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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-15447(P2015-15447A)
(43)【公開日】2015年1月22日
(54)【発明の名称】多層印刷回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20141219BHJP
【FI】
   H05K3/46 Z
   H05K3/46 B
   H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-231950(P2013-231950)
(22)【出願日】2013年11月8日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0079055
(32)【優先日】2013年7月5日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】パク・ミ・ジン
(72)【発明者】
【氏名】ロメロ・クリスチャン
【テーマコード(参考)】
5E316
5E346
【Fターム(参考)】
5E316AA15
5E316AA23
5E316AA33
5E316AA43
5E316BB16
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5E316CC04
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5E346HH25
5E346HH31
(57)【要約】
【課題】本発明は、多層印刷回路基板に関する。
【解決手段】本発明は、基板の小型化、軽量化、および薄型化のために、一面に回路配線層が形成された絶縁層を繰り返して積層してなる多層印刷回路基板であって、少なくとも一つ以上の絶縁層を厚さ方向に貫通して形成されたビア電極と、前記ビア電極の上部または下部に接続するビアパッドと、少なくとも一つ以上の絶縁層を挟んで前記ビアパッドに対向する位置に形成された負荷用パッドと、を含む、多層印刷回路基板を提示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に回路配線層が形成された絶縁層を繰り返して積層してなる多層印刷回路基板であって、
少なくとも一つ以上の絶縁層を厚さ方向に貫通して形成されたビア電極と、
前記ビア電極の上部または下部に接続するビアパッドと、
少なくとも一つ以上の絶縁層を挟んで前記ビアパッドに対向する位置に形成された負荷用パッドと、を含む、多層印刷回路基板。
【請求項2】
前記ビアパッドは、前記ビア電極の上部に接続する上部ビアパッドと、前記ビア電極の下部に接続する下部ビアパッドと、からなる、請求項1に記載の多層印刷回路基板。
【請求項3】
前記負荷用パッドの面積は、要求されるキャパシタ容量に応じて設定される、請求項1に記載の多層印刷回路基板。
【請求項4】
前記負荷用パッドと前記ビアパッドとの間の絶縁層を貫通する開口部をさらに含む、請求項1に記載の多層印刷回路基板。
【請求項5】
前記開口部の内部に設けられた誘電体をさらに含む、請求項4に記載の多層印刷回路基板。
【請求項6】
前記開口部の側壁に形成され、前記負荷用パッドと前記ビアパッドとを電気的に連結する内壁金属層をさらに含む、請求項1に記載の多層印刷回路基板。
【請求項7】
一面に回路配線層が形成された絶縁層を繰り返して積層してなる多層印刷回路基板であって、
少なくとも一つ以上の絶縁層を厚さ方向に貫通するビアホールの内壁にめっきされたビア電極と、
前記ビア電極の上部に接続する上部ビアパッドおよび前記ビア電極の下部に接続する下部ビアパッドと、
少なくとも一つ以上の絶縁層を挟んで前記上部ビアパッドに対向する位置に形成された負荷用パッドと、を含む、多層印刷回路基板。
【請求項8】
前記ビアホールの内部に設けられた誘電体をさらに含む、請求項7に記載の多層印刷回路基板。
【請求項9】
前記負荷用パッドと前記上部ビアパッドとの間の絶縁層を貫通し、前記ビアホールに対応する位置に形成された開口部をさらに含む、請求項7に記載の多層印刷回路基板。
【請求項10】
前記ビアホールと開口部の内部に設けられた誘電体をさらに含む、請求項9に記載の多層印刷回路基板。
【請求項11】
前記開口部の側壁に形成され、前記負荷用パッドと前記上部ビアパッドとを電気的に連結する内壁金属層をさらに含む、請求項9に記載の多層印刷回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層印刷回路基板に関し、より詳細には、ビアパッドをキャパシタ端子として利用する多層印刷回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板(Printed Circuit Board;PCB)は、電気絶縁性基板に銅のような伝導性材料で回路ラインパターンを印刷して形成したものであって、電子製品の小型化、薄板化、高密度化、およびパッケージ(package)化の傾向に伴い、印刷回路基板に対してもまた、多層化および配線密度の向上などに関する研究/開発が行われてきた。
【0003】
印刷回路基板において、微細パターンを形成し、信頼性および設計密度を高めるために、原材料を変更し、且つ回路の層構成を複合化する構造に変化しており、これに伴い、絶縁基板の片面にのみ配線を形成した片面PCBの他に、両面に配線を形成した両面印刷回路基板、または多層に配線した多層印刷回路基板が広く使用されている。
【0004】
このうち、多層印刷回路基板は、回路配線層の実装領域を拡大するために、所謂ビルドアップ方式で製造されるが、特許文献1を参照すると、このようなビルドアップ方式による多層印刷回路基板の製造は、絶縁層と回路配線層を順に積層してなり、各層の回路配線層は、ビア電極を利用して導通させる。
【0005】
このような多層印刷回路基板は、配線密度を著しく高めることができるという利点がある反面、製造工程が複雑であり、通常の製造工程による場合、基板の厚さを減少させることが困難であるという欠点がある。
【0006】
また、パッケージ用印刷回路基板では、キャパシタまたは抵抗のような受動素子を印刷回路基板の表面やその内部に実装するが、その場合、回路配線を印刷する空間が減少するだけでなく、実装する素子の数が増加するため、基板の小型化、軽量化、および薄型化の要求を満たすことが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2005‐0033362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の問題を解決するために、本発明は、受動素子、特にキャパシタを、基板の厚さを増加することなく実装できる多層印刷回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような目的を達成するために導き出された本発明は、一面に回路配線層が形成された絶縁層を繰り返して積層してなる多層印刷回路基板であって、少なくとも一つ以上の絶縁層を厚さ方向に貫通して形成されたビア電極と、前記ビア電極の上部または下部に接続するビアパッドと、少なくとも一つ以上の絶縁層を挟んで前記ビアパッドに対向する位置に形成された負荷用パッドと、を含む、多層印刷回路基板を提供する。
【0010】
また、前記ビアパッドは、前記ビア電極の上部に接続する上部ビアパッドと、前記ビア電極の下部に接続する下部ビアパッドと、からなる、多層印刷回路基板を提供する。
【0011】
また、前記負荷用パッドの面積は、要求されるキャパシタ容量に応じて設定される、多層印刷回路基板を提供する。
【0012】
また、前記負荷用パッドと前記ビアパッドとの間の絶縁層を貫通する開口部をさらに含む、多層印刷回路基板を提供する。
【0013】
また、前記開口部の内部に設けられた誘電体をさらに含む、多層印刷回路基板を提供する。
【0014】
また、前記開口部の側壁に形成され、前記負荷用パッドと前記ビアパッドとを電気的に連結する内壁金属層をさらに含む、多層印刷回路基板を提供する。
【0015】
一方、本発明の他の形態として、一面に回路配線層が形成された絶縁層を繰り返して積層してなる多層印刷回路基板であって、少なくとも一つ以上の絶縁層を厚さ方向に貫通するビアホールの内壁にめっきされたビア電極と、前記ビア電極の上部に接続する上部ビアパッドおよび前記ビア電極の下部に接続する下部ビアパッドと、少なくとも一つ以上の絶縁層を挟んで前記上部ビアパッドに対向する位置に形成された負荷用パッドと、を含む、多層印刷回路基板を提供する。
【0016】
また、前記ビアホールの内部に設けられた誘電体をさらに含む、多層印刷回路基板を提供する。
【0017】
また、前記負荷用パッドと前記上部ビアパッドとの間の絶縁層を貫通し、前記ビアホールに対応する位置に形成された開口部をさらに含む、多層印刷回路基板を提供する。
【0018】
また、前記ビアホールと開口部の内部に設けられた誘電体をさらに含む、多層印刷回路基板を提供する。
【0019】
また、前記開口部の側壁に形成され、前記負荷用パッドと前記上部ビアパッドとを電気的に連結する内壁金属層をさらに含む、多層印刷回路基板を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の多層印刷回路基板によれば、ビアパッドをキャパシタの一端子として使用することで、キャパシタを実装するための別の空間を設ける必要がなく、その結果、基板の厚さを著しく減少できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る多層印刷回路基板の断面図である。
図2図1の内部斜視図である。
図3図1の変形例を示す断面図である。
図4a】従来のビア構造を示す図である。
図4b図4aの等価回路を示す図である。
図5a図3の内部斜視図を示す図である。
図5b図3の等価回路を示す図である。
図6a】従来技術と本発明との周波数によるRF損失(RF loss)の特性を比較したグラフである。
図6b】従来技術と本発明との周波数による反射損失(Return loss)の特性を比較したグラフである。
図7】本発明の他の実施形態による多層印刷回路基板の断面図である。
図8図7の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面とともに詳細に後述する実施形態を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下に開示される実施形態に限定されず、互いに異なる様々な形態に具現することができる。本実施形態は、本発明の開示を完全にするとともに、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者に発明の範疇を完全に伝達するために提供されることができる。
【0023】
本明細書で用いられる用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書において、単数型は文章で特に言及しない限り複数型も含む。また、本明細書で言及された構成要素、段階、動作および/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明の構成および作用効果についてより詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明に係る多層印刷回路基板の断面図であり、図2図1の内部斜視図である。なお、図面の構成要素は、必ずしも縮尺によって図示されておらず、例えば、本発明の理解を容易にするために、図面における一部の構成要素の大きさは他の構成要素より誇張されることがある。
【0026】
図1および図2を参照すると、本発明の多層印刷回路基板100は、一面に回路配線層110が形成された絶縁層120を繰り返して積層してなることができる。
【0027】
ここで、前記絶縁層120は、前記回路配線層110を保護し、各層の回路配線層110を絶縁するための層であって、絶縁性、耐熱性、および耐湿性などを考慮してその材料を適宜選択してもよい。例えば、前記絶縁層120を形成するための最適な高分子材料としては、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリイミドのような熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーのような補強材が含浸した樹脂、例えば、プリプレグが挙げられる。
【0028】
前記絶縁層120は、テープキャスティング(tape casting)方式やスピンコーティング(spin coating)方式の他に、インクジェットプリンティング(inkjet printing)方式などの様々なコーティング方式を用いて形成してもよく、前記回路配線層110は、このように順に積層形成されるそれぞれの絶縁層120の上面に、公知の回路印刷工法、例えば、アディティブ(additive)法、セミアディティブ(semi additive)法またはサブトラクティブ(subtractive)法などを用いて形成してもよい。
【0029】
このように形成された前記回路配線層110は、その用途に応じて接地領域を形成する接地回路、電源供給の手段となる電源回路、および電気的な通路の役割をして信号を伝達する信号回路などからなることができる。
【0030】
前記回路配線層110の各層間連結は、連結しようとする回路配線層110の間の絶縁層120を厚さ方向に貫通して形成されたビア電極130を介して行われることができ、この際、貫通される絶縁層120の層数は、図1に示されたように、一層またはそれ以上の層であってもよい。そのため、前記ビア電極130は、ブラインドビア(blind via)またはコアビア(core via)であってもよい。
【0031】
前記ビア電極130は、ビア電極130が形成される所定の位置に、ドリルまたはレーザなどを用いて貫通孔を形成した後、貫通孔の内部をフィル(fill)めっきして形成されることができる。
【0032】
この際、前記ビア電極130と前記回路配線層110との間の連結点に所定面積のビアパッド140を形成して、ビア電極130と回路配線層110との連結性を確保する。このような前記ビアパッド140は、前記回路配線層110のめっきの際、前記ビア電極130に対応する位置に形成するが、前記ビア電極130の上、下部面の面積より広く形成することで、前記ビア電極130と回路配線層110との連結信頼性を高めることが好ましい。
【0033】
前記ビア電極130は、上、下層の回路配線層110を導通させることを目的とするため、前記ビアパッド140は、前記ビア電極130の上部に接続する上部ビアパッド141と、前記ビア電極130の下部に接続する下部ビアパッド142と、からなることができ、前記上、下部ビアパッド141、142、前記ビア電極130、および前記回路配線層110は、電気伝導性に優れた銅、金、銀、ニッケルおよびこれらの合金からなる群から選択される金属のうちいずれか一つからなってもよい。
【0034】
このようなビア構造において、本発明は、少なくとも一つ以上の絶縁層120を挟んで前記上部ビアパッド141または下部ビアパッド142に対向する位置に負荷用パッド150が形成されていることを特徴とすることができる。
【0035】
ここで、前記負荷用パッド150は、キャパシタの一端子として機能することができる。すなわち、上述のとおり、通常、前記ビアパッド140の面積は広く形成されるため、本発明は、これを鑑みて、前記負荷用パッド150をキャパシタの一端子(+端子または−端子)として使用し、前記上部ビアパッド141をキャパシタの他の端子(−端子または+端子)として使用する。図面において、前記負荷用パッド150を上部ビアパッド141に対向するように配置しているが、これとは異なり、前記負荷用パッド150を、少なくとも一つの絶縁層120を挟んで前記下部ビアパッド142の下部に対向配置してもよく、この場合、前記負荷用パッド150と前記下部ビアパッド142との間にキャパシタンスが生じる。
【0036】
ここで、前記上、下部ビアパッド141、142は、回路配線層110とビア電極130との連結性を確保するためにその面積を減少させることが困難であるため、前記負荷用パッド150の面積を要求されるキャパシタ容量に応じて設定することが好ましい。
【0037】
このように、本発明は、前記ビアパッド140をキャパシタの一端子として活用することで、キャパシタを設計するための別の実装空間を必要とせず、これにより、回路配線層110をさらに高密度化することができる。
【0038】
本発明は、さらに、図3に示されたように、前記負荷用パッド150と前記上部ビアパッド141との間の絶縁層120を貫通する開口部133をさらに形成してもよい。また、前記開口部133の内部に高誘電率の誘電体132を充填形成して、より高いキャパシタンスを具現することができる。勿論、前記負荷用パッド150が前記下部ビアパッド142に対向して配置された場合には、前記下部ビアパッド142と負荷用パッド150との間に前記開口部133を形成し、その内部に誘電体132を設けてもよい。
【0039】
前記開口部133は、レーザ工程またはドリル工程により形成されてもよく、その横断面の形状が円形や楕円形、または四角形のような多角形などの様々な形状を有するように形成されてもよい。また、前記誘電体132は、スクリーン印刷法またはインクジェットプリンタを用いたプリンティング法などを用いて、前記開口部133の内部に誘電物質を充填することで形成されることができる。ここで、前記誘電物質としては、例えば、1,000〜10,000の誘電定数(dielectric constant)を有するBaTiOなどを使用してもよい。
【0040】
一方、前記開口部133の側壁に前記負荷用パッド150と前記ビアパッド140とを電気的に連結する内壁金属層160をさらに形成してもよい。ここで、前記内壁金属層160は、不要電磁波(Electromagnetic Interference:EMI)の放射を低減するなどの機能を果たすことができる。
【0041】
すなわち、すべての電気回路は、信号を放射する信号源、信号が伝達される負荷端、伝達された電流が戻ってくる帰還経路からなる閉回路をなしているが、万一、このような閉回路を構成できなかった場合には、隣り合う線路間の信号を結合させて漏話現象が生じるだけでなく、外部に放射される電磁波の強度が増大する虞がある。
【0042】
そのため、本発明では、前記内壁金属層160により前記負荷用パッド150を前記ビアパッド140と電気的に連結させることで閉回路に構成し、結果、信号の帰還経路を確保し、不要電磁波(EMI)の放射を低減することができる。万が一、内壁金属層160がなく、前記負荷用パッド150が閉回路を構成できなかった場合には、隣り合う線路間の結合した信号が外部に放射されて、不要電磁波(EMI)による電子機器の特性阻害をもたらす虞がある。
【0043】
前記負荷用パッド150および内壁金属層160のさらに他の効果について説明すると、先ず、図4aは負荷用パッド150のない従来のビア構造を示す図であり、図4bは図4aの等価回路を示す図であって、従来のビア構造では、導体パターンによる抵抗Rの他に、ビアパッド1、2によるキャパシタンス値Cのみが存在することが分かる。
【0044】
これに対し、図3の内部斜視図を示す図5aおよび図3の等価回路を示す図5bを参照すると、本発明では、前記ビアパッド140と負荷用パッド150によるキャパシタンス値Cだけでなく、負荷用パッド150と内壁金属層160との連結によって抵抗およびインダクタンスなどの成分が複合されてインピーダンス値Zがさらに加わり、結果、P3とP4との間の負荷(Load)値が変化することが分かる。したがって、P3とP4との間の負荷(Load)値を適宜調節することで、図6aおよび図6bのようにRF損失(RF loss)および反射損失(Return loss)の特性を高めることができる。
【0045】
以下、本発明の他の実施形態について詳細に説明する。
【0046】
図7は本発明の他の実施形態による多層印刷回路基板100の断面図であり、これを参照すると、本発明の他の実施形態は、少なくとも一つ以上の絶縁層120を厚さ方向に貫通するビアホール131の内壁にめっきされたビア電極130と、前記ビア電極130の上部に接続する上部ビアパッド141および前記ビア電極130の下部に接続する下部ビアパッド142と、少なくとも一つ以上の絶縁層120を挟んで前記上部ビアパッド141に対向する位置に形成された負荷用パッド150と、を含むことができる。
【0047】
このようにビアホール131の内壁にめっきされたビア電極130は、前記下部ビアパッド142を覆う絶縁層120に下部ビアパッド142の一部を露出させるビアホール131を形成した後、回路配線層のめっきの際、前記ビアホール131の内壁をともにめっきすることで形成されることができ、この際、前記ビアホール131が形成された絶縁層120の上部表面のうち前記ビアホール131に隣接する部位をともにめっきすることで、前記上部ビアパッド141を一体に形成することができる。
【0048】
このような構造において、前記負荷用パッド150は、前記ビアホール131を挟んで前記下部ビアパッド142と対をなし、キャパシタ端子となる。この際、前記ビアホール131の内部に高誘電率の誘電体132を充填形成することで高容量のキャパシタを具現することができる。
【0049】
本発明は、さらに、図8に示されたように、前記負荷用パッド150と前記上部ビアパッド141との間の絶縁層120を貫通する開口部133をさらに形成し、前記開口部133の内部に誘電体132を設けてもよい。
【0050】
この際、前記開口部133は、前記ビアホール131に対応する位置に形成されてもよく、これにより、前記開口部133と前記ビアホール131は一体に形成されることができる。結果、キャパシタ端子となる前記負荷用パッド150と前記下部ビアパッド142との間の内部空間、すなわち、一体に形成された前記開口部133とビアホール131の内部は全て誘電体132で設けられて、高容量のキャパシタを具現することができる。
【0051】
一方、前記開口部133の側壁に前記負荷用パッド150と前記ビアパッド140とを電気的に連結する内壁金属層160をさらに形成して、不要電磁波(EMI)の放射を低減することができる。
【0052】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、上述の内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、本発明は多様な他の組合、変更および環境で用いることができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、述べた開示内容と均等な範囲および/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。上述の実施形態は本発明を実施するにおいて最善の状態を説明するためのものであり、本発明のような他の発明を用いるにおいて当業界に公知された他の状態での実施、そして発明の具体的な適用分野および用途で要求される多様な変更も可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付された特許請求の範囲は他の実施状態も含むと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0053】
100 本発明の多層印刷回路基板
110 回路配線層
120 絶縁層
130 ビア電極
131 ビアホール
132 誘電体
133 開口部
140 ビアパッド
141 上部ビアパッド
142 下部ビアパッド
150 負荷用パッド
160 内壁金属層
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8