【課題】店舗内の商品または陳列されている商品を管理するシステムにおいて、商品棚に接近する来店者に対して手当たり次第に商品演出を行うことによる演出の陳腐化を回避することができる商品演出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】来店者が店舗内の商品棚を中心とした所定のエリアに進入したことを示す第1動作を検出し、来店者が商品棚に陳列されている第1商品に手を伸ばしたことを示す第2動作を検出し、第1動作が検出された後に第2動作が検出された場合、第2動作が検出された時点から時間をカウントし、カウントされた時間が所定時間に達した場合、商品棚において商品演出装置に来店者が手を伸ばした商品を対象とする商品演出を実行させ、カウントされた時間が所定時間に達しないうちに、来店者が所定のエリアの外に出る第3動作が検出されると、商品演出を実行させない。
  前記時間をカウントしているときに、前記第1商品とは異なる種類の第3商品に前記来店者が手を伸ばす第4動作が検出された場合、前記第4動作を検出した時点から新たに時間をカウントする、
  請求項1〜15のいずれか一項記載の商品演出方法。
  前記時間をカウントしているときに、前記第1商品と同じ種類の第4商品に前記来店者が手を伸ばす第5動作が検出された場合、前記第5動作を検出した時点から新たに時間をカウントする、
  請求項1〜15のいずれか一項記載の商品演出方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
  (実施の形態)
  以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
  (実施の形態1)
  1.1  商品演出システムの構成
  商品演出システムは、
図1に示すように、人物情報取得部100と、演出部300と、人物位置履歴データベース210と、人物動作履歴データベース220と、商品情報データベース230とからなる。
 
【0013】
  人物情報取得部100は、店舗に設置され、来店者の行動を検出する。人物情報取得部100は、来店者の行動を検出するセンサ群である観測装置110と、観測装置110が検出した内容から来店者の行動を推定する推定手段120とからなる。
  演出部300は、店舗に設置され、来店者の行動に基づいて商品演出を実行する。演出部300は、来店者の行動に基づいてどのようなプレゼンテーションを行うかを決定する演出決定手段310と、演出を実現するための照明やデジタルサイネージなどからなる演出装置330と、演出決定手段310が決定した内容に従って演出装置330を制御しプレゼンテーションを実行する演出制御手段320とからなる。
 
【0014】
  図2に、店舗の内部を示す。店舗の内部には、通常タイプの商品棚4、低温ショーケースタイプの商品棚5、冷蔵庫タイプの商品棚6、書籍棚タイプの商品棚7、保温タイプの商品棚8という5つのタイプの商品棚が存在する。これらのタイプの商品棚は、その機能や形状に差異が存在するものの、商品を陳列して格納するための商品ラックが縦方向に複数段備えられ、その各商品ラックに、商品収納コラムが横方向に複数並べて備え付けられている点で共通している。
 
【0015】
  通常タイプの商品棚4は、前方及び\または後方が通路に面している。店舗等においては、複数の商品棚がその長手方向に一列上に配置される。商品棚は、柱部材と、柱部材に略直角に接続される桁部材と、桁部材で固定された複数の棚板とで構成される。各棚板は、商品を陳列して格納するための商品ラックであり、その各商品ラックに、商品収納コラムが横方向に複数列並べて設けられている。
 
【0016】
  低温ショーケースタイプの商品棚5は、おにぎり、弁当、サラダ、惣菜、加工品、牛乳、乳飲料といった商品を陳列するためのものであり、前面に開口した陳列室から構成される。商品ラック及び商品収納コラムは、この陳列室に形成される。かかる陳列室には、断面略コ字状の断熱壁が両側に取り付けられている。また陳列室の背面には冷却器と、ダクトとが縦設されている。ダクト内には送風器が存在していて、開口下縁のダクト吸込口から吸入された空気が冷却機に送り込まれる。冷却機からの冷却風は、陳列室の開口上縁の吐出口から吐出されて、陳列室における各商品ラックの商品収納コラムに陳列されている商品に送られる。これにより、陳列室の商品の温度が低温に保たれる。
 
【0017】
  冷蔵庫タイプの商品棚6は、店舗の壁面に組込まれた組込み型の商品格納庫であり、主に、アイス、冷凍食品等の冷凍品や、アルコール、コーヒー、お茶・水、ジュースといった飲料品の格納に用いられる。商品ラック及び商品収納コラムは、この商品格納庫に形成される。商品格納庫の前面は全体的に開口部分となっており、この開口部分は、片開きの扉でカバーされる。片開きの扉はガラス張りであり、各商品収納カラムにおける最前列の飲料品が視認できるものとなっている。商品格納庫における各商品ラックの商品収納コラムは、奥行き方向に延びており、複数の飲料品を奥行き方向へ一列に並べて収納し、一つずつ取り出せるようにしてある。
 
【0018】
  書籍棚タイプの商品棚7は、左右横長に形成され、一対の支柱で支持された書籍棚であり、雑誌類の陳列に用いられる。書籍棚の正面側には販売用書籍の陳列台が支柱に架設してあり、背面側には見本用書籍の縦置き用の見本台が架設されている。陳列台の下には、書籍を平積みする平積み用陳列台が備えられている。これら陳列台、見本台、平積み用陳列台が、商品ラックを構成する。
 
【0019】
  保温タイプの商品棚8は、揚げ物や肉まん、あんまんの格納に用いられる。具体的にいうと、保温タイプの商品棚は、複数の陳列室と、この陳列室の下方に配置された空調ユニットとしての温風供給ユニットと、温風供給ユニットと並んで、温風供給ユニットの後方に配置された保冷庫と、温風供給ユニットの下方に配置された冷却ユニットとを含む。
  1.2  人物情報取得部100の構成
  以下、人物情報取得部100の詳細な構成を説明する。
 
【0020】
  (1)観測装置110
  観測装置110は、それぞれの商品棚の前に来店者がいるか否かを検出するための焦電センサ21〜26と、それぞれの商品棚において、来店者が商品棚中のどの商品に手を伸ばしているかを検出するための測域センサ31〜36とを含む。
図3(a)に示すように、焦電センサ21〜26は、各商品棚に設置され、測域センサ31〜36は、各商品棚のすぐ上の天井に設置される。
 
【0021】
  焦電センサ21は、
図3(b)に示すように、人体から放射される赤外線を検知することにより人がいるか否かを検出するためのセンサであり、赤外線センサと、検知範囲を規定するためのレンズと、人体から放射される赤外線より波長が短い赤外線をカットするためのローパスフィルタ(LPF)とを備えている。
図4に示すように、焦電センサ21はそれぞれの商品棚の上部に設置され、商品棚の前の領域2の内部に来店者がいるか否かを検出する。なお、
図4には通常タイプの商品棚4について示しているが、他のタイプの商品棚についても同様である。
 
【0022】
  測域センサ31は、波長の異なる2つの半導体レーザーと、反射光と放射光との位相差を測定するセンサと、左右の1次元方向に、赤外レーザー光を放射し反射光を受け付ける向きを変化させるための、回転するプリズムとを備えている。測域センサ31は、
図3(c)に示すように、検知部31aから商品棚のすぐ前を横切るように、プリズムを回転させて角度を変えながら赤外レーザー光を放射し、反射光が検知部31aに戻るまでの時間を放射光と反射光との位相差から測定することで、測域センサ31と光が反射した点との距離、および向きを検出するためのセンサである。
図5に示すように、測域センサ31はそれぞれの商品棚のすぐ前の天井に設置され、商品棚のすぐ前の領域3を来店者の体の一部、例えば、手が横切れば、その場所を検出する。なお、回転軸31bは、赤外レーザー光が商品棚に当たらないように調整を行うための可動部である。
 
【0023】
  図6に示すように、来店者が商品棚の前に立ち止まると、その来店者は商品棚の前の領域2にいることになるので、焦電センサ21が来店者を検知する。また、来店者が当該商品棚に陳列されている商品に手を伸ばすと、商品棚のすぐ前の領域3を来店者の手が横切ることになるので、測域センサ31が来店者の手の位置を検出する。
  焦電センサ21は、推定手段120の人物位置推定手段121に来店者を検知しているか否かを出力する。また、測域センサ31は、推定手段120の人物動作推定手段122に検出した来店者の手の位置を出力する。
 
【0024】
  (2)推定手段120
  推定手段120は、観測装置110が検出した内容から来店者の行動を推定する。推定手段120は、来店者がそれぞれの商品棚の前にいるか否かを推測する人物位置推定手段121と、来店者が手を伸ばしたか否か、および手伸ばし位置を推測する人物行動推定手段122とからなる。推定手段120は、例えば、マイクロプロセッサ、及びRAM、ROM、ハードディスク、NICなどからなるコンピュータであり、各機能ブロックは、RAM、ROM、ハードディスクに記憶されているコンピュータプログラムをマイクロプロセッサが実行することにより実現される。
 
【0025】
  人物位置推定手段121は、焦電センサ21〜26の出力を受け付け、それぞれの商品棚について、当該商品棚の前に来店者がいるか否かを推測する。例えば、焦電センサ21が棚ID:1の商品棚に設置されており、焦電センサ21が赤外線源を検知している場合、人物位置推定手段121は棚ID:1の商品棚の正面に来店者がいると推測する。同様に、焦電センサ23が棚ID:3の商品棚に設置されており、焦電センサ23が赤外線源を検知していない場合、人物位置推定手段121は、棚ID:3の商品棚の正面に来店者がいないと推測する。人物位置推定手段121は、所定の間隔、例えば1秒ごとに、各商品棚について、人の有無、棚IDを時刻とともに出力する。
 
【0026】
  人物動作推定手段122は、測域センサ31〜36の出力を受け付け、受け付けた来店者の手の位置を推測する。
図7(a)に示すように、測域センサ31は、赤外レーザー光の反射があった位置として、自身の位置を原点とし、反射光を検出したときの赤外線レーザーの向きθと、放射光と反射光との位相差から算出される距離Lとで構成される、極座標(L,θ)を出力する。人物動作推定手段122は、測域センサ31から出力される極座標(L,θ)を、商品棚を基準とし、商品棚の高さ方向と幅方向とを基準軸とする直交座標系の座標(x,y)に変換する。商品棚を基準とする座標系は、
図8に示すように、商品棚を正面から見て左上の角を原点とし、幅方向(水平方向)をx軸、高さ方向(垂直方向)をy軸とする座標系である。人物動作推定手段122は、
図7(b)に示すように、商品棚と対応する測域センサ31との組み合わせごとに、商品棚を基準とする座標系における測域センサ31の座標(q,−r)を保持しており、これを用いて赤外レーザー光の反射があった座標を(Lcosθ+q,Lsinθ−r)に変換し、これを手の位置と推測する。なお、来店者が手を伸ばしていない商品棚については、赤外線レーザーが床に当たって反射することとなるので、商品が陳列されていない位置を受け取ることとなる。人物動作推定手段122は、商品棚を基準とする座標系について商品が陳列されている範囲を保持しており、変換後の座標が保持している範囲に含まれない場合は、有効でないデータとして範囲外を示す座標(−1,−1)を手の位置として用いる。
 
【0027】
  人物動作推定手段122は、所定の間隔、例えば、1秒ごとに、推測した手の位置と、対応する商品棚の棚IDとを時刻とともに出力する。
  1.3  データベース群の構成
  以下、人物位置履歴データベース210、人物動作履歴データベース220、商品情報データベース230の構成について説明する。
 
【0028】
  これらのデータベースは、例えば、マイクロプロセッサ、及びRAM、ROM、ハードディスク、NICなどからなるコンピュータであり、各機能ブロックは、RAM、ROM、ハードディスクに記憶されているコンピュータプログラムをマイクロプロセッサが実行することにより実現される。なお、1つのコンピュータで複数のデータベース、例えば、人物位置履歴データベース210と人物動作履歴データベース220とを実現してもよい。
 
【0029】
  人物位置履歴データベース210は、推定手段120の人物位置推定手段121から、人の有無を対応する商品棚のID、時刻とともに受け取り、その内容を保持するとともに、演出部300に対してその内容を提供する。人物位置履歴データベース210は、例えば、
図8(a)に示すように、棚ID、時刻、人の有無を保持している。ここで、人の有無とは人が検出されているか否かを示し、すなわち来店者がいると推測される状態を”1”で、来店者がいない状態を”0”で示す。具体的には、”棚ID:1  時刻:2013/11/05  10:43:13  検出結果:1”とは、2013年11月5日  10時43分13秒に、棚ID:1の商品棚の正面に来店者がいることを示す。同様に、”棚ID:1  時刻:2013/11/05  10:43:14  検出結果:0”とは、2013年11月5日  10時43分14秒に、棚ID:1の商品棚の正面に来店者がいないことを示す。
 
【0030】
  人物行動履歴データベース220は、推定手段120の人物動作推定手段122から、推測した手の位置を対応する商品棚の棚ID、時刻とともに受け取り、その内容を保持するとともに、演出部300に対してその内容を提供する。人物行動履歴データベース220は、例えば、
図8(b)に示すように、棚ID、時刻、手の位置を保持している。ここで、手の位置とは、上述したように対応する商品棚を基準とする直交座標系における座標である。具体的には、”棚ID:23  時刻:2013/11/05  10:43:16  手の位置:(30,95)”とは、2013年11月5日  10時43分16秒に、棚ID:23の商品棚において、(30,95)の位置に手が伸ばされたことを示す。同様に、” 、”棚ID:23  時刻:2013/11/05  10:43:17  手の位置:(−1,−1)”とは、2013年11月5日  10時43分17秒に、棚ID:23の商品棚において、手伸ばしが検出されなかったことを示す。
 
【0031】
  1.4  演出部300の構成
  以下、演出部300の詳細な構成を説明する。
  (1)演出決定手段310
  演出決定手段310は、来店者の行動に基づいてどのようなプレゼンテーションを行うかを決定する。演出決定手段310は、来店者が手にしたと推測される商品を推測する商品推測手段311と、来店者が商品棚に陳列されている商品に手を伸ばしてからの時間を計測する演出開始タイマー312と、プレゼンテーションの内容を決定する演出内容決定手段313とからなる。演出決定手段310は、例えば、マイクロプロセッサ、及びRAM、ROM、ハードディスク、NICなどからなるコンピュータであり、各機能ブロックは、RAM、ROM、ハードディスクに記憶されているコンピュータプログラムをマイクロプロセッサが実行することにより実現される。なお、演出決定手段310は、推定手段120と同一のハードウェアで実現されてもよい。
 
【0032】
  商品推測手段311は、人物動作推定手段122から直接、または、人物動作履歴データベース220を経由して、棚ID、時刻、手の位置の組み合わせを受け取り、商品情報データベース230を用いて来店者が手を伸ばした商品を推測する。
  商品の推測方法について、
図9を用いて説明する。
図9(a)は、棚ID:23の商品棚における、商品の陳列状態と、商品棚を基準とする直交座標系とを示している。
図9(b)は、商品情報データベース230が保持している内容を示すものである。商品情報データベース230は、棚ID、配置範囲、商品、サイネージ動画を保持している。ここで、配置範囲とは、当該商品棚においてその商品が配置されている矩形の範囲を、商品棚を基準とする直交座標系における左上の角と右下の角とで示したものである。例えば、{(10,10),(40,30)}とは、(10,10)を左上、(40,30)を右下とする矩形の範囲、即ち、(10,10)、(10,30)、(40,10)、(40,30)を四隅とする矩形の範囲を指し、
図9(a)における領域61を指し示す。サイネージ動画とは、当該商品を商品演出の対象としてデジタルサイネージ51に動画広告を再生する場合に用いる動画を示したものである。具体的には、”棚ID:23  配置範囲:{(50,40),(80,70)}、商品:チョコレートB、サイネージ動画:チョコレートB動画”とは、棚ID:23の商品棚において、(50,40)、(50,70)、(80,40)、(80,70)を四隅とする矩形の範囲内、すなわち
図9(a)の領域64に、チョコレートBが陳列されていること、および、チョコレートBを商品演出の対象としてデジタルサイネージ51に動画広告を配信する場合にチョコレートB動画を用いることを示す。したがって、商品推測手段311は、例えば、”棚ID:23  時刻:2013/11/05  10:43:16  手の位置:(30,95)”に基づいて、来店者が棚ID:23のクッキーAに手を伸ばしたことを推測し、商品演出の対象としてデジタルサイネージ51に動画広告を配信する場合にクッキーA動画を用いることを決定する。商品推測手段311は、有効な手の位置、すなわち(−1,−1)以外の座標を受け取ると、推測した商品と、デジタルサイネージ51に動画広告を配信する場合の動画とを出力する。以下、有効な手の位置、すなわち(−1,−1)以外の座標を受け取ることを「第2動作を検出する」と呼ぶ。
 
【0033】
  演出開始タイマー312は、来店者が商品棚に陳列されている商品に手を伸ばしてからプレゼンテーションを開始するまでのタイムラグである所定時間を保持しており、例えば、5秒である。演出開始タイマー312は、人物位置推定手段121から直接、または人物位置履歴データベース210を経由して棚ID、時刻、人の有無を受け取り、各商品棚について、来店者が正面にいるかいないかを管理する。ここで、各商品棚について、人の有無が”0”から”1”に変化することを、「第1動作を検出する」と呼ぶ。演出開始タイマー312は、第1動作を検出した後、同一の商品棚について、商品推測手段311が第2動作を検出して商品とデジタルサイネージ51に動画広告を配信する場合の動画とを出力すると、タイマーのカウントを開始し、その旨を出力する。演出開始タイマー312は、タイマーが所定時間に達する前に、当該商品棚について人の有無が”1”から”0”に変化する(以下、「第3動作を検出する」と呼ぶ)と、タイマーを停止する。また、タイマーが所定時間に達する前に、商品推測手段311から、タイマーのカウント開始時と同一の商品棚で異なる商品に来店者が手を伸ばしたことを受け取ると、タイマーのカウント値をゼロに戻してカウントをやり直す。タイマーが所定時間に達した場合、演出開始タイマー312はタイマー満了した旨を出力する。
 
【0034】
  演出内容決定手段313は、演出開始タイマー312からタイマー開始の通知を受け取ると、商品推測手段311から受け取った、来店者が手を伸ばした商品と対応する商品棚のID、サイネージ動画を基に、当該商品をアピールするために当該商品棚に対してどのようなプレゼンテーションを行うかを決定し、演出開始タイマー312からタイマー満了した旨を受け取ると、決定したプレゼンテーション内容を演出制御手段320に出力する。演出内容決定手段313は、商品棚ごと、または商品ごとに、プレゼンテーションとしてサイネージに動画を再生する、または、当該商品棚を演出する照明をどのように制御するかを予め保持しており、商品棚のIDと商品とに応じて、照明を制御する、または、サイネージ動画をデジタルサイネージ51で再生することを決定する。なお、演出開始タイマー312からタイマー開始の通知を受け取ってからタイマー満了した旨を受け取る前に、商品推測手段311から、同一の商品棚IDにおける、タイマー開始時の商品とは異なる商品を来店者が手を伸ばした商品として受け取ると、決定していたプレゼンテーション内容を破棄し、新たに受け取った商品についてどのようなプレゼンテーションを行うかを決定し直す。例えば、タイマー開始の通知を受け取った前後に”商品棚ID:23  商品:チョコレートA”を受け取り、タイマー満了の通知を受け取る前に”商品棚ID:23  商品:チョコレートB”を受け取った場合、チョコレートAに関するプレゼンテーション内容を破棄し、チョコレートBに関するプレゼンテーション内容を決定する。
 
【0035】
  演出制御手段320は、後述する演出装置330を制御して、演出内容決定手段313が決定したプレゼンテーションを実施させるための制御装置である。演出制御手段320は、例えば、マイクロプロセッサ、及びRAM、ROM、ハードディスクを備え、演出装置330を制御するためのインターフェースを有するコンピュータが、RAM、ROM、ハードディスクに記憶されているコンピュータプログラムをマイクロプロセッサが実行することにより実現される。
 
【0036】
  演出装置330は、商品棚または店舗の天井に設置され、特定の商品棚の一部または全部を演出するための照明装置41、42…や、商品棚またはすぐ近傍の壁面等に設置され、動画を再生するためのデジタルサイネージ51、52…を含む。
(広告態様の説明)
  照明装置41は、例えば、
図10に示すように、商品棚の上部に設置され、商品棚全体を照らす照明であり、明るさや色調を調整できるようなLED照明である。具体的には、明るさと色温度との組み合わせ、明るさとRGBの混合比との組み合わせ、RGB値などを制御パラメータとし、色調や明るさを変化させることができる。
 
【0037】
  照明装置41の他の態様としては、例えば、
図11に示すように、商品棚の天板に設置され、特定の棚の全体または一部を照らすような照明であってもよい。あるいは、例えば、
図12に示すように、天井に設置され、特定の商品棚を照らすような構成であってもよい。
  照明装置を用いたプレゼンテーションは、例えば、演出対象の商品が配置されている商品収納コラムだけを照らす照明装置41を点灯させることである。または、例えば、清算時や購入後に加熱することが前提の弁当や総菜について、照明装置41の色温度を3000Kの電球色から4200Kの白色に変化させ、商品のラベル表示や内容を見やすくする、といったものでもよい。また、これらを組み合わせ、例えば、演出対象の商品が配置されている商品棚の全体を照らす照明の明るさや色温度を低下させ、特定商品が陳列されている商品収納コラムを照らす照明装置を点灯または明るくする、としてもよい。
 
【0038】
  デジタルサイネージ51は、例えば、
図13に示すように、商品棚の上部に設置され、5インチ程度の液晶ディスプレイとスピーカーを有し、メディアサーバから送信された動画の映像と音声とを出力する再生装置である。
  演出制御手段320は、演出内容決定手段313が決定した内容に従い、照明装置41を制御して照明の照度や色調を変化させ、または、デジタルサイネージ51で再生すべき動画データをメディアサーバとして出力する動作を行うことで、決定されたプレゼンテーションを実行する。
 
【0039】
  1.5  商品演出システムの状態遷移
  商品演出システムの動作について、まず状態遷移図とタイムチャートを用いて概略を説明する。
  
図14に商品演出システムの商品棚ごとの状態遷移図を示す。商品演出システムは、焦電センサ21の検知範囲である、商品棚の正面の特定エリアに来店者が検知されなければ、人物が特定エリア内にいない状態71となっている。ここで、来店者が特定エリアに進入すれば焦電センサ21と人物位置推定手段121とが第1動作を検出することになるので、人物が特定エリア内にいる状態72となる。人物が特定エリア内にいる状態72である場合に、来店者が特定エリアから退出すれば、焦電センサ21と人物位置推定手段121とが第3動作を検出することになる。この場合、特定エリアには来店者がいなくなるので、人物が特定エリア内にいない状態71に状態遷移することになる。
 
【0040】
  一方、人物が特定エリア内にいる状態72である場合に、来店者が商品棚に陳列されている商品に手を伸ばす第2動作が検出されると、来店者が手を伸ばしたと推測される商品を特定商品として保持するとともに、タイマーの動作を開始し、特定商品についてタイマー動作中状態73に遷移する。
  特定商品についてタイマー動作中状態73である場合に、来店者が特定エリアから退出する第3動作が検出されると、タイマーの動作を停止し、人物が特定エリア内にいない状態71へと遷移する。これは、短時間のうちに商品棚の前から立ち去る来店者は、当該商品棚に陳列されている商品に対して興味がないと推測されるので、プレゼンテーションを行う意義が少なく、却って商品演出の陳腐化を招く原因となるからである。
 
【0041】
  一方、特定商品についてタイマー動作中状態73である場合に、来店者が同一の商品棚の、第2動作の検出時とは異なる商品に手を伸ばす第4動作が検出されると、保持している特定商品を削除して、来店者が新たに手を伸ばしたと推測される商品を改めて特定商品として保持するとともに、タイマーのカウント値をゼロに戻してカウントを再開し、特定商品についてタイマー動作中状態73に遷移する。これは、来店者が続けて複数の商品を手に取った場合、先に手にした商品に興味がないことが推測されるので、後に手にした商品に興味を持っているか否かを判定すべきだからである。
 
【0042】
  特定商品についてタイマー動作中状態73である場合において、タイマーが停止することなく満了した場合、保持している特定商品についてのプレゼンテーションを実施する特定商品の演出動作74に遷移する。プレゼンテーションが終了すると、人物が特定エリア内にいない状態71に遷移することとなる。
  続いて、
図15のタイムチャートを用いて、想定される動作を示す。
 
【0043】
  まず、
図15のcase1に従って説明する。来店者が商品棚の正面付近の特定エリアに進入すると、第1動作が検出される。次に、来店者が商品棚の商品に手を伸ばす第2動作が検出されることで、来店者が手を伸ばしたと推定される商品を特定商品として特定し、演出開始タイマー312のタイマーが動作を開始し、カウントが開始される。来店者が手を伸ばした商品を引き出し、目の前に保持して当該商品の購入を検討している間、来店者はほかの商品に手を伸ばしたり棚の前から立ち去ったりしないため、第3動作も第4動作も検出されることがなく所定時間が経過し、演出開始タイマー312のタイマーが満了することとなる。これにより、演出装置330は、来店者が手を伸ばしたと推定される特定商品について、照明41やデジタルサイネージ51を用いてプレゼンテーションを開始する。そのため、来店者は購入を検討している商品についてのプレゼンテーションを見ることになり、商品演出システムは商品購入を検討している相手に当該商品をアピールするという効率的な広告活動を行うことができる。
 
【0044】
  次に、
図15のcase2に従って説明する。来店者が商品棚の正面付近の特定エリアに進入すると、第1動作が検出される。次に、来店者が商品棚の商品に手を伸ばす第2動作が検出されることで、来店者が手を伸ばしたと推測される商品を特定商品として特定し、演出開始タイマー312のタイマーが動作を開始し、カウントが開始される。来店者が手を伸ばした商品を引き出し、買い物かごに入れて商品棚の前から立ち去ってしまうと、来店者が特定エリアから退出するので第3動作が検出される。演出開始タイマー312は、タイマーの満了前に第3動作の検出通知を受け取ることでカウントを停止し、プレゼンテーションが行われない。これにより、演出装置330はプレゼンテーションを実施しない。これにより、来店者が商品棚から短時間で立ち去ってしまう場合にはプレゼンテーションを実行せず、商品に興味を抱いていない来店者にプレゼンテーションを乱発して商品演出が陳腐化する事態を防ぐことができる。なお、来店者が手を伸ばした商品を引き出して買い物かごに入れて商品棚の前から立ち去る場合だけでなく、来店者が手を伸ばしただけで商品をつかむことなく、または、商品をつかんだものの引き出すことなく立ち去った場合も同様の動作となる。
 
【0045】
  次に、
図15のcase3に従って説明する。来店者が商品棚の正面付近の特定エリアに進入すると、第1動作が検出される。次に、来店者が商品棚の商品Aに手を伸ばす第2動作が検出されることで、来店者が手を伸ばしたと推測される商品Aを特定商品として特定し、演出開始タイマー312のタイマーが動作を開始し、カウントが開始される。来店者が手を伸ばした商品を引き出した後、同じ商品棚の別の商品Bに手を伸ばすと、第4動作が検出される。演出開始タイマー312は、タイマーの満了前に第4動作の検出通知を受け取ることでタイマーのカウントをゼロに戻して再開し、商品推測手段311は商品Bを特定商品とする。来店者が後に手を伸ばした商品Bを引き出し、目の前に保持して当該商品の購入を検討している間、第3動作も第4動作も検出されることがなく所定時間が経過し、演出開始タイマー312のタイマーが満了することとなる。これにより、演出装置330は、来店者が後から手を伸ばしたと推定される特定商品Bについて、照明41やデジタルサイネージ51を用いてプレゼンテーションを開始する。そのため、来店者は購入を検討している商品についてのプレゼンテーションを見ることになり、商品演出システムは商品購入を検討している相手に当該商品をアピールするという効率的な広告活動を行うことができる。
 
【0046】
  1.6  商品演出システムの詳細な動作
  以下、
図16のフローチャートを用いて商品演出システムの詳細な動作について説明する。
  まず、商品演出システムは、人物位置推定手段121を用いて第1動作を検出するか否かを監視する(S11)。このとき、商品演出システムは人物が特定エリア内にいない状態71である。第1動作を検出しなかった場合(S11でNo)、商品演出システムは、再度S11を実施して第1動作の検出を行う。
 
【0047】
  第1動作を検出した場合(S11でYes)、商品演出システムは、人物動作推定手段122を用いて第2動作を検出するか否かを監視する(S12)。このとき、商品演出システムは人物が特定エリア内にいる状態72である。第2動作を検出しなかった場合(S12でNo)、商品演出システムは、人物位置推定手段121を用いて第3動作を検出するか否かを監視する(S13)。第3動作を検出した場合(S13でYes)、商品演出システムは人物が特定エリア内にいない状態71に戻り、S11を再度実施する。一方、第3動作を検出しなかった場合(S13でNo)、商品演出システムは人物が特定エリア内にいる状態72のままであるので、再度S12を実施する。
 
【0048】
  第2動作を検出した場合(S12でYes)、商品演出システムは、演出開始タイマー312によりタイマーの動作を開始させる(S13)。このとき、商品演出システムは特定商品についてタイマー動作中の状態73となる。
  S13の後、商品演出システムは、人物動作推定手段122を用いて第4動作を検出するか否かを監視する(S14)。第4動作を検出した場合(S14でYes)、商品演出システムは商品推測手段311により来店者が新たに手を伸ばした商品を特定商品であると推定し、演出開始タイマー312のタイマーのカウントをゼロに戻してカウントを再開させる(S19)。このとき、商品演出システムは、特定商品を変更し、特定商品についてタイマー動作中の状態73を最初からやり直し、再度S14を実施する。
 
【0049】
  一方、第4動作を検出しなかった場合(S14でNo)、商品演出システムは、人物位置推定手段121を用いて第3動作を検出するか否かを監視する(S15)。第3動作を検出した場合(S15でYes)、商品演出システムは、演出開始タイマー312のタイマーのカウントを停止させる。商品演出システムは人物が特定エリア内にいない状態71に戻るので、再度S11を実施する。
 
【0050】
  第3動作を検出しなかった場合(S15でNo)、商品演出システムは、演出開始タイマー312のタイマーが満了したか否かを判断する(S16)。演出開始タイマー312のタイマーが満了していない場合(S16でNo)、商品演出システムは、再度S14を実施する。一方、演出開始タイマー312のタイマーが満了した場合(S16でYes)、商品演出システムは、演出制御手段320の指示により、演出装置330を用いて特定商品のプレゼンテーションを実施する(S17)。商品演出システムは、特定商品の演出動作状態74に遷移し、プレゼンテーションが終了すると、人物が特定エリア内にいない状態71に遷移して再度S11を実施する。
 
【0051】
  1.7  まとめ
  以上説明したように、来店者が商品棚の前にいるか否か、および、来店者が商品棚のどの商品に手を伸ばしたかの監視結果に基づいて、商品棚の前で興味を持っているが購入するかを迷っていると推測される来店者のみを狙って商品をアピールすることができる。そのため、対象者を絞ることで商品演出の実効性を高めるとともに、商品に興味を抱いていない来店者に商品演出を行わないことで、商品演出が陳腐化することを防ぎ、着目されるために商品演出が過剰になっていくことを防ぐことができる。
 
【0052】
  (実施の形態2)
  本実施の形態では、来店者の行動により商品演出の対象となる商品を変化させる構成について説明する。
  なお、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を、同様の動作については同じステップ番号をそれぞれ付し、説明を省略する。
 
【0053】
  2.1  商品演出システムの構成
  本実施の形態に係る商品演出システムは、
図17に示すように、人物情報取得部100と、人物位置履歴データベース210と、人物動作履歴データベース220と、商品情報データベース230と、関連商品データベース240と、演出部400とからなる。
  2.2  関連商品データベース240
  関連商品データベース240のハードウェア構成は他のデータベースと同様であるので説明を省略し、その保持内容について述べる。
 
【0054】
  関連商品データベース240は、
図18に示すように、商品と、当該商品に関連する関連商品との組み合わせを保持している。関連商品とは、対応する商品を購入した来店者が、同時に購入する可能性の高い商品である。例えば、”商品:パンA  関連商品:バター、いちごジャム”のレコードは、パンAを購入する来店者が一緒にバター、いちごジャムを購入する可能性が高いことを示している。なお、商品と関連商品との組み合わせは、パンとバターやジャムとのような強い関連性に限られず、弁当とサラダ、弁当やカップめんとお茶、パンとコーヒーや紅茶など、売上に相関性がある組み合わせであれば、どのような組み合わせであってもよい。関連商品データベース240は、商品同士の関連性や、売り上げデータを基に作成されたこのような組み合わせを保持している。
 
【0055】
  2.3  演出部400の構成
  演出部400は、演出装置がデジタルサイネージ51、52…のみで照明装置41、42…がなく、演出内容決定手段313に代えて演出内容決定手段413を備える以外は、演出部300と同じ構成である。
  演出内容決定手段413は、演出内容決定手段313と同様、演出開始タイマー312からタイマー開始の通知を受け取ると、商品推測手段311から受け取った、来店者が手を伸ばした商品と対応する商品棚のID、サイネージ動画を基に、当該商品をアピールするために当該商品棚に対してどのようなプレゼンテーションを行うかを決定し、演出開始タイマー312からタイマー満了した旨を受け取ると、決定したプレゼンテーション内容を演出制御手段320に出力する。演出開始タイマー312からタイマー開始の通知を受け取ってからタイマー満了した旨を受け取る前に、商品推測手段311から、同一の商品棚IDにおける、タイマー開始時の商品とは異なる商品を来店者が手を伸ばした商品として受け取ると、決定していたプレゼンテーション内容を破棄し、新たに受け取った商品についてどのようなプレゼンテーションを行うかを決定し直す。一方、演出開始タイマー312からタイマー開始の通知を受け取ってからタイマー満了した旨を受け取る前に、商品推測手段311から、同一の商品棚IDにおける同一の商品を来店者が手を伸ばした商品として複数回受け取ると、決定していたプレゼンテーション内容を破棄する。さらに、演出内容決定手段413は、商品推測手段311から受け取った商品に対応する関連商品を、関連商品データベース240から取得する。そして、演出内容決定手段413は、取得した関連商品についてのプレゼンテーション、すなわち、関連商品の演出となる動画を、商品推測手段311から取得した商品棚IDの商品棚に設置されているデジタルサイネージ51で再生することを演出内容として決定し、演出開始タイマー312のタイマー満了を待つことなく、演出制御手段320に出力する。なお、1つの商品に対して複数の関連商品が存在する場合、緑茶A、緑茶B、緑茶A、緑茶B…のように順番に使用してもよいし、乱数を生成してランダムに1つ選ぶとしてもよい。または、関連商品データベース240は関連商品ごとに優先度を保持し、優先度の高い順に用いるとしてもよい。
 
【0056】
  例えば、タイマー開始の通知を受け取った前後に”商品棚ID:24  商品:カップ焼きそばA”を受け取り、タイマー満了の通知を受け取る前に” ”商品棚ID:24  商品:カップ焼きそばA”を受け取った場合、カップ焼きそばAに関するプレゼンテーション内容を破棄し、関連商品である緑茶Aに関するプレゼンテーション内容を決定する。
  2.4  商品演出システムの動作の概略
  
図15のcase4のタイムチャートを用いて、動作の概略を説明する。
 
【0057】
  来店者が商品棚の正面付近の特定エリアに進入すると、第1動作が検出される。次に、来店者が商品棚の商品に手を伸ばす第2動作が検出されることで、来店者が手を伸ばしたと推定される商品を特定商品として特定し、演出開始タイマー312のタイマーが動作を開始し、カウントが開始される。来店者が手を伸ばした商品を引き出し、目の前に保持して当該商品の購入を検討する。そして、来店者が再度同一の商品に手を伸ばすと、第2動作のときと同じ商品に来店者が手を伸ばす第5動作が検出される。演出内容決定手段413は、演出開始タイマー312のタイマー開始の通知以降タイマー満了の通知以前の間に、同一の商品棚の同一の商品について手を伸ばした通知を2度以上受け取るので、関連商品についてプレゼンテーションを行うことを決定し、演出開始タイマー312のタイマー満了を待つことなく商品演出の指示を行う。これにより、演出装置330は、来店者が手を伸ばしたと推定される特定商品に関連する関連商品について、デジタルサイネージ51を用いてプレゼンテーションを開始する。そのため、来店者は複数回手を伸ばすほど強い興味を持っている商品に関連する商品についてのプレゼンテーションを見ることになり、商品演出システムは商品に対して強く興味を抱いている相手に対し、セットでお勧めしたい関連商品をアピールするという効率的な広告活動を行うことができる。
 
【0058】
  2.5  商品演出システムの詳細な動作
  以下、
図19のフローチャートを用いて商品演出システムの詳細な動作について説明する。
  まず、商品演出システムは、人物位置推定手段121を用いて第1動作を検出するか否かを監視する(S11)。このとき、商品演出システムは人物が特定エリア内にいない状態71である。第1動作を検出しなかった場合(S11でNo)、商品演出システムは、再度S11を実施して第1動作の検出を行う。
 
【0059】
  第1動作を検出した場合(S11でYes)、商品演出システムは、人物動作推定手段122を用いて第2動作を検出するか否かを監視する(S12)。このとき、商品演出システムは人物が特定エリア内にいる状態72である。第2動作を検出しなかった場合(S12でNo)、商品演出システムは、人物位置推定手段121を用いて第3動作を検出するか否かを監視する(S13)。第3動作を検出した場合(S13でYes)、商品演出システムは人物が特定エリア内にいない状態71に戻り、S11を再度実施する。一方、第3動作を検出しなかった場合(S13でNo)、商品演出システムは人物が特定エリア内にいる状態72のままであるので、再度S12を実施する。
 
【0060】
  人第2動作を検出した場合(S12でYes)、商品演出システムは、演出開始タイマー312によりタイマーの動作を開始させる(S13)。このとき、商品演出システムは特定商品についてタイマー動作中の状態73となる。
  S13の後、商品演出システムは、人物動作推定手段122を用いて第4動作を検出するか否かを監視する(S14)。第4動作を検出した場合(S14でYes)、商品演出システムは商品推測手段311により来店者が新たに手を伸ばした商品を特定商品であると推定し、演出開始タイマー312のタイマーのカウントをゼロに戻してカウントを再開させる(S19)。このとき、商品演出システムは、特定商品を変更し、特定商品についてタイマー動作中の状態73を最初からやり直し、再度S14を実施する。
 
【0061】
  一方、第4動作を検出しなかった場合(S14でNo)、商品演出システムは、人物動作推定手段122を用いて第5動作を検出するか否かを監視する(S21)。第5動作を検出した場合(S21でYes)、商品演出システムは、演出内容決定手段413により、来店者が手を伸ばしたと商品推測手段311が推定する特定商品について、商品関連データベース240を用いて関連商品を取得し、関連商品について、特定商品が陳列されている商品棚のデジタルサイネージ51を用いて、直ちに商品演出を開始する。商品演出の終了後、商品演出システムは人物が特定エリア内にいない状態71に戻るので、再度S11を実施する。
 
【0062】
  第5動作を検出しなかった場合(S21でNo)、商品演出システムは、人物位置推定手段121を用いて第3動作を検出するか否かを監視する(S15)。第3動作を検出した場合(S15でYes)、商品演出システムは、演出開始タイマー312のタイマーのカウントを停止させる。商品演出システムは人物が特定エリア内にいない状態71に戻るので、再度S11を実施する。
 
【0063】
  第3動作を検出しなかった場合(S15でNo)、商品演出システムは、演出開始タイマー312のタイマーが満了したか否かを判断する(S16)。演出開始タイマー312のタイマーが満了していない場合(S16でNo)、商品演出システムは、再度S14を実施する。一方、演出開始タイマー312のタイマーが満了した場合(S16でYes)、商品演出システムは、演出制御手段320の指示により、演出装置330を用いて特定商品のプレゼンテーションを実施する(S17)。商品演出システムは、特定商品の演出動作状態74に遷移し、プレゼンテーションが終了すると、人物が特定エリア内にいない状態71に遷移して再度S11を実施する。
 
【0064】
  2.6  まとめ
  以上説明したように、来店者が同一の商品に複数回続けて手を伸ばした場合には、その商品ではなく、関連商品について商品演出を行う。これにより、商品演出システムは商品に対して強く興味を抱いている相手に対し、セットでお勧めしたい関連商品をアピールするという効率的な広告活動を行うことができる。
 
【0065】
  (実施の形態3)
  本実施の形態では、商品演出の履歴に基づき、さらに他の態様の商品演出を行う構成について説明する。
  なお、実施の形態1および2と同様の構成については同じ符号を、同様の動作については同じステップ番号をそれぞれ付し、説明を省略する。
 
【0066】
  3.1  商品演出システムの構成
  本実施の形態に係る商品演出システムは、
図20に示すように、人物情報取得部100と、人物位置履歴データベース210と、人物動作履歴データベース220と、商品情報データベース230と、演出履歴データベース250と、演出部500とからなる。
  3.2  演出履歴データベース250
  演出履歴データベース250のハードウェア構成は他のデータベースと同様であるので説明を省略し、その保持内容について述べる。
 
【0067】
  演出履歴データベース250は、
図21(a)に示すように、所定期間において、商品演出を行った対象の商品と、商品演出との組み合わせを保持している。本実施の形態において、所定期間は1日であるものとし、毎日決まった時刻、例えば午前0時に保持内容がクリアされるものとする。例えば、”商品:パンA  演出回数:10回”とは、当日の午前0時からパンAについて10回、商品演出が行われたとする記録である。
 
【0068】
  3.3  演出部500の構成および動作
  演出部500は、演出装置330に代えて店舗用のデジタルサイネージ81を含む演出装置530を備え、演出内容決定手段313に代えて演出内容決定手段513を備え、演出制御手段320に代えて演出制御手段520を備える以外は、演出部300と同じ構成である。
 
【0069】
  店舗用のデジタルサイネージ81は、例えば、
図22に示すように、レジ台頭上の天井から吊り下げられた大型のデジタルサイネージであり、30インチ程度の液晶ディスプレイを備えている。なお、店舗用のデジタルサイネージ81は、レジ台頭上の天井ではなく壁面に備え付けられていてもよく、店の外から見えるように入口の正面に当たる位置に備え付けられてもよい。
 
【0070】
  演出制御手段520は、さらにメディアサーバとして店舗用のデジタルサイネージ81に動画を再生させる機能を有する以外、演出制御手段320と同じ構成である。
  演出内容決定手段513は、演出内容決定手段313と同様に、来店者の動作に応じて照明41やデジタルサイネージ51を用いて商品演出を行う。演出内容決定手段513は、さらに、商品演出を行うたびに、演出履歴データベース250が保持している、所定期間内の商品ごとの演出回数を更新する。そして、演出内容決定手段513は、所定期間内の商品ごとの演出回数に応じて、店舗用のデジタルサイネージ81にどの商品のサイネージ動画を再生させるか決定し、演出制御手段520に出力する。なお、所定期間内の商品ごとの演出回数に応じて商品演出する商品を決定する方法としては、例えば、演出回数が少ないものから順に選択するとして、リストを作成する。このようにすることで、商品棚で商品演出がなされていない商品について、店内の来店者全員に広くアピールし、来店者に興味を持ってもらうように広告活動ができる。例えば、
図21(a)の履歴に基づき、おにぎりBの動画、ポテトチップスBの動画、…の順のリストを作成する。
 
【0071】
  3.4  動作
  商品演出システムの、照明装置41またはデジタルサイネージ51を用いた商品演出の動作は、S17において演出履歴データベース250が保持している所定期間内の商品ごとの演出回数を演出内容決定手段513が更新する以外、実施の形態1と同じであるため省略し、デジタルサイネージ81を用いた商品演出の動作について
図23を用いて説明する。
 
【0072】
  まず、商品演出システムは、演出内容決定手段513が再生を開始していないリストを有しているか否かを判定する(S111)。リストを有している場合は(S111でYes)、当該リストの最初の動画が再生されるまで待機する。
  演出内容決定手段513が再生を開始していないリストを有していない場合(S111でNo)、商品演出システムの演出内容決定手段513は、演出履歴データベース250から、所定期間内の商品ごとの演出回数を取得する(S112)。
 
【0073】
  次に、商品演出システムの演出内容決定手段513は、所定期間内の商品ごとの演出回数に基づき、店舗用のデジタルサイネージ81で商品演出をすべき商品のリストを作成する(S113)。本実施の形態では、演出回数が10回未満の商品のうち、演出回数が少ないものから順にリストを作成するものとし、「おにぎりB、ポテトチップスB、おにぎりA、ポテトチップスA、カップラーメンB、チョコレートA」の順のリストを作成する。なお、演出回数が同一の商品が複数ある場合には、取得した順としてもよいし、ランダムでもよい。または、同種の商品が続くように、あるいは、同種の商品が続かないように順序を設定するとしてもよい。
 
【0074】
  次に、商品演出システムは、デジタルサイネージ81で動画が現在再生中でないか判断する(S114)。デジタルサイネージ81で動画が現在再生中である場合(S114でYes)、現在再生中のリストの動画が全て再生されるまで待機する。
  デジタルサイネージ81で動画が現在再生中でなければ(S114でNo)、商品演出システムは、S113で作成したリストに従って、デジタルサイネージ81で動画を再生する(S115)。
 
【0075】
  3.5  まとめ
  以上説明したように、所定期間内において各商品が商品棚でどれだけ商品演出されたかの情報に基づいて、店舗用のデジタルサイネージでどの商品について商品演出を行うかを決定する。これにより、来店者に興味を持たれていない商品について店内に広くアピールしたり、逆に、来店者に興味を持たれている商品をより強くアピールしたりすることが可能となり、効率的な広告活動を行うことができる。
 
【0076】
  (実施の形態4)
  本実施の形態では、商品演出の履歴を管理し確認する構成について説明する。
  なお、実施の形態1〜3と同様の構成については同じ符号を、同様の動作については同じステップ番号をそれぞれ付し、説明を省略する。
  4.1  商品演出システムの構成
  本実施の形態に係る商品演出システムは、
図24に示すように、人物情報取得部100と、人物位置履歴データベース210と、人物動作履歴データベース220と、商品情報データベース230と、演出履歴データベース250と、販売データベース260と、表示装置700と、演出部600とからなる。
 
【0077】
  4.2  販売データベース260
  販売データベース260のハードウェア構成は他のデータベースと同様であるので説明を省略し、その保持内容について述べる。
  販売データベース260は、
図21(b)に示すように、所定期間において、商品と、商品の販売数とを保持している。本実施の形態において、所定期間は1日であるものとし、毎日決まった時刻、例えば午前0時に保持内容がクリアされるものとする。例えば、”商品:パンA  販売個数:8回”とは、当日の午前0時からパンAが8個販売されていることを示す記録である。反米データベース260は、例えば、10分ごとにPOSから商品ごとの売り上げ数を取得することで、保持内容を更新する。
 
【0078】
  4.3  演出部600
  演出部600は、演出内容決定手段513に代えて演出内容決定手段613を備え、さらに表示制御手段620を備えること以外は、演出部500と同じ構成である。
  演出内容決定手段613は、演出内容決定手段513と同様に、来店者の動作に応じて照明41やデジタルサイネージ51を用いて商品演出を行う。また、演出内容決定手段513は、商品演出を行うたびに、演出履歴データベース250が保持している、所定期間内の商品ごとの演出回数を更新する。そして、演出内容決定手段613は、所定期間内の商品ごとの演出回数と販売数とに応じて、店舗用のデジタルサイネージ81にどの商品のサイネージ動画を再生させるか決定し、演出制御手段520に出力する。なお、所定期間内の商品ごとの演出回数に応じて商品演出する商品を決定する方法としては、例えば、演出回数ごとの販売数の多いものから順に選択するとして、リストを作成する。このようにすることで、商品棚における商品演出が効果的と推測される商品について、店内の来店者全員に広くアピールし、さらに来店者に興味を持ってもらうように広告活動ができる。例えば、
図21(a)および
図21(b)の履歴に基づき、おにぎりB、ポテトチップスA、ポテトチップスB、カップラーメンB…の順のリストを作成する。さらに、演出内容決定手段513は、所定期間内の商品ごとの販売数と演出回数とを、表示制御手段620に出力する。
 
【0079】
  表示制御手段620は、上述したように、演出内容決定手段513から、所定期間内の商品ごとの販売数と演出回数とを受け付け、商品情報データベース230を用いて商品棚ごとに集計し、後述する表示装置700に出力する。
  4.4  表示装置700
  表示装置700は、
図25に示すような、10インチ程度のタッチパネルを有するタブレット端末である。表示装置700において、画面へのタッチがアイコンの選択を意味する。
 
【0080】
  図26にトップ画面を示す。画面は店舗の各商品棚のレイアウトを示しており、A1やC8等は、それぞれ、個別の商品棚と、その商品棚のIDを示している。
  画面へのタッチが発生すると、そのタッチ位置が、どの商品棚の占有領域ojに含まれるかを判定する。その後、タッチ位置がいずれかの商品棚の占有領域ojに含まれていれば、演出内容決定手段513から、当該商品棚に属する商品の、所定期間内の商品ごとの販売数と演出回数とを取得し、
図26に示すように、当該商品棚に陳列されている商品の、定期間内の商品ごとの販売数と演出回数とをフローティングウィンドウwi1として表示する。
 
【0081】
  4.5  まとめ
  以上説明したように、所定期間内において、各商品棚のそれぞれの商品について、販売数と商品棚における演出回数とを店舗用のデジタルサイネージにおける商品演出に用いるとともに、関連付けて表示することで、商品棚における演出の効果を把握することができる。これにより、商品演出が効果的であるか否かを容易に判定することができ、効果の低い商品演出を見直したり、見直す際に効果の高い商品演出を参考にしたりすることで、広告活動をより効果的に行うことができる。
 
【0082】
  (実施の形態5)
  観測情報、販売情報のビッグデータ化に対応するための実施形態である。かかるビッグデータ化に対応するため、本実施の形態では、観測情報をクラウドネットワークのストレージに分散格納し、また人物行動推定のためのアプリケーションや演出内容決定のためのアプリケーションをクラウドサーバで起動する。
 
【0083】
  クラウドサーバでは、ハイパーバイザが、ネットワークの負荷やユーザアクセスに応じてオペレーティングシステムのインスタンスをロードし、起動するので、観測情報の規模が多大になり、アクセスを希望するユーザが多大になっても、スケラービリティに対応することができる。
  
図28(a)は、商品演出を実現するためのコンピュータシステム(商品演出システム)を示す。かかるコンピュータシステムは、店舗内の商品演出を実現する。かかる情報提供システムは、複数の機器グループ1000(ゲートウェイ90、センサ21、31…とを含む)と、データ運営センター3000(クラウドサーバ350、ビッグデータストレージ群340を含む)と、サービス提供センター2000(サーバ290を含む)と、演出部300とから構成される。
 
【0084】
  機器グループ1000は、店舗内ネットワークであり、店舗に設置された機器の集合体から構成され、ゲートウェイ90、センサ21、31…を含む。
  サービス提供センター2000は、サービス提供センターによるサービス提供を受ける者の窓口であり、URLを指定したアクセス要求を受け付けて、ユーザの店舗業務に直結するデータの管理を行う。かかるデータ管理には、ユーザ登録がある。ユーザ登録としては、店舗の新規開店時にユーザからユーザ登録を受け付け、そうしてユーザ登録を行ったユーザを、商品演出サービスの会員として管理するというものがある。このユーザ登録は、商品演出の対象となる店舗情報の登録と、当該ユーザが商品演出サービスの会員になるための会員登録とを含む。サービス提供センター2000は、こうして登録された店舗情報、会員登録で入力されたユーザの登録情報の管理を行う。このサービス提供センター2000を構成するコンピュータには、サーバ290がある。サーバ290を一点鎖線で描いているのは、サービス提供センター2000がサーバ290を保有していない場合もあるからである。例えば、クラウドサーバ350が全てのデータ管理を行っている場合等は、サーバ290は不要となる。
 
【0085】
  データ運営センター3000は、サービス提供センターの裏方になって業務を遂行する業務主体である。データ運営センター3000は、データ管理やクラウドサーバ350の運営等のみを行っている会社に限らない。例えば、センサ21、31を開発・製造している機器メーカーが、併せてデータ管理やクラウドサーバ350の管理等を行っている場合は、機器メーカーのコンピュータがデータ運営センター3000に該当する(
図28(b)を参照)。また、データ運営センター3000は一つの会社に限らない。例えば機器メーカー及び他の管理会社が共同もしくは分担してデータ管理やクラウドサーバ350の運営を行っている場合は、両者もしくはいずれか一方のコンピュータがデータ運営センター3000に該当する(
図28(c)を参照)。他の管理会社としては、警備会社や電力事業者がある。
 
【0086】
  クラウドサーバ350は、データ運営センター3000の内部に存在していて、データセンター運営会社に設置された社内のイントラネットワークと、社外のインターネットとを分け隔てることなくアクセスし得る仮想化サーバであり、インターネットを介して様々な機器と連携することで、ビッグデータを管理する。
  ビッグデータストレージ群340は、ビッグデータを分散して格納した複数のストレージからなる。本実施の形態におけるビッグデータは、各店舗の各商品棚でユーザがどのような行動を取ったかを示す観測情報である。
 
【0087】
  次に、上記サービスにおける情報の流れを説明する。まず、機器グループ1000のセンサ21、31は、ユーザ行動を検出するたび毎に観測情報ログを生成し、クラウドサーバ350を通じてデータ運営センター3000のビッグデータストレージ群340に蓄積する(矢印a1参照)。ここでの観測情報ログとは、店舗における商品棚の周辺に設置され、設置された商品棚周辺のユーザ行動を示すログである。観測情報ログは、ゲートウェイ90に集積され、ホームゲートウェイ90からクラウドサーバ350に提供されることもある。
 
【0088】
  次に、データ運営センター3000のクラウドサーバ350は、集積した観測情報ログを一定の単位でサービス提供センター2000に提供する。この提供の単位には、データセンター運営会社が集積した情報を整理してサービス提供センター2000に提供することができる単位、または、サービス提供センター2000が要求した単位が考えられる。一定の単位と記載したが一定でなくてもよく、状況に応じて提供する情報量が変化する場合もある。
 
【0089】
  観測情報ログは、クラウドサーバ350のストレージを通じて、必要に応じてサービス提供センター2000が保有するサーバ290にも保存される(矢印b1参照)。そして、サービス提供センター2000は、観測情報ログをユーザに提供するサービスに適合する情報に整理し、ユーザに提供する。整理された情報の受け手であるユーザには、演出部300を使用するユーザAAA、表示装置700を使用する外部のユーザZZZの双方が想定される。ユーザへのサービス提供方法には、矢印f1、e1に示すような提供経路も存在する。
 
【0090】
  またユーザへのサービス提供方法には、矢印c1、d1に示すような提供経路、つまりデータ運営センター3000のクラウドサーバ350を再度経由して、ユーザに提供するというものもある。データ運営センター3000のクラウドサーバ350は、観測情報ログをユーザに提供するサービスに適合するように整理する機能をもつ。サービス提供センター2000には、かかる整理機能で得られた情報が提供されることもある。
 
【0091】
  図29は、情報提供システムのネットワーク構成を示す図である。本図では機器グループとして、カスタマプライベートネットワーク1001、1002、1003、1004を描いている。また
図29では、
図28に示したデータ運営センター3000の具体的な形態としてクラウドネットワーク3001を描き、サービス提供センター2000の具体的な形態としてサービスプロバイダネットワーク2001を描いている。
 
【0092】
  機器グループ1000であるカスタマプライベートネットワーク1001、1002…1004に属する構成要件には、1000番の参照符号に依拠した100番台の参照符号を付し、他のネットワークの構成要件と区別する。
  データ提供センター2000、サービスプロバイダネットワーク2001に属する構成要件には、2000番の参照符号に依拠した200番台の参照符号を付し、他のネットワークの構成要件と区別し、データ運営センター3000、クラウドネットワーク3001に属する構成要件には、3000番の参照符号に依拠した300番台の参照符号を付し、他のネットワークの構成要件と区別する。
 
【0093】
  カスタマプライベートネットワーク1001〜1004は、情報提供サービスの顧客の店舗内に設置された機器グループを構成するプライベートネットワークである。これらのうちカスタマプライベートネットワーク1001は、ゲートウェイ90、センサ21、31…とで構成される。
  サービスプロバイダネットワーク2001は、サービス提供センター内のイントラネットワークであり、ユーザのログイン操作を受け付ける際、ユーザの正当性の認証する認証サーバ201、各店舗の店舗情報を管理する店舗情報サーバ202、サービス提供に必要なアプリケーションを提供するアプリケーションプロバイダサーバ203がある。
 
【0094】
  クラウドネットワーク3001は、integrated  Elastic  Cloud  Computing(iEC2)アーキテクチャ等の採用によりデータ提供センターにおけるサービスプロバイダネットワークと一体的に扱われる仮想ローカルエリアネットワーク(VLAN)であり、クラウドサーバ350a,b,c,d,e,fと、ビッグデータストレージ群340と、クラウドネットワークにおけるインスタンスの所在、及び、クラウドサーバと接続するスイッチの所在を、処理の要求元ノードのIPアドレス及びMACアドレスと、処理の要求先ノードのIPアドレス及びMACアドレスの組みに対応付けて管理するディレクトリサーバ303と、クラウドサーバ間の相互接続のためのスイッチ群304とから構成される。以上がネットワーク構成の説明である。続いて、クラウドネットワークの中核をなす、クラウドサーバの内部構成について説明する。
 
【0095】
  図30(a)は、クラウドサーバの内部構成を示す。クラウドサーバのハードウェア構成は、マイクロプロセッサユニット(MPU)391、ランダムアクセスメモリ(RAM)392、リードオンリーメモリ(ROM)393、グラフィックプロセッサユニット(GPU)394、I/O回路395、ストレージドライブ396、通信ハードウェア397を含む。
 
【0096】
  クラウドサーバのプログラム構成は、オペレーティングシステム(OS)をモニタし、端末からの要求に応じてOSインスタンスの生成を行い、またOSインスタンスの状態管理を行うハイパーバイザ398と、ハイパーバイザにより、各ログインユーザのために生成されたユーザ毎のOSインスタンス399a,b…z(図中のユーザAAA.OSインスタンス、ユーザBBB.OSインスタンス…ユーザZZZ.OSインスタンス)と、OSインスタンスにより起動され、状態管理がなされるアプリケーション389a,b…z(図中のユーザAAAアプリケーション、ユーザBBBアプリケーション…ユーザZZZアプリケーション)とによって構成される。
 
【0097】
  ユーザ.OSインスタンスは、ミドルウェアの処理を担うライブラリプログラムのインスタンスである。かかるライブラリプログラムのインスタンスとしては、アプリケーションからのAPIコールに応じてウィンドゥやメニュー等のGUIを描画するグラフィックレンダリングエンジンのインスタンス、GUIに対する操作を監視して、当該操作があれば、その操作内容を示すイベントを出力するイベントモジュールのインスタンス、ネットワークドライブやローカルドライブから各種ファイル取得するためのネットワークファイルシステムのインスタンス、アプリケーションを起動し、アプリケーションの状態管理を行うカーネルのインスタンス、サーバ接続のための様々なプロトコルを実行するプロトコルスタックのインスタンスがある。以上のようにクラウドネットワークでは、ミドルウェアの処理を担うライブラリプログラムの機能が、演出部300ではなくクラウドサーバ350から提供されることがわかる。
 
【0098】
  図30(b)は、アプリケーション389の内部構成を示す。本図に示すようにアプリケーション389のそれぞれは、各商品棚の正面において来店者の有無を推定する人物位置推定アプリケーション、各商品棚における手伸ばし位置を推定する人物動作推定アプリケーション、推定結果に基づいて演出内容を決定する演出内容決定アプリケーションを含む。
 
【0099】
  図30(c)は、演出部300のハードウェア構成を示す。情報端末装置のハードウェア構成は、マイクロプロセッサユニット(MPU)541、ランダムアクセスメモリ(RAM)542、リードオンリーメモリ(ROM)543、グラフィックプロセッサユニット(GPU)544、通信ハードウェア555、ディスプレイパネル556、スピーカー557、I/O回路560、ストレージドライブ561から構成される。クラウドサーバのハードウェア構成と比較すると、演出部300のハードウェア構成は、商品演出を行うためのディスプレイパネル556とスピーカー557とを具備している点が異なる。
 
【0100】
  またクラウドサーバのプログラム構成と比較すると、演出部300のプログラム構成にはオペレーティングシステムにあたる階層が存在せず、メディアプレーヤー571のみが存在する点が異なる。このメディアプレーヤープログラムは、演出部300のディスプレイパネル556、スピーカー557の処理を実現する。演出部300のプログラム構成がメディアプレーヤーのみであるのは、演出内容決定に関する処理を行うアプリケーションが、全てクラウドサーバにロードされることが前提になっているからである。またアプリケーションを利用した様々な処理は、クラウドサーバ側のユーザ.OSインスタンスでなされ、演出部300は、そのユーザ.OSインスタンスの処理結果を基に動画を再生すれば足りるからである。よって演出部300のメディアプレーヤーは、クラウドサーバ上のアプリケーションから動画の再生要求イベントを受け取って、動画を再生する制御を行う。
 
【0101】
  サービスプロバイダネットワークのサーバと接続し、人物位置推定アプリケーションと、人物動作推定アプリケーションと、演出内容決定アプリケーションとをロードしたクラウドサーバとが、演出決定手段310を構成する。アプリケーション及びユーザOSインスタンスをサービス提供センター2000、データ運営センター3000のどちらにロードするかについては、
図31(a)〜(d)のバリエーションがある。
図31(a)〜(d)は、クラウドサービスの4つの類型を示す。
 
【0102】
  図31(a)〜(d)において共通するのは以下の3つの点である。第1に、アプリケーション389、ユーザOSインスタンス399が、データ運営センター3000のクラウドサーバ上に存在すること、第2に、矢印321に示すように、機器グループ1000からデータセンターのクラウドサーバ350に観測情報ログを送信すること、第3に、矢印322に示すように、データセンターのクラウドサーバ350が演出部300に情報提供を行うことである。
 
【0103】
  (サービスの類型1:自社データセンター型)
  
図31(a)は、サービスの類型1(自社データセンター型)を示す。本類型は、サービス提供センター2000が機器グループ1000から情報を取得し、ユーザに対してサービスを提供する類型である。本類型では、サービス提供センター2000が、データセンター運営会社の機能を有している。即ち、サービスプロバイダが、ビッグデータの管理をするクラウドサーバ350を保有している。従って、データセンター運営会社は存在しない。
 
【0104】
  本類型においてサービス提供センター2000のデータセンターは、クラウドサーバ350を運営、管理している。また、サービス提供センター2000は、ユーザOSインスタンス399及びアプリケーション389を管理する。サービス提供センター2000は、サービス提供センター2000が管理するユーザOSインスタンス399及びアプリケーション389を用いてユーザに対するサービス提供322を行う。
(サービスの類型2:IaaS利用型)
  
図31(b)は、サービスの類型2(IaaS利用型)を示す。ここでIaaSとはインフラストラクチャー・アズ・ア・サービスの略であり、コンピュータシステムを構築および稼動させるための基盤そのものを、インターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス提供モデルである。
 
【0105】
  本類型では、データセンター運営会社がデータセンター350(これはクラウドサーバ350にあたる)を運営、管理している。また、サービス提供センター2000は、ユーザOSインスタンス399及びアプリケーション389を管理する。サービス提供センター2000は、サービス提供センター2000が管理するユーザOSインスタンス399及びアプリケーション389を用いてユーザに対するサービス提供322を行う。
(サービスの類型3:PaaS利用型)
  
図31(c)は、サービスの類型3(PaaS利用型)を示す。ここでPaaSとはプラットフォーム・アズ・ア・サービスの略であり、ソフトウェアを構築および稼動させるための土台となるプラットフォームを、インターネット経由のサービスとして提供するクラウドサービス提供モデルである。
 
【0106】
  本類型では、データセンター運営センター3000は、ユーザOSインスタンス399を管理し、データセンター350(クラウドサーバ350にあたる)を運営、管理している。また、サービス提供センター2000は、アプリケーション389を管理する。サービス提供センター2000は、データセンター運営会社が管理するユーザOSインスタンス399及びサービス提供クラウドネットワークセンター2000が管理するアプリケーション389を用いてユーザに対するサービス提供322を行う。
(サービスの類型4:SaaS利用型)
  
図31(d)は、サービスの類型4(SaaS利用型)を示す。ここでSaaSとはソフトウェア・アズ・ア・サービスの略である。例えばデータセンター(クラウドサーバ)を保有しているプラットフォーム提供者が提供するアプリケーションを、データセンター(クラウドサーバ)を保有していない会社・個人(利用者)がインターネットなどのネットワーク経由で使用できる機能を有するクラウドサービス提供モデルである。
 
【0107】
  本類型では、データセンター運営センター3000は、アプリケーション389を管理し、ユーザOSインスタンス399を管理し、データセンター350(クラウドサーバ350にあたる)を運営、管理している。また、サービス提供センター2000は、データセンター運営センター3000が管理するユーザOSインスタンス399及びアプリケーション389を用いてユーザに対するサービス提供322を行う。
 
【0108】
  以上のいずれの類型においても、サービス提供行為の主体は、サービス提供センター2000となる。また例えば、サービスプロバイダ若しくはデータセンター運営会社は、OS、アプリケーション若しくはビックデータのデータベース等を自ら開発することができるし、また、第三者に外注することもできる。
  続いて、クラウドサーバを介して、観測情報ログの収集と、提供を行う場合の通信シーケンスについて説明する。
 
【0109】
  クラウドサーバ350と、演出部300との通信シーケンスの基本的なものは、
図32(a)である。
図32(a)は、センサ21、31がネットワーク接続を行い(S501)、観測情報ログをクラウドサーバ350に送信してこの処理1〜3をクラウドサーバ350で一括して行うというものである。この処理1(ステップS503)、処理2(ステップ504)、処理3(ステップS505)は、第1実施形態に示した複数の手順を抽出的に、3つの処理として示したものである。具体的にいうと、人物位置の推定を処理1、人物動作の推定を処理2、商品演出内容の決定を処理3とする。
 
【0110】
  コマンドの送信(S506)は、この処理1〜3の処理結果を示す。演出部300では、送信されたコマンドに応じて表示を行う(S507)。
図32(b)は、
図32(a)のバリエーションであり、クラウドサーバ350で行っていた処理1〜3のうち処理3を、演出部300側で実行させるシーケンスを示す。
図32(c)は、
図32(a)の更なるバリエーションであり、クラウドサーバ350で行っていた処理1〜3のうち処理2、3を、演出部300側で実行させるシーケンスを示す。
 
【0111】
  以上のように実施の形態5によれば、推定手段120に相当するアプリケーション、演出決定手段310に相当するアプリケーションをクラウドサーバにロードして、クラウドネットワーク上で、来店者の行動を推定して商品演出動作の決定を行うので、商品演出に用いる動画の変更を容易に行え、また、演出履歴を蓄積することでより的確な商品演出の指示を実現することができる。例えば、地域限定CMや期間限定CMが功を奏している場合に、迅速に対象地域や対象期間の拡大を行うことができる。
 
【0112】
  なお、実施の形態5においてプライベート企業ネットワーク、サービスプロバイダネットワーク、およびクラウドネットワークは、それぞれがパケット交換ネットワークによって構成されることが望ましい。クラウドネットワークは、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)などのレイヤ3プロトコルを使用して構築される仮想プライベートネットワーク(VPN)において、共通のVLANタグにより識別される仮想スタブにより構成されることが望ましい。カスタマーズプライベートネットワークにおいて、ルータまたはスイッチとして機能するネットワークノードは、MPLS(L3MPLS)を使用するレイヤ3通信の能力、イーサネット(登録商標)および仮想プライベートLANサービス(VPLS)を使用するレイヤ2通信の能力をもつことが望ましい。
 
【0113】
  また、実施の形態5に示すクラウドサーバはオートスケーラを実装していることが望ましい。オートスケーラは、パフォーマンス監視、スケーリング管理、およびインスタンス管理を行う。パフォーマンス監視では、一連のユーザOSインスタンスのパフォーマンスデータを収集し、収集されたパフォーマンスデータに基づいて計算されたパフォーマンスメトリックに基づいてシステムパフォーマンスを計算して、1秒毎の完了した要求の平均数、応答時間などを示すメトリックを生成する。スケーリング管理では、弾性的な要求または非弾性的な要求に応答して、クラウドネットワークにおけるリソースを調整すべきかどうかを評価する。インスタンス管理では、データリンク層のセキュアなプレーン接続を介して一連のサーバOSインスタンスに接続し、クラウドネットワークに生成されたサーバOSインスタンスを管理する。更に、実施の形態5のクラウドネットワークは、負荷分散装置を実装しているのが望ましい。負荷分散装置は、データリンク層のセキュアなプレーン接続を介して一連のユーザOSインスタンスと接続し、内部サーバおよび/または一連のユーザOSインスタンスの間で作業を分配する。この分配には、例えば、加重ラウンドロビン、最小接続、または最速処理などがある。
 
【0114】
  実施の形態5では、多数の店舗で商品棚毎に日々蓄積される滞留数、手伸ばし数を管理するから、そのデータ量は膨大なものになる。しかし、上記オートスケーラや負荷分散装置は、演出部300や表示装置700からの要求に応じて、ユーザOSインスタンスの生成数を変化させるので、たとえ、日々に多くの店舗から蓄積される滞留数、手伸ばし数が膨大なものになったとしても、演出部300に迅速に、かつ、履歴に応じたより的確な演出指示を送出することができる。
 
【0115】
  (実施の形態に係るその他の変形例)
  (1)実施の形態1〜4では、人物位置履歴データベース210と、人物動作履歴データベース220と、商品情報データベース230とが自店舗のみのデータベースとしたが、本発明はこの場合に限られない。例えば、複数の店舗で、人物位置履歴データベース210と、人物動作履歴データベース220と、商品情報データベース230とを共有するとしてもよい。この場合、人物位置履歴データベース210と、人物動作履歴データベース220とにはどの店舗の情報であるかを示す識別子を各レコードに設けることで、商品情報データベース230には店舗ごとの商品棚IDと配置範囲とを保持することで、各実施の形態を実現することが可能となる。
 
【0116】
  (2)実施の形態2〜4では、関連商品データベース240、演出履歴データベース250、および、販売データベース260が自店舗のみのデータベースとしたが、本発明はこの場合に限られない。例えば、関連商品データベース240は複数の店舗に共有されており、演出内容決定手段413は、商品情報データベース230のレコードを基に、取得した関連商品が自店舗に配置されているか否かを判断するとしてもよい。または、例えば、演出履歴データベース250と販売データベース260とは地域、客層等の立地条件が類似している複数の店舗で共有され、当該複数の店舗全体の商品演出の履歴や商品の販売数を用いて、デジタルサイネージ81で商品演出する対象の商品を定めるとしてもよい。このようにすることで、データベースを集約化できるとともに、店舗を跨いだ広範囲のマーチャンダイジングを実現することができる。
 
【0117】
  (3)実施の形態1〜4では、人物位置推定手段121は1秒ごとに、各商品棚について、人の有無、棚IDを時刻とともに出力するとしたが、本発明はこの場合に限られず、例えば、人物位置推定手段121は3秒ごとに、各商品棚について、人の有無、棚IDを時刻とともに出力するとしてもよい。または、人物位置推定手段121は、いずれかの商品棚について、人がいると推測できる状態から人がいないと推測できる状態に遷移、もしくは、人がいないと推測できる状態から人がいると推測できる状態に遷移した場合にのみ、当該商品棚について、人の有無、棚IDを時刻とともに出力するとしてもよい。このようにすることで、演出開始タイマー312が人の有無を管理する必要がなくなる。同様に、人物動作推定手段122は、検出した手の位置が有効な位置である場合にのみ、手の位置を出力するとしてもよい。
 
【0118】
  (4)実施の形態1〜4では、演出開始タイマー312は第1動作を検出した後、第2動作を検出してからタイマーのカウントを開始し、タイマーが満了すればその旨を出力するものとしたが、本発明はこの場合に限られず、例えば、演出開始タイマー312は、人物位置履歴データベース210から第1動作に該当するログを受け取り、さらに人物動作履歴データベース220から、第1動作より時刻が後の第2動作に該当するログを受け取った場合、当該ログに含まれる第2動作の時刻を起点として、タイマーのカウントを開始してもよい。また、タイマーの満了までの間、第3動作の検出を行わず、タイマーの満了後、第3動作に該当するログがなければ、タイマーが満了したものとしてその旨を出力し、第3動作に該当するログがあれば、第3動作を検出したとしてもよい。このようにすることで、疑似的にタイマーを実現することができる。
 
【0119】
  (5)実施の形態1〜4では、演出開始タイマー312のタイマーが動作中に来店者が同一の商品棚に手を伸ばした場合、商品推測手段311が対応する商品を推測し、タイマー開始時の商品と同一の商品であるか否かを演出開始タイマー312が判断するものとしたが、本発明はこの場合に限られない。例えば、演出開始タイマー312のタイマーが動作中に来店者が同一の商品棚に手を伸ばした場合、タイマーのカウントをゼロに戻して再開するとしてもよい。実施の形態1、3、4においては、単に、同一の商品に手を伸ばした場合にも、最後に手を伸ばした動作に基づいて動作するようになるだけに過ぎないからである。また実施の形態2においては、同一の商品に手を伸ばしていればタイマーの満了を待たずに商品演出を行うため、タイマーをリセットしても動作に影響がないからである。このようにすることで、演出開始タイマー312はカウント開始時の商品を保持しておく必要がなくなり、構成の単純化に奏功する。
 
【0120】
  (6)実施の形態3〜4では、デジタルサイネージ81で動画を再生する商品を選択する方法として、所定期間内に商品演出がなされた回数が少ない順、または、所定期間において、商品演出がなされた回数に対する販売数の比が大きい順である場合について説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、所定期間内に商品演出がなされた回数が多い順であってもよいし、商品演出がなされた回数に対する販売数の比が小さい順であってもよい。または、例えば、所定期間内における販売数が多い順、あるいは、所定期間内における販売数が少ない順であってもよい。
 
【0121】
  なお、所定期間は同じ日付の日内に限られず、3日や1週間、2週間等であってもよいし、再生時を基準にさかのぼって1日や1週間等であってもよい。
  (7)実施の形態3〜4では、演出履歴データベース250、および、販売データベース260は、毎日午前0時に消去されるとしたが、本発明はこの場合に限られない。演出履歴データベース250、および、販売データベース260は、毎日決まった時間、例えば、午前2時に消去されるとしてもよいし、所定の日数ごと、例えば、毎月曜日午前2時に消去されるとしてもよい。あるいは、演出履歴データベース250は、例えば、商品と商品演出を行った時刻との組み合わせを保持し、演出内容決定手段513または613に対して、直近の24時間あたりの商品と演出回数との組み合わせを応答する、としてもよい。この場合、演出履歴データベース250は、例えば、24時間以前に商品演出を行ったレコードを定期的に消去、あるいは、レコード数が所定の数を超えた場合に、古いレコードから順に消去する、とすることで、レコード数が過剰になることを防ぐことができる。
 
【0122】
  (8)実施の形態1〜5では、焦電センサ21を用いて来店者が商品棚の前にいるか否かを判別するものとしたが、本発明はこの場合に限られない。焦電センサに代えて他の人感センサを用いてもよいし、あるいは、例えば、画像解析装置と通路ごとに設置された監視カメラとを用いて、来店者がどの商品棚の前にいるか否かを判定してもよい。このようにすることで、全ての商品棚に焦電センサを設置する必要がなくなる。また、同様に、測域センサ31に代えて、他の位置検出センサを用いてもよいし、画像解析装置と通路ごとに設置された監視カメラとを用いて、来店者の手の位置を判定してもよい。このようにすることで、センサの数を減らすことができる。また、来店者が商品棚の前にいるか否か、および、来店者が手を伸ばした位置を1系統の監視カメラとで行えば、観測装置110のデバイス数を減らすことができる。
 
【0123】
  (9)実施の形態2では、特定商品の演出と、関連商品の演出とのいずれかを同一のデジタルサイネージ51で行うものとしたが、本発明はこの場合に限られない。例えば、特定商品の演出、または、関連商品の商品演出のいずれか一方または両方を照明装置41で行うとしてもよい。または、人物動作推定手段122が第5動作を検出した場合(S21でYes)に、S21でNoの場合の処理をそのまま続行し、例えば、関連商品の商品演出をデジタルサイネージ51で行い、演出開始タイマー312のタイマーが満了したときに、照明装置41で特定商品の演出を行うとしてもよいし、デジタルサイネージ51を用いた関連商品の商品演出が終了していれば、特定商品の演出をデジタルサイネージ51でおこなってもよい。あるいは、関連商品の商品演出と同時または直後に、特定商品の演出を行うとしてもよい。このようにすることで、特定商品と関連商品の双方を併せてアピールすることが可能となる。
 
【0124】
  (10)実施の形態1〜5では、第1動作の検出後に第2動作を検出すると演出開始タイマー312のタイマーのカウントを開始するとしたが、本発明はこの場合に限られない。例えば、第2動作を検出した際に、商品棚の前に人がいるか否かを検知するとしてもよいし、第2動作の検出を第1動作の検出と見なし、第2動作の検出のみで演出開始タイマー312のタイマーのカウントを開始するとしてもよい。
 
【0125】
  (11)実施の形態1〜5では、人物動作推定手段112は常に測域センサ31の入力を受け付けるものとしたが、本発明はこの場合に限られない。例えば、焦電センサ21と人物位置推定手段121との出力から、正面付近に来店者がいると推定される商品棚についてのみ、当該商品棚における手の位置を検出するとしてもよい。このようにすることで、常に測域センサ31と人物動作推定手段122とを動作させる必要がなく、システムの省電力化に奏功する。
 
【0126】
  (12)実施の形態1〜5では、演出開始タイマー312のタイマーが5秒で満了するとしたが、本発明はこの場合に限られない。演出開始タイマー312のタイマーの所定時間は、来店者が商品に手を伸ばしてから購入するか否かを悩むことなく商品棚の正面付近を立ち去るまでの時間より長く、商品に手を伸ばしてから購入するか否かを悩んだ後商品棚の正面付近を立ち去るまでの時間より短い時間であればよい。
 
【0127】
  (13)本発明は、上記に示す方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
  また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標)  Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
 
【0128】
  また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
  また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
 
【0129】
  また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
  (14)実施の形態1〜5の説明は本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。例えば、実施の形態2と実施の形態3とを組み合わせるとしてもよい。
 
【0130】
  (補足)
  以下に、実施の形態に係る商品演出方法、および、情報表示方法の構成及び効果について説明する。
  (1)実施の形態に係る商品演出方法は、店舗における来店者の行動を検出し、検出結果に基づいて前記店舗内の商品を演出する商品演出装置を含む商品演出システムにおける商品演出方法であって、前記来店者が前記店舗内の商品棚を中心とした所定のエリアに進入したことを示す第1動作を検出し、前記来店者が前記商品棚に陳列されている第1商品に手を伸ばしたことを示す第2動作を検出し、前記第1動作が検出された後に前記第2動作が検出された場合、前記第2動作が検出された時点から時間をカウントし、前記カウントされた時間が所定時間に達した場合、前記商品棚において前記商品演出装置に前記来店者が手を伸ばした商品を対象とする商品演出を実行させ、前記カウントされた時間が前記所定時間に達しないうちに、前記来店者が前記所定のエリアの外に出る第3動作が検出されると、前記商品演出を実行させない。
 
【0131】
  このようにすることで、商品棚に近づいて陳列されている商品を手に取った後商品棚からすぐに立ち去った場合には時間カウントが満了しないので、その来店者に対して商品演出がなされない。購入することを事前に決めて商品棚に近づいた来店者は商品を手に取るとその場を離れてしまうことが多いので、そのような来店者に対して商品演出を省略し、商品演出が過剰になされることを回避することができる。これにより、照明効果やサイネージによる広告再生の陳腐化を避けることができる。一方で、来店者が商品棚に近づいて陳列されている商品を手に取り商品棚の前で眺めている場合には、その来店者が商品に手を伸ばしてから時間カウントが所定時間に達した後に商品演出がなされる。商品を手に取ってパッケージを確認し、購入するか否かを迷っている来店者は、購入するか否かを決めるまでその場から動かないことが多い。そのため、商品に手を伸ばした後に商品棚の前から動かない来店者は、手を伸ばした商品に興味を示していると推測することができる。かかる来店者に対して商品演出を行うことで、陳列商品に強い興味を持っている来店者に対象を絞って、商品の魅力を強くアピールすることができる。以上のように、商品棚の前で興味を持っているが購入するかを迷っていると推測される来店者のみを狙って商品をアピールするので、商品演出の実効性を高めることができる。
 
【0132】
  (2)実施の形態に係る上記(1)の商品演出方法は、前記第1動作は、前記来店者が前記商品棚に接近していることを検出することで検出され、前記第2動作は、前記来店者が手を伸ばした位置を検出することで検出されてもよい。
  このようにすることで、来店者が特定エリアにいるか否か、および、来店者が商品棚のどの商品に手を伸ばしたかを容易に検出することができる。
 
【0133】
  (3)実施の形態に係る上記(1)の商品演出方法は、前記第1動作の検出と、前記第2動作の検出とは、同一の検出器を用いて行われてもよい。
  このようにすることで、システム全体の検出器の個数を減らすことができる。
  (4)実施の形態に係る上記(2)の商品演出方法は、複数の商品はそれぞれ、前記商品棚において横方向に並べられた複数の商品収納コラムに陳列され、前記商品演出システムは商品棚情報データベースに接続され、前記商品棚情報データベースは前記複数の商品それぞれの前記商品収納コラムにおける位置を示す位置情報と前記商品収納コラムの位置に陳列されている商品を示す商品情報とを格納し、前記第1商品は前記位置情報と前記商品情報を用いて特定されてもよい。
 
【0134】
  このようにすることで、来店者がどの商品が陳列されているコラムに手を伸ばしたかを検出することが可能となる。
  (5)実施の形態に係る上記(4)の商品演出方法は、前記第2動作の検出は、位相式の測距センサを含む検出器を用いて行われ、前記来店者が手を伸ばした位置は、直交座標系における座標を用いて検出され、前記直交座標系は、前記商品棚の高さ方向を第1基準軸とし、前記商品棚の幅方向を第2基準軸としてもよい。
 
【0135】
  このようにすることで、商品棚を高さ方向と幅方向とからなる二次元的にとらえ、商品棚情報データベースが保持すべきレコードを簡略化させることができる。更に、来店者がどの商品が陳列されているコラムに手を伸ばしたかを確実に検出することが可能となる。
  (6)実施の形態に係る上記(4)の商品演出方法は、前記第2動作の検出は、前記商品棚から所定距離以内における前記来店者の行動を監視する監視カメラを含む検出器を用いて行われ、前記監視カメラは、撮影部と画像認識部を有し、前記画像認識部は前記撮影部が撮影したフレーム画像を用いて前記来店者が手を伸ばした位置を認識し、更に、前記フレーム画像の高さ方向を第1基準軸とし、前記フレーム画像の幅方向を第2基準軸とする第1直交座標系を用いて、前記来店者が手を伸ばした座標(x,y)を決定し、前記座標(x,y)を、前記商品棚の高さ方向を第3基準軸とし、前記商品棚の幅方向を第4基準軸とする第2直交座標系の座標に変換してもよい。
 
【0136】
  このようにすることで、商品棚を高さ方向と幅方向とからなる二次元的にとらえ、商品棚情報データベースが保持すべきデータを簡略化させることができる。更に、来店者がどの商品が陳列されているコラムに手を伸ばしたかを確実に検出することが可能となる。
  (7)実施の形態に係る上記(1)の商品演出方法は、前記商品演出装置は、前記商品棚に設置された照明を含み、前記商品演出は、前記来店者が手を伸ばした商品棚に設置された照明を点灯すること、当該照明の色を変化させること、当該照明の明るさを変化させること、を含んでもよい。
 
【0137】
  このようにすることで、特定の商品棚、または、特定の商品棚のコラムの見た目を変えて商品をアピールすることができる。
  (8)実施の形態に係る上記(1)の商品演出方法は、前記商品演出装置は、前記店舗の天井に設置された照明を含み、前記商品演出は、前記店舗の天井に設置された照明のうち、前記来店者が手を伸ばした商品が陳列されている商品棚に対応する照明を点灯させること、当該照明の色を変化させること、当該照明の明るさを変化させること、を含んでもよい。
 
【0138】
  このようにすることで、特定の商品棚の見た目を変えて商品をアピールすることができるとともに、照明装置が商品棚のレイアウトに影響を与えることを防ぐことができる。
  (9)実施の形態に係る上記(1)の商品演出方法は、前記商品演出装置は、前記商品棚に設置された、広告を再生するための第1デジタルサイネージを含み、前記商品演出は、前記第1デジタルサイネージによる前記広告の再生を含んでもよい。
 
【0139】
  このようにすることで、商品棚ごとに、映像や音声を用いて商品をアピールすることができる。
  (10)実施の形態に係る上記(1)〜(9)の商品演出方法は、前記商品演出システムは、関連商品データベースに接続され、前記関連商品データベースは、前記第1商品に関連する前記店舗内の第2商品についての商品情報を格納し、更に、前記関連商品データベースを用いて前記第2商品を特定し、前記時間をカウントしているときに、前記第2動作が検出された場合、前記第2商品について商品演出を実行させてもよい。
 
【0140】
  このようにすることで、来店者が特定商品に強い興味を抱いている場合に、特定商品と関連商品をあわせてアピールすることができる。
  (11)実施の形態に係る上記(10)の商品演出方法は、前記商品演出装置は、前記商品棚に設置された、広告を再生するための第1デジタルサイネージを含み、前記第2商品についての商品演出は、前記第1デジタルサイネージによる前記第2商品を対象とする広告の再生を含んでもよい。
 
【0141】
  このようにすることで、関連商品を、映像や音声を用いて商品アピールすることができる。
  (12)実施の形態に係る上記(1)〜(6)の商品演出方法は、前記商品演出システムは、第2デジタルサイネージを含み、前記商品演出システムは、演出履歴データベースに接続され、前記演出履歴データベースは商品演出の対象となった商品を当該商品演出が実行された時期とともに保持し、更に、前記演出履歴データベースを用いて、所定期間内に商品演出が実行された回数が最も多い商品の広告を特定し、前記特定された商品を対象とする広告を前記第2デジタルサイネージに再生させてもよい。
 
【0142】
  このようにすることで、来店者が興味を持った商品を、陳列されている商品棚の前にいない他の来店者に対してもアピールすることができる。
  (13)実施の形態に係る上記(1)〜(6)の商品演出方法は、前記商品演出システムは、第2デジタルサイネージを含み、前記商品演出システムは、演出履歴データベースに接続され、前記演出履歴データベースは商品演出の対象となった商品を当該商品演出が実行された時期とともに保持し、更に、前記演出履歴データベースを用いて、所定期間内に商品演出が実行された回数が最も少ない商品の広告を特定し、前記特定された商品を対象とする広告を前記第2デジタルサイネージに再生させてもよい。
 
【0143】
  このようにすることで、来店者が商品棚の前に立ち止まらないことでアピールできていない商品を、アピールすることができる。
  (14)実施の形態に係る上記(1)〜(6)の商品演出方法は、前記商品演出システムは、第2デジタルサイネージを有し、前記商品演出システムは、演出履歴データベースと販売データベースとに接続され、前記演出履歴データベースは、商品演出の対象となった商品を商品演出が実行された時期とともに保持し、前記販売データベースは、各商品の一定期間ごとの販売数である販売情報を保持し、前記演出履歴データベース及び前記販売データベースを用いて、所定期間内における商品演出回数に対する販売数の割合が最も低い商品を特定し、特定された商品を対象とする広告を前記第2デジタルサイネージに再生させてもよい。
 
【0144】
  このようにすることで、冷やかしが多く真に興味を抱いた来店者が商品棚の前に立ち止まっていないことが推測できる商品について、真に興味を抱いた来店者に商品を手に取ってもらえるように、アピールすることができる。
  (15)実施の形態に係る上記(1)〜(6)の商品演出方法は、前記商品演出システムは、第2デジタルサイネージを有し、前記商品演出システムは、演出履歴データベースと販売データベースとに接続され、前記演出履歴データベースは、商品演出の対象となった商品を商品演出が実行された時期とともに保持し、前記販売データベースは、各商品の一定期間ごとの販売数である販売情報を保持し、前記演出履歴データベース及び前記販売データベースを用いて、所定期間内における商品演出回数に対する販売数の割合が最も高い商品を特定し、特定された商品を対象とする広告を前記第2デジタルサイネージに再生させてもよい。
 
【0145】
  このようにすることで、手に取った来店者の購入率の高い商品について、商品を手に取ってもらえるように、アピールすることができる。
  (16)実施の形態に係る上記(1)〜(15)の商品演出方法は、前記時間をカウントしているときに、前記第1商品とは異なる種類の第3商品に前記来店者が手を伸ばす第4動作が検出された場合、前記第4動作を検出した時点から新たに時間をカウントしてもよい。
 
【0146】
  このようにすることで、来店者が種類の異なる複数の商品に順番に手を伸ばした場合に、来店者がより興味を持っていると推測される、後に手を伸ばした商品について商品演出を行うことができる。
  (17)実施の形態に係る上記(1)〜(15)の商品演出方法は、前記時間をカウントしているときに、前記第1商品と同じ種類の第4商品に前記来店者が手を伸ばす第5動作が検出された場合、前記第5動作を検出した時点から新たに時間をカウントしてもよい。
 
【0147】
  このようにすることで、来店者が複数の商品に順番に手を伸ばした場合に、それが同一商品であるか否かを判別せずとも、後に手を伸ばした商品について商品演出を行うことができる。
  (18)実施の形態に係る情報表示方法は、店舗における来店者の行動を検出し、検出結果に基づいて前記店舗内の商品を演出する商品演出装置を含む商品演出システムにおける情報表示方法であって、前記来店者が前記店舗内の商品棚を中心とした所定のエリアに進入したことを示す第1動作を検出し、前記来店者が前記商品棚に陳列されている第1商品に手を伸ばしたことを示す第2動作を検出し、前記第1動作が検出された後に前記第2動作が検出された場合、前記第2動作が検出された時点から時間をカウントし、前記カウントされた時間が所定時間に達した場合、前記来店者が前記第1商品に手を伸ばした回数として計上し、前記カウントされた時間が前記所定時間に達しないうちに、前記来店者が前記所定エリアの外に出る第3動作が検出されると、前記時間のカウントを停止し、前記表示端末は、所定期間における前記来店者が手を伸ばした回数を、前記商品毎に表示する。
 
【0148】
  このようにすることで、商品棚の前で興味を持っているが購入するかを迷っている来店者の動向のみを集計することができ、来店者の興味をより正確に収集することが可能となる。