)に基づき脈波情報(心拍数等)を導出する。脈波センサの起動時、発光制御部34は、テスト発光強度で発光部11Aを発光させ、その発光に基づく検出受光強度と所定の基準受光強度とを用いて、脈波検出時における本発光強度を設定する。例えば、検出受光強度が基準受光強度以上となるまでテスト発光強度を段階的に増加させ、検出受光強度がちょうど基準受光強度以上となったときのテスト発光強度を本発光強度に設定する。
前記発光強度調整部は、前記テスト期間において、互いに異なる複数のテスト発光強度で前記発光部を順次発光させ、前記複数のテスト発光強度に対応する前記受光部での複数の検出受光強度と、前記基準受光強度とを用いて、前記本発光強度を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の脈波センサ。
前記発光強度調整部は、前記複数の検出受光強度及び前記基準受光強度に基づき、前記基準受光強度を得るための発光強度を推定し、推定発光強度に基づき前記本発光強度を設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の脈波センサ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。また、後述の任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる又は並列に実行できる。
【0021】
<<脈波測定の原理>>
図1は、手首での脈波測定の原理を説明するための模式図であり、
図2は、生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図である。後述の各実施形態では、以下の原理に基づく脈波測定が行われる。
【0022】
容積脈波法による脈波測定では、例えば、
図1に示すように、測定窓に押し当てられた生体の一部(
図1では手首)に向けて発光部(LED(Light Emitting Diode)など)から光が照射され、体内を透過して体外に出てくる光の強度が受光部(フォトダイオードやフォトトランジスタなど)で検出される。ここで、
図2に示したように、生体組織や静脈血(脱酸素化ヘモグロビンHb)による光の減衰量(吸光度)は一定であるが、動脈血(酸素化ヘモグロビンHbO
2)による光の減衰量(吸光度)は拍動によって時間的に変動する。従って、可視領域から近赤外領域にある「生体の窓」(光が生体を透過しやすい波長領域)を利用し、受光部の受光結果に基づき末梢動脈の吸光度変化を測定することで、非侵襲で容積脈波を測定することができる。
【0023】
尚、
図1では、図示の便宜上、発光部及び受光部を有する脈波センサを手首の背側(外側)に装着した様子が描写されているが、脈波センサの装着位置についてはこれに限定されるものではなく、手首の腹側(内側)であってもよいし、他の部位(指先、指の第3関節、額、眉間、鼻先、頬、眼下、こめかみ、耳たぶ、耳穴など)であってもよい。
【0024】
また、心臓及び自立神経の支配を受けている脈波は、常に一定の挙動を示すものではなく、被験者の状態によって様々な変化(揺らぎ)を生じるものである。従って、脈波の変化(揺らぎ)を解析することにより、被験者の様々な身体情報を得ることができる。例えば、心拍数からは、被験者の運動能力や緊張度などを知ることができ、心拍変動からは、被験者の疲労度、快眠度、及び、ストレスの大きさなどを知ることができる。また、脈波を時間軸で2回微分することにより得られる加速度脈波からは、被験者の血管年齢や動脈硬化度などを知ることができる。
【0025】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。
図3には、第1実施形態に係る脈波センサ1のブロック図が、生体2及び外部機器EEと共に示されている。脈波センサ1は、本体ユニット10と、本体ユニット10の両端部に取り付けられて生体2(具体的には手首)に巻き回されるベルト20と、を備えた腕輪構造(腕時計型構造)を有する。ベルト20の素材として、皮革、金属、樹脂などを用いることができる。本明細書において、被験者とは生体2を有する人間を指す。
【0026】
本体ユニット10には、光センサ部11、フィルタ部12、制御部13、表示部14、通信部15、電源部16及び光センサ駆動部17が設けられる。
【0027】
光センサ部11は、本体ユニット10の裏面(即ち、生体2と対向する側の面)に設けられており、発光部11A及び受光部11Bを有する。光センサ部11では、LED等の発光部11Aから生体2に光を照射し、照射した光の内、生体2内を透過した光の強度を受光部11Bで検出することにより、脈波信号を取得する。尚、ここでは、発光部11Aと受光部11Bが生体2に対していずれも同じ側に設けられた反射型構成(
図1の実線矢印を参照)が採用されているが、発光部11Aと受光部11Bが生体2を挟んで互いに反対側に設けられる透過型構成(
図1の破線矢印を参照)が採用されても良い。反射型構成では、厳密に表現すると、発光部11Aから生体2に光を照射され、照射された光の内、生体2の一部を透過してから生体2内部で反射した光が受光部11Bにて受光される。一方、透過型構成では、発光部11Aから生体2の一面に対して光を照射され、照射された光の内、生体2を貫通するように透過して生体2の反対面(上記一面に対する反対面)から出た光が受光部11Bにて受光される。まとめると、受光部11Bは、発光部11Aからの光に基づき生体2を透過又は反射した光を受光するものであって良い。
【0028】
フィルタ部12は、光センサ部11の出力信号にフィルタ処理及び増幅処理を施して制御部13に伝達する。制御部13は、脈波センサ1全体の動作を統括的に制御するほか、フィルタ部12の出力信号に各種の信号処理を施すことにより、脈波に関する種々な情報(以下、脈波情報と呼ぶ)を取得する。脈波情報は、例えば、心拍数、脈波の揺らぎ、心拍変動及び加速度脈波を含む。MPU(micro processing unit)等を用いて、制御部13を形成すると良い。表示部14は、本体ユニット10の表面(生体2と対向しない側の面)に設けられた液晶表示パネル等から成り、脈波情報や日付や時間に関する情報等を含む表示情報を表示する。表示部14は、腕時計の文字盤面に相当すると言える。通信部15は、脈波センサ1と異なる外部機器EEとの間で任意の通信を行う。通信部15は、脈波情報を含む脈波センサ1の測定データを、外部機器EEに無線又は有線で送信できる。外部機器EEは、パーソナルコンピュータや携帯電話機などの任意の電子機器であり、ネットワーク網を介して通信部15と接続されていても良い。電源部16は、バッテリとDC/DCコンバータを含み、バッテリからの入力電圧を所望の出力電圧に変換して脈波センサ1の各部に供給する。光センサ駆動部17は、制御部13の制御下で光センサ部11を駆動する。
【0029】
図4に、光センサ部11の回路例と共に、光センサ部11、フィルタ部12、制御部13及び光センサ駆動部17の関係を示す。制御部13は、A/D変換部31、演算部32、メモリ33及び発光制御部34を有する。
【0030】
光センサ駆動部17から駆動電流I
Aが、LEDとして形成された発光部11Aに供給され、これによって発光部11Aが発光する。受光部11Bとしてのフォトトランジスタにて、発光部11Aの発光に基づく上記透過した光が受光され、その受光強度に応じた電流(以下、受光電流という)I
Bが受光部11Bに流れる。発光部11Aの発光強度は、駆動電流I
Aの増大に伴って、駆動電流I
Aに概ね比例する形で増大する。受光電流I
Bは、受光部11Bの受光強度の増大に伴って、受光強度に概ね比例する形で増大する。発光強度及び受光強度における光の強度は、光の強度を表す任意の量でよく、例えば、照度、光束、光度又は輝度である。以下の説明文において、発光、受光とは、特に記述無き限り、夫々、発光部11Aでの発光、受光部11Bでの受光を指す。
【0031】
フィルタ部12は、受光電流I
Bの波形を示す電流信号を電圧信号に変換し、当該電圧信号に対してフィルタ処理及び増幅処理を施して得られるアナログ電圧信号をA/D変換部31に入力する。A/D変換部31は、該アナログ電圧信号をデジタル電圧信号に変換して出力する。A/D変換部31の入力アナログ電圧信号も出力デジタル出力信号も、生体2の脈波を示す脈波信号の一種であって、受光電流I
Bの波形に応じた波形を持つ。脈波信号の信号値を有する電圧(脈波信号電圧)を記号“V
B”にて表す。尚、
図4では、A/D変換部31の出力信号値を有する電圧が電圧V
Bであるとされているが、A/D変換部31の入力信号値を有する電圧も電圧V
Bであるし、受光電流I
Bに基づくフィルタ部12内の電圧を電圧V
Bと捉えることも可能である。
【0032】
演算部32は、A/D変換部31から出力される脈波信号に対して様々な演算処理を施すことで、上記脈波情報を生成する。メモリ33は、演算部32にて実行される処理を規定するプログラムの保存用のプログラムメモリ、及び、演算部32にて利用又は算出される各種データを一時記憶するデータメモリを有する。発光制御部34は、A/D変換部31の出力信号を適宜利用しつつ、光センサ駆動部17の制御を介して発光部11Aの発光制御を行う。発光制御は、発光部11Aの発光強度及び発光タイミングの制御を含む。尚、発光制御部34は演算部32に内包されている、と考えても良い。
【0033】
図5に、光センサ駆動部17の回路例を示す。
図5の光センサ駆動部17は、D/A変換部50と、Pチャンネル型電界効果トランジスタであるFET51と、Nチャンネル型電界効果トランジスタであるFET52と、増幅器53と、NPNパイポーラトランジスタ54と、抵抗55〜58を有する。トランジスタ54は、所謂デジタルトランジスタであって良い。
【0034】
FET51のソースには、所定の正の直流電圧V
LED(例えば5V)が印加される。発光部11AとしてのLEDにおいて、アノードはFET51のドレインに接続され、カソードはFET52のドレインに接続される。FET52のソースは抵抗55を介して0Vの基準電位点に接続され、FET52のソースと抵抗55との接続点が増幅器53の反転入力端子に接続される。トランジスタ54のベースには、制御部13の電源電圧である所定の正の直流電圧VDD(例えば3.3V)が印加される。トランジスタ54のエミッタには、発光制御部34からの制御信号CNT
Gが供給される。トランジスタ54のコレクタは、プルアップ抵抗56の一端に接続されると共に、抵抗57を介してFET51のゲートに接続され、プルアップ抵抗56の他端には直流電圧V
LEDが印加される。
【0035】
D/A変換部50は、発光制御部34から供給される制御信号DAC
INをアナログ電圧DAC
OUTに変換し、アナログ電圧DAC
OUTに増幅器53の非反転入力端子に供給する。増幅器53の出力端子は、抵抗58を介してFET52のゲートに接続される。従って、FET51がオンであるとき、アナログ電圧DAC
OUTに応じてFET52のゲート電位が制御され、“DAC
OUT/R
55”の電流値を持った電流I
Aが、発光部11AとしてのLEDに流れる(ここで、R
55は抵抗55の抵抗値である)。つまり、D/A変換部50、増幅器53及びFET52は、発光部11Aに定電流(I
A)を供給する定電流回路を形成する。電流制御部34は、制御信号DAC
INのデジタル値を制御することでアナログ電圧DAC
OUTの電圧値を制御し、これによって定電流の値(従って発光強度)を制御する。また、電流制御部34は、制御信号CNT
Gの電位を制御することでスイッチとしてのFET51をオン又はオフさせる。尚、D/A変換部50は、発光制御部34に設けられるものであっても良い。
【0036】
図6に、発光部11Aを一定の発光強度で常時発光させたときに観測される受光電流I
Bの波形、電圧(脈波信号電圧)V
Bの波形を示す。本実施形態では、受光電流I
Bの増加に伴って電圧V
Bが低下し、受光電流I
Bの減少に伴って電圧V
Bが増加する回路構成がフィルタ部12に採用されているが、その逆の回路構成をフィルタ部12に採用しても良い。
【0037】
発光強度が小さいことに伴って脈波信号の振幅(即ち電圧V
Bの振幅)が小さくなり過ぎると正確な脈波情報の取得が難しくなるが、脈波信号の振幅を大きくするべく発光強度を高め過ぎた場合も、電圧V
Bの可変範囲を超えるような脈波信号が得られて正確な脈波情報の取得が困難となる。このように、正確な脈波情報を取得するためには、脈波信号の振幅適正化が必要である。仮に、光の減衰量(吸光度)に個人差等がなければ、脈波信号の適正振幅を得るために必要な発光強度は1つに定まる。しかしながら、当該減衰量は、人によって個人差があるし、一人の人間においても、脈波センサ1の取り付け方などに依存して毎回ばらつきうる。そこで、発光制御部34は、脈波の検出に先立ち、脈波信号の振幅を適正にするための調整処理を実行する。
【0038】
調整処理は、
図7のテスト期間に実施される。具体的には、発光制御部34は、実検出期間よりも前にテスト期間を設け、実検出期間中では本発光強度にて発光部11Aを発光させるが、テスト期間中では所定のテスト発光強度にて発光部11Aを発光させる。実検出期間において、本発光強度にて発光部11Aを発光させたときの受光部11Bの受光結果に基づいて、制御部13(特に演算部32)は、生体2の脈波を検出する。脈波の検出は、脈波情報の取得を含む。
【0039】
図7を参照し、以下、テスト発光強度による発光をテスト発光とも呼び、テスト発光時における受光部11Bの受光強度をテスト検出受光強度とも呼び、テスト検出受光強度を示す受光電流I
Bによる電圧V
Bをテスト検出電圧とも呼ぶ。発光制御部34は、テスト検出受光強度に基づき本発光強度を設定する。テスト検出受光強度はテスト検出電圧V
Bにて表現されるため、より具体的には、テスト検出電圧V
Bに基づき本発光強度を設定する。
【0040】
発光制御部34は、テスト期間中において、発光部11Aをパルス駆動することによりパルス点灯させる。
図8に、パルス駆動時における制御信号CNT
G、駆動電流I
A、受光電流I
B、電圧V
B及び電圧DAC
OUTの波形を示す。パルス駆動において、発光制御部34は、制御信号CNT
Gの信号レベル変化を通じたFET51のオン/オフ制御により、発光部11Aを時間T
ONだけ発光させた後に時間T
OFFだけ非発光とする単位処理を繰り返す。1つの単位処理が実行される単位期間をフレームと呼ぶ。1フレームの長さはフレーム周期FRである。単位期間の繰り返し周波数、即ちフレーム周波数は、“1/FR”である。“FR=T
ON+T
OFF”が成立し、比“T
ON/(T
ON+T
OFF)”をオンデューティと呼ぶ。
【0041】
フレーム周波数を任意の周波数(例えば200Hz)に設定することができる。例えば、発光制御部34は、50Hz以上且つ1000Hz以下の周波数の中からフレーム周波数を選択すれば良い。オンデューティを任意の値(例えば1/16)に設定することができる。例えば、発光制御部34は、1/128以上且つ1/8以下の数値範囲の中からオンデューティの値を選択すれば良い。
【0042】
パルス駆動を行う際、発光制御部34は、
図8に示す如く、FET51をオンにする期間を含む期間においてのみ電圧DAC
OUTを0Vより大きな所望の電圧とし、残りの期間(即ち、FET51をオンにする期間を含まず且つFET51をオフにする期間の全部又は一部を含む期間)において電圧DAC
OUTを0Vにしても良い。但し、パルス駆動において、電圧DAC
OUTを常に0Vよりも大きな所望の電圧に維持しておくようにしても良い。尚、以下では、電圧V
B及びDAC
OUTの電圧値も記号“V
B”及び“DAC
OUT”によって参照する。
【0043】
発光制御部34は、D/A変換部50が出力可能な電圧範囲内の任意の電圧を電圧DAC
OUTとすることができる。電圧DAC
OUTがとりうる電圧値は、
図9の所定の電圧値DAC
OUT[1]〜DAC
OUT[m]を含む。電圧値DAC
OUT[1]は0V(ボルト)よりも大きく、任意の整数iに関し、電圧値DAC
OUT[i+1]は電圧値DAC
OUT[i]よりも大きい。発光制御部34は、テスト期間において、
図9に示す如く、電圧値DAC
OUTを電圧値DAC
OUT[1]を起点として電圧値DAC
OUT[m]まで段階的に増加させることができる。mは2以上の任意の整数であればよい。例えば、mを2以上且つ16以下の任意の整数にすることができるが、ここでは“m=16”であるとする。
【0044】
図10を参照して、振幅調整処理又は発光強度調整処理とも呼ぶべき上述の調整処理の手順を説明する。
図10は、当該調整処理のフローチャートである。テスト期間中の調整処理はステップS11〜S16の処理から成る。
【0045】
発光制御部34は、まずステップS11において、D/A変換部50の出力電圧値DAC
OUTに電圧値DAC
OUT[1]を設定し、続くステップS12において、nフレーム分、発光部11Aをパルス駆動する(即ちパルス点灯させる)。ステップS12におけるパルス駆動のフレーム周波数は、例えば100Hzである。nは1以上の任意の整数(例えば20以下の整数)であって良い。ここでは、n≧2であるとする。各フレームにおいて1つのテスト検出電圧値V
Bが得られる。従って、ステップS12のパルス駆動により、nフレームの発光に対応するn個のテスト検出電圧値V
Bが得られる。発光制御部34は、ステップS13において、このn個のテスト検出電圧値V
Bの統計値である電圧値V
BBを算出する。テスト検出電圧値V
Bは、テスト検出受光強度を示す電圧値であるため、電圧値V
BBは、n個のテスト検出受光強度の統計値R
IIを示すものであると言える。統計値としての電圧値V
BBは、例えば、n個のテスト検出電圧値V
Bの平均値、最大値、最小値、中央値又は最頻値である(R
IIについても同様)。n=1である場合、ステップS12で得られた1つのテスト検出電圧値V
Bが電圧値V
BBと一致する(R
IIについても同様)。
【0046】
その後、ステップS14において、発光制御部34は、電圧値V
BBを所定の基準電圧値V
REFと比較し、判定不等式“V
BB≦V
REF”が成立している場合にはステップS16へ処理を進めるが、判定不等式“V
BB≦V
REF”が成立していない場合にはステップS15に移行する(
図6を参照して説明したように、受光強度の増大に伴い電圧値V
B及びV
BBは低下することに注意)。V
B=V
REFであるときの受光強度を基準受光強度と呼ぶ。すると、電圧値V
BBと基準電圧値V
REFとの比較は、受光強度R
IIと所定の基準受光強度R
REFとの比較と等価であり、判定不等式“V
BB≦V
REF”の成立は“R
II≧R
REF”の成立と等価である。即ち、テスト検出受光強度が基準受光強度R
REF以上であるならばステップS16に進むが、そうでなければステップS15に移行する。
【0047】
ステップS15では、発光制御部34により、D/A変換部50の出力電圧値DAC
OUTが1段階増加せしめられ、その後、ステップS12に戻る。つまり、現在の電圧値DAC
OUTが電圧値DAC
OUT[i]である状態でステップS15に至ると、ステップS15にて電圧値DAC
OUTが電圧値DAC
OUT[i+1]へと増加せしめられる。
【0048】
ステップS16において、発光制御部34は、現在の電圧値DAC
OUTに基づく調整電圧値又は直前の電圧値DAC
OUTに基づく調整電圧値をメモリ33に保存して調整処理を終える。この際、調整電圧値をメモリ33内の不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)に保存することが望ましい。直前の電圧値DAC
OUTとは、現在の電圧値DAC
OUTがDAC
OUT[i]ならばDAC
OUT[i−1]である。調整電圧値は、典型的には例えば、ステップS16における現在の電圧値DAC
OUTそのもの又は直前の電圧値DAC
OUTそのものである。但し、ステップS16における現在又は直前の電圧値DAC
OUTに付加値Δを加えた値が調整電圧値であっても良い。付加値Δは、正又は負の値であって良い。付加値Δは所定の固定値でありうる。発光制御部34は、“V
BB≦V
REF”が成立した段階における差(V
REF−V
BB)に応じて付加値Δを定めても良い。
【0049】
調整処理の終了後の実検出期間において、発光制御部34は、メモリ33に保存された調整電圧値を電圧値DAC
OUTに設定した状態で発光部11Aを発光させることで脈波の検出を行う。調整電圧値を電圧値DAC
OUTに設定した状態における発光強度が本発光強度である(
図7参照)。
【0050】
上述の如く、本実施形態では、V
Bの検出によって観測されるテスト検出受光強度と、所定の基準受光強度R
REFを用いて、本発光強度を設定する。R
REFは、実検出期間において脈波信号の振幅が適正になる受光強度の予想値である。故に、このような設定を行うことで、実検出期間中の脈波信号振幅が適正になる。また上述した振幅実検出方法に比べて振幅調整に必要な時間が短くて済む。例えば、脈波の周期が1Hzであるとした場合において、1つの発光強度状態で脈波信号の振幅判定を振幅実検出方法で行う場合、通常、2秒〜3秒程度の時間を要する。適正な発光強度を探るべく、m種類の発光強度状態で脈波信号の振幅判定を行ったならば、(m×2)〜(m×3)秒程度の時間が必要になる。これに対し、本実施形態によれば、例えばフレーム周波数が100Hz且つ(n,m)=(10,16)であるとして、最大でも、1.6(=0.01×10×16)秒で調整処理が完了する。
【0051】
振幅調整の短時間化を担保すべく、複数のテスト発光強度の夫々について、テスト発光強度で発光部11Aを発光させる期間の長さ(即ち、FR×n)を、脈波の周期よりも短くすると良く(脈波の周期として期待される所定の時間長さよりも短くすると良く)、例えば0.5秒以下にしてもよい。振幅調整の短時間化を促進すべく、複数のテスト発光強度で発光部11Aを発光させる期間の合計長さを、脈波の周期よりも短くすると良く(脈波の周期として期待される所定の時間長さよりも短くすると良く)、例えば0.5秒以下にしてもよい。ここにおける複数のテスト発光強度は、調整処理における2以上のテスト発光強度であり、第1実施形態の例では、m種類のテスト発光強度であっても良い。m種類のテスト発光強度で発光部11Aを発光させる期間の合計長さは、“FR×n×m”である。
【0052】
テスト期間では、電圧値DAC
OUTを順次変化させることにより、互いに異なる複数のテスト発光強度で発光部11Aを順次発光させている。上述のフローチャートでは、電圧値V
BBが基準電圧値V
REF以下となるまで(即ち、テスト検出受光強度が基準受光強度以上となるまで)、電圧値DAC
OUTを段階的に増加させる増加方式が採用されている。つまり上述の調整処理では、テスト発光強度を段階的に増加させる増加処理により複数のテスト発光強度での順次発光を実現し、増加処理の過程で、テスト検出受光強度(R
II)が基準受光強度(R
REF)未満の状態から基準受光強度(R
REF)以上の状態に切り替わったときにおける、切り替わり直前又は直後のテスト発光強度及び電圧値DAC
OUTに基づき、本発光強度及び調整電圧値を設定している。より具体的な処理としては、当該切り替わりの後の電圧値DAC
OUT(即ちステップS16における“現在の電圧値DAC
OUT”) 又は、当該切り替わりの前の電圧値DAC
OUT(即ちステップS16における“直前の電圧値DAC
OUT”)に基づき調整電圧値を設定し、実検出期間中に調整電圧値を電圧値DAC
OUTに設定することで本発光強度を定める。
【0053】
但し、電圧値DAC
OUTが電圧値DAC
OUT[1]である状態で判定不等式“V
BB≦V
REF”が成立する場合、即ち、電圧値DAC
OUT[1]に対応する最小テスト発光強度で発光部11Aを発光させたときのテスト検出受光強度(R
II)が基準受光強度(R
REF)以上である場合、ステップS15の処理が一度も実行されることなく増加処理が停止され、電圧値DAC
OUT[1]に基づき調整電圧値が設定されることになる(即ち、最小テスト発光強度に基づき本発光強度が設定されることになる)。電圧値DAC
OUT[1]に基づく調整電圧値の設定方法は、ステップS16の説明で述べた通りである。
【0054】
上述した動作とは異なるが、調整処理において、電圧値V
BBが基準電圧値V
REF以上となるまで(即ち、テスト検出受光強度が基準受光強度以下となるまで)、電圧値DAC
OUTを段階的に減少させる減少方式を採用しても良い。減少方式が採用される場合、ステップS11にてDAC
OUT[n]がDAC
OUTに設定され、ステップS14にて判定不等式として“V
BB≧V
REF”(即ち“R
II≦R
REF”)が用いられ、ステップS15にて電圧値DAC
OUTが1段階減少せしめられ、ステップS16における直前の電圧値DAC
OUTとは、現在の電圧値DAC
OUTがDAC
OUT[i]ならばDAC
OUT[i+1]である。つまり減少方式を採用した調整処理では、テスト発光強度を段階的に減少させる減少処理により複数のテスト発光強度での順次発光を実現し、減少処理の過程で、テスト検出受光強度が基準受光強度(R
REF)を超える状態から基準受光強度(R
REF)以下の状態に切り替わったときにおける、切り替わり直前又は直後のテスト発光強度及び電圧値DAC
OUTに基づき、本発光強度及び調整電圧値を設定する。増加方式を採用する場合と同様、減少方式を採用する場合も、当該切り替わりの後の電圧値DAC
OUT(即ちステップS16における“現在の電圧値DAC
OUT”)、又は、当該切り替わりの前の電圧値DAC
OUT(即ちステップS16における“直前の電圧値DAC
OUT”)に基づき調整電圧値を設定し、実検出期間中に調整電圧値を電圧値DAC
OUTに設定することで本発光強度を定めればよい。
【0055】
但し、減少方式採用時において、電圧値DAC
OUTが電圧値DAC
OUT[m]である状態で判定不等式“V
BB≧V
REF”が成立する場合、即ち、電圧値DAC
OUT[m]に対応する最大テスト発光強度で発光部11Aを発光させたときのテスト検出受光強度(R
II)が基準受光強度(R
REF)以下である場合、ステップS15の処理が一度も実行されることなく減少処理が停止され、電圧値DAC
OUT[m]に基づき調整電圧値が設定されることになる(即ち、最大テスト発光強度に基づき本発光強度が設定されることになる)。電圧値DAC
OUT[m]に基づく調整電圧値の設定方法は、ステップS16の説明で述べた通りである。
【0056】
増加方式も減少方式も、基準受光強度(R
REF)又は基準受光強度近辺の受光強度を得るための電圧値DAC
OUTを探る方式に属する。そのような電圧値DAC
OUTを探る方式であれば、増加方式及び減少方式以外の方式を採用しても良い。例えば、最初に電圧値DAC
OUTをDAC
OUT[m/2]に設定してステップS12及びS13の処理を実行し、得られた電圧値V
BBと基準電圧値V
REFから、次回の電圧値DAC
OUTをDAC
OUT[m/2]から増加させるのか減少させるのかを定めるようにしても良い。或いは例えば、電圧値DAC
OUTをDAC
OUT[1]に設定した状態でステップS12及びS13の処理を実行した後、電圧値DAC
OUTをDAC
OUT[m]に設定した状態でステップS12及びS13の処理を実行し、それらの処理にて得られた2つの電圧値V
BBと基準電圧値V
REFから、基準受光強度が早期に得られるよう、次回の電圧値DAC
OUTを定めるようにしても良い。
【0057】
尚、調整処理の実行中に生体2の光の減衰量(吸光度)が変化し、その変化がテスト検出電圧V
Bに影響を与えるが、その変化の大きさは、電圧値DAC
OUTの変動によるテスト検出電圧V
Bの変動に対して十分に小さいため、問題とならない。
【0058】
実検出期間における発光部11Aの点灯は、パルス点灯でも良いし常時点灯でも良い。常時点灯させる場合、FET51をオンに維持することで発光部11に駆動電流I
Aを常時供給する。テスト期間中にパルス点灯を行う方法を上述したが、テスト期間における発光部11Aの点灯も、常時点灯であっても構わない。但し、パルス点灯の方が常時点灯よりも信号のS/N比を増大させることができる。
【0059】
図11を参照して、常時点灯法とパルス点灯法を比較する。
図11において、直線SSは、脈波信号強度の瞬時値と発光強度(発光部11Aの明るさ)の瞬時値との関係を示している。発光強度の瞬時値が増大すれば、当然、対応する脈波信号強度の瞬時値も増大する。一方、直線NNにて示されるノイズ強度は基本的に一定と考えることができる。
【0060】
常時点灯法及びパルス点灯法間において発光強度の時間平均が共通であると考えた場合、常時点灯法では、発光強度の瞬時値が常に比較的小さな強度E
Aとされるため、取得できる最大の脈波信号強度も比較的小さな強度S
Aとなる。一方、パルス点灯法では、パルス点灯時における発光強度の瞬時値を比較的大きな強度E
P(>E
A)とすることができるため、取得できる最大の脈波信号強度も比較的大きな強度S
P(>S
A)となる。このように、パルス点灯法の方が、常時点灯法と比べて発光強度の瞬時値を高めやすく、結果、S/Nを向上できると共にダイナミックレンジの拡大にも寄与する。
【0061】
調整処理は、脈波センサ1の起動時において実行されると良い。また、脈波センサ1に所定の調整実行指令が入力されたときに調整処理が実行されても良い。脈波センサ1に、機械式ボタンやタッチパネル等から成る操作入力部(不図示)を設け、操作入力部にて調整実行指令を受けるようにしても良い。或いは、外部機器EEが脈波センサ1に対して調整実行指令を送るようにしても良い。また例えば、脈波センサ1の起動後、周期的に調整処理が繰り返し実行されても良い。この場合、テスト期間と実検出期間とから成る組期間が、繰り返し訪れることになる。或る組期間中の実検出期間の電圧値DAC
OUTは、同じ組期間中に決定された調整電圧値とされる。
【0062】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態及び後述の第3実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2及び第3実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2及び第3実施形態にも適用される。矛盾の無い限り、第1〜第3実施形態の内、任意の複数の実施形態を組み合わせても良い。
【0063】
第2実施形態では、
図12を参照し、上述の脈波センサ1による他の調整処理を説明する。
図12は、ステップS20〜S26の処理から成る、第2実施形態の調整処理のフローチャートである。
【0064】
発光制御部34は、まずステップS20にて変数iに1を代入し、続くステップS21にてD/A変換部50の出力電圧値DAC
OUTに所定の電圧値V
DAC[i]を設定した後、ステップS22にて、nフレーム分、発光部11Aをパルス駆動する。ステップS22におけるフレーム周波数は、例えば100Hzである。ステップS22のパルス駆動により、nフレームの発光に対応するn個のテスト検出電圧値V
Bが得られる。発光制御部34は、ステップS23において、電圧値V
DAC[i]に対応して得られたn個のテスト検出電圧値V
Bの統計電圧値V
BBを電圧値V
BB[i]として算出する。電圧値V
BBの算出方法は第1実施形態で述べた通りである。n=1である場合、ステップS22で得られた1つのテスト検出電圧値V
Bが電圧値V
BB[i]と一致する。
【0065】
ステップS23の処理後のステップS24において、発光制御部34は、変数iが所定値Qと一致しているか否かを確認する。Qは2以上の整数である。変数iが値Qと一致している場合にはステップS24からステップS26に進むが、変数iが値Q未満である場合にはステップS25にて変数iに1を加えてからステップS21に戻る。
【0066】
ステップS26に至る段階では、V
DAC[1]〜V
DAC[Q]に対応する電圧値V
BB[1]〜電圧値V
BB[Q]が得られている。ステップS26において、発光制御部34は、電圧値V
BB[1]〜電圧値V
BB[Q]と所定の基準電圧値V
REFに基づき、調整電圧値を算出してメモリ33に保存し、調整処理を終える。調整処理後の動作は第1実施形態と同様である。
【0067】
図13を参照して調整電圧値の導出方法を説明する。
図13では、Q=2が想定されている。発光制御部34は、電圧値DAC
OUTが所定の電圧値V
DAC[1]〜V
DAC[Q]であるときに夫々テスト検出電圧値V
Bが電圧値V
BB[1]〜V
BB[Q]であるとの前提の下、電圧値V
Bを基準電圧値V
REFにするためのD/A変換部50の出力電圧値DAC
OUTを推定し、推定値を調整電圧値に設定する。上述したように、V
B=V
REFであるときの受光強度が基準受光強度であるため、電圧値V
Bを基準電圧値V
REFにするためのD/A変換部50の出力電圧値DAC
OUTは、基準受光強度R
REFを得るための出力電圧値DAC
OUTである。上記の推定は、公知の補間処理により実現できる。単純な例として、“|V
BB[1]−V
REF|=|V
BB[2]−V
REF|”且つ“V
BB[1]<V
BB[2]”であるならば、“(V
DAC[1]+V
DAC[2])/2”を調整電圧値に設定すれば良い。値Qを増大させればさせるほど、推定精度を上げることができる。
【0068】
本実施形態では、テスト検出電圧値V
BB[1]〜V
BB[Q]及び基準電圧値V
REFに基づき、実検出期間中の発光時における検出電圧値V
B(平均レベル)を基準電圧値V
REFにするためのD/A変換部50の出力電圧値DAC
OUTを推定し、推定値を調整電圧値に設定する。換言すれば、テスト検出電圧値V
BB[1]〜V
BB[Q]に対応するテスト検出受光強度R
II[1]〜R
II[Q]及び基準電圧値V
REFに対応する基準受光強度R
REFに基づき、実検出期間において基準受光強度R
REFを得るための発光強度(調整電圧値に対応する発光強度)を推定し、推定発光強度を本発光強度に設定する。R
REFは、実検出期間において脈波信号の振幅が適正になる受光強度の予想値である。故に、このような設定を行うことで、実検出期間中の脈波信号振幅が適正になる。
【0069】
尚、第1実施形態の方法も上記推定を行う方法の一種である。つまり、第1実施形態でも、複数のテスト発光強度に応答して観測される複数のテスト検出受光強度(例えば、DAC
OUT[1]〜DAC
OUT[3]に対応する3つのテスト検出受光強度R
II)及び基準受光強度R
REFに基づき、実検出期間において基準受光強度R
REFを得るための発光強度(調整電圧値に対応する発光強度)を推定し、推定発光強度を本発光強度に設定している。その推定結果をD/A変換部50の出力電圧値で表現したものが調整電圧値である。
【0070】
また上述した振幅実検出方法に比べて振幅調整に必要な時間が短くて済む。振幅調整の短時間化を担保すべく、Q種類のテスト発光強度の夫々について、テスト発光強度で発光部11Aを発光させる期間の長さ(即ち、FR×n)を、脈波の周期よりも短くすると良く(脈波の周期として期待される所定の時間長さよりも短くすると良く)、例えば0.5秒以下にしてもよい。振幅調整の短時間化を促進すべく、Q種類のテスト発光強度で発光部11Aを発光させる期間の合計長さ(即ち、FR×n×Q)を、脈波の周期よりも短くすると良く(脈波の周期として期待される所定の時間長さよりも短くすると良く)、例えば0.5秒以下にしてもよい。
【0071】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、
図14を参照し、上述の脈波センサ1による更に他の調整処理を説明する。
図14は、ステップS31〜S34の処理から成る、第3実施形態の調整処理のフローチャートである。
【0072】
ステップS31〜S33の処理は、変数iに1を代入した状態における上述のステップS21〜S23の処理と同じである。第3実施形態では、テスト検出電圧V
Bの統計電圧値として電圧値V
BB[1]だけが得られる。
【0073】
ステップS34において、発光制御部34は、テスト検出電圧値V
BB[1]と所定の基準電圧値V
REFに基づき、調整電圧値を算出してメモリ33に保存し、調整処理を終える。調整処理後の動作は第1実施形態と同様である。
【0074】
より具体的には、発光制御部34は、テスト検出電圧値V
BB[1]と基準電圧値V
REFとの比較結果に基づき、実検出期間中の発光時における検出電圧値V
B(平均レベル)を基準電圧値V
REFにするためのD/A変換部50の出力電圧値DAC
OUTを推定し、推定値を調整電圧値に設定する。換言すれば、テスト検出電圧値V
BB[1]に対応するテスト検出受光強度R
II[1]と基準電圧値V
REFに対応する基準受光強度R
REFとの比較結果に基づき、実検出期間において基準受光強度R
REFを得るための発光強度(調整電圧値に対応する発光強度)を推定し、推定発光強度を本発光強度に設定する。R
REFは、実検出期間において脈波信号の振幅が適正になる受光強度の予想値である。故に、このような設定を行うことで、実検出期間中の脈波信号振幅が適正になる。
【0075】
例えば、発光制御部34は、“V
BB[1]≦V
REF”(即ち“R
II[1]≧R
REF”)ならば、電圧値(V
DAC[1]−V
ADJ)を調整電圧値に設定し、“V
BB[1]>V
REF”(即ち“R
II[1]<R
REF”)ならば、電圧値(V
DAC[1]+V
ADJ)を調整電圧値に設定してよい。V
ADJは、正の所定の電圧量である。V
ADJは、固定電圧値でも良いし、差|V
BB[1]−V
REF|の増大に伴って増大する可変電圧値であっても良い。
【0076】
また、本実施形態でも、上述した振幅実検出方法に比べて振幅調整に必要な時間が短くて済む。振幅調整の短時間化を担保すべく、テスト発光強度で発光部11Aを発光させる期間の長さ(即ち、FR×n)を、脈波の周期よりも短くすると良く(脈波の周期として期待される所定の時間長さよりも短くすると良く)、例えば0.5秒以下にしてもよい。第3実施形態では、テスト発光強度が1種類しかないため、第1及び第2実施形態よりも調整処理が短時間で済むというメリットがあるが、1種類のテスト発光強度への応答しか観測しない分、本発光強度の調整精度(脈波信号の振幅調整精度)が第1及び第2実施形態よりも粗くなるおそれがある。
【0077】
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の任意の式において、矛盾が生じない範囲で、不等号“≧”又は“≦”を夫々不等号“>”又は“<”に置き換えても良いし、その逆も可能である。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
【0078】
[注釈1]
発光部11Aを形成する発光素子(LED等)の個数は幾つでも良いし、受光部11Bを形成する受光素子(フォトトランジスタ等)の個数は幾つでも良い。受光素子が複数ある場合、複数の受光素子に流れる電流の合計が電流I
B(
図4参照)であって良い。
【0079】
[注釈2]
図4の演算部32、メモリ33及び発光制御部34は、脈波センサ1ではなく、外部機器EE(
図3参照)に設けられていても良い。つまり、演算部32、メモリ33及び発光制御部34における上述の動作を外部機器EE内で実現しても良い。演算部32、メモリ33及び発光制御部34における上述の動作の内、一部を脈波センサ1内で実行し、残りを外部機器EE内で実行しても良い。
【0080】
[注釈3]
脈波センサ1である対象装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。対象装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムを対象装置に搭載可能なフラッシュメモリに保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、対象装置に搭載可能なマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしてもよい。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体は対象装置と異なる機器(サーバ機器等)に搭載又は接続されても良い。