【課題】製造が容易で、構成が簡素でコストが低く、小型でありながら、取扱いが容易で、導波体同士を正確に位置合せした状態で接続することができ、信頼性が高くなるようにする。
【解決手段】第1導波体91が接続される第1ハウジング11を有する第1接続部材と、第2導波体191が接続される第2ハウジング111を有する第2接続部材とを備える接続装置であって、前記第1ハウジング11は第1嵌(かん)合面と第1磁石とを有し、前記第2ハウジング111は第2嵌合面と第2磁石とを有し、前記第1接続部材と第2接続部材とは、前記第1導波体91及び第2導波体191の軸方向に対して直交する嵌合方向に相互に変位し、前記第1磁石及び第2磁石の磁力によって相互に位置決めされ、嵌合する。
前記第1接続部材と第2接続部材とは、前記第1磁石及び第2磁石の磁力によって、前記第1ガイド部の基準面と前記第2ガイド部の基準面とが互いに押圧され続けることにより、相互に位置決めされた状態を維持する請求項3に記載の接続装置。
前記第1接続部材と第2接続部材とが相互に位置決めされて嵌合した状態において、前記第1磁石と第2磁石とは、前記嵌合方向に関して位置がずれ、かつ、互いに引合っている請求項4に記載の接続装置。
前記第1接続部材と第2接続部材とが相互に位置決めされて嵌合した状態において、前記第1導波体の先端面と第2導波体の先端面とは互いに対向するとともに、前記第1導波体の先端面及び第2導波体の先端面の間に隙間がある請求項1〜5のいずれか1項に記載の接続装置。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブル等を接続するために磁石を備える接続装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図8は従来の接続装置の斜視図である。なお、図において、(a)は固定側接続装置の斜視図、(b)はケーブル側接続装置の斜視図である。
【0004】
図において、811は、固定側接続装置であるピンコネクタのハウジングであり、例えば、図示されない回路基板のエッジ部分に固定される。また、861は、前記ハウジング811にモールドされたピン接点であり、前記ハウジング811の前面から突出している。なお、前記ピン接点861の図示されない他端は、回路基板の接続部にはんだ付等の手段によって電気的に接続される。
【0005】
そして、前記ハウジング811の左右両端には、平面形状が略L字形の磁石871が配設されている。図における右側の磁石871において、ハウジング811の幅方向内側はN極であり、幅方向外側で前方に突出した側はS極である。また、図における左側の磁石871において、ハウジング811の幅方向内側はS極であり、幅方向外側で前方に突出した側はN極である。さらに、各磁石871におけるN極とS極との間の段面は、外側に開いた傾斜ガイド面872となっている。
【0006】
一方、911は、ケーブル側接続装置であるケーブルコネクタのハウジングであり、FPC(Flexible Printed Circuit)から成る帯状ケーブル991の後面に貼(てん)着されている。また、992は、帯状ケーブル991の被覆を除去することによって前面に露出した導線の一部分である帯状接点である。
【0007】
そして、前記ハウジング911の左右両端には、平面形状が略L字形の磁石971が配設されている。図における右側の磁石971において、ハウジング911の幅方向内側はN極であり、幅方向外側はS極である。また、図における左側の磁石971において、ハウジング911の幅方向内側はS極であり、幅方向外側はN極である。さらに、各磁石971におけるN極とS極との間の段面は、内側へ閉じた傾斜ガイド面972となっている。
【0008】
前記ピンコネクタとケーブルコネクタとを接続する際には、ピンコネクタ及び/又はケーブルコネクタの姿勢を制御して、互いの前面同士が向い合うようにする。これにより、ピンコネクタの磁石871のN極及びS極とケーブルコネクタの磁石971のS極及びN極とが向い合うので、磁力によって接続される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態における第1接続部材と第2接続部材とが互いに接続した状態を示す斜視図、
図2は本発明の実施の形態における第1接続部材と第2接続部材とが互いに接続した状態を示す二面図、
図3は本発明の実施の形態における第1接続部材の背面と第2接続部材の背面とを示す第1の斜視図、
図4は本発明の実施の形態における第1接続部材の分解図、
図5は本発明の実施の形態における第1接続部材に第1導波体を取付ける動作を説明する図である。なお、
図2において、(a)は上面図、(b)は側断面図であって(a)におけるA−A矢視断面図であり、
図5において、(a)は取付前を示す図、(b)は取付後を示す図である。
【0023】
図において、1は本実施の形態における一方の接続部材である第1接続部材としての第1コネクタであり、一方の導波体である第1導波体91の終端が取付けられて接続される。また、101は本実施の形態における相手方、すなわち、他方の接続部材である第2接続部材としての第2コネクタであり、相手方、すなわち、一方の導波体である第2導波体191の終端が取付けられて接続される。そして、前記第1コネクタ1及び第2コネクタ101は、
図1及び2に示されるように、互いに嵌合して接続される。
【0024】
前記第1導波体91及び第2導波体191は、実質的に同一の構成を備える導波体であり、マイクロ波、ミリ波等の高い周波数帯の電磁波を伝送するための伝送路として機能する。前記第1導波体91及び第2導波体191は、通常、長尺の部材であるが、図に示される例では、図示の都合上、全長が短くなっている。また、前記第1導波体91及び第2導波体191は、いかなる種類のものであってもよく、いかなる構造を備えるものであってもよいが、ここでは、棒状乃至線状の誘電体と、該誘電体の周囲を被覆して囲繞(にょう)する外部導体とを備えるものであるとする。前記誘電体は、合成樹脂等の柔軟性を備える誘電性材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂、シクロオレフィンポリマ(COP)樹脂、環状オレフィンコポリマ(COC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂等から成る。また、前記外部導体は、金属等の良好な導電性を備える導電性材料、例えば、銅、金、銀、又は、アルミニウム及びそれらの合金等から成る。
【0025】
なお、本実施の形態において、第1コネクタ1、第2コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、第1コネクタ1、第2コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、第1コネクタ1、第2コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0026】
前記第1コネクタ1は、一体的に形成され、概略直方体のような全体形状を備える第1ハウジング11と、該第1ハウジング11に接続された第1導波体91を保持するために前記第1ハウジング11に装着される第1保持部材としての第1アクチュエータ27と、前記第1コネクタ1と第2コネクタ101との接続を維持する永久磁石である第1上側磁石71a及び第1下側磁石71bとを備える。なお、第1上側磁石71a及び第1下側磁石71bを統合的に説明する場合には、第1磁石71として説明する。
【0027】
また、前記第2コネクタ101は、一体的に形成され、概略直方体のような全体形状を備える第2ハウジング111と、該第2ハウジング111に接続された第2導波体191を保持するために前記第2ハウジング111に装着される第2保持部材としての第2アクチュエータ127と、前記第1コネクタ1と第2コネクタ101との接続を維持する永久磁石である第2上側磁石171a及び第2下側磁石171bとを備える。なお、第2上側磁石171a及び第2下側磁石171bを統合的に説明する場合には、第2磁石171として説明する。
【0028】
本実施の形態において、第1アクチュエータ27及び第2アクチュエータ127は、実質的に同一の部材であるので、統合的に説明する場合には、アクチュエータ27及び127として説明する。また、第1上側磁石71a、第1下側磁石71b、第2上側磁石171a及び第2下側磁石171bは、実質的に同一の部材であるので、統合的に説明する場合には、磁石71及び171として説明する。
【0029】
前記第1ハウジング11及び第2ハウジング111の材料は、合成樹脂等の誘電性材料であってもよいが、電磁波の漏洩(えい)を防止するという観点からは、良好な導電性を備える金属等、例えば、銅、金、銀、又は、アルミニウム及びそれらの合金等であることが望ましい。ここでは、前記第1ハウジング11及び第2ハウジング111は、一体的に形成された銅合金又はアルミニウム合金製の部材であるものとして説明する。
【0030】
前記第1ハウジング11は、概略直方体のような全体形状を備えるが、前面11aには前方に突出する導波体接続部21が一体的に形成され、第1嵌合面としての後面11bには凹入する第1ガイド部としてのガイド凹部12が形成されている。また、前記第1ハウジング11には、該第1ハウジング11を厚さ方向に貫通して前面11a及び後面11bに開口し、第1ハウジング11の幅方向に延在する細長いスリット状の断面形状であって第1導波体91と同様の断面形状を備える導波体挿通孔(こう)18が形成されている。さらに、前記第1ハウジング11の前面11aには、凹入する凹部である上側磁石収容凹部13a及び下側磁石収容凹部13bが形成されている。
【0031】
前記導波体挿通孔18は、第1導波体91の終端すなわち先端が挿入される部位であり、平坦(たん)な後面11bに対して直交するように形成されている。また、第1ハウジング11の幅方向の中心において後面11bに開口し、第1ハウジング11の上下方向に関しても中心において後面11bに開口することが望ましい。そして、上側磁石収容凹部13a及び下側磁石収容凹部13bは、導波体挿通孔18の上側及び下側にそれぞれ形成される。したがって、前記上側磁石収容凹部13a及び下側磁石収容凹部13b内に収容される第1上側磁石71a及び第1下側磁石71bは、導波体挿通孔18の上側及び下側にそれぞれ位置する。
【0032】
前記ガイド凹部12は、後面11bの左右両側にそれぞれ形成された上下方向に延在する略直方体状の凹部であり、その下端が第1ハウジング11の下面に開放し、第1ハウジング11の幅方向外側の側端が第1ハウジング11の側面に開放する。そして、前記ガイド凹部12の底面12cは、上下方向に延在する略矩(く)形の平坦面であり、前記ガイド凹部12の上端壁12aは、幅方向に延在し、かつ、後面11bに対して略直交する平坦面であり、前記ガイド凹部12の第1ハウジング11の幅方向内側の側端壁12bは、上下方向に延在し、かつ、後面11bに対して略直交する平坦面である。
【0033】
そして、前記上端壁12aは、上下方向に関して第1ハウジング11と第2ハウジング111との相対的な位置決めをするための基準面として機能する。また、前記側端壁12bは、幅方向に関して第1ハウジング11と第2ハウジング111との相対的な位置決めをするための基準面として機能する。
【0034】
前記導波体接続部21は、導波体挿通孔18に連通する溝状の導波体通過凹部28、及び、該導波体通過凹部28の左右両側にそれぞれ形成されたアクチュエータ取付部22を備える。前記導波体通過凹部28は、前記導波体接続部21の幅方向中央部に形成され、第1ハウジング11の厚さ方向に延在するように形成された上面が開放された溝状の部分であり、その底面は導波体挿通孔18の下面と面一である。また、前記アクチュエータ取付部22には、前記第1アクチュエータ27の腕部27cを回転自在に収容する腕収容開口23が形成されている。
【0035】
そして、前記第1アクチュエータ27は、第1導波体91の上面を押圧可能な押圧部27aと、該押圧部27aから軸方向に対して直交する方向に延出する平板状の操作部27bと、前記押圧部27aの左右両側から軸方向に延出する腕部27cとを備える。該腕部27cが腕収容開口23内に回転自在に収容されることによって、第1アクチュエータ27は、
図5(a)に示されるような開姿勢としての第1姿勢と、
図5(b)に示されるような閉姿勢としての第2姿勢との間での姿勢変化が可能となる。前記第1アクチュエータ27が第1姿勢であるときには、押圧部27aが上方に位置しているので、第1導波体91の先端を、導波体通過凹部28を介して、導波体挿通孔18に挿入することができる。そして、導波体挿通孔18に挿入が完了すると、オペレータが手指によって操作部27bを操作することにより、第1アクチュエータ27の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変化させる。これにより、第1導波体91は、
図2(b)に示されるように、その上面が押圧部27aによって下方に向けて押圧されるので、変位不能に第1コネクタ1に接続される。
【0036】
前記第1ハウジング11と同様に、第2ハウジング111は、概略直方体のような全体形状を備え、前面111aには前方に突出する導波体接続部121が一体的に形成されている。また、前記第2ハウジング111には、該第2ハウジング111を厚さ方向に貫通して前面111a及び第2嵌合面としての後面111bに開口し、第2ハウジング111の幅方向に延在する細長いスリット状の断面形状であって第2導波体191と同様の断面形状を備える導波体挿通孔118が形成されている。さらに、前記第2ハウジング111の前面111aには、凹入する凹部である上側磁石収容凹部113a及び下側磁石収容凹部113bが形成されている。
【0037】
また、前記第1ハウジング11の場合と同様に、導波体挿通孔118は、第2導波体191の終端すなわち先端が挿入される部位であり、平坦な後面111bに対して直交するように形成されている。また、第2ハウジング111の幅方向の中心において後面111bに開口し、第2ハウジング111の上下方向に関しても中心において後面111bに開口することが望ましい。そして、上側磁石収容凹部113a及び下側磁石収容凹部113bは、導波体挿通孔118の上側及び下側にそれぞれ形成される。したがって、前記上側磁石収容凹部113a及び下側磁石収容凹部113b内に収容される第2上側磁石171a及び第2下側磁石171bは、導波体挿通孔118の上側及び下側にそれぞれ位置する。
【0038】
しかし、前記第1ハウジング11の場合とは異なり、第2ハウジング111の後面111bには、突出するガイド凸部112が形成されている。該ガイド凸部112は、前記第1ハウジング11のガイド凹部12と相補的な関係にあり、該ガイド凹部12と係合する。そして、前記ガイド凸部112は、前記ガイド凹部12と係合し、第2ハウジング111を第1ハウジング11に対して上下方向にスライドさせる際の第2ガイド部として機能する。前記ガイド凹部12及びガイド凸部112は、第2ハウジング111を第1ハウジング11に対して上下方向にスライドさせる際に、第2ハウジング111の第1ハウジング11に対する幅方向の位置決めを行うとともに、スライド停止時における第2ハウジング111の第1ハウジング11に対する上下方向の位置決めも行う。
【0039】
具体的には、前記ガイド凸部112は、後面111bの左右両側にそれぞれ形成された上下方向に延在する略直方体状の凸部であり、その下端壁が第2ハウジング111の下面と面一であり、第2ハウジング111の幅方向外側の側端壁が第2ハウジング111の側面と面一である。そして、前記ガイド凸部112の天面112cは、上下方向に延在する略矩形の平坦面であり、前記ガイド凸部112の上端壁112aは、幅方向に延在し、かつ、後面111bに対して略直交する平坦面であり、前記ガイド凸部112の幅方向内側の側端壁112bは、上下方向に延在し、かつ、後面111bに対して略直交する平坦面である。
【0040】
そして、前記上端壁112aは、上下方向に関して第1ハウジング11と第2ハウジング111との相対的な位置決めをするための基準面として機能する。また、前記側端壁112bは、幅方向に関して第1ハウジング11と第2ハウジング111との相対的な位置決めをするための基準面として機能する。
【0041】
前記第1ハウジング11の場合と同様に、導波体接続部121は、導波体挿通孔118に連通する溝状の導波体通過凹部128、及び、該導波体通過凹部128の左右両側にそれぞれ形成されたアクチュエータ取付部122を備える。前記導波体通過凹部128は、前記導波体接続部121の幅方向中央部に形成され、第2ハウジング111の厚さ方向に延在するように形成された上面が開放された溝状の部分であり、その底面は導波体挿通孔118の下面と面一である。また、前記アクチュエータ取付部122には、前記第2アクチュエータ127の腕部127cを回転自在に収容する腕収容開口123が形成されている。
【0042】
前記第1アクチュエータ27と同様に、第2アクチュエータ127は、第2導波体191の上面を押圧可能な押圧部127aと、該押圧部127aから軸方向に対して直交する方向に延出する平板状の操作部127bと、前記押圧部127aの左右両側から軸方向に延出する腕部127cとを備える。該腕部127cが腕収容開口123内に回転自在に収容されることによって、第2アクチュエータ127は、開姿勢としての第1姿勢と、閉姿勢としての第2姿勢との間での姿勢変化が可能となる。前記第2アクチュエータ127が第1姿勢であるときには、押圧部127aが上方に位置しているので、第2導波体191の先端を、導波体通過凹部128を介して、導波体挿通孔118に挿入することができる。そして、導波体挿通孔118に挿入が完了すると、オペレータが手指によって操作部127bを操作することにより、第2アクチュエータ127の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変化させる。これにより、第2導波体91は、
図2(b)に示されるように、その上面が押圧部127aによって下方に向けて押圧されるので、変位不能に第2コネクタ101に接続される。
【0043】
第1磁石71と第2磁石171とは、互いに対向する面の磁極が相違するように配設される。つまり、
図2(b)に示されるように、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が互いに接続された状態において、互いに対向する第1磁石71と第2磁石171とは、対向する面の磁極が相違するように、例えば、第1上側磁石71aの第2コネクタ101側(
図2(b)における右側)の面の磁極がS極であれば、第2上側磁石171aの第1コネクタ1側(
図2(b)における左側)の面の磁極がN極となるように、配設され、同様に、例えば、第1下側磁石71bの第2コネクタ101側の面の磁極がN極であれば、第2下側磁石171bの第1コネクタ1側の面の磁極がS極となるように、配設される。これにより、互いに対向する第1磁石71と第2磁石171とが引合うので、第1ハウジング11と第2ハウジング111とが互いに引付けられ、後面11b及び111b同士が密着する。
【0044】
また、互いに対向する第1磁石71と第2磁石171との上下方向に関する位置は、ずれている。つまり、
図2(b)に示されるように、上下方向に関して第1ハウジング11と第2ハウジング111との相対的な位置決めをするための基準面が下向きの上端壁12aとなっている第1ハウジング11に配設された第1上側磁石71a及び第1下側磁石71bは、前記基準面が上向きの上端壁112aとなっている第2ハウジング111に配設された第2上側磁石171a及び第2下側磁石171bよりも上方に位置する。これにより、互いに対向する磁石71及び171同士が引合うと、第1ハウジング11に対して第2ハウジング111が上方に引上げられ、ガイド凹部12の上端壁12aにガイド凸部112の上端壁112aが当接し、上下方向に関して第1ハウジング11と第2ハウジング111とが位置決めされる。なお、幅方向に関しては、ガイド凹部12の側端壁12bにガイド凸部112の側端壁112bが当接することによって、第1ハウジング11と第2ハウジング111とが位置決めされる。
【0045】
このように、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が互いに接続された状態において、第1ハウジング11と第2ハウジング111とが位置決めされるので、第1コネクタ1に接続された第1導波体91の先端面91aと、第2コネクタ101に接続された第2導波体191の先端面191aとが、互いに位置決めされた状態で正確に対向し、これにより、第1導波体91と第2導波体191との間で電磁波の伝送が可能となる。なお、前記第1導波体91及び第2導波体191は、柔軟性を備え、湾曲可能な部材であるが、少なくとも第1ハウジング11の導波体挿通孔18及び第2ハウジング111の導波体挿通孔118に挿入された部分は、直線状になっている。そして、
図2(b)に示されるように、第1導波体91の先端面91aと第2導波体191の先端面191aとが、互いに位置決めされて正確に対向している状態において、少なくとも第1ハウジング11の導波体挿通孔18に挿入された部分の第1導波体91の中心軸と第2ハウジング111の導波体挿通孔118に挿入された部分の第2導波体191の中心軸とは、同一軸上にある。
【0046】
なお、第1導波体91が第1コネクタ1に接続された状態で、先端面91aは、第1ハウジング11の後面11bと面一であるか、又は、後面11bから前面11a方向にわずかに下がった(凹入した)状態にある。同様に、第2導波体191が第2コネクタ101に接続された状態で、先端面191aは、第2ハウジング111の後面111bと面一であるか、又は、後面111bから前面111a方向にわずかに下がった(凹入した)状態にある。第1導波体91の先端面91aと第2導波体191の先端面191aとの間に隙間(例えば、約0.05〔mm〕以下)があっても、第1導波体91と第2導波体191との間での電磁波の伝送は可能である。また、第1ハウジング11の後面11bと第2ハウジング111の後面111bとが密着し、第1導波体91の先端面91a及び第2導波体191の先端面191aの周囲に隙間がないので、電磁波が周囲に漏洩することがない。
【0047】
次に、前記構成の第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合させて接続させる動作について説明する。
【0048】
図6は本発明の実施の形態における第1接続部材の背面と第2接続部材の背面とを示す第2の斜視図、
図7は本発明の実施の形態における第1接続部材と第2接続部材とを接続させる動作を示す図である。なお、
図7において、(a)〜(c)は第1接続部材と第2接続部材とを接続させる動作の各工程を示す図である。
【0049】
第1コネクタ1と第2コネクタ101とを互いに嵌合させて接続させる前に、オペレータは、あらかじめ第1導波体91及び第2導波体191を第1コネクタ1及び第2コネクタ101に接続する。具体的には、前述のように、第1アクチュエータ27及び第2アクチュエータ127がそれぞれ第1姿勢であるときに、第1導波体91及び第2導波体191の先端を、それぞれ、第1ハウジング11の導波体通過凹部28を介して導波体挿通孔18に、及び、第2ハウジング111の導波体通過凹部128を介して導波体挿通孔118に挿入し、続いて、第1アクチュエータ27及び第2アクチュエータ127をそれぞれ第2姿勢に姿勢変化させることによって、第1導波体91及び第2導波体191を第1コネクタ1及び第2コネクタ101に変位不能に接続する。なお、
図6及び7においては、説明の都合上、第1導波体91及び第2導波体191の図示が省略されている。
【0050】
ここで、第1磁石71と第2磁石171とは、互いに対向する面の磁極が相違するように、
図6に示されるように配設されているものとする。つまり、第1コネクタ1の第1上側磁石71a及び第1下側磁石71bの第2コネクタ101側の面の磁極は、それぞれ、S極及びN極であり、第2コネクタ101の第2上側磁石171a及び第2下側磁石171bの第1コネクタ1側の面の磁極は、それぞれ、N極及びS極であるように、配設されているものとする。
【0051】
まず、オペレータは、
図7(a)に示されるように、第1コネクタ1の第1ハウジング11の嵌合面としての後面11bと第2コネクタ101の第2ハウジング111の嵌合面としての後面111bとを対向させた状態とする。
【0052】
続いて、オペレータは、
図7(b)に示されるように、第1ハウジング11に対して第2ハウジング111が下方に位置するようにしつつ、第1ハウジング11の後面11bに第2ハウジング111の後面111bを当接させる。この場合、オペレータは、第1ハウジング11の各ガイド凹部12と第2ハウジング111の対応するガイド凸部112とを係合させる。これにより、第1ハウジング11と第2ハウジング111とが幅方向に関して位置決めされる。
【0053】
続いて、オペレータは、第1ハウジング11の後面11bに第2ハウジング111の後面111bが対向し、第1ハウジング11のガイド凹部12と第2ハウジング111のガイド凸部112とが係合した状態を保持しつつ、第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合方向、すなわち、第1導波体91及び第2導波体191の軸方向に直交する方向である上下方向に、相互に変位させる。具体的には、第2ハウジング111を第1ハウジング11に対して相対的に上方にスライドさせる。この場合、第1下側磁石71bと第2上側磁石171aとが互いに反発するが、オペレータの手指の発揮する力は、第1下側磁石71b及び第2上側磁石171aの反発力より大きいので、第1ハウジング11の後面11bに第2ハウジング111の後面111bが対向し、第1ハウジング11のガイド凹部12と第2ハウジング111のガイド凸部112とが係合した状態を保持しつつ、第2ハウジング111を第1ハウジング11に対して上方にスライドさせることができる。
【0054】
このようなスライドの途中で、第1コネクタ1の第1下側磁石71bが第2コネクタ101の第2上側磁石171aよりも下方になると、第1コネクタ1の第1上側磁石71aと第2コネクタ101の第2上側磁石171aとが互いに引合い、かつ、第1コネクタ1の第1下側磁石71bと第2コネクタ101の第2下側磁石171bとが互いに引合うようになるので、オペレータの手指が力を発揮しなくても、第1ハウジング11の後面11bに第2ハウジング111の後面111bが対向し、第1ハウジング11のガイド凹部12と第2ハウジング111のガイド凸部112とが係合した状態を保持しつつ、第2ハウジング111が第1ハウジング11に対して上方にスライドする。
【0055】
そして、
図7(c)に示されるように、第1ハウジング11のガイド凹部12の上端壁12aに第2ハウジング111のガイド凸部112の上端壁112aが当接すると、第2ハウジング111の第1ハウジング11に対する上方へのスライドが停止し、嵌合方向である上下方向に関して第1コネクタ1と第2コネクタ101とが位置決めされる。
【0056】
これにより、
図1及び2に示されるような第1コネクタ1及び第2コネクタ101が互いに嵌合して接続された状態となり、第1導波体91の先端面91aと第2導波体191の先端面191aとが第1導波体91の中心軸と第2導波体191の中心軸とが同一軸上にあるように位置決めされた状態で正確に対向し、第1導波体91と第2導波体191との間で電磁波の伝送が可能となる。
【0057】
この状態では、
図2(b)及び7(c)に示されるように、第1ハウジング11に配設された第1上側磁石71a及び第1下側磁石71bが、第2ハウジング111に配設された第2上側磁石171a及び第2下側磁石171bよりも上方に位置するので、第1磁石71と第2磁石171との互いに引合う力によって、第1ハウジング11に対して第2ハウジング111を上方に引上げる力が依然として作用し、これにより、第1ハウジング11のガイド凹部12の上端壁12aに第2ハウジング111のガイド凸部112の上端壁112aが押圧されている状態が安定的に維持される。同様に、第1磁石71と第2磁石171との互いに引合う力によって、第1ハウジング11の後面11bに第2ハウジング111の後面111bが押圧された状態が安定的に維持される。なお、第1ハウジング11及び第2ハウジング111の幅方向に関する位置関係は、第1ハウジング11のガイド凹部12と第2ハウジング111のガイド凸部112とが係合することによって、維持されている。したがって、第1導波体91の先端面91aと第2導波体191の先端面191aとが位置決めされて正確に対向し、第1導波体91と第2導波体191との間での電磁波の伝送が可能な状態が、確実に維持される。
【0058】
なお、本実施の形態においては、第1導波体91及び第2導波体191を第1ハウジング11及び第2ハウジング111に接続するための手段として、第1アクチュエータ27及び第2アクチュエータ127を用いた例についてのみ説明したが、第1導波体91及び第2導波体191を第1ハウジング11及び第2ハウジング111に接続するための手段は、必ずしも第1アクチュエータ27及び第2アクチュエータ127に限定されるものでなく、いかなる種類の手段であってもよい。例えば、第1導波体91及び第2導波体191の先端を第1ハウジング11の導波体挿通孔18及び第2ハウジング111の導波体挿通孔118に挿入した状態で、接着剤を付与して、第1導波体91及び第2導波体191を第1ハウジング11及び第2ハウジング111に固着してもよい。この場合、第1アクチュエータ27及び第2アクチュエータ127のみならず、第1ハウジング11及び第2ハウジング111から前方に突出する導波体接続部21及び121をも省略することができる。
【0059】
また、本実施の形態においては、第2ハウジング111を第1ハウジング11に対して上下方向にスライドさせる際の第1ガイド部及び第2ガイド部として、略直方体形状のガイド凹部12及びガイド凸部112を用いた例についてのみ説明したが、前記ガイド凹部12及びガイド凸部112は、必ずしも略直方体形状である必要はなく、いかなる形状のものであってもよい。例えば、ガイド凹部12は細長いスリット状の溝であって、ガイド凸部112は前記溝に挿入可能な細い円柱状の突起であってもよい。つまり、前記ガイド凹部12及びガイド凸部112は、互いに係合し、第2ハウジング111を第1ハウジング11に対して上下方向にスライドさせる際に、第2ハウジング111の第1ハウジング11に対する幅方向の位置決めを行うとともに、スライド停止時における第2ハウジング111の第1ハウジング11に対する上下方向の位置決めも行う部材であれば、いかなる形状の部材であってもよい。
【0060】
さらに、本実施の形態においては、第1ハウジング11に配設された第1磁石71及び第2ハウジング111に配設された第2磁石171が2つずつである例についてのみ説明したが、第1磁石71の数及び第2磁石171の数は、2つに限定されるものでなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、第1ハウジング11において第1磁石71が配設される部位及び第2ハウジング111において第2磁石171が配設される部位も、図に示される例に限定されるものでなく、いかなる部位であってもよい。
【0061】
このように、本実施の形態において、接続装置は、第1導波体91が接続される第1ハウジング11を有する第1コネクタ1と、第2導波体191が接続される第2ハウジング111を有する第2コネクタ101とを備える。そして、第1ハウジング11は後面11bと第1磁石71とを有し、第2ハウジング111は後面111bと第2磁石171とを有し、第1コネクタ1と第2コネクタ101とは、第1導波体91及び第2導波体191の軸方向に対して直交する嵌合方向に相互に変位し、第1磁石71及び第2磁石171の磁力によって相互に位置決めされ、嵌合する。
【0062】
これにより、第1コネクタ1及び第2コネクタ101は、嵌合の際の取扱いが容易でありながら、第1導波体91と第2導波体191とを正確に位置合せした状態で接続することができ、信頼性を高めることができる。そして、第1コネクタ1及び第2コネクタ101は、構成が簡素で小型であるので、コストを低減することができ、かつ、製造も容易である。
【0063】
また、第1ハウジング11は後面11bに形成されたガイド凹部12を有し、第2ハウジング111は後面111bに形成されたガイド凸部112を有し、後面11bは第1導波体91の軸方向に対して直交し、後面111bは第2導波体191の軸方向に対して直交し、第1コネクタ1と第2コネクタ101とは、後面11bと後面111bとが対向し、ガイド凹部12とガイド凸部112とが係合した状態で、嵌合方向に相互に変位する。したがって、第1ハウジング11と第2ハウジング111とが幅方向に関して位置決めされた状態で、第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合方向に相互に変位させることができるので、嵌合作業を容易に行うことができる。
【0064】
さらに、ガイド凹部12及びガイド凸部112は上端壁12a及び上端壁112aを含み、第1コネクタ1と第2コネクタ101とは、第1磁石71及び第2磁石171の磁力によって、ガイド凹部12の上端壁12aとガイド凸部112の上端壁112aとが当接させられることにより、相互に位置決めされる。したがって、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合方向の位置決めを容易に、かつ、正確に行うことができる。
【0065】
さらに、第1コネクタ1と第2コネクタ101とは、第1磁石71及び第2磁石171の磁力によって、ガイド凹部12の上端壁12aとガイド凸部112の上端壁112aとが互いに押圧され続けることにより、相互に位置決めされた状態を維持する。したがって、簡素な構成でありながら、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合方向に位置決めされた状態を確実に維持することができる。
【0066】
さらに、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが相互に位置決めされて嵌合した状態において、第1磁石71と第2磁石171とは、嵌合方向に関して位置がずれ、かつ、互いに引合っている。したがって、簡素な構成でありながら、後面11bと後面111bとが互いに当接した状態、及び、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合方向に位置決めされた状態を確実に維持することができる。
【0067】
さらに、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが相互に位置決めされて嵌合した状態において、第1導波体91の先端面91aと第2導波体191の先端面191aとは互いに対向するとともに、第1導波体91の先端面91a及び第2導波体191の先端面191aの間に隙間がある。これにより、第1導波体91と第2導波体191との間で電磁波の伝送が可能となる。
【0068】
さらに、後面11bと後面111bとは当接する。これにより、第1導波体91の先端面91a及び第2導波体191の先端面191aの周囲に隙間が生じないので、電磁波の漏洩が防止される。
【0069】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。