【課題】電線と軸状端子とが圧着され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子において、相手側端子との接続方向における占有スペースを小さくすること。
【解決手段】圧着端子1は、軸状に延伸し、その一端部10Aが相手側端子と接続される軸状端子10と、その一端部20Aが軸状端子10の他端部10Bと交差する形で引き出され、その交差する部位において軸状端子10に圧着されることで軸状端子10と接続された電線20と、を備える。電線20が軸状端子10と交差する形で軸状端子10に圧着されて接続されることで、相手側端子との接続方向において軸状端子の加工部位等が形成された圧着端子に比べて、相手側端子との接続方向における占有スペースを小さくすることができる。
前記軸状端子と前記電線との接続部では、前記軸状端子の前記他端部に、前記電線の引き出し方向に沿った第1の開口と、前記軸状端子の延伸方向に沿うとともに前記第1の開口と連通する第2の開口と、が設けられ、
前記電線は、その一端部が前記第1の開口に挿入された状態で前記軸状端子と接続されており、
前記第2の開口に常温で硬化する封止材が注入されている、請求項1に記載の圧着端子。
前記電線は、心線と前記軸状端子との接続部を除く部位の前記心線を被覆する絶縁被覆とからなり、前記軸状端子との接続部近傍において前記心線と前記絶縁被覆との間に止水樹脂が配されている、請求項3に記載の圧着端子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記平板状の端子の替わりに軸状に延伸する軸状端子を用いる場合、例えば、電線の引き出し方向と軸状端子の延伸方向とが沿うように電線と軸状端子とを圧着接続するとともに、軸状端子の一部を曲げ加工することで、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子を実現することができる。
【0005】
しかしながら、このように軸状端子を用いて実現される圧着端子では、平板状の端子を用いた場合と異なり、端子の一部に曲げ加工を施すことによりその加工部位に曲率が生じるため、相手側端子との接続方向において高背化する。このため、平板状の端子を用いて実現される圧着端子と比べて、相手側端子との接続方向において圧着端子を配するために十分なスペースが必要となる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みて創作されたものであって、電線と軸状端子とが圧着され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子において、相手側端子との接続方向における占有スペースを小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、軸状に延伸し、その一端部が相手側端子と接続される軸状端子と、その一端部が前記軸状端子の他端部と交差する形で引き出され、その交差する部位において前記軸状端子に圧着されることで該軸状端子と接続された電線と、を備える圧着端子に関する。
【0008】
上記の圧着端子では、電線が軸状端子と交差する形で軸状端子に圧着されて両者が接続されることで、軸状端子の一部を曲げ加工することなく、電線の引き出し方向と軸状端子の延伸方向、即ち相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子が実現される。このため上記の圧着端子では、電線と軸状端子との接続部位に曲率が生じることがなく、相手側端子との接続方向において軸状端子の加工部位等が形成された圧着端子に比べて、電線の引き出し方向における占有スペースを小さくすることができる。このように上記の圧着端子では、電線と軸状端子とが圧着され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる構成を実現しながら、相手側端子との接続方向における占有スペースを小さくすることができる。
【0009】
上記の圧着端子において、前記電線は、その一端部の先端が前記電線の引き出し方向に沿って前記軸状端子を貫通して該軸状端子からはみ出していてもよい。なお、本明細書でいう「貫通する」とは、貫通孔を貫通することだけでなく、一方に開口する溝内を貫通することも含むものとする。
【0010】
この構成によると、電線の一端部の先端が軸状端子からはみ出していない構成と比べて軸状端子に対して圧着される電線の部位が大きくなる。さらに、軸状端子からはみ出した電線の先端が広がることで、当該はみ出した部位が軸状端子に係止される。このため、軸状端子に対する電線の固着力を向上させることができる。
【0011】
上記の圧着端子において、前記軸状端子と前記電線との接続部では、前記軸状端子の前記他端部に、前記電線の引き出し方向に沿った第1の開口と、前記軸状端子の延伸方向に沿うとともに前記第1の開口と連通する第2の開口と、が設けられ、前記電線は、その一端部が前記第1の開口に挿入された状態で前記軸状端子と接続されており、前記第2の開口に常温で硬化する封止材が注入されていてもよい。なお、本明細書でいう「常温」とは、20℃±15℃の範囲内の温度をいうものとする。
【0012】
この構成によると、第2の開口に常温で硬化する封止材が注入されて第2の開口が塞がれることで、第2の開口から軸状端子と電線との接続部に水が浸入することを防止することができる。
【0013】
上記の圧着端子において、前記電線は、心線と前記軸状端子との接続部を除く部位の前記心線を被覆する絶縁被覆とからなり、前記軸状端子との接続部近傍において前記心線と前記絶縁被覆との間に止水樹脂が配されていてもよい。
【0014】
この構成によると、軸状端子と電線との接続部近傍において心線と絶縁被覆との間が止水樹脂で塞がれることで、絶縁被覆からの心線の取り出し部から心線と絶縁被覆との間に水等が浸入することを防止することができる。
【0015】
上記の圧着端子において、前記軸状端子と前記電線との接続部では、前記軸状端子と前記電線とが直交していてもよい。
【0016】
この構成によると、相手側端子との接続方向において電線と軸状端子との圧着部のみが形成されるとともに、L字状に屈曲された圧着端子を実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電線と軸状端子とが圧着され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子において、相手側端子との接続方向における占有スペースを小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
図1乃至
図8を参照して実施形態1を説明する。本実施形態では、
図1に示す屈曲形状の圧着端子1を例示する。この圧着端子1は、軸状に延伸する軸状端子10と、軸状端子10に圧着された電線20と、を備える。圧着端子1は、軸状端子10に電線20が略直交して交差する形で配されて構成され、これにより、全体として略L字状に屈曲した形状となっている。
【0020】
なお本実施形態では、各図面の一部に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。このうちX軸方向は、
図1乃至
図3の左斜め下側、
図4乃至
図8の紙面手前側、をそれぞれ前側として前後方向と一致しており、Y軸方向は左右方向と一致しており、Z軸方向は、
図1乃至
図8の紙面上側を上方として上下方向と一致している。
【0021】
圧着端子1を構成する軸状端子10は、銅または銅合金からなる中実な円柱状の部材とされる。軸状端子10は、
図1に示すように、上下方向に軸状に延伸しており、その下側に位置する一端部10Aに相手側端子(不図示)が接続され、その上側に位置する他端部10Bに電線20が接続されている。従って軸状端子10では、その延伸方向が相手側端子との接続方向と一致する。
【0022】
軸状端子10の他端部10Bには、
図1に示すように、電線20が圧着されて接続された圧着部12が設けられている。この圧着部12は、軸状端子10の他端部10Bに電線20の一端部20Aが交差する形で配された状態で、軸状端子10の他端部10Bがその上方から加圧されることにより形成されている。
【0023】
また、
図1に示すように、軸状端子10の上下方向における略中央位置には、その外周面に、外側に張り出すフランジ部14が設けられている。このフランジ部14は、圧着端子1がリテーナ(不図示)等で覆われる場合に、圧着端子1をリテーナ等に係止するための部位とされる。
【0024】
電線20は、複数の金属素線からなる心線24(
図2参照)が絶縁被覆22によって被覆されて構成され、
図1に示すように、前後方向に引き出されている。電線20の一端部20Aでは、
図2に示すように、絶縁被覆22から心線24が取り出されている。電線20は、その一端部20Aが軸状端子10の他端部10Bと直交して交差する形で配され、当該交差する部位において軸状端子10と圧着されることで軸状端子10と接続されている。
【0025】
また、電線20の一端部20A(絶縁被覆22から取り出された心線24)は、その先端が電線20の引き出し方向(前後方向)に沿って軸状端子10を貫通して軸状端子10からはみ出している(以下、当該はみ出した部位をはみ出し部26と称する)。
【0026】
続いて、本実施形態における圧着端子1の製造方法を説明する。本方法では、まず、鍛造により軸状端子10の大まかな外形を形成し、その後、切削によって細かな部分の外形を形成する。次に、軸状端子10の他端部10Bを、その切削跡の輪郭が前後方向から視て略U字状となるように切削する。これにより、
図2に示すように、軸状端子10の他端部10Bに前後方向に貫通するとともに上方に開口する略U字状の溝10Cが形成され、その溝10Cの両側に上方に向かって立設する2つのバレル部16が形成される。
【0027】
次に、
図4に示すように、軸状端子10のうち、その一端部10Aとフランジ部14との間に位置する部位10Eをカバー30で覆う。このカバー30は、後の製造過程において当該部位10Eに傷が付かないようにするためのものであり、筒状の樹脂部材または筒状のゴム部材により形成される。なお以下では、軸状端子10のうち、圧着部12とフランジ部14との間に位置する部位を第1端子部10Dと称し、その一端部10Aとフランジ部14との間に位置する部位を第2端子部10Eと称する。
【0028】
次に、
図5及び
図6に示すように、軸状端子10のうち、その他端部10B(バレル部16とその近傍の部位)を除く部位を一対の受け台32,32によって挟み込む。この一対の受け台32,32は、軸状端子10と対向する面がそれぞれ軸状端子10の外郭に沿った形状とされている。このため、軸状端子10が一対の受け台32,32の間に挟み込まれることで、軸状端子10が受け台32によって強固に支持される。
【0029】
次に、
図3及び
図6に示すように、軸状端子10に設けられた2つのバレル部16の間(溝10C内)に、電線20の一端部20Aを、軸状端子10の延伸方向と電線20の引き出し方向とが直交するように交差する形で配置する。このとき、はみ出し部26を形成するため、電線20の一端部20Aの先端(絶縁被覆22から取り出された心線24の先端)が溝10C内を貫通して軸状端子10からわずかにはみ出た状態となるように電線20を配置する(
図3参照)。
【0030】
次に、
図6乃至
図8に示すように、軸状端子10のバレル部16をその上方から加圧ヘッド34によって加圧することで、電線20の一端部20Aを軸状端子10の他端部10Bに圧着させる。加圧ヘッド34は、一対の受け台32,32の上面と対向する部位が平坦面とされ、バレル部16と対向する部位に凹部35が形成されている。この凹部35の底面35Aは、
図7に示す断面視において、上方に湾曲する2つの円弧が左右方向に連なった形状とされている。
【0031】
加圧ヘッド34の凹部35の底面35Aがこのような形状とされていることで、加圧ヘッド34によってバレル部16が加圧されると、2つのバレル部16がそれぞれその先端部側から内側下方に向かって円弧状に湾曲するように曲げられる。これにより、電線20の一端部20Aが2つのバレル部16によって下方に圧縮されて押し潰され、溝10C内において軸状端子10の他端部10Bに圧着される。その後、電線20が圧着された軸状端子10を一対の受け台32,32の間から取り出すことにより、圧着端子1が完成する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の圧着端子1では、軸状端子10の一部を曲げ加工することなく、電線20の引き出し方向と軸状端子10の延伸方向、即ち相手側端子との接続方向とが異なるものとなっている。このため本実施形態の圧着端子1では、電線20と軸状端子10との接続部位に曲率が生じることがなく、相手側端子との接続方向において軸状端子の加工部位等が形成された圧着端子に比べて、相手側端子との接続方向における占有スペースを小さくすることができる。このように本実施形態の圧着端子1では、電線20と軸状端子10とが圧着され、電線20の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる構成を実現しながら、相手側端子との接続方向における占有スペースを小さくすることができる。
【0033】
また、本実施形態の圧着端子1では、電線20の引き出し方向において電線20と軸状端子10との圧着部12のみが形成されるため、電線の引き出し方向において電線と軸状端子との圧着部に加えて軸状端子の加工部位等が形成された圧着端子や、電線と平板状の端子とが圧着された従来の圧着端子と比べて、組立工数を減らすことができる。
【0034】
また、本実施形態の圧着端子1では、軸状端子10の延伸方向が相手側端子との接続方向とされるので、相手側端子と接続するための構成を別途設ける必要がなく、電線と平板状の端子とが圧着された従来の圧着端子と比べて、電線や相手側端子との接続箇所の接続抵抗値を下げることができる。
【0035】
また、本実施形態の圧着端子1では、電線20の一端部20Aの先端が電線20の引き出し方向に沿って軸状端子10を貫通し、軸状端子10からはみ出した状態で電線20が軸状端子10に圧着されることではみ出し部26が形成されている。このような構成とされていることで、電線20の一端部20Aの先端において絶縁被覆22から取り出された心線24が軸状端子10からはみ出していない構成と比べて軸状端子10に対して圧着される心線24の部位が大きくなる。さらに、はみ出し部26が広がることで、はみ出し部26が軸状端子10に係止される。このため、軸状端子10に対する電線20の心線24の固着力を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態の圧着端子1では、軸状端子10の他端部10Bに電線20の一端部20Aを交差する形で配することで屈曲形状を実現するため、軸状端子10に対して電線20を交差させる方向を変えることで、電線20の他端部を容易に様々な方向に向けることができる。このため、利便性に優れた圧着端子1を実現することができる。
【0037】
なお、軸状の端子部材に曲げ加工を施すことにより屈曲形状の圧着端子を実現する場合、直角に近い状態まで曲げ加工を施すと、屈曲部位の剛性が低下し、屈曲部位が折れ易くなってしまう。これに対し、本実施形態の圧着端子1では、軸状端子10に曲げ加工を施すことがなく、電線20を軸状部材10と直交するように交差して配置することで屈曲形状を形成するため、略直角に屈曲した形状を実現しながら、屈曲部位の剛性に優れた圧着端子1を実現することができる。
【0038】
また、本実施形態の圧着端子1では、上述したように、製造過程において曲げ加工を行うことなく屈曲形状を実現するため、曲げ加工が施された圧着端子と比べて、相手側端子との接続方向において屈曲部位の低背化を図ることができる。このため、圧着端子1の短尺化を図ることができ、相手側端子に設けられたハウジング内に軸状端子10の一端部10Aが収容されることで圧着端子1と相手側端子とが接続される構成において、当該ハウジングの小型化を図ることができる。
【0039】
<実施形態2>
次に、実施形態2について
図9乃至
図11を参照して説明する。本実施形態の圧着端子101は、電線120の圧着態様及び製造方法の一部が実施形態1のものと異なっている。その他の構成については実施形態1のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。なお、
図9、
図10、
図11において、それぞれ
図1、
図2、
図3の参照符号に数字100を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。また、
図9乃至
図11の各図面における各方向は、実施形態1における
図1乃至
図3の各図面における各方向と一致している。
【0040】
本実施形態の圧着端子101は、電線120の圧着態様が実施形態1のものと異なっており、これにより、
図9に示すように、圧着部112の外径が第1端子部110Dの外径と等しくなっている。このような圧着態様とされた圧着端子101は、以下のような製造方法で形成することができる。
【0041】
即ち、まず実施形態1と同様に、鍛造によって軸状端子110の大まかな外形を形成し、その後、切削によって細かな部分の外形を形成する。次に、
図10に示すように、切削によって、軸状端子110の他端部110Bに前後方向に貫通するとともに電線120の一端部120Aを挿入可能な貫通孔110Cを形成する。
【0042】
次に、
図11に示すように、その先端が貫通孔110Cを貫通して軸状端子110からはみ出るように電線120の一端部120Aを貫通孔110Cに挿入する。なお、軸状端子110の第2端子部110Eをカバーで覆う工程、及び軸状端子110を一対の受け台の間に挟み込んで支持する工程は実施形態1と同様である。
【0043】
次に、軸状端子110の上面を加圧ヘッドによって加圧する。これにより、貫通孔110Cの内部に挿入された電線120の一端部120Aが加圧されて押し潰され、軸状端子110の他端部110Bに圧着されて接続される。その後、軸状端子を受け台から取り出すことにより、圧着端子101が完成する。なお、加圧ヘッドの構成は実施形態1のものと同様である。このため、軸状端子110の上面を加圧ヘッドによって加圧すると、圧着部112の上面が加圧ヘッドの凹部の底面の輪郭に沿った形状に加工される(
図9参照)。
【0044】
このような製造方法によっても、電線120の一端部120Aが軸状端子110と直交して交差する形で軸状端子110の他端部110Bに圧着され、両者が接続されることで、電線120の引き出し方向と相手側端子との接続方向が異なるものとしながら、電線20と軸状端子10との接続部位に曲率が生じることがない構成を実現することができる。このため、相手側端子との接続方向における占有スペースを小さくすることができる。
【0045】
<実施形態3>
次に、実施形態3について
図12乃至
図16を参照して説明する。本実施形態の圧着端子201は、電線220の圧着態様及び製造方法の一部が実施形態1及び実施形態2のものと異なっている。その他の構成については実施形態1のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。なお、
図12において、
図2の参照符号に数字200を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。また、
図12乃至
図16の各図面において、X軸方向は、紙面左側を前側として前後方向と一致している。
【0046】
本実施形態の圧着端子201は、
図16に示すように、電線220の一端部220Aの先端が軸状端子210からはみ出しておらず、さらに、軸状端子210と電線220との接続部において止水が図られた構成となっている。このような構成とされた圧着端子201は、以下のような製造方法で形成することができる。
【0047】
即ち、まず実施形態1と同様に、鍛造によって軸状端子210の大まかな外形を形成し、その後、切削によって細かな部分の外形を形成する。次に、
図12に示すように、切削によって軸状端子210の他端部210Bに前後方向(電線220の引き出し方向)に沿った非貫通の開口210C1(以下、第1の開口210C1と称する)を形成する。次に、切削によって軸状端子210の他端部210Bの上面に上下方向(軸状端子210の延伸方向)に沿うとともに第1の開口210C1と連通する第2の開口210C2を形成する。
【0048】
次に、
図13に示すように、その先端が第1の開口210C1の最深部に突き当たるまで電線220の一端部220Aを第1の開口210C1の内部に挿入する。なお、軸状端子210の第2端子部210Eをカバーで覆う工程、及び軸状端子210を一対の受け台の間に挟み込んで支持する工程は実施形態1と同様である。
【0049】
次に、
図14に示すように、軸状端子210の上面を加圧ヘッドによって加圧する。これにより、第1の開口210C1の内部に挿入された電線220の一端部220Aが加圧され、電線220の一端部220Aが押し潰されて軸状端子210の他端部210Bに圧着されて接続される。その結果、軸状端子210の上面に圧着部212が形成される。なお、加圧ヘッドの構成は実施形態1のものと同様であるが、圧着部212が形成された後も、第2の開口210C2は上方に開口した状態となっている。
【0050】
次に、
図15に示すように、第2の開口210C2に常温環境下に放置することで硬化する封止剤Cを注入し、第2の開口210C2をこの封止剤Cによって塞ぐ。これにより、封止剤Cによって、第2の開口210C2から電線220の一端部220Aに水等が浸入することを防止することができる。なお、封止剤Cの一例として、キレート剤を挙げることができる。
【0051】
次に、電線220の一端部220Aにおいて、絶縁被覆222からの電線220の取り出し部周りに止水樹脂Sを配し、浸透させる。その結果、
図16に示すように、軸状端子210との接続部近傍(絶縁被覆222からの電線220の取り出し部近傍)において、電線220と絶縁被覆222との間に止水樹脂Sが配された状態となる。これにより、絶縁被覆222からの心線224の取り出し部から心線224と絶縁被覆222との間に水等が浸入することを防止することができる。なお、止水樹脂Sの一例として、シリコン剤を挙げることができる。
【0052】
以上説明したように本実施形態の圧着端子201では、電線220の一端部220Aが軸状端子210と直交して交差する形で圧着されて接続されることで、電線220の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる構成を実現しながら、相手側端子との接続方向における占有スペースを小さくすることができる。さらに、電線220の一端部220A、及び心線224と絶縁被覆222との間への水等の浸入を防止することができる。このため、本実施形態の圧着端子201では、止水を図りながら、相手側端子との接続方向における占有スペースを小さくすることができる。
【0053】
上記の実施形態の他の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施形態では、軸状端子に電線が略直交して交差する形で引き出された構成を例示したが、軸状端子に対する電線の交差角度については限定されない。
【0054】
(2)上記の各実施形態では、電線の引き出し方向が圧着端子の前後方向とされた構成を例示したが、軸状端子に電線が交差する形で引き出されていればよく、圧着端子における電線の引き出し方向については限定されない。
【0055】
(3)上記の各実施形態では、製造過程において軸状端子の他端部の上面を加圧することにより軸状端子に電線を圧着する例を示したが、製造過程における軸状端子に対する電線の圧着方向については限定されない。
【0056】
(4)上記の各実施形態では、製造過程において軸状端子の他端部に設けられた貫通孔または第1の開口に電線の一端部を挿入した状態で軸状端子の他端部を加圧することにより、軸状端子に電線を圧着する例を示したが、軸状端子に対する電線の圧着態様については限定されない。
【0057】
(5)上記の各実施形態では、軸状端子にフランジ部が設けられた構成を例示したが、軸状端子は軸状に延伸する端子部材であればよく、その構成については限定されない。
【0058】
以上、本発明の各実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。