特開2015-156771(P2015-156771A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-156771(P2015-156771A)
(43)【公開日】2015年8月27日
(54)【発明の名称】回路構成体
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20150731BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20150731BHJP
【FI】
   H02G3/16 A
   H05K1/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-31333(P2014-31333)
(22)【出願日】2014年2月21日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 登
【テーマコード(参考)】
5E338
5G361
【Fターム(参考)】
5E338BB71
5E338BB75
5E338EE02
5E338EE31
5G361BA01
5G361BB02
5G361BC01
(57)【要約】
【課題】放熱部材の構成を簡素化しつつ、回路基板と放熱部材との間の貼り付け不良を抑制する。
【解決手段】回路構成体10は、電子部品11,12と、電子部品11,12が実装される回路基板15と、回路基板15に重ねられ、回路基板15の熱を放熱する放熱部材18と、回路基板15と放熱部材18との間に配されるスペーサ20と、を備え、スペーサ20には、気体の吸引により回路基板15及び放熱部材18をスペーサ20に密着させるための気体の吸引路21が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、
前記電子部品が実装される回路基板と、
前記回路基板に重ねられ、前記回路基板の熱を放熱する放熱部材と、
前記回路基板と前記放熱部材との間に配されるスペーサと、を備え、
前記スペーサには、気体の吸引により前記回路基板及び前記放熱部材を前記スペーサに密着させるための前記気体の吸引路が形成されている回路構成体。
【請求項2】
前記スペーサは、シート状の第1スペーサと、前記第1スペーサに重ねられ、前記吸引路を有するシート状の第2スペーサと、を備え、前記第1スペーサが前記第2スペーサにおける前記吸引路の所定の領域を覆う請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記吸引路は、前記第1スペーサ及び前記第2スペーサに貫通形成されている請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記回路基板には、前記気体を吸引する吸引口が前記吸引路に連なる位置に貫通形成されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項5】
前記吸引路は、前記回路基板と前記放熱部材とが重なる領域の外側に延びており、前記気体を吸引する吸引口が前記回路基板と前記放熱部材とが重なる領域の外側に設けられている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項6】
前記吸引路は、前記回路基板と前記放熱部材とを貼り付けるための貼付部が収容される収容室を有する請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項7】
前記貼付部は、熱伝導性を有しており、
前記電子部品は、前記回路基板上において前記貼付部の領域に実装されている請求項6に記載の回路構成体。
【請求項8】
前記収容室には、前記貼付部の位置を保持する保持部が設けられている請求項6又は請求項7に記載の回路構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板と当該回路基板の熱を外部に放熱する放熱部材とが重ねられた回路構成体が知られている。この種の回路構成体は、回路基板が放熱部材の上に接着剤で接着されている。
【0003】
特許文献1の回路構成体は、放熱部材の上に塗布された接着剤の上に絶縁繊維を編んでシート状としたシート状体を重ねると、シート状体の全体にほぼ均一に接着剤が透過する。このシート状体の上に回路体を重ね、回路体を放熱部材側に押し付けることで、回路体を放熱部材上に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−151617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、回路体を放熱板上に固定する際に回路体を放熱板側に押し付けているが、この押し付けの際に、回路体の全面に対して均一の力で押し付けることは容易ではない。そのため、回路体を介して接着剤に生じる圧力が不均一になり、接着剤の接着が不十分な箇所が生じうる。このような接着剤の接着が不十分な箇所があると、そこから回路体と放熱板との間に剥がれが生じることが懸念される。
【0006】
一方、回路基板と放熱部材の貼り付けの際に、回路基板を放熱部材側に吸引すれば、回路基板を放熱部材に密着させて比較的均一に密着させることができ、回路基板と放熱部材との間に剥がれを抑制することができると考えられる。しかしながら、回路基板を放熱部材側に吸引するために放熱部材に吸引穴等を設けると、放熱部材の構成が複雑になり、放熱部材の加工に手間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放熱部材の構成を簡素化しつつ、回路基板と放熱部材との間の貼り付け不良を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の回路構成体は、電子部品と、前記電子部品が実装される回路基板と、前記回路基板に重ねられ、前記回路基板の熱を放熱する放熱部材と、前記回路基板と前記放熱部材との間に配されるスペーサと、を備え、前記スペーサには、気体の吸引により前記回路基板及び前記放熱部材を前記スペーサに密着させるための前記気体の吸引路が形成されている。
本構成によれば、吸引路の気体を吸引すれば、回路基板及び放熱部材がスペーサに密着するため、回路基板と放熱部材とを貼り付ける際の力のばらつきを抑制することができる。また、吸引路をスペーサに形成することで、放熱部材に吸引路を形成しなくてもよいため、放熱部材の構成を簡素化することができる。よって、放熱部材の構成を簡素化しつつ、回路基板と放熱部材との間の貼り付け不良を抑制することが可能になる。
【0009】
上記構成に加えて以下の構成を有すれば好ましい。
・前記スペーサは、シート状の第1スペーサと、前記第1スペーサに重ねられ、前記吸引路を有するシート状の第2スペーサと、を備え、前記第1スペーサが前記第2スペーサにおける前記吸引路の所定の領域を覆う。
このようにすれば、第1スペーサにより第2スペーサの吸引路の所定の領域が覆われるため、第1スペーサ側から吸引路への気体の流入を抑制することができる。
【0010】
・前記吸引路は、前記第1スペーサ及び前記第2スペーサに貫通形成されている。
このようにすれば、例えば、吸引路がスペーサの内部を通る構成と比較して、スペーサの構成を簡素化できる。
【0011】
・前記回路基板には、前記気体を吸引する吸引口が前記吸引路に連なる位置に貫通形成されている。
このようにすれば、回路基板の吸引口から気体を吸引することができるため、例えば、回路基板の外側に吸引口を設ける場合と比較して、回路構成体を小型化することが可能になる。
【0012】
・前記吸引路は、前記回路基板と前記放熱部材とが重なる領域の外側に延びており、前記気体を吸引する吸引口が前記回路基板と前記放熱部材とが重なる領域の外側に設けられている。
このようにすれば、回路基板に吸引口を設ける場合と比較して、回路基板の加工が必要ないため、既存の形状の回路基板を用いることが可能になる。
【0013】
・前記吸引路は、前記回路基板と前記放熱部材とを貼り付けるための貼付部が収容される収容室を有する。
このようにすれば、貼付部が配される位置の気体を吸引することで、回路基板と放熱部材との間を貼付部で確実に貼り付けることができる。
【0014】
・前記貼付部は、熱伝導性を有しており、前記電子部品は、前記回路基板上において前記貼付部の領域に実装されている。
このようにすれば、電子部品の熱を貼付部を介して放熱部材から放熱させることができる。
【0015】
・前記収容室には、前記貼付部の位置を保持する保持部が設けられている。
このようにすれば、気体の吸引時における貼付部の位置ずれを抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、放熱部材の構成を簡素化しつつ、回路基板と放熱部材との間の貼り付け不良を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1の回路構成体を示す平面図
図2図1のA−A断面図
図3】回路基板を示す平面図
図4】放熱部材を示す平面図
図5】スペーサを示す平面図
図6図5のB−B断面図
図7】第1スペーサを示す平面図
図8】第2スペーサを示す平面図
図9】貼付部を示す平面図
図10】放熱部材に載置したスペーサの収容室に貼付部が収容された状態を示す断面図
図11】実施形態2の回路構成体を示す平面図
図12】回路基板を示す平面図
図13】スペーサを示す平面図
図14】第1スペーサを示す平面図
図15】第2スペーサを示す平面図
図16】実施形態3の回路構成体を示す平面図
図17】スペーサを示す平面図
図18】第1スペーサを示す平面図
図19】第2スペーサを示す平面図
図20】実施形態4の放熱部材に載置したスペーサの収容室に貼付部が収容された状態を示す断面図
図21】第1スペーサを示す平面図
図22】実施形態5のスペーサを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図10を参照しつつ説明する。
回路構成体10は、例えば車両のバッテリ等の電源と、ランプ、ワイパー等の車載電装品等からなる負荷との間の電力供給経路に配され、例えばDC−DCコンバータやインバータ等に用いることができる。以下では、上下方向及び左右方向は、図2の方向を基準として説明する。
【0019】
(回路構成体10)
回路構成体10は、図2に示すように、電子部品11,12が実装される回路基板15と、回路基板15に重ねられ、回路基板15の熱を放熱する放熱部材18と、回路基板15と放熱部材18との間に配されるスペーサ20と、回路基板15と放熱部材18とを貼り付ける貼付部31と、を備えている。
【0020】
(電子部品11,12)
電子部品11,12は、スイッチング素子(例えば、メカニカルリレーやFET(Field Effect Transistor)等のリレー)からなり、共に箱形の本体13と、リード端子14とを有する。本体13は、直方体状であって、その底面側にリード端子14が配されている。電子部品11,12のうち、電子部品11は、本体13の底面側からリード端子14が複数突出し、電子部品12は、本体13の底面の全体に亘ってリード端子14が形成されている。各リード端子14は、例えばリフロー半田付けにより、回路基板15の導電路に接続されている。
【0021】
(回路基板15)
回路基板15は、図3に示すように、長方形状であって、プリント基板15Aとバスバー15Bとを接着部材等(例えば、接着シートや接着剤等)を用いて貼り合わせて構成されている。プリント基板15Aは、絶縁材料からなる絶縁板に銅箔等からなる導電路(図示しない)がプリント配線されている。プリント基板15Aには、電子部品11,12のリード端子14をバスバー15B側に通して接続するための通し孔16と、ネジをネジ留めするための留め部17とが形成されている。
【0022】
各通し孔16は、矩形状であって、電子部品11,12の位置に応じて配されている。バスバー15Bは、通し孔16の位置を通るように配されており、銅や銅合金等の金属板材を導電路の形状に打ち抜くことで形成されている。留め部17は、回路基板15の角部に配されており、ネジの軸部が挿通される円形状の挿通孔16Aが貫通形成されている。
プリント基板15Aの導電路に電子部品11のリード端子14が半田付けされるとともに、同じ電子部品11の他のリード端子14が通し孔16からバスバー15Bに半田付けされている。なお、図3ではプリント基板15A上の導電路におけるリード端子14との接続部分を接続部Sとして示している。
【0023】
(放熱部材18)
放熱部材18はアルミニウム合金や銅合金等の熱伝導性が高い金属材料からなり、図4に示すように、回路基板15及びスペーサ20よりも大きい長方形状であって、上面が全面に亘って平坦に形成されるとともに、回路基板15をネジ留めするための複数のネジ孔19が形成されている。
【0024】
(スペーサ20)
スペーサ20は、図5図6に示すように、長方形状のシート状であって、回路基板15及び放熱部材18をスペーサ20に密着させるための気体(空気)の吸引路21が形成されている。吸引路21は、スペーサ20が回路基板15と放熱部材18とに挟まれることで気体を吸引可能となっており、貼付部31が収容される収容室22と、複数の収容室22間を連ねる複数の幅狭の枝状路29とを有する。
【0025】
スペーサ20は、シート状の第1スペーサ23と第2スペーサ26とを重ねて構成されている。
第1スペーサ23には、図7に示すように、第1吸引路24と、ネジの軸部が挿通される挿通孔23Aとが貫通形成されている。第1吸引路24は、貼付部31が内部に配される複数の矩形状の第1分割収容室25とされている。複数の第1分割収容室25は、互いに離間しており、気体の吸引時に回路基板15を裏面側から吸引する領域となる。
【0026】
第2スペーサ26は、図7に示すように、第1吸引路24と連なって吸引路21を形成する第2吸引路27と、ネジの軸部が挿通される挿通孔26Aとが貫通形成されている。
第2吸引路27は、貼付部31が内部に配される複数の矩形状の第2分割収容室28と、第2分割収容室28間を連ねる枝状路29と、ネジの軸部が挿通される挿通孔26Aとを有する。第2分割収容室28は、第1分割収容室25よりもわずかに大きく形成されている。
【0027】
枝状路29は、外方の空間に連なる吸引口21Aを起点して枝状に分岐した形状となっている。枝状路29は複数の第2分割収容室28の並び方向に沿って形成されている。吸引口21Aは、スペーサ20の端部に形成され、空気を吸引する装置が接続される。
第1スペーサ23及び第2スペーサ26は、共に、例えば、プラスチック(合成樹脂)製であって、それぞれが回路基板15の厚みよりも薄く形成され、気体の吸引時における回路基板15や放熱部材18からの力や、ネジ留めの際の力で容易に変形しない程度の強度を有する材質が用いられている。
【0028】
スペーサ20は、第1分割収容室25と第2分割収容室28とが重なることで、貼付部31が収容される収容室22が形成されるとともに、第2スペーサ26の枝状路29については、上方側が第1スペーサ23によって覆われる。
【0029】
(貼付部31)
貼付部31は、図9に示すように、スペーサ20の収容室22内に収容される接着性を有するシート状の部材であって、収容室22よりわずかに小さい長方形状である。貼付部31は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂製のフィルムの両面に絶縁性を有する接着剤が塗布されたものを用いることができる。本実施形態では、接着剤として例えば2液を混合して常温で固化するものを用いることができる。
【0030】
回路構成体10の製造方法について説明する。
プリント基板15Aとバスバー15Bとを接着部材で貼り合わせて回路基板15を形成する。そして、電子部品11,12のリード端子14と回路基板15の導電路との間に半田ペーストを付着し、リフロー炉に通すリフロー半田付けすることで、電子部品11,12等を回路基板15に実装する。
【0031】
また、第2スペーサ26の上に第1スペーサ23を重ねて放熱部材18の上面の所定の位置にセットし、スペーサ20の収容室22に貼付部31を収容する(図10)。そして、電子部品11,12が実装された回路基板15をスペーサ20及び貼付部31の上に載置することで、回路基板15と放熱部材18が貼付部31で貼り付けられた状態となる。
【0032】
次に、外部の図示しない気体を吸引可能な装置を用いて、スペーサ20の端部の吸引口21Aから吸引路21の空気を吸引する。吸引路21の空気が吸引されることで、収容室22内の空間に面した回路基板15の底面及び放熱部材18の上面が吸引され、回路基板15及び放熱部材18がスペーサ20に密着する。本実施形態では、回路基板15をスペーサ20に密着させる工程が電子部品11,12の実装後であるため、回路基板15を外側から押し付けることが容易ではないが、吸引路21の真空吸引を行うことで回路基板15をスペーサ20に密着させることができる。そして、ネジを留め部17にネジ留めして回路基板15と放熱部材18との間を固定する。これにより、回路構成体10が形成される(図2)。
そして、回路構成体10は、ケース(図示しない)に収容されて電気接続箱(図示しない)として車両の電源から負荷に至る経路に配される。
【0033】
上記実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
回路構成体10は、電子部品11,12と、電子部品11,12が実装される回路基板15と、回路基板15に重ねられ、回路基板15の熱を放熱する放熱部材18と、回路基板15と放熱部材18との間に配されるスペーサ20と、を備え、スペーサ20には、気体(空気)の吸引により回路基板15及び放熱部材18をスペーサ20に密着させるための気体の吸引路21が形成されている。
【0034】
本実施形態によれば、吸引路21の気体を吸引すれば、回路基板15及び放熱部材18がスペーサ20に密着するため、回路基板15と放熱部材18とを貼り付ける際の力のばらつきを抑制することができる。また、吸引路21をスペーサ20に形成することで、放熱部材18に吸引路21を形成しなくてもよいため、放熱部材18の構成を簡素化することができる。よって、放熱部材18の構成を簡素化しつつ、回路基板15と放熱部材18との間の貼り付け不良を抑制することが可能になる。
【0035】
また、スペーサ20は、シート状の第1スペーサ23と、第1スペーサ23に重ねられ、吸引路21を有するシート状の第2スペーサ26と、を備え、第1スペーサ23が第2スペーサ26における吸引路21の所定の領域を覆う。
このようにすれば、第1スペーサ23により第2スペーサ26の吸引路21の所定の領域が覆われるため、第1スペーサ側から吸引路21への気体の流入を抑制することができる。
【0036】
さらに、吸引路21は、第1スペーサ23及び第2スペーサ26に貫通形成されている。
このようにすれば、例えば、吸引路21がスペーサ20の内部を通る構成と比較して、スペーサ20の構成を簡素化できる。
【0037】
また、吸引路21は、回路基板15と放熱部材18とを貼り付けるための貼付部31が収容される収容室22を有する。
このようにすれば、貼付部31が配される位置の気体を吸引することで、回路基板15と放熱部材18との間を貼付部31で確実に貼り付けることができる。
【0038】
さらに、貼付部31は、熱伝導性を有しており、電子部品11,12は、回路基板15上において貼付部31の領域に実装されている。
このようにすれば、電子部品11,12の熱を貼付部31を介して放熱部材18から放熱させることができる。
【0039】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図11ないし図15を参照して説明する。実施形態2は、回路基板15に気体の吸引口42を設けて回路基板15側から気体を吸引するものである。他の構成は、実施形態1と同一であり、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
回路構成体40における回路基板41の右端部(回路基板41の長手方向の端部側)には、図12に示すように、円形状の吸引口42が貫通形成されている。
スペーサ45における第1スペーサ46には、図13に示すように、吸引口42に連なる円形状の中継孔43が貫通形成されているとともに、第2スペーサ47には、図14に示すように、枝状路29の端部の位置に中継孔43に連なる連通孔44が形成されている。
回路基板41の吸引口42から空気を真空吸引すると、吸引路21から空気が吸引され、回路基板41と放熱部材18とがスペーサ20側に引き付けられて密着する。
【0041】
実施形態2によれば、回路基板41には、気体を吸引する吸引口42が吸引路21に連なる位置に貫通形成されている。
このようにすれば、回路基板41の吸引口42から気体を吸引することができるため、例えば、回路基板15の外側に吸引口を設ける場合と比較して、回路構成体40を小型化することが可能になる。
【0042】
<実施形態3>
次に、実施形態3を図16ないし図19を参照して説明する。実施形態3は、気体の吸引口52Aを回路基板15の外側に設けたものである。他の構成は、上記実施形態と同一であり、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図16図17に示すように、回路構成体50におけるスペーサ50Aの吸引路21は、回路基板15と放熱部材18とが重なる領域の外側に延びており、第1スペーサ51には、図18に示すように、板面に沿って外方に張り出す張出部52が形成されるとともに、スペーサ50Aにおける第1スペーサ51に重ねられる第2スペーサ53には、図19に示すように、板面に沿って外方に張り出す張出部54が形成されている。
【0043】
張出部52には、吸引口52Aが貫通形成されている。張出部54には、上方の吸引口52Aに連なるとともに、第2スペーサ53の第2吸引路27に連なる貫通孔54Aが形成されている。
電子部品11,12が実装された回路基板15をスペーサ50A及び貼付部31の上に載置することで、回路基板15と放熱部材18が貼付部31で貼り付けられた状態となる。そして、吸引口52Aから吸引路21の空気を真空吸引すると回路基板15と放熱部材18とがスペーサ50Aに密着する。
【0044】
実施形態3によれば、吸引路21は、回路基板15と放熱部材18とが重なる領域の外側に延びており、気体を吸引する吸引口52Aが回路基板15と放熱部材18とが重なる領域の外側に設けられている。
このようにすれば、回路基板に吸引口を設ける場合と比較して、回路基板15の加工が必要ないため、既存の形状の回路基板15を用いることが可能になる。
【0045】
<実施形態4>
次に、実施形態4を図20図21を参照して説明する。実施形態4は、貼付部31の収容室61に貼付部31の位置を保持する保持部62を設けたものである。他の構成は、実施形態1と同一であり、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図20図21に示すように、スペーサ60における第1スペーサ60Aには、貼付部31が収容される収容室61が設けられている。
各収容室61の第1スペーサ60A側を形成する第1分割収容室61Aは、長方形状であって、4隅のうち、対角に位置する一対の角部において内方に張り出した部分が貼付部31の位置を保持する保持部62とされている。
保持部62は、第1分割収容室61Aの内壁の角部から内方側にL字状に張り出しており、その内側に貼付部31の角部が配される。
【0047】
このようにすれば、保持部62により貼付部31の装着時の位置合わせを行うことができるとともに、気体の吸引時における貼付部31の位置ずれを抑制することが可能になる。
【0048】
<実施形態5>
次に、実施形態5を図22を参照して説明する。上記実施形態では、スペーサ20を第1スペーサ23,46,51,60A及び第2スペーサ26,47,53から構成したが、実施形態5のスペーサ70は1個で構成したものである。他の構成は、上記実施形態と同一であり、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
図22に示すように、スペーサ70は、長方形状の複数の収容室72と、樹枝状に延びた吸引路73とを備えている。
吸引路73は、収容室72の並び方向に沿って三本に枝分かれしているとともに、真ん中の吸引路73は、収容室72の周縁に沿うように分岐している。
収容室72及び吸引路73は、スペーサ70を貫通している。収容室72と吸引路73とは分離されており、連通していないため、収容室72からは回路基板15及び放熱部材18を吸引せず、樹枝状の吸引路73のみから回路基板15及び放熱部材18を吸引する。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、スペーサ20,45,50A,60,70は、1個のみ又は2個を重ねて構成されることとしたが、これに限られず、3個以上のスペーサで吸入路を形成してもよい。
【0051】
(2)吸引路21,73は、スペーサ20を貫通するものであったが、これに限られない。例えば、スペーサ20の内部に吸入路を形成し、吸引する部分を開口するようにしてもよい。
【0052】
(3)上記実施形態では、貼付部31は接着性を有する熱伝導シートであったが、これに限られない。例えば、粘着剤を有する熱伝導シートとしたり、接着剤や粘着剤のみを回路基板15と放熱部材18の間に塗布して回路基板15と放熱部材18を貼り付けるようにしてもよい。また、接着剤は上記実施形態の接着剤に限られず、種々の接着剤を用いることができる。例えば、熱硬化性や熱可塑性の接着剤を用いることが可能である。また、粘着剤を用いる場合についても、種々の粘着剤を用いることができる。例えば、接着テープや粘着テープを用いてもよい。更に、接着性と粘着性がなくても、回路基板15と放熱部材18の間の密着性を確保できる熱伝導シートを用いてもよい。
【0053】
(4)電子部品11,12としては、リレーに限られず、通電により発熱する種々の電子部品11,12を用いることができる。
【0054】
(5)上記実施形態では、回路基板15と放熱部材18を貼付部31により貼り付けるとともに、回路基板15と放熱部材18とはスペーサ20の挿通孔23A,26Aを通してネジでネジ留めされて固定する構成としたが、貼付部31による貼り付け又はネジによるネジ留めの一方のみを行うようにしてもよい。
【0055】
(6)回路基板15の導電路に連なる位置で回路基板15を貫通するスルーホールを設ける場合には、スペーサがスルーホールを塞いで吸引路に空気が流入しないようにしてもよい。スペーサが第1スペーサと第2スペーサとからなる場合には、回路基板側の第1スペーサが回路基板のスルーホール及び第2スペーサの吸引路を塞ぐようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10,40,50: 回路構成体
11,12: 電子部品
15,41,51: 回路基板
18: 放熱部材
20,45,50A,60,70: スペーサ
21,73: 吸引路
21A,42,52A,53A: 吸引口
22,61,72: 収容室
23,46,51,60A: 第1スペーサ
26,47,53: 第2スペーサ
29: 枝状路
31: 貼付部
62: 保持部
図1
図2
図3
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図5
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図21
図22