【課題】電線と軸状端子とが圧着され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子において、軸状端子に設けられた係止部の変形を防止ないし抑制すること。
【解決手段】圧着端子1は、電線20と、軸状に延伸し、その一端部10Aが相手側端子と接続され、その他端部10Bに電線20が圧着されて接続された軸状端子10と、を備え、軸状端子10は、電線20が圧着された圧着部12と、その外径が他の部位に比して最大とされ、外部部材に係止される係止部14と、圧着部12と係止部14との間に位置する第1端子部10Dと、係止部14を挟んで第1端子部10Dとは反対側に位置する第2端子部10Eと、を有し、第1端子部10Dは、その外径が第2端子部10Eの外径より大きいものとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記平板状の端子の替わりに軸状に延伸する軸状端子を用いる場合、例えば、軸状端子と電線とを交差させる形で軸状端子の一端部に電線の一端部を圧着させることで、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子を実現することができる。この場合、軸状端子の延伸方向を圧着方向として軸状端子に電線を圧着することで、軸状端子に電線を圧着する際の加圧によって軸状端子がその延伸方向に縮むため、軸状端子と電線との圧着部が高背化することを防止ないし抑制することができる。
【0005】
しかしながら、このように軸状端子の延伸方向を圧着方向として軸状端子に電線を圧着する圧着方法では、電線を軸状端子に圧着する際に、軸状端子をその延伸方向に対して支持する必要がある。そこで、軸状端子を受け台等の金型に係止させて支持すべく、軸状端子の外周面に外側に張り出すフランジ状の係止部等を設ける必要がある。軸状端子の外周面にこのような係止部を設けた場合、圧着端子の製造過程において電線を軸状端子に圧着する際、係止部が受け台等に支持された状態で軸状端子がその延伸方向に加圧されることで係止部に過度の圧力が加わるため、係止部が変形することが懸念される。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みて創作されたものであって、電線と軸状端子とが圧着され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子において、軸状端子に設けられた係止部の変形を防止ないし抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電線と、軸状に延伸し、その一端部が相手側端子と接続され、その他端部に前記電線が圧着されて接続された軸状端子と、を備え、前記軸状端子は、前記電線が圧着された圧着部と、その外径が他の部位に比して最大とされ、外部部材に係止される係止部と、前記圧着部と前記係止部との間に位置する第1端子部と、前記係止部を挟んで前記第1端子部とは反対側に位置する第2端子部と、を有し、前記第1端子部は、その外径が前記第2端子部の外径より大きいものとされている圧着端子に関する。
【0008】
上記の圧着端子では、軸状端子の延伸方向と電線の引き出し方向とが異なるような姿勢で軸状端子の他端部に電線の一端部が圧着されて接続されることで、電線の引き出し方向と軸状端子の延伸方向、即ち相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子が実現される。さらに、上記の圧着端子では、電線が軸状端子の延伸方向を圧着方向として軸状端子に圧着される際に、第1端子部の外径が第2端子部の外径以下とされている場合と比べて、軸状端子に電線を圧着する際に加圧される方向(圧着方向)と直交する第1端子部の断面の断面積が大きくなる。
【0009】
ここで、軸状端子に加わる圧力は加圧される方向と直交する断面の断面積に反比例することから、上記の圧着端子では、第1端子部の外径が第2端子部の外径以下とされている場合と比べて、軸状端子に電線を圧着する際に第1端子部を介して係止部に加わる圧力を低減することができる。その結果、軸状端子に設けられた係止部が変形することを防止ないし抑制することができる。このように上記の圧着端子では、電線と軸状端子とが圧着され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる構成を実現しながら、軸状端子に設けられた係止部の変形を防止ないし抑制することができる。
【0010】
本発明の他の態様は、前記第1端子部の外径が前記係止部の外径より小さいものとされた上記の圧着端子を製造する方法であって、前記軸状端子の前記他端部に、該軸状端子の延伸方向と直交する方向に沿って該軸状端子を貫通する貫通部を形成する貫通部形成工程と、前記貫通部に前記軸状端子の延伸方向と直交する姿勢で前記電線の前記一端部を配置する配置工程と、前記第2端子部と、前記係止部と、前記第1端子部の少なくとも一部と、を一対の受け台の間に挟み込んで支持する支持工程と、前記配置工程と前記支持工程の後に、前記軸状端子の前記他端部を加圧して前記電線を前記軸状端子の前記他端部に圧着する圧着工程と、を備える圧着端子の製造方法に関する。なお、本明細書でいう「軸状端子を貫通する貫通部」とは、軸状端子を貫通する貫通孔だけでなく、軸状端子において一方に開口する形で設けられた溝も含むものとする。
【0011】
上記の製造方法によると、圧着工程において軸状端子の延伸方向を圧着方向として軸状端子に電線を圧着することができる。さらに、第1端子部の外径が第2端子部の外径以下とされている場合と比べて、圧着工程において加圧される第1端子部の断面積が大きくなるため、第1端子部を介して係止部に加わる圧力を低減することができる。その結果、電線や相手側端子との接続箇所が一箇所のみとされた屈曲形状を実現しながら、係止部の変形が防止ないし抑制された圧着端子を製造することができる。
【0012】
本発明の他の態様は、前記第1端子部の外径が前記係止部の外径と等しいものとされた上記の圧着端子を製造する方法であって、前記軸状端子の前記他端部に、該軸状端子の延伸方向と直交する方向に沿って該軸状端子を貫通する貫通部を形成する貫通部形成工程と、前記貫通部に前記軸状端子の延伸方向と直交する姿勢で前記電線の前記一端部を配置する配置工程と、受け台に設けられた挿入孔の内部に、前記第2端子部と、前記係止部と、前記第1端子部の少なくとも一部と、を挿入して支持する支持工程と、前記配置工程と前記支持工程の後に、前記軸状端子の前記他端部を加圧して前記電線を前記軸状端子の前記他端部に圧着する圧着工程と、を備える圧着端子の製造方法に関する。
【0013】
上記の製造方法によると、第1端子部の外径が第2端子部の外径以下とされている場合と比べて、第1端子部を介して係止部に加わる圧力を低減することができる。その結果、電線や相手側端子との接続箇所が一箇所のみとされた屈曲形状を実現しながら、係止部の変形が防止ないし抑制された圧着端子を製造することができる。さらに、支持工程において軸状端子を一対の受け台で挟み込んで支持する必要がないので、支持工程における作業性を向上させることができるとともに、受け台の製造コストを低減することができる。
【0014】
上記の製造方法において、前記支持工程の前に前記第2端子部の表面をカバーで覆う覆い工程をさらに備えてもよい。
【0015】
この製造方法によると、支持工程において第2端子部を受け台によって支持する際に第2端子部の表面に傷が付くことを防止ないし抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電線と軸状端子とが圧着され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子において、軸状端子に設けられた係止部の変形を防止ないし抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
図1乃至
図6を参照して実施形態1を説明する。本実施形態では、
図1に示す屈曲形状の圧着端子1を例示する。この圧着端子1は、軸状に延伸する軸状端子10と、軸状端子10に圧着された電線20と、を備える。圧着端子1は、軸状端子10の延伸方向を圧着方向として軸状端子10に電線20が圧着されることで構成されている。
【0019】
なお本実施形態では、各図面の一部に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。このうちX軸方向は、
図1の左斜め下側、
図2乃至
図6の紙面手前側、をそれぞれ前側として前後方向と一致しており、Y軸方向は左右方向と一致しており、Z軸方向は、
図1乃至
図6の紙面上側を上方として上下方向と一致している。
【0020】
圧着端子1を構成する軸状端子10は、銅または銅合金からなる中実な円柱状の部材とされる。軸状端子10は、
図1に示すように、上下方向に軸状に伸びており、その下側に位置する一端部10Aに相手側端子(不図示)が接続され、その上側に位置する他端部10Bに電線20が接続されている。
【0021】
軸状端子10の他端部10Bには、
図1に示すように、電線20が圧着されて接続された圧着部12が設けられている。この圧着部12は、軸状端子10の他端部10Bに電線20の一端部20Aが略直交して配された状態で、軸状端子10の他端部10Bがその上方から当該軸状端子10の延伸方向(上下方向)に沿って加圧されることにより形成されている。
【0022】
軸状端子10の上下方向における略中央位置には、
図1に示すように、その外周面に、外側に張り出すフランジ状の係止部14が設けられている。この係止部14は、圧着端子の製造過程において、電線20を軸状端子10に圧着する際に、軸状端子10をその延伸方向に対して支持するための部位とされる。さらに、係止部14は、圧着端子1がリテーナ(不図示)等で覆われる場合に、圧着端子1をリテーナ等に係止するための部位とされる。係止部14がリテーナ等に係止されることで、圧着端子1ががたつくことを防止ないし抑制することができる。
【0023】
また、軸状端子10において、圧着部12と係止部14との間に位置する部位(以下、第1端子部と称する)10Dは、その外径が、係止部14を挟んで第1端子部10Dとは反対側に位置する部位(以下、第2端子部と称する)10Eの外径よりも大きく、係止部14の外径よりも小さい。従って、圧着端子1では、係止部14の外径が他の部位に比して最大とされる。
【0024】
圧着端子1を構成する電線20は、複数の金属素線からなる心線24(
図2参照)が絶縁被覆22によって被覆されて構成され、
図1に示すように、前後方向に引き出されている。電線20の一端部20Aでは、
図2に示すように、絶縁被覆22から心線24が取り出されている。電線20は、その一端部20Aが軸状端子10の他端部10Bと直交して交差する形で配され、当該交差する部位において軸状端子10と圧着されることで軸状端子10と接続されている。
【0025】
また、電線20の一端部20Aは、その先端が電線20の伸びる方向(前後方向)に沿って軸状端子10を貫通して軸状端子10からはみ出している(以下、当該はみ出した部位をはみ出し部26と称する)。このため、電線20の一端部20Aの先端において絶縁被覆22から取り出された心線24が軸状端子10からはみ出していない構成と比べて軸状端子10に対して圧着される心線24の部位が大きくなる。さらに、はみ出し部26が広がることで、はみ出し部26が軸状端子10に係止される。このため、軸状端子10に対する電線20の心線24の固着力を向上させることができる。
【0026】
続いて、本実施形態における圧着端子1の製造方法を説明する。本方法では、まず、鍛造により軸状端子10の大まかな外形を形成し、その後、切削によって細かな部分の外形を形成する。次に、軸状端子10の他端部10Bを、その切削跡の輪郭が前後方向から視て略U字状となるように切削する(貫通部形成工程の一例)。これにより、
図2に示すように、軸状端子10の他端部10Bに前後方向に貫通するとともに上方に開口する略U字状の溝(貫通部の一例)10Cが形成され、その溝10Cの両側に上方に向かって立設する2つのバレル部16が形成される。
【0027】
次に、
図3に示すように、軸状端子10の第2端子部10Eをカバー30で覆う(覆い工程の一例)。このカバー30は、後の製造過程において当該部位10Eに傷が付かないようにするためのものであり、筒状の樹脂部材または筒状のゴム部材により形成される。
【0028】
次に、
図4に示すように、軸状端子10のうち、第2端子部10Eと係止部14と第1端子部10Dの下側の部位とを一対の受け台32,32によって挟み込んで支持する(支持工程の一例)。具体的には、この一対の受け台32,32は、軸状端子10と対向する面に、それぞれ軸状端子10の左右方向(Y軸方向)片側の外郭に沿った受け台溝部32Aが形成されている。
【0029】
ここで、軸状端子10の外周面から外側に張り出す係止部14は、その外径が他の部位に比して最大とされていることから、軸状端子10を一対の受け台32,32の間に挟み込むことで、係止部14が受け台32の受け台溝部32Aと上下方向において当接し、受け台32に係止される。これにより、一対の受け台32,32に対して軸状端子10がその延伸方向(上下方向)に支持される。
【0030】
次に、
図4に示すように、軸状端子10に設けられた2つのバレル部16の間(溝10C内)に、絶縁被覆22から取り出された電線20の一端部20Aを、軸状端子10の延伸方向と電線20の伸びる方向とが直交するように交差する形で配置する(配置工程の一例)。このとき、はみ出し部26を形成するため、電線20の一端部20Aの先端が溝10C内を貫通して軸状端子10からわずかにはみ出た状態となるように電線20を配置する。
【0031】
次に、
図5に示すように、軸状端子10の延伸方向(上下方向)に沿って軸状端子10のバレル部16をその上方から加圧ヘッド34によって下方に加圧することで、電線20の一端部20Aを軸状端子10の他端部10Bに圧着させる(圧着工程の一例)。加圧ヘッド34は、一対の受け台32,32の上面と対向する部位が平坦面とされ、バレル部16と対向する部位に凹部35が形成されている。この凹部35の底面35Aは、
図5に示すように、断面視において、上方に湾曲する2つの円弧が左右方向に連なった形状とされている。
【0032】
加圧ヘッド34の凹部35の底面35Aがこのような形状とされていることで、加圧ヘッド34によってバレル部16が加圧されると、2つのバレル部16がそれぞれその先端部側から内側下方に向かって円弧状に湾曲するように曲げられる。これにより、電線20の一端部20Aが2つのバレル部16によって下方に圧縮されて押し潰され、溝10C内において軸状端子10の他端部10Bに圧着されて圧着部12が形成される。その後、電線20が圧着された軸状端子10を一対の受け台32,32の間から取り出すことにより、圧着端子1が完成する。
【0033】
ここで、上記軸状端子10に電線20を圧着する工程では、軸状端子10の他端部10Bが軸状端子10の延伸方向(上下方向)に沿って下方に加圧されることで、当該他端部10Bが軸状端子10の延伸方向に沿って縮み、軸状端子10の他端部10Bにおいて軸状端子10の延伸方向の寸法が小さくなる。その結果、軸状端子10への電線20の圧着後に形成される圧着部12が低背化される。
【0034】
また、上記軸状端子10に電線20を圧着する工程では、上述したように、軸状端子10の係止部が受け台32に係止され、軸状端子10がその延伸方向(上下方向)に支持される。このため、軸状端子10の他端部10Bが加圧ヘッド34によって下方に加圧され、第1端子部10Dを介して係止部14に下向きの圧力が加わると、その反力として係止部14が受け台の凹部から上向きの力を受けることとなる。従って、仮に係止部14に過度の圧力が加わった場合、係止部14が受け台溝部32Aから上向きの大きな力を受けて上向きに反る形で変形することがある。
【0035】
これに対し、本実施形態の圧着端子1は、第1端子部10Dの外径が第2端子部10Eの外径より大きいものとされているので、電線20が軸状端子10の延伸方向を圧着方向として軸状端子10に圧着される際に、第1端子部10Dの外径が第2端子部10Eの外径以下とされている場合と比べて、軸状端子10に電線20を圧着する工程において加圧される方向(圧着方向、上下方向)と直交する第1端子部10Dの断面積が大きくなる。そして、軸状端子10に加わる圧力は加圧される方向と直交する断面の断面積に反比例することから、第1端子部10Dを介して係止部14に加わる圧力を低減することができる。
【0036】
以上説明したように本実施形態の圧着端子1では、軸状端子10の延伸方向と電線20の引き出し方向とが直交して交差する形で軸状端子10の他端部10Bに電線20の一端部20Aが圧着されて接続されることで、電線20の引き出し方向と軸状端子10の延伸方向、即ち相手側端子との接続方向とが異なる圧着端子が実現される。さらに、本実施形態の圧着端子1では、電線20が軸状端子10の延伸方向を圧着方向として軸状端子10に圧着され、軸状端子10において第1端子部10Dの外径が第2端子部10Eの外径より大きいものとされているので、上述したように、軸状端子10に電線20を圧着する工程において第1端子部10Dを介して係止部14に加わる圧力を低減することができる。その結果、本実施形態の圧着端子1では、受け台32やリテーナ等の外部部材に係止される係止部14が軸状端子10に設けられた構成を実現しながら、係止部14が変形することを防止ないし抑制することができる。
【0037】
ここで、端子部材と電線とを交差する形で配置して端子部材に電線を圧着することで屈曲形状が実現される圧着端子では、電線の圧着方向によっては、電線を軸状端子に圧着する際に、端子部材のうち電線が圧着される部位を加圧することで端子部材がその延伸方向に伸び、当該部位が高背化することがある。これに対し本実施形態の圧着端子1では、軸状端子10の延伸方向を圧着方向として軸状端子10に電線20が圧着されるため、電線20を圧着する際に軸状端子10の他端部10Bを加圧することで軸状端子10がその延伸方向に縮み、軸状端子10と電線20との圧着部12の低背化を図ることができる。
【0038】
また、本実施形態の圧着端子1では、その製造過程において、軸状端子10を受け台32によって支持する前に第2端子部10Eの表面をカバー30で覆う。このため、第2端子部10Eを受け台32によって支持する際に第2端子部10Eの表面に傷が付くことを防止ないし抑制することができる。
【0039】
<実施形態2>
次に、実施形態2について
図7乃至
図12を参照して説明する。本実施形態の圧着端子101は、第1端子部110Dの外径の大きさ、及び製造方法の一部が実施形態1のものと異なっている。その他の構成については実施形態1のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。なお、
図7乃至
図12において、
図1乃至
図6の参照符号に数字100を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。
【0040】
本実施形態の圧着端子101は、
図7に示すように、軸状端子110において、第1端子部110Dの外径が実施形態1のものより一回り大きくされて係止部114の外径と等しくなっている。このため、係止部114がフランジ状となっておらず、係止部114の外周面と第1端子部110Dの外周面とが同一面となっている。このような構成とされた圧着端子101は、その製造方法の一部、具体的には、軸状端子110を受け台132で支持する工程が実施形態1のものと異なっている。
【0041】
即ち、本実施形態の圧着端子101の製造方法では、まず、実施形態1のものと同様に軸状端子110の外形を形成し、軸状端子110の第2端子部110Eをカバー130で覆った後、軸状端子110の他端部110Bに溝(貫通部の一例)110Cを形成する。(
図8及び
図9参照)。
【0042】
次に、軸状端子110の一部を受け台132によって支持する(支持工程の一例)。具体的には、この受け台132は、実施形態1のものと異なっており、その中央位置に軸状端子110の外郭に沿った形状の挿入孔132Aが形成されている。そして、軸状端子110のうち、第2端子部110Eと係止部114と第1端子部110Dの下側の部位とをこの挿入孔132Aの内部に挿入することで、軸状端子110を受け台132によって支持することができる。
【0043】
次に、軸状端子110の延伸方向(上下方向)に沿って軸状端子110のバレル部116をその上方から加圧ヘッド134によって下方に加圧することで、電線120の一端部120Aを軸状端子110の他端部110Bに圧着させる。その後、電線120が圧着された軸状端子110を受け台132の挿入孔132Aから取り出すことにより、圧着端子101が完成する。
【0044】
以上説明したように本実施形態では、上記軸状端子110の一部を受け台132によって支持する工程において、軸状端子110の一部を受け台132の挿入孔132Aの内部に挿入することで軸状端子110を支持するため、軸状端子110を一対の受け台132,132で挟み込んで支持する必要がなく、軸状端子110を支持する工程における作業性を向上させることができる。また、挿入孔132Aが設けられた1つの受け台132を用いるため、実施形態1のように一対の受け台32,32を用いる場合と比べて受け台132の製造コストを低減することもできる。
【0045】
また本実施形態の圧着端子101のように、軸状端子110において第1端子部110Dの外径が係止部114の外径と等しい場合であっても、上記の製造方法によって、電線120と軸状端子110とが圧着され、電線120の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる構成を実現しながら、軸状端子110に設けられた係止部114の変形を防止ないし抑制することができる。
【0046】
上記の実施形態の他の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施形態では、軸状端子に電線が直交して交差する形で配された構成を例示したが、軸状端子に対する電線の交差角度については限定されない。
【0047】
(2)上記の各実施形態では、製造過程において軸状端子の他端部に設けられた溝に電線の一端部を挿入した状態で軸状端子の他端部を加圧することにより、軸状端子に電線を圧着する例を示したが、軸状端子に対する電線の圧着態様については限定されない。
【0048】
(3)上記の各実施形態では、電線の一端部の先端が軸状端子を貫通して軸状端子からはみ出している構成を例示したが、電線の一端部の先端が軸状端子からはみ出していない構成であってもよい。
【0049】
(4)上記の各実施形態では、製造過程において軸状端子の他端部に前後方向に貫通するとともに上方に開口する溝を形成する例を示したが、軸状端子の他端部に形成する貫通部の構成については限定されない。例えば、貫通部が上方に開口しておらず前後方向にのみ軸状端子を貫通する孔状とされていてもよい。
【0050】
以上、本発明の各実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。