【解決手段】本発明は、エポキシ樹脂にビスマレイミド、シアネートエステルのいずれか一つ以上を添加してワニスを製造する段階と、前記ワニスを補強基材に含浸する段階と、前記補強基材に含浸したワニスを、230℃以上290℃以下の温度で銅箔とともに積層硬化する段階と、を含む、銅張積層板の製造方法を提供することで、上述した課題を解決する。
前記ワニスは、ビスフェノールA(Bisphenol A)型エポキシ樹脂、芳香族ナフタレン系エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル(Biphenyl aralkyl)型エポキシ樹脂、イソシアヌレート(isocyanurate)エポキシ樹脂、クレゾールノボラック(cresol novolac)型エポキシ樹脂のいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載の銅張積層板の製造方法。
前記ワニスは、ビフェニレン(biphenylene)型フェノールアラルキル(phenol aralkyl)樹脂、フェノールアラルキル(phenol aralkyl)樹脂、ナフトールアラルキル(naphthol aralkyl)樹脂、ジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene)型フェノール(phenol)樹脂、トリフェニルメタン(triphenylmethane)型フェノール(phenol)樹脂およびノボラック(novolac)型フェノール(phenol)樹脂のいずれか一つ以上の硬化剤を含む、請求項1に記載の銅張積層板の製造方法。
前記ワニスは、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(2,2−Bis(4−Cyanatophenyl)propane)、ビス(3,5−ジメチル−4−シアネートフェニル)メタン(Bis(3,5−dimethyl−4−Cyanatophenyl)methane)、シアン酸(cyanic acid)化したノボラック(novolac)オリゴマー(oligomer)のいずれか一つ以上のシアネートエステル(cyanate ester)基を含有するレジン(resin)モノマーを一つ以上含む、請求項1に記載の銅張積層板の製造方法。
前記ワニスは、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(4,4’−diphenyl methane bismaleimide)、フェニルメタンマレイミド(phenylmethane maleimide)、m−フェニレンビスマレイミド(m−phenylene bismaleimide)、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド(Bisphenol A diphenylether bismaleimide)、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(3,3’−dimethyl−5,5’−diethyl−4,4’−diphenylmethane bismaleimide)、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド(4−methyl−1,3−phenylene bismaleimide)、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)核酸(1,6’−bismaleimide−(2,2,4−trimethyl)nucleic acid)のうち2個のマレイミド基を有する化合物を一つ以上含む、請求項1に記載の銅張積層板の製造方法。
前記補強基材は、ガラス布、ガラス不織布などの無機基材、芳香族ポリアミド(polyamide)樹脂、芳香族ポリエステル(polyester)樹脂のいずれか一つである、請求項1に記載の銅張積層板の製造方法。
前記ワニスは、ビスフェノールA(Bisphenol A)型エポキシ樹脂、芳香族ナフタレン系エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル(Biphenyl aralkyl)型エポキシ樹脂、イソシアヌレート(isocyanurate)エポキシ樹脂、クレゾールノボラック(cresol novolac)型エポキシ樹脂のいずれか一つ以上を含む、請求項8に記載の銅張積層板の製造方法。
前記ワニスは、ビフェニレン(biphenylene)型フェノールアラルキル(phenol aralkyl)樹脂、フェノールアラルキル(phenol aralkyl)樹脂、ナフトールアラルキル(naphthol aralkyl)樹脂、ジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene)型フェノール(phenol)樹脂、トリフェニルメタン(triphenylmethane)型フェノール(phenol)樹脂およびノボラック(novolac)型フェノール(phenol)樹脂のいずれか一つ以上の硬化剤を含む、請求項8に記載の銅張積層板の製造方法。
前記ワニスは、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(2,2−Bis(4−Cyanatophenyl)propane)、ビス(3,5−ジメチル−4−シアネートフェニル)メタン(Bis(3,5−dimethyl−4−Cyanatophenyl)methane)、シアン酸(cyanic acid)化したノボラック(novolac)オリゴマー(oligomer)のいずれか一つ以上のシアネートエステル(cyanate ester)基を含有するレジン(resin)モノマーを一つ以上含む、請求項8に記載の銅張積層板の製造方法。
前記ワニスは、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(4,4’−diphenyl methane bismaleimide)、フェニルメタンマレイミド(phenylmethane maleimide)、m−フェニレンビスマレイミド(m−phenylene bismaleimide)、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド(Bisphenol A diphenylether bismaleimide)、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(3,3’−dimethyl−5,5’−diethyl−4,4’−diphenylmethane bismaleimide)、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド(4−methyl−1,3−phenylene bismaleimide)、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)核酸(1,6’−bismaleimide−(2,2,4−trimethyl)nucleic acid)のうち2個のマレイミド基を有する化合物を一つ以上含む、請求項8に記載の銅張積層板の製造方法。
前記補強基材は、ガラス布、ガラス不織布などの無機基材、芳香族ポリアミド(polyamide)樹脂、芳香族ポリエステル(polyester)樹脂のいずれか一つである、請求項8に記載の銅張積層板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを果たす方法は、添付の図面とともに詳細に後述する実施形態を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下に開示される実施形態に限定されず、互いに異なる様々な形態に具現することができる。本実施形態は、本発明の開示を完全にするとともに、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者に発明の範疇を完全に伝達するために提供されることができる。
【0018】
本明細書で用いられる用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書において、単数型は文章で特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprise)」および/または「含んでいる(comprising)」は言及された構成要素、段階、動作および/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0019】
本発明は、既存のエポキシ系樹脂を主原材料として用いたワニス(varnish)にマレイミド系またはシアネート系樹脂を添加して作製したプリプレグ(prepreg)を、銅箔とともに高温で積層硬化するか、または1次積層硬化した後、また高い温度で再硬化することで、ガラス転移温度(Tg)および剛性を高める銅張積層板の製造方法に関する。
【0020】
前記のエポキシ系樹脂は、ビスフェノールA(Bisphenol A)型エポキシ樹脂、芳香族ナフタレンエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル(Biphenyl aralkyl)型エポキシ樹脂、イソシアヌレート(isocyanurate)エポキシ樹脂、クレゾールノボラック(cresol novolac)型エポキシ樹脂のいずれか一つであってもよく、特にこれに限定されない。
【0021】
一方、必要に応じて、該当するエポキシ樹脂の硬化剤や硬化促進剤が用いられてもよい。硬化剤(hardner)の含量は特に制限されないが、硬化促進剤および無機物フィラー以外の全体樹脂組成物100重量部に対して約10〜60重量部の範囲であることができ、好ましくは、約20〜50重量部の範囲であることができる。硬化剤の含量が上述の範囲に該当する場合、硬化物の強度および耐熱性が良好に発揮され、流動性によって優れた成形性が発揮されることができる。
【0022】
前記ワニスに用いられる硬化剤は、ビフェニレン(biphenylene)型フェノールアラルキル(phenol aralkyl)樹脂、フェノールアラルキル(phenol aralkyl)樹脂、ナフトールアラルキル(naphthol aralkyl)樹脂、ジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene)型フェノール(phenol)樹脂、トリフェニルメタン(triphenylmethane)型フェノール(phenol)樹脂およびノボラック(novolac)型フェノール(phenol)樹脂のいずれか一つ以上であってもよく、特にこれに限定されない。
【0023】
また、前記ワニスに添加されることができるマレイミド系樹脂は、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(4,4’−diphenyl methane bismaleimide)、フェニルメタンマレイミド(phenylmethane maleimide)、m−フェニレンビスマレイミド(m−phenylene bismaleimide)、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド(Bisphenol A diphenylether bismaleimide)、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(3,3’−dimethyl−5,5’−diethyl−4,4’−diphenylmethane bismaleimide)、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド(4−methyl−1,3−phenylene bismaleimide)、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)核酸(1,6’−bismaleimide−(2,2,4−trimethyl)nucleic acid)のうち2個のマレイミド基を有する化合物のいずれか一つであってもよく、特にこれに限定されない。
【0024】
前記ワニスに添加されることができるシアネート系樹脂は、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(2,2−Bis(4−Cyanatophenyl)propane)、ビス(3,5−ジメチル−4−シアネートフェニル)メタン(Bis(3,5−dimethyl−4−Cyanatophenyl)methane)、シアン酸(cyanic acid)化したノボラック(novolac)オリゴマー(oligomer)のいずれか一つ以上のシアネートエステル(cyanate ester)基を含有するレジン(resin)モノマーのいずれか一つであってもよく、特にこれに限定されない。
【0025】
前記のような材料を用いてワニスが製造されると、ワニスを補強基材に含浸してプリプレグを製作することができる。この際、用いられる補強基材は、ガラス布、ガラス不織布などの無機基材、芳香族ポリアミド(polyamide)樹脂、芳香族ポリエステル(polyester)樹脂のいずれか一つであってもよく、特にこれに限定されない。
【0026】
後述する実施例から分かるように、プリプレグを、銅箔とともに高温で積層硬化するか、または1次積層硬化した後、高温再硬化することで、ガラス転移温度(Tg)および剛性を高めることができる。高温で積層硬化をする場合には、3時間ほど硬化を行い、後硬化(postcure)工程を行わない。一方、1次積層硬化後に高温再硬化を行う場合には、1次積層硬化を1時間行い、高温再硬化を2時間行う。この場合、高温で積層硬化のみを3時間行う場合に比べ、ガラス転移温度(Tg)および剛性がより上昇することを確認することができる。
【0027】
高温で積層硬化の際、または1次積層硬化後の高温再硬化の際にガラス転移温度(Tg)および剛性が上昇する理由は、低温で不完全であった反応が高温で継続して行われることで残っていた未反応エポキシが除去され、これにより、架橋密度および硬化度が高くなるためである。また、柔らかいエポキシに、相対的に硬い性質のマレイミド系またはシアネート系樹脂が添加されることで軟性が低下するためである。
【0028】
既存のエポキシ系樹脂を主原材料として用いた際の材料の硬化度は95%〜97%であって、ほとんどの会社が、不十分な硬化度をあげるために190℃で熱処理を施すように勧めているが、エポキシ樹脂にマレイミド系またはシアネート系樹脂を添加した場合、より高い温度での硬化が必要となる。前記二つの成分の両方をエポキシと混合して用いる場合、既存の硬化条件では、硬化度が80%〜95%と不完全な硬化が行われるためである。したがって、220℃以上(より好ましくは、230℃以上)の高い温度での積層硬化または1次積層硬化後に測定されるガラス転移温度(Tg)以上の温度で再硬化の際にガラス転移温度および剛性を高めることができる。
【0029】
以下の実施例を参照して、高温で積層硬化または1次積層硬化された原材料を高温再硬化することで、ガラス転移温度(Tg)および剛性が上昇することを確認することができる。
【0030】
[実施例1:マレイミド系樹脂を添加して高温で積層硬化した場合]
1)2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(2,2−Bis(4−Cyanatophenyl)propane)25重量%とビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(Bis(3−ethyl−5−methyl−4−maleimide−phenyl)methane)25重量%を混合、反応させてBT(Bismaleimide−Triazine)樹脂を製造した。
【0031】
2)前記BT樹脂とフェノールノボラック(Phenol novolac)型エポキシ25重量%、ビフェニルアラルキル(Biphenyl aralkyl)型エポキシ25重量%、オクチル酸亜鉛(zinc octoate)0.02重量%および2,4,5−トリフェニルイミダゾール(2,4,5−triphenylimidazole)1重量%を混合してワニスを製造した。
【0032】
3)前記で得られたワニスを厚さ0.1mmの製織ガラス(T−glass)に含浸乾燥してプリプレグ(prepreg)を製作した。
【0033】
4)前記のプリプレグの上下に、厚さ12μmの電解銅箔を配置し、3MPaの圧力で180分(3時間)220℃で加熱積層して銅張積層板(CCL)を得た。
【0034】
5)前記銅張積層板の銅箔を除去した後、硬化されたプリプレグのみを取り、TMA(Thermo Mechanical Analysis)でガラス転移温度(Tg)を測定した値は約236℃であり、剛性(270℃で測定)は9.3kN/mであった。
【0035】
前記実施例1は、ワニス製造の際にエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂を添加した場合であり、後硬化(postcure)工程を行うことなく、銅箔とともに高温で積層硬化のみを行った場合である。実施例によれば、220℃で3時間硬化した際のガラス転移温度(Tg)は236℃であり、剛性は9.3kN/mであることを確認することができる。
【0036】
前記のような過程を経て、様々な温度で銅箔とともに積層硬化を行ったときのプリプレグのガラス転移温度(Tg)および剛性の測定結果は、以下の表1のとおりである。
【0038】
表1に示すように、硬化温度を高めるほどガラス転移温度(Tg)および剛性が上昇し、これをグラフで示すものがそれぞれ
図1と
図2である。
図1はエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂を添加した場合、高温硬化の際に硬化温度に対するガラス転移温度(Tg)の変化を示すものであり、
図2はエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂を添加した場合、高温硬化の際に硬化温度に対する剛性の変化を示すものである。220℃以上の硬化温度でガラス転移温度(Tg)および剛性が上昇することを確認することができ、特に、240℃以上では剛性が大幅に上昇することを確認することができる。
【0039】
[実施例2:マレイミド系樹脂を添加して高温再硬化した場合]
1)2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(2,2−Bis(4−Cyanatophenyl)propane)25重量%とビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(Bis(3−ethyl−5−methyl−4−maleimide−phenyl)methane)25重量%を混合、反応させてBT(Bismaleimide−Triazine)樹脂を製造した。
【0040】
2)前記BT樹脂とフェノールノボラック(Phenol novolac)型エポキシ25重量%、ビフェニルアラルキル(Biphenyl aralkyl)型エポキシ25重量%、オクチル酸亜鉛(zinc octoate)0.02重量%および2,4,5−トリフェニルイミダゾール(2,4,5−triphenylimidazole)1重量%を混合してワニスを製造した。
【0041】
3)前記で得られたワニスを厚さ0.1mmの製織ガラス(T−glass)に含浸乾燥してプリプレグ(prepreg)を製作した。
【0042】
4)前記のプリプレグの上下に、厚さ12μmの電解銅箔を配置し、3MPaの圧力で190℃で60分(1時間)加熱積層して銅張積層板(CCL)を得た。
【0043】
5)前記銅張積層板の銅箔を除去した後、硬化されたプリプレグのみを取り、TMA(Thermo Mechanical Analysis)でガラス転移温度(Tg)を測定した値は約220℃であり、剛性(270℃で測定)は9.2kN/mであった。
【0044】
[実施例2−1]
実施例2で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを190℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約225℃に増加し、剛性は9.3kN/mに増加した。
【0045】
[実施例2−2]
実施例2で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを220℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約245℃に増加し、剛性は11.4kN/mに増加した。
【0046】
[実施例2−3]
実施例2で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを240℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約260℃に増加し、剛性は12.2kN/mに増加した。
【0047】
[実施例2−4]
実施例2で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを250℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約278℃に増加し、剛性は12.7kN/mに増加した。
【0048】
[実施例2−5]
実施例2で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを270℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約305℃に増加し、剛性は15.0kN/mに増加した。
【0049】
[実施例2−6]
実施例2で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを290℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約334℃に増加し、剛性は17.5kN/mに増加した。
【0050】
前記実施例2は、ワニス製造の際にエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂を添加した場合であり、1次積層硬化に該当し、190℃で1時間硬化した際のガラス転移温度(Tg)は220℃、剛性は9.2kN/mであることを確認することができる。以降、後硬化(postcure)工程を行ったものが実施例2−1〜2−6である。1次積層硬化したプリプレグを実施例2−1のように190℃で2時間再硬化すると、ガラス転移温度は約225℃、剛性は9.3kN/mと、1次硬化したときより若干増加するが、実施例2−2〜2−6のように220℃以上(1次硬化の際に測定されるガラス転移温度以上)で再硬化すると、ガラス転移温度および剛性が大幅に増加することを確認することができる。
【0051】
前記のような過程を経て、190℃で1時間1次積層硬化したプリプレグをガラス転移温度以下の温度およびガラス転移温度以上の温度で多様に再硬化した場合のガラス転移温度(Tg)および剛性の測定結果は、以下の表2のとおりである。
【0053】
表2に示すように、1次積層硬化後に測定されるガラス転移温度以上の温度で再硬化したときにガラス転移温度および剛性が大幅に増加し、表1との比較により、同じ温度で高温積層硬化のみ3時間行う場合に比べ、1時間1次積層硬化後、2時間高温再硬化を行う場合に、ガラス転移温度および剛性がより高くなったことを確認することができる。
【0054】
一例として、240℃で高温積層硬化した場合のガラス転移温度は255℃、剛性は11.8kN/mであるが、1次積層硬化したプリプレグを240℃で高温再硬化した場合のガラス転移温度は260℃、剛性は12.2kN/mであり、3時間一回の硬化のみを行うことより、1時間1次積層硬化した後、2時間再硬化した方が、ガラス転移温度および剛性を高めるためにより効果的であることが分かる。
【0055】
表2の硬化温度(℃)に対するガラス転移温度(Tg(℃))および剛性(kN/m)値をグラフで示すものが、それぞれ
図3と
図4である。
図3はエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂を添加した場合、高温再硬化の際に硬化温度に対するガラス転移温度(Tg)の変化を示すものであり、
図4はエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂を添加した場合、高温再硬化の際に硬化温度に対する剛性の変化を示すものである。
【0056】
図3と
図4から分かるように、高温再硬化とは、1次積層硬化後に測定されるプリプレグのガラス転移温度以上の温度で再硬化することを意味し、本実施例2では、1次積層硬化後に測定されたプリプレグのガラス転移温度が220℃であり、220℃以上でグラフが急激に増加することを確認することができる。
【0057】
[実施例3:マレイミド系樹脂とシアネート系樹脂をすべて添加して高温で積層硬化した場合]
1)ビフェニルアラルキル(Biphenyl aralkyl)型エポキシ8.0重量%とフェノールノボラックシアネート(Phenol novolac cyanate ester)樹脂17.5重量%とビスマレイミドフェノキシフェニル(Bismaleimide phenoxy phenyl)樹脂9.1重量%、2,4,5−トリフェニルイミダゾール(2,4,5−triphenylimidazole)0.1重量%、ナノシリカ(0.5μm)70.0重量%を混合してワニスを製造した。
【0058】
2)前記で得られたワニスを厚さ0.1mmの製織ガラス(T−glass)に含浸乾燥してプリプレグ(prepreg)を製作した。
【0059】
3)前記のプリプレグの上下に、厚さ12μmの電解銅箔を配置し、3MPaの圧力で180分(3時間)220℃で加熱積層して銅張積層板(CCL)を得た。
【0060】
4)前記銅張積層板の銅箔を除去した後、硬化されたプリプレグのみを取り、TMA(Thermo Mechanical Analysis)でガラス転移温度(Tg)を測定した値は約250℃であり、剛性(270℃で測定)は8.8kN/mであった。
【0061】
前記実施例3は、ワニス製造の際にエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂とシアネート系樹脂をすべて添加した場合であり、後硬化(postcure)工程を行うことなく、銅箔とともに高温で積層硬化のみを行った場合である。実施例によれば、220℃で3時間硬化した際のガラス転移温度(Tg)は250℃であり、剛性は8.8kN/mであることを確認することができる。
【0062】
前記のような過程を経て、様々な温度で銅箔とともに積層硬化を行ったときのプリプレグのガラス転移温度(Tg)および剛性の測定結果は、以下の表3のとおりである。
【0064】
表3に示すように、エポキシ樹脂にマレイミド系樹脂とシアネート系樹脂をすべて添加した場合にも硬化温度を高めるほどガラス転移温度(Tg)および剛性が上昇し、これをグラフで示すものがそれぞれ
図5と
図6である。
図5はエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂とシアネート系樹脂をすべて添加した場合、高温硬化の際に硬化温度に対するガラス転移温度(Tg)の変化を示すものであり、
図6はエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂とシアネート系樹脂をすべて添加した場合、高温硬化の際に硬化温度に対する剛性の変化を示すものである。220℃以上の硬化温度でガラス転移温度(Tg)および剛性が上昇することを確認することができ、特に、240℃以上では剛性が大幅に上昇することを確認することができる。
【0065】
[実施例4:マレイミド系樹脂とシアネート系樹脂をすべて添加して高温再硬化した場合]
1)ビフェニルアラルキル(Biphenyl aralkyl)型エポキシ8.0重量%とフェノールノボラックシアネート(Phenol novolac cyanate ester)樹脂17.5重量%とビスマレイミドフェノキシフェニル(Bismaleimide phenoxy phenyl)樹脂9.1重量%、2,4,5−トリフェニルイミダゾール(2,4,5−triphenylimidazole)0.1重量%、ナノシリカ(0.5μm)70.0重量%を混合してワニスを製造した。
【0066】
2)前記で得られたワニスを厚さ0.1mmの製織ガラス(T−glass)に含浸乾燥してプリプレグ(prepreg)を製作した。
【0067】
3)前記のプリプレグの上下に、厚さ12μmの電解銅箔を配置し、3MPaの圧力で190℃で60分(1時間)加熱積層して銅張積層板(CCL)を得た。
【0068】
4)前記銅張積層板の銅箔を除去した後、硬化されたプリプレグのみを取り、TMA(Thermo Mechanical Analysis)でガラス転移温度(Tg)を測定した値は約220℃であり、剛性(270℃で測定)は7.9kN/mであった。
【0069】
[実施例4−1]
実施例4で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを190℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約227℃に増加し、剛性は8.0kN/mに増加した。
【0070】
[実施例4−2]
実施例4で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを220℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約255℃に増加し、剛性は9.1kN/mに増加した。
【0071】
[実施例4−3]
実施例4で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを240℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約269℃に増加し、剛性は12.1kN/mに増加した。
【0072】
[実施例4−4]
実施例4で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを250℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約272℃に増加し、剛性は12.3kN/mに増加した。
【0073】
[実施例4−5]
実施例4で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを270℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約280℃に増加し、剛性は12.7kN/mに増加した。
【0074】
[実施例4−6]
実施例4で得た銅張積層板の銅箔を除去して残ったプリプレグを290℃で120分(2時間)再硬化した結果、ガラス転移温度(Tg)が約299℃に増加し、剛性は13.2kN/mに増加した。
【0075】
前記実施例4は、ワニス製造の際にエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂とシアネート系樹脂をすべて添加した場合であり、1次積層硬化に該当し、190℃で1時間硬化した際のガラス転移温度(Tg)は220℃であり、剛性は7.9kN/mであることを確認することができる。以降、後硬化(postcure)工程を行ったものが実施例4−1〜4−6である。1次積層硬化したプリプレグを実施例4−1のように190℃で2時間再硬化すると、ガラス転移温度は約227℃、剛性は8.0kN/mと、1次硬化したときより若干増加するが、実施例4−2〜4−6のように220℃以上(1次硬化の際に測定されるガラス転移温度以上)で再硬化すると、ガラス転移温度および剛性が大幅に増加することを確認することができる。
【0076】
前記のような過程を経て、190℃で1時間1次積層硬化したプリプレグをガラス転移温度以下の温度およびガラス転移温度以上の温度で多様に再硬化した場合のガラス転移温度(Tg)および剛性の測定結果は、以下の表4のとおりである。
【0078】
表4に示すように、1次積層硬化後に測定されるガラス転移温度以上の温度で再硬化した際にガラス転移温度および剛性が大幅に増加し、表3との比較により、同じ温度で3時間高温積層硬化のみを行う場合に比べ、1時間1次積層硬化した後、2時間高温再硬化を行う場合に、ガラス転移温度および剛性がより高くなったことを確認することができる。
【0079】
一例として、250℃で高温積層硬化した場合のガラス転移温度は266℃であり、剛性は11.6kN/mであるが、1次積層硬化したプリプレグを250℃で高温再硬化した場合のガラス転移温度は272℃、剛性は12.3kN/mであり、3時間一回の硬化のみ行うことより、1時間1次積層硬化した後、2時間再硬化を行った方が、ガラス転移温度および剛性を高めるためにより効果的であることが分かる。
【0080】
表4の硬化温度(℃)に対するガラス転移温度(Tg(℃))および剛性(kN/m)値をグラフで示すものが、それぞれ
図7と
図8である。
図7はエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂とシアネート系樹脂をすべて添加した場合、高温再硬化の際に硬化温度に対するガラス転移温度(Tg)の変化を示すものであり、
図8はエポキシ樹脂にマレイミド系樹脂とシアネート系樹脂をすべて添加した場合、高温再硬化の際に硬化温度に対する剛性の変化を示すものである。
【0081】
図7と
図8から分かるように、高温再硬化とは、1次積層硬化後に測定されるプリプレグのガラス転移温度以上の温度で再硬化することを意味し、本実施例4では、1次積層硬化した後に測定されたプリプレグのガラス転移温度が220℃であり、220℃以上でグラフが急激に増加することを確認することができる。
【0082】
前記のガラス転移温度(Tg)は、非結晶物質がガラス相からゴム相に変化する温度であり、ガラス転移温度は、TMA(Thermo Mechanical Analysis)で測定することができる。TMAは、温度を変化させながらサンプルの長さ変化を測定し、ガラス転移温度以上でサンプルの急激な長さ変化を検知することができる。一方、剛性の場合、DMA(Dynamic Mechanical Analysis)で測定することができる。DMAは、温度を変化させながらサンプルの貯蔵弾性率(storage modulus)および損失弾性率(loss modulus)を測定し、本実施例において270℃で剛性を測定した理由は、基板工程で熱を最大に与える温度が265℃であり、265℃で剛性がある程度高ければ基板の反りを最大に抑制することができるためである。物性測定の際に常温での剛性と260℃〜270℃での剛性とがほとんど相違しないと、高温でも剛性が継続して維持されると考えることができるためである。
【0083】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、上述の内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、本発明は多様な他の組合、変更及び環境で用いることができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、述べた開示内容と均等な範囲及び/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。上述の実施例は本発明を実施するにおいて最善の状態を説明するためのものであり、本発明のような他の発明を用いるにおいて当業界に公知された他の状態での実施、そして発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付された特許請求の範囲は他の実施状態も含むと解釈されるべきであろう。