【課題】入金残高が残ったままの記録媒体を誤って記録媒体発行装置に収納した場合であっても、その記録媒体を遊技者に発行してしまうことのない遊技場用システムを提供する。
【解決手段】島端計数装置6は、発行装置21のリーダライタ46に繰出された一般カード44に入金残高或いは持玉が記録されている場合はエラー画面を表示することにより異常を報知する。これにより、入金残高或いは持玉が記録されている一般カード44に計数情報を誤って記録し発行してしまうことを未然に防止することができる。
前記記録媒体発行装置は、前記異常が発生した旨を報知したときには、所定の解除操作に応じて前記記録媒体を排出すると共に、前記ストック部から次の記録媒体を繰出すことを特徴とする請求項1記載の遊技場用システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場には、複数の遊技機島1が設けられ、各遊技機島1に複数の遊技機(パチンコ機、スロットマシン)2が設置されている。遊技機2毎に貸出装置3が設置されており、それら複数の遊技機2及び複数の貸出装置3は、LAN4を介して中継装置5に接続されている。LAN4には島端計数装置6(遊技媒体計数装置に相当)及び呼出ランプ7も接続されている。呼出ランプ7は遊技機島1の端部に設置されており、島端計数装置6にて従業員の呼出操作がされたときに点灯して従業員を呼び出す。中継装置5は、LAN8を介して管理装置9、景品交換装置10、精算装置11等に接続されている。
【0012】
管理装置9は、遊技場内の例えば事務室等に設置され、CPU、ROM、RAM、HDD、I/Oを有する制御部、各種信号を送受信する送受信部、モニタ及びプリンタ等からなる出力部等を備えて構成されている。管理装置9は、遊技機島1に設置されている遊技機2や貸出装置3、島端計数装置6、景品交換装置10、精算装置11等との間で各種信号を送受信することで、周知の出玉率等の遊技情報を集計したり、各種機器の稼働状況を管理したり、遊技機側からの信号に基づいて遊技者毎の遊技価値(持玉数・貯玉数)と入金残高とを記憶管理したりする。尚、持玉とは当日中に計数した玉であり、貯玉とは前日以前に計数した玉である。
【0013】
図1で示す遊技機2はCR(カードリーダ)パチンコ機であり、盤面12に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル13、上部受皿14、下部受皿15を有すると共に、盤面12に、液晶表示部16、始動口17、大入賞口18を有する。遊技者が操作ハンドル13を操作すると、玉(遊技媒体)が盤面12に発射され、そのパチンコ玉が始動口17に入賞すると、その入賞に応じた玉数のパチンコ玉を払出したり、大当たり抽選を行ったりする。大当たり抽選では、液晶表示部16において所謂特別図柄(特図)による図柄変動を実行し、停止表示された図柄が大当たり図柄の場合に大当たりが発生する。大当たりが発生すると、例えば15ラウンド分だけ大入賞口18を開放する。
尚、遊技機2は、遊技者による遊技が進行することに応じて、打ち込んだパチンコ玉の玉数である投入媒体数を特定可能なアウト信号、払出されたパチンコ玉の玉数である払出媒体数を特定可能なセーフ信号、大当たり状態を特定可能な大当たり信号等の各種の遊技信号を出力する。
【0014】
遊技機島1において遊技機2毎に設置されている貸出装置3は、紙幣(千円)を投入する紙幣投入口19を有する所謂CRユニットであり、CPU、ROM、RAM、I/Oを有する制御部、各種信号を送受信する送受信部等を備えて構成されている。貸出装置3は、遊技者により紙幣投入口19に投入された貨幣の金額(上限1万円)を記憶し、遊技機2に設けられている図示しない貸出ボタンが操作されると、払出単位の玉数(例えば125玉)のパチンコ玉が遊技機2の払出機構から払出される。尚、貸出装置3には後述する一般カードを10枚収納可能であり、発行操作により一般カードに入金残高を記録してカード排出口20から発行する。また、会員カードが挿入されている場合は、会員カードに入金残高を記録すると共に入金残高を管理装置9にも送信して管理する。
【0015】
島端計数装置6は、遊技機島1に設置されている遊技機2で獲得したパチンコ玉を計数するための機器であり、遊技場内の遊技機島1の島端に設置される。つまり、遊技者は獲得した玉を玉箱に収納し、島端計数装置6まで運んで計数する必要がある。島端計数装置6にはカード発行装置21が接続されており、そのカード発行装置21により島端計数装置6はカード発行機能を備えて構成されている。
【0016】
図2は、島端計数装置6の外観斜視図を示している。島端計数装置6は、本体22の上面に陥没形状に設けられ、遊技者が遊技により獲得した玉(獲得媒体)を受入れる投入口23a及び当該投入口23aの中央に形成された放出口23bを備えた投入容器23、この投入容器23の投入口23aを開放・閉鎖するスライドカバー24(
図2はスライドカバー24が投入口23aを開放する開放位置にスライド移動されている状態を示し、
図3はスライドカバー24が投入口23aを閉鎖する閉鎖位置にスライド移動されている状態を示す)、計数情報等の各種情報を表示する表示機能及び従業員や遊技者からの操作入力を受付ける入力受付機能を有するタッチパネル式の液晶表示部25、島端計数装置6の状態を示すためのLED表示部26、計数値及び当該計数値を記録した2次元コードやバーコード等が印字されたレシート27(
図6参照)を発行するレシート発行口28、会員カード29(
図6参照)を受付ける会員カード受付口30、従業員が所持する従業員ICカード31(
図6参照)が翳されている状態で当該従業員ICカード31に内蔵されているICチップ31aに記憶されている従業員情報を読取る従業員カードリーダ32、本体22の前面に設けられて余り玉を放出する玉返却口33、緊急時にスライドカバー24を開閉するためのスライドカバー開閉キー34(
図2はカバーで閉鎖されている状態を示している)等を備えて構成されている。
【0017】
島端計数装置6は、会員カード受付口30に会員カード29が受付けられるか、従業員が従業員ICカード31を従業員カードリーダ32に翳すことで従業員の認証操作が行われ、スライドカバー24のロックが解除されてスライド移動されることにより投入口23aが開放されると、計数可能な状態となる。従業員又は遊技者が玉を投入口23aに投入すると、玉は投入口23aで一旦受け止められた後、放出口23bから落下して当該放出口23bの奥に設けられている計数センサにより計数される。このように玉を計数中にあるときは計数値を逐一更新する。
【0018】
島端計数装置6は、受入れた玉を計数し、その計数結果を発行装置21に送信する。投入口23aはロック状態のスライドカバー24で閉鎖されており、後述するように従業員IDまたは会員IDを読み取ったときにスライドカバー24のロックを解除して手動で開放可能とする。会員カード29が挿入されたときは、計数結果を貯玉情報として管理装置9へ送信する。カバーを閉鎖位置に戻すと自動でロックされる。従業員ICカード31は、従業員を識別可能な従業員データが記録されているメモリを有するICチップ31aを内蔵したICカードである。
【0019】
図4は、島端計数装置6に接続された発行装置21(記録媒体発行装置に相当)を示す斜視図である。発行装置21は、本体35の前端に扇形状のカバー36を回動可能に装着して構成されている。カバー36は、当該カバー36の上面後端に設けられたキーシリンダ37を開錠して
図4に示す閉鎖位置から前方に回動することにより
図5に示す開放位置へ開放可能となる。カバー36の前面にはカード投入口38及び状態LED39が設けられている。
【0020】
図5に示すように、カバー36を開放位置に回動することによりカバー36により秘匿されている電源スイッチ40、カード繰出機構41、ストック部42、回収部43が出現する。ストック部42には上方から100枚の一般カード44(「持玉券」ともいう。記録媒体に相当)を収納可能となっている。回収部43に収納された一般カード44の上部には一般カード44の浮きを防止する押え用おもり45が装着されている。カード繰出機構41は、ストック部42に収納されている最下位の一般カード44をリーダライタ46(
図6参照)に繰出可能となっていると共にカード投入口38に挿入された一般カード44をリーダライタ46に移送可能となっている。
【0021】
図6は、島端計数装置6及び発行装置21の構成を機能ブロック図により示している。島端計数装置6は、CPU47a、ROM47b、RAM47c、I/O47dを有する制御部47、液晶表示部25、当該液晶表示部25の表面に設けられたタッチパネル48、計数値を印字したレシート27をレシート発行口28から発行するレシート発行部49、会員カード29に内蔵されたICチップ29aから会員IDを読取る会員カードリーダ50、従業員カードリーダ32、LED表示部26、スライドカバー24を自動ロックするカバーロック部51、玉を計数する計数部52、パチンコ玉を払出す返却部53、各種信号を管理装置9及び発行装置21と送受信するI/F部54等を備えて構成されている。
【0022】
島端計数装置6は、受入れた遊技媒体(玉、メダル)を計数し、その計数結果を記録した一般カード44を発行すると同時に、計数結果を計数情報として管理装置9へ送信する。会員カード29が挿入されたときは、計数結果を貯玉情報として管理装置9へ送信する。
【0023】
一方、発行装置21は、CPU55a、ROM55b、RAM55c、I/O55dを有する制御部55、ストック部42、カード繰出機構41、リーダライタ46、島端計数装置6と送受信するためのI/F部56を備えて構成されている。発行装置21は、島端計数装置6に対して発行操作が行われた場合は、ストック部42から一枚の一般カード44をリーダライタ46へ繰出し、リーダライタ46に繰出した一般カード44に内蔵されたICチップ44aに入金残高及び持玉数が記録されていないことを確認してから持玉情報を記録して発行する。
尚、発行装置21は、持玉数及び入金残高がゼロとなった一般カード44は回収部43に回収する。
【0024】
景品交換装置10は、持玉数が記録されている一般カード44、又は貯玉口座を特定する会員カードを受付け、持玉数又は貯玉数に基づいた景品交換処理を行う。景品交換処理が終了したときは、持玉数及び入金残高が0の一般カード44は回収し、何れかが残っている一般カード44は遊技者へ返却する。
精算装置11は、入金残高が記録されている一般カード44又は会員カードを受付け、入金残高分の現金を遊技者に払い出す。持玉数がゼロの一般カードは回収し、持玉数のある一般カード44及び会員カードは遊技者へ返却する。
【0025】
次に、上記構成の作用について説明する。
遊技者は、遊技機2から獲得した遊技媒体(玉、メダル)を計数する場合は、遊技媒体を玉箱に収納して島端計数装置6まで運ぶ。そして、遊技者により呼出された従業員が従業員カードを従業員カードリーダ32に翳して認証を受け、スライドカバー24のロックを解除したところで、スライドカバー24を開放して玉箱に収納された遊技媒体を島端計数装置6に投入して計数する。島端計数装置6は、投入された遊技媒体を計数し、計数が終了すると、液晶表示部25に計数完了画面を表示する。
【0026】
(1)一般カード44の新規発行
計数完了画面には、
図7(a)に示すように精算ボタンである「全部発券」ボタン25aが表示されると共に、精算ボタンにタッチすることを促すメッセージ25bが表示される。
遊技者が「全部発券」ボタン25aにタッチすると、島端計数装置6は、
図7(b)に示すように持玉数を示す利用明細を表示すると共に発行装置21に持玉情報を送信する。発行装置21は、持玉情報の受信に応じてストック部42に収納されている一般カード44をリーダライタ46へ繰出し、その一般カード44に持玉情報を記録して発行する。
【0027】
また、島端計数装置6は発行装置21が接続されていない場合、或いは接続されているものの、発行装置21に一般カード44が収納されていない場合は、持玉情報が印刷されたレシート27を発行したり、会員カード29が挿入されていることを条件として貯玉したりする。尚、一般カード44を発行するか、レシート27を発行するかを遊技者が任意に選択できるようにしてもよい。
【0028】
(2)一般カード44の書換発行
一般カード44を所有している遊技者が計数玉数を一般カード44に加算する場合は、
図8(a)に示すように計数完了画面の表示状態で一般カード44を発行装置21に挿入する。すると、発行装置21が一般カード44に記録されている持玉数を読込んで島端計数装置6に通知するので、
図8(b)に示すように、総数と持玉数が合算された合算値、総数、持玉数が表示される。
尚、精算ボタンとしての「あまり返却」ボタン25cがタッチされたときは、余り玉数を返却してから景品数に相当する持玉情報を発行装置21に送信するので、発行装置21からは余り玉を生じること無く特殊景品に交換可能な持玉情報が記録された一般カード44が発行される。
【0029】
遊技者が「全部発券」ボタン25aをタッチすると、
図8(c)に示すように持玉数を示す利用明細が表示される。このとき島端計数装置6は発行装置21に対して持玉情報を送信するので、発行装置21は挿入されている一般カード44に記録されている持玉数に受信した持玉情報が示す持玉数を加算して発行する。
尚、一般カード44は計数前、計数中、計数後の任意のタイミングで挿入可能であるが、状態LED39により挿入可能であること(一般カード44が挿入されていないこと)が報知されている必要がある。また、表示される内容や精算ボタンは設定や計数状況によって変更される。
【0030】
(3)一般カード44の書換回収
一般カード44に加えて会員カード29を所有している会員遊技者が計数玉数及び一般カード44に記録されている持玉を会員カード29にまとめて貯玉したい場合は、計数完了画面の表示状態で発行装置21に一般カード44を挿入する。すると、
図9(a)に示すように、一般カード44に記録されている持玉数との合算値、持玉数、景品数、余り玉数が表示される。
【0031】
次に島端計数装置6に会員カード29を挿入すると、
図9(b)に示すように「全部発券」ボタン25aに代えて「全部貯玉」ボタン25dが表示されると共に「あまり返却」ボタン25cに代えて「あまり返却」ボタン25eが表示され、さらに「カード返却」ボタン25fが表示される。会員遊技者が「全部貯玉」ボタン25dをタッチすると、
図9(c)に示すように、貯玉預入数及び貯玉口座残高を示す利用明細が表示される。このとき、発行装置21に挿入されている一般カード44に記録されている持玉数は会員カード29に移行・加算されたことからゼロとなるので、一般カード44は回収部43に回収されると共に会員カード29は返却される。
【0032】
尚、「あまり返却」ボタン25cがタッチされた場合は、余り玉数を返却してから景品数に相当する玉数(
図9の例では2840個)が貯玉される。
また、
図9では一般カード44に入金残高が記録されていない場合を示したが、一般カード44に入金残高が記録されている場合は、入金残高が会員カード29にまとめられて記録される。
【0033】
(4)一般カード不足表示
発行装置21のストック部42に収納されている一般カード44の枚数が少なくなってきた場合(約5枚)は、そのことを表示する。
図10は一般カード44が不足したことを示す待機画面を示している。待機画面には、係員を呼ぶことを促すメッセージ25gと、「係員を呼ぶ」ボタン25hと、「セルフ貯玉」ボタン25iと、「タバコ計数」ボタン25jが表示され、さらに一般カード44の補充を促すメッセージ25kが表示される。
従業員は、メッセージを確認した場合は、発行装置21のカバー36を開放してストック部42に一般カード44を適量となるように補充する。
【0034】
(5)一般カード満杯表示
ストック部42に収納されている一般カード44の枚数が満杯(約90枚)近くなってきた場合は、そのことを表示する。
図11は一般カード44が満杯近くなったことを示す待機画面を示しており、一般カード44の回収を促すメッセージ25lが表示される。
従業員は、メッセージを確認した場合は、発行装置21のカバー36を開放してストック部42に収納されている一般カード44が適量となるように回収する。
【0035】
(6)エラー表示
発行装置21は、ストック部42からリーダライタ46に繰出した一般カード44に入金残高或いは持玉数が記録されているかを判定しており、ストック部42に誤って入金残高或いは持玉が残っている一般カード44が収納され、その一般カード44がリーダライタ46に繰出された場合にはエラーとし、エラー情報を島端計数装置6へ送信する。島端計数装置6の液晶表示部25にはエラー情報を示すエラー画面が表示される。
【0036】
図12はエラー画面を示している。エラー画面にはエラーが発生したことを示すメッセージ25mが表示される。
従業員は、エラー画面が表示された場合は、発行装置21のカバー36を開放しリーダライタ46に繰出された一般カード44を手作業で回収してからカバー36を閉鎖する。そして、回収した一般カード44に入金残高或いは持玉が記録されていないかを検査し、一般カード44に入金残高或いは持玉が記録されていた場合は、それらの情報を消去して新たな一般カード44として使用する。この場合、一般カード44は当日のみ有効であるから、一般カード44に記録されている情報を営業終了後に消去するにしても問題を生じることはない。
【0037】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
島端計数装置6は、発行装置21のリーダライタ46に繰出された一般カード44に入金残高或いは持玉が記録されている場合はエラー画面を表示することにより異常を報知するので、入金残高或いは持玉が記録されている一般カード44に計数情報を誤って記録し発行してしまうことを未然に防止することができる。
尚、エラー画面では、リーダライタ44に繰出された一般カード44に入金残高或いは持玉が記録されている旨を示すメッセージを一緒に表示するようにしてもよい。
【0038】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張したり、各変形例を上記実施形態と組合せたり、各変形例を組合せるようにしてもよい。
発行装置21でエラーが発生した場合には従業員がカバー36を開放して手作業で一般カード44を回収するようにしたが、従業員が例えばリモコンを操作(請求項2の解除操作に相当)してエラーの解除指令を発行装置21へ送信し、エラーとなった一般カード44の排出処理、及び次の一般カード44の繰出・発行処理を発行装置21に実行させるようにしてもよい。この場合、従業員は発行装置21のカバー36を一々開放して一般カード44を回収する必要が無いので、利便性に優れている。
島端計数装置6は、一つの遊技機島に対して1台又は2台程度設置するのが望ましい。
記録媒体の形状はカード状に限らず、例えばコイン状であってもよい。