特開2015-154613(P2015-154613A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-154613(P2015-154613A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】変圧装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20150728BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20150728BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
   H02J1/00 306B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-26809(P2014-26809)
(22)【出願日】2014年2月14日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 剛史
【テーマコード(参考)】
5G065
5H730
【Fターム(参考)】
5G065EA01
5G065FA05
5G065HA01
5H730AA14
5H730AS05
5H730AS17
5H730BB13
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】出力端子対から内部に電圧が入力されることを防止することができる変圧装置の提供。
【解決手段】DCDCコンバータ20は、入力端子T1,T2間に印加された電圧を目標電圧に変圧し、目標電圧を出力端子T3,T4から出力する。電圧検出部25はDCDCコンバータ20が出力する電圧を検出する。制御部24は、DCDCコンバータ20が変圧を開始するに先立って、DCDCコンバータ20と出力端子T3との間に接続されているスイッチ21をオフにする。制御部24は、電圧検出部25が検出した電圧が目標電圧に到達した場合にスイッチ21をオンにする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子対間に印加された電圧を目標電圧に変圧し、該目標電圧を出力端子対から出力する変圧回路を備える変圧装置において、
前記変圧回路が出力する電圧を検出する電圧検出手段と、
前記変圧回路と前記出力端子対中の一方との間に接続されているスイッチと、
前記変圧回路が変圧を開始するに先立って前記スイッチをオフにするオフ手段と、
前記電圧検出手段が検出した電圧が前記目標電圧に到達した場合に前記スイッチをオンにするオン手段と
を備えることを特徴とする変圧装置。
【請求項2】
前記目標電圧を変更する変更手段と、
該変更手段が前記目標電圧を変更する場合に前記スイッチをオフにする第2のオフ手段と、
前記電圧検出手段が検出した電圧が、前記変更手段によって変更された前記目標電圧に到達した場合に前記スイッチをオンにする第2のオン手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の変圧装置。
【請求項3】
前記変圧回路が電圧を出力する一対の出力端中の一方に、その一端が接続してある第2のスイッチと、
該第2のスイッチの他端及び前記一対の出力端中の他方間に接続されているコンデンサと、
前記変圧回路が前記出力端子対へ電圧を出力しているか否かを判定する判定手段と、
前記変圧回路が変圧を開始する場合に前記第2のスイッチをオンにする第3のオン手段と、
前記オン手段が前記スイッチをオンにした後、前記判定手段が前記変圧回路から前記出力端子対へ電圧を出力していると判定した場合に前記第2のスイッチをオフにする第3のオフ手段と
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の変圧装置。
【請求項4】
前記変更手段が前記目標電圧を変更する場合に前記第2のスイッチをオンにする第4のオン手段と、
前記第2のオン手段が前記スイッチをオンにした後、前記判定手段が前記変圧回路から前記出力端子対へ電圧を出力していると判定した場合に前記第2のスイッチをオフにする第4のオフ手段と
を備えることを特徴とする請求項3に記載の変圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力端子対間に印加された電圧を変圧し、変圧した電圧を出力端子対から出力する変圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの車両には、車両が減速する場合に運動エネルギーを交流の回生電力に変換し、変換した交流の回生電力を直流の回生電力に整流する発電機が搭載されている。この発電機は、整流した直流の回生電力に係る直流電圧を出力電圧として蓄電器に印加し、蓄電器を充電する。
【0003】
以上のように、発電機が発生した回生電力を蓄電器に充電する電源システムとして、入力端子対間に印加された発電機の出力電圧を変圧し、変圧した電圧を出力端子対から蓄電器に印加する変圧装置を備える電源システムがある。このような変圧装置では、入力端子対間の電圧が出力端子対間の電圧よりも低い状態で変圧を開始する可能性がある。この場合、変圧装置内部において、発電機が蓄電器を充電しているときに流れる電流の向きとは逆方向に電流が流れ、蓄電器の出力電圧が入力端子対から発電機に向けて出力される虞がある。
【0004】
この電流の逆流を防止する変圧装置が特許文献1に開示されている。この変圧装置は発電機の出力電圧を変圧する変圧回路を備え、入力端子対中の一方と変圧回路との間にスイッチが接続されており、スイッチの両端間にダイオードが接続されている。このダイオードは、発電機が蓄電器を充電している場合に順方向の電流が流れるように接続されている。
【0005】
特許文献1に記載の変圧装置では、スイッチをオフにした状態で変圧を開始する。このとき、ダイオードによって、電流の逆流が防止され、蓄電器は発電機によって適正に充電される。装置内部において、発電機が蓄電器を充電している場合に流れるべき方向に電流が安定して流れ続けた場合にスイッチをオンにする。これにより、ダイオードでの電圧降下によって生じる消費電力を削減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−22077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の変圧装置では、変圧を開始する場合、出力端子対から蓄電器へ出力する電圧を徐々に上昇させる。このため、特許文献1に記載の変圧装置では、変圧を開始する時点で、出力端子対間の電圧が蓄電器の出力電圧よりも低い可能性がある。この場合、出力端子対から装置内部に蓄電器の出力電圧が入力され、蓄電器が蓄えた電力が無駄に消費されるという問題がある。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出力端子対から内部に電圧が入力されることを防止することができる変圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る変圧装置は、入力端子対間に印加された電圧を目標電圧に変圧し、該目標電圧を出力端子対から出力する変圧回路を備える変圧装置において、前記変圧回路が出力する電圧を検出する電圧検出手段と、前記変圧回路と前記出力端子対中の一方との間に接続されているスイッチと、前記変圧回路が変圧を開始するに先立って前記スイッチをオフにするオフ手段と、前記電圧検出手段が検出した電圧が前記目標電圧に到達した場合に前記スイッチをオンにするオン手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、変圧回路と出力端子対中の一方との間にスイッチが接続されており、変圧回路は、入力端子対間に印加された電圧を目標電圧に変圧し、該目標電圧を出力端子対から出力する。変圧回路が変圧を開始するに先立ってスイッチをオフにする。変圧回路から出力する電圧を検出している。検出した電圧が目標電圧に到達した場合、スイッチをオンにし、出力端子対から目標電圧を、例えば出力端子対間に接続している蓄電器に出力する。
【0011】
従って、変圧回路の出力電圧が、蓄電器の出力電圧以上である目標電圧に到達するまで、スイッチはオフにされているため、出力端子対から内部に電圧が入力されることが防止される。そして、出力端子対間に蓄電器が接続されている場合には、蓄電器が蓄えた電力の無駄な消費が防止される。
【0012】
本発明に係る変圧装置は、前記目標電圧を変更する変更手段と、該変更手段が前記目標電圧を変更する場合に前記スイッチをオフにする第2のオフ手段と、前記電圧検出手段が検出した電圧が、前記変更手段によって変更された前記目標電圧に到達した場合に前記スイッチをオンにする第2のオン手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、変圧回路が変圧を行っている状態で目標電圧を、例えば、現在設定されている電圧よりも高い電圧に変更する場合、スイッチをオフにする。そして、変圧回路が出力している電圧が変更後の目標電圧になって、検出した電圧が、変更後の目標電圧に到達した場合にスイッチをオンにする。これにより、安定した電圧が出力端子対から出力される。
【0014】
本発明に係る変圧装置は、前記変圧回路が電圧を出力する一対の出力端中の一方に、その一端が接続してある第2のスイッチと、該第2のスイッチの他端及び前記一対の出力端中の他方間に接続されているコンデンサと、前記変圧回路が前記出力端子対へ電圧を出力しているか否かを判定する判定手段と、前記変圧回路が変圧を開始する場合に前記第2のスイッチをオンにする第3のオン手段と、前記オン手段が前記スイッチをオンにした後、前記判定手段が前記変圧回路から前記出力端子対へ電圧を出力していると判定した場合に前記第2のスイッチをオフにする第3のオフ手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、第2のスイッチの一端は、変圧回路が電圧を出力する一対の出力端中の一方に接続され、コンデンサは、第2のスイッチの他端と、一対の出力端中の他方との間に接続されている。変圧回路が変圧を開始する場合、第2のスイッチをオンにする。従って、変圧回路が変圧を開始すると共にコンデンサは充電される。
目標電圧を出力端子対から出力するためにスイッチをオンにした場合、出力端子対から、例えば出力電圧が出力端子間の電圧よりも低い蓄電器へ電圧が出力される。このとき、電流が変圧回路からだけではなく、コンデンサからも蓄電器へ流れるので、スイッチがオンになった場合における出力端子対間の電圧の低下が抑制される。
【0016】
スイッチをオンにした後、変圧回路から出力端子対へ電圧を出力していると判定した場合、第2のスイッチをオフにする。これにより、コンデンサが蓄えた電力の無駄な消費が防止される。
【0017】
本発明に係る変圧装置は、前記変更手段が前記目標電圧を変更する場合に前記第2のスイッチをオンにする第4のオン手段と、前記第2のオン手段が前記スイッチをオンにした後、前記判定手段が前記変圧回路から前記出力端子対へ電圧を出力していると判定した場合に前記第2のスイッチをオフにする第4のオフ手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、目標電圧を変更する場合、第2のスイッチをオンにする。その後、スイッチをオンにした場合において、蓄電器の出力電圧が出力端子対間の電圧よりも低いとき、電流が変圧回路からだけではなく、コンデンサからも蓄電器へ流れる。このため、スイッチがオンになった場合における出力端子対間の電圧の低下が抑制される。
スイッチをオンにした後、変圧回路から出力端子対へ電圧を出力していると判定した場合、第2のスイッチをオフにする。これにより、コンデンサが蓄えた電力の無駄な消費が防止される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、出力端子対から内部に電圧が入力されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】変圧装置の回路図である。
図3】変圧装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図4】実施の形態2における変圧装置の回路図である。
図5】実施の形態3における変圧装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。この電源システム1は、車両に好適に搭載されており、変圧装置10、発電機11、第1蓄電器12、負荷13及び第2蓄電器14を備える。変圧装置10は入力端子T1,T2及び出力端子T3,T4を有する。
入力端子T1,T2を入力端子対として機能し、出力端子T3,T4は出力端子対として機能する。
【0022】
変圧装置10について、入力端子T1は、発電機11の一端、第1蓄電器12の正極及び負荷13の一端に接続され、入力端子T2は、発電機11の他端、第1蓄電器12の負極及び負荷13の他端に接続されている。更に、変圧装置10について、出力端子T3は第2蓄電器14の正極に接続され、出力端子T4は第2蓄電器14の負極に接続されている。
【0023】
発電機11は、車両が減速する場合に、車両の運動エネルギーを交流の回生電力に変換し、変換した交流の回生電力を直流の回生電力に整流する。発電機11は、整流した回生電力に係る直流電圧を、出力電圧として、第1蓄電器12と、負荷13と、変圧装置10の入力端子T1,T2間とに印加する。
【0024】
第1蓄電器12は例えば鉛蓄電池である。発電機11の出力電圧は第1蓄電器12の出力電圧よりも高い。このため、発電機11が発電している場合、第1蓄電器12には発電機11の出力電圧が印加され、第1蓄電器12は発電機11が発生させた電力を蓄える。発電機11が発電を停止している場合、第1蓄電器12の出力電圧が負荷13と、入力端子T1,T2間とに印加される。
負荷13は、車両に搭載されるワイパー又はライト等の電気機器である。負荷13は、発電機11又は第1蓄電器12の出力電圧が印加された場合に給電される。
【0025】
変圧装置10は、入力端子T1,T2間に印加された電圧、即ち、発電機11又は第1蓄電器12の出力電圧を目標電圧に降圧(変圧)し、目標電圧を出力端子T3,T4から第2蓄電器14に印加する。
第2蓄電器14は電気二重層キャパシタ又はリチウムイオン電池等である。第2蓄電器14には、変圧装置10が出力端子T3,T4から出力した電圧が印加され、第2蓄電器14は充電される。例えば、第2蓄電器14に並列に図示しない負荷が接続されている場合、第2蓄電器14が蓄えている電力は前記負荷に供給される。
【0026】
変圧装置10には、第2蓄電器14への充電を指示する充電指示と、第2蓄電器14への充電の停止を指示する停止指示と、目標電圧の変更を指示する電圧変更指示とが入力される。
【0027】
充電指示は、例えば、発電機11が回生電力を発生することが可能である場合に、図示しない外部装置から変圧装置10に入力される。外部装置は、回生電力を発生することが可能であるか否かを、電源システム1が搭載されている車両の図示しないアクセルペダル及びブレーキペダル夫々の踏み込み量、並びに、車速等に基づいて判断する。外部装置は、例えば、アクセルペダルが踏み込まれておらず、かつ、ブレーキペダルが踏み込まれている状態で車速が低下している場合に回生電力をことが可能であると判断する。
【0028】
停止指示は、車両のイグニッションスイッチがオフになった場合、車両が加速している場合又は第2蓄電器14が満充電ある場合等に外部装置から変圧装置10に入力される。
電圧変更指示は、例えば、急速に第2蓄電器14を充電する場合において、目標電圧を現在設定されている電圧よりも高い電圧に変更するために、外部装置から変圧装置10に入力される。
【0029】
変圧装置10は、充電指示が入力された場合、入力端子T1,T2間に印加された電圧を目標電圧に変圧し、目標電圧を出力端子T3,T4から出力する。また、変圧装置10は、停止指示が入力された場合、変圧を停止する。更に、変圧装置10は、電圧変更指示が入力された場合、目標電圧を変更する。
【0030】
図2は変圧装置10の回路図である。変圧装置10は、入力端子T1,T2及び出力端子T3,T4に加えて、DCDCコンバータ20、スイッチ21,22、コンパレータ23、制御部24、電圧検出部25、タイマ26、コンデンサC1及び抵抗R1を有する。DCDCコンバータ20は一対の入力端と、一対の出力端とを有する。
【0031】
DCDCコンバータ20について、一対の入力端夫々に入力端子T1,T2が接続され、電圧が出力される一対の出力端の一方には、スイッチ21,22夫々の一方が接続されている。スイッチ22の他端と、DCDCコンバータ20における一対の出力端の他方との間にはコンデンサC1が接続されている。スイッチ22は第2のスイッチとして機能する。
【0032】
DCDCコンバータ20における一対の出力端の他方は、更に出力端子T4に接続されている。スイッチ21の他端は抵抗R1の一端とコンパレータ23のプラス端子とに接続され、抵抗R1の他端とコンパレータ23のマイナス端子とは出力端子T3に接続されている。このように、スイッチ21は、DCDCコンバータ20と、出力端子T3との間に接続されている。
【0033】
DCDCコンバータ20が有する一対の出力端には、電圧検出部25が各別に接続されている。制御部24は、DCDCコンバータ20、コンパレータ23の出力端子、電圧検出部25及びタイマ26に各別に接続されている。
【0034】
DCDCコンバータ20は、スイッチ30,31、コンデンサC2及びコイルL1を有する。スイッチ30の一端は、入力端子T1に接続され、スイッチ30の他端は、スイッチ31及びコイルL1夫々の一端に接続されている。コイルL1の他端は、スイッチ21,22及びコンデンサC2夫々の一端に接続されている。スイッチ31及びコンデンサC2夫々の他端は入力端子T2及び出力端子T4に接続されている。コンデンサC2の一端及び他端は電圧検出部25に各別に接続されている。
スイッチ21,22,30,31夫々はFET(Field Effect Transistor)、バイポーラトランジスタ又はリレー接点等であり、制御部24によってオン/オフされる。
【0035】
DCDCコンバータ20は、制御部24がスイッチ30,31の相補的なオン/オフを周期的に繰り返すことによって、入力端子T1,T2間に印加された電圧を目標電圧に降圧(変圧)する。DCDCコンバータ20は、スイッチ21がオンである場合、目標電圧を出力端子T3,T4から第2蓄電器14に向けて出力する。DCDCコンバータ20は変圧回路として機能する。
【0036】
制御部24は、スイッチ30がオンである場合にスイッチ31をオフにし、スイッチ30がオフである場合にスイッチ31をオンにすることによって、スイッチ30,31を相補的にオン/オフする。
制御部24がスイッチ30,31をオン及びオフにした場合、多量の電流が入力端子T1からスイッチ30を介してコイルL1に流れようとする。このとき、コイルL1は自身に流れる電流の量を維持するように作用するため、コイルL1に流れる電流の量は徐々に増加する。コイルL1に流れる電流の量が徐々に増加している間、入力端子T1,T2間に印加されている電圧から、コイルL1に流れる電流の量の傾きの大/小によって高/低に決まる電圧を引いた第1電圧がコンデンサC2の両端間に印加される。
【0037】
スイッチ30,31がオン及びオフである状態から、制御部24がスイッチ30,31をオフ及びオンにした場合、入力端子T1からコイルL1への電流の供給が停止する。このとき、コイルL1は自身に流れている電流の量を維持するように作用するため、コイルL1に流れる電流の量は徐々に低下し、コイルL1に流れる電流の量の傾きの大/小によって高/低に決まる第2電圧がコンデンサC2の両端間に印加される。第2電圧は、第1電圧よりも低い電圧である。
【0038】
コンデンサC2は1周期間中にコイルL1を介して印加されている電圧の平均電圧を、DCDCコンバータ20の出力電圧として出力する。従って、制御部24がスイッチ30,31をオン及びオフにして第1電圧がコンデンサC2の両端間に印加している期間が長ければ長い程、言い換えると、制御部24がスイッチ30,31をオフ及びオンにして第2電圧がコンデンサC2の両端間に印加している期間が短ければ短い程、DCDCコンバータ20の出力電圧は高い。制御部24は、1周期中にスイッチ30,31夫々がオンとなっている期間の割合、所謂デューティを調整することによってDCDCコンバータ20が出力する電圧を調整する。デューティはゼロ以上1以下の数値である。前述したように、制御部24はスイッチ30,31を相補的にオン/オフするので、スイッチ31のオン/オフに係るデューティは、1からスイッチ30のオン/オフに係るデューティを引いた値である。
【0039】
電圧検出部25は、DCDCコンバータ20が出力している電圧を検出し、検出した電圧を制御部24に通知する。電圧検出部25は電圧検出手段として機能する。
制御部24は、電圧検出部25が検出した電圧が目標電圧となるように、スイッチ30,31夫々のオン/オフに係るデューティを調整する。
【0040】
抵抗R1及びコンパレータ23は、スイッチ21を介して流れる電流の方向を検出する方向検出器として機能する。抵抗R1において、スイッチ21側の一端から出力端子T3側の他端に向けて、所定電流以上の電流が流れた場合、コンパレータ23のマイナス端子の電位を基準としてコンパレータ23のプラス端子に所定電圧以上の電圧が印加され、コンパレータ23はハイレベルの電圧を出力端子から制御部24に出力する。
【0041】
また、抵抗R1において、スイッチ21側の一端から出力端子T3側の他端に向けて、所定電流未満の電流が流れた場合、又は、出力端子T3側の他端からスイッチ21側の一端に向けて電流が流れた場合、コンパレータ23のマイナス端子の電位を基準としてコンパレータ23のプラス端子に所定電圧未満の電圧が印加される。このとき、コンパレータ23はローレベルの電圧を出力端子から制御部24に出力する。
【0042】
タイマ26は、制御部24の指示に従って、計時の開始及び終了を行う。タイマ26が計時した時間は制御部24によって読み込まれる。
【0043】
制御部24には充電指示、停止指示及び電圧変更指示が入力される。制御部24は、入力された充電指示、停止指示及び電圧変更指示と、電圧検出部25が検出した電圧と、タイマ26が計時した時間とに基づいて、DCDCコンバータ20の動作と、スイッチ21,22夫々のオン/オフとを制御する。
【0044】
図3は変圧装置10の動作を説明するためのタイミングチャートである。図3には、DCDCコンバータ20及び第2蓄電器14夫々の出力電圧の推移と、スイッチ30,31,21,22夫々のオン/オフの推移とが示されている。
以下では、変圧を停止している変圧装置10が、充電指示の入力によって、目標電圧として電圧V1を出力し、更に、目標電圧を電圧V1から、電圧V1よりも高い電圧V2への変更を指示する電圧変更指示の入力によって、電圧V2を出力する場合における具体的な変圧装置10の動作を説明する。
【0045】
制御部24は、停止指示が入力された場合、スイッチ30,31,21,22夫々をオフにし、充電指示が入力されるまで、スイッチ30,31,21,22のオフを維持している。このように、制御部24は、第2蓄電器14への充電を開始するためにDCDCコンバータ20に変圧を開始するに先立ってスイッチ21をオフにしている。制御部24はオフ手段として機能する。
【0046】
制御部24は、充電指示が入力された場合、スイッチ30,31の相補的なオン/オフを繰り返し、DCDCコンバータ20は入力端子T1,T2間に印加されている電圧を降圧する。更に、制御部24は、充電指示が入力されてDCDCコンバータ20が降圧を開始する場合、スイッチ22をオンにする。制御部24は第3のオン手段としても機能する。
【0047】
制御部24は、スイッチ21,22をオフ及びオンにしている状態で、スイッチ30,31の相補的なオン/オフを繰り返すことによって、DCDCコンバータ20の出力電圧は電圧V1まで上昇する。
【0048】
このとき、図3ではスイッチ30がオン又はオフである期間と、スイッチ31がオン又はオフである期間とは一定であるが、実際には、制御部24は、電圧検出部25が検出した電圧が電圧V1となるように、スイッチ30,31夫々のオン/オフに係るデューティを常時調整している。
なお、制御部24は、DCDCコンバータ20の出力電圧が徐々に上昇して電圧V1となるように、スイッチ30,31夫々のオン/オフに係るデューティを調整してもよい。
【0049】
DCDCコンバータ20の出力電圧が、ゼロボルトから、目標電圧である電圧V1まで上昇している間、スイッチ22がオンであるため、DCDCコンバータ20の出力電圧はコンデンサC1に印加され、コンデンサC1は充電される。これにより、発電機11が発生した回生電力は、コンデンサC1に蓄えられ、回生電力は効率的に回収される。
【0050】
DCDCコンバータ20の出力電圧が、ゼロボルトから電圧V1まで上昇している間、スイッチ21はオフであるため、第2蓄電器14は充電されることはなく、第2蓄電器14の出力電圧が上昇することはない。
なお、図3では、DCDCコンバータ20の出力電圧がゼロボルトから電圧V1まで上昇している間、第2蓄電器14の出力電圧は一定であるが、第2蓄電器14が給電を行っている場合、第2蓄電器14の出力電圧は徐々に低下する。
【0051】
電圧検出部25が検出した電圧、即ち、DCDCコンバータ20の出力電圧が、目標電圧である電圧V1に到達した場合、制御部24はスイッチ21をオンにする。これにより、目標電圧である電圧V1が第2蓄電器14に印加され、第2蓄電器14の充電が開始される。
【0052】
以上のように、DCDCコンバータ20の出力電圧が第2蓄電器14の出力電圧以上である目標電圧に到達するまでスイッチ21はオフにされているため、出力端子T3,T4から変圧装置10の内部に第2蓄電器14の出力電圧が入力されることを防止することができる。これにより、第2蓄電器14が蓄えた電力の無駄な消費が防止される。
制御部24はオン手段としても機能する。
【0053】
制御部24がスイッチ21をオンにした直後、コンデンサC1,C2に蓄えられた電力が第2蓄電器14に急速に供給されるため、DCDCコンバータ20の出力電圧は一時的に低下する。その後、制御部24は、電圧検出部25が検出した電圧が電圧V1になるようにスイッチ30,31夫々の相補的なオン/オフを繰り返しているので、DCDCコンバータ20の出力電圧は電圧V1に戻る。
変圧装置10では、スイッチ21がオンになった場合に、コンデンサC2からだけではなく、コンデンサC1からも電力が第2蓄電器14に供給されるため、DCDCコンバータ20の出力電圧の低下が抑制されている。
【0054】
スイッチ21がオンである状態で、DCDCコンバータ20が電圧V1を出力している間、第2蓄電器14は充電され、第2蓄電器14の出力電圧は徐々に上昇する。第2蓄電器14の出力電圧が電圧V1となった場合、第2蓄電器14の出力電圧は一定となる。
【0055】
制御部24は、スイッチ21をオンにすると共に、タイマ26に計時を開始させる。制御部24は、スイッチ21をオンにした後、タイマ26が計時している時間が所定時間以上となった場合、コンパレータ23の出力電圧に基づいて、DCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力しているか否かを判定する。
【0056】
前述したように、抵抗R1において、スイッチ21側の一端から出力端子T3側の端子に向けて所定電流以上の電流が流れ、DCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力している場合、コンパレータ23はハイレベルの電圧を出力する。制御部24は、コンパレータ23がハイレベルの電圧を出力している場合にDCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力していると判定し、コンパレータ23がローレベルの電圧を出力している場合にDCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力していないと判定する。制御部24は判定手段としても機能する。
【0057】
制御部24は、タイマ26の計時時間が所定時間以上となった場合において、DCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力していると判定した場合、スイッチ22をオフにする。これにより、コンデンサC1に蓄えられた電力の無駄な消費を防止することができる。制御部24は第3のオフ手段としても機能する。
【0058】
制御部24は、DCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力していないと判定した場合、コンパレータ23がハイレベルの電圧を出力するまで、DCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力しているか否かの判定を繰り返す。制御部24は、タイマ26の計時時間が所定時間以上であると判定した場合、タイマ26に計時を終了させる。
【0059】
DCDCコンバータ20が、目標電圧である電圧V1を出力している状態で、制御部24に電圧変更指示が入力された場合、制御部24は、目標電圧を電圧V1から電圧V2に変更し、DCDCコンバータ20の出力電圧が電圧V2となるようにスイッチ30,31のオン/オフに係るデューティを調整する。制御部24は変更手段としても機能する。
制御部24は、目標電圧を電圧V1から電圧V2に変更する場合、スイッチ21をオフにする共に、スイッチ22をオンにする。制御部24は第2のオフ手段及び第4のオン手段としても機能する。
【0060】
制御部24は、スイッチ21,22をオフ及びオンにしている状態で、スイッチ30,31の相補的なオン/オフを繰り返すことによって、DCDCコンバータ20の出力電圧は電圧V1から電圧V2まで上昇する。
【0061】
このとき、図3ではスイッチ30がオン又はオフである期間と、スイッチ31がオン又はオフである期間とは一定であるが、実際には、制御部24は、電圧検出部25が検出した電圧が電圧V2となるように、スイッチ30,31夫々のオン/オフに係るデューティを常時調整している。
なお、制御部24は、DCDCコンバータ20の出力電圧が徐々に上昇して電圧V2となるように、スイッチ30,31夫々のオン/オフに係るデューティを調整してもよい。
【0062】
DCDCコンバータ20の出力電圧が、電圧V1から、目標電圧である電圧V2まで上昇している間、スイッチ22がオンであるため、DCDCコンバータ20の出力電圧はコンデンサC1に印加され、コンデンサC1は充電される。
【0063】
また、DCDCコンバータ20の出力電圧が電圧V1から電圧V2まで上昇している間、スイッチ21はオフであるため、第2蓄電器14は充電されることはなく、第2蓄電器14の出力電圧が上昇することはない。
なお、図3では、DCDCコンバータ20の出力電圧が電圧V1から電圧V2まで上昇している間、第2蓄電器14の出力電圧は一定であるが、第2蓄電器14が給電を行っている場合、第2蓄電器14の出力電圧は徐々に低下する。
【0064】
電圧検出部25が検出した電圧、即ち、DCDCコンバータ20の出力電圧が、目標電圧である電圧V2に到達した場合、制御部24はスイッチ21をオンにする。これにより、目標電圧である電圧V1が第2蓄電器14に印加され、第2蓄電器14の充電が再開される。
以上のように、目標電圧が電圧V1から電圧V2に変更された場合において、電圧検出部25が検出した電圧が電圧V2に到達した場合にスイッチ21がオンとなるので、安定した電圧が出力端子T3,T4から出力される。制御部24は第2のオン手段としても機能する。
【0065】
制御部24がスイッチ21をオンにした直後、コンデンサC1,C2に蓄えられた電力が第2蓄電器14に急速に供給されるため、DCDCコンバータ20の出力電圧は一時的に低下する。その後、制御部24は、電圧検出部25が検出した電圧が電圧V2になるようにスイッチ30,31夫々の相補的なオン/オフを繰り返しているので、DCDCコンバータ20の出力電圧は電圧V2に戻る。
変圧装置10では、スイッチ21がオンになった場合に、コンデンサC2からだけではなく、コンデンサC1からも電力が第2蓄電器14に供給されるため、DCDCコンバータ20の出力電圧の低下が抑制されている。
【0066】
スイッチ21がオンである状態で、DCDCコンバータ20が電圧V2を出力している間、第2蓄電器14は充電され、第2蓄電器14の出力電圧は徐々に上昇する。第2蓄電器14の出力電圧が電圧V2となった場合、第2蓄電器14の出力電圧は一定となる。
【0067】
制御部24は、スイッチ21をオンにすると共に、タイマ26に計時を開始させる。制御部24は、スイッチ21をオンにした後、タイマ26が計時している時間が第2の所定時間以上となった場合、前述したように、コンパレータ23の出力電圧に基づいて、DCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力しているか否かを判定する。
【0068】
制御部24は、タイマ26の計時時間が第2の所定時間以上となった場合において、DCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力していると判定したとき、スイッチ22をオフにする。これにより、コンデンサC1に蓄えられた電力の無駄な消費を防止することができる。制御部24は第4のオフ手段としても機能する。
【0069】
制御部24は、DCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力していないと判定したとき、コンパレータ23がハイレベルの電圧を出力するまで、DCDCコンバータ20が出力端子T3,T4へ電圧を出力しているか否かの判定を繰り返す。
【0070】
例えば、電源システム1が搭載されている車両のイグニッションスイッチがオフとなって制御部24に停止指示が入力された場合、制御部24はスイッチ30,31,21,22夫々をオフにする。また、第2蓄電器14が電気二重層キャパシタ又はリチウムイオン電池等である場合において、出力電圧が高い状態で第2蓄電器14が長期間放置されたとき、第2蓄電器14が蓄電することが可能な電力が低下する。このため、車両のイグニッションスイッチがオフとなった場合、第2蓄電器14の出力電圧が電圧V1未満の電圧になるまで、第2蓄電器14が蓄えた電力が放出されるように構成されてもよい。
【0071】
なお、目標電圧を電圧V2に設定した後、イグニッションスイッチがオフとなるまで目標電圧を電圧V2未満に設定しないようにしてもよい。一方で、目標電圧を電圧V1から、電圧V1よりも低い電圧への変更を指示する電圧変更指示が制御部24に入力された場合に、目標電圧を電圧V1から電圧V2に変更した場合と同様に、スイッチ30,31,21,22夫々をオン/オフしてもよい。
また、DCDCコンバータ20は、入力端子T1,T2間に印加された電圧を降圧する回路であればよいため、制御部24がスイッチ30,31夫々の相補的なオン/オフを周期的に繰り返すことによって降圧を行う回路に限定されない。DCDCコンバータ20は、例えば、スイッチ31の代わりに、カソードがスイッチ30及びコイルL1間の接続ノードに接続され、アノードが入力端子T2及び出力端子T4に接続されたダイオードを用いた回路であってもよい。この回路であっても、スイッチ30のオン/オフを周期的に繰り返すことによって降圧が行われる。
【0072】
(実施の形態2)
図4は実施の形態2における変圧装置10の回路図である。実施の形態2は、実施の形態1と比較して、変圧装置10が、降圧用のDCDCコンバータ20の代わりに、昇圧用のDCDCコンバータ40を有している点が異なる。
以下では、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と同様であるため、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
DCDCコンバータ40は、スイッチ30,31、コンデンサC2及びコイルL1を有する。コイルL1の一端は入力端子T1に接続され、コイルL1の他端はスイッチ30,31夫々の一端に接続されている。スイッチ31の他端はスイッチ21,22及びコンデンサC2夫々の一端に接続されている。スイッチ30及びコンデンサC2夫々の他端は入力端子T2及び出力端子T4に接続されている。コンデンサC2の一端及び他端は電圧検出部25に各別に接続されている。
【0074】
スイッチ30,31夫々は、実施の形態1と同様に、FET、バイポーラトランジスタ又はリレー接点等であり、制御部24によってオン/オフされる。
DCDCコンバータ40は、制御部24がスイッチ30,31の相補的なオン/オフを周期的に繰り返すことによって、入力端子T1,T2間に印加された電圧を目標電圧に昇圧(変圧)する。DCDCコンバータ40は、スイッチ21がオンである場合、目標電圧を出力端子T3,T4から第2蓄電器14に向けて出力する。実施の形態2において、DCDCコンバータ40は変圧回路として機能する。
【0075】
制御部24がスイッチ30,31をオン及びオフにした場合、多量の電流が入力端子T1からコイルL1、スイッチ30及び入力端子T2の順に流れる。スイッチ30,31がオン及びオフである間、コンデンサC2が蓄えている電力が出力端子T3,T4に向けて放出される。
【0076】
スイッチ30,31がオン及びオフである状態から、制御部24がスイッチ30,31をオフ及びオンにした場合、入力端子T1からコイルL1及びスイッチ31を介して電流が流れる。このとき、コイルL1は自身に流れる電流の量を維持するように作用するため、コイルL1に流れる電流の量は徐々に低下し、入力端子T1,T2間に印加された電圧に、コイルL1に流れる電流の量の傾きの大/小によって高/低に決まる電圧を加算した第3電圧がコンデンサC2の両端間に印加される。
【0077】
コンデンサC2は1周期中にコイルL1を介して印加されている電圧の平均電圧を、DCDCコンバータ40の出力電圧として出力する。制御部24がスイッチ30,31をオン及びオフにして多量の電流をコイルL1に流している期間が長ければ長い程、DCDCコンバータ40の出力電圧は高い。
制御部24は、電圧検出部25が検出した電圧が目標電圧となるように、スイッチ30,31夫々のオン/オフに係るデューティを調整する。
【0078】
実施の形態2における変圧装置10の動作は、実施の形態1における変圧装置10の動作、具体的には図3に示す動作と同様である。実施の形態2における変圧装置10の動作は、実施の形態1における変圧装置10の動作と比較して、制御部24がスイッチ30,31の相補的なオン/オフを繰り返すことによって降圧ではなく、昇圧を行っている点が異なる。
【0079】
制御部24がスイッチ30,31の相補的なオン/オフの繰り返しを実行するタイミングと、スイッチ21,22夫々をオン/オフするタイミングとは、図3と同様である。更に、DCDCコンバータ40の出力電圧は実施の形態1におけるDCDCコンバータ20の出力電圧と同様に推移し、実施の形態2における第2蓄電器14の出力電圧も実施の形態1における第2蓄電器14の出力電圧と同様に推移する。
従って、実施の形態2における変圧装置10は実施の形態1における変圧装置10と同様の効果を奏する。
【0080】
なお、目標電圧を電圧V2に設定した後、イグニッションスイッチがオフとなるまで目標電圧を電圧V2未満に設定しないようにしてもよい。一方で、目標電圧を電圧V1から、電圧V1よりも低い電圧への変更を指示する電圧変更指示が制御部24に入力された場合に、目標電圧を電圧V1から電圧V2に変更した場合と同様に、スイッチ30,31,21,22夫々をオン/オフしてもよい。
また、DCDCコンバータ40は、入力端子T1,T2間に印加された電圧を昇圧する回路であればよいため、制御部24がスイッチ30,31夫々の相補的なオン/オフを繰り返すことによって昇圧を行う回路に限定されない。DCDCコンバータ40は、例えば、スイッチ31の代わりに、カソードがスイッチ21,22及びコンデンサC2夫々の一端に接続され、アノードがコイルL1の他端とスイッチ30の一端とに接続されているダイオードを用いた回路であってもよい。この回路であっても、スイッチ30のオン/オフを周期的に繰り返すことによって昇圧が行われる。
【0081】
(実施の形態3)
図5は実施の形態3における変圧装置10の回路図である。実施の形態3は、実施の形態1,2と比較して、変圧装置10が、降圧用のDCDCコンバータ20又は昇圧用のDCDCコンバータ40の代わりに、昇降圧用のDCDCコンバータ50を有している点が異なる。
以下では、実施の形態3について、実施の形態1,2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1又は実施の形態2と同様であるため、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0082】
DCDCコンバータ50は、スイッチ30a,31a,30b,31b、コンデンサC2及びコイルL1を有する。スイッチ30aの一端は入力端子T1に接続され、スイッチ30aの他端はスイッチ31a及びコイルL1夫々の一端に接続されている。コイルL1の他端は、スイッチ30b,31b夫々の一端に接続され、スイッチ31bの他端は、スイッチ21,22及びコンデンサC2夫々の一端に接続されている。スイッチ31a,30b及びコンデンサC2夫々の他端は入力端子T2及び出力端子T4に接続されている。コンデンサC2の一端及び他端は電圧検出部25に各別に接続されている。
【0083】
スイッチ30a,31a,30b,31b夫々は、FET、バイポーラトランジスタ又はリレー接点等であり、制御部24によってオン/オフされる。
実施の形態3では、制御部24は、スイッチ30b,31b夫々をオフ及びオンにしている状態で、スイッチ30a,31aを、実施の形態1におけるスイッチ30,31と同様にオン/オフする。これにより、DCDCコンバータ50は、実施の形態1におけるDCDCコンバータ20と同様に降圧を行う。
【0084】
更に、実施の形態3では、制御部24は、スイッチ30a,31a夫々をオン及びオフしている状態で、スイッチ30b,31bを、実施の形態2におけるスイッチ30,31と同様にオン/オフにする。これにより、DCDCコンバータ50は、実施の形態2におけるDCDCコンバータ40と同様に昇圧を行う。
【0085】
以上のように、DCDCコンバータ50は、制御部24がスイッチ30a,31a,30b,31b夫々をオン/オフすることによって、入力端子T1,T2間に印加された電圧を目標電圧に昇降圧(変圧)する。DCDCコンバータ50は、スイッチ21がオンである場合、目標電圧を出力端子T3,T4から第2蓄電器14に向けて出力する。実施の形態3において、DCDCコンバータ50は変圧回路として機能する。
【0086】
実施の形態3における変圧装置10の動作は、実施の形態1における変圧装置10の動作、具体的には図3に示す動作と同様である。実施の形態3における変圧装置10の動作は、実施の形態1における変圧装置10の動作と比較して、制御部24がスイッチ30a,31aの相補的なオン/オフ又はスイッチ30b,31bの相補的なオン/オフを繰り返すことによって、降圧だけではなく、昇圧も行っている点が異なる。
【0087】
DCDCコンバータ50が降圧を行っている場合は、制御部24は、スイッチ30b,31b夫々をオフ及びオンにした状態で、スイッチ30a,31aを図3に示すスイッチ30,31と同様にオン/オフする。DCDCコンバータ50が昇圧を行っている場合は、制御部24は、スイッチ30a,31aをオン及びオフにした状態で、スイッチ30b,31b夫々を図3に示すスイッチ30,31と同様にオン/オフする。
【0088】
制御部24がスイッチ30a,31aの相補的なオン/オフの繰り返しを実行するタイミング、又は、スイッチ30b,31bの相補的なオン/オフの繰り返しを実行するタイミングは図3と同様である。スイッチ21,22夫々をオン/オフするタイミングも、図3と同様である。また、DCDCコンバータ50の出力電圧は実施の形態1におけるDCDCコンバータ20の出力電圧と同様に推移し、実施の形態3における第2蓄電器14の出力電圧も実施の形態1における第2蓄電器14の出力電圧と同様に推移する。
従って、実施の形態3における変圧装置10は実施の形態1における変圧装置10と同様の効果を奏する。
【0089】
なお、目標電圧を電圧V2に設定した後、イグニッションスイッチがオフとなるまで目標電圧を電圧V2未満に設定しないようにしてもよい。一方で、目標電圧を電圧V1から、電圧V1よりも低い電圧に変更する電圧変更指示が制御部24に入力された場合に、目標電圧を電圧V1から電圧V2に変更する場合と同様に、スイッチ30a,31a,30b,31b,21,22夫々をオン/オフしてもよい。
【0090】
また、DCDCコンバータ50は、入力端子T1,T2間に印加された電圧を昇降圧する回路であればよいため、制御部24がスイッチ30a,31b夫々の相補的なオン/オフ、又は、スイッチ30b,31b夫々の相補的なオン/オフを繰り返すことによって、昇降圧を行う回路に限定されない。
【0091】
DCDCコンバータ50は、例えば、スイッチ31a,31b夫々の代わりにダイオードを用いた回路であってもよい。この回路であっても、スイッチ30bをオフにした状態でスイッチ30aのオン/オフを繰り返すことによって降圧が行われ、スイッチ30aをオンにした状態で、スイッチ30bのオン/オフを繰り返すことによって昇圧が行われる。
【0092】
ここで、スイッチ31aの代わりに用いられるダイオードについては、カソードがスイッチ30a及びコイルL1間の接続ノードに接続され、アノードが入力端子T2及び出力端子T4に接続される。スイッチ31bの代わりに用いられるダイオードについては、カソードがスイッチ21,22及びコンデンサC2夫々の一端に接続され、アノードがコイルL1の他端とスイッチ30bの一端とに接続される。
【0093】
なお、実施の形態1〜3において、設定される目標電圧の数は2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。また、スイッチ21が接続される位置は、スイッチ31bの他端と抵抗R1の一端との間に限定されず、例えば、コンデンサC1の他端と出力端子T4の間であってもよい。
また、変圧装置10はスイッチ22及びコンデンサC1を有しない構成であってもよい。この場合であっても、出力端子T3,T4から変圧装置10の内部に電圧が入力されることが防止され、第2蓄電器14が蓄えた電力が無駄に消費されることはなく、更に、安定した電圧が出力端子T3,T4から出力される。
【0094】
また、変圧装置10の構成は、目標電圧を変更した場合に制御部24がスイッチ21をオン/オフをせず、変圧を開始してから目標電圧を出力する期間にスイッチ21をオン/オフする構成であってもよい。この場合であっても、変圧装置10の内部に電圧が入力されることはない。
また、実施の形態1,2において、電圧検出部25が検出した電圧に応じてスイッチ30,31の相補的なオン/オフを繰り返す構成と、実施の形態3において、電圧検出部25が検出した電圧に応じてスイッチ30a,31aの相補的なオン/オフ又はスイッチ30b,31bの相補的なオン/オフを繰り返す構成とは、ソフトウェアの構成であってもよく、ハードウェアの構成であってもよい。
【0095】
開示された実施の形態1〜3は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
10 変圧装置
20,40,50 DCDCコンバータ(変圧回路)
21 スイッチ
22 スイッチ(第2のスイッチ)
24 制御部(オン手段、オフ手段、第2のオン手段、第2のオフ手段、第3のオン手段、第3のオフ手段、第4のオン手段、第4のオフ手段、変更手段、判定手段)
25 電圧検出部(電圧検出手段)
C1 コンデンサ
T1,T2 入力端子(入力端子対)
T3,T4 出力端子(出力端子対)
図1
図2
図3
図4
図5