【課題】部品点数を少なくし、しかも、角度調整ユニットのケーシングを広い接触面積を確保しながらミラーハウジングに取り付けることができるようにして車両走行時のミラーの振れを抑制する。
【解決手段】ミラーハウジング内には、複数の係合部46、47が一体に突設されている。角度調整ユニットのケーシング53には、係合部46、47が接触して係合する複数の接触面51a、51bがケーシング53の周縁部に沿って延びるように形成されている。係合部46、47は、接触面51a、51bに沿うように形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、角度調整ユニットのケーシングを3本のビスで締結するようにしているので、部品点数が多くなり、製造工数が増加する。
【0006】
また、車両走行時にはサイドミラーに加振力が作用することになる。加振力は車体側からミラーハウジングを介して角度調整ユニットに伝達されることになる。このとき、特許文献1では、角度調整ユニットのケーシングが3つの取付ボス部の先端面に接触しているだけであって、角度調整ユニットのケーシングとミラーハウジングとの接触面積が小さいので、角度調整ユニットがミラーハウジングに対して振動し易く、このことによってミラーが振れて間接視野を確認しにくくなる場合が考えられる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品点数を少なくし、しかも、角度調整ユニットのケーシングを広い接触面積を確保しながらミラーハウジングに取り付けることができるようにして車両走行時のミラーの振れを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、ミラーハウジングに複数の係合部を設け、角度調整ユニットのケーシングに、係合部が接触して係合する接触面を該ケーシングの周縁部に沿って延びるように形成した。
【0009】
第1の発明は、
車両側部に配設されるミラーハウジングと、
ミラーハウジング内に配置され、車両後方を確認するミラーと、
上記ミラーの角度を調整する角度調整ユニットとを備える車両用サイドミラーにおいて、
上記ミラーハウジング内には、複数の係合部が一体に突設され、
上記角度調整ユニットは、角度調整機構を収容するケーシングを備え、該ケーシングには、上記係合部が接触して係合する複数の接触面が該ケーシングの周縁部に沿って延びるように形成され、
上記係合部は、上記接触面に沿うように形成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、角度調整ユニットをミラーハウジングに取り付ける際には、角度調整ユニットのケーシングをミラーハウジングの複数の係合部に係合させることで取り付けられるので、従来例のように複数本のビスは必要なく、部品点数が削減される。そして、ケーシングには係合部が係合する複数の接触面が形成され、各接触面はケーシングの周縁部に沿って延びているので広く確保される。この広い接触面に沿うように係合部が形成されているので、角度調整ユニットのケーシングとミラーハウジングとの接触面積は十分に広くなる。これにより、角度調整ユニットがミラーハウジングに対して振動し難くなる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、
上記ミラーハウジングには、上記角度調整ユニットのケーシングに対して上記係合部の係合方向とは反対側から当接して該ケーシングを支持する支持部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ケーシングが係合部と支持部とによって挟まれるようにしてミラーハウジングに取り付けられる。
【0013】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記ミラーハウジング内には、上記角度調整ユニットのケーシングを幅方向両側から挟むように配置された第1係合部及び第2係合部と、該第1係合部及び第2係合部から離れて配置された第3係合部とが突設されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、第1係合部と第2係合部との間に角度調整ユニットのケーシングを挿入することでケーシングの幅方向両側がミラーハウジングに固定される。そして、第3係合部がケーシングにおいて第1係合部及び第2係合部から離れた部位に係合するので、ケーシングがミラーハウジングに対して安定した状態で強固に取り付けられる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、
上記角度調整ユニットのケーシングは、上記第1係合部と上記第2係合部との間に挿入され、
上記第3係合部は、上記ケーシングの挿入方向の反対側に係合するように配置されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、角度調整ユニットのケーシングを第1係合部と第2係合部との間に挿入し、第3係合部をケーシングに係合させることで、ケーシングが簡単に取り付けられる。そして、ケーシングは第3係合部に係合していることで第1係合部と第2係合部との間から抜けることはない。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、ミラーハウジング内に複数の係合部を一体に突設し、角度調整ユニットのケーシングに、係合部が接触して係合する複数の接触面を形成したので、部品点数を少なくすることができる。そして、接触面をケーシングの周縁部に沿って延びるように形成し、係合部を接触面に沿うように形成したので、広い接触面積を確保しながら角度調整ユニットのケーシングをミラーハウジングに取り付けることができるので、車両走行時のミラーの振れを抑制できる。
【0018】
第2の発明によれば、ミラーハウジングに、角度調整ユニットのケーシングに対して係合部の係合方向とは反対側から当接して支持する支持部を設けたので、ケーシングを係合部と支持部とによって挟むようにしてミラーハウジングにしっかりと取り付けることができる。
【0019】
第3の発明によれば、ミラーハウジング内に、角度調整ユニットのケーシングを幅方向両側から挟む第1係合部及び第2係合部と、これら係合部から離れた第3係合部とを突設したので、ケーシングをミラーハウジングに対して安定した状態で強固に取り付けることができる。
【0020】
第4の発明によれば、角度調整ユニットのケーシングを第1係合部と第2係合部との間に挿入した状態で、第3係合部がケーシングの挿入方向の反対側に係合するようになっているので、ケーシングを簡単に、かつ、確実に取り付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用サイドミラー1の分解斜視図である。この車両用サイドミラー1は、自動車の側部に配設されるドア(図示せず)のサッシュ前端部に取り付けられる、いわゆるドアミラーである。
【0024】
尚、以下の説明では、右側のサイドミラー1について説明するが、左側のサイドミラーについては、右側のサイドミラー1と左右対称であることを除けば同様の構成であることから、その説明を省略する。
【0025】
また、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を単に「前」といい、また、車両後側を単に「後」といい、車幅方向左側を単に「左」といい、車幅方向右側を単に「右」というものとする。
【0026】
サイドミラー1は、後方確認用のミラー2と、ドアに取り付けられるベース部3と、ミラー2が内部に配置されるミラーハウジング4と、ミラー2の角度調整を行う角度調整ユニット5と、ミラーハウジング4を格納状態と使用状態とに切り替える格納ユニット6とを備えている。
【0027】
ミラー2は、左右方向に長い形状とされている。ミラー2の裏面には、ヒーターを設けることもできる。
【0028】
ベース部3は、右側へ延出するハウジング支持板部31と、ドアのサッシュ前端部に沿って上下方向に延びる縦板部32とを有している。縦板部32は、図示しない締結部材によってサッシュ前端部に締結固定される部分である。ハウジング支持板部31には格納ユニット6の軸が取り付けられるようになっている。ベース部3の縦板部32と、サッシュ前端部との間には、防水用のシールラバー7が配設されている。
【0029】
ミラーハウジング4は、ハウジング本体41と、上部ハウジングカバー42と、下部ハウジングカバー43と、ウインカーユニット44とを備えている。ハウジング本体41、上部ハウジングカバー42及び下部ハウジングカバー43は樹脂材を成形してなるものである。
【0030】
ハウジング本体41は、ミラー2の形状に対応して左右方向に長い形状となっている。ハウジング本体41の後側には、ミラー2及び角度調整ユニット5を収容するために左右方向に長い凹部45が前側へ窪むように形成されている。この凹部45は後側全体が開放されている。
【0031】
凹部45の底壁部45aは上下方向に延びている。凹部45の周壁部45bは、底壁部45aの周縁部から全体として後側へ延びている。周壁部45bは底壁部45aの周方向に連続している。
【0032】
図2及び
図3にも示すように、凹部45の底壁部45aには、第1係合部46、第2係合部47及び第3係合部48が後方へ向けて突設されている。第1係合部46、第2係合部47及び第3係合部48は、底壁部45aに一体に成形されており、係合部46〜48を設けることによる部品点数の増加が抑制されている。
【0033】
第1係合部46及び第2係合部47は、共に同程度の幅を有する板状をなしている。第1係合部46は第2係合部47の上方に配置され、後方から見たとき(
図3に示す)に左側へ行くほど上に位置するように傾斜している。また、第2係合部47は、後方から見たときに第1係合部46と同方向に傾斜しており、
図6に示すように第2係合部47の側面47bと、第1係合部46の側面46bとは互いに略平行になっている。
【0034】
第1係合部46の側面46bと第2係合部47の側面47bとの間には、後述する角度調整ユニット5のケーシング53の狭小部53B(
図4等に示す)が挿入可能となるように所定の間隔が設けられている。すなわち、第1係合部46の側面46bは、ケーシング53の狭小部53Bの上面に当接して該ケーシング53の上面を保持する。第2係合部47の側面47bは、ケーシング53の狭小部53Bの下面に当接して該ケーシング53の下面を保持する。これにより、ケーシング53の狭小部53Bは、第1係合部46の側面46bと第2係合部47の側面47bとによって上下両側から挟まれて位置決めされる。
【0035】
第1係合部46の先端部には、下方へ突出する爪部46aが形成されている。この爪部46aは、第1係合部46の幅方向両端に亘って長く延びている。
【0036】
第2係合部47の先端部には、上方へ突出する爪部47aが形成されている。この爪部47aは、第2係合部47の幅方向両端に亘って長く延びており、第1係合部46の爪部46aと対向している。
【0037】
第1係合部46の爪部46a及び第2係合部47の爪部47aは、後述する角度調整ユニット5のケーシング53の狭小部53Bの後面に接触して係合することによってケーシング53をその後側から保持するためのものである。
【0038】
図3に示すように、第3係合部48は、第1係合部46及び第2係合部47よりも下方で、かつ、第1係合部46から右側に離れて配置されている。第3係合部48は、第1係合部46や第2係合部47の幅よりも狭い幅を有する板状をなしている。第3係合部48は、後方から見たときに右側へ行くほど上に位置するように傾斜している。
【0039】
図7等に示すように、第3係合部48の基端側には、右下方へ突出するように複数のリブ48bが設けられている。リブ48bは、凹部45の底壁部45aに連なっており、第3係合部48の基端側の変形が先端側に比べて抑制されるようになっている。第3係合部48のリブ48bよりも先端側の部分は、第3係合部48の板厚方向に弾性変形可能となっている。
【0040】
第3係合部48のリブ48bが形成された側面とは反対側の側面48c(
図7に示す)は、ケーシング53の幅広部53Aの右側の側面に当接して該ケーシング53の側面を斜め下方から保持するように位置づけられている。
【0041】
第3係合部48の先端部には、左斜め上へ向けて突出する爪部48aが形成されている。この爪部48aは、第3係合部48の幅方向両端に亘って延びている。爪部48aは、第3係合部48における先端側の板厚方向の弾性変形により、第3係合部48の板厚方向に変位可能となる。
【0042】
第3係合部48の爪部48aは、後述する角度調整ユニット5のケーシング53の幅広部53Aの後面に接触して係合することによってケーシング53をその後側から保持するためのものである。
【0043】
また、凹部45の底壁部45aには、角度調整ユニット5のケーシング53を前側、即ち、第1〜第3係合部46〜48の係合方向(後側)とは反対側から当接して支持する第1支持部49a及び第2支持部49bが設けられている。尚、支持部は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0044】
第1支持部49a及び第2支持部49bは、第1係合部46及び第2係合部47と、第3係合部48との間に配置されており、底壁部45aから後側へ突出している。これら第1支持部49a及び第2支持部49bも底壁部45aに一体に成形されている。
【0045】
図1に示すように、上部ハウジングカバー42は、ハウジング本体41の前側部分を前方から覆うように、前方へ膨出するように形成されている。上部ハウジングカバー42は、ハウジング本体41の右縁部から左縁部に亘り、また、上縁部から下縁部近傍に亘るように形成されている。上部ハウジングカバー42の内面には、爪42aが後方へ突出するように形成されており、爪42aがハウジング本体41に係合することで上部ハウジングカバー42がハウジング本体41に固定されるようになっている。ウインカーユニット44は、上部ハウジングカバー42の上下方向中央部近傍に取り付けられる。
【0046】
下部ハウジングカバー43は、ハウジング本体41の下側部分を下方から覆うように形成されている。この下部ハウジングカバー43も上部ハウジングカバー42と同様にしてハウジング本体41に固定される。
【0047】
格納ユニット6は、いわゆる電動格納ユニットであり、ベース部3に固定される軸(図示せず)と、周知のモーターや歯車等からなる駆動機構(図示せず)と、これらを収容するとともに、ハウジング本体41に固定されるケーシング60とを備えている。格納ユニット6によりミラーハウジング4をベース部3に支持することになるので、格納ユニット6は、全体が高剛性に構成されている。
【0048】
格納ユニット6の駆動機構を作動させると、ケーシング60及び駆動機構が軸周りに回動して、ミラーハウジング4が格納状態と使用状態とに切り替えられる。格納状態とは、ミラーハウジング4の右端がドアのウインドガラス(図示せず)に接近してミラー2の鏡面が前後方向に延びる姿勢状態であり、また、使用状態とは、ミラーハウジング4の右端がドアのウインドガラスから離れてミラー2の鏡面が左右方向に延びる姿勢状態である。
【0049】
ミラー2は、図示しないがミラーホルダーに保持されている。ミラーホルダーはミラー2の裏面(鏡面と反対側の面)に貼り付けられている。ミラーホルダーの略中央部には、後述する角度調整ユニット5のセンターピボット51dに、ピボット結合されるセンターピボット受け部(図示せず)が設けられている。そして、ミラーホルダーのセンターピボット受け部の右側位置には、後述する左右アジャストロッド56に対してピボット結合される左右ピボット受け部(図示せず)が設けられている。また、ミラーホルダーのセンターピボット受け部の下側位置には、後述する上下アジャストロッド55に対してピボット結合される上下ピボット受け部(図示せず)が設けられている。以上3つのピボット受け部によってミラーホルダーが角度調整ユニット5に対して傾動自在に結合される。このピボット結合構造については従来周知のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
角度調整ユニット5は、ミラーハウジング4の凹部45内に配設されて該凹部45の底壁部45aにビスを用いることなく取り付けられる。角度調整ユニット5の取付構造については後述する。
【0051】
角度調整ユニット5は、リヤケース部材51とフロントケース部材52とが前後方向に組み合わされることで構成されたケーシング53と、ケーシング53に収容される角度調整機構(上下アジャストロッド55及び左右アジャストロッド56を含む)を備える。
【0052】
ケーシング53は、幅の広い幅広部53Aと幅の狭い狭小部53Bとを有している。ケーシング53は、幅広部53Aが右斜め下側に位置し、狭小部53Bが左斜め上側に位置する姿勢状態でハウジング4に取り付けられる。
【0053】
角度調整ユニット5のリヤケース部材51の後面には、ミラー2の傾動中心となるセンターピボット51dが設けられている。
【0054】
上下アジャストロッド55及び左右アジャストロッド56は、ケーシング53の幅広部53Aに収容される。具体的には、上下アジャストロッド55は、ケーシング53に対してセンターピボット51dよりも下側で軸方向が前後方向となる姿勢状態で、往復動可能に支持されている。また、左右アジャストロッド56は、ケーシング53に対してセンターピボット51dよりも右側で軸方向が前後方向となる姿勢状態で、往復動可能に支持されている。
【0055】
ケーシング53内には、上下調整用モーター(図示せず)と、モーターの回転力を上下アジャストロッド55の軸方向の移動力に変換する送りネジ機構とが収容されている。また、ケーシング53内には、左右調整用モーター(図示せず)と、モーターの回転力を左右アジャストロッド55の軸方向の移動力に変換する送りネジ機構とが収容されている。
【0056】
上下調整用モーター及び左右調整用モーターは、ケーシング53内において狭小部53Bに収容されている。ネジ機構は、ケーシング53内において幅広部53Aに収容されている。
【0057】
上下調整用モーター、左右調整用モーター及び送りネジ機構は、角度調整機構を構成するものである。上下調整用モーター及び左右調整用モーターをそれぞれ正転、逆転することによって上下アジャストロッド55及び左右アジャストロッド55を個別に往復動させることができる。
【0058】
図4に示すように、リヤケース部材51の後面における狭小部53Bに対応する部位には、上縁部に上側接触面51aが形成されている。上側接触面51aには、ハウジング本体41の第1係合部46の爪部46aが接触して係合するようになっている。上側接触面51aは、リヤケース部材51の後面の上縁部に沿って延びており、第1係合部46の爪部46aに対して十分に広い接触面積が確保されている。上側接触面51aの延びる方向と爪部46aの延びる方向とは一致している。
【0059】
また、リヤケース部材51の後面における狭小部53Bに対応する部位には、下縁部に下側接触面51bが形成されている。下側接触面51bには、ハウジング本体41の第2係合部47の爪部47aが接触して係合するようになっている。下側接触面51bは、リヤケース部材51の後面の下縁部に沿って延びており、第2係合部47の爪部47aに対して十分に広い接触面積が確保されている。下側接触面51bの延びる方向と爪部47aの延びる方向とは一致している。
【0060】
さらに、リヤケース部材51の後面における幅広部53Aに対応する部位には、右下に位置する縁部に、右側接触面51cが形成されている。右側接触面51cには、ハウジング本体41の第3係合部48の爪部48aが接触して係合するようになっている。右側接触面51cは、リヤケース部材51の後面の右下の縁部に沿って延びており、第3係合部48の爪部48aに対して十分に広い接触面積が確保されている。
【0061】
次に、上記のように構成された角度調整ユニット5をハウジング本体41に取り付ける際の要領について説明する。まず、
図7に仮想線で示すように、ケーシング53の狭小部53Bが幅広部53Aよりも凹部45の底壁部45aに近づくようにケーシング53全体を傾けた状態で底壁部45aに接近させる。そして、
図7に実線で示すように、ケーシング53の狭小部53Bを第1係合部46と第2係合部47との間に、それらの右下側、即ち、第3係合部48側から挿入していく。
【0062】
すると、ケーシング53の上側接触面51aに第1係合部46の爪部46aが摺接し、下側接触面51bに第2係合部47の爪部47aが摺接しながらケーシング53が正規の取り付け位置へ向かって移動していく。このとき、第1係合部46の爪部46a及び第2係合部47の爪部47aによってケーシング53が正規の取り付け位置へ向けて案内されるので、取り付け作業性が良好である。
【0063】
そして、ケーシング53の狭小部53Bが第1係合部46と第2係合部47との間に挿入されると、ケーシング53の幅広部53Aの右下部分が第3係合部48の先端部に当接することになる。この状態でケーシング53の幅広部53Aを底壁部45aに接近する側へ押すと、ケーシング53の幅広部53Aの右下部分が第3係合部48の先端部に強く接触して第3係合部48を外側へ撓ませる。これにより、爪部48aが外側へ変位し、ケーシング53の幅広部53Aの右下部分が爪部48aを乗り越える。爪部48aを乗り越えると、第3係合部48の形状が復元してケーシング53が正規の取り付け位置に配置されて、爪部48aがケーシング53の右側接触面51cに接触して係合する。これにより、ケーシング53が第1係合部46と第2係合部47との間から抜けなくなる。
【0064】
また、第1係合部46の爪部46aと、第2係合部47の爪部47aも、それぞれケーシング53の上側接触面51a及び下側接触面51bに接触して係合する。
【0065】
係合状態では、ケーシング53の狭小部53Bが第1係合部46と第2係合部47の側面46b、47bによって挟まれ、かつ、ケーシング53の幅広部53Aが第3係合部48の側面48bによって右下方から保持されるので、ケーシング53の上下方向や左右方向への移動が規制されて角度調整ユニット5のがたつきが抑制される。従って、本実施形態では、角度調整ユニット5をハウジング4に取り付ける際に従来例のような複数本のビスは必要なく、部品点数が削減される。
【0066】
また、この実施形態では、ケーシング53に対してハウジング本体41の第1支持部49a及び第2支持部49bが第1〜第3係合部46〜48の係合方向とは反対側から当接し、該ケーシング53を支持するようにしている。このことによってもケーシング53のがたつきが抑制される。
【0067】
上側接触面51a、下側接触面51b及び右側接触面51cはケーシング53の縁部に沿って延びていて広く形成されていて、しかも、第1係合部46の爪部46a、第2係合部47の爪部47a及び第3係合部48の爪部48aが接触面51a、51b、51cに沿って延びていて広い面積で接触している。これにより、ケーシング53とハウジング本体41との接触面積が十分に広くなるので、角度調整ユニット5がミラーハウジング4に対して振動し難くなる。
【0068】
以上説明したように、この実施形態に係る車両用サイドミラー1によれば、ミラーハウジング4内に第1〜第3係合部46〜48を一体に突設し、角度調整ユニット5のケーシング53に、第1〜第3係合部46〜48が接触して係合する接触面51a、51b、51cを形成したので、部品点数を少なくしながら角度調整ユニット5をミラーハウジング4に取り付けることができる。そして、接触面51a、51b、51cをケーシング53の周縁部に沿って延びるように形成し、第1〜第3係合部46〜48を接触面51a、51b、51cに沿うように形成したので、角度調整ユニット5のケーシング53とミラーハウジング4との接触面積を広く確保しながら、ケーシング53をミラーハウジング4に取り付けることができので、車両走行時のミラー2の振れを抑制できる。
【0069】
また、ミラーハウジング4に、角度調整ユニット5のケーシング53に対して第1〜第3係合部46〜48の係合方向とは反対側から当接してケーシング53を支持する第1支持部49a及び第2支持部49bを設けたので、ケーシング53を係合部46〜48と支持部49a、49bとによって挟むようにしてしっかりと取り付けることができる。
【0070】
また、角度調整ユニット5のケーシング53を幅方向両側から挟む第1係合部46及び第2係合部47と、これら係合部46、47から離れた第3係合部48とを突設したので、ケーシング53をミラーハウジング4に対して安定した状態で強固に取り付けることができる。
【0071】
また、角度調整ユニット5のケーシング53を第1係合部46と第2係合部47との間に挿入した状態で、第3係合部48がケーシング53の挿入方向とは反対側から係合するようになっているので、ケーシング53を簡単に、かつ、確実に取り付けることができる。
【0072】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。