【課題を解決するための手段】
【0009】
プラスチック材料プリフォームをプラスチック材料容器へと成形するための本発明に係る機器は、キャビティを形成するブロー成形装置を有し、該キャビティ内で、プラスチック材料容器、特にプラスチックボトルを形成するべくプラスチック材料プリフォームを拡張させることができる。この場合、ブロー成形装置は、第1のブロー成形金型部品(特に、第1の側部部品)および第2のブロー成形金型部品(特に、第2の側部部品)、並びに、ベース部品を有し、これらの部品は、ブロー成形装置を開放または閉塞するべく互いに対して移動することができる。また、ブロー成形装置を保持するためのブロー成形金型キャリア装置が設けられ、ブロー成形金型キャリア装置は、第1のブロー成形金型部品を保持するための第1のキャリア部品と、第2のブロー成形金型部品を保持するための第2のキャリア部品とを有する。更に、機器は、ベース部品を保持するための第3のキャリア部品を有し、また、機器は、ベース部品を少なくともブロー成形金型部品に対して芯出しするために芯出し機構を有する。
【0010】
この場合、この芯出し機構は第1の係合要素を有し、該第1の係合要素は、突起の形態を成して形成されるとともに、凹部の形態を成して形成される第2の係合要素に対して移動でき、これらの係合要素のうちの一方が第3のキャリア部品に配置され、更に、凹部および突起は、送り動作中に突起が凹部内に係合できるように形成される。また、係合要素は、少なくとも所定時間にわたって接触面を介して接触し、この接触により、ベース部品は、プラスチック材料プリフォームの長手方向で支持される。
【0011】
本発明によれば、係合要素は、それらがブロー成形装置の閉塞動作中に少なくとも所定時間にわたり接触面に沿ってそれぞれ互いに接触させることができない或いは互いに接触しないように配置される。
【0012】
従来技術では、ブロー成形金型の側部部品の正に送り動作中に前述した斜めの面によりベース部品も2つの他のブロー成形部品の方向に押し進められなければならないことが提案されるのに対し、ここでは、対照的に、特に、斜めの面同士の間のこのタイプの接触が開閉動作中であっても行われるべきでないことが提案される。このようにすると、前述した摩耗が減少される。
【0013】
好ましい実施形態の場合には、ベース部品のキャリアに凹部が形成され、他方では、この凹部内に突起が係合する。しかしながら、逆に、突起がベース部品に形成されて、凹部が対応する相補的な係合要素であることも想定し得る。凹部は、突起を少なくとも3つの方向で互いに直角に或いは0°とは異なる角度で取り囲む凹部であるとして理解されることが好ましいが、凹部を段差状の構造にすることもでき、その場合、突起は、例えば、この凹部の段差部で支持される。
【0014】
更なる有利な実施形態の場合、機器は、プラスチック材料プリフォーム内へ挿入され得る延伸ロッドも有する。この延伸ロッドは、特に、プラスチック材料プリフォームをこの場合にはその長手方向に延伸させるために使用される。
【0015】
更なる有利な実施形態の場合、機器は、拡張処理中にプラスチック材料プリフォームにガス媒体を、特にブロー成形エアーを作用させるために使用されるストレス付与装置も有する。
【0016】
更なる有利な実施形態の場合、機器は、ベース部品を2つのブロー成形金型部品へ送る送り装置も有する。
【0017】
また、係合要素を互いの方へ送る、特に突起を凹部内へ挿入する移動装置も設けられる。この場合、これらの係合要素をブロー成形金型キャリアの側部部品に配置して側部部品と共に移動させることができる。しかしながら、前述した係合要素がブロー成形金型キャリア部品に対して移動でき、それにより、係合要素がブロー成形装置の側部部品へのベース部品の能動的な送りを行うことができることも想定し得る。前述したように、係合要素が芯出し要素としての機能も果たすことが好ましい。この目的のため、2つの係合要素が好ましくは設けられ、これらの係合要素は、2つの異なる側から、特に2つの反対の側から、ベース部品の凹部またはキャリアのそれぞれへと至らされる。突起は、それが凹部に対して予め設定されたクリアランスを有するように形成されることが有益である。このことは、突起が特にプラスチック材料プリフォームの長手方向で凹部内へ特定の度合いまで移動できることが好ましいことを意味する。
【0018】
係合要素は、全体の閉塞動作中および好ましくは開放動作中にも係合要素間で接触が行われない、特に前述した第1の接触面に沿って接触が行われないように配置されおよび/または形成されることが有益である。方法に関して、2つの係合要素の互いへの送り(特に接触面を形成するため)は、閉塞処理が行われた後にのみ行われる。
【0019】
従来技術とは異なり、ベース部品またはベース金型はそれぞれ、特に金型半体または側部部品のそれぞれに取り付けられる円錐状の芯出し部を介してもはや上昇されず、例えばローラまたはカムなどの更なる駆動手段によって更に高く位置される。ベース部品の能動的なより高い位置決めの結果として、好ましくは、開閉動作時にこれらの構成要素間で接触が行われない。この場合、開放動作および/または閉塞動作中のこれらの2つの構成要素間の距離は、好ましくは0.01mm〜1mm、好ましくは0.02mm〜0.8mm、好ましくは0.05mm〜0.5mm、特に好ましい態様では約0.1mmである。この距離は、一方では作業動作時に信頼できる態様で接触を防止するために、しかしながら他方ではベース部品と係合要素との間で過度なクリアランスを許容しないために、特に有利であることが分かってきた。
【0020】
この場合、互いに協働する面を水平面または平面にそれぞれすることができる。金型キャリアまたはブロー成形金型キャリア装置それぞれが開放または閉塞された後、ベース部品またはベースの芯出しが再び適用されることが好ましい。このようにすると、係合要素間の隙間が閉じられる。
【0021】
機器が中心ベースカムを有する場合、これは、その後にベースカムがこのタイプの送り要素ともはや係合しないため、問題にはなり得ない。ベース作動と金型キャリアの動作との結合の結果として、ブロー成形圧力が生じている場合であっても移行できるように、前述した下側カムローラを可動態様で装着できることが好ましい。
【0022】
係合要素は、特にプラスチック材料容器の長手方向に、ブロー成形装置の完全閉塞とブロー成形装置の開放動作の開始との間の所定期間内の少なくとも所定時間にわたって、互いに対して移動することが好ましい。
【0023】
したがって、芯出し装置は、容器内の内圧から生じる力を吸収するとともに、それらの力を特に例えば金型外殻、金型キャリア外殻、金型キャリア、または、金型キャリア半体に締結される他の構成要素などの他の要素へとそらすことが好ましい。また、しかしながら、前述したように、このベース芯出し部は、ブロー成形金型キャリア部品またはブロー成形装置のそれぞれの閉塞動作中に、特にそれがそこで閉塞動作の終了または開放動作の開始のそれぞれまで前述した構成要素または適合要素と接触しないように位置される。
【0024】
言い換えると、係合要素間の金型隙間は、ブロー成形処理中よりも閉塞動作中において大きいことが好ましい。
【0025】
更なる有利な実施形態の場合、成形装置は、可動キャリア上に配置され、特に回転可能なキャリアまたはブロー成形ホイールのそれぞれに配置される。
【0026】
機器がクリーンルームも有することが有益であり、クリーンルーム内でプラスチック材料プリフォームがプラスチック材料容器を形成するべく拡張される。本発明は、特にこのタイプのクリーンルーム用途に適している。これは、本発明が、一般にそれぞれクリーンルームにとって危険をもたらす、或いはクリーンルームを滅菌状態に維持するために危険をもたらす潤滑剤を無しで済ませるからである。前述した複数の成形装置を前述した回転可能なキャリアに配置することが有益である。
【0027】
更なる有利な実施形態の場合、このクリーンルームは、クリーンルームを境界付ける複数の壁を有する。この場合、これらの壁のうちの少なくとも2つを互いに対して移動できるようにすることが有益である。壁のうちの一方を他方の壁に対して回転可能に移動できるようにする、すなわち、特に、ブロー成形ホイールの回転軸に対して回転可能に移動できるようにすることが好ましい。
【0028】
更なる有利な実施形態の場合、クリーンルームまたは滅菌ルームのそれぞれを(非滅菌)環境から密閉するシール装置も設けられる。
【0029】
更なる有利な実施形態の場合、このシール装置は、ガスシールおよび/またはいわゆるサージチャンバである。
【0030】
更なる有利な実施形態の場合、ベース部品は、ブロー成形装置の閉塞動作中に少なくとも所定時間にわたって実際の成形処理中よりも側部部品(すなわち、第1および第2のブロー成形装置)の方へ近づいて配置される。このことは、最初にブロー成形金型が閉じられた後、ブロー成形金型のベース部品が芯出し部またはその突起にそれぞれ押し付けられることを意味する。したがって、一般に、ベース部品は、開放および/または閉塞処理中において成形処理中よりも高く位置されることが好ましい。
【0031】
ベース部品は、全体の閉塞動作中においては、成形処理中よりも側部部品またはブロー成形金型部品に近づいて位置されることが有益である。前述したように、ベース部品は、閉塞処理後にのみ側部部品から(僅かに)離されることが有益である。
【0032】
ブロー成形装置のベース部品と前述した側部部品またはブロー成形金型部品のそれぞれとの間の距離は、−特にブロー成形処理中であっても−0.01mm〜1mm、好ましくは0.02mm〜0.8mm、好ましくは0.05mm〜0.5mm、特に好ましい態様では約0.1mmであることが有益である。このように、側部部品とベース部品との間の金型隙間は、閉塞動作中においては少なくとも所定時間にわたりブロー成形処理中よりも小さいことが好ましい。
【0033】
更なる有利な実施形態の場合、機器は、一方の係合要素をプラスチック材料プリフォームの長手方向で他方の係合要素に対して移動させるために駆動装置を有する。前述したように、この駆動装置は、ベース部品を特にプラスチック材料プリフォームの長手方向に移動させる駆動装置であることが好ましい。
【0034】
更なる有利な実施形態の場合、この駆動装置は、固定されるように配置されるガイドカムを有する。しかしながら、電気的、磁気的、液圧的、または、空気圧的なドライブを使用することも想定し得る。
【0035】
更なる有利な実施形態の場合には、ブロー成形装置の閉塞状態において、接触面または金型隙間のそれぞれが係合要素間で略水平方向に延びる。このことは、前述した接触面が好ましくは水平面内で延びることを意味する。このようにすると、金型隙間が開放動作自体または閉塞自体のそれぞれによって影響されないため、金型隙間を非常に小さく維持できる。この場合、“略水平”とは、この接触面の平面が水平面から10°未満だけ、好ましくは5°未満だけ、特に好ましい態様では3°未満だけ、好ましくは2°未満だけ、好ましくは1°未満だけそれることであるとして理解される。正確に水平の方向が存在することが有益である。
【0036】
このように、ベース芯出し部およびその適合部品は、力を吸収する輪郭が略水平にされるように形成されることが好ましい。
【0037】
係合要素の係合部分は、プラスチック材料プリフォームの長手方向に対して−150°未満の−外周角度に沿って延びることが好ましい。この外周角度は、120°未満、特に好ましい態様では100°未満であることが好ましい。言い換えると、ベース芯出し部がそれぞれの適合部品と接触している領域における被覆角度は、150°未満の角度を有する。
【0038】
更なる有利な実施形態の場合、係合要素、すなわち、ベース芯出し部および適合部品の相補的な断面輪郭は、容器内の内圧が加えられるときに力を吸収する表面と対向している領域がそれぞれの相補的な適合部品から距離を隔てるように形成される。このことは、前述したように、断面輪郭が互いに対してクリアランスを有することを意味する。
【0039】
更なる有利な実施形態の場合、係合要素の互いに対する当接を達成するためにベース部品をそれぞれ移動させる、または作動させる、或いはベース部品を能動的に下降させるドライブは、いくら遅くとも容器内の内圧がベース部品に作用し始める瞬間に能動的である。ベース部品をそれぞれ移動させる、または作動させる、或いはベース金型を上昇させる前述したドライブは、いくら遅くともブロー成形金型キャリア部品が開放し始める前の瞬間からもはや能動的でないことが有益である。ブロー成形中に或いはボトル内の内圧が加えられる間にそれぞれベース金型を移動させるための駆動装置は、ベース部品のキャリアに或いはベース部品にそれぞれ結合されないことが有益である。
【0040】
更なる有利な実施形態の場合、容器内の内圧がブロー成形装置のベース部品に印加される間に駆動装置がベース部品を上昇位置に保持することもできる。しかしながら、この場合には、ベース部品と駆動装置との間の荷重鎖(load chain)中に置かれるとともに、容器内の内圧による力の作用の結果として所定の態様で変形され、それにより、ベース部品がそれぞれの力伝達手段の係合要素または適合部品のそれぞれと当接できるようにする要素が設けられることが好ましい。
【0041】
プラスチック材料プリフォームの長手方向に対して垂直に延びる金型隙間が成形処理中に少なくとも一方の側部部品とベース部品との間に存在することが有益である。
【0042】
また、本発明は、プラスチック材料プリフォームをプラスチック材料容器へと、特にプラスチックボトルへと成形する方法に関する。この場合、プラスチック材料プリフォームはブロー成形装置内へ導入され、このブロー成形装置内で、プラスチック材料プリフォームは、流動性を有する媒体、特にガス媒体の作用によりプラスチック材料容器へと成形される。この場合、ブロー成形装置は、少なくとも1つの第1のブロー成形金型部品および1つの第2のブロー成形金型部品、特に2つの側部部品と、ベース部品とを有し、これらの部品は共同でキャビティを形成し、該キャビティ内でプラスチック材料プリフォームがプラスチック材料容器へと形成される。
【0043】
また、キャリア部品上に配置されるブロー成形金型部品は、ブロー成形装置の閉塞処理のために順々に押し進められ、この場合、ベース部品がブロー成形金型部品に対して更に芯出しされ、この芯出し処理のために、突起の形態を成して形成される第1の係合要素が凹部の形態を成して形成される第2の係合要素に対して移動され、これらの係合要素のうちの一方は、ベース部品を保持するために使用される第3のキャリア部品上に配置される。また、凹部および突起は、送り動作中に突起が凹部内に係合するように形成され、係合要素は、成形処理中に少なくとも所定時間にわたって第1の接触面を介して接触し、また、ベース部品は、この接触により、プラスチック材料プリフォームの長手方向で支持される。
【0044】
本発明によれば、前述した係合要素は、ブロー成形装置の閉塞動作中および/またはブロー成形装置の開放動作中に少なくとも所定時間にわたって接触面に沿って互いに接触しない。係合要素は、この閉塞動作中に或いは閉塞動作の終了までの全ての事象においてそれぞれ接触面に沿って互いに接触しないことが有益である。
【0045】
係合要素は、ブロー成形装置の閉塞動作中および/またはブロー成形装置の開放動作中に少なくとも所定時間にわたって互いに接触しないことが有益である。
【0046】
したがって、方法に関しては、閉塞動作中に、好ましくは開放動作中においても、係合要素の接触、および、該接触に起因する摩耗が防止されることが提案される。
【0047】
更なる有利な実施形態の場合、ベース部品と側部部品との間の距離は、ブロー成形装置の閉塞処理の開始後およびブロー成形装置の開放処理の開始前に、少なくとも所定時間にわたって増大される。このことは、この距離が前述した成形処理中に少なくとも所定時間にわたり開放処理中および/または閉塞処理中よりも大きいことを意味する。このようにすると、前述したように、ベース部品とブロー成形金型部品または側部部品のそれぞれとの間の金型隙間がブロー成形処理中にそれぞれ形成され或いは広げられる。
【0048】
更なる有利な実施形態の場合、係合要素は、ブロー成形装置の閉塞処理の開始後およびブロー成形装置の開放処理の開始前に、拡張されるべきプラスチック材料プリフォームの長手方向で互いに対して移動される。
更なる利点および実施形態は、添付図面から明らかである。