【解決手段】開口部装置と外壁材間の目地構造に用いられる複数のベース部材であって、複数のベース部材(角部端部ベース部材20A、中間部ベース部材30)は、開口部装置の周囲に沿って隣接して一列に配置されており、各ベース部材に設けたパッキン材同士が隣接し、隣接するパッキン材間(境界部44)に位置するための隣接間パッキン材P6が、隣接するベース部材のどちらか一方に設けられ、隣接間パッキン材P6は、パッキン材間位置と、パッキン材間位置から離れる退避位置に切替可能とした、開口部装置と外壁材間の目地構造に用いる複数のベース部材とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した構成のように、境界部において連続的にパッキンを配置するための構成として、端部ベース部材とベースカバー材を別部材で構成する場合には、部品点数が多く、施工現場での施工性や、部品管理の容易性の観点から改良が望まれる。
【0008】
そこで、端部ベース部材に隣接間パッキン材を備える部位を設け、ベースカバー材を省略することが考えられるが、この場合、中間部ベース部材を設置した後に端部ベース部材を取り付ける施工手順となってしまう。つまり、端部ベース部材が先に取付けられてしまうと、隣接間パッキン材を備える部位が邪魔になって、中間部ベース部材を端部ベース部材に重ねるように設置することができないものとなる。
【0009】
また、この場合、開口部装置の二つの角部に端部ベース部材を設置した上で中間部ベース部材の長さ寸法を設定するといった施工手順が採れなくなり、中間部ベース部材の最適な寸法設定が困難なものとなる。そして、この場合、境界部の隙間が大きくなってしまい、止水性が悪くなってしまうことも懸念される。
【0010】
そこで、本発明は以上の問題に鑑み、ベース部材を用いた目地構造について新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、請求項1に記載のごとく、
開口部装置と外壁材間の目地構造に用いられる複数のベース部材であって、
前記複数のベース部材は、
開口部装置の周囲に沿って隣接して一列に配置されており、
前記各ベース部材に設けたパッキン材同士が隣接し、
隣接するパッキン材間に位置するための隣接間パッキン材が、隣接するベース部材のどちらか一方に設けられ、
前記隣接間パッキン材は、
パッキン材間位置と
前記パッキン材間位置から離れる退避位置に切替可能とした、
ことを特徴とするベース部材とするものである。
【0013】
また、請求項2に記載のごとく、
前記隣接間パッキン材の位置の切替は、前記隣接間パッキン材を回動させることで行われる、こととするものである。
【0014】
また、請求項3に記載のごとく、
開口部装置と外壁材間の目地構造に用いるベース部材の施工方法であって、
開口部装置の二つの角部にそれぞれ角部端部ベース部材を設置し、
前記角部端部ベース部材の間に中間部ベース部材を設置し、
前記角部端部ベース部材と中間部ベース部材にそれぞれ設けられるパッキン材の間の位置に、前記角部端部ベース部材又は前記中間部ベース部材に設けた隣接間パッキン材を配置させる、開口部装置と外壁材間の目地構造に用いるベース部材の施工方法とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
即ち、請求項1に記載の発明においては、ベース部材を隣同士に配置する際に、隣接間パッキン材を退避させて各ベース部材のパッキン材を隣接させた後、隣接するパッキン材間に隣接間パッキン材を配置することができる。隣接間パッキン材を一時的に退避させることで、ベース部材を取り付ける際において、ベース部材同士の干渉を防ぐことができる。また、隣接間パッキン材がベース部材と一体的に設けられているため、部品点数が少なくなり施工性、部品管理の容易性を高めることができる。さらには、別部材とした場合に発生し得る部材の付け忘れといった不具合を無くすことができ、施工者によるバラつき防止も図ることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明においては、簡易な構成でパッキン位置の切替を実現することができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明においては、端部ベース部材を設置した上で中間部ベース部材の長さ寸法を設定するといった施工手順を採ることが可能となり、中間部ベース部材の最適な寸法設定や位置決めを容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
なお、説明中において、図面を参照した際の便宜のため、紙面右側を「右」、紙面左側を「左」、紙面上側を「上」、紙面下側を「下」とするが、これらの位置を特定するための用語は、具体的な構造を限定するためのものではない。
【0021】
図1は、本発明に係る目地工法における施工手順の概要について示すものである。
この施工手順の概要について上列左から順に説明すると、まず、図示せぬ躯体側に開口部装置1の枠10が取り付けられた状態となっている。この枠10は方形状に構成されており、各角部11A・11Bにおいて、それぞれ角部端部ベース部材20A・20B・20Cが押し当てられ、この角部端部ベース部材20A・20B・20Cが躯体側に固定される。次に、各角部端部ベース部材20A・20B・20Cの間の領域を塞ぐように、かつ、枠10に対して押し当てるようにして、中間部ベース部材30・30が躯体側に固定される。
【0022】
次に、
図1の下列左から順に示されるように、まず、開口部装置1の枠10の右下側を囲むように外壁材2Cが図示せぬ躯体側に留めつけられ、順次、上方に向けて外壁材2B・2Aが留めつけられる。次に、開口部装置1を外壁材2A・2B・2Cで囲むようにした状態で、角部端部ベース部材20A・20B・20C、中間ベース部材30・30と、各外壁材2A・2B・2Cの間に形成される溝状の隙間部について半液状のシーリング材50が充填される。次に、枠10の直線部と外壁材2A・2B・2Cの境界部分を上から覆うようにして、中間部化粧部材60が中間部ベース部材30に取り付けられる。最後に、枠10の角部11Aなどにおいて、角部化粧部材70が取り付けられて施工作業が完了する。
【0023】
以下、各部材の構成について実施例を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明では、開口部装置のコーナー部に設置される角部端部ベース部材20Aと中間部ベース部材30の継目箇所への適用について説明するが、コーナー部以外の直線部分や、直線部分の終端部分において継目箇所が形成される場合においても、本発明の構成を適用することができる。
【0024】
まず、
図2及び
図3に示す角部端部ベース部材20Aの構成について説明する。なお、
図2(A)(B)はパッキンが設けられていない状態の角部端部ベース部材20Aについて示しており、
図2(C)(D)、及び、
図3(A)(B)は各種パッキンが設けられた状態の角部端部ベース部材20Aについて示している。
【0025】
角部端部ベース部材20Aは、樹脂成形などによって平面視略L字状に構成される。L字を構成する互いに直行する辺部分21a・21bには、それぞれ、厚み方向に長孔22a・22bが形設されており、各長孔22a・22bは、辺部分21a・21bの長手方向に長い形状となっている。また、各辺部分21a・21bの端部には、高さを一段低くするようにして端部表面23a・23bが形設されている。また、辺部分21a・21b上面には、平面視略L字状のシーリング材境界壁部25dが形設され、
図8に示すごとく、シーリング材境界壁部25dと外壁材2Aの端面2mの間にシーリング材50を充填するための隙間部5が形成されるようになっている。また、辺部分21a・21bの内側には、平面視略L字状の連続する内側壁部25aを構成している。
【0026】
また、
図2及び
図3に示すごとく、内側壁部25aにおいて、辺部分21a・21bの長手方向の中途部には、それぞれ隣接間パッキン材P6のパッキン位置切替機構40が設けられる。パッキン位置切替機構40は、角部端部ベース部材20Aに設けられる支持部24a,24bと、隣接間パッキン材P6を設けた可動部材41,41とを有して構成され、可動部材41,41は支持部24a,24bに対する隣接間パッキン材P6の位置が変更可能なように支持部24a,24bに取付けられる。本実施例では、可動部材41,41が支持部24a,24bに対して回動可能に支持されることで、隣接間パッキン材P6の位置が変更可能となっている。
図2(D)では、詳しくは後述するように、パッキン位置切替機構40によって、隣接間パッキン材P6を退避位置に退避させた際の様子を示している。
【0027】
また、
図2及び
図3に示すごとく、内側壁部25aの端部の上面には、高さを一段低くするようにして端部表面26a・26bが形設されている。また、略L字状の内側壁部25aの両端部の下部において、板状の舌片部28a・28bが内側に突設されている。
【0028】
また、
図3(A)に示すごとく、角部端部ベース部材20Aのシーリング材境界壁部25dの外側であって、端部表面23a・23bを除く部位には、辺部分21a・21b(
図2(A)参照)の表面を覆うように外壁裏パッキンP1が貼設されている。なお、外壁裏パッキンP1は、少なくとも、22a、22bを覆うものであればよい。
【0029】
また、
図2(C)に示すごとく、シーリング材境界壁部25dの内側であって、その両端部が二つの舌片部28a・28bに載りかかるようにして、枠側パッキンP2が内側壁部25aの縦壁面に対して隙間なく貼設されている。各パッキンP1・P2は、いずれも平面視略L字に構成されている。また、
図2(A)に示すごとく、舌片部28a・28bは、内側壁部25aから内側へ突出幅H1だけ突出されおり、枠側パッキンP2は舌片部28a・28bから突出幅H3だけ突出されるようになっている。
【0030】
また、
図2(A)(B)に示される角部端部ベース部材20Aの辺部分21aの端部に形成される端部表面23aと、シーリング材境界壁部25dが立設される基材部25の端部に形成される端部表面26aと、舌片部28aの上表面には、
図2(C)(D)に示すように、各表面の形状に沿うようにして接続部パッキンP3が貼設されている。辺部分21bの端部においても同様にして接続部パッキンP3が貼設されている。
【0031】
以上のようにしてパッキンP1・P2・P3、及び、隣接間パッキン材P6を備えた角部端部ベース部材20Aが構成され、各パッキンP1・P2・P3・P6が設けられた状態で、施工現場に提供されることとしている。
【0032】
また、
図3(B)に示すように、辺部分21a・21bの下側から突条部21m・21nが下方に突設される構成とてもよい。これにより、辺部分21a・21bの下面21xを、突条部21m・21nの突出量に相当する分だけ底上げすることができ、この底上げ箇所に、例えば、サッシの取り付け片10mを配置することが可能となる。そして、辺部分21a・21bの下面21xをサッシの取り付け片10mに当接させるとともに、取り付け片10mが無い箇所において、突条部21m・21nを胴縁などの躯体面10xに当接させることで、角部端部ベース部材20Aにぐらつきが生じないように固定することが可能となる。この構成によれば、サッシの取り付け片10mの出幅寸法10nが施工箇所において異なる場合であっても、適宜対応することが可能となる。
【0033】
また、
図2(B)、
図3(A)に示すごとく、角部端部ベース部材20Aにおいて、後述する中間部ベース部材30側に向けて突出し、中間部ベース部材30の溝空間35b(
図11(C)参照)に入り込むように突出するパッキンP7を設けることとしてもよい。
【0034】
これにより、角部端部ベース部材20Aと中間部ベース部材30の間に発生する隙間を埋めることが可能となり、当該隙間における止水性を高めることができる。
【0035】
次に、
図4に示す中間部ベース部材30の構成について説明する。
中間部ベース部材30は、アルミなどを押し出し成型、又は、金属板材を板金加工した長尺の部材であって、施工現場において、開口部装置の枠の長さ寸法に対応するように、切断加工などによる調整が適宜行われる。
【0036】
また、
図4及び
図5に示すごとく、中間部ベース部材30は、開口部装置の枠10の壁面に近い側に配置されることになる枠側設置面部31と、外壁材2Aの裏側に配置されることになる外壁材側設置面部32を有しており、両設置面部31・32は、略同一の高さに設定され、スペーサー材3の表面に当接するようになっている。また、中間部ベース部材30は、外壁材側設置面部32の部位においてスペーサー材3を介してビス4にて躯体側に留め付けられる。
【0037】
また、
図4及び
図5に示すごとく、中間部ベース部材30において、枠側設置面部31の右端部から上方に向けて枠側縦壁部33が形成される。また、この枠側縦壁部33の外壁材2A側には、枠側縦壁部33と対向するように外壁材側縦壁部34が形設される。また、枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34の間を結ぶように第一の水平部35が形成される。また、外壁材側縦壁部34の下端から右側に向かって第二の水平部36が形成される。また、この第二の水平部36の右端部と外壁材側設置面部32の左端部を連続させるように、下側縦壁部37が形成されている。
【0038】
また、
図4及び
図5に示すごとく、枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34の上端部には、中間部化粧部材60の係合片部61a・61bの突条部62a・62b(
図7参照)に係合するための突条部33a・34aが設けられている。これにより、
図5に示すごとく、中間部化粧部材60の係合片部61a・61bが枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34の間に嵌入された後において、突条部62a・62b(
図7)と突条部33a・34aが係合することによって、中間部化粧部材60の脱落を防止できるようになっている。
【0039】
また、
図4及び
図5に示すごとく、枠側設置面部31と枠側縦壁部33に接するように、断面方形の棒状の枠側パッキンP4が貼設されている。また、
図4に示すごとく、枠側設置面部31は、枠側縦壁部33から左側へ突出幅H2だけ突出されおり、枠側パッキンP4は枠側設置面部31から突出幅H4だけ突出されるようになっている。
【0040】
また、
図6に示すごとく、枠側パッキンP4は、その端面が角部端部ベース部材20Aの枠側パッキンP2の端面に当接し得る構成となっており、両枠側パッキンP2・P4によって連続した一連のパッキンが構成されるようになっている。
【0041】
また、
図4及び
図5に示すごとく、外壁材側設置面部32の右端部の上面には、断面方形の棒状の外壁裏パッキンP5が貼設されている。この外壁裏パッキンP5は、上側から外壁材2Aが押し付けられることで圧縮し、スペーサー材3と外壁材2Aの間の止水性が確保されるようになっている。
【0042】
また、
図5に示すごとく、外壁材2Aと外壁材側縦壁部34と第二の水平部36で囲まれて、溝状に形成される隙間部5には、シーリング材50が充填される。なお、隙間部5の幅は、シーリング材50のはみ出しが抑えやすく、外壁材2A表面の養生テープなどによるマスキングの作業を省いて仕上げを容易に可能とする観点から、5mm程度の幅に設定することが好ましい。
【0043】
また、
図5に示す隙間部5の目地幅の5mmの設定について、シーリング材50を用いた通常の湿式目地の場合では、一般的に目地幅を10mm以上とすることが要求されることになるが、本実施例では、このシーリング材50は中間部ベース部材30による乾式目地を形成した上での補強的なものであるため、一般的な湿式目地において要求される目地幅を確保する必要がない。
【0044】
さらに、本実施例では、隙間部5を止水するためにシーリング材50を充填する構成としたが、このほか、隙間部5に乾式のパッキンが配置される構成とすることとしてもよい。これによれば、後述する施工作業において、シーリング材50の充填作業が不要な構成が実現される。なお、シーリング材については、外壁の目地を埋めるものとして広く知られている市販のものを使用することができる。また、パッキンについては、例えば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)などからなる市販の素材を使用することができる。
【0045】
また、
図6に示すごとく、中間部ベース部材30の長手方向の端部30Aは、角部端部ベース部材20Aの接続部パッキンP3の部位に覆い被せられるようになっており、これにより、角部端部ベース部材20Aの表側の面(表面23a・26a、舌片部28aの表面)と、中間部ベース部材30の裏側の面との間の隙間が、接続部パッキンP3によって塞がれるようになっている。
【0046】
また、中間部ベース部材30の端部30Aが、角部端部ベース部材20Aの接続部パッキンP3の部位、及び、パッキンP7に対し隙間無く覆い被せられるようにするために、角部端部ベース部材20Aの接続部パッキンP3の表側に形成される凹凸形状は、
図4に示す中間部ベース部材30の断面裏側に形成される凹凸形状に沿う形状とすることが好ましい。
【0047】
また、
図6に示すごとく、角部端部ベース部材20Aにおいて、中間部ベース部材30側に向けて突出し、中間部ベース部材30の溝空間35a(
図11(C)参照)に入り込むように突出するパッキンP7を設けることとしてもよい。
【0048】
これにより、角部端部ベース部材20Aと中間部ベース部材30の間に発生する隙間を埋めることが可能となり、当該隙間における止水性を高めることができる。
【0049】
次に、
図7に示す中間部化粧部材60の構成ついて説明する。
中間部化粧部材60は、長尺の板状部材であって、板面部62の裏面側において、二列の係合片部61a・61bが長手方向に突設される構成としている。また、
図4、
図5、
図7に示すごとく、この係合片部61a・61bは、中間部ベース部材30の枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34の間に挿入されるとともに、係合片部61a・61bの側面に形設された突条部62a・62bが突条部33a・34aの下方まで移動される。このようにして、中間部化粧部材60が中間部ベース部材30に嵌着される。
【0050】
また、
図5に示すごとく、中間部化粧部材60の板面部62は、中間部ベース部材30に嵌着された状態において、左側端部が中間部ベース部材30の枠側縦壁部33よりも枠10側に突出し、右側端部が外壁材2Aの外装面端部に覆い被さるように突出することとしている。これにより、枠側パッキンP4と、シーリング材50が中間部化粧部材60によって覆い隠されることとなっている。特に、シーリング材50については、中間部化粧部材60によって完全に隠されることとすることで、シーリング材50が外壁材2Aの外装面にはみ出している場合には、このはみ出したシーリング材50を覆い隠すことができ、仕上げ作業の簡略化を図ることができる。
【0051】
また、
図5に示すごとく、中間部化粧部材60によってシーリング材50への紫外線照射を防ぐことが可能となり、紫外線が照射されることに伴って発生するヒビ割れなどの劣化を防止することができる。
【0052】
次に、
図8に示す角部化粧部材70について説明する。
この角部化粧部材70は、平面視略L字状のカバー板面71と、カバー板面71の裏側に突設される複数の係合突部72と、を有して構成される。係合突部72は、角部端部ベース部材20Aにおいて上方に突設される複数の係合突部27と係合されることにより、角部化粧部材70を角部端部ベース部材20Aに嵌着させることができる。
【0053】
そして、角部化粧部材70を角部端部ベース部材20Aに嵌着させると、角部化粧部材70の両端部が二本の中間部化粧部材60のそれぞれの端部の上に覆い被さる。これにより、角部化粧部材70と中間部化粧部材60によって隙間の無い一連の外観表面を形成することができる。
【0054】
また、嵌着後において、カバー板面71を押し上げることで、適宜、角部化粧部材70を角部端部ベース部材20Aから取り外すことができる。これにより、角部化粧部材70や中間部化粧部材60を取り外して、メンテナンスなどを行うことも可能となる。
【0055】
次に、以上の構成の各部材を使用した施工手順について詳細に説明する。
図1の上列左から順に説明すると、まず、図示せぬ躯体側に開口部装置1の枠10が取り付けられた状態となっている。この枠10は方形状に構成されており、各角部11A・11Bにおいて、それぞれ角部端部ベース部材20A・20Bが押し当てられ、この角部端部ベース部材20A・20Bが躯体側に固定される。
【0056】
ここで、
図9(A)に示すごとく、角部11Aにおける角部端部ベース部材20Aの固定について、まずは、矢印F1の方向に角部端部ベース部材20Aを開口部装置の枠10に対して押し付けた状態とし、外壁裏パッキンP1の端を一時的に剥がし、長孔22bを通して固定具29bを躯体側に仮に固定する。これにより、図において矢印Y方向における角部端部ベース部材20Aの位置決めが行われる。
【0057】
また、
図9(B)に示すごとく、矢印F2の方向に角部端部ベース部材20Aを枠10に対して押し付けた状態とし、外壁裏パッキンP1の端を一時的に剥がし、長孔22aを通して固定具29aを躯体側に仮に固定する。ここでの矢印F2方向の角部端部ベース部材20Aの押し付けは、仮に留め付けられた固定具29bが長孔22bを移動することで可能となる。
【0058】
そして、固定具29aを完全に固定することで、図において矢印X方向における角部端部ベース部材20Aの位置決め固定が行われ、最後に固定具29bを完全に固定することで、角部端部ベース部材20Aの留め付けが完了する。なお、一時的に剥がされた外壁裏パッキンP1の部位は、その裏面の接着面によって元の貼設された状態に戻される。
【0059】
また、角部端部ベース部材20Aが止め付けられた状態では、枠側パッキンP2が圧縮されることで、枠10と角部端部ベース部材20Aの間の止水性が確保される。この際、舌片部28a・28bが枠10に当接することで、枠側パッキンP2はその突出幅H3(
図2参照)の分だけ圧縮することになる。これにより、枠側パッキンP2の圧縮量は一定の値となって、施工によるばらつきの発生が抑えられることとなる。
【0060】
次に、
図1に示すごとく、角部端部ベース部材20A・20Bの間のスペースに対し、中間部ベース部材30が取り付けられる。中間部ベース部材30の長さは、スペースの寸法に合うように切断加工によって適宜調整される。
【0061】
また、この中間部ベース部材30は、
図5に示すごとく、枠側パッキンP4を開口部装置の枠10の側面に対して押し付けるとともに、枠側設置面部31を枠10の側面10aに当接させた状態とし、スペーサー材3の上面に対しビス4にて固定される。
【0062】
また、
図5に示すごとく、中間部ベース部材30が止め付けられた状態では、枠側パッキンP4が圧縮されることで、枠10と中間部ベース部材30間の止水性が確保される。この際、枠側設置面部31が枠10に当接してストップすることで、枠側パッキンP4はその突出幅H4(
図4(A)参照)の分だけ圧縮することになる。これにより、枠側パッキンP4の圧縮量は一定の値となって、施工によるばらつきの発生が抑えられることとなる。
【0063】
また、
図10(A)に示すごとく、中間部ベース部材30の端部30Aは、角部端部ベース部材20Aの接続部パッキンP3の部位に覆い被せられ、角部端部ベース部材20Aの表側の面(
図2参照:表面23a・26a、舌片部28aの表面)と、中間部ベース部材30の裏側の面との間の隙間が接続部パッキンP3によって塞がれる。
【0064】
また、
図10(A)に示すごとく、中間部ベース部材30の端部30Aを角部端部ベース部材20Aに接続する際には、パッキン位置切替機構40の可動部材41を上方に向けるようにして、隣接間パッキン材P6を退避位置に退避させる。これにより、中間部ベース部材30が可動部材41と干渉せずに、角部端部ベース部材20Aに対して接続することができる。
【0065】
次いで、
図10(B)に示すごとく可動部材41を回動させ、
図10(C)に示すように、隣接間パッキン材P6をパッキン材間位置に設定することで、隣接間パッキン材P6をパッキン材間位置44(継目箇所)に埋め込ませる。本実施例では、
図11(A)に示すごとく、可動部材41の二箇所に設けた係合箇所41b,41cを、角部端部ベース部材20Aの二箇所に設けた係合箇所25b,25cに係合させることにより、
図10(C)、
図11(B)に示すごとく、パッキンP2・P4により生じる弾性復帰力Mに抗して、可動部材41をパッキン材間位置に保持することができる。なお、パッキンP2・P4の間の境界部44(パッキン材間位置)に隙間がなく、パッキンP2・P4同士が略接している場合であっても、両者の間に隣接間パッキン材P6が配置されることで、微小な隙間を塞ぐことができ、より止水性を高めることができる。
【0066】
また、
図10(B)に示すごとく、可動部材41には、回動操作を行うための棒状の操作部位41aが形設されており、この操作部位41aを指で上から押えるように力を加えることで、
図11(B)に示すように、可動部材41を角部端部ベース部材20Aに対して係合させることができる。また、操作部位41aを指で押し上げることで、可動部材41の係合を解除することができ、再び隣接間パッキン材P6を退避位置へと退避させることができる。
【0067】
さらに、
図10(C)、
図11(C)に示すごとく、可動部材41の棒状の操作部位41aは、中間部ベース部材30の枠側縦壁部33と外壁材側縦壁部34の間の溝空間35aに挿入されるとともに、第一の水平部35の上面に当接するようになっている。これにより、中間部ベース部材30の端部30Aにおいて、第一の水平部35が操作部位41aによって上から押え付けられ、中間部ベース部材30の端部30Aの浮き上がりが防止され、角部端部ベース部材20Aと中間部ベース部材30の境界部の止水性が高められる。
【0068】
次いで、
図1の下列に示されるように、開口部装置1を取り囲むように、躯体側に対し外壁材2A・2B・2Cが留め付け金具7により留め付けられる。そして、
図8に示すように、中間部ベース部材30の外壁材側縦壁部34と外壁材2Aの端面2mの間、及び、中間部ベース部材30のシーリング材境界壁部25dと外壁材2Aの端面2mの間、にそれぞれ形成される一連の隙間部5に対し、シーリング材50が充填される。
【0069】
次に、シーリング材50の充填後、
図1及び
図8に示すごとく、中間部化粧部材60が中間部ベース部材30に取付られるとともに、角部化粧部材70が角部端部ベース部材20Aに嵌着され、中間部化粧部材60・60の端部を角部化粧部材70によって覆い隠すようにして施工が完了する。
【0070】
また、
図11(C)に示すように、中間部化粧部材60は可動部材40の上方に位置し、突条部62a・62bによる押さえ込みがあるため、サッシ開閉の際に生じる振動や、温度による膨張などにより可動部材40にズレが生じて可動部材40が自然に開く(可動する)ことが無くP2、P4の継目の止水性は確保される。
【0071】
以上のようにして本発明を実施することができる。
即ち、
図6及び
図8に示す例のように、開口部装置と外壁材間の目地構造に用いられる複数のベース部材であって、複数のベース部材(角部端部ベース部材20A、中間部ベース部材30)は、開口部装置の周囲に沿って隣接して一列に配置されており、各ベース部材に設けたパッキン材同士P2,P4が隣接し、隣接するパッキン材間(境界部44)に位置するための隣接間パッキン材P6が、隣接するベース部材のどちらか一方に設けられ、隣接間パッキン材P6は、パッキン材間位置と、パッキン材間位置から離れる退避位置に切替可能とした、開口部装置と外壁材間の目地構造に用いるベース部材とするものである。
【0072】
これにより、ベース部材を隣同士に配置する際に、隣接間パッキン材P6を退避させて各ベース部材のパッキン材を隣接させた後、隣接するパッキン材間に隣接間パッキン材P6を配置することができる。隣接間パッキン材P6を一時的に退避させることで、ベース部材を取り付ける際において、ベース部材同士の干渉を防ぐことができる。また、隣接間パッキン材P6がベース部材と一体的に設けられているため、部品点数が少なくなり施工性、部品管理の容易性を高めることができる。さらには、別部材とした場合に発生し得る部材の付け忘れといった不具合を無くすことができ、施工者によるバラつき防止も図ることができる。なお、以上の実施例では、隣接間パッキン材P6及びパッキン位置切替機構40を角部端部ベース部材20A側に設けたが、中間部ベース部材30側にパッキン位置切替機構40を設けることとしてもよい。また、「一列」とは、開口部装置を取り囲む一本の周囲線を想定した場合に、この一本の周囲線に沿う方向を言うものである。
【0073】
また、
図10に示すごとく、隣接間パッキン材の位置の切替は、隣接間パッキン材を回動させることで行われる、こととするものである。
【0074】
これにより、簡易な構成でパッキン位置の切替を実現することができる。なお、回動式とするほか、隣接間パッキン材P6をスライドさせて移動させるスライド式とすることなども考えられる。
【0075】
また、
図1に示すごとく、開口部装置1と外壁材間2Aの目地構造に用いるベース部材の施工方法であって、開口部装置の二つの角部にそれぞれ、角部端部ベース部材20A,20Bを設置し、角部端部ベース部材20A,20Bの間に中間部ベース部材30を設置し、角部端部ベース部材20A,20Bと中間部ベース部材30にそれぞれ設けられるパッキンP2,P4の間の位置(境界部44)に、角部端部ベース部材20A,20B又は中間部ベース部材30に設けた隣接間パッキン材P6を配置させる、こととするものである。
【0076】
これにより、端部ベース部材を設置した上で中間部ベース部材の長さ寸法を設定するといった施工手順を採ることが可能となり、中間部ベース部材の最適な寸法設定や位置決めを容易に行うことができる。