【解決手段】共鳴ボックス3は、木材からなる上板及び下板と、上板及び下板間に内部空間13を有し、内部空間13が外部に連通するように矩形状放音口17を有する側板15a、15b、15cとで形成されている。内部空間13には、放音口17近傍に基端部19aを位置し、反放音口側に頂部19bを位置する山形条の拡音板19が配設されている。拡音板19は、上下方向に板面を有する帯状をなし、上板及び下板間に挟持されている。内部空間13は、拡音板19によって第1内部空間13aと第2内部空間13bとに区画され、第1内部空間13aの拡音板19の頂部19b近傍に対応する上板上面にオルゴール5が載置されている。
共鳴ボックス(3)と、該共鳴ボックス(3)の上面に載置されたオルゴール(5)と、上記共鳴ボックス(3)を該共鳴ボックス(3)の下側に空間を有するように部分的に支持する架台(7)とを備えたオルゴール装置(1)であって、
上記共鳴ボックス(3)は、木材からなる上板(9)及び下板(11)と、該上板(9)及び下板(11)間に内部空間(13)を有し、該内部空間(13)が外部に連通するように矩形状の放音口(17)を形成した側板(15)とで構成され、
上記内部空間(13)には、上記放音口(17)近傍に一対の基端部(19a)、(19a)を位置し、反放音口側に頂部(19b)を位置する山形条の拡音板(19)が配設され、
上記拡音板(19)は、上下方向に板面を有する帯状をなし、上記一対の基端部(19a)、(19a)間が拡大し、上記頂部(19b)方向に行くにしたがって徐々に間隔が縮小するように形成されて、上記板面と、上記上板(9)及び下板(11)の内面とが交差するように該上板(9)及び下板(11)間に挟持され、
上記内部空間(13)は、上記拡音板(19)によって該拡音板(19)の上記放音口(17)側に位置する第1内部空間(13a)と、上記拡音板(19)の反放音口側に位置する第2内部空間(13b)とに区画され、
上記第1内部空間(13a)における上記拡音板(19)の上記頂部(19b)近傍に対応する上記上板(9)の上面に上記オルゴール(5)が載置されていることを特徴とするオルゴール装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のオルゴール音拡大装置は、オルゴールから発生したオルゴール音を略半球状の振動板及びバックロードホーンにより拡大してキャビネット外の大気中に拡音することができるものの、音響特性(音色)及び振動伝達性の良い材料で構成されたキャビネット内に共鳴箱が単に設けられているだけであるので、該共鳴箱で共鳴された音色が拡音して大気中に放音されない。
また、上記オルゴール音拡大装置は、キャビネットに振動できるように取り付けた金属性ベース板にオルゴールを固定するとともに、該金属性ベース板で振動したオルゴール音を拡大するために、略半球状の振動板及びバックロードホーンを取り付ける必要があり、構造が複雑で高価なものになるという問題がある。
さらに、上記オルゴール音拡大装置におけるオルゴールは、バックロードホーンの出口としての開口が形成されたキャビネットの前面側に倒立状態で取り付けられているため、オルゴールを手動で駆動するいわゆる手廻しオルゴールで構成した場合、該駆動手段に工夫を凝らさなければならない問題も生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて、共鳴ボックスに放音口を設け、共鳴ボックスの内部空間に、該放音口側に一対の基端部を有するように山形条の拡音板を設けたオルゴール装置を提供するものである。
具体的には、第1の発明である請求項1に係る発明は、
共鳴ボックスと、該共鳴ボックスの上面に載置されたオルゴールと、上記共鳴ボックスを該共鳴ボックスの下側に空間を有するように部分的に支持する架台とを備えたオルゴール装置であって、
【0006】
上記共鳴ボックスは、木材からなる上板及び下板と、該上板及び下板間に内部空間を有し、該内部空間が外部に連通するように矩形状の放音口を形成した側板とで構成され、
上記内部空間には、上記放音口近傍に一対の基端部を位置し、反放音口側に頂部を位置する山形条の拡音板が配設され、
上記拡音板は、上下方向に板面を有する帯状をなし、上記一対の基端部間が拡大し、上記頂部方向に行くにしたがって徐々に間隔が縮小するように形成されて、上記板面と、上記上板及び下板の内面とが交差するように該上板及び下板間に挟持され、
上記内部空間は、上記拡音板によって該拡音板の上記放音口側に位置する第1内部空間と、上記拡音板の反放音口側に位置する第2内部空間とに区画され、
上記第1内部空間における上記拡音板の上記頂部近傍に対応する上記上板の上面に上記オルゴールが載置されていることを特徴とする。
【0007】
第2の発明である請求項2に係る発明は、
請求項1において、
上記拡音板の上記一対の基端部外側と上記側板の内面との間には、上記第2内部空間が上記放音口に連通する一対の連通口が形成され、
上記第2内部空間には、上記拡音板を反基端部側から離間して包囲するように山形条の内側拡音板が配設され、
上記内側拡音板は、上下方向に板面を有する帯状をなし、当該内側拡音板の一対の基端部が上記拡音板の山高さ方向中間部に対応する位置まで延びるとともに頂部が反放音口側に位置し、上記基端部側から上記頂部側に行くにしたがって徐々に間隔が縮小するように形成されて、上記板面と、上記上板及び下板の内面とが交差するように該上板及び下板間に挟持され、
上記第2内部空間は、上記拡音板及び上記内側拡音板によって形成されて上記一対の連通口に連通する中間内部空間と、上記内側拡音板及び上記側板によって形成される第3内部空間とに区画せれ、
上記拡音板の上記頂部と上記内側拡音板の上記頂部との間の上記中間内部空間に対応する上記上板の上面にオルゴールが載置されていることを特徴とする。
【0008】
第3の発明である請求項3に係る発明は、
請求項1又は2において、
上記共鳴ボックスは、矩形状の2枚の第1板部材及び第2板部材の上下方向後辺同士をヒンジ部材により、当該板部材の上下方向前辺同士が接離して開閉可能に互いに連結され、当該2枚の板部材が開いて内部に空洞を有するように形成された三角柱状の架台上に、当該共鳴ボックスの上記放音口が、当該架台の上記板部材の上記一対の前辺によって形成されて上記空洞に連通する開口と同一側になるように着脱自在に載置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、上記上板の上面に載置された上記オルゴールから発生したオルゴール音による振動が上記上板に伝わって該上板が振動し、この振動が上記内部空間内の空気及び上記下板を振動させて、共鳴ボックスが共鳴する。この際、上記第1内部空間内の共鳴音(振動音)は、上記放音口側の間隔が拡大し、反放音口側の間隔が縮小した山形状条の上記拡音板によって拡音されて放音口から大気中に放音される。そして、本発明では、特に、オルゴールが上記第1内部空間における上記拡音板の頂部近傍に対応する上記上板の上面に載置されているため、上記第1内部空間におけるオルゴールの共鳴音は、上記拡音板の基端部近傍よりも頂部近傍が大きく、これにより、上記拡音板の頂部側から基端部側(放音口側)に向けて共鳴音が拡音されて上記放音口から大気中に放音される。このとき、上記共鳴ボックスを構成する上記上板及び下板が木材であるため、該共鳴ボックスから大気中に放出されるオルゴール音は、該木材の種類(材質)に応じた音色に変換拡音された音響を呈したものである。
【0010】
請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明の上記効果に加えて、上記共鳴ボックスにおける上記拡音板の頂部と上記内側拡音板の頂部との間の上記中間内部空間に対応する上記上板の上面にオルゴールが載置されているため、上記中間内部空間内におけるオルゴールの共鳴音は、上記内側拡音板の頂部側から上記拡音板と上記内側拡音板の基端部との間に向けて拡音して、上記連通口を経て放音口から大気中に放音される。
これにより、請求項2に係る発明では、上記共鳴ボックスの内部空間を有効利用して請求項1に係る発明に比べて、オルゴールから発生したオルゴール音を、当該共鳴ボックスを構成する木材の材質特性に、より一層変換拡音して放音口から大気中に放音することができる。
【0011】
請求項3に係る発明では、請求項1又は2に係る発明の上記効果に加えて、上記共鳴ボックスは、該共鳴ボックスの放音口が、2枚の板部材(第1板部材及び第2板部材)を開いて三角柱状に形成された上記架台の開口側と同一側になるように該架台上に載置されている。このため、オルゴールから発生したオルゴール音は、共鳴ボックスの放音口から放音される共鳴音に加えて、上記三角柱状架台の開口から、該架台の内部で共鳴した共鳴音が放音され、これにより、オルゴールから発生したオルゴール音をさらに拡音してオルゴール装置から放音することができる。
【0012】
加えて、上記共鳴ボックスが上記三角柱状架台上に着脱可能に載置されるとともに該架台がヒンジ部材により開閉可能に構成されているため、オルゴール装置を持ち運びするとき、上記共鳴ボックスを架台から取り外して上記三角柱状架台を閉じる、即ち折り畳むことができ、オルゴール装置が嵩張らず、その持ち運びが容易である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係るオルゴール装置1の平面図、
図2は
図1のア-ア線断面図、
図3は
図1のオルゴール装置1を左側(前側)から見た正面図、
図4は
図1における拡音板19の斜視図である。
【0015】
上記オルゴール装置1は、共鳴ボックス3と、該共鳴ボックス3の上面に載置されたオルゴール5と、上記共鳴ボックス3を支持する架台7とで構成されている。
上記共鳴ボックス3は、それぞれ木材からなる矩形状の上板9と、下板11との間に内部空間13を有するように、これら上板9及び下板11の外縁部(端縁部)間に側板15が介在(挟持)されてボックス状に形成されている。
【0016】
上記側板15は、板状をなし、上記共鳴ボックス3の後壁を構成する後側板15aと、後端部が該後側板15aの左右端部を挟持するように上記共鳴ボックス3の左壁を構成する左側板15b及び上記共鳴ボックス3の右壁を構成する右側板15cとで構成されている。上記後側板15a、左側板15b及び右側板15cは、板面が上記上板9及び下板11の内面(上記内部空間13側の面)に対して直交(交差)するように立設されている。
そして、上記共鳴ボックス3の前側(
図1において左側に対応する正面側)における上記上板9、下板11、左側板15b及び右側板15cの外縁部間には、上記後側板15aに対向する側板15を設けずに、当該共鳴ボックス3の上記内部空間13が該共鳴ボックス3の外部の大気中に連通する放音口17が、
図3に示すように左右方向に長い矩形状に形成されている。
【0017】
また、上記側板15と上記上板9及び下板11とは、接着材や釘、あるいは木組工法等によって互いに強固に結合(組付け)されている。
上記上板9及び下板11は、音響特性(音色)の良い檜の木、桐の木、貝塚の木等の木材を使用することが好ましい。また、上記側板15は、上記上板9及び下板11と同じ材質の木材を使用しても良いが、異なった材質(木材やプラスチック等)のものを使用しても良い。
【0018】
そして、上記共鳴ボックス3の上記内部空間13内には、拡音口19cを形成する一対の基端部19a、19aの間隔(左右方向の間隔)が大きく拡大し、頂部19b方向に行くにしたがって徐々に間隔が縮小するように平面視山形条に形成された上下方向に板面を有する帯状の拡音板19が配設されている。該拡音板19は、上記放音口17の近傍に一対の上記基端部19a、19aが位置付けられるとともに、反放音口側、即ち上記共鳴ボックス3の後側(上記後側板15a側)に上記頂部19bが位置付けられて上記上板9及び下板11により密着するように挟持されている。そして、上記拡音板19の上下方向板面は、上記上板9及び下板11の内面に対して直交(交差)している。これにより、上記内部空間13は、上記拡音板19によって該拡音板19の上記放音口17側の第1内部空間13aと、当該拡音板19の上記反放音口側(上記後側板15a側)の第2内部空間13bとに区画されている。
【0019】
また、上記拡音板19の一対の上記基端部19a、19aと、上記共鳴ボックス3の左側板15b内面及び右側板15c内面との間には、上記第2内部空間13bが上記放音口17を介して大気中に連通する一対の連通口21が形成されている。
なお、上記拡音板19は、上記上板9及び下板11、上記側板15等と同じ木材を使用しても良いく、上記側板15と同様に異なった材質のものを使用しても良い。
【0020】
そして、上記第1内部空間13aにおける上記拡音板19の頂部19b近傍に対応する上記上板9の上面には、上記オルゴール5が着脱可能又は着脱不能に載置されている。該オルゴール5は、モーター駆動あるいは手廻し駆動によってオルゴール音が発生する。
【0021】
これにより、上記第1内部空間13a内の共鳴音は、上記拡音板19により該拡音板19の上記頂部19b側から上記基端部19a、19a側の放音口19c側に向けて拡音されて上記放音口17から外部の大気中に放音される。さらに、上記第2内部空間13b内の共鳴音が、上記拡音板19の外側(第2内部空間13b側)に沿って上記連通口21に至り、上記放音口17から大気中に放音される。したがって、上記放音口17からは、上記拡音口19cからの共鳴音と、上記連通口21からの共鳴音とが放音される。そして、この放音されるオルゴール音は、上記オルゴール5から発せられるオルゴール音が、上記共鳴ボックス3を構成する木材からなる上記上板9及び下板11の材質に応じた音色に変換拡音された音響を呈したものである。
【0022】
一方、上記共鳴ボックス3は、該共鳴ボックス3の下方(上記下板11の下側)に空間を有するように上記架台7上に部分的に当接して支持されている。即ち、該架台7は、矩形状の2枚の第1板部材23及び第2板部材25の上下方向後辺23a、25a(上記オルゴール装置1の後側に対応する辺)同士をヒンジ部材としての蝶番27により、上記第1板部材23及び第2板部材25の上下方向前辺23b、25b(上記オルゴール装置1の前側に対応する辺)同士が接離して上記蝶番27を中心に開閉し、三角柱状に形成可能及び折り畳み可能に連結されている。
【0023】
また、上記架台7を構成する上記第1板部材23及び第2板部材25の上辺23c、25cの長手方向中間には、位置決め用のピン29,29が上方に向けて突出するように固定されている。一方、上記共鳴ボックス3の上記下板11の下面には、
図1に示すように上記架台7の第1板部材23及び第2板部材25が開いて側面視三角柱状に形成された状態における上記ピン29,29に対応してピン挿入孔31,31が開口されている。このように、三角柱状に開いて形成された上記架台7の内部には、上側が上記共鳴ボックス3の下板11によって閉塞された空洞33(空間)が形成されるとともに該空洞33内が外部の大気中に連通する開口35が前側(正面側)に形成されている。
【0024】
そして、上記共鳴ボックス3を三角柱状の架台7上に載置する際には、該共鳴ボックス3の上記放音口17が、上記架台7の上記開口35と同一側(上記オルゴール装置1の前側)になるように位置合わせして、上記ピン挿入孔31,31に上記ピン19,29を挿入する。このようにして三角柱状の上記架台7上に載置された上記共鳴ボックス3は、その下板11下面全体が架台7に当接することなく、該架台7の2枚の上記第1板部材23および第2板部材25における線条上辺の板厚部分に部分的に当接して支持されて、この当接部分を除いた上記下板11の下側は上記空洞33を含めて空間となっている。これにより、上記共鳴ボックス3を構成する上記下板11は、当該共鳴ボックス3の上記内部空間13内に伝播したオルゴール音(オルゴールの振動)によって振動して上記上板9と共に共鳴することができる。
【0025】
また、上記オルゴール装置1は、
図1に示すように、上記共鳴ボックス3の上記内部空間13が上記拡音板19によって区画されて形成された上記第1内部空間13aと、三角柱状の上記架台7における上記第1板部材23及び上記第2板部材25によって形成された上記空洞33とが、上下方向に対応して重合するように構成されている。即ち、上記第1内部空間13aは、平面視(上記オルゴール装置1を上方から見た
図1)で上記空洞33内に上下方向において重合するように位置付けられている。これにより、上記共鳴ボックス3の下板9の上記第1内部空間13a対応部分が上記架台7に当接していないので、当該対応部分における上記下板9は、上記架台7に阻害されることなく良好に振動して上記共鳴ボックス3の上記第1内部空間13a内及び上記三角柱状架台7の上記空洞33内での共鳴を助長することができる。
【0026】
このように構成した本発明の実施形態1に係る上記オルゴール装置1は、
上記上板9の上面に載置された上記オルゴール5の振動が上記上板9に伝わって該上板9が振動し、この振動が上記内部空間13内の空気及び上記下板11を振動させて、上記共鳴ボックス3が共鳴する。この際、上記第1内部空間13a内の共鳴音(振動音)は、上記放音口17側の基端部19a、19aの間隔が拡大し、反放音口側(反基端部側)の間隔が縮小した山形条の上記拡音板19によって拡音されて放音口17から大気中に放音される。そして、本発明では、特に、オルゴール5が上記第1内部空間13aにおける上記拡音板19の頂部19b近傍に対応する上記上板9の上面に載置されているため、上記第1内部空間13aにおけるオルゴール5の共鳴音は、上記拡音板19の基端部19a、19a近傍よりも上記頂部19b近傍が大きい。これにより、上記拡音板19の頂部19b側から基端部19a、19a側(放音口17側)に向けて共鳴音が拡音されて上記放音口17から大気中に放音される。このとき、上記共鳴ボックス3を構成する上記上板9及び下板11が木材であるため、該共鳴ボックス5から大気中に拡音されるオルゴール音は、該木材の種類(材質)に応じた音色に変換拡音された音響を呈したものである。
また、上記オルゴール5は、上記共鳴ボックス3の上記上板9の上面に載置されているため、該オルゴール5を手廻しオルゴールで構成する場合にもその駆動手段が簡単容易である。
【0027】
また、上記共鳴ボックス3は、該共鳴ボックス3の上記放音口17が、2枚の上記第1板部材23及び第2板部材25を開いて三角柱状に形成した上記架台7の開口35側と同一側になるように該架台7上に載置されている。このため、上記オルゴール5から発生したオルゴール音は、上記共鳴ボックス3の放音口17から放音される共鳴音に加えて、上記三角柱状架台7の開口35から、該架台7内の上記空洞33で共鳴した共鳴音が放音され、これにより、オルゴール5から発生したオルゴール音をさらに拡音してオルゴール装置1から放音することができる。
【0028】
また、上記共鳴ボックス3が上記三角柱状架台7上に着脱可能に載置されるとともに、該架台7を構成する2枚の上記第1板部材23及び第2板部材25をヒンジ部材としての上記蝶番27により開閉可能に連結しているため、上記オルゴール装置1を持ち運びするとき、上記共鳴ボックス3を上記三角柱状架台7から取り外して該架台7の上記第1板部材23及び第2板部材25を閉じることにより折り畳むことができ、上記オルゴール装置1が嵩張らず、その持ち運びが容易である。
【0029】
さらに、上記共鳴ボックス3を上記架台7上に載置したオルゴール装置1は、上記ピン29,29が上記ピン挿入孔31,31に挿入されているため、上記架台7が開閉するのを規制するとともに上記共鳴ボックス3が当該架台7上を移動したり、該架台7から脱落したりするのを阻止することができる。
【0030】
なお、上記拡音板19は、平面視山形条に形成したが、平面視で上下方向に板面を有する帯状の板部材を上記放音口17側に拡音口19cを有する弧条、あるいは三角柱状に開いた上記架台7の2枚の第1板部材23及び第2板部材25の上記空洞33側に沿うように平面視三角形条に形成しても良い。
【0031】
また、上記共鳴ボックス3を上記架台7に位置決めする上記ピン29,29は、上記第1板部材23及び第2板部材25の上辺長手方向中間にそれぞれ1本ずつ設けたが、このピン29の取付位置、及び本数はこれに限定されない。
さらに、上記架台7は、側面視三角柱状に形成したが、これに限らず、上記共鳴ボックス3の下側に空間を有するように、例えば、上記共鳴ボックス3における矩形状下板11の下面の角部近傍4箇所に所定高さの柱、あるいはブロックを固定又は着脱可能もしくは折り畳み可能に設けたものであっても良い。要は、上記共鳴ボックス3の下側に空間があり、上記下板11の振動を可能な限り阻害しない架台7であれば良い。
(実施形態2)
図5は本発明の実施形態2に係るオルゴール装置1の
図1相当図(平面図)、
図6は
図5のイ-イ線断面図である。なお、
図5は、オルゴール装置1の構造を理解し易くするために、共鳴ボックス3の上板9を省略して図示している。
以下、実施形態1と異なる構成を主に説明し、共通の構成については図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
上記共鳴ボックス3の上記第2内部空間13bには、上記拡音板19と離間して該拡音板19を該拡音板19の反基端部側、即ち上記オルゴール装置1の後側から包囲するように山形条の内側拡音板37が配設されている。
該内側拡音板37は、上下方向に板面を有する帯状をなし、当該内側拡音板37の一対の基端部37a、37aが上記拡音板19の山高さ方向(上記オルゴール装置1の前後方向)中間部に対応する位置まで延びている。また、上記内側拡音板37は、一対の基端部37a、37a間が拡大し、その頂部37b方向に行くにしたがって徐々に間隔が縮小するように山形条に形成されていて、その上下方向の板面と上記上板9及び下板11の内面とが直交(交差)するように該上板9及び下板11間に密着して挟持されている。また、上記第2内部空間13bは、上記のように該第2内部空間13b内に上記内側拡音板37が配置されていることによって、上記一対の連通口21、21に連通する中間内部空間39と、上記内側拡音板37及び上記側板15によって形成される第3内部空間41とに区画されている。
【0033】
また、上記内側拡音板37の一対の基端部37a、37aと,上記左側側板15b及び右側側板15cとの間には、上記第3内部空間41を上記一対の連通口21、21に連通する一対の内側連通口43、43が形成されている。
そして、上記拡音板19の頂部19bと上記内側拡音板37の頂部37bとの間の上記中間内部空間39に対応する上記上板9の上面にオルゴール5が着脱自在又は着脱不能に載置されている。
【0034】
このように構成された実施形態2に係るオルゴール装置1の共鳴ボックス3は、上記実施形態1と同様の三角柱状架台7に載置されるが、この実施形態2では、上記共鳴ボックス3を架台7に位置決めする上記ピン29の取付位置が実施形態1と異なっている。
即ち、上記ピン29は、上記架台7を構成する矩形状の2枚の上記第1板部材23及び第2板部材25の上記上辺23c、23cの前端部近傍に1本ずつ立設するとともに、上記第2板部材25における上記上辺25cの後端部(上記蝶番27)側に1本立設、つまり3本のピン29により上記共鳴ボックス3を上記架台7に安定して支持している。
このように構成された実施形態2に係るオルゴール装置1は、上記実施形態1に係るオルゴール装置1の上記効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0035】
即ち、上記共鳴ボックス3における上記拡音板19の頂部19bと上記内側拡音板37の頂部37bとの間の上記中間内部空間39に対応する上記上板9の上面にオルゴール5が載置されている。このため、上記中間内部空間39内におけるオルゴール5の共鳴音は、上記内側拡音板37の頂部37b側から上記拡音板19と上記内側拡音板37の基端部37b、37bとの間に向けて伝播して、上記連通口21を経て放音口17から大気中に放音される。
【0036】
また、上記第3内部空間41内での共鳴音は、一対の上記内側連通口43,43、連通口21、21を経て上記放音口17から大気中に放音される。
また、上記オルゴール装置5は、
図5に示すように上記拡音板19の頂部19bと上記内側拡音板37の頂部37bとの間の上記中間内部空間39のみならず、上記三角柱状架台7の上記空洞33にも上下方向で対応して上板9の上面に載置されている。このため、上記中間内部空間39の上記共鳴音よりも弱いながらも、上記第1内部空間13a内及び第3内部空間41内にも共鳴音が発生するため、上記第1内部空間13a内の共鳴音が上記拡音口19cを経て、また上記第3内部空間41内の共鳴音が上記内部連通口43及び上記連通口21、を経てそれぞれ上記放音口17から大気中に放音される。これにより、上記オルゴール5で発生したオルゴール音を、上記共鳴ボックス3を構成する木材の材質特性の音色に、上記実施形態1に係るオルゴール装置1よりもさらに変換拡音して大気中に放音することができる。