【解決手段】本発明のばね研削装置10は、回転テーブル54の外縁部を貫通しかつ環状に並んだ複数のばね収容孔54Aにコイルばね90を収容した状態で回転テーブル54を回転させて、その回転テーブル54の外縁部の一部を挟んで対向した1対の回転砥石20A,20Bの端面21A,21B間に、順次、コイルばね90を通過させ、それらコイルばね90の両端面を研削するばね研削装置10において、回転テーブル54の回転軸J3と回転砥石20A,20Bの回転軸J1,J2との間の軸間距離L1を任意に調整可能な軸間距離調整機構を備えている。軸間距離L1を調整できるから、ユーザーが現在保有している回転テーブルを使用することが可能になり、本発明のばね研削装置10を導入する際に、新たな回転テーブルを導入する必要がない。
  回転テーブルの外縁部を貫通しかつ環状に並んだ複数のばね収容孔にコイルばねを収容した状態で前記回転テーブルを回転させて、その回転テーブルの外縁部の一部を挟んで対向した1対の回転砥石の端面間に、順次、前記コイルばねを通過させ、それらコイルばねの両端面を研削するばね研削装置において、
  前記回転テーブルの回転軸と前記回転砥石の回転軸との間の軸間距離を任意に調整可能な軸間距離調整機構を備えたことを特徴とするばね研削装置。
  前記固定摺接部には、前記第1方向に並べて形成された複数のピン取付部が形成され、それら複数のピン取付部のうち任意のピン取付部に取り付けられ、前記可動ベースが側方から当接する位置決めピンを前記第1位置決め部として備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載のばね研削装置。
  前記第1位置決め部は、前記固定摺接部及び前記可動ベースに対して上下方向に穿孔されかつ、前記第1水平方向に並べて形成された複数の位置決め孔と、前記複数の位置決め孔のうち、任意の前記位置決め孔と嵌合する位置決めピンとで構成されたことを特徴とする請求項3又は4に記載のばね研削装置。
  前記軸間距離調整機構は、前記固定ベースに対して回転可能な操作ハンドルと、前記操作ハンドルに対する回転操作力を、前記第1水平方向への推進力に変換して前記可動ベースに付与する動力変換付与機構とを備えたことを特徴とする請求項2乃至6の何れか1の請求項に記載のばね研削装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  ところで、上述した従来のばね研削装置は複数のメーカーが製造しているが、回転テーブルの回転軸と回転砥石の回転軸との間の軸間距離がメーカー間で異なっており、その軸間距離に応じて回転テーブルの外径も異なっていた(
図4参照)。そのため、複数メーカーのばね研削装置を保有するユーザーは、各メーカー毎に回転テーブルを複数セット保有する必要があった。これに対し、ユーザーからは、回転テーブルの保有数を抑えたいという要望が挙がっていた。
【0005】
  本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、回転テーブルの保有数を抑えることが可能なばね研削装置の提供を目的とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0006】
  上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るばね研削装置は、回転テーブルの外縁部を貫通しかつ環状に並んだ複数のばね収容孔にコイルばねを収容した状態で回転テーブルを回転させて、その回転テーブルの外縁部の一部を挟んで対向した1対の回転砥石の端面間に、順次、コイルばねを通過させ、それらコイルばねの両端面を研削するばね研削装置において、回転テーブルの回転軸と回転砥石の回転軸との間の軸間距離を任意に調整可能な軸間距離調整機構を備えたところに特徴を有する。
【0007】
  請求項2の発明は、請求項1に記載のばね研削装置において、1対の回転砥石を回転可能に支持する固定ベースと、回転テーブルを回転可能に支持する可動ベースとを備え、軸間距離調整機構は、回転砥石に接近及び離れる第1水平方向で可動ベースを、固定ベースに対して往復動可能に案内する第1ガイドと、第1水平方向の任意の位置で可動ベースを固定ベースに対して位置決めする第1位置決め部とを備えたところに特徴を有する。
【0008】
  請求項3の発明は、請求項2に記載のばね研削装置において、固定ベースには、可動ベースが摺接可能に載置された水平な上面を有する固定摺接部が備えられたところに特徴を有する。
【0009】
  請求項4の発明は、請求項3に記載のばね研削装置において、可動ベースのうち固定摺接部の上面と摺接する摺接面から突出した移動突部と、固定摺接部の上面に開放して移動突部を第1水平方向で往復動可能に受容しかつ第1水平方向と直交する方向への移動を禁止するガイド溝孔とを第1ガイドとして備えたところに特徴を有する。
【0010】
  請求項5の発明は、請求項3又は4に記載のばね研削装置において、固定摺接部には、第1方向に並べて形成された複数のピン取付部が形成され、それら複数のピン取付部のうち任意のピン取付部に取り付けられ、可動ベースが側方から当接する位置決めピンを第1位置決め部として備えたところに特徴を有する。
【0011】
  請求項6の発明は、請求項3又は4に記載のばね研削装置において、第1位置決め部は、固定摺接部及び可動ベースに対して上下方向に穿孔されかつ、第1水平方向に並べて形成された複数の位置決め孔と、複数の位置決め孔のうち、任意の位置決め孔と嵌合する位置決めピンとで構成されたところに特徴を有する。
【0012】
  請求項7の発明は、請求項2乃至6の何れか1の請求項に記載のばね研削装置において、軸間距離調整機構は、固定ベースに対して回転可能な操作ハンドルと、操作ハンドルに対する回転操作力を、第1水平方向への推進力に変換して可動ベースに付与する動力変換付与機構とを備えたところに特徴を有する。
 
【発明の効果】
【0013】
  [請求項1の発明]
  請求項1のばね研削装置によれば、回転テーブルの回転軸と回転砥石の回転軸との間の軸間距離を任意に調整することができるから、ユーザーが既に保有している回転テーブルを使用することが可能になる。即ち、ばね研削装置のユーザーは、本発明のばね研削装置を導入する際に、新たに回転テーブルを導入する必要がないから、回転テーブルの保有数を抑えることが可能になる。
【0014】
  [請求項2の発明]
  請求項2の発明によれば、1対の回転砥石を回転可能に支持する固定ベースと、回転テーブルを回転可能に支持する可動ベースとを備え、第1ガイドの案内によって回転砥石に接近又は離れる第1水平方向で可動ベースを往復動させることで、軸間距離を任意に調整することができ、その第1水平方向の任意の位置で第1位置決め部により可動ベースを固定ベースに対して位置決めすることで、軸間距離を一定に保つことができる。
【0015】
  [請求項3の発明]
  請求項3の発明によれば、固定摺接部の上で可動ベースを水平移動させることができ、回転テーブルの回転軸と回転砥石の回転軸とを互いに平行な状態に保つことができる。
【0016】
  [請求項4の発明]
  請求項4の発明によれば、可動ベースの摺接面から突出した移動突部と、固定摺接部の上面に開放したガイド溝孔との凹凸係合により、第1水平方向と直交する水平方向への可動ベースの移動を禁止することができる。
【0017】
  [請求項5の発明]
  請求項5の発明によれば、固定摺接部に設けられた複数のピン取付部のうち、任意のピン取付部に第1位置決め部としての位置決めピンを取り付け、その位置決めピンに側方から可動ベースを当接させることで、可動ベースを第1水平方向における複数の位置に位置決めすることができる。
【0018】
  [請求項6の発明]
  請求項6の発明によれば、固定ベース及び可動ベースに対して上下方向に穿孔された複数の位置決め孔のうち、任意の位置決め孔に位置決めピンを嵌合させることで、可動ベースを第1水平方向における複数の位置に位置決めすることができる。
【0019】
  [請求項7の発明]
  請求項7の発明によれば、操作ハンドルの回転操作によって可動ベースを固定ベースに対して第1水平方向にスライドさせることができ、可動ベースの移動作業を容易に行うことができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0021】
  以下、本発明の一実施形態に係るばね研削装置10を
図1〜
図7に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のばね研削装置10は、床上に設置されたフレーム11(本発明の「固定ベース」に相当する)に1対の上下動ベース12A,12Bを上下に並べて備えている。
 
【0022】
  上側の上下動ベース12Aは、鉛直方向に延びた筒形ボディ15Aを備え、その筒形ボディ15Aがフレーム11に設けられた筒形のガイドスリーブ16Aの内側で上下方向に直動可能となっている。フレーム11と上下動ベース12Aとの間には、台形ねじ軸を有したスクリュージャッキ13Aが備えられ、図示しない手回しハンドルの操作によりスクリュージャッキ13Aを作動させて上下動ベース12Aを上下の任意の位置に位置決めすることができる。
 
【0023】
  同様に、下側の上下動ベース12Bは、鉛直方向に延びた筒形ボディ15Bを備え、その筒形ボディ15Bがフレーム11に設けられた筒形のガイドスリーブ16Bの内側で上下方向に直動可能となっている。フレーム11と上下動ベース12Bとの間には、台形ねじ軸を有したスクリュージャッキ13Bが備えられ、図示しない手回しハンドルの操作によりスクリュージャッキ13Bを作動させて、上下動ベース12Bを上下の任意の位置に位置決めすることができる。
 
【0024】
  下側の上下動ベース12Bに備えられた筒形ボディ15Bの内側には、駆動シャフト17Bが回転可能に軸支されている。そして、その駆動シャフト17Bの上端部に回転砥石20Bが一体回転可能に固定され、駆動シャフト17Bの下端部に砥石駆動モータ18Bの出力回転軸が連結されている。同様に、上側の上下動ベース12Aに備えられた筒形ボディ15Aの内側には、駆動シャフト17Aが回転可能に軸支されており、その駆動シャフト17Aの下端部に回転砥石20Aが一体回転可能に固定され、駆動シャフト17Aの上端部に砥石駆動モータ18Aの出力回転軸が連結されている。これら回転砥石20A,20Bは、共に円板状をなし、外径が同じになっている。また、これら回転砥石20A,20Bのうち互いに対向した端面21A,21Bは、共に回転砥石20A,20Bの回転軸J1,J2と直交した平坦面をなしている。なお、回転砥石20A,20Bの回転軸J1,J2は、同軸上に配置されている。
 
【0025】
  図1に示すように、フレーム11は、前方に迫り出した支持台40を備えており、その支持台40に、ばね保持移動機構50(本発明の「可動ベース」に相当する)が取り付けられている。
図3に示すように、支持台40は、水平方向Yで対向するように配置された1対のサイドパネル41,41と、それらサイドパネル41,41によって支持された載置天板42とを備え、載置天板42の下方に空間部46が形成されている。
 
【0026】
  ばね保持移動機構50は、鉛直方向に延びた筒形のメインボディ51を備え、そのメインボディ51の内部には、テーブル駆動軸53が回転可能に軸支されている。テーブル駆動軸53の上端部には回転テーブル54が一体回転可能に取り付けられており、テーブル駆動軸53の下端部には、減速機57(例えば、ウォーム減速機)を介してテーブル駆動モータ56が連結されている。ここで、回転テーブル54は、テーブル駆動軸53に対して着脱可能である。
 
【0027】
  以下、回転砥石20A,20Bの回転軸J1,J2と、回転テーブル54の回転軸J3との並び方向(
図1における左右方向)を、「第1水平方向X」といい、その第1水平方向と直交する水平方向Y(
図1の紙面と直交する方向)を「第2水平方向Y」という。
 
【0028】
  メインボディ51の下端部には、第2水平方向Yに突出したブラケット58が取り付けられており、そのブラケット58にテーブル駆動モータ56が取り付けられている。テーブル駆動モータ56は、その出力回転軸56Jを第2水平方向Yと平行にした状態で取り付けられており、一方のサイドパネル41に形成された開口部41Aを通って、支持台40の外側に突出している。また、減速機57は、ブラケット58の下面に取り付けられており、その減速機57の出力軸がテーブル駆動軸53の下端部に連結され、入力軸57Jがテーブル駆動モータ56の出力回転軸56Jに連結している。
 
【0029】
  なお、回転テーブル54の回転方向は、上方から見て反時計回りになっている(
図4の矢印A参照)。また、回転砥石20A,20Bの回転方向も、共に上方から見て反時計回りになっている。
 
【0030】
  図4に示すように、回転テーブル54の外縁部には、上下方向に貫通した複数のばね収容孔54Aが設けられている。ばね収容孔54Aは円形になっていて、それらの中心点が回転テーブル54の回転軸J3を中心とした架空の円上に等間隔で並べられかつ、隣り合ったばね収容孔54A,54A同士が隣接している。そして、これらばね収容孔54Aに圧縮コイルばねが、ばね研削装置10の研削対象であるワーク90(
図2参照)として収容される。なお、
図2には、複数のワーク90のうちの1つだけが示されている。また、回転テーブル54の構成は公知(例えば、特開2007−307668号公報、特開2007−175806号公報、特開平9−201752号公報を参照)であるから、詳細な説明は省略する。
 
【0031】
  図2に示すように、メインボディ51の上端部からは、上端プレート59が張り出している。上端プレート59は、回転テーブル54の下面との間に隙間を空けて配置されており、その上端プレート59の上面に、ばね下端支持盤60が固定して備えられている。ばね下端支持盤60は平板状をなしており、ばね下端支持盤60の上面と下側の回転砥石20Bの端面21Bとが面一になっている。また、ばね下端支持盤60には、下側の回転砥石20Bとの干渉を避けるために、その回転砥石20Bと同心かつ回転砥石20Bより僅かに径が大きな円弧状の切欠部(図示せず)が備えられている。そして、回転テーブル54が回転すると、ばね収容孔54Aに収容されているワーク90群の下端部がばね下端支持盤60の上面を摺接し、そのばね下端支持盤60と回転砥石20Bとの間では、スムーズにワーク90の乗り移りが行われる。
 
【0032】
  また、ばね下端支持盤60のうち、砥石間領域R1(
図1参照)からばね収容孔54Aが退出する位置P2(
図4参照)を通過した位置には排出口(図示せず)が形成され、ばね収容孔54Aに収容された状態で1対の回転砥石20A,20Bの間を通過したワーク90が、この排出口から下方に排出されるようになっている。なお、ばね下端支持盤60は、回転テーブル54と上端プレート59との間の隙間に水平方向から挿抜可能で、上端プレート59に対して着脱可能に取り付けられている。
 
【0033】
  ところで、本実施形態のばね研削装置10は、
図2と
図7の対比からも分かるように、回転テーブル54の回転軸J3と、回転砥石20A,20Bの回転軸J1,J2との間の軸間距離L1(
図4参照)を調整することが可能であり、そのために、以下のような「軸間距離調整機構」を備えている。
 
【0034】
  図2に示すように、載置天板42には、ガイド溝孔42Mが貫通形成されている。ガイド溝孔42Mは、載置天板42を上下方向に貫通しかつ、回転砥石20A,20Bの回転軸J1,J2に対して前方から接離する第1水平方向Xに延びている(
図5(B)参照)。
 
【0035】
  図3に示すように、ばね保持移動機構50のメインボディ51は、ガイド溝孔42Mを上下に貫通しており、そのメインボディ51の下端寄り位置から水平に張り出した水平プレート52が、載置天板42の水平な上面に載置されている。また、ガイド溝孔42Mにおける第2水平方向Yの両内側面は、メインボディ51の外側面と当接しており、第1水平方向Xへのメインボディ51の移動が許容される一方で、第1水平方向X以外の水平方向へのメインボディ51の移動が規制される。また、載置天板42の上面でメインボディ51の水平プレート52を水平移動させることができるから、回転テーブル54の回転軸J3と回転砥石20A,20Bの回転軸J2,J3とを互いに平行な状態に保つことができる。なお、支持台40(より正確には、載置天板42)が本発明の「固定摺接部」に相当し、水平プレート52の下面が本発明の「摺接面」に相当する。また、ガイド溝孔42Mは、本発明の「第1ガイド」に相当する。
 
【0036】
  ばね保持移動機構50のうち減速機57は、支持台40の内側の空間部46に配置されており、テーブル駆動モータ56の一部は、前記したようにサイドパネル41に形成された開口部41Aから支持台40の外部に突出している。そして、第1水平方向Xにおけるメインボディ51の移動に対応するため、開口部41Aは、第1水平方向Xに延びた横長形状をなしている(
図2参照)。
 
【0037】
  載置天板42のうち、第1水平方向Xにおける回転砥石20A,20B寄り位置からは、第1垂直壁43が起立している。第1垂直壁43は、軸間距離L1を縮める方向でばね保持移動機構50を移動させた場合に、メインボディ51の側面と当接してそれ以上の移動を禁止するストッパであり、メインボディ51と回転砥石20Bとが干渉することを防止する。
 
【0038】
  また、載置天板42のうち、ばね保持移動機構50を挟んで第1垂直壁43とは反対側の位置には第2垂直壁44が設けられている。第2垂直壁44は、載置天板42の上面から突出しており、その第2垂直壁44に、操作ハンドル45が回転可能に支持されている。操作ハンドル45は、第1水平方向Xと平行に延びたねじ軸45Jを備え、そのねじ軸45Jが、水平プレート52の前端部に固定されたナット55に螺合して「ボールねじ機構」が構成されている。即ち、操作ハンドル45の回転操作力が、ボールねじ機構(本発明の「動力変換付与機構」に相当する)によって第1水平方向Xへの推進力に変換されて、ばね保持移動機構50に付与される。これにより、ばね保持移動機構50の移動作業を容易に行うことが可能になる。
 
【0039】
  図5(B)に示すように、載置天板42には、載置天板42を上下方向で貫通した複数の嵌合孔42A(本発明の「位置決め孔」に相当する)が形成されている。具体的には、複数(本実施形態では、例えば3つ以上)の嵌合孔42Aが、第1水平方向Xに沿って所定の間隔で配置されており、各嵌合孔42Aが、第2水平方向Yで対をなしている。換言すれば、第2水平方向Yで並んだ2つの嵌合孔42A,42Aを1組として複数組(本実施形態では、例えば3組以上)の嵌合孔42A,42Aが第1水平方向Xに沿って所定の間隔で配置されている。
 
【0040】
  同様に、水平プレート52にも、水平プレート52を上下方向に貫通した複数の嵌合孔52A(本発明の「位置決め孔」に相当する)が形成されている。具体的には、
図5(A)に示すように、複数(本実施形態では、例えば3つ)の嵌合孔52Aが、第1水平方向Xに沿って所定の間隔で配置されており、各嵌合孔52Aが、第2水平方向Yで対をなしている。換言すれば、第2水平方向Yで並んだ2つの嵌合孔52A,52Aを1組として複数組(本実施形態では、例えば3組)の嵌合孔52A,52Aが第1水平方向Xに沿って所定の間隔で配置されている。
 
【0041】
  図6に示すように、ばね保持移動機構50は、第1水平方向Xにおける少なくとも1箇所で(少なくとも1組の)嵌合孔42A,52A同士が上下方向で整合して、それら整合した嵌合孔42A,52Aに対して位置決めピン61が嵌合している。これら嵌合孔42A,52Aと位置決めピン61とが、本発明における「第1位置決め部」に相当し、これらの嵌合によってばね保持移動機構50が支持台40に対して位置決めされている。また、位置決めピン61による位置決めがなされた状態で、図示しないボルト等の締結部品で水平プレート52と載置天板42とが固定されている。
 
【0042】
  ここで、図示しないが、水平プレート52と載置天板42の双方には、位置合わせ用の目印が付されており、それら目印を一致させると嵌合孔42A,52A同士が整合すると共に、予め定められた所定の軸間距離L1になるように構成されている。なお、本実施形態では互いに整合した複数の嵌合孔42A,52Aの全てに位置決めピン61を嵌合させているが(
図6参照)、ばね保持移動機構50は、第1水平方向X以外の水平方向への移動が規制されているから、互いに整合した複数の嵌合孔42A,52Aのうちの少なくとも1つに位置決めピン61を嵌合させれば、ばね保持移動機構50を第1水平方向Xで位置決めすることが可能である。
 
【0043】
  以上が本実施形態の構成の説明である。次に本実施形態の作用効果を説明する。前述したように、従来のばね研削装置は、メーカー毎に軸間距離L1が異なっている。そこで、従来のばね研削装置を保有するユーザーが、本実施形態のばね研削装置10を導入する場合には、現在保有するばね研削装置の軸間距離L1を調べておき、その軸間距離L1と同じになるように、本実施形態のばね研削装置10のばね保持移動機構50の位置を調整する。
 
【0044】
  具体的には、操作ハンドル45を回転操作して、ばね保持移動機構50を支持台40上で第1水平方向Xにスライドさせ、載置天板42に付された目印と水平プレート52に付された目印とを一致させて目的の軸間距離L1とする。すると、水平プレート52に形成された複数の嵌合孔52Aと、載置天板42に形成された複数の嵌合孔42Aとが整合するので、それら整合した嵌合孔42A,52Aに位置決めピン61を嵌合させて、ばね保持移動機構50を支持台40に対して位置決め及び固定する。これにより、ばね研削装置10の軸間距離L1が決定される。軸間距離L1が決定したら、ユーザーが保有している回転テーブル54をテーブル駆動軸53の上端部に固定する。
 
【0045】
  なお、ばね下端支持盤60は、想定される全ての回転テーブル54に対応可能なものを予め取り付けておいてもよいし、軸間距離L1(回転テーブル54の外径)に応じてばね下端支持盤60を複数種類用意しておき、軸間距離L1の調整時に、必要に応じてばね下端支持盤60の交換を行うようにしてもよい。
 
【0046】
  このように本実施形態のばね研削装置10によれば、回転テーブル54の回転軸J3と回転砥石20A,20Bの回転軸J1,J2との間の軸間距離L1を任意に調整することができるから、ユーザーが既に保有している回転テーブル54を使用することが可能になる。即ち、ばね研削装置のユーザーは、本実施形態のばね研削装置10を導入する際に、新たに回転テーブル54を導入する必要がないから、回転テーブル54の保有数を抑えることが可能になる。また、本実施形態のばね研削装置10を、現在保有するばね研削装置と入れ替える際には、既に保有している回転テーブル54をそのまま流用することが可能になる。
 
【0047】
  [他の実施形態]
  本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
 
【0048】
  (1)上記実施形態では、ばね保持移動機構50の水平プレート52を貫通した嵌合孔52Aと、支持台40の載置天板42に形成された嵌合孔42Aとに位置決めピン61を嵌合させることで、ばね保持移動機構50を支持台40に対して第1水平方向Xで位置決めしていたが、例えば、
図8に示すように、載置天板42の嵌合孔42Aに嵌合した位置決めピン61に対して、水平プレート52が側方(第1水平方向X)から当接することで、支持台40に対してばね保持移動機構50が位置決めされるように構成してもよい。このときの嵌合孔42Aは、本発明の「ピン取付部」に相当し、位置決めピン61は、「第1位置決め部」に相当する。
 
【0049】
  (2)上記実施形態では、位置決めピン61によって、ばね保持移動機構50を第1水平方向Xにおける複数の位置に位置決め可能としていたが、水平プレート52と載置天板42との摩擦係合によってばね保持移動機構50の移動を防止することができる場合には、位置決めピン61等の位置決め手段を設けず、より細かい位置調整が行えるようにしてもよい。
 
【0050】
  (3)上記実施形態では、第1水平方向Xに沿って並んだ3つ以上複数の嵌合孔42A,52Aが、第2水平方向Yで対をなすように設けられていたが、第2水平方向Yの一方側だけに、複数の嵌合孔42A,52Aを設けてもよい。
 
【0051】
  (4)また、第2水平方向Yで対をなした複数対の嵌合孔42A,42Aを載置天板42に形成して、それら複数対の嵌合孔42A,42Aを第1水平方向Xに沿って所定の間隔で配置すると共に、第2水平方向Yで対をなした1対の嵌合孔52A,52Aを水平プレート52に形成し、1対の嵌合孔52A,52Aに嵌合した位置決めピン61,61を、複数対のうちの何れか1対の嵌合孔42A,42Aに嵌合させることで、ばね保持移動機構50を第1水平方向Xにおける複数の位置で位置決め可能な構成としてもよい。
 
【0052】
  (5)上記実施形態では、本発明の「動力変換付与機構」としてボールねじ機構を備えていたが、これに限定するものではなく、動力変換付与機構は、例えば、クランクスライダ機構やラックアンドピニオン機構でもよい。また、モータやエアシリンダ、油圧シリンダなどの電動アクチュエータを備えて、それらを動力源にしてばね保持移動機構50の水平移動を行うようにしてもよい。さらに、操作ハンドル及び動力変換付与機構を排除した構成にしてもよい。
 
【0053】
  (6)上記実施形態では、位置決めピン61を嵌合孔42A,52Aに嵌合させてばね保持移動機構50の位置決めを行っていたが、嵌合孔42A,52Aの何れか一方又は両方を螺子孔に変更すると共に、位置決めピン61をボルトに変更してもよい。また、位置決めピン61とボルトを併用してもよい。
 
【0054】
  (7)上記実施形態では、ばね保持移動機構50に備えたメインボディ51が載置天板42に形成されたガイド溝孔42Mを貫通して、メインボディ51から側方に張り出した水平プレート52が載置天板42の上面に摺接可能に載置されていたが、ばね保持移動機構50の下端部に設けられた減速機57を載置天板42に摺接可能に載置してもよい。この場合には、減速機57の下端面から「移動突部」を突出させると共に、載置天板42に第1水平方向に延びたガイド溝孔を形成し、移動突部をガイド溝孔にスライド可能に受容させた構成にすればよい。
 
【0055】
  (8)上記実施形態では、フレーム11に対して上下動ベース12A,12Bを上下動させるためのスクリュージャッキ13A,13Bが、図示しない手回しハンドルの手動操作によって作動するように構成されていたが、スクリュージャッキ13A,13Bの動力源としてモータを備えていてもよい。