【課題】タイムウインドウが設定時間内であれば、電話の通話回数にかかわりなく、詐欺用語データに対応づけられた係数の合計を計算し、短い電話が何回もかかってくるような詐欺誘導行為にも対応できるようにする。
【解決手段】音声認識手段2で認識された音声データと、詐欺用語記憶手段5に記憶された詐欺用語データとを対比するとともに、それらが一致した詐欺用語データに対応づけられた重みづけ係数を、判定処理手段7に入力する。判定処理手段7は、電話の通話回数に関係なく、あらかじめ定めた設定時間内における上記詐欺用語データの重みづけ係数a
詐欺の危険度が高いと上記判定処理手段が判定したとき、判定処理手段は保護対象者側の電話機に対応付けられた予知警報出力手段に警報出力信号を出力するとともに、この警報出力信号をトリガーにして上記予知警報出力手段が警報を出力する
請求項1又は2に記載された振り込め詐欺防止システム。
振り込め詐欺の保護対象者が振り込め詐欺被害の体験者のとき、上記詐欺用語記憶手段に記憶されている詐欺用語データの重みづけを加重する請求項4に記載された振り込め詐欺防止システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の振り込め詐欺防止システムでは、現在接続中の電話における会話から、詐欺に至る危険性の高い詐欺用語を切り出すようにしているので、もし、振り込め詐欺の実行者から、ある時間帯に短い電話が何度もあったときには、その短い時間の電話の中から、上記詐欺用語を切り出すしかない。
【0005】
しかし、最近は、振り込め詐欺の手口が巧妙になり、詐欺実行者側から短い時間の電話が何回もかかってくる傾向がある。例えば、最初の電話では、警察を名乗って家庭環境を事前にチェックする。その直後、別な役割を担った者が、振り込みを誘導するような電話をしてくる。
このように、詐欺実行者側では数人の者がそれぞれの役割を分担し、保護対象者に対して、限られた時間内に何度も電話をしてくる傾向がある。
【0006】
このような最近の傾向の中で、接続中の短い電話における会話の中から詐欺用語を切り出すことが難しくなっている。
また、詐欺用語を切り出せたとしても、1回の通話が短ければ、それら詐欺用語の総数が少なくならざるを得ないので、詐欺の危険度を判定するには情報不足になり、その危険度を的確に判定できないという問題もある。
【0007】
さらに、詐欺用語に重みづけをし、それらの係数を合計するとともに、その合計値があらかじめ設定した設定値を超えたか否かで、詐欺の危険度を判定する場合もある。このような場合にも、詐欺用語の総数が不足気味になれば、詐欺の危険度を測る係数を導入したとしても、その合計値の精度が落ち、その危険度を判定しにくくなるという問題があった。
【0008】
上記の問題を解決するために、詐欺用語の重みづけの係数を、設定値との関係で高めに設定することも考えられる。しかし、重みづけの係数を高めに設定すると、ごく少数の詐欺用語によって、上記設定値を超えてしまうことは容易に想像できる。ごく少数の詐欺用語で上記設定値を簡単に超えてしまうと、振り込め詐欺とは関係ない通常の会話に対しても警報を頻発してしまう。
振り込め詐欺とは関係ないにもかかわらず警報が頻発されれば、当該システムに対する信頼性が失われるという別の問題が発生する。
【0009】
いずれにしても、従来の振り込め詐欺防止システムでは、振り込め詐欺の最近の手口に対応できないという問題があった。
【0010】
この発明の目的は、詐欺実行者側からある時間帯に何回も電話がかかってくるような状況においても、詐欺による犯罪行為を未然に防止できる振り込め詐欺防止システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、電話接続中に発話された音声を認識する音声認識手段と、詐欺用語をデータ集として記憶する詐欺用語記憶手段と、上記音声認識手段で認識された音声データと上記詐欺用語記憶手段に記憶された詐欺用語データとを対比し、上記詐欺用語に対応した音声データを詐欺用語データとして検知する検知手段と、上記電話の通話回数に関係なく、あらかじめ定めた設定時間内における上記詐欺用語データの発現度から詐欺の危険度を判定する判定処理手段と、詐欺の危険度が高いと上記判定処理手段が判定したとき、当該判定処理手段の出力信号に基づいて、あらかじめ登録された発信先に警報信号を出力する発信手段と、を備えた点に特徴を有する。
【0012】
第2の発明は、上記詐欺用語記憶手段に記憶された個々の詐欺用語データには、詐欺に至る危険度に応じた重みづけ係数を付与してなり、上記判定処理手段は、上記検知手段で検知された上記詐欺用語データの重みづけ係数を合計して上記発現度とし、その発現度に基づいて詐欺の危険度を判定する点に特徴を有する。
【0013】
第3の発明は、詐欺の危険度が高いと上記判定処理手段が判定したとき、判定処理手段は保護対象者側の電話機に対応付けられた予知警報出力手段に警報出力信号を出力するとともに、この警報出力信号をトリガーにして上記予知警報出力手段が警報を出力する点に特徴を有する。
【0014】
なお、上記予知警報出力手段から出力される警報信号は、保護対象者あるいは詐欺実行者の双方もしくはいずれか一方に出力するようにしてもよい。ただし、詐欺実行者側の電話機に警報信号を出力するときには、通話中の電話の送話に警告音を合成して出力することになる。
【0015】
第4の発明は、振り込め詐欺保護対象者の電話機に、上記詐欺用語記憶手段及び上記音声認識手段を接続した点に特徴を有する。
【0016】
第5の発明は、振り込め詐欺からの保護対象者が振り込め詐欺被害の体験者のとき、上記詐欺用語記憶手段に記憶されている詐欺用語データの重みづけを加重する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明の振り込め詐欺防止システムによれば、上記電話の通話回数に関係なく、あらかじめ定めた設定時間内における上記詐欺用語データの発現度から詐欺の危険度を判定できるようにしたので、例えば、詐欺実行者側から限られた時間内に何度も電話がかかってくる振り込みの誘導行為に対しても、的確に詐欺の危険度を判定できる。
【0018】
また、判定処理手段が詐欺の危険度が高いと判定したとき、あらかじめ登録された発信先に発信手段が警報信号を出力するので、この発信先として、保護対象者の家族や警察などを含めておけば、詐欺の被害を未然に防止できるとともに、犯人逮捕にも役立つ。
【0019】
第2の発明の振り込め詐欺防止システムによれば、詐欺用語記憶手段に記憶された個々の詐欺用語データに重みづけ係数を対応づけたので、それら係数の合計値が設定値に達したとき、詐欺が誘発される危険ありと判定することができる。
したがって、上記第1の発明と相まって、限られた時間内に何度も電話がかかってくる振り込みの誘導電話に対しても、判定に必要な係数を的確に計算できる。
このように判定に必要な係数を的確に計算できるので、振り込め詐欺と関係ない通常の会話を的確により分け、通常会話中の誤報が少なくなり、当該システムに対する信頼性を失うこともない。
【0020】
第3の発明の振り込め詐欺防止システムによれば、保護対象者本人及び詐欺実行者のいずれか一方もしくは双方に警報を出力できる。
保護対象者本人に警報を出力すれば、本人は振り込め詐欺の疑いを持ちながら会話を継続できるので、その分、防衛本能を働かせることができ、振り込め詐欺の被害を未然に防ぐことができる。
【0021】
また、予知警報出力手段を保護対象者側の電話機に組み込んでおけば、例えば、会話中の送話もしくは受話に警告音を合成させることができる。この場合の警告音としては、例えば、「ピッ ピッ」といった異音などが考えられる。このような異音の発生は、詐欺実行者側から見れば、詐欺に気付かれたかもしれないという疑心暗鬼を生み、詐欺目的の会話の中断の動機づけにもなりうる。もし、詐欺実行者が自ら電話を切れば、振り込め詐欺の被害を未然に防ぐことができる。
【0022】
第4の発明によれば、振り込め詐欺から保護すべき保護対象者の電話機に、上記詐欺用語記憶手段及び上記音声認識手段を接続できるので、システムが簡潔になり、その分、コスト的にも有利になる。
【0023】
第5の発明によれば、保護対象者が過去に詐欺の被害にあっているようなとき、詐欺用語記憶手段に記憶されている詐欺用語データの重みづけを加重することによって、警報信号を早めに出力させることができる。したがって、同じ人が何度も振り込め詐欺の被害にあうのを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の実施形態は、
図1の概略図に示すように、ホスト側システムHと、振り込め詐欺から保護すべき保護対象者側の端末側システムG1・・・Gnを備え、これらホスト側システムHと端末側システムG1・・・Gnとを、インターネット及び電話網を介して接続している。
そして、上記ホスト側システムHは、サーバSと電話交換機PBXとを備え、端末側システムG1・・・Gnは、電話機1に接続した端末PCと、端末PCに接続した予知警報出力手段10とを備えている。
【0026】
上記端末PCには、
図2に示すように、振り込め詐欺から保護すべき保護対象者側の電話機1に接続した音声認識手段2、音声認識手段2に接続した検知手段4、詐欺に至る危険性の高い単語もしくは文節からなる詐欺用語を記憶した詐欺用語記憶手段5及び入力手段6を備えている。
【0027】
そして、上記音声認識手段2は、上記電話機1と相手側の例えば詐欺実行者側の電話機3とが通話中のときに、そこで発話された単語もしくは文節を切り出してそれを音声データに変換するとともに、その変換した音声データを検知手段4に対して出力する。
なお、以下には、特許請求の範囲の欄における記載も含めて、詐欺に至る危険性の高い単語もしくは文節の両者をまとめて「詐欺用語」という。
【0028】
上記検知手段4には詐欺用語記憶手段5が接続されているが、この詐欺用語記憶手段5には入力手段6を接続している。そして、上記詐欺用語記憶手段5には、詐欺に至る危険性の高い詐欺用語データを記憶させるとともに、上記入力手段6を介して上記詐欺用語データを補充したり更新したりできるようにしている。
【0029】
また、上記のように詐欺用語記憶手段5に記憶された個々の詐欺用語データには、詐欺に至る危険度に応じた重みづけ係数を対応づけている。例えば、危険度が最も高い詐欺用語データの係数を、相対的に危険度が低い詐欺用語データの係数よりも2倍にしている。
なお、上記詐欺用語のテーブルを
図3に示したが、この実施形態では、危険度が高い詐欺用語データをAクラスとして2ポイントの係数aを付与し、相対的に危険度が低い詐欺用語データをBクラスとして1ポイントの係数bを付与している。
【0030】
また、その重みづけ係数の設定は、入力手段6を介して自由に設定できるようにしている。例えば、保護対象者が詐欺被害の体験者の場合には、過去の履歴から詐欺被害にあった詐欺用語データの係数をさらに大きく設定することができる。このように、過去に詐欺被害にあった実体験で裏付けられた詐欺用語データの係数をより大きくしておけば、再び、振り込め詐欺の誘導電話があったとき、すばやく対応できるようになる。
また、詐欺の手口の変遷等によっても、上記重みづけ係数を変更することもできる。
【0031】
いずれにしても、検知手段4に音声データが入力したときには、検知手段4は、入力した音声データが、詐欺用語記憶手段5に記憶されている詐欺用語データと対応しているかどうかを比較する。もし、それらが対応しているときには、当該詐欺用語データに対応づけられた係数と現在の時刻とを検知する。
なお、電話機1、音声認識手段2あるいは検知手段4のいずれかに、現在の時刻を刻むタイマーが組み込まれていることは当然である。
【0032】
そして、音声認識手段2が音声を認識したときには、当該音声データを、その都度、検知手段4に入力する。検知手段4は、音声データが入力すれば、それを詐欺用語記憶手段5に記憶されている詐欺用語データと対比し、音声データと詐欺用語データとが対応したときには、上記時刻に対応づけた係数を出力し続ける。
【0033】
検知手段4から出力された上記時刻対応の係数は、インターネットを介して、上記ホスト側システムHのサーバSに入力される。このホスト側システムHのサーバSには、
図2に示すように、判定処理手段7及びこの判定処理手段7に接続した警報出力手段8及び発信リスト記憶手段9を備えている。
【0034】
上記のようにして検知手段4から出力された係数が判定処理手段7に入力されるが、判定処理手段7は、当該係数が入力されたら、それを自らの記憶部に記憶させるとともに、上記係数の入力をトリガーにしてタイムウインドウをオープンする。ただし、このタイムウインドウをオープンにする設定時間は、振り込め詐欺の手口などを参考にしながら、あらかじめ記憶されているが、この設定時間は図示していない入力手段を介して自由に変更できるようにしている。
【0035】
さらに、上記判定処理手段7は、上記トリガーとなった係数をカウントするカウンターを備え、このカウンターで、上記タイムウインドウをオープンしている間に入力された時刻対応の係数をその都度合計していく。
【0036】
また、判定処理手段7には、係数の合計値に対する設定値があらかじめ記憶されているが、この設定値も、係数の設定の仕方や、詐欺の手口等に応じて任意に定められるようにしている。
そして、判定処理手段7は、係数の合計値が上記設定値を超えたと判定したとき、警報出力手段8に警報出力命令信号を出力する。
【0037】
判定処理手段7から警報出力命令信号を受信した警報出力手段8は、発信リスト記憶手段9に記憶されている発信先を検出し、その発信先に警報信号を出力する。
なお、上記発信リスト記憶手段9には、例えば家族、警察あるいは保護観察者等、保護対象者の環境に応じたリストが記憶されているが、その発信先も自由に更新できるようにしている。
【0038】
また、警報出力手段8が出力する警報信号としては、電話、メール、音声等のものが考えられるが、この警報出力信号も、上記発信リスト記憶手段9に記憶された保護対象者に応じていろいろに設定してもよい。
そして、発信リスト記憶手段9に記憶された発信先に電話による警報信号を出力するときには、電話交換機PBXを介して上記記憶された発信先へ架電する。
【0039】
さらに、詐欺の危険度が高いと上記判定処理手段7が判定したとき、判定処理手段7は保護対象者側の電話機1に対応付けられた予知警報出力手段10に警報発信命令信号を出力するとともに、この警報出力命令信号をトリガーにして上記予知警報出力手段10が警報を出力する。
【0040】
なお、検知手段4から図示していない音声を合成する手段により電話機1に対して会話中の送話もしくは受話中に警告音を合成させることができる。この場合の警告音としては、例えば、「ピッ ピッ」といった異音などが考えられる。このような異音の発生は、詐欺実行者側から見れば、詐欺に気付かれたかもしれないという疑心暗鬼を生み、詐欺目的の会話を中断する動機づけにもなりうる。もし、詐欺実行者が自ら電話を切れば、振り込め詐欺の被害を未然に防ぐことができる。
【0041】
次に、上記実施形態の判定処理手段7の処理プロセスを
図4に示したタイムチャートに基づいて説明する。なお、この実施形態では、係数が5ポイントに達したとき、すなわち4ポイントを超えたときに詐欺の危険がきわめて高いと判定し、警報出力手段8を動作させるようにしている。
【0042】
今、保護対象者側の電話機1と外部の電話機3とが、
図4に示す第1回目として通話され、しかも、その通話中に検知手段4が、例えば詐欺用語データ(Aクラス)を検知したとすると、その詐欺用語データ(Aクラス)に対応付けられた係数a1を判定処理手段7に入力する。このように係数a1が入力されると、判定処理手段7は、当該係数a1を自らの記憶部に記憶するとともに、タイマーA1をスタートさせる。これと同時に、判定処理手段7は、自らの記憶部に記憶されている現状の係数の合計値cに2ポイントを加算する。
なお、上記合計値cをもって、この発明の詐欺用語データの発現度としている。
【0043】
なお、
図4のタイムチャートは、上記係数a1が入力される以前は、すべてのタイマーがストップしている状態を示している。このようにすべてのタイマーがストップしているので、係数a1が入力した時点では、判定処理手段7の記憶部に記憶されている合計値cはゼロになっている。したがって、上記係数a1が入力されたときには、その合計値cが2ポイントになる。
【0044】
そして、上記第1回目の通話が終話した後に、第2回目の通話があり、しかも、その会話中に詐欺用語データ(Aクラス)が検出されたときには、その詐欺用語データ(Aクラス)に対応付けられた係数a2が判定処理手段7に入力する。係数a2が入力すると、判定処理手段7は、当該係数a2を自らの記憶部に記憶するとともに、タイマーA2をスタートさせる。これと同時に、判定処理手段7は、自らの記憶部に記憶されている現状の係数の合計値cである2ポイントにさらに2ポイントを加算して、合計値cを4ポイントとして判定処理手段7の記憶部に記憶する。
【0045】
また、上記第2回目の通話が終話した後に、第3回目の通話があったけれど、その通話中には詐欺用語データが検出されなければ、判定処理手段7に係数aあるいはbのいずれも入力されないので、判定処理手段7の記憶部に記憶されている合計値cは4ポイントを維持する。
【0046】
そして、上記第3回目の通話と次の第4回目の通話との過程で、タイマーA1の設定時間がオーバーすれば、判定処理手段7は、当該タイマーA1をストップさせるとともに、このタイマーA1でカウントされた係数a1である2ポイントを、上記記憶部に記憶している合計値cから減算して、その合計値cを2ポイントとして判定処理手段7の記憶部に記憶する。
【0047】
また、タイマーA2の設定時間内に第4回目の通話があり、しかも、その通話中に詐欺用語データ(Bクラス)が検出されたときには、その詐欺用語データ(Bクラス)に対応付けられた係数b1が判定処理手段7に入力される。係数b1が入力されると、判定処理手段7は、当該係数b1を自らの記憶部に記憶するとともに、タイマーB1をスタートさせる。これと同時に、判定処理手段7は、自らの記憶部に記憶されている現状の係数の合計値cである2ポイントにさらに1ポイントを加算して、合計値cを3ポイントとして判定処理手段7の記憶部に記憶する。
【0048】
そして、上記第4回目の通話と次の第5回目の通話との過程で、タイマーA2の設定時間がオーバーすれば、判定処理手段7は、当該タイマーA2をストップさせるとともに、このタイマーA2でカウントされた係数a2である2ポイントを、上記記憶部に記憶している合計値cから減算して、その合計値cを1ポイントとして判定処理手段7の記憶部に記憶する。
【0049】
また、上記第4回目の通話が終話した後に、第5回目の通話があったけれど、その通話中には詐欺用語データが検出されなければ、判定処理手段7に係数aあるいはbのいずれも入力されないので、判定処理手段7の記憶部に記憶されている合計値cは1ポイントを維持する。
【0050】
そして、タイマーB1の設定時間内に第6回目の通話があり、しかも、その会話中に詐欺用語データ(Aクラス)が検出されたときには、その詐欺用語データ(Aクラス)に対応付けられた係数a3が判定処理手段7に入力される。係数a3が入力されると、判定処理手段7は、当該係数a3を自らの記憶部に記憶するとともに、タイマーA3をスタートさせる。これと同時に、判定処理手段7は、自らの記憶部に記憶されている現状の係数の合計値cである1ポイントにさらに2ポイントを加算して、合計値cを3ポイントとして判定処理手段7の記憶部に記憶する。
【0051】
また、上記タイマーB1の設定時間内に第7回目の通話があり、しかも、その会話中に詐欺用語データ(Bクラス)が検出されたときには、その詐欺用語データ(Bクラス)に対応付けられた係数b2が判定処理手段7に入力される。係数b2が入力されると、判定処理手段7は、当該係数b2を自らの記憶部に記憶するとともに、タイマーB2をスタートさせる。これと同時に、判定処理手段7は、自らの記憶部に記憶されている現状の係数の合計値cである3ポイントにさらに1ポイントを加算して、合計値cを4ポイントとして判定処理手段7の記憶部に記憶する。
【0052】
そして、上記タイマーB1の設定時間内に第8回目の通話があり、しかも、その通話中に詐欺用語データ(Bクラス)が検出されたときには、その詐欺用語データ(Bクラス)に対応付けられた係数b3が判定処理手段7に入力する。係数b3が入力すると、判定処理手段7は、当該係数b3を自らの記憶部に記憶するとともに、タイマーB3をスタートさせる。これと同時に、判定処理手段7は、自らの記憶部に記憶されている現状の係数の合計値cである4ポイントにさらに1ポイントを加算して、合計値cを5ポイントとして判定処理手段7の記憶部に記憶する。判定処理部7は、合計値cがあらかじめ設定した5ポイントに達したため、発信リスト記憶手段9の発信リストを参照して、警報出力手段8に警報を出力させる。それと同時に、全てのタイマーを停止させ待機状態に戻す。
【0053】
いずれにしても、この実施形態では、電話の通話回数にかかわりなく、タイマーAあるいはBが設定時間内にあり、しかも詐欺用語データの発現度である係数の合計値cが設定値であるポイント4を超えれば、詐欺の危険度が高いと判定する。したがって、限られた時間内に何度も電話がかかってくる振り込みの誘導電話に対しても、判定に必要な係数を的確に計算できる。判定に必要な係数を的確に計算できるので、振り込め詐欺と関係ない通常の通話をより分け、通常通話中の誤報を少なくし、当該システムに対する信頼性を高めることができる。
【0054】
次に、上記タイムチャートを実行する判定処理手段7の処理プロセスを、
図5に示したフローチャートに基づいて説明する。
当該システムをスタートさせるときには、ステップS1において、判定処理手段7のカウンターcを初期化して0にするとともに、ステップS2において、すべてのタイマーAx及びByをストップさせる。
【0055】
そして、ステップS3に移行して、詐欺用語データ(Aクラス)に対応付けられた係数a
nが入力されたかをチェックする。もし、係数a
nが入力されたと判定したら、ステップS4で、カウンターcに係数a
nを加算する。
【0056】
さらに、ステップS4からステップS5に移行して、判定処理手段7の記憶部に記憶されている係数の合計値cが設定値を超えているか否かを判定し、もし、設定値を超えていなければ、ステップS6に移行して、新たに追加したタイマーAxをスタートさせるとともに、ステップS3に戻る。
上記ステップS5において、合計値cが設定値を超えていると判定したときには、ステップS7に移行して警報出力手段8に警報を出力して、ステップS1に戻る。
【0057】
一方、ステップS3において係数a
nが入力されないと判定したときには、ステップS8に移行して、詐欺用語データ(Bクラス)に対応付けられた係数b
nが入力されたかをチェックする。もし、係数b
nが入力されたと判定したら、ステップS9で、カウンターcに係数b
nを加算する。
【0058】
さらに、上記ステップS9からステップS10に移行して、判定処理手段7の記憶部に記憶されている係数の合計値cが設定値を超えているか否かを判定し、もし、設定値を超えていなければ、ステップS11に移行して、新たに追加したタイマーByをスタートさせるとともに、ステップS3に戻る。
上記ステップS10において、合計値cが設定値を超えていると判定したときには、ステップS12において、警報出力手段8が警報を出力して、ステップS1に戻る。
【0059】
また、上記ステップS3、S8の移行過程で、係数a
n及びb
nのいずれも入力されないときには、ステップS13に移行して、タイマーAxのうち設定時間を超えているものがあるかどうかを判定する。もし、設定時間を超えているタイマーAxがあれば、ステップS14で当該タイマーAxをストップしてステップS15に移行して、カウンターcから係数a
nを減じてステップS16に移行する。また、ステップS13でタイマーAxのうち設定時間を超えているものがないと判定したときも、上記ステップS16に移行する。
【0060】
そして、ステップS16で、タイマーByのうち設定時間を超えているものがあるかどうかを判定する。もし、設定時間を超えているタイマーByがあれば、ステップS17で当該タイマーByをストップしてステップS18に移行して、カウンターcから係数b
nを減じてステップS3に移行する。また、ステップS16でタイマーByのうち設定時間を超えているものがないと判定したときも、上記ステップS3に戻る。
【0061】
なお、上記した実施形態では、検知手段4から係数a
nあるいはb
nのいずれかが入力されたとき、判定処理手段7がその都度係数の合計処理を実行するようにしたが、例えば、現時点から遡って設定時間内における係数a
n及びb
nの合計を計算するようにしてもよい。
【0062】
ただし、現時点から遡って設定時間内における係数a
n及びb
nを合計する場合には、検知手段4から時刻対応の係数が入力されるたびに、判定処理手段7がそれを自らの記憶部に記憶するとともに、例えば、5分ごとにスタート時点を設定し、そのスタート時点から遡って設定時間内の係数を合計することになる。したがって、係数の合計値cが出力されるのが5分ごとになり、その分、警報を発するタイミングが遅れるのは否めないところである。
【0063】
これに対して、検知手段4から時刻対応の係数が入力されたとき、判定処理手段7がその都度係数の合計処理を実行する場合には、係数a
n及びb
nの合計値cが設定値よりも大きくなった時点で即座に警報を発することができるので、その分、警報発信のタイミングの遅れが少なくなるという利点がある。
【0064】
いずれにしても、上記実施形態によれば、タイムウインドウが設定時間内であれば、電話の通話回数にかかわりなく、判定処理手段7に入力された係数の合計a
n及びb
nの合計値cを計算できるので、ある時間帯の中で、短い電話が何回もかかってくるような詐欺誘導行為に対しても有効に対応できる。
【0065】
また、上記実施形態において、保護対象者側に上記各手段のすべてを備えるようにしてもよいし、例えば、検知手段4と判定処理手段7とを、インターネット等の通信網を介して接続し、判定処理手段7、警報出力手段8及び発信リスト記憶部9のそれぞれをセンター等で一括管理してもよい。
【0066】
さらに、上記詐欺用語記憶手段5の更新も、上記センター等で一括管理してもよいことは当然である。
また、音声認識手段2、検知手段4及び詐欺用語記憶手段5のそれぞれを保護対象者側の電話機1に直接接続するようにしてもよい。この場合には、システムが安価になるという利点がある。