(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-155217(P2015-155217A)
(43)【公開日】2015年8月27日
(54)【発明の名称】ワイパーアーム
(51)【国際特許分類】
B60S 1/34 20060101AFI20150731BHJP
【FI】
B60S1/34 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-30066(P2014-30066)
(22)【出願日】2014年2月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000230515
【氏名又は名称】日本ワイパブレード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】大内 勝広
【テーマコード(参考)】
3D025
【Fターム(参考)】
3D025AA01
3D025AC01
3D025AD01
3D025AE04
3D025AE05
(57)【要約】
【課題】 アームヘッドに対してアーム本体を回動可能に連結するとともに、アームヘッドとアーム本体の間にバネ部材を設けたワイパーアームにおいて、十分な機械的強度を維持しつつ薄型化を図り得るワイパーアームを提供する。
【解決手段】 リテーナ3のヘッド連結部21に、ピボット軸穴31にまで達する空隙部33を設ける一方、アームヘッド2のピボット軸部14に、凹部14Aを設け、リテーナ3を回動させたときに、コイルスプリング4の直線部4が空隙部33から凹部14Aにかけて動き、リテーナ3が起立位置に達した時には、直線部が凹部14A内に配置されるようにする。ピボット軸部14には、空隙部33内に配置されて、空隙部33の両側の分離片33,35と接する突片部14Bを設ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピボット軸部を有するアームヘッドと、
前記ピボット軸部が回動可能に嵌合するピボット軸穴を備えたアーム本体と、
前記前記アームヘッドと前記アーム本体との間に設けられるバネ部材と
を備えたワイパーアームにおいて、
前記アーム本体に、前記ピボット軸穴にまで達する空隙部を備え、前記アーム本体が前記ピボット軸部の周りで回動したときに、前記バネ部材の一部が前記空隙部内に配置され得るようにしたワイパーアーム。
【請求項2】
前記ピボット軸部に、前記空隙部と整合した位置に配置されるように凹部を形成し、前記アーム本体が前記ピボット軸部の周りで回動したときに、前記バネ部材の一部が前記凹部内に配置され得るようにした請求項1に記載のワイパーアーム。
【請求項3】
前記アーム本体の一部に、前記空隙部の両側に分離された分割片を備えるとともに、前記分割片の間に、前記分割片の機械的強度を補強するための補強部を備えた請求項1又は請求項2に記載のワイパーアーム。
【請求項4】
前記補強部は、前記両側の分割片に接するように前記空隙部内に配置されている請求項3に記載のワイパーアーム。
【請求項5】
前記補強部は、前記ピボット軸部に設けられている請求項4に記載のワイパーアーム。
【請求項6】
前記補強部は、前記分離片を連結する架橋部であり、前記架橋部は、前記分離片に対して前記ピボット軸穴側に設けられている請求項3に記載のワイパーアーム。
【請求項7】
前記補強部は、前記分離片の自由端付近に設けられている請求項3から請求項6のいずれか1項に記載のワイパーアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アームヘッドに対してアーム本体を回動可能に連結するとともに、アームヘッドとアーム本体の間にバネ部材を設けたワイパーアームに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイパー装置は、一般に、自動車のガラス面等の被払拭面を払拭するワイパーブレードと、ワイパーブレードを保持するワイパーアームと、ワイパーアームを駆動する駆動手段(駆動モータ)とから構成される。ワイパーアームは、駆動手段に対して連係されるアームヘッドと、アームヘッドに対して回動可能に連結されたアーム本体と、アームヘッドとアーム本体の間に設けられたバネ部材とを備え、アーム本体でワイパーブレードを保持するようになっている。
【0003】
図13及び
図14には、このような従来のワイパーアーム101を示す。図示されるように、ワイパーアーム101は、アームヘッド102と、アーム本体を構成するリテーナ103と、アームヘッド102とリテーナ103の間に介装されたコイルスプリング104とを備えている。
【0004】
図15にも示されるように、アームヘッド102には、ピボット軸102Aが設けられている。一方、
図16にも示すように、リテーナ103の基端部には、ピボット軸穴103Aが設けられ、このピボット軸穴103Aにピボット軸102Aが回動可能に嵌合される。これにより、リテーナ103はアームヘッド102に対して回動可能に連結され、
図13に示すようにアームヘッド102からほぼ真っすぐに延び出す通常使用位置と、
図14に示すようにアームヘッド2に対して起立した起立位置とを、選択的にとり得るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−045971号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなワイパーアーム101において、リテーナ103が通常使用位置から起立位置に向けて回動すると、コイルスプリング104の一部は、ピボット軸102A側に近づいていくことになる。そこで、従来のワイパーアーム101においては、リテーナ103を起立位置にしたときでも、コイルスプリング104がリテーナ103の基端部やアームヘッド102の軸部102Aと接触することのないように、リテーナ103の基端部の下面に、コイルスプリング104の一部が収容され得る凹部103Bを形成するとともに、コイルスプリング4のピボット軸部102Aと隣接する部分に、下側に湾曲したフック部104Aを設けるようになっている。
【0007】
しかしながら、このようにコイルスプリング4Aにフック部104Aを設けたのでは、リテーナ103を通常使用位置としたときに、フック部104がリテーナ103及びアームヘッド102の下側にはみ出してしまい、その分、ワイパーアーム101の厚みが増してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、アームヘッドに対してアーム本体を回動可能に連結するとともに、アームヘッドとアーム本体の間にバネ部材を設けたワイパーアームにおいて、十分な機械的強度を維持しつつ薄型化を図り得るワイパーアームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ピボット軸部を有するアームヘッドと、前記ピボット軸部が回動可能に嵌合するピボット軸穴を備えたアーム本体と、前記前記アームヘッドと前記アーム本体との間に設けられるバネ部材とを備えたワイパーアームにおいて、前記アーム本体に、前記ピボット軸穴にまで達する空隙部を備え、前記アーム本体が前記ピボット軸部の周りで回動したときに、前記バネ部材の一部が前記空隙部内に配置され得るようにした。
【0010】
前記ピボット軸部に、前記空隙部と整合した位置に配置されるように凹部を形成し、前記アーム本体が前記ピボット軸部の周りで回動したときに、前記バネ部材の一部が前記凹部内に配置され得るようにしてもよい。
【0011】
前記アーム本体の一部に、前記空隙部の両側に分離された分割片を備えるとともに、前記分割片の間に、前記分割片の機械的強度を補強するための補強部を備えてもよい。
【0012】
前記補強部は、前記両側の分割片に接するように前記空隙部内に配置されていてもよい。
【0013】
前記補強部は、前記ピボット軸に設けられていてもよい。
【0014】
前記補強部は、前記分離片を連結する架橋部であり、前記架橋部は、前記分離片に対して前記ピボット軸穴側に設けられていようにしてもよい。
【0015】
前記補強部は、前記分離片の自由端付近に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ワイパーアーム(例えばワイパーアーム1又はワイパーアーム40)のアーム本体(例えばリテーナ3)に、ピボット軸穴(例えばピボット軸穴31)にまで達する空隙部(例えば空隙部33)を形成し、バネ部材(例えばコイルスプリング4)の一部(例えば直線部4C)が空隙部内に配置され得るようにしたので、アーム本体が回動したときに、バネ部材の一部は、ピボット軸穴に至る位置まで、ワイパーアームの内側に向けて動くことができる。更に、アームヘッド(例えばアームヘッド2)のピボット軸部(例えばピボット軸部14)に、空隙部に整合した位置に設けられる凹部(例えば凹部14A)を備えれば、バネ部材の一部は、凹部内に至るまで動くことができる。したがって、バネ部材とワイパーアームの他の部分との接触を避けるために、バネ部材に湾曲部分(例えばフック部104A)を設ける必要が無くなり、アーム本体の回動位置に関わらず、バネ部材の全体をアーム本体及びアームヘッドの内側に配置され得るようにできる。よって、結果として、ワイパーアームの薄型化を図ることができる。
【0017】
また、空隙部によって分離された分割片(例えば分割片34、35)の機械的強度を補強する補強部(例えば突片部14B又は架橋部41)を設ければ、空隙部を設けたことによる機械的強度の低下を補うことができ、十分な機械的強度を維持しつつワイパーアームの薄型化を図ることができる。特に、補強部(例えば突片部14B)が、両側の分割片に接触するように空隙部内に配置すれば、分割片の撓みを確実に防止できるので、分割片の機械的強度を効果的に補うことができる。
【0018】
また、補強部(例えば突片部14B)をピボット軸部に設けるようにすれば、アーム本体の回動時において、補強部とバネ部材の接触を確実に回避する構成をとることができ、切欠き部内に配置される補強部を合理的に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるワイパーアームを示す側面図である。
【
図2】同じくワイパーアームを示す断面図であり、リテーナが通常使用位置にある状態を示す図である。
【
図3】同じくワイパーアームの一部を示す断面図であり、リテーナが通常使用位置にある状態を示す図である。
【
図4】
図3のA−A断面図であり、アームヘッドとリテーナとの連結部分の断面を示す図である。
【
図5】
図3のB−B断面図であり、リテーナの後端部分の断面を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態におけるワイパーアームを示す断面図であり、リテーナが起立位置にある状態を示す図である。
【
図7】同じくワイパーアームの一部を示す断面図であり、リテーナが起立位置にある状態を示す図である。
【
図8】同じくアームヘッド本体を上側から見た斜視図である。
【
図9】同じくアームヘッド本体を下側から見た斜視図である。
【
図10】同じくリテーナの基端部付近を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態におけるワイパーアームの断面図であり、リテーナの後端部分の断面を示す図である。
【
図12】同じくリテーナの一部を示す斜視図である。
【
図13】従来のワイパーアームを示す断面図であり、リテーナが通常使用位置にある状態を示す図である。
【
図14】従来のワイパーアームを示す断面図であり、リテーナが起立位置にある状態を示す図である。
【
図15】従来のワイパーアームにおけるアームヘッドを示す斜視図である。
【
図16】従来のワイパーアームにおけるリテーナの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
図1から
図7には、本発明の第1実施形態のワイパーアーム1を示す。図示されるように、ワイパーアーム1は、アームヘッド2と、アームヘッド2に対して回動可能に連結されたリテーナ3と、アームヘッド2とリテーナ3との間に介装されたコイルスプリング4とを備えている。
【0021】
アームヘッド2は、ワイパーアーム1の基端(後端)部分を構成する部材であり、ヘッド本体5と、ヘッド本体5を被覆するヘッドカバー6から構成されている。
図8及び
図9にも単独で示すように、ヘッド本体5は、略円柱形状の基端部11と、基端部11から前方(リテーナ3側)に延び出す両側の腕部12、13とを備えている。腕部12と13の間には、ピボット軸部14とスプリング係止部15が架け渡されている。
【0022】
基端部11の中央には、上下方向に貫通する連結軸穴11Aが形成されている。この連結軸穴11Aに対して、図示されない駆動機構の連結軸が結合されることにより、ワイパーアーム1と駆動機構の連係がなされるようになっている。
【0023】
ピボット軸部14は、略半円柱形状を有しており、腕部12、13の先端部付近に架け渡されている。ピボット軸部14の湾曲した下側面には、前後方向(ワイパーアーム1の長手方向)に延びる溝形状の凹部14Aが形成されている。また、ピボット軸部14の凹部14の後端部(基端部11側の端部)付近には、外周方向に延び出す突片部14Bが設けられている。
【0024】
スプリング係止部15は、腕部12、13の基端付近にそれぞれ設けられた肉厚部12A、13Aの間に架け渡されている。これにより、スプリング係止部15は、ピボット軸部14よりも下側且つ後方(基端部11側)に位置するように、ヘッド本体5の下端付近に配置されている。
【0025】
図1から
図7に示すように、リテーナ3は、ワイパーアーム1の中間部分から前端部分を構成する長尺状の部材であり、基端(後端)側のヘッド連結部21と、ヘッド連結部21から延びる本体部22と、本体部22の先端(前端)に設けられたブレード連結部23とを備えている。ブレード連結部23は、図示されないワイパーブレードが連結される部分であり、これにより、ワイパーブレードがリテーナ3に保持され得るようになっている。
【0026】
本体部22は、上壁22Aと、上壁22Aの両側から下方に延びる両側側壁22B、22Cとを備えており、上壁21と両側側壁22、23によりコの字型の空間部22Dが形成されている。上壁22Aの下向き面には、スプリング係止部24が設けられ、空間部22D内に配置されている。
【0027】
図10にも詳細に示すように、ヘッド連結部21には、左右方向に貫通したピボット軸穴31が形成されている。ピボット軸穴31は、アームヘッド2側の側面に切り欠かれた開口を有するC字型断面形状となっており、この開口からアームヘッド2のピボット軸部14がピボット軸穴31内に回動可能に嵌合されるようになっている。これにより、リテーナ3は、アームヘッド2に対してピボット軸部14の周りで回動可能に支持され、
図1から
図3に示すようなアームヘッド2からほぼ真っすぐに延び出す通常使用位置(ワイパーアーム1により保持されたワイパーブレードによって被払拭面の払拭が行われるときの位置)と、
図6及び
図7に示すようにアームヘッド2に対して起立した起立位置(ワイパーアーム1がいわゆるロックバック状態となる位置)との間で、回動動作を行い得るようになっている。
【0028】
ヘッド連結部21のピボット軸穴31よりも下側部分は、底部32を構成しており、この底部32には、上下方向に延びる切り欠き形状の空隙部33が形成されている。空隙部33は、アームヘッド2側に向けて開口しているとともに、ヘッド連結部21の下面からピボット軸穴31の内周面まで上下方向に貫通している。これにより、ヘッド連結部21の底部32は、左右両側の分割片34、35に分離されている。
【0029】
図4に示されるように、ヘッド連結部21の空隙部33と、ピボット軸部14の凹部14は、互いに整合した位置に形成されており、上下方向に連続したスリットを形成している。詳しくは後述するように、コイルスプリング4の一部(直線部4C)が、このスリット内に配置され、リテーナ3の回動動作に応じて、スリット内を上下に動き得るようになっている。
【0030】
図5にも示されるように、リテーナ3が通常使用位置にある場合、アームヘッド2の軸部14の突片部14Bは、リテーナ3のヘッド連結部21の空隙部33内に配置される(
図2及び
図3参照)。突片部14Bの幅は、空隙部33の幅と略同一となっており、これにより、突片部14Bの両側部は、空隙部33両側の分割片34、35に対して接触した状態となっている。これにより、突片部14Bは、2つの半部に分割されて機械的強度の弱まった分割片34、35を補強する補強部として機能する。この場合、突片部14Bは、分割片34、35の最も撓みの大きな自由端部(後端部)付近の内側に配置されるので、分割片34、35の内側への撓みを最も効果的に防止することができ、結果として、分割片34、35の機械的強度を効果的に補強することができる。
【0031】
図2及び
図3に示すように、コイルスプリング4は、コイル形状のスプリング本体4Aと、スプリング本体4Aの一端から延び出す係合部4Bと、スプリング本体4Aの他端から延び出す直線部4Cと、直線部4Cの先端に形成された係合部4Dとを備えている。係合部4Bは、リテーナ3のスプリング係止部24に、係合部4Dは、アームヘッド2のスプリング係止部15に、それぞれ係止される。これにより、コイルスプリング4は、アームヘッド2とリテーナ3との間に、適切なバネ力を及ぼすようになっている。
【0032】
詳しく説明すると、
図1から
図3に示すようにリテーナ3がアームヘッド2に対して通常使用位置にある場合、リテーナ3がアームヘッド2に対して起立する方向(図の時計回転方向)に回動しようとすると、コイルスプリング4は、このリテーナ3の回動に抗する力(図の反時計回転方向の力)を与える。これにより、リテーナ3に保持されたワイパーブレードは、被払拭面に対して適切に押し付けられることになる。一方、
図6及び
図7に示すようにリテーナ3がアームヘッド2に対して起立位置にある場合には、リテーナ3がアームヘッド2に対して通常使用位置方向(図の反時計回転方向)に回動しようとすると、コイルスプリング4は、リテーナ3に対して、起立位置に引き戻す方向の力(図の時計回転方向の力)を与える。これにより、リテーナ3は、起立位置に適切に保持され続けるようになっている。
【0033】
コイルスプリング4のスプリング本体4Aは、リテーナ3の空間部22D内に収容されている。一方、コイルスプリング4の直線部4Cは、スプリング本体4からアームヘッド2のスプリング係止部15に向けて延び出しており、リテーナ3が通常使用位置にあるとき、アームヘッド2の空隙部33の下端付近に配置され、リテーナ3及びアームヘッド2の下端に沿って延びている(
図2から
図4参照)。よって、リテーナ3が通常使用状態にあるときであっても、コイルスプリング4は、直線部4Cを含む全体がリテーナ3及びアームヘッド2の内側に収容された状態にあり、リテーナ3及びアームヘッド2の下端からはみ出して配置される部分は存在しない。
【0034】
一方、リテーナ3が起立位置に向けて回動すると、直線部4Cは、リテーナ3の空隙部33及びピボット軸部13の凹部13Aによって形成されたスリット内を、上方に向けて移動し、リテーナ3が起立位置に達すると、凹部13A内に配置された状態となる。したがって、リテーナ3の回動動作中、コイルスプリング4は、リテーナ3及びアームヘッド2の如何なる部分とも干渉することはない。
【0035】
このように、本発明のワイパーアーム1によれば、リテーナ3のヘッド連結部21の底部32に、ヘッド連結部21の底面からピボット軸穴31の内周面にまで至る空隙部33を設けるとともに、アームヘッド2のピボット軸部14に凹部14Aを設けているので、リテーナ3を起立位置に向けて回動すると、コイルスプリング4の一部(直線部4C)は、空隙部33と凹部14Aによって形成されたスリット内を上下方向に移動し、リテーナ3が起立位置に配置されたときには、ピボット軸部14の凹部14A内に配置されるようにできる。したがって、コイルスプリング4は、従来技術のようなフック部(
図13及び
図14のフック部104A参照)を備えなくても、アームヘッド2のピボット軸部14等と接触することはない。また、従来技術におけるフック部を直線部4Cとすることにより、リテーナ3が通常使用位置にあるときには、コイルスプリング4の全体が、リテーナ3及びアームヘッド2の内側に収容された状態とすることができる。よって、ワイパーアーム1を薄型化することが可能となる。
【0036】
また、ピボット軸部14に設けた突片部14Bが、リテーナ3の空隙部33両側の分割片34、35の間に配置されるようにし、分割片34、35の機械的強度を補強する補強部として機能するようにしたので、リテーナ3のヘッド連結部21に空隙部33を形成したことによる機械的強度の低下を適切に補うことができる。したがって、ワイパーアーム1の機械的強度を低下させることなく、ワイパーアーム1の薄型化を図ることができる。
【0037】
図11及び
図12には、本発明の第2実施形態のワイパーアーム40を示す。本実施形態のワイパーアーム40は、上記実施形態のワイパーアーム1と比較して、アームヘッド2の軸部14に突片部14Aを設ける代わりに、空隙部33の上側に、分割片34、35の間に架橋された架橋部41を備えた点でのみ異なるものである。図示されるように、架橋部41は、分離片34、35に対してピボット軸穴31側(すなわち、空隙部33に対してコイルスプリング4の直線部4Cが挿入される側(リテーナ3の下面側)とは反対側)に配置され、分離片34、35を連結している。ワイパーアーム40においては、架橋部41が補強部として機能し、分割片34、35の機械的強度を補うことができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ワイパーアーム
2 アームヘッド
3 リテーナ
4 コイルスプリング
5 ヘッド本体
6 ヘッドカバー
11 ヘッド本体の基端部
12 ヘッド本体の腕部
13 ヘッド本体の腕部
14 ヘッド本体のピボット軸部
14A ピボット軸部の凹部
14B ピボット軸部の突片部(補強部)
15 ヘッド本体のスプリング係止部
21 リテーナのヘッド連結部
22 リテーナの本体部
23 リテーナのブレード連結部
31 ヘッド連結部のピボット軸穴
32 ヘッド連結部の底部
33 ヘッド連結部の空隙部
34 ヘッド連結部の分割片
35 ヘッド連結部の分割片
【手続補正書】
【提出日】2015年2月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、ピボット軸部を有するアームヘッドと、前記ピボット軸部が回動可能に嵌合するピボット軸穴を備えたアーム本体と、
前記アームヘッドと前記アーム本体との間に設けられるバネ部材とを備えたワイパーアームにおいて、前記アーム本体に、前記ピボット軸穴にまで達する空隙部を備え、前記アーム本体が前記ピボット軸部の周りで回動したときに、前記バネ部材の一部が前記空隙部内に配置され得るように
するとともに、前記ピボット軸部に、前記空隙部と整合した位置に配置されるように凹部を形成し、前記アーム本体が前記ピボット軸部の周りで回動したときに、前記バネ部材の一部が前記凹部内に配置され得るようにした。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
前記補強部は、前記
分割片を連結する架橋部であり、前記架橋部は、前記
分割片に対して前記ピボット軸穴側に設けられていようにしてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
前記補強部は、前記
分割片の自由端付近に設けられていてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
ピボット軸部14は、略半円柱形状を有しており、腕部12、13の先端部付近に架け渡されている。ピボット軸部14の湾曲した下側面には、前後方向(ワイパーアーム1の長手方向)に延びる溝形状の凹部14Aが形成されている。また、ピボット軸部14の凹部
14Aの後端部(基端部11側の端部)付近には、外周方向に延び出す突片部14Bが設けられている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
本体部22は、上壁22Aと、上壁22Aの両側から下方に延びる両側側壁22B、22Cとを備えており、上壁21と両側側壁
22B、22Cによりコの字型の空間部22Dが形成されている。上壁22Aの下向き面には、スプリング係止部24が設けられ、空間部22D内に配置されている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
図4に示されるように、ヘッド連結部21の空隙部33と、ピボット軸部14の凹部
14Aは、互いに整合した位置に形成されており、上下方向に連続したスリットを形成している。詳しくは後述するように、コイルスプリング4の一部(直線部4C)が、このスリット内に配置され、リテーナ3の回動動作に応じて、スリット内を上下に動き得るようになっている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
一方、リテーナ3が起立位置に向けて回動すると、直線部4Cは、リテーナ3の空隙部33及びピボット軸部
14の凹部
14Aによって形成されたスリット内を、上方に向けて移動し、リテーナ3が起立位置に達すると、凹部
14A内に配置された状態となる。したがって、リテーナ3の回動動作中、コイルスプリング4は、リテーナ3及びアームヘッド2の如何なる部分とも干渉することはない。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
図11及び
図12には、本発明の第2実施形態のワイパーアーム40を示す。本実施形態のワイパーアーム40は、上記実施形態のワイパーアーム1と比較して、アームヘッド2の軸部14に突片部
14Bを設ける代わりに、空隙部33の上側に、分割片34、35の間に架橋された架橋部41を備えた点でのみ異なるものである。図示されるように、架橋部41は、
分割片34、35に対してピボット軸穴31側(すなわち、空隙部33に対してコイルスプリング4の直線部4Cが挿入される側(リテーナ3の下面側)とは反対側)に配置され、
分割片34、35を連結している。ワイパーアーム40においては、架橋部41が補強部として機能し、分割片34、35の機械的強度を補うことができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピボット軸部を有するアームヘッドと、
前記ピボット軸部が回動可能に嵌合するピボット軸穴を備えたアーム本体と、
前記アームヘッドと前記アーム本体との間に設けられるバネ部材と
を備えたワイパーアームにおいて、
前記アーム本体に、前記ピボット軸穴にまで達する空隙部を備え、前記アーム本体が前記ピボット軸部の周りで回動したときに、前記バネ部材の一部が前記空隙部内に配置され得るようにするとともに、
前記ピボット軸部に、前記空隙部と整合した位置に配置されるように凹部を形成し、前記アーム本体が前記ピボット軸部の周りで回動したときに、前記バネ部材の一部が前記凹部内に配置され得るようにしたワイパーアーム。
【請求項2】
前記アーム本体の一部に、前記空隙部の両側に分離された分割片を備えるとともに、前記分割片の間に、前記分割片の機械的強度を補強するための補強部を備えた請求項1に記載のワイパーアーム。
【請求項3】
前記補強部は、前記両側の分割片に接するように前記空隙部内に配置されている請求項2に記載のワイパーアーム。
【請求項4】
前記補強部は、前記ピボット軸部に設けられている請求項3に記載のワイパーアーム。
【請求項5】
前記補強部は、前記分割片を連結する架橋部であり、前記架橋部は、前記分割片に対して前記ピボット軸穴側に設けられている請求項2に記載のワイパーアーム。
【請求項6】
前記補強部は、前記分割片の自由端付近に設けられている請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のワイパーアーム。
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正15】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正16】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正17】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正18】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2015年5月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記アーム本体の一部に、前記空隙部の両側に分離された分割片を備えるとともに、前記分割片の間に、前記分割片の
構造上の機械的強度を補強するための補強部を備えてもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピボット軸部を有するアームヘッドと、
前記ピボット軸部が回動可能に嵌合するピボット軸穴を備えたアーム本体と、
前記アームヘッドと前記アーム本体との間に設けられるバネ部材と
を備えたワイパーアームにおいて、
前記アーム本体に、前記ピボット軸穴にまで達する空隙部を備え、前記アーム本体が前記ピボット軸部の周りで回動したときに、前記バネ部材の一部が前記空隙部内に配置され得るようにするとともに、
前記ピボット軸部に、前記空隙部と整合した位置に配置されるように凹部を形成し、前記アーム本体が前記ピボット軸部の周りで回動したときに、前記バネ部材の一部が前記凹部内に配置され得るようにしたワイパーアーム。
【請求項2】
前記アーム本体の一部に、前記空隙部の両側に分離された分割片を備えるとともに、前記分割片の間に、前記分割片の構造上の機械的強度を補強するための補強部を備えた請求項1に記載のワイパーアーム。
【請求項3】
前記補強部は、前記両側の分割片に接するように前記空隙部内に配置されている請求項2に記載のワイパーアーム。
【請求項4】
前記補強部は、前記ピボット軸部に設けられている請求項3に記載のワイパーアーム。
【請求項5】
前記補強部は、前記分割片を連結する架橋部であり、前記架橋部は、前記分割片に対して前記ピボット軸穴側に設けられている請求項2に記載のワイパーアーム。
【請求項6】
前記補強部は、前記分割片の自由端付近に設けられている請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のワイパーアーム。