあり、
前記通信装置は、
前記無線通信手段が前記所定の信号を受信した場合、前記車輌の停車位置に係る停車位置情報を取得する取得手段と、
該取得手段により取得された停車位置情報を記録する記録手段と、
自装置の位置に係る位置情報を獲得する獲得手段と、
前記無線通信機能が前記切替手段により無効化された場合、該獲得手段により獲得された位置情報が前記記録手段により記録されている停車位置情報に一致するか否かを判定する判定手段と
を備え、
前記切替手段は、該判定手段により前記位置情報が前記停車位置情報に一致していると判定された場合、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化するようにしてあることを特徴とする車載通信システム。
【請求項2】
前記通信装置は、
車輌に関する所定のプログラムを記憶する記憶手段と、
前記判定手段により前記位置情報が前記停車位置情報に一致していると判定された場合、前記所定のプログラムを実行する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車載通信システム。
【請求項3】
前記取得手段は、前記停車位置情報として、停車時に前記獲得手段により獲得される位置情報を取得するようにしてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載通信システム。
【請求項4】
前記車載装置は、前記車輌の停車位置に係る位置情報を獲得する獲得手段を備え、
前記取得手段は、前記停車位置情報として、該車載装置の獲得手段により獲得される位置情報を取得するようにしてあることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の車載通信システム。
【請求項5】
車輌に搭載される車載装置と、所定の距離内に存在する前記車載装置と無線通信を行う無線通信手段、及び該無線通信手段の無線通信機能の有効化/無効化を切替える切替手段を有する通信装置とを備える車載通信システムにおける通信制御方法において、
前記車載装置が、
前記車輌の停車時に所定の信号を前記通信装置に送信し、
前記通信装置が、
前記無線通信手段にて前記所定の信号を受信し、
前記車輌の停車位置に係る停車位置情報を取得し、
取得された停車位置情報を記録し、
自装置の位置に係る位置情報を獲得し、
前記無線通信機能が前記切替手段により無効化された場合、獲得された位置情報が記録されている停車位置情報に一致するか否かを判定し、
前記位置情報が前記停車位置情報に一致していると判定された場合、前記切替手段にて前記無線通信機能を有効化することを特徴とする通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが所持する通信装置を利用する車載通信システムに関し、特に、ユーザの操作を簡易化することができる車載通信システム及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車輌には、走行制御に係る車載装置のみでなく、車内のユーザの快適性向上又は娯楽等を目的とした種々の車載装置が搭載される。また、携帯電話機、スマートフォン又はタブレット型端末等のユーザが所持する通信装置の進歩が目覚ましくなっている。これらの通信装置と車載装置とが連携して処理を行って、高度なサービスをユーザに提供するシステムが実用化されている。
【0003】
このようなシステムにおいて、車載装置及び通信装置は、いずれもWiFi等の無線LAN通信機能を有する。通信装置は、車載装置と無線LAN通信を行うとともに、インストールされた特定のアプリケーションを起動することにより、車載装置と連携して、各種の機能が発揮される。
【0004】
通信装置の無線LAN通信機能を常に有効にする場合、通信していないにも関わらず無駄に電力を消費することになる。そこで、「AutoWiFi」というスマートフォンアプリケーションが開発されている。このアプリケーションでは、ユーザが予め設定した地点に到着すると、自動的にスマートフォンのWiFi機能を有効化し、当該地点から離れるとWiFi機能を無効化することで、省電力化が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−186955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、「AutoWiFi」というアプリケーションを、車載装置と連携する通信装置に用いる場合、毎回の停車場所が必ずしも同じとは限らないため、ユーザが停車して停車位置に戻る際に、通信装置はWiFi機能が無効且つ特定のアプリケーションが起動されていない状態になる可能性がある。この場合、ユーザが手動でWiFi機能を有効にし、特定のアプリケーションを起動する必要があり、手間がかかる。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、通信装置における車載装置との無線通信機能を、ユーザが停車して停車位置に戻る際に自動的に有効化し、ユーザの操作を簡易化することができる車載通信システム及び通信制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載通信システムは、車輌に搭載される車載装置と、所定の距離内に存在する前記車載装置と無線通信を行う無線通信手段、及び該無線通信手段の無線通信機能の有効化/無効化を切替える切替手段を有する通信装置とを備える車載通信システムにおいて、前記車載装置は、前記車輌の停車時に所定の信号を前記通信装置に送信する送信手段を備え、前記無線通信手段は、前記送信手段により送信された前記所定の信号を受信するようにしてあり、前記通信装置は、前記無線通信手段が前記所定の信号を受信した場合、前記車輌の停車位置に係る停車位置情報を取得する取得手段と、該取得手段により取得された停車位置情報を記録する記録手段と、自装置の位置に係る位置情報を獲得する獲得手段と、前記無線通信機能が前記切替手段により無効化された場合、該獲得手段により獲得された位置情報が前記記録手段により記録されている停車位置情報に一致するか否かを判定する判定手段とを備え、前記切替手段は、該判定手段により前記位置情報が前記停車位置情報に一致していると判定された場合、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る車載通信システムは、前記通信装置は、車輌に関する所定のプログラムを記憶する記憶手段と、前記判定手段により前記位置情報が前記停車位置情報に一致していると判定された場合、前記所定のプログラムを実行する手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る車載通信システムは、前記取得手段は、前記停車位置情報として、停車時に前記獲得手段により獲得される位置情報を取得するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る車載通信システムは、前記車載装置は、前記車輌の停車位置に係る位置情報を獲得する獲得手段を備え、前記取得手段は、前記停車位置情報として、該車載装置の獲得手段により獲得される位置情報を取得するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る通信制御方法は、車輌に搭載される車載装置と、所定の距離内に存在する前記車載装置と無線通信を行う無線通信手段、及び該無線通信手段の無線通信機能の有効化/無効化を切替える切替手段を有する通信装置とを備える車載通信システムにおける通信制御方法において、前記車載装置が、前記車輌の停車時に所定の信号を前記通信装置に送信し、前記通信装置が、前記無線通信手段にて前記所定の信号を受信し、前記車輌の停車位置に係る停車位置情報を取得し、取得された停車位置情報を記録し、自装置の位置に係る位置情報を獲得し、前記無線通信機能が前記切替手段により無効化された場合、獲得された位置情報が記録されている停車位置情報に一致するか否かを判定し、前記位置情報が前記停車位置情報に一致していると判定された場合、前記切替手段にて前記無線通信機能を有効化することを特徴とする。
【0013】
本発明においては、停車時に、車載装置から通信装置に所定の信号が送信され、通信装置は、該所定の信号を受信した場合、車輌の停車位置情報を取得して記録する。無線通信手段の無線通信機能が無効化された場合、通信装置は、自装置の位置情報と記録されている停車位置情報とが一致していると判定した場合、無線通信手段の無線通信機能を有効化する。これにより、ユーザが停車して停車位置に戻る際に、通信装置の無線通信機能は自動的に有効化される。
【0014】
本発明においては、通信装置は、自装置の位置情報が記録されている停車位置情報に一致している場合、車載装置と連携するためのプログラムを実行する。これにより、ユーザが停車して停車位置に戻る際に、車載装置と連携するためのプログラムは自動的に起動される。
【0015】
本発明においては、通信装置は、停車時に取得された自装置の位置情報を車輌の停車位置情報として取得する。これにより、車輌側に位置情報を獲得する手段を設ける必要がなく、通信装置のみを利用して停車位置情報及び通信装置の位置情報を得ることができる。
【0016】
本発明においては、通信装置は、車載装置が獲得した車輌の位置情報を停車位置情報として取得する。これにより、停車位置に係る情報は確実に得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る車載通信システムは、停車時に、車載装置から通信装置に所定の信号が送信され、通信装置が該所定の信号を受信した場合、車輌の停車位置情報を取得して記録しておき、通信装置の無線通信機能が無効化された場合、自装置の位置情報が記録されている停車位置情報に一致しているときに、無線通信手段の無線通信機能を有効化する。これにより、ユーザは、車輌へ近づく、又は車内に乗り込む際に、通信装置と車載装置との無線通信を開始することができ、操作が簡易化される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す模式図である。
【
図2】実施の形態1における車載通信装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1における通信装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態1における通信装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態2における車載通信装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す模式図である。図において破線で示す1は車輌であり、車輌1には、車載通信装置2、ゲートウェイ4、及びECU(Electronic Controller Unit)5等の車載装置が搭載されている。車輌1には、共通の通信線にバス接続された複数のECU5による通信グループが複数存在する。ゲートウェイ4には、複数の通信線が接続されている。ゲートウェイ4は、通信グループ間の通信を中継する。また、ゲートウェイ4は、車載通信装置2に接続されており、車載通信装置2からの情報をECU5へ送信すると共に、ECU5から受信した情報を車載通信装置2へ与える。
【0020】
車載通信装置2は、ユーザが所持する通信装置3と、ゲートウェイ4及びECU5等を含んで構成された車輌1の車内ネットワークとの間の通信を中継する機能を有する。
【0021】
通信装置3は、例えばユーザが所持する携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末又はノートPC(Personal Computer)等の装置であり、車載通信装置2との間で無線LAN通信を行う。
【0022】
図2は実施の形態1における車載通信装置2の構成を示すブロック図である。車載通信装置2は、制御部20、一時記憶部21、記憶部22、無線通信部23、及び車内通信部24等を備えている。
【0023】
制御部20はCPU(Central Processing Unit)を用いて構成されている。制御部20は、記憶部22に記憶された一又は複数のプログラムを一時記憶部21に読み出して実行することにより、種々の処理を行う。
【0024】
一時記憶部21は、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)等のメモリ素子を用いて構成されている。一時記憶部21は、制御部20が実行するプログラム及び実行に必要なデータ等が一時的に記憶される。
【0025】
記憶部22は、フラッシュメモリ若しくはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子、又は、ハードディスクなどの磁気記憶装置等を用いて構成されている。記憶部22は、制御部20が実行するプログラム及び実行に必要なデータ等を記憶する。
【0026】
無線通信部23は、無線LANアンテナ及びWiFiチップを含むWiFiモジュールを用いて構成されている。無線通信部23は、車輌1内又は車輌1から無線信号が到達する範囲内に存在する通信装置3との間で無線LAN通信を行う。無線通信部23は、制御部20から与えられた情報を通信装置3へ送信すると共に、通信装置3から受信した情報を制御部20へ与える。なお、無線通信部23による通信規格は、WiFi対応の無線LANには限らず、他の無線LANでもよいことは勿論、Bluetooth(登録商標)、赤外線、若しくは光通信等の無線通信を用いる構成としてもよい。
【0027】
車内通信部24は、車輌1に搭載されたゲートウェイ4に通信ケーブルを介して接続されている。車内通信部24は、例えばCAN(Controller Area Network)又はLIN(Local Interconnect Network)等の規格に応じて、ゲートウェイ4との通信を行う。車内通信部24は、制御部20から与えられた情報をゲートウェイ4へ送信すると共に、ゲートウェイ4から受信した情報を制御部20へ与える。
【0028】
また、車載通信装置2は、例えばECU5に接続された車速センサ(不図示)からの出力信号を取得することにより、車輌1が停車しているか否かを判定することができる。車載通信装置2は、車輌1が停車していると判定した場合、無線通信部23を介して、所定の信号を通信装置3へ送信する。ここで、所定の信号は、通信装置3に停車位置情報の取得及び記録を指示する信号であり、必要に応じて任意に設定すればよい。
【0029】
図3は実施の形態1における通信装置3の構成を示すブロック図である。通信装置3は、制御部30、一時記憶部31、記憶部32、基地局通信部33、無線通信部34及びGPS受信部35を備えている。
【0030】
制御部30は、CPUを用いて構成され、タイマ(不図示)を備えている。制御部30は、記憶部32に記憶された各アプリケーション用のプログラムを含む複数のプログラムを一時記憶部31に読み出して実行することにより、各構成部を制御し、種々の機能を発揮させる。
【0031】
一時記憶部31は、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)等のメモリ素子を用いて構成されている。一時記憶部31は、制御部30が実行するプログラム及び実行に必要なデータ等が一時的に記憶される。
【0032】
記憶部32は、フラッシュメモリ若しくはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子、又は、ハードディスクなどの磁気記憶装置等を用いて構成されている。記憶部32は、処理時に参照する情報を記憶する。記憶部32は、制御部30が読み出す基本となるOS(Operating System)プログラム、及び各アプリケーション用のプログラムのほか、制御部30が無線通信部34による無線LAN通信機能の有効化/無効化を切り替えるための制御プログラム1P、車載装置と連携するためのアプリケーション用のプログラム1Aを記憶している。また、記憶部32は、後述する停車位置情報を記録する記録領域が備える。取得された停車位置情報は、当該記録領域に上書きで記録される。
【0033】
基地局通信部33は、基地局と接続して通信を実行するための通信モジュールを用いて構成されている。基地局通信部33により、移動通信網を介した音声通話が可能となると共に、インターネット等の公衆通信網を介したデータ通信が可能である。
【0034】
無線通信部34は、無線LANアンテナ及びWiFiチップを含むWiFiモジュールを用いて構成されている。無線通信部34は、無線信号が到達する範囲内に存在する車載通信装置2との間で無線通信を実現する。無線通信部34の無線LAN通信機能は、無効化/有効化の切替が可能であり、有効化されている間、通信対象の機器を探索する処理を定期的に行なう。無効化/有効化の切替は、制御部30からの指示に基づき行なわれる。なお、無線通信部34による通信規格は、WiFi対応の無線LANには限らず、他の無線LANでもよいことは勿論、Bluetooth(登録商標)、赤外線、若しくは光通信等の無線通信を用いる構成としてもよい。
【0035】
GPS受信部35は、GPS(Global Positioning System)の複数の人工衛星から受信された信号を受信し、通信装置3の位置に係る位置情報を獲得する。GPS受信部35は、獲得した位置情報を制御部30へ与える。
【0036】
このように構成される車載通信システムにおいて、通信装置3の無線LAN通信機能の有効化/無効化を切替える処理手順の詳細を、フローチャートを参照して説明する。
図4は実施の形態1における通信装置3の制御部30による処理手順の一例を示すフローチャートである。通信装置3の制御部30は、無線通信部34による無線LAN通信機能が有効化され、車載装置と連携するためのアプリケーション用のプログラム1Aが起動されている場合、制御プログラム1Pに基づき、以下に示す処理を実行する。
【0037】
制御部30は、車載通信装置2から所定の信号を受信したか否かを判定する(ステップS1)。制御部30は、所定の信号を受信していないと判断した場合(ステップS1:NO)、処理をステップS1へ戻し、所定の信号を受信するまで待機する。
【0038】
所定の信号を受信したと判断した場合(ステップS1:YES)、制御部30は、現時点にGPS受信部35により与えられた位置情報を、停車位置情報として取得し(ステップS2)、取得した停車位置情報を記憶部32に記録する(ステップS3)。
【0039】
次いで、制御部30は、車載通信装置2と通信装置3との通信が途切れているか否かを判定する(ステップS4)。制御部30は、車載通信装置2と通信装置3との通信が途切れていないと判定された場合(ステップS4:NO)、処理をステップS1に戻し、車載通信装置2と通信装置3との通信が途切れていると判定された場合(ステップS4:YES)、無線通信部34の無線LAN通信機能を無効化する(ステップS5)。
【0040】
次いで、制御部30は、タイマをセットする(ステップS6)。制御部30は、タイマの時間が所定時間を超えたか否かを判定する(ステップS7)。ここで、所定時間は予め設定された、通信装置3の位置情報が停車位置情報に一致するか否かを判定する間隔であり、必要に応じて任意に設定すればよい。
【0041】
所定時間を超えていないと判定された場合(ステップS7:NO)、制御部30は、処理をステップS7に戻し、所定時間を超えるまで、ステップS7の処理を繰り返す。所定時間を超えたと判定された場合(ステップS7:YES)、制御部30は、GPS受信部35により与えられた現在の位置情報が、記憶部32に記録されている停車位置情報と一致するか否かを判定する(ステップS8)。GPSによる位置検出の誤差を考慮すると、本発明における「一致」という用語は、完全に一致する場合だけでなく、GPSによる位置検出の誤差範囲内で一致する場合を含んでもよい。例えば、記録されている停車位置情報から所定の範囲を、一致とみなす範囲として設定し、通信装置3の現在位置が当該範囲内であれば一致と判定してもよい。
【0042】
一致していないと判定された場合(ステップS8:NO)、制御部30は、タイマをリセットし(ステップS9)、処理をステップS7に戻す。一致すると判定された場合(ステップS8:YES)、制御部30は、無線通信部34の無線LAN通信機能を有効化し(ステップS10)、プログラム1Aを読み出して実行し(ステップS11)、処理を終了する。
【0043】
本実施の形態に係る車載通信システムでは、車載通信装置2は、停車している期間に、無線通信部23を介して、所定の信号を通信装置3へ送信し、通信装置3は、所定の信号の受信に応じて、車輌1の停車位置情報として、自装置の位置情報を取得して記録しておき、無線LAN通信機能が無効化された後に、自装置の現在の位置情報と記録しておいた停車位置情報とを比較し、自装置の現在の位置情報が記録されている停車位置情報に一致している場合、無線LAN通信機能を有効化し、連携用のプログラム1Aを起動する。これにより、ユーザが停車して停車位置に戻る際に、通信装置3における車載装置2との無線LAN通信機能を自動的に有効化し、連携用のプログラム1Aを自動的に起動することができ、ユーザの操作を簡易化することができる。
【0044】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2における車載通信装置2の構成を示すブロック図である。実施の形態2において、車載通信装置2は、制御部20、一時記憶部21、記憶部22、無線通信部23、車内通信部24、及び位置情報獲得部25を備えている。実施の形態2における車載通信システムは、位置情報獲得部25以外が実施の形態1と同様に構成されている。従って、共通する構成には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
位置情報獲得部25は、車輌1の位置情報を獲得して制御部20へ与える。位置情報獲得部25は、例えばGPSの複数の人工衛星から送信された信号を受信するアンテナなどが接続され、車輌1の位置情報を獲得する。なお、車輌1にカーナビゲーション装置が搭載されている場合、位置情報獲得部25は、カーナビゲーション装置に接続され、車輌1の位置情報をカーナビゲーション装置から獲得するように構成されてもよい。
【0046】
車載通信装置2は、停車している期間に、無線通信部23を介して、車輌1の位置情報及び所定の信号を通信装置3へ送信する。
【0047】
通信装置3は、無線通信部34を介して、車載通信装置2からの車輌1の位置情報及び所定の信号を受信する。
図4のステップS2において、制御部30は、受信した位置情報を停車位置情報として取得する。
【0048】
本実施の形態に係る車載通信システムでは、車載通信装置2は、停車している期間に、無線通信部23を介して、車輌1の位置情報及び所定の信号を通信装置3へ送信し、通信装置3は、所定の信号の受信に応じて、停車位置情報として、車載通信装置2から送信された車輌1の位置情報を取得して記録しておき、無線LAN通信機能が無効化された場合、自装置の現在の位置情報と記録しておいた停車位置情報とを比較し、自装置の現在の位置情報が記録されている停車位置情報に一致している場合、無線LAN通信機能を有効化し、連携用のプログラム1Aを起動する。これにより、ユーザが停車して停車位置に戻る際に、通信装置3における車載装置2との無線LAN通信機能を自動的に有効化し、連携用のプログラム1Aを自動的に起動することができ、ユーザの操作を簡易化することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、制御部30は、
図4のステップS4において、GPS受信部35により与えられた現在の位置情報が、記録されている停車位置情報に一致しているか否かを判定し、一致していると判定した場合、処理をステップS1に戻し、一致しないと判定した場合、無線通信部34の無線LAN通信機能を無効化するように構成されてもよい。
【0050】
実施の形態1及び2に示したように、通信装置3では、制御プログラム1P及びアプリケーション用のプログラム1Aを予めインストールしておくことで、制御部30が、制御プログラム1Pに基づき、通信装置3を所持するユーザが停車位置に戻る際に無線LAN通信機能を有効化すると共に、連携用のプログラム1Aを起動し、車載装置との連携処理を開始する。これにより、ユーザは、車輌1へ近づく、又は車内に乗り込む動作のみで、車載装置と通信装置3との連携によって発揮される機能を享受することができる。
【0051】
また、実施の形態1及び2では、通信装置3は、車載通信装置2との通信が途切れている場合に無線LAN通信機能を無効化するように構成されているが、通信装置3は、車載通信装置2との通信が所定時間途切れている場合、又はプログラム1Aが終了された場合に無線LAN通信機能を無効化するように構成されてもよい。
【0052】
さらに、上述した制御部30による処理を実現する制御プログラム1Pは、従来からスマートフォン等で用いられているWiFi制御プログラムに組み込まれるようにしてもよいし、アプリケーションを監視、制御する制御プログラムに組み込まれるようにしてもよい。
【0053】
なお、上述のように開示された本実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 車輌
2 車載通信装置(車載装置)
20 制御部
21 一時記憶部
22 記憶部
23 無線通信部(送信手段)
24 車内通信部
25 位置情報獲得部(獲得手段)
3 通信装置
30 制御部(切替手段、取得手段、判定手段)
31 一時記憶部
32 記憶部(記録手段、記憶手段)
33 基地局通信部
34 無線通信部(無線通信手段)
35 GPS受信部(獲得手段)
4 ゲートウェイ
5 ECU