(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-154456(P2015-154456A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】車載通信システム、通信装置、及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04M 1/00 20060101AFI20150728BHJP
H04W 4/04 20090101ALI20150728BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20150728BHJP
G01C 21/26 20060101ALN20150728BHJP
【FI】
H04M1/00 Q
H04W4/04 115
H04W84/12
G01C21/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-29719(P2014-29719)
(22)【出願日】2014年2月19日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】上田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】宮下 之宏
(72)【発明者】
【氏名】渡部 正志
(72)【発明者】
【氏名】足立 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 達也
(72)【発明者】
【氏名】野田 哲矢
【テーマコード(参考)】
2F129
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB22
2F129BB23
2F129BB24
2F129BB25
2F129BB26
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF12
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2F129FF20
2F129GG28
2F129GG29
2F129HH02
2F129HH12
5K067AA34
5K067AA43
5K067BB03
5K067EE02
5K067EE35
5K127AA36
5K127BA03
5K127BB22
5K127BB33
5K127CB42
5K127DA11
5K127DA12
5K127DA13
5K127DA15
5K127DA19
5K127GA14
5K127GD11
5K127JA25
(57)【要約】
【課題】通信装置における車載装置との無線通信LAN機能の有効化を、通信装置が持ち込まれた車両が走行を開始するタイミングに合わせて自動的に実行し、ユーザの操作を簡易化することができる車載通信システム、通信装置及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】所定の距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の有効/無効を切り替える切替手段とを備える通信装置、及び、車両に搭載される車載装置を含み、前記通信装置が前記無線通信手段により前記車載装置と通信を行なう車載通信システムにおいて、前記通信装置は、該通信装置の加速度又は該通信装置の所定軸回りの角速度を測定する測定手段と、該測定手段が測定した加速度又は角速度が所定値以上であるか否かを判断する判断手段とを備え、前記切替手段は、前記判断手段が所定値以上であると判断した場合、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の有効/無効を切り替える切替手段とを備える通信装置、及び、車両に搭載される車載装置を含み、前記通信装置が前記無線通信手段により前記車載装置と通信を行なう車載通信システムにおいて、
前記通信装置は、
該通信装置の加速度又は該通信装置の所定軸回りの角速度を測定する測定手段と、
該測定手段が測定した加速度又は角速度が所定値以上であるか否かを判断する判断手段と
を備え、
前記切替手段は、前記判断手段が所定値以上であると判断した場合、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化するようにしてある
ことを特徴とする車載通信システム。
【請求項2】
前記通信装置は、
前記判断手段が所定値以上であると判断した前記加速度又は角速度を記憶する記憶手段を備え、
前記所定値は、事前に前記記憶手段により記憶された前記加速度又は角速度である
ことを特徴とする請求項1に記載の車載通信システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記測定手段により測定され、前記判断手段により所定値以上であると判断される都度、前記加速度又は角速度を追記するようにしてあり、
前記通信装置は、前記記憶手段により記憶されてある複数の加速度又は角速度を用いて所定の演算を行なう演算手段を更に備え、
前記所定値は、前記演算手段による演算により得られる数値である
ことを特徴とする請求項2に記載の車載通信システム。
【請求項4】
所定の距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の有効化/無効化を切り替える切替手段とを備える通信装置において、
加速度又は該通信装置の所定軸回りの角速度を測定する測定手段と、
該測定手段が測定した加速度又は角速度が所定値以上であるか否かを判断する判断手段と
を備え、
前記切替手段は、前記判断手段が所定値以上であると判断した場合に、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化するようにしてある
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
所定の距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の有効/無効を切り替える切替手段とを備える通信装置が、車両に搭載される車載装置と前記無線通信手段により通信を開始する通信制御方法において、
前記通信装置は、
該通信装置の加速度又は該通信装置の所定軸回りの角速度を測定し、
測定した加速度又は角速度が所定値以上であるか否かを判断し、
所定値以上であると判断した場合、前記切替手段により無線通信手段を有効化させる
ことを特徴とする通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが所持する通信装置を利用する車載通信システムに関し、特に、ユーザの操作を簡易化することができる車載通信システム、通信装置、及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、車内に乗り込んだユーザが所持する携帯電話機、所謂スマートフォンと呼ばれる通信端末装置又はタブレット型の通信端末装置等の通信装置が、車両内に搭載されている装置と連携して種々の機能を発揮するシステムが実用化されている。車載装置との連携がされない場合であっても、ナビゲーションアプリケーションプログラム(所謂ナビアプリ)により、車載ナビゲーションシステムに代わってナビゲーション機能を発揮するなど、ユーザへ運転にかかる情報を提供する装置として利用されている。
【0003】
通信装置はGPS(Global Positioning System )受信機を内蔵しており、更に、インターネット等の通信網を介したデータ通信機能を有しているから、通信装置単独で最新の地図情報及び渋滞情報を用いてナビゲーションを実現できる。ただし、通信装置のディスプレイは視認性が低いため、通信装置と車載装置との間を無線通信により接続し、通信装置で起動しているナビアプリの画面を、車載ディスプレイに表示して視認性を向上させることが実用化されている。その他、車載装置が、通信装置のデータ通信機能を用いた通信によって最新情報を取得してナビゲーションシステムを実現したり、ナビゲーションシステム以外では、例えば、通信装置で起動している音楽再生プログラムで再生する音楽を車載スピーカで出力したりすることも実現されている。
【0004】
車載装置と、車内に持ち込まれる通信装置との間の通信は、WiFi(Wireless Fidelity )等の無線LAN通信によって実現されることが多い。このときの通信装置における無線LAN通信機能は、常時有効とは限らない。むしろユーザは、通信装置における電力消耗を防止するため、無線LANを使用する時以外には無線LAN通信機能を無効化していることが多い。ユーザは車載装置と通信装置との連携を開始させるために、通信装置における無線LAN通信を手動で有効化する必要がある。車載装置と通信装置との間で通信をさせずに、通信装置単独でナビゲーションシステムとして利用する場合であっても、ユーザはナビアプリを起動する操作をする必要がある。ユーザにとっては、これらの操作が煩雑であった。
【0005】
特許文献1には、車載装置にて予め設定されたアプリケーションプログラムが、電源投入又はシステム内から得られる車両情報が所定の条件を満たした場合などのトリガにより、自動的に実行される車載システムが開示されている。
【0006】
スマートフォン又はタブレット型の通信装置には、加速度センサ及び角速度センサが設けられていることが多い。そこで、加速度センサ又は角速度センサから得られる測定値を用いた制御方法が種々提案されている。特許文献2には、車内に持ち込まれた通信装置が、車室内に固定されているか否かを角速度センサによって判断し、固定されていない場合には固定するように促すメッセージを表示することが開示されている。特許文献3には、通信装置における所定の3軸方向の加速度センサを用い、機器の振動に適した機能を動作させる際の誤動作を低減する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−309664号公報
【特許文献2】特開2012−140037号公報
【特許文献3】特開2011−033660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されている方法により、車載装置におけるアプリケーションプログラムを自動的に実行することはできるが、通信装置におけるナビアプリ等の特定アプリの自動起動、又は無線LAN通信機能の自動有効化には適用できない。通信装置は、車載装置との連携以外の用途でも利用されるから、通信装置にて電源投入をトリガに無用に特定アプリを起動させるべきではないし、電源投入をトリガに無線LAN通信機能を自動的に有効化した場合、上述したような電力消耗を防止することができない。通信装置がどのようなタイミングで車両に持ち込まれるか、そして車載装置との連携が必要であるかは、該通信装置を所持するユーザ次第であり、日時又は曜日等のスケジュールで予め条件付けることも困難である。
【0009】
特許文献2に開示された制御を適用し、通信装置が振動を検知したことによって無線LAN通信を有効化することも可能であるが、通信装置がどのようなタイミングで車両に持ち込まれるかが不明な通信装置にて、無用に無線LAN通信が有効化される虞がある。また、特許文献3に開示された制御を適用し、通信装置の振動に応じて無線LAN通信を有効化することも可能である。しかしながら、通信装置が車内でそのような体勢で持ち込まれるのかはユーザによって異なる。したがって、加速度検知の精度を向上させたとしても、車両内に存在する通信装置の無線LAN有効化に適用することは困難である。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、通信装置における車載装置との無線通信LAN機能の有効化を、通信装置が持ち込まれた車両が走行を開始するタイミングに合わせて自動的に実行し、ユーザの操作を簡易化することができる車載通信システム、通信装置及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る車載通信システムは、所定の距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の有効/無効を切り替える切替手段とを備える通信装置、及び、車両に搭載される車載装置を含み、前記通信装置が前記無線通信手段により前記車載装置と通信を行なう車載通信システムにおいて、前記通信装置は、該通信装置の加速度又は該通信装置の所定軸回りの角速度を測定する測定手段と、該測定手段が測定した加速度又は角速度が所定値以上であるか否かを判断する判断手段とを備え、前記切替手段は、前記判断手段が所定値以上であると判断した場合、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る車載通信システムは、前記通信装置は、前記判断手段が所定値以上であると判断した前記加速度又は角速度を記憶する記憶手段を備え、前記所定値は、事前に前記記憶手段により記憶された前記加速度又は角速度であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る車載通信システムは、前記記憶手段は、前記測定手段により測定され、前記判断手段により所定値以上であると判断される都度、前記加速度又は角速度を追記するようにしてあり、前記通信装置は、前記記憶手段により記憶されてある複数の加速度又は角速度を用いて所定の演算を行なう演算手段を更に備え、前記所定値は、前記演算手段による演算により得られる数値であることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る通信装置は、所定の距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の有効化/無効化を切り替える切替手段とを備える通信装置において、加速度又は該通信装置の所定軸回りの角速度を測定する測定手段と、該測定手段が測定した加速度又は角速度が所定値以上であるか否かを判断する判断手段とを備え、前記切替手段は、前記判断手段が所定値以上であると判断した場合に、前記無線通信手段の無線通信機能を有効化するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る通信制御方法は、所定の距離内に存在する機器との無線通信手段と、該無線通信手段の有効/無効を切り替える切替手段とを備える通信装置が、車両に搭載される車載装置と前記無線通信手段により通信を開始する通信制御方法において、前記通信装置は、該通信装置の加速度又は該通信装置の所定軸回りの角速度を測定し、測定した加速度又は角速度が所定値以上であるか否かを判断し、所定値以上であると判断した場合、前記切替手段により無線通信手段を有効化させることを特徴とする。
【0016】
本発明では、走行を開始する車両に持ち込まれる通信装置で測定される加速度又は所定軸回りの角速度が所定値以上である場合に無線通信機能が有効化される。無線通信機能の自動有効化は、無線通信機能を有効化する特定のプログラムが自動起動することによって実現されてもよい。走行する車両にて測定される加速度又は角速度は、例えば、歩行又は走行するユーザに所持される加速度又は角速度、並びに、電車内の通信装置で測定される加速度又は角速度よりも高い。したがって、通信装置が走行を開始する車両内に存在するか否かを判別することが可能である。
【0017】
本発明では、走行を開始する車両の振動特性を、加速度又は角速度を記憶させることで運転者毎に通信装置に学習させ、走行を開始する車両内に存在するか否かの判別精度を向上させることが可能である。
【0018】
本発明では、走行を開始する車両の振動特性を、加速度又は角速度を記憶させるのみならず、所定の演算処理を行なうことによって求めることにより、走行を開始する車両内に存在するか否かの判別精度を更に向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明による場合、通信装置自身が走行を開始する車両内に存在するか否かを、簡易な構成によって判別し、通信装置が持ち込まれた車両が走行を開始するタイミングに合わせて無線LAN通信の有効化を自動的に実行し、ユーザの操作を簡易化することができる。また、走行を開始する車両の振動特性を運転者毎に学習することにより、精度を向上させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る車載通信システムの概要を示す模式図である。
【
図2】実施の形態1における車載通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1における通信装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態2における通信装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る車載通信システムの概要を示す模式図である。車載通信システムは、車両Vに持ち込まれるスマートフォン等の通信装置1と、車両Vに搭載されている車載装置2(
図2参照)とを含む。通信装置1及び車載装置2はいずれもWiFi等の無線LAN通信機能を有している。車載装置2は、通信装置1と無線LAN通信を行なうことにより、通信装置1で起動される各種アプリケーションプログラム(以下、アプリという)により得られる情報を車載装置2で取得したり、通信装置1の基地局との通信機能を利用してインターネット等の通信網から情報を取得したりするなど、連携によって各種の機能を発揮する。通信装置1は、無線LAN通信機能が無効化されている場合であっても、搭載された車両が走行を開始したことをトリガに、無線LAN通信機能を有効化するか、又は所定のアプリを起動する。
【0023】
以下、走行開始をトリガとした無線LAN通信機能の有効化又は所定のアプリの起動を実現するための構成を、具体例を挙げて説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図2は、実施の形態1における車載通信システムの構成を示すブロック図である。車載通信システムは、通信装置1及び車載装置2を含む。
【0025】
通信装置1は、上述したように所謂スマートフォンと呼ばれる携帯型の通信端末装置である。通信装置1は他に、タブレット型端末装置、又は携帯型ゲーム機等の無線通信端末装置であってもよい。
【0026】
車載装置2は、上述したように車両Vに搭載されている装置である。車載装置2は、例えばWiFiを用いた無線LAN通信機能を有しており、無線LAN通信機能が有効化されている通信装置1と通信が可能である。車載装置2は、CAN(Controller Area Network )又はLIN(Local Interconnect Network)等の車内ネットワークを介し、図示しない他の車載ECU(Electronic Controller Unit)と通信が可能である。他のECUは、通信装置1から得られる情報を車載装置2から取得して各種機能を発揮することができる。
【0027】
以下、通信装置1の内部構成について、より詳細に説明する。
【0028】
通信装置1は、制御部10、一時記憶部11、記憶部12、操作部13、基地局通信部14、無線通信部15、加速度センサ16及び角速度センサ17を備える。
【0029】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit )を用いる。制御部10は、記憶部12に記憶されてある各アプリ用のプログラムを含む複数のプログラムを各実行し、各プログラムに基づいて各構成部を制御し、種々の機能を発揮させる。
【0030】
一時記憶部11は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAMを用いる。一時記憶部11は、制御部10の処理によって生成される各種情報を記憶する。
【0031】
記憶部12は、フラッシュメモリを用いる。記憶部12は、処理時に参照する情報を記憶する。記憶部12は、制御部10が読み出す基本となるOS(Operating System)プログラム、及び各アプリ用のコンピュータプログラムのほか、制御部10が無線通信部15による無線LAN通信機能の有効化/無効化を切り替えるための制御プログラム1P、車載装置2と連携するためのアプリプログラム1Aを記憶している。
【0032】
操作部13は、タッチパネル内蔵ディスプレイを用いる。操作部13は、制御部10に基づき、操作に係るアイコン等のオブジェクトをディスプレイに表示するとともに、ユーザの手指、又はペン等のディスプレイへの接触を検知し、接触個所の位置情報を制御部10へ通知する。
【0033】
基地局通信部14は、基地局と接続して通信を実行するための通信モジュールである。基地局通信部14により、移動通信網を介した音声通話が可能となると共に、インターネット等の公衆通信網を介したデータ通信が可能である。
【0034】
無線通信部15は、無線LANアンテナ及びWiFiチップを含むWiFiモジュールを用いる。無線通信部15は、無線信号が到達する範囲内に存在する車載装置2との間で無線通信を実現する。無線通信部15の無線通信機能は、無効/有効を切り替えることが可能であり、有効化されている間、通信対象の機器を探索する処理を定期的に行なう。無効/有効の切替は、制御部10からの指示に基づき行なわれる。なお、無線通信部15による通信規格は、WiFi対応の無線LANには限らず、他の無線LANでもよいことは勿論、車載装置2と対応するBluetooth(登録商標)、赤外線、若しくは光通信等の無線通信を用いる構成としてもよい。
【0035】
加速度センサ16は、通信装置1が備える操作部13のディスプレイの縦方向及び横方向夫々における通信装置1自身の加速度を測定するセンサである。加速度センサ16は、上述の二軸に垂直な方向、即ちディスプレイの厚み方向も含む三軸夫々の加速度を測定するセンサであってもよい。制御部10は、任意のタイミングで加速度センサ16から測定値を取得することができる。制御部10は、二軸又は三軸夫々の加速度の各測定値から、加速方向及び該加速方向の加速度を得る。
【0036】
角速度センサ17は、通信装置1が備える操作部13のディスプレイの縦方向及び横方向の二軸を基準軸に、通信装置1自身の角速度を測定するセンサである。角速度センサ17は、上述の二軸に垂直な方向、即ちディスプレイの厚み方向も含む三軸夫々の角速度を測定するセンサであってもよい。制御部10は、任意のタイミングで角速度センサ17から測定値を取得することができる。なお、制御部10は、二軸又は三軸夫々の角速度の各測定値から、最も大きな数値を取得するか、又は、各測定値から、通信装置1の最も大きい角度の回転方向をいずれかの基準軸を基準にして求め、該回転方向における角速度を取得するようにしてもよい。
【0037】
このように構成される車載通信システムにおいて、通信装置1の無線LAN通信機能が有効化されるまでの処理手順の詳細を、フローチャートを参照して説明する。
図3は、実施の形態1における通信装置1の制御部10による処理手順の一例を示すフローチャートである。通信装置1の制御部10は、制御プログラム1Pに基づき、無線通信部15による無線LAN通信機能が無効化されている場合、以下に示す処理を定期的に実行する。
【0038】
通信装置1の制御部10は、制御プログラム1Pに基づき、加速度センサ16から測定値を取得し(ステップS1)、角速度センサ17から測定値を取得する(ステップS2)。制御部10は、取得した加速度及び角速度の測定値が、所定値以上であるか否かを判断する(ステップS3)。
【0039】
ステップS2において、車両Vの車室内に通信装置1が置かれている場合、通信装置1で測定される車両Vの発進時の加速度及び角速度、又はいずれか一方は、通信装置1が電車などの他の乗り物に搭乗しているユーザに所持されている場合とは異なる特性を有するはずである。電車は、起立したまま搭乗しているユーザがいるため、加速度及び角速度は、車両Vの発進時の加速度及び角速度よりも小さい。また、自転車における加速度は、車両Vの発進時の加速度よりも小さい。ユーザが歩行を開始する際の加速度又は角速度と比較しても、車両Vの発進時の加速度及び角速度が大きく、区別が可能である。
【0040】
制御部10は、所定値以上であると判断した場合(S3:YES)、無線通信部15による無線LAN通信機能を有効化し(ステップS4)、車載装置2との連携用のアプリプログラム1Aを読み出して起動する(ステップS5)。
【0041】
次に制御部10は、車載装置2との間でペアリングを確立させ(ステップS6)、所定時間内にペアリングが確立されたか否かを判断する(ステップS7)。制御部10は、ペアリングが確立されたと判断した場合(S7:YES)、処理を終了し、以後、アプリプログラム1Aによる連携処理を実行する。
【0042】
制御部10は、ステップS7にてペアリングが確立されないと判断した場合(S7:NO)、無線通信部15による無線LAN通信機能を無効化し(ステップS8)、処理を終了する。この場合、以後、アプリプログラム1Aによる連携処理は実行されない。
【0043】
制御部10は、ステップS3にて所定値以上でないと判断した場合(S3:NO)、そのまま処理を終了する。
【0044】
以後制御部10は、アプリプログラム1Aが終了された場合に、無線通信部15による無線LAN通信機能を無効化する。また、制御部10は、ペアリングが解消されていることを検知し、これにより無線LAN通信機能を無効化するようにしてもよいし、ペアリングが確立されていても、通信が所定の期間以上行なわれていない場合には、無線通信部15による無線LAN通信機能を自動的に無効化してもよい。
【0045】
(実施の形態2)
通信装置1の制御部10は、加速度センサ16及び角速度センサ17から取得した測定値が所定値以上であるか否かを判断するのみならず、運転者による速度特性に応じて判断基準とする所定値を変更する学習機能を備えるようにしてもよい。
【0046】
実施の形態2における車載通信システムのハードウェア構成は、通信装置1により実行される処理手順の詳細以外は、実施の形態1と同様であるから、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
図4は、実施の形態2における通信装置1の制御部10による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0048】
制御部10は、ステップS1及びS2にて加速度センサ16及び角速度センサ17から測定値を取得し(S1,S2)、取得した測定値が、前回記憶した判断基準の数値と所定の範囲で合致するか否かを判断する(ステップS10)。制御部10は、ステップS10にて合致すると判断した場合(S10:YES)、無線LAN通信機能を有効化し(S4)、アプリプログラム1Aを起動する(S5)。
【0049】
また、制御部10は、ステップS7にて、ペアリングが確立されたと判断した場合(S7:YES)、ステップS1,S2で取得した加速度の測定値及び角速度の測定値を記憶部12に記憶し(ステップS11)、記憶部12に記憶してある測定値を、加速度及び角速度について平均化するなどの演算を行ない(ステップS12)、演算結果を判断基準の数値として記憶部12に記憶し(ステップS13)、処理を終了する。
【0050】
制御部10は、ステップS10にて合致しないと判断した場合(S10:NO)、そのまま処理を終了する。
【0051】
なお、ステップS12における演算処理は必須ではなく、ステップS10においては、直近の測定値を基準として判断するようにしてもよい。
【0052】
以後制御部10は、アプリプログラム1Aが終了された場合に、無線通信部15による無線LAN通信機能を無効化する。また、制御部10は、ペアリングが解消されていることを検知し、これにより無線LAN通信機能を無効化するようにしてもよいし、ペアリングが確立されていても、通信が所定の期間以上行なわれていない場合には、無線通信部15による無線LAN通信機能を自動的に無効化してもよい。
【0053】
なお、上述のように開示された本実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 通信装置
10 制御部
12 記憶部
15 無線通信部(無線通信手段)
16 加速度センサ(測定手段)
17 角速度センサ(測定手段)
1P 制御プログラム
2 車載装置