特開2015-154510(P2015-154510A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-154510(P2015-154510A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】器具固定構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/02 20060101AFI20150728BHJP
   F21S 8/00 20060101ALI20150728BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20150728BHJP
   H01R 25/00 20060101ALI20150728BHJP
   F21Y 101/00 20060101ALN20150728BHJP
【FI】
   H02G3/02 301B
   F21S8/00 100
   H01R13/74 L
   H01R25/00 H
   F21Y101:00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-23807(P2014-23807)
(22)【出願日】2014年2月10日
(71)【出願人】
【識別番号】313014077
【氏名又は名称】トクラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 宏文
(72)【発明者】
【氏名】大隅 弥八
【テーマコード(参考)】
3K243
5G357
【Fターム(参考)】
3K243MA01
5G357CA06
5G357CB03
5G357CC01
5G357CD07
5G357CE02
5G357CF01
(57)【要約】
【課題】 板状部材の裏面側にねじの先端を突出させることなく、かつ板状部材の裏面側の空間が狭い場合でも器具を取り付けることができる器具固定構造を提供すること。
【解決手段】 バックガード11に設けられた開口11aに、コンセント装置20を取り付けるための器具固定構造Aに、コンセント固定部材15と、保持部材13を設けた。コンセント固定部材15は、バックガード11の表面の開口11aの縁部に配置されてコンセント装置20が固定される。保持部材13は、バックガード11の裏面に沿う裏面片13cと、開口11aの内部を通る連結片13aと、連結片13aの端部からコンセント固定部材15の表面側に延び押圧用ねじ穴14aが備わった表面片13bからなっている。そして、押圧ねじ18bを、押圧用ねじ穴14aに螺合させその先端部でコンセント固定部材15を押圧することによりコンセント固定部材15と保持部材13を固定した。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面側に所定の空間を有する板状部材に設けられた開口に、器具を取り付けるための器具固定構造であって、
前記板状部材の表面における前記開口の縁部に配置され前記器具が固定される被固定部材と、
前記板状部材の裏面に当接する裏面片と、前記裏面片の端部から前記開口を通って前記板状部材の表面側に延びる連結片と、前記連結片の端部から被固定部材の表面側に延び前記被固定部材に対向し、押圧用ねじ穴を有する表面片とからなる保持部材と、
前記押圧用ねじ穴に螺入し先端部で前記被固定部材を押圧することにより前記被固定部材と前記保持部材を前記板状部材に保持する押圧ねじと
を備えたことを特徴とする器具固定構造。
【請求項2】
前記器具にねじ挿通穴を備えた被固定部が備わって、前記被固定部材に取付用ねじ穴部が設けられ、前記器具が、前記取付用ねじ穴部と前記取付用ねじ穴部に螺合する取付ねじで前記被固定部材に固定される請求項1に記載の器具固定構造。
【請求項3】
前記被固定部材における前記固定ねじの先端部で圧接される部分に位置決め用凹部を形成した請求項1又は2に記載の器具固定構造。
【請求項4】
前記表面片を前記連結片の表面側縁部の両側にそれぞれ設けて、前記連結片の表面側部分における2つの表面片の間に切欠き部を形成するとともに、前記被固定部材に、両側が前記切欠き部の両側縁部に係合できる突部を形成した請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の器具固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンや浴室に設置される壁面パネルやカウンターなどの板状部材にコンセント、照明器具、水栓などの器具を固定する器具固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キッチンや浴室の壁面などにはコンセント、照明器具、水栓などの器具が取り付けられており、このような器具は所定の固定部材を備えた固定構造によって壁面などに固定されている。このような、固定構造として、板状の壁材に開口を形成し、その開口に固定部材を用いてコンセントを固定したものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この固定構造の固定部材は、四角枠状の板部材からなり上下にそれぞれねじ孔が形成された挟み金具と、コンセントが取り付けられ上下にそれぞれねじ挿通孔が形成された取付枠からなっている。そして、コンセントを壁材に取り付ける際には、まず、壁材の開口に合わせて挟み金具を壁材の裏面に当接させるとともに、壁材の開口にコンセントを合わせて取付枠を壁材の表面側に配置する。その状態で、ボックスねじを取付枠のねじ挿通孔に通して挟み金具のねじ孔に螺合させることにより、挟み金具と、コンセントが取り付けられた取付枠を壁材に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−59947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来の固定構造では、ボックスねじの先端部が挟み金具を貫通して、壁材の裏面側に突出してしまう。このため、例えば、コンセントをシステムキッチンのカウンターのように、裏面側に収容部がある場合には、ボックスねじの先端に収容物が当たって傷つくおそれがある。また、壁材の裏面の空間が狭いと、コンセントの取付けができなくなる場合もある。さらに、挟み金具を壁材の裏面に設置するため、開口と挟み金具が円形である場合には、挟み金具を壁材の裏面に設置することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、器具が取り付けられる板状部材の裏面側にねじの先端を突出させることなく、かつ板状部材の裏面側の空間が狭い場合でも器具を取り付けることができる器具固定構造を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明に係る器具固定構造の構成上の特徴は、裏面側に所定の空間を有する板状部材(11)に設けられた開口(11a)に、器具(20)を取り付けるための器具固定構造(A)であって、板状部材の表面における開口の縁部に配置され器具が固定される被固定部材(15)と、板状部材の裏面に当接する裏面片(13c)と、裏面片の端部から開口を通って板状部材の表面側に延びる連結片(13a)と、連結片の端部から被固定部材の表面側に延び被固定部材に対向し、押圧用ねじ穴(14a)を有する表面片(13b)とからなる保持部材(13)と、押圧用ねじ穴に螺合し先端部で被固定部材を押圧することにより被固定部材と保持部材を板状部材に固定する押圧ねじ(18b)とを備えたことにある。
【0008】
本発明に係る器具固定構造には、被固定部材と、裏面片、連結片および押圧用ねじ穴を備えた表面片とからなり側方視がコ字状になった保持部材と、押圧用ねじ穴に螺合できる押圧ねじが備わっている。そして、被固定部材を板状部材の表面における開口の縁部に配置するとともに、被固定部材の表面と板状部材の裏面を表面片と裏面片で挟むようにして開口に保持部材を配置し、押圧ねじを押圧用ねじ穴に螺入させてその先端部で被固定部材を押圧することにより、被固定部材と保持部材を板状部材に保持している。また、器具は板状部材の表面側で被固定部材に固定される。
【0009】
このため、押圧ねじの先端部が板状部材の裏面側に突出することはない。また、被固定部材を用いるため、押圧ねじの先端部が板状部材に接触して板状部材が傷付くこともない。さらに、板状部材の裏面側に位置するのは裏面片だけになるため、保持部材の少なくとも裏面片を薄肉に形成することにより、板状部材の裏面側の空間が狭くても板状部材への器具の取付けが可能になる。この場合、保持部材を開口の中央側に位置させたのちに、周面側に移動させることにより容易に設置できる。なお、本発明に係る板状部材に備わった開口は、板状部材の中央部に形成されたものに限らず、板状部材の縁部に形成された切欠き部も含むものとする。
【0010】
本発明に係る器具固定構造の他の構成上の特徴は、器具にねじ挿通穴(23b,24a)を備えた被固定部(22)が備わって、被固定部材に取付用ねじ穴部(16,16a,18c)が設けられ、器具が、取付用ねじ穴部と取付用ねじ穴部に螺合する取付ねじ(18a)で被固定部材に固定されることにある。
【0011】
本発明によると、器具と被固定部材を固定する取付ねじの位置を、被固定部材と保持部材を固定する押圧ねじの位置から離すことができるため、各部材の取付け操作が容易になる。また、器具を被固定部材に強固に固定できる。なお、本発明に係る取付用ねじ穴部は、雌ねじであってもよいし、被固定部材に形成された穴と、その穴に設置された雌ねじを備えた部材とで構成してもよい。
【0012】
本発明に係る器具固定構造のさらに他の構成上の特徴は、被固定部材における押圧ねじの先端部で圧接される部分に位置決め用凹部(16b)を形成したことにある。
【0013】
本発明によると、押圧ねじの先端部が位置決め用凹部から外れ難くなるため、被固定部材が位置ずれすることなく、保持部材と被固定部材を板状部材に保持することが可能となる。
【0014】
本発明に係る器具固定構造のさらに他の構成上の特徴は、表面片を連結片の表面側縁部の両側にそれぞれ設けて、連結片の表面側部分における2つの表面片の間に切欠き部(14)を形成するとともに、被固定部材に、両側が切欠き部の両側縁部に係合できる突部(15c,16c)を形成したことにある。
【0015】
本発明によると、被固定部材が連結片の表面側に形成された切欠き部に係合するので、被固定部材は、表裏方向には移動できるが、左右方向への移動は規制される。したがって、被固定部材が左右方向に位置ずれすることなく、保持部材と被固定部材を板状部材に保持することが可能となる。なお、本発明に係る切欠き部と突部は、互いに係合できるものであればどのような形状になっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る器具固定構造を示した斜視図である。
図2】コンセント装置が取り付けられる開口を備えたバックガードを示した斜視図である。
図3】コンセント装置の分解斜視図である。
図4】保持部材を内面側から見た状態を示した斜視図である。
図5】保持部材を外面側から見た状態を示した斜視図である。
図6】コンセント固定部材を表面側から見た状態を示した斜視図である。
図7】コンセント固定部材を裏面側から見た状態を示した斜視図である。
図8】保持部材にコンセント固定部材を組み付けた状態を示した斜視図である。
図9】バックガードの開口縁部に保持部材とコンセント固定部材を固定した状態を示した斜視図である。
図10】ケース本体に組み付けられたコンセントをバックガードに取り付ける状態を示した斜視図である。
図11】をバックガードにコンセント装置を取り付けた状態を示した正面図である。
図12図11の12−12断面図である。
図13図11の13−13断面図である。
図14図11の14−14断面図である。
図15図12の15−15断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る器具固定構造Aを示している。なお、以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、図1に基づいたものとじ、図1の前方側やや斜め右方向が前方、後方側やや斜め左方向が後方、左側やや斜め前方が左方向、右側やや斜め後方が右方向であるとする。器具固定構造Aは、シンク、水栓金具、調理用コンロを備えたハイバックカウンター式のキッチンシステム(図示せず)のカウンター10(図2参照)の奥側に一体に形成されたバックガード11にコンセント装置20を取り付けて構成されている。
【0018】
このバックガード11は、垂直板状の壁面部であり、本発明に係る板状部材を構成する。また、システムキッチンは、主として建築の壁面に沿って配置されるため、バックガード11の裏面側には、バックガード11と建築の壁面との間に奥行きの狭い(例えば、4mm程度)空間部が形成されている。バックガード11の中央部分には、前後に貫通する四角形の開口11aが形成されている。そして、バックガード11の裏面側の空間部には、基端部が電源に接続された配線12が通っておりその先端部が開口11aまで延びている。
【0019】
コンセント装置20は、コンセントケース21とコンセント27で構成されている。コンセントケース21は、ケース本体22と、カバー26を備えており、図3に示した、一対の保持部材13と、一対のコンセント固定部材15と、それぞれ一対のウレタンパッキン17a,17bと、2個の取付ねじ18aと、4個の押圧ねじ18bと、2個の六角ナット18cを用いてバックガード11に固定される。ケース本体22は、樹脂の成形体からなっており、略矩形枠状のベース部22aの内側に、前方に盛り上がった箱状台部22bを形成して構成されている。また、ベース部22aの後面における内周側には、周面に沿った凹部22c(図12ないし図15参照)が形成されている。
【0020】
箱状台部22bの中央部分から下部にかけての部分はコンセント設置部23で構成され、その上側部分は、コンセント設置部23よりも少し後方に凹んだ凹面部24と、コンセント設置部23よりも少し前方に突出したカバー支持部25で構成されている。コンセント設置部23の前面の中央部から上部側にかけての部分には前後に貫通する四角形の窓部23aが形成され、下部における左右方向の中央部分にねじ挿通穴23bが形成されている。凹面部24は、正面視による形状が両側よりも中央側が高くなったアーチ状に湾曲した凹部で構成されており、左右方向の中央上部にねじ挿通穴24aが形成されている。また、カバー支持部25の左右両側面には、それぞれ側方に向かって突出する軸方向の長さが短い円柱状の一対の支軸25aが形成されている。
【0021】
カバー26は、一対の支軸25aに回転可能に取り付けられて、ケース本体22の箱状台部22bを開閉するもので、前面部26aと、左右一対の側面部26bを備えた断面形状が略コ字状の部材で構成されている。前面部26aは、箱状台部22bのカバー支持部25を除いた部分の前面を覆える形状に形成され、一対の側面部26bはそれぞれ箱状台部22bの側面を覆える形状に形成されている。また、両側面部26bの内面上部(図1の状態では下部)に、挿し込み用の開口を備えた軸受け部26cがそれぞれ形成されている。このカバー26は、軸受け部26cの開口に支軸25aを入れた状態で支軸25aに回転自在に支持される。
【0022】
ウレタンパッキン17a,17bは、ベース部22aの後面に形成された凹部22cに配置されて、ケース本体22と、バックガード11の間でクッションとして機能するもので、ウレタンパッキン17aは、凹部22cの左右にそれぞれ配置され、ウレタンパッキン17bは、凹部22cの上下にそれぞれ配置される。また、コンセント27は、略四角箱状に形成されたコンセント本体27aの前面中央に差込面形成部27bを突出させるとともに、コンセント本体27aの前面の上下からそれぞれ上下方向に台形板状の突出片28を突出させて構成されており、各突出片28にはそれぞれねじ挿通穴28aが形成されている。差込面形成部27bは、コンセント設置部23の窓部23aに挿入できる大きさに形成され、2つのねじ挿通穴28aの間隔は、ねじ挿通穴23bとねじ挿通穴24aの間隔と同じに設定されている。
【0023】
一対の保持部材13はバックガード11の開口11aの縁部に組み付けられ、コンセント固定部材15を介してコンセント装置20を固定するもので、同じ形状に形成されている。各保持部材13は、図4及び図5に示したように、水平に配置される連結片13a(図9参照)と、連結片13aと直交して連結片13aの前部(図4及び図5では上部)の両側に形成された一対の表面片13bと、連結片13aと直交して連結片13aの後部に形成された裏面片13cと、連結片13aの左右に形成された一対の位置決め片13dとで構成されている。一対の表面片13bと裏面片13cは、それぞれ連結片13aの前後の縁部から上下方向の同じ方向に平行して延びている。なお、保持部材13は、厚さ1.6mmの金属板を折り曲げて成形されている。
【0024】
連結片13aは、前部の左右方向の長さが後部の左右方向の長さよりも長くなった段違いの板状に形成されている。また、連結片13aの前部の中央には縁部の形状がコ字状になった切欠き部14が形成されている。一対の表面片13bは、正面視が略正方形の板状に形成され中央部にそれぞれ前後に貫通する押圧用ねじ穴14aが形成されている。裏面片13cは、前方から見ると、一対の表面片13bの間に位置する略長方形の板状に形成され、上下方向の長さは、表面片13bよりも少し長くなっている。一対の位置決め片13dは、弾性を備えた細長い板状に形成されており、連結片13aの左右両側から表面片13bおよび裏面片13cが延びる上下の方向と反対側で、互いの間隔を広げるようにして上下の斜め方向に延びている。
【0025】
一対のコンセント固定部材15は、一対の保持部材13によってバックガード11の開口11aの周縁部に組み付けられるとともに、コンセント装置20が固定されるものであり、本発明に係る被固定部材を構成する。各コンセント固定部材15は、図6および図7に示したように、左右方向の中央に位置するコンセント固定部15aと、コンセント固定部15aの左右両側にそれぞれ形成された一対の被保持部15bと、コンセント固定部15aの上下方向の一方に形成された係合突部15cとで構成されている。このコンセント固定部材15の左右の長さは、一対の表面片13bの左右の外側端部間の長さと略同じになっている。
【0026】
コンセント固定部15aは、左右の長さが一対の表面片13bの内側端部間の長さと略同じで、上下の長さが表面片13bと略同じになっており、前面(図6の上面)の略中央部から後面(図7の上面)の略中央部に取付用ねじ挿通穴16が形成されている。この取付用ねじ挿通穴16は前部は横方向に長い長穴に形成し、後部は、横方向に長い六角形の係止穴16aで構成されている。六角形の係止穴16aには、取付けねじ18aに螺合する六角ナット18cが挿入される。係止穴16aの上下の間隔は、六角ナット18cの対辺の間隔よりも若干大きく形成され、取付けねじ18aが六角ナット18cに螺入したとき、六角ナット18cが回転することを防止する。このように、横方向に長い取付け用ねじ挿通穴16を構成することで、取付けねじ18aを六角ナット18cに螺合しやすいとともに、ケース本体22およびコンセント27を取り付けた後、左右方向の位置を微調整することができる。
【0027】
各被保持部15bは、それぞれ正面視が表面片13bと略同じで前後の長さが連結片13aの前部と略同じになっており、それぞれの前面に円形の位置決め用凹部16bが形成されている。この位置決め用凹部16bの直径は、押圧ねじ18bの先端部を挿入できる長さに設定されている。また、各被保持部15bの前面は、コンセント固定部15aの前面より、少なくとも表面片13bの板厚以上、後方に位置しており、コンセント固定部15aの前面と各被保持部15bの前面の間には段差が形成されている。なお、コンセント固定部15aはABS等の樹脂で形成されている。
【0028】
係合突部15cは、コンセント固定部15aの左右方向の中央部分から上下方向の一方に少し突出しており、連結片13aの切欠き部14に係合できる大きさに形成されている。また、係合突部15cの端面(図6の前面)の左右両側における前部側部分には、それぞれ前後に延びる突条16cが形成されており、このためコンセント固定部15aと突条16cの間には溝状の凹部が形成されている。このように構成されたコンセント固定部材15は、図8に示したように、係合突部15cを切欠き部14に係合させて、保持部材13に組み付けられる。このとき、コンセント固定部15aと突条16cの間に形成された溝状の凹部に、切欠き部14の両縁部が入り込むことで、コンセント固定部材15は、保持部材13から外れることを防止する。
【0029】
そして、一方の保持部材13とコンセント固定部材15は、表面片13bを下方に向けて前方に位置させ、裏面片13cを下方に向けて後方に位置させた状態で、連結片13aを、開口11aの周面の下部に接面させて配置される。また、他方の保持部材13とコンセント固定部材15は、表面片13bを上方に向けて前方に位置させ、裏面片13cを上方に向けて後方に位置させた状態で、連結片13aを、開口11aの周面の上部に接面させて配置される。
【0030】
位置決め片13dは、連結片13aの左右に形成され、表面片13cおよび裏面片13bとは反対側に形成されている。位置決め片13dは、その先端が開口11aの内周面に当接できるよう互いの間隔を広げながら、保持部材の左右方向に向かって延びている。位置決め片13dの先端が開口11aの内周面に当接できるので、保持部材13の位置を容易に決めることができる。特に、本実施例のように、矩形に形成された開口に上下2つの保持部材13を取り付ける場合、位置決め片13dを開口の片方の辺に当接させることで、保持部材13で保持されたコンセント固定部材15のコンセント固定部15aの左右位置を容易に決めることができる。なお、位置決め辺13dは、開口の対向する各辺に当接できるように形成してもよいし、片方だけの辺に当接できるように形成してもよい。
【0031】
以上のように各部材が構成されたコンセント装置20をバックガード11の開口11aに取り付けるには、まず、各コンセント固定部材15を各保持部材13に組み付けるとともに、コンセント固定部材15の裏面に形成された係止穴16aの内部に六角ナット18cを回転できない状態で挿入しておく。この係止穴16a、六角ナット18cおよび取付用ねじ挿通穴16で、本発明に係る取付用ねじ穴部が構成される。つぎに、図9に示したように、一方の保持部材13とコンセント固定部材15を開口11aの周面の下部に配置し、他方の保持部材13とコンセント固定部材15を開口11aの周面の上部に配置して、それぞれを2個の押圧ねじ18bで仮固定する。
【0032】
この場合、各押圧ねじ18bを、それぞれ保持部材13の押圧用ねじ穴14aに螺合させて、押圧ねじ18bの先端部を位置決め用凹部16b内に入れた状態で、保持部材13とコンセント固定部材15に位置ずれが生じない程度に締め付ける。ついで、コンセント27の裏面に形成された配線接続部(図示せず)に配線12の先端部を接続したのちに、コンセント27を後部側から一対のコンセント固定部材15間に差し込んで位置合わせし、4個の押圧ねじ18bをきつく締める。これによって、裏面片13cがバックガード11の裏面に圧接し、コンセント固定部材15がバックガード11の表面に圧接した状態で、各保持部材13とコンセント固定部材15は、バックガード11に固定される。
【0033】
つぎに、コンセント27を、一旦コンセント固定部材15から外して、窓部23a内に差込面形成部27bを入れるようにしてコンセント27にケース本体22を組み付けるとともに、ウレタンパッキン17a,17bをケース本体22の凹部22cに設置する。その状態で、図10に示したように、ケース本体22が組み付けられたコンセント27を、再度、一対のコンセント固定部材15間に差し込む。
【0034】
そして、2個の取付ねじ18aの一方を、ケース本体22のねじ挿通穴24aとコンセント27のねじ挿通穴28aと上側のコンセント固定部材15の取付用ねじ挿通穴16に通して、係止穴16a内に設置されている六角ナット18cに螺合させる。同様に、他方の取付ねじ18aを、ケース本体22のねじ挿通穴23bとコンセント27のねじ挿通穴28aと下側のコンセント固定部材15の取付用ねじ挿通穴16に通して、係止穴16a内の六角ナット18cに螺合させることにより、ケース本体22を一対のコンセント固定部材15に固定する。
【0035】
これによって、コンセント27は、一対のコンセント固定部材15に固定され、差込面形成部27bの前面は、コンセント設置部23の前面と略同一面上に位置する。つぎに、カバー26をケース本体22に前方から押し付けて、軸受け部26c内に支軸25aを入れることにより、図1に示した器具固定構造Aを得ることができる。なお、カバー26は、支軸25aを中心として回転可能になっており、図1は、カバー26が上方に回転した状態を示している。
【0036】
つぎに、図11ないし図15を用いて、器具固定構造Aの要部を説明する。これらの図は、保持部材13とコンセント固定部材15を用いてケース本体22をバックガード11に固定した状態を示している。図11は、上下2組の保持部材13とコンセント固定部材15を用いてバックガード11に固定されたケース本体22(内部を示すため図11では二点鎖線で表している。)を正面から見た状態を示しており、図12ないし図15は、その各部分の断面を示している。なお、図12図15はコンセント27とケース本体22を一体化したものを示している。
【0037】
図12は、器具固定構造Aの上下方向の中央部分である図11の12−12断面を下方から見た図であり、保持部材13とコンセント固定部材15が開口11aの周面の上面に取り付けられている。また、図13は、上部側の保持部材13とコンセント固定部材15の上下方向の中央部分である図11の13−13断面を下方から見た図であり、保持部材13とコンセント固定部材15が押圧ねじ18bによってバックガード11に固定され、ケース本体22が取付ねじ18aによってコンセント固定部材15に固定されている。
【0038】
図14は、上部側の保持部材13とコンセント固定部材15の左右方向の中央部分である図11の14−14断面を左側から見た図であり、ケース本体22が取付ねじ18aと六角ナット18cによってコンセント固定部材15に固定されている。そして、図15は、上部側の保持部材13とコンセント固定部材15の左右方向の右側部分である図12−12断面を左側から見た図であり、保持部材13とコンセント固定部材15が押圧ねじ18bによってバックガード11に固定されている。
【0039】
図13、14に示すように、バックガード11の表面にコンセント固定部材15を配置して、コンセント27(図14参照)とケース本体22を固定している。このため、コンセント固定部15aの表面を、ケース本体22を固定するための基準面とすることができ、ケース本体22の厚さ設計が容易になる。すなわち、バックガード11の表面からコンセント固定部15aの表面までの距離が常に一定であるため、ケース本体22とバックガード11との間に隙間が生じないように設計することが容易となる。
【0040】
図15に示すように、保持部材13aの表面片13bと裏面片13cの間隔は、バックガード11の厚さとコンセント固定部材15の被保持部15bの厚さの和よりも大きい。すなわち、裏面片13cが板状部材11の裏面に当接した状態で、表面片13bの裏面と被保持部15bの前面との間に隙間を設けている。このように構成することで、厚みが異なるバックガード11であってもコンセント固定部材15をバックガード11に保持させることができる。
さらに、コンセント固定部材15を介して押圧ねじ18bを締め付けるので、押圧ねじ18bがバックガード11に直接当接することを防ぐことができる。すなわち、バックガード11に傷が付くことを防止できる。
【0041】
また、押圧ねじ18bの軸部が挿入できる位置決め用凹部16bを設けることで、コンセント保持部材15が保持部材13から左右方向にずれることを防止できる他、押圧ねじ18bが保持部材13の表面片13bから突出する量を少なくすることができる。なお、位置決め用凹部16bの深さは、押圧ねじ18bのねじ頭が表面片13bに当たっても、コンセント固定部材15を板上部材11に押圧できる深さに設定されている。
【0042】
このように、保持部材13とコンセント固定部材15を用いることにより、ケース本体22を適正な状態(後述する問題がない状態)で、バックガード11に固定することができる。例えば、ケース本体22をバックガード11に固定するだけであれば、コンセント固定部材15と取付ねじ18aを省略して、押圧ねじ18bで、保持部材13とケース本体22をバックガード11に固定することもできる。しかしながら、これによると、バックガード11の厚みが異なると、ケース本体22の固定ができない場合が生じてくる。
【0043】
すなわち、バックガード11の表面に当接するケース本体22の周縁部と、押圧ねじ18bの頭部に当接するケース本体22のねじ挿通穴の周縁部との前後方向の距離が一定であるのに対し、押圧ねじ18bの螺合による移動量はバックガード11の厚みによって変わってくるためである。このため、コンセント固定部材15を省略すると、バックガード11の厚みに応じて保持部材13もその厚みに応じた大きさのものに取り換える必要が生じるが、本発明に係る実施形態によると、バックガード11の厚みに拘わらず、同じ保持部材13とコンセント固定部材15を用いることができる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る器具固定構造Aには、ケース本体22が固定されるコンセント固定部材15と、連結片13a、表面片13bおよび裏面片13cからなる保持部材13が備わっている。そして、バックガード11の表面における開口11aの縁部に配置されるコンセント固定部材15とバックガード11を挟んだ状態で開口11aに保持部材13を配置し、押圧ねじ18bを表面片13bの押圧用ねじ穴14aに螺合させてその先端部でコンセント固定部材15を押圧することにより、コンセント固定部材15と保持部材13をバックガード11に固定している。
【0045】
このため、押圧ねじ18bの先端部がバックガード11の裏面側に突出したり、押圧ねじ18bの先端部がバックガード11に当接してバックガード11が傷付いたりすることがない。さらに、バックガード11の裏面側に位置するのは裏面片13cだけになるため、バックガード11の裏面側の空間が狭くてもバックガード11へのコンセント装置20の取付けが可能になる。また、保持部材13は、側方視による形状がコ字状に形成されて、開口11aの表面側縁部、周面および裏面側縁部に引っかけるように設置されるものであるため、開口11aの形状が円形以外であっても、取り付けが可能であるとともに、その取り付けの操作も容易になる。
【0046】
さらに、コンセント固定部材15における押圧ねじ18の先端部に圧接される部分に位置決め用凹部16bを形成したため、コンセント固定部材15が位置ずれして、保持部材13がバックガード11から外れたり、コンセント固定部材15やコンセント装置20ががたついたりすることが防止される。また、保持部材13の連結片13aに切欠き部14を形成して、コンセント固定部材15に係合突部15cと突条16cを形成し、切欠き部14の両側縁部に係合突部15cと突条16cを係合させたため、コンセント固定部材15が保持部材13から外れることが防止される。
【0047】
本発明に係る器具固定構造は、前述した実施形態に限定するものでなく適宜変更して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、本発明に係る器具をコンセント装置20としているが、この器具は、水栓や照明器具などキッチンや浴室の壁面やカウンターに設置されるものであればなんでもよい。また、前述した実施形態では、コンセント固定部材15と保持部材13を、それぞれ開口11aの上下の縁部に固定しているが、これらの部材は開口11aの左右の縁部に固定してもよい。
【0048】
さらに、開口11aの形状は四角形に限らず、円形や三角形、又は五角形以上の多角形でもよく、その場合、コンセント固定部材15と保持部材13の数や設置場所は、開口11aの形状に応じて任意に設定できる。開口11aが設けられる場所も、バックガード11等の中央側部分に限らず、縁部に沿った部分にして開口11aを切欠き部で構成することもできる。さらに、前述した実施形態では、コンセント固定部材15に係止穴16aを含む取付用ねじ挿通穴16を設けて、係止穴16a内に六角ナット18cを設置しているが、六角ナット18cは用いず、取付用ねじ挿通穴16をねじ穴で構成してもよい。また、器具固定構造Aを構成するそれ以外の部分の構成についても、本発明の技術的範囲で適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0049】
11…バックガード、11a…開口、13…保持部材、13a…連結片、13b…表面片、13c…裏面片、14…切欠き部、14a…押圧用ねじ穴、15…コンセント固定部材、15c…係合突部、16…取付用ねじ挿通穴、16a…係止穴、16b…位置決め用凹部、16c…突条、18a…取付ねじ、18b…押圧ねじ、18c…六角ナット、20…コンセント装置、22…ケース本体、23b,24a…ねじ挿通穴、A…器具固定構造。
図1
図2
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図10
図11
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図15