特開2015-157764(P2015-157764A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-157764(P2015-157764A)
(43)【公開日】2015年9月3日
(54)【発明の名称】グリシントランスポーター阻害物質
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/70 20060101AFI20150807BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20150807BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20150807BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20150807BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20150807BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20150807BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20150807BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20150807BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20150807BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20150807BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20150807BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20150807BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20150807BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20150807BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20150807BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20150807BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150807BHJP
【FI】
   C07D233/70
   C07D401/04CSP
   A61K31/4439
   C07D401/14
   A61K31/4164
   C07D403/04
   A61K31/506
   A61P25/18
   A61P25/28
   A61P25/22
   A61P25/30
   A61P25/14
   A61P25/04
   A61P25/16
   A61P25/20
   A61P1/00
   A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2012-134451(P2012-134451)
(22)【出願日】2012年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】守谷 実
(72)【発明者】
【氏名】山本 修資
(72)【発明者】
【氏名】阿部 公美
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】孫 相敏
(72)【発明者】
【氏名】若杉 大介
(72)【発明者】
【氏名】荒木 裕子
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB02
4C063BB04
4C063CC23
4C063CC29
4C063DD06
4C063DD12
4C063DD23
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC38
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA34
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA66
4C086ZC02
(57)【要約】
【課題】本発明は、グリシン取り込み阻害作用に基づいた統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害、特定の恐怖症、急性ストレス障害等)、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦、疼痛、パーキンソン病、注意欠陥・多動性障害、双極性障害、摂食障害、又は睡眠障害等の疾患の予防又は治療に有用な新規な化合物又はその医薬上許容される塩を提供することを目的とする。
【解決手段】式[I]

で表される化合物又はその医薬上許容される塩。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[I]
【化1】
(式中、
1、及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、シアノ基、ヘテロアリール基(該ヘテロアリール基は、C1-6アルキル基で置換されても良い)、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルキルアミノ基、又は式CONR78(R7、及びR8は、同一又は異なって、水素原子、又はC1-6アルキル基を示す)を示し、
3は、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基(該C1-6アルコキシ基は、フェニル基で置換されても良い)、C1-6アルキルアミノ基、C1-6アルキルスルホニル基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ヘテロアリール基(該ヘテロアリール基は、C1-6アルキル基で置換されても良い)、及び式−SO2NR910(R9、及びR10は、同一又は異なって、水素原子、又はC1-6アルキル基を示す)から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い)、ナフチル基、又はヘテロアリール基(該ヘテロアリール基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、シアノ基、C1-6アルカノイル基、及びハロC1-6アルキル基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い)を示し、
4は、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基は、1〜3個のハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、又はフェニル基で置換されても良い)、C3-6シクロアルキル基、又はフェニル基を示し、
5、及びR6は、同一又は異なって、水素原子、又はC1-6アルキル基を示し、
1、A2、A3、及びA4は、同一又は異なって、式CH、又は窒素原子を示し、但し、A1、A2、A3、及びA4の0〜2個は窒素原子を示す。)で表される化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項2】
1、及びR2が、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、シアノ基、C1-6アルキル基、又はC3-6シクロアルキル基であり、
3が、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基(該C1-6アルコキシ基は、フェニル基で置換されても良い)、ハロC1-6アルキル基、及びハロC1-6アルコキシ基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い)、ナフチル基、又はヘテロアリール基(該ヘテロアリール基は、1〜3個のC1-6アルコキシ基で置換されても良い)であり、
4が、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基は、1〜3個のハロゲン原子、又はC3-6シクロアルキル基で置換されても良い)であり、
5、及びR6が、共に水素原子である請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項3】
1、A2、A3、及びA4を含む環がベンゼン環、ピリジン環、又はピリミジン環である請求項1又は2に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項4】
1、A2、A3、及びA4を含む環がピリジン環、又はピリミジン環である請求項1又は2に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬上許容される塩を有効成分として含む、統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦、疼痛、パーキンソン病、注意欠陥・多動性障害、双極性障害、摂食障害、又は睡眠障害の疾患の予防剤又は治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリシントランスポーター阻害作用を有する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸受容体の一つであるNMDA受容体は脳内の神経細胞膜上に存在しており、神経の可塑性、認知、注意、記憶など様々な神経生理学的な現象に関わっている。NMDA受容体には複数のアロステリック結合部位が存在し、グリシン結合部位もその一つである(NMDA受容体複合体グリシン結合部位)。NMDA受容体複合体グリシン結合部位はNMDA受容体の活性化に関与していることが報告されている(非特許文献1)。
【0003】
グリシン作動性神経のシナプス前終末に活動電位が到達するとシナプス間隙へのグリシンの放出が開始される。放出されたグリシンはシナプス後部の受容体等と結合した後、トランスポーターによりシナプス間隙から取り除かれる。このことよりグリシンのトランスポーターは細胞外液にあるグリシン量を調節することでNMDA受容体の機能を調節していると考えられている。
【0004】
グリシントランスポーター(GlyT)は細胞外グリシンの細胞内への再取り込みに関わっているタンパクであり、現在までにGlyT1及びGlyT2の二つのサブタイプの存在が明らかとなっている。GlyT1は主に大脳皮質、海馬及び視床等に発現しており、統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害、特定の恐怖症、急性ストレス障害等)、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦、疼痛、パーキンソン病、注意欠陥・多動性障害、双極性障害、摂食障害、及び睡眠障害等の疾患との関連が報告されている(非特許文献2〜4)。
【0005】
GlyT1阻害作用を有し、イミダゾリジン−2−オン構造をもつ化合物は以下の文献において報告がされている(特許文献1,2)。これらの特許文献1,2に記載された化合物は、イミダゾリジン−2−オンの一方の環内窒素原子に、アミド若しくはカルボニルを介してフェニル基が結合しており、イミダゾリジン−2−オンの他方の環内窒素原子に、フェニル基が結合しており、イミダゾリジン−2−オンの環内炭素原子がスピロ炭素原子であることを特徴とする化合物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2008092878
【特許文献2】WO2009034062
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Molecular Psychiatry (2004) 9, 984-997
【非特許文献2】Current Medicinal Chemistry, 2006, 13, 1017-1044
【非特許文献3】Neuropsychopharmacology (2005), 30, 1963-1985
【非特許文献4】Expert Opinion on Therapeutic Patents (2004) 14 (2) 201-214
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、グリシン取り込み阻害作用に基づいた統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害、特定の恐怖症、急性ストレス障害等)、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦、疼痛、パーキンソン病、注意欠陥・多動性障害、双極性障害、摂食障害、又は睡眠障害等の疾患の予防又は治療に有用な新規な化合物又はその医薬上許容される塩を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らはGlyT1に対し阻害作用を有する新規な骨格の化合物につき鋭意検討した結果、下記に示す式で表される化合物であって、イミダゾリジノン−2−オンの環内炭素原子がスピロ炭素原子ではないことを特徴とする化合物が優れたGlyT1阻害物質であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の態様(以下、「本発明化合物」という)は以下に示すものである。
【0011】
(1)式[I]
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、
1、及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、シアノ基、ヘテロアリール基(該ヘテロアリール基は、C1-6アルキル基で置換されても良い)、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルキルアミノ基、又は式CONR78(R7、及びR8は、同一又は異なって、水素原子、又はC1-6アルキル基を示す)を示し、
3は、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基(該C1-6アルコキシ基は、フェニル基で置換されても良い)、C1-6アルキルアミノ基、C1-6アルキルスルホニル基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ヘテロアリール基(該ヘテロアリール基は、C1-6アルキル基で置換されても良い)、及び式−SO2NR910(R9、及びR10は、同一又は異なって、水素原子、又はC1-6アルキル基を示す)から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い)、ナフチル基、又はヘテロアリール基(該ヘテロアリール基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C1-6アルコキシ基、シアノ基、C1-6アルカノイル基、及びハロC1-6アルキル基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い)を示し、
4は、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基は、1〜3個のハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、又はフェニル基で置換されても良い)、C3-6シクロアルキル基、又はフェニル基を示し、
5、及びR6は、同一又は異なって、水素原子、又はC1-6アルキル基を示し、
1、A2、A3、及びA4は、同一又は異なって、式CH、又は窒素原子を示し、但し、A1、A2、A3、及びA4の0〜2個は窒素原子を示す。)で表される化合物又はその医薬上許容される塩。
【0014】
(2)R1、及びR2が、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、シアノ基、C1-6アルキル基、又はC3-6シクロアルキル基であり、
3が、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基(該C1-6アルコキシ基は、フェニル基で置換されても良い)、ハロC1-6アルキル基、及びハロC1-6アルコキシ基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い)、ナフチル基、又はヘテロアリール基(該ヘテロアリール基は、1〜3個のC1-6アルコキシ基で置換されても良い)であり、
4が、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基は、1〜3個のハロゲン原子、又はC3-6シクロアルキル基で置換されても良い)であり、
5、及びR6が、共に水素原子である(1)に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【0015】
(3)A1、A2、A3、及びA4を含む環がベンゼン環、ピリジン環、又はピリミジン環である(1)又は(2)に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【0016】
(4)A1、A2、A3、及びA4を含む環がピリジン環、又はピリミジン環である(1)又は(2)に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【0017】
(5)(1)〜(4)のいずれか1つに記載の化合物又はその医薬上許容される塩を有効成分として含む、統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦、疼痛、パーキンソン病、注意欠陥・多動性障害、双極性障害、摂食障害、又は睡眠障害の疾患の予防剤又は治療剤。
【発明の効果】
【0018】
本発明化合物はグリシントランスポーター(GlyT1)阻害活性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において用いる「C1-6アルキル基」とは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルキル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基を挙げることができる。
【0020】
本明細書において用いる「C3-6シクロアルキル基」とは炭素数3〜6個のシクロアルキル基を意味し、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
【0021】
本明細書において用いる「C1-6アルコキシ基」とは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルコキシ基を意味し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基を挙げることができる。
【0022】
本明細書において用いる「C1-6アルカノイル基」とは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルカノイル基を意味し、例えばホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基を挙げることができる。
【0023】
本明細書において用いる「ハロゲン原子(ハロ)」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。
【0024】
本明細書において用いる「ハロC1-6アルキル基」とはハロゲン原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルキル基を意味し、ハロゲン原子の好ましい置換数は1〜3個であり、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基を挙げることができる。
【0025】
本明細書において用いる「C1-6アルキルアミノ基」とは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルキル基が1つ又は2つアミノ基に結合した基を意味し、例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N-エチル-N-メチルアミノ基等を挙げることができる。
【0026】
本明細書において用いる「C1-6アルキルスルホニル基」とは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルキルスルホニル基を意味し、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基を挙げることができる。
【0027】
本明細書において用いる「ハロC1-6アルコキシ基」とはハロゲン原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルコキシ基を意味し、ハロゲン原子の好ましい置換数は1〜3個であり、例えばフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基を挙げることができる。
【0028】
本明細書において用いる「ヘテロアリール基」とは窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選ばれる少なくとも1個の原子を環内に有する単環又は二環のヘテロアリール基を意味する。窒素原子を環内に有する場合、その窒素原子はN−オキシドであってもよい。
【0029】
単環のヘテロアリール基は、好ましくは5,又は6員のヘテロアリール基であり、例えばピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チエニル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基を挙げることができる。
【0030】
二環のヘテロアリール基としては、好ましくは9,又は10員のヘテロアリール基であり、例えばキノリル基、イソキノリル基、インドリル基を挙げることができる。
【0031】
本明細書中における「医薬上許容される塩」とは、薬剤的に許容することのできる酸付加塩を意味し、用いられる酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸及びリン酸等の無機酸、或いは、酢酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸等の有機酸を挙げることができる。遊離体から当該塩への変換は従来の方法で行うことができる。
【0032】
本発明化合物において、好ましい態様を以下にあげる。
1が、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、シアノ基、C1-6アルキル基、又はC3-6シクロアルキル基である化合物が好ましい。R1はパラ位に結合している化合物が好ましい。
2が、水素原子、又はハロゲン原子である化合物が好ましい。R2が、ハロゲン原子である場合、オルト位に結合している化合物が好ましい。
3が、フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基(該C1-6アルコキシ基は、フェニル基で置換されても良い)、ハロC1-6アルキル基、及びハロC1-6アルコキシ基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されている)、又はヘテロアリール基(該ヘテロアリール基は、1〜3個のC1-6アルコキシ基で置換されても良い)である化合物が好ましく、
フェニル基(該フェニル基は、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、及びハロC1-6アルコキシ基から選ばれる1〜2個の置換基で置換されており、1置換の場合にはメタ置換であり、2置換の場合にはメタ、及びパラ置換である)、インドリル基、又はC1-6アルコキシ基で置換されたピリジル基である化合物がより好ましい。
4が、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基は、1〜3個のハロゲン原子、又はC3-6シクロアルキル基で置換されても良い)である化合物が好ましく、分岐C3-6アルキル基、又は直鎖C1-6アルキル基(該直鎖C1-6アルキル基は、1〜3個のハロゲン原子、又はC3-6シクロアルキル基で置換されても良い)である化合物がより好ましい。Rが結合している炭素原子の立体配置は、下記が好ましい。
【0033】
【化2】
【0034】
5、及びR6が、共に水素原子である化合物が好ましい。
1、A2、A3及びA4を含む環がベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環である化合物が好ましい。
【0035】
本発明化合物は複数の不斉中心を含むことができる。従って前記化合物は光学活性体で存在するとともにそのラセミ体でも存在することができ、さらに複数のジアステレオマーも存在することができる。前記の全ての形態は本発明の範囲内に含まれる。個々の異性体は公知の方法、例えば光学活性な出発物質若しくは中間体の使用、中間体若しくは最終生成物の製造における光学選択的な反応又はジアステレオ選択的な反応、或いは中間体又は最終生成物の製造におけるクロマトグラフィーを用いた分離等により得ることが可能である。さらに、本発明化合物が水和物又は溶媒和物を形成する場合、それらも本発明の範囲内に含まれる。同様に、本発明化合物の水和物又は溶媒和物の医薬上許容される塩も本発明の範囲内に含まれる。
【0036】
本発明に係る化合物は、経口又は非経口的に投与することができる。その投与剤型は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、トローチ剤、軟膏剤、クリーム剤、乳剤、懸濁剤、坐剤、注射剤等であり、いずれも慣用の製剤技術(例えば、第15改正日本薬局方に規定する方法等)によって製造することができる。これらの投与剤型は、患者の症状、年齢及び治療の目的に応じて適宜選択することができる。
【0037】
これらの製剤は、本発明の化合物を含有する組成物に薬理学的に許容されるキャリヤー、すなわち、賦形剤(例えば、結晶セルロース、デンプン、乳糖、マンニトール)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、その他薬理学的に許容される各種添加剤を配合し、製造することができる。
【0038】
また、本発明の化合物を1以上の他の治療薬、種々の抗精神病薬(antipsychotics)、抗うつ薬、例えば、5HT3アンタゴニスト、5HT2アンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、NK−1アンタゴニスト、選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)、セロトニンノルアドレナリン再取込阻害薬(SNRI)、三環系抗うつ薬、ドーパミン作動性抗うつ薬、H3アンタゴニスト、5HT1Aアンタゴニスト、5HT1Bアンタゴニスト、5HT1Dアンタゴニスト、D1アゴニスト、M1アゴニスト、抗けいれん薬、認知機能増強薬、および、その他向精神薬(psychoactive drug)と共に使用してもよい。
【0039】
本発明の化合物と組み合わせて共に使用してもよい他の治療薬とは、例えばオンダンセトロン(ondansetron)、グラニセトロン(granisetron)、メトクロプラミド(metoclopramide)、スマトリプタン(sumatriptan)、ラウオルシン(rauwolscine)、ヨヒムビン(yohimbine)、フルオキセチン(fluoxetine)、シタロプラム(citalopram)、エスシタロプラム(escitalopram)、フェモキセチン(femoxetine)、フルボキサミン(fluvoxamine)、パロキセチン(paroxetine)、インダルピン(indalpine)、サートラリン(sertraline)(登録商標)、ジメルジン(zimeldine)、ベンラファキシン(venlafaxine)、レボキセチン(reboxetine)、ミルナシプラン(Milnacipran)、デュロキセチン(duloxetine)、イミプラミン(imipramine)、アミトリプチリン(amitriptiline)、クロミプラミン(chlomipramine)、ノルトリプチリン(nortriptiline)、ブプロピオン(bupropion)、アミネプチン(amineptine)、ジバルプロエクス(divalproex)、カルバマゼピン(carbamazepine)、ジアゼパム(diazepam)、リスペリドン(risperidone)、オランザピン(olanzapine)、ジプラシドン(ziprasidone)、アリピプラゾール(aripiprazole)、クエチアピン(quetiapine)、ペロスピロン(perospirone)、クロザピン(clozapine)ハロペリドール(haloperidol)、ピモジド(pimozide)、ドロペリドール(droperidol)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、チオリダジン(thioridazine)、メソリダジン(mesoridazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、ペルフェナジン(perphenazine)、フルフェナジン(fluphenazine)、チフルプロマジン(thiflupromazine)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、アセトフェナジン(acetophenazine)、チオチキセン(thiothixene)、クロルプロチキセン(chlorprothixene)、ラモトリジン(lamotrigine)、ロキサピン(loxapine)、モリンドン(molindone)等を挙げることができる。これら組み合わせは、同時に(同一の医薬処方において、または異なる医薬処方において)、別々に、または連続的に投与されればよい。
【0040】
本発明の化合物の組み合わせによる使用および治療方法に関連する特に有利な点には、個々の成分の通常使用される投与量よりも少ない投与量での同等または改善された効果を挙げることができる。また、精神障害の陽性症状および/または陰性症状および/または認知機能障害に対する治療効果のさらなる増強も期待される。本発明の組み合わせによる使用および治療方法は、ある種の神経弛緩薬での治療に十分に応答しない、または該治療に耐性のある患者の治療においても利益を提供しうる。
【0041】
本発明に係る化合物の投与量は、成人を治療する場合で1日1〜2000mgであり、これを1日1回又は数回に分けて投与する。この投与量は、患者の年齢、体重及び症状によって適宜増減することができる。
【0042】
式[I]の化合物は種々の合成方法によって製造することができる。以下の方法は、本発明化合物の製造法の例示であり、これに限定されるものではない。
【0043】
一般的製造法中、「不活性溶媒」とは例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素類、酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶媒、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、水又はこれらの混合溶媒等である。
【0044】
「塩基」とは例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物;リチウムアミド、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアミド;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシドなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の低級アルコキシド;ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウムなどのアルキルリチウム;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素塩;トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、N,N−ジメチルアニリンなどのアミン;ピリジン、イミダゾール、2,6−ルチジンなどの塩基性ヘテロ環化合物などである。これらの塩基は当業者に公知である種々の反応条件に応じて適宜選択される。
【0045】
「酸」とは例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸及びp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸などの有機酸である。これらの酸は当業者に公知である種々の反応条件に応じて適宜選択される。
【0046】
一般的製造法中、Xはハロゲン原子又は水酸基を示し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を示し、Pはメチル基、ベンジル基などのエステルの保護基(Theodora W.Green,Peter G.M.Wuts、「有機合成における保護基(Green’s Protective Groups in Organic Synthesis,Forth Edition)」;Wiley Interscience参照)を示し、Pはtert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などの窒素原子の保護基(同上資料参照)を示し、その他は前記と同義である。
【0047】
一般的製造法1
【0048】
【化3】
【0049】
工程1:不活性溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、化合物(1)とXがハロゲン原子である化合物(2)を反応させることで化合物(3)を得ることができる。又は、不活性溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、化合物(1)とXが水酸基である化合物(2)を、有機リン化合物とアゾ化合物もしくはリンイリド試薬を用いた光延反応により、化合物(3)を得ることができる。ここで有機リン化合物としてはトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が、アゾ化合物としてはアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジtertブチル等が、リンイリド試薬としてはシアノメチレントリブチルホスホラン等が挙げられる。
【0050】
工程2:Theodora W.Green,Peter G.M.Wuts、「有機合成における保護基(Green’s Protective Groups in Organic Synthesis,Forth Edition)」に記載の脱保護反応により、化合物(4)を得ることができる。
【0051】
工程3:不活性溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、化合物(4)に対して有機金属試薬を反応させることにより、本発明化合物[I]を得ることができる。ここで化合物(5)は有機金属試薬を示し、例えばRMgClなどのGrignard反応剤、RLiなどの有機リチウム反応剤などを挙げることができる。
【0052】
一般的製造法2
【0053】
【化4】
【0054】
工程4:不活性溶媒中、化合物(3)を還元剤と反応させることで化合物(6)を得ることができる。ここで還元剤とは水素化ホウ素リチウム、水素化アルミニウムリチウムや水素化ジイソブチルアルミニウムなどが挙げられる。
【0055】
工程5:不活性溶媒中、酸化剤を用いたアルコールからアルデヒドへの一般的な酸化反応により、化合物(7)を得ることができる。ここで酸化反応とは2−ヨードキシ安息香酸、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル、クロロクロム酸ピリジニウム、二クロム酸ピリジニウムなどの酸化剤を用いた方法やSwern酸化などが挙げられる。
【0056】
工程6:不活性溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、化合物(7)に対して有機金属試薬を反応させることにより、化合物(8)を得ることができる。ここで有機金属試薬(5)としては、前述のGrignard反応剤や有機リチウム反応剤の他にRZnClのような有機亜鉛試薬なども挙げることができる。
【0057】
工程7:工程5と同様の酸化反応により、化合物(8)から本発明化合物[I]を得ることができる。ここで前述の酸化剤の他に例えば二酸化マンガンを挙げることができる。
【0058】
一般的製造法3
【0059】
【化5】
【0060】
工程8:不活性溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、パラジウム触媒もしくは銅触媒および必要に応じて金属触媒の配位子を使用することで化合物(9)と化合物(10)を反応させ、本発明化合物[I]を得ることができる。ここでパラジウム触媒としては酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられ、銅触媒としてはCuI、CuBr等が挙げられる。パラジウム触媒の配位子としては、トリフェニルホスフィン、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等が挙げられ、また銅触媒の配位子としては、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、フェナントロリン、プロリン等が挙げられる。
【0061】
一般的製造法4
【0062】
【化6】
【0063】
工程9:工程1と同様の方法により化合物(1)と化合物(11)から本発明化合物[I]を得ることができる。ここで必要に応じて、化合物(11)のカルボニル基はジメチルアセタールや環状アセタールなどに変換することで保護した後に反応に用いることができ、さらに脱保護反応を行うことによっても本発明化合物[I]を得ることができる。(Theodora W.Green,Peter G.M.Wuts、「有機合成における保護基(Green’s Protective Groups in Organic Synthesis,Forth Edition)」;Wiley Interscience参照)
前述の化合物(1)は以下の方法に従って製造することができる。
【0064】
一般的製造法5
【0065】
【化7】
【0066】
工程10:工程5と同様の反応により化合物(12)から化合物(13)を得ることができる。
【0067】
工程11:不活性溶媒中、酸存在下又は非存在下、還元剤を用いて、化合物(13)と化合物(14)の還元的アミノ化反応を行うことで、化合物(15)を得ることができる。ここで還元剤として水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げられる。
【0068】
工程12:Theodora W.Green,Peter G.M.Wuts、「有機合成における保護基(Green’s Protective Groups in Organic Synthesis,Forth Edition)」に記載の脱保護反応により、化合物(16)を得ることができる。
【0069】
工程13:不活性溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、化合物(16)をトリホスゲン、ホスゲン、カルボニルジイミダゾール、クロロギ酸p−ニトロフェニル等の試薬を用いて環化し、化合物(1)を得ることができる。
前述の化合物(1)は以下の方法に従っても製造することができる。
【0070】
一般的製造法6
【0071】
【化8】
【0072】
工程14:不活性溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、化合物(17)に対して例えば化合物(18)や対応するイソシアネートなどを用いることでウレア形成反応を行い、化合物(19)を得ることができる。
【0073】
工程15:化合物(19)を分子内環化反応に供することで化合物(1)を得ることができる。この場合の分子内環化反応として、例えば有機リン化合物とアゾ化合物若しくはリンイリド試薬を用いる光延反応を挙げることができる。また塩基の存在下、化合物(19)の水酸基をメシル化、トシル化、又はハロゲン化などにより脱離基に変換することによる分子内環化反応を行っても良い。
前述の化合物(1)は以下の方法に従っても製造することができる。
【0074】
一般的製造法7
【0075】
【化9】
【0076】
工程16:工程13と同様の方法により、化合物(20)から化合物(21)を得ることができる。
【0077】
工程17:不活性溶媒中、化合物(21)を還元剤と反応させることで化合物(22)を得ることができる。ここで還元剤とは水素化アルミニウムリチウムや水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムなどが挙げられ、また必要に応じて加熱撹拌や三塩化アルミニウムの使用が好ましい。
【0078】
工程18:工程17と同様の方法により、化合物(20)から化合物(23)を得ることができる。
工程19:工程13と同様の方法により、化合物(23)から化合物(22)を得ることができる。
工程20:工程8と同様の方法により、化合物(22)と化合物(10)より化合物(1)を得ることができる。
【実施例】
【0079】
次に、製造例、実施例及び試験例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0080】
以下の製造例および実施例において、カラムクロマトグラフィーを使用して精製した際の「NHシリカゲルカートリッジ」にはBiotage SNAPCartridge KP−NH、「シリカゲルカートリッジ」にはBiotage SNAPCartridge KP−SilもしくはHP−Sil、又はBiotage SNAP Ultra HP−Sphereを使用した。
【0081】
以下の製造例および実施例における相分離カートリッジは、Biotage,Isolute Phase Separatorを使用した。
【0082】
以下の製造例および実施例において、分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)を使用して精製した際の「NHシリカゲル」には和光、NH2シリカゲル60F254プレート−ワコー 20cm×20cm、「シリカゲル」にはメルク、シリカゲル60F254、20cm×20cmを使用した。
【0083】
以下の製造例および実施例において、分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製は以下の条件により行った。ただし、塩基性官能基を有する化合物の場合、本操作でトリフルオロ酢酸を用いたときには、フリー体を得るための中和操作等を行う場合がある。
機械:Gilson社 preparative HPLC system
カラム:資生堂 Capcelpak C18 MGII 5μm 20×150mm又はWaters SunFire Prep C18 OBD 5μm 30×50mm
溶媒:A液;0.1%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジエント条件1:0分(A液/B液=90/10)、22分(A液/B液=20/80)、25分(A液/B液=10/90)、流速20mL/min
グラジエント条件2:0分(A液/B液=80/20)、20分(A液/B液=5/95)、25分(A液/B液=1/99)、流速20mL/min
グラジエント条件3:0分(A液/B液=90/10)、11分(A液/B液=20/80)、12分(A液/B液=5/95)、流速40mL/min
グラジエント条件4:0分(A液/B液=80/20)、10分(A液/B液=5/95)、11分(A液/B液=1/99)、流速40mL/min
検出法:UV 254nm
【0084】
以下の製造例および実施例において、マススペクトル(MS)は、以下の装置により測定した。
MSスペクトル:島津LCMS−2010EV、micromass Platform LC、又は島津LCMS−IT−TOF、又は1290Infinity及びAgilent 6150
【0085】
以下の製造例および実施例の構造確認には、核磁気共鳴スペクトル(NMR)を用いた。核磁気共鳴スペクトル(NMR)は以下の装置により測定した。
NMRスペクトル:[1H−NMR]600MHz:JNM−ECA600(日本電子)、500MHz:JNM−ECA500(日本電子)、300MHz:UNITYNOVA300(Varian Inc.)、200MHz:GEMINI2000/200(Varian Inc.)
【0086】
表1中のRT(保持時間)は、以下に示す何れかの条件で、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)を用いて測定した値である。
【0087】
Condition A
測定機械:Agilent社 Agilent 1290Infinity及びAgilent 6150
カラム:Waters社 Acquity CSH C18,1.7μm,φ2.1x50mm
溶媒:A液;0.1%ギ酸含有水、B液;0.1%ギ酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=80/20)、1.2−1.4分(A液/B液=1/99)
流速:0.8mL/min、検出法:254nm
【0088】
Condition B
測定機械:Shimadzu社 LCMS−2010EV
カラム:Shimpack XR−ODS,2.2μm,φ2.0x30mm
溶媒:A液;0.1%ギ酸含有水、B液;0.1%ギ酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=90/10)、3分(A液/B液=0/100)
流速:0.6mL/min、検出法:254nm
【0089】
Condition C
測定機器:Agilent社 Agilent 1100及びmicromass社 Platform LC
カラム:Waters社 SunFire C18,2.5μm,φ4.6x50mm
溶媒:A液;0.1%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=90/10)、0.5分(A液/B液=90/10)、5.5分(A液/B液=20/80)、6.0分(A液/B液=1/99)、6.3分(A液/B液=1/99)
流速:1mL/min、検出法:254nm
【0090】
以下の製造例および実施例において、化合物名はACD/Name (ACD/Labs 12.01, Advanced Chemistry Development Inc.)により命名した。
【0091】
製造例1 (4S)−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
【0092】
【化10】
【0093】
(1)2−トリフルオロメチル−5−アミノピリジン(1.95g)のクロロホルム(15mL)溶液にピリジン(2.9mL)を加え、氷冷し、クロロギ酸フェニル(1.8mL)を加えた。室温で一晩撹拌し、反応液を減圧下濃縮した。残渣をイソプロピルエーテルで洗浄し、[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]カルバミン酸フェニル(2.16g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 283([M+H]+)
【0094】
(2)L−バリノール(200mg)のクロロホルム(5mL)溶液にトリエチルアミン(0.54mL)および[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]カルバミン酸フェニル(600mg)を加え、80℃で1時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、1−[(2S)−1−ヒドロキシ−3−メチルブタン−2−イル]−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]尿素(640mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 292([M+H]+)
【0095】
(3)1−[(2S)−1−ヒドロキシ−3−メチルブタン−2−イル]−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]尿素(640mg)のTHF(10mL)溶液にトリフェニルホスフィン(770mg)およびアゾジカルボン酸ジエチル(2.2M/トルエン溶液、1.3mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジおよびNHシリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、得られた固体をイソプロピルエーテルで洗浄し、標題化合物(500mg)を得た。これには反応試薬由来の副生成物が含まれていた。
(ESI pos.) m/z : 274([M+H]+)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.96 - 1.05 (m, 6 H), 1.76 - 1.86 (m, 1 H), 3.59 - 3.66 (m, 2 H), 3.99 - 4.08 (m, 1 H), 7.64 (d, J=8.7 Hz, 1 H), 8.41 (dd, J=8.7, 2.5 Hz, 1 H), 8.67 (d, J=2.5 Hz, 1 H)
【0096】
同様の方法により、以下の化合物を合成した。
(4S)−4−(2−メチルプロピル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 288([M+H]+)
(4S)−4−(ブタン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 288([M+H]+)
(4S)−4−tert−ブチル−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 288([M+H]+)
(4S)−4−(シクロプロピルメチル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 286([M+H]+)
(4S)−4−プロピル−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
1H NMR (200 MHz, DMSO-d6) d ppm 0.82 - 0.98 (m, 3 H), 1.23 - 1.64 (m, 4 H), 3.48 - 3.62 (m, 1 H), 3.66 - 3.84 (m, 1 H), 3.98 - 4.14 (m, 1 H), 7.68 (s, 1 H), 7.81 (d, J=8.79 Hz, 1 H), 8.17 - 8.28 (m, 1 H), 8.86 - 8.93 (m, 1 H)
(4R)−4−[(1S)−1−フルオロプロピル]−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.06 - 1.16 (m, 3 H), 1.64 - 1.79 (m, 2 H), 3.91 (dd, J=9.29, 5.16 Hz, 1 H), 3.96 - 4.04 (m, 1 H), 4.06 - 4.16 (m, 1 H), 4.34 - 4.50 (m, 1 H), 5.45 (br. s., 1 H), 7.66 (d, J=8.67 Hz, 1 H), 8.30 - 8.38 (m, 1 H), 8.70 - 8.76 (m, 1 H)
4−[(4S)−4−(2−メチルプロピル)−2−オキソイミダゾリジン−1−イル]ベンゾニトリル
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.96 - 1.03 (m, 6 H), 1.45 - 1.54 (m, 1 H), 1.57 - 1.64 (m, 1 H), 1.66 - 1.77 (m, 1 H), 3.52 (dd, J=8.9, 6.4 Hz, 1 H), 3.87 - 3.96 (m, 1 H), 4.00 - 4.07 (m, 1 H), 4.99 (br. s., 1 H), 7.58 - 7.63 (m, 2 H), 7.64 - 7.69 (m, 2 H)
4−[(4S)−2−オキソ−4−プロピルイミダゾリジン−1−イル]ベンゾニトリル
(4S)−1−(6−ブロモピリジン−3−イル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 284([M+H]+)
【0097】
製造例2 (4S)−4−(プロパン−2−イル)−1−[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]イミダゾリジン−2−オン
【0098】
【化11】
【0099】
(1)L−バリンアミド塩酸塩(1.0g)および炭酸水素ナトリウム(3.03g)のアセトニトリル(100mL)懸濁液にクロロギ酸p−ニトロフェニル(1.32g)を加え、室温で3時間撹拌した。水を加え室温で一晩撹拌した後、減圧下アセトニトリルを留去した。酢酸エチルで抽出した後、有機層を減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、クロロホルム/メタノール)で精製し、(5S)−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(540mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 143([M+H]+)
【0100】
(2)水素化アルミニウムリチウム(290mg)のジエチルエーテル(20mL)懸濁液に、氷冷下、(5S)−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(540mg)を加え、室温で一晩撹拌した。氷冷した後、水(1mL)、4M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)、THF(15mL)、エタノール(2mL)を加え、室温で10分間撹拌した。セライト(登録商標)ろ過の後、ろ液を減圧下濃縮し、(4S)−4−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン(160mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 129([M+H]+)
【0101】
(3)(4S)−4−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン(120mg)、2−ブロモ−5−トリフルオロメチルピリジン(212mg)、Pd(dba)(100mg)、Xantphos(110mg)、およびtert−ブトキシナトリウム(80mg)のトルエン(2mL)溶液を100℃で1時間撹拌した。反応液をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(85mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 274([M+H]+)
【0102】
同様の方法により、以下の化合物を合成した。
(4S)−1−(5−メトキシピリジン−2−イル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン
1H NMR (200 MHz, DMSO-d6) d ppm 0.84 - 0.97 (m, 3 H), 1.11 - 1.58 (m, 4 H), 3.45 - 3.73 (m, 2 H), 3.78 (s, 3 H), 3.98 - 4.12 (m, 1 H), 7.32 (s, 1 H), 7.34 - 7.42 (m, 1 H), 7.93 - 8.01 (m, 1 H), 8.03 - 8.15 (m, 1 H)
(4S)−1−(5−クロロ−3−フルオロピリジン−2−イル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 258([M+H]+)
【0103】
製造例3 (4S)−1−(4−フルオロフェニル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン
【0104】
【化12】
【0105】
(4S)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン(200mg)、4−フルオロヨードベンゼン(346mg)、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(34μL)、ヨウ化銅(30mg)、および炭酸セシウム(0.76g)の1,4−ジオキサン(8mL)溶液を、封管中、100℃で3時間撹拌した。N,N’−ジメチルエチレンジアミン(34μL)を追加し、100℃でさらに一晩撹拌した。反応液をろ過した後、ろ液を減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル=88:12〜18:82)にて精製し、標題化合物(114mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 223([M+H]+)
【0106】
同様の方法により、以下の化合物を合成した。
(4S)−4−プロピル−1−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 289([M+H]+)
(4S)−4−プロピル−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 273([M+H]+)
(4S)−1−(4−クロロフェニル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 261([M+Na]+)
【0107】
製造例4 {(5S)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸
【0108】
【化13】
【0109】
(1)(4S)−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン(5.6g)のDMF(20mL)溶液に水素化ナトリウム(約60%、0.53g)を加え、室温で10分間撹拌した。ブロモ酢酸tert−ブチル(2.0mL)を少しずつ加え、室温で2時間撹拌した。水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を相分離カートリッジにより有機層を分離し、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、{(5S)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸 tert−ブチル(802mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 388([M+H]+)
【0110】
(2){(5S)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸 tert−ブチル(4.44g)のクロロホルム(20mL)溶液にトリフルオロ酢酸(30mL)を加え、室温で64時間撹拌した。トリフルオロ酢酸(9mL)を追加し、さらに1時間撹拌した後、反応液を減圧濃縮した。残渣のうち6.5gをジエチルエーテルに溶かし、6M水酸化ナトリウム水溶液および水で抽出した。水層をジエチルエーテルで洗浄した後、1M塩酸を用いて酸性にした。クロロホルムで抽出した後、相分離カートリッジで有機層を分離し、減圧下溶媒を留去し、標題化合物(2.3g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 332([M+H]+)
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.90 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.01 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 2.06 - 2.16 (m, 1 H), 3.59 (dd, J=8.9, 6.4 Hz, 1 H), 3.78 (d, J=18.2 Hz, 1 H), 3.86 - 3.92 (m, 1 H), 3.92 - 3.99 (m, 1 H), 4.48 (d, J=18.2 Hz, 1 H), 7.64 (d, J=9.1 Hz, 1 H), 8.30 - 8.37 (m, 1 H), 8.75 (d, J=2.5 Hz, 1 H)
【0111】
同様の方法により、以下の化合物を合成した。
{(5S)−5−(シクロプロピルメチル)−2−オキソ−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸
(ESI pos.) m/z : 344([M+H]+)
{(5S)−2−オキソ−5−プロピル−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸
(ESI pos.) m/z : 332([M+H]+)
{(5S)−5−(2−メチルプロピル)−2−オキソ−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸
(ESI pos.) m/z : 346([M+H]+)
{(5S)−5−[(2S)−ブタン−2−イル]−2−オキソ−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸
(ESI pos.) m/z : 346([M+H]+)
[(5S)−3−(5−クロロ−3−フルオロピリジン−2−イル)−2−オキソ−5−プロピルイミダゾリジン−1−イル]酢酸
(ESI neg.) m/z : 314([M-H]-)
{(5R)−5−[(1S)−1−フルオロプロピル]−3−[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−2−オキソイミダゾリジン−1−イル}酢酸
(ESI pos.) m/z : 390([M+Na]+)
{(5S)−5−[(2S)−ブタン−2−イル]−3−[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−2−オキソイミダゾリジン−1−イル}酢酸
(ESI pos.) m/z : 364([M+H]+)
【0112】
製造例5 {(5S)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}アセトアルデヒド
【0113】
【化14】
【0114】
(1){(5S)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸 tert−ブチル(1.0g)のTHF(10mL)溶液に水素化ホウ素リチウム(130mg)を加え、室温で2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を減圧下濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、(4S)−3−(2−ヒドロキシエチル)−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン(920mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 318([M+H]+)
【0115】
(2)2−ヨードキシ安息香酸(950mg)のDMSO(15mL)溶液に(4S)−3−(2−ヒドロキシエチル)−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン(920mg)を加え、室温で一晩撹拌した。水を加え、セライトろ過の後、ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧下濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、標題化合物(620mg)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.90 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 1.01 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 1.98 - 2.09 (m, 1 H), 3.55 - 3.65 (m, 1 H), 3.87 - 3.98 (m, 3 H), 4.45 (d, J=19.0 Hz, 1 H), 7.64 (d, J=8.7 Hz, 1 H), 8.31 - 8.42 (m, 1 H), 8.69 - 8.74 (m, 1 H), 9.68 (s, 1 H)
【0116】
同様の方法により、以下の化合物を合成した。
{(5S)-5-(2-メチルプロピル)-2-オキソ-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]イミダゾリジン-1-イル}アセトアルデヒド
(ESI pos.) m/z : 330([M+H]+)
{(5R)-5-[(1S)-1-フルオロプロピル]-2-オキソ-3-[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]イミダゾリジン-1-イル}アセトアルデヒド
(ESI neg.) m/z : 332([M-H]-)
【0117】
製造例6 (5S)−1−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン
【0118】
【化15】
【0119】
(1)L−バリンメチルエステル塩酸塩(2.6g)およびトリエチルアミン(1.6g)のクロロホルム(30mL)溶液にイソシアン酸2,4−ジメトキシベンジル(3.0g)を加え、室温で一晩撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、メチル N−[(2,4−ジメトキシベンジル)カルバモイル]−L−バリナート(4.2g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 325([M+H]+)
【0120】
(2)メチル N−[(2,4−ジメトキシベンジル)カルバモイル]−L−バリナート(4.2g)およびトリエチルアミン(1.3g)のメタノール(30mL)溶液を加熱還流下5時間撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、(5S)−3−(2,4−ジメトキシベンジル)−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(4.3g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 293([M+H]+)
【0121】
(3)(5S)−3−(2,4−ジメトキシベンジル)−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2,4−ジオン(4.3g)のTHF(300mL)溶液に水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(65%、トルエン溶液)を加え、加熱還流下3時間撹拌した。氷冷した後、硫酸ナトリウム10水和物を加え、撹拌した。ろ過の後、減圧下溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、(4S)−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−4−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン(2.4g)を得た。
【0122】
(4)(4S)−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−4−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン(2.4g)のDMF(35mL)溶液に水素化ナトリウム(60%、380mg)を加え、20分撹拌した。ブロモ酢酸エチル(1.14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。ブロモ酢酸エチル(1.14mL)および水素化ナトリウム(60%、380mg)を加え、さらに90℃で1時間撹拌した。減圧下溶媒を留去した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、[(5S)−3−(2,4−ジメトキシベンジル)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−1−イル]酢酸 エチル(1.5g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 365([M+H]+)
【0123】
(5)製造例5(1)と同様の方法により、[(5S)−3−(2,4−ジメトキシベンジル)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−1−イル]酢酸 エチル(430mg)から(4S)−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−(2−ヒドロキシエチル)−4−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン(280mg)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.77 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 0.82 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 1.91 - 2.02 (m, 1 H), 2.88 - 3.00 (m, 1 H), 3.13 - 3.24 (m, 1 H), 3.26 - 3.34 (m, 3 H), 3.44 - 3.52 (m, 1 H), 3.68 - 3.86 (m, 9 H), 6.37 - 6.51 (m, 2 H), 7.13 (d, J=8.3 Hz, 1 H)
【0124】
(6)製造例5(2)と同様の方法により、(4S)−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−3−(2−ヒドロキシエチル)−4−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン(280mg)から[(5S)−3−(2,4−ジメトキシベンジル)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−1−イル]アセトアルデヒド(270mg)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.77 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 0.82 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.84 - 1.91 (m, 1 H), 2.93 - 3.03 (m, 1 H), 3.18 - 3.27 (m, 1 H), 3.54 - 3.61 (m, 1 H), 3.78 - 3.81 (m, 6 H), 3.82 - 3.87 (m, 1 H), 4.09 - 4.17 (m, 1 H), 4.33 - 4.40 (m, 2 H), 6.43 - 6.47 (m, 2 H), 7.15 (d, J=7.8 Hz, 1 H), 9.66 (s, 1 H)
【0125】
(7)[(5S)−3−(2,4−ジメトキシベンジル)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−1−イル]アセトアルデヒド(270mg)のTHF(10mL)溶液に3−クロロフェニルマグネシウムブロミド(0.5M/THF、3.3mL)を加え、室温で2時間撹拌した。水を加え、クロロホルムで抽出した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)にて精製した。得られた無色油状物(210mg)を2−ヨードキシ安息香酸(160mg)のDMSO(4mL)溶液に加え、室温で一晩撹拌した。水および酢酸エチルを加え、有機層を分離、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、(4S)−3−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−4−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン(280mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 431([M+H]+)
【0126】
(8)(4S)−3−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−1−(2,4−ジメトキシベンジル)−4−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン(280mg)をトリフルオロ酢酸(5mL)に溶解し、室温で3時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した後、有機層を減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、標題化合物(100mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 281([M+H]+)
【0127】
同様の方法により、以下の化合物を合成した。
(5S)−1−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−5−プロピルイミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 303([M+Na]+)
(5S)−1−[2−(3−メトキシフェニル)−2−オキソエチル]−5−プロピルイミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 299([M+Na]+)
【0128】
製造例7 (5S)−1−[2−(3−フルオロフェニル)−2−オキソエチル]−5−プロピルイミダゾリジン−2−オン
【0129】
【化16】
【0130】
(1)窒素雰囲気下、(2S)−2−アミノペンタン−1−オール(500mg)のTHF(6mL)溶液をドライアイス―アセトン浴で冷却し、イソシアン酸4−メトキシフェニル(657mg)のTHF(4mL)溶液を滴下した。徐々に室温まで昇温しながら17時間撹拌した後、メタノールを加え、溶媒を減圧下留去し、1−[(2S)−1−ヒドロキシペンタン−2−イル]−3−(4−メトキシフェニル)尿素(1.17g)を得た。
(ESI pos.) m/z :253([M+H]+)
【0131】
(2)窒素雰囲気下、1−[(2S)−1−ヒドロキシペンタン−2−イル]−3−(4−メトキシフェニル)尿素(550mg)およびtert−ブトキシカリウム(593mg)のTHF(25mL)溶液を氷冷し、p−トルエンスルホニルクロリド(672mg)のTHF(10mL)溶液を滴下した。氷冷下1時間撹拌した後、水を加え、クロロホルムで抽出した。相分離カートリッジにて有機層を分離し、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル=88:12〜0:100)にて精製し、さらにクロロホルム/ヘキサンより結晶化を行った。固体をろ取し、(4S)−1−(4−メトキシフェニル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン(34mg)を得た。またろ液を減圧下濃縮し、(4S)−1−(4−メトキシフェニル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン(254mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 235([M+H]+)
【0132】
(3)(4S)−1−(4−メトキシフェニル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン(195mg)のDMF(5mL)溶液に水素化ナトリウム(約60%、50mg)を加え、室温で10分間撹拌した。3−フルオロフェニルエチレンオキシド(229mg)を加え、100℃で2時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、ろ液を減圧下濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル)にて精製した。得られた黄色油状物(0.20g)をDMSO(3mL)に溶解し、2−ヨードキシ安息香酸(178mg)を加え、室温で3時間撹拌した。水を加え、不溶物をセライトろ過にて除去した後、ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過、濃縮の後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル=92:8〜34:66)および分取HPLCにて精製し、(4S)−3−[2−(3−フルオロフェニル)−2−オキソエチル]−1−(4−メトキシフェニル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン(80mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 371([M+H]+)
【0133】
(4)(4S)−3−[2−(3−フルオロフェニル)−2−オキソエチル]−1−(4−メトキシフェニル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン(75mg)のアセトニトリル(2mL)溶液に硝酸アンモニウムセリウム(329mg)の水(3mL)溶液を滴下した。室温で1時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別の後、減圧下溶媒を留去し、残渣をPTLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1:2)にて精製し、標題化合物(41mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 265([M+H]+)
【0134】
同様の方法により、以下の化合物を合成した。
(5S)−1−{2−オキソ−2−[3−(トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル}−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 353([M+Na]+)
(5S)−1−[2−(3−エトキシフェニル)−2−オキソエチル]−5−プロピルイミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 313([M+Na]+)
(5R)−1−[2−(3−エトキシフェニル)−2−オキソエチル]−5−[(1S)−1−フルオロプロピル]イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 331([M+Na]+)
(5S)−5−[(2S)−ブタン−2−イル]−1−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル]イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 317([M+Na]+)
(5S)−1−{2−オキソ−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 315([M+H]+)
(5S)−1−[2−(3−エトキシフェニル)−2−オキソエチル]−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 291([M+H]+)
【0135】
製造例8 (2R,3S)−2−アミノ−3−フルオロペンタン−1−オール塩酸塩
【0136】
【化17】
【0137】
(1)窒素雰囲気下、(4R)−4−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 tert−ブチル(14.0g)のTHF(250mL)溶液をドライアイス−アセトン浴で冷却し、エチルマグネシウムブロミド(24mL、3M/ジエチルエーテル溶液)を滴下した。徐々に0℃に昇温しながら3時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。分液の後、水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥の後、乾燥剤をろ別、ろ液を減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル=92:8〜37:63)にて精製し、(4R)−4−(1−ヒドロキシプロピル)−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 tert−ブチル(11.14g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 282([M+Na]+)
【0138】
(2)窒素雰囲気下、(4R)−4−(1−ヒドロキシプロピル)−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 tert−ブチル(10.0g)のクロロホルム(200mL)溶液を氷冷し、ジエチルアミノ硫黄三フッ化物(6.1mL)を滴下し、氷冷下1時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、ろ液を減圧下濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル=95:5〜60:40)で精製し、(4R)−4−[(1S)−1−フルオロプロピル]−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 tert−ブチル(4.74g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.91 (t, J=7.22 Hz, 3 H), 1.28 - 1.62 (m, 17 H), 3.72 - 4.01 (m, 3 H), 4.30 - 4.63 (m, 1 H)
【0139】
(3)(4R)−4−[(1S)−1−フルオロプロピル]−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 tert−ブチル(4.9g)に5〜10%HCl/メタノール溶液(70mL)を加え、室温で一晩撹拌した。減圧下溶媒を留去し、標題化合物(2.96g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 122([M+H]+)
【0140】
製造例9 (4R)−4−[(1S)−1−フルオロプロピル]−1−[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]イミダゾリジン−2−オン
【0141】
【化18】
【0142】
(1)(2R,3S)−2−アミノ−3−フルオロペンタン−1−オール塩酸塩(2.0g)のTHF(60mL)溶液を氷冷し、炭酸カリウム(4.4g)の水(6mL)溶液およびクロロギ酸ベンジル(2.4g)のTHF(6mL)溶液を加え、室温で一晩撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル=88:12〜0:100)にて精製し、[(2R,3S)−3−フルオロ−1−ヒドロキシペンタン−2−イル]カルバミン酸ベンジル(2.5g)を得た。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) d ppm 0.88 (t, J=7.43 Hz, 3 H), 1.45 - 1.65 (m, 2 H), 3.36 - 3.50 (m, 2 H), 3.59 - 3.70 (m, 1 H), 4.30 - 4.44 (m, 1 H), 4.65 - 4.71 (m, 1 H), 4.95 - 5.04 (m, 2 H), 7.12 - 7.36 (m, 5 H)
【0143】
(2)[(2R,3S)−3−フルオロ−1−ヒドロキシペンタン−2−イル]カルバミン酸ベンジル(2.4g)のクロロホルム(40mL)溶液を氷冷し、トリエチルアミン(2mL)およびメタンスルホニルクロリド(0.8mL)を加え、30分撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウムを加え、クロロホルムで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去し、残渣をDMF(40mL)に溶かした。アジ化ナトリウム(3.06g)を加え、60℃で2時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、乾燥剤をろ別し、減圧下溶媒を留去した。残渣をTHF(50mL)に溶かし、トリフェニルホスフィン(3.59g)および水(10mL)を加え、室温で一晩撹拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、クロロホルム/メタノール=98:2〜80:20)にて精製し、[(2R,3S)−1−アミノ−3−フルオロペンタン−2−イル]カルバミン酸ベンジル(2.34g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 255([M+H]+)
【0144】
(3)[(2R,3S)−1−アミノ−3−フルオロペンタン−2−イル]カルバミン酸ベンジル(2.2g)および2,3‐ジフルオロ‐5‐トリフルオロメチルピリジン(1.74g)のアセトニトリル(45mL)溶液に炭酸カリウム(1.79g)を加え、80℃で5時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル=95:5〜20:80)にて精製し、[[(2R,3S)−3−フルオロ−1−{[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ペンタン−2−イル]カルバミン酸ベンジル(2.95g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 418([M+H]+)
【0145】
(4)[(2R,3S)−3−フルオロ−1−{[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]アミノ}ペンタン−2−イル]カルバミン酸ベンジル(2.85g)のTHF(35mL)溶液に水素化ナトリウム(約60%、546mg)を加え、室温で6時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。減圧下溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル=80:20〜40:60)にて精製し、標題化合物(2.07g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 310([M+H]+)
【0146】
同様の方法により、以下の化合物を得た。
(4S)−4−[(2S)−ブタン−2−イル]−1−[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]イミダゾリジン−2−オン
(ESI pos.) m/z : 306([M+H]+)
【0147】
実施例1 (4S)−3−{2−オキソ−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
【0148】
【化19】
【0149】
(4S)−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン(200mg)のDMF(2mL)溶液に水素化ナトリウム(約60%、35mg)を加え、室温で10分間撹拌した。3−(トリフルオロメチル)フェニルエチレンオキシド(170mg)を加え、室温で1時間、80℃で2時間撹拌した。反応液をろ過し、分取HPLCにて精製した。得られた生成物をDMSO(2mL)に溶解し、2−ヨードキシ安息香酸を加え、室温で一晩撹拌した。水を加え、クロロホルムで抽出した後、減圧下濃縮した。残渣を分取HPLCで精製し、標題化合物(50mg)を得た。
【0150】
実施例2 (4S)−3−[2−(4−フルオロ−3−メトキシフェニル)−2−オキソエチル]−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
【0151】
【化20】
【0152】
窒素雰囲気下、マグネシウム(23mg)およびヨウ素(触媒量)のTHF懸濁液に4−フルオロ−3−メトキシブロモベンゼン(163mg)を滴下した。加熱還流後、室温で30分撹拌し、{(5S)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}アセトアルデヒド(50mg)のTHF溶液を滴下した。室温で2時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮した後、残渣を分取HPLCで精製した。得られた生成物のDMSO(2mL)溶液に2−ヨードキシ安息香酸(27mg)を加え、室温で一晩撹拌した。水を加え、セライトろ過した後、ろ液をクロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮した後、残渣をPTLC(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1:1)にて精製し、標題化合物(24mg)を得た。
【0153】
実施例3 (4S)−3−[2−(3−フルオロフェニル)−2−オキソエチル]−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
【0154】
【化21】
【0155】
{(5S)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸(50mg)のTHF(1.5mL)溶液に3−フルオロフェニルマグネシウムブロミド(1.0M/THF、0.75mL)を加え、室温で1.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、有機層を減圧下濃縮した。残渣を分取HPLCおよびPTLC(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=2:1)にて精製し、標題化合物(25mg)を得た。
【0156】
実施例4 (4S)−3−[2−(3−エトキシフェニル)−2−オキソエチル]−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
【0157】
【化22】
【0158】
(1)実施例3と同様の方法により、{(5S)−2−オキソ−5−(プロパン−2−イル)−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸(1.67g)から(4S)−3−{2−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]−2−オキソエチル}−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン(245mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 498([M+H]+)
【0159】
(2)(4S)−3−{2−[3−(ベンジルオキシ)フェニル]−2−オキソエチル}−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン(240mg)のメタノール(10mL)溶液にパラジウム−活性炭(5wt.%、200mg)を加え、反応系内を水素ガスで置換した。室温で一晩撹拌した後、セライトろ過し、ろ液を減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル=88:12〜0:100)にて精製し、(4S)−3−[2−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン(107mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 410([M+H]+)
【0160】
(3)(4S)−3−[2−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン(50mg)のDMF(1.5mL)溶液に炭酸カリウム(34mg)およびヨウ化エチル(12μL)を加え、室温で1時間、80℃で1時間撹拌した。ヨウ化エチル(6μL)を追加し、80℃でさらに2時間撹拌した。反応液をろ過した後、ろ液を分取HPLCにて精製し、(4S)−3−[2−(3−エトキシフェニル)−2−ヒドロキシエチル]−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン(19mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 438([M+H]+)
【0161】
(4)(4S)−3−[2−(3−エトキシフェニル)−2−ヒドロキシエチル]−4−(プロパン−2−イル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン(19mg)のDMSO(2mL)溶液に2−ヨードキシ安息香酸(15mg)を加え、室温で一晩撹拌した。水を加え、セライトろ過した後、ろ液をクロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮した後、残渣をPTLC(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)にて精製し、標題化合物(16mg)を得た。
【0162】
実施例5 (4S)−3−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−1−(5−シクロプロピルピリミジン−2−イル)−4−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン
【0163】
【化23】
【0164】
(5S)−1−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−5−(プロパン−2−イル)イミダゾリジン−2−オン(57mg)、2−クロロ−5−シクロプロピルピリミジン(37mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(21mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(23mg)、およびtert−ブトキシナトリウム(27mg)のトルエン(2mL)溶液を100℃で1時間撹拌した。反応液にNHシリカゲルを加え、セライトろ過した後、ろ液を減圧下濃縮した。残渣を分取HPLCにて精製し、標題化合物(31mg)を得た。
【0165】
実施例6 (4S)−3−[2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソエチル]−4−(2−メチルプロピル)−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−2−オン
【0166】
【化24】
【0167】
インドール(19mg)のクロロホルム(3.5mL)溶液を−10℃に冷却し、ジエチルアルミニウムクロリド(0.95M・ヘキサン、0.22mL)を滴下した。−5℃〜0℃で1時間撹拌した後、−20℃に冷却し、別途{(5S)−5−(2−メチルプロピル)−2−オキソ−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}酢酸および塩化オキサリルより調製した塩化 {(5S)−5−(2−メチルプロピル)−2−オキソ−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}アセチル(76mg)のクロロホルム(1mL)溶液を滴下し、−5℃から室温で撹拌した。(反応液A)
インドール(15mg)のクロロホルム溶液にエチルマグネシウムブロミド(3M/ジエチルエーテル、0.27mL)を加え、封管中110℃で30分間撹拌した。−20℃に冷却し、ジエチル亜鉛(33mg)および塩化 {(5S)−5−(2−メチルプロピル)−2−オキソ−3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]イミダゾリジン−1−イル}アセチル(76mg)のクロロホルム(1mL)溶液を加え、室温で撹拌した。(反応液B)
反応液Aおよび反応液Bのそれぞれに飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、合わせた後、クロロホルムで抽出した。相分離カートリッジで有機層を分離した後、減圧下濃縮した。残渣をPTLC(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1:1)および分取HPLCにて精製し、標題化合物(1.4mg)を得た。
【0168】
実施例7 (4S)−3−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−1−(6−エチルピリジン−3−イル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン
【0169】
【化25】
【0170】
(1)実施例1と同様の方法により、(4S)−1−(6−ブロモピリジン−3−イル)−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン(865mg)から(4S)−1−(6−ブロモピリジン−3−イル)−3−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン(478mg)を得た。
(ESI pos.) m/z : 436([M+H]+)
【0171】
(2)(4S)−1−(6−ブロモピリジン−3−イル)−3−[2−(3−クロロフェニル)−2−オキソエチル]−4−プロピルイミダゾリジン−2−オン(150mg)のTHF(2mL)溶液にジエチル亜鉛(1.0M/ヘキサン、0.69mL)およびPd(PPh(40mg)を加え、80℃で1時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を乾燥の後、減圧下濃縮した。残渣を分取HPLCおよびカラムクロマトグラフィー(NHカートリッジ、ヘキサン/酢酸エチル=80:20〜60:40)にて精製し、標題化合物(44mg)を得た。
【0172】
実施例1から7で示した化合物と、同様の方法で合成した化合物の構造式とそれらの機器データを表1に示した。表中の実施例の欄に記載された数字は、その化合物が上記実施例1から7の内、どの実施例と同様な方法で合成されたかを示したものである。また、立体配置の欄は、本発明化合物を式[I]として表現した場合のR4が結合している炭素原子の立体配置を示している。
【0173】
【表1-1】
【0174】
【表1-2】
【0175】
【表1-3】
【0176】
【表1-4】
【0177】
【表1-5】
【0178】
【表1-6】
【0179】
【表1-7】
【0180】
【表1-8】
【0181】
【表1-9】
【0182】
【表1-10】
【0183】
【表1-11】
【0184】
【表1-12】
【0185】
【表1-13】
【0186】
以下に表1の化合物のうち、以下の化合物についてH−NMRのデータを示す。
化合物1
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.92 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.01 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 2.05 - 2.14 (m, 1 H), 3.61 - 3.67 (m, 1 H), 3.94 - 4.07 (m, 2 H), 4.37 (d, J=18.2 Hz, 1 H), 5.20 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 7.61 - 7.71 (m, 2 H), 7.86 - 7.92 (m, 1 H), 8.16 - 8.21 (m, 1 H), 8.24 (s, 1 H), 8.37 (dd, J=8.7, 2.5 Hz, 1 H), 8.73 - 8.79 (m, 1 H)
【0187】
化合物16
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.93 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 1.03 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 2.09 - 2.20 (m, 1 H), 3.63 (dd, J=9.1, 6.6 Hz, 1 H), 3.99 (t, J=9.3 Hz, 1 H), 4.05 - 4.12 (m, 1 H), 4.38 (d, J=18.2 Hz, 1 H), 5.22 (d, J=18.2 Hz, 1 H), 7.52 - 7.59 (m, 2 H), 7.60 - 7.68 (m, 2 H), 7.91 (d, J=7.8 Hz, 1 H), 8.00 - 8.04 (m, 1 H), 8.06 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 8.40 - 8.44 (m, 1 H), 8.71 (d, J=8.7 Hz, 1 H), 8.75 - 8.78 (m, 1 H)
【0188】
化合物23
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.91 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.01 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 2.08 - 2.15 (m, 1 H), 3.62 (dd, J=8.5, 6.0 Hz, 1 H), 3.92 - 4.04 (m, 5 H), 4.32 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 5.14 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 7.19 (dd, J=10.3, 8.3 Hz, 1 H), 7.55 - 7.61 (m, 1 H), 7.62 - 7.67 (m, 2 H), 8.34 - 8.40 (m, 1 H), 8.75 - 8.80 (m, 1 H)
【0189】
化合物68
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.09 (t, J=7.4 Hz, 3 H), 1.58 - 1.87 (m, 2 H), 3.90 - 3.97 (m, 1 H), 4.22 - 4.35 (m, 2 H), 4.46 (d, J=18.2 Hz, 1 H), 4.49 - 4.65 (m, 1 H), 5.25 (d, J=18.2 Hz, 1 H), 7.29 - 7.38 (m, 1 H), 7.45 - 7.54 (m, 1 H), 7.63 - 7.71 (m, 2 H), 7.74 - 7.81 (m, 1 H), 8.46 (s, 1 H)
【0190】
化合物78
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.90 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 1.00 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 2.05 - 2.12 (m, 1 H), 3.84 - 3.91 (m, 1 H), 3.92 - 3.97 (m, 1 H), 4.09 - 4.19 (m, 1 H), 4.31 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 5.21 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 7.46 (t, J=7.8 Hz, 1 H), 7.55 - 7.63 (m, 1 H), 7.86 - 7.93 (m, 1 H), 7.94 - 8.00 (m, 1 H), 8.83 (s, 2 H)
【0191】
化合物79
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.57 - 0.62 (m, 2 H), 0.78 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 0.87 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 0.89 - 0.94 (m, 2 H), 1.69 - 1.76 (m, 1 H), 1.93 - 2.01 (m, 1 H), 3.71 (dd, J=10.7, 6.2 Hz, 1 H), 3.76 - 3.82 (m, 1 H), 3.94 - 4.00 (m, 1 H), 4.18 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 5.06 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 7.34 (t, J=8.1 Hz, 1 H), 7.45 - 7.49 (m, 1 H), 7.79 - 7.83 (m, 1 H), 7.85 - 7.88 (m, 1 H), 8.28 (s, 2 H)
【0192】
化合物90
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 1.00 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 1.30 - 1.48 (m, 5 H), 1.52 - 1.60 (m, 1 H), 1.71 - 1.82 (m, 1 H), 3.52 - 3.60 (m, 1 H), 4.02 - 4.15 (m, 4 H), 4.45 (d, J=18.2 Hz, 1 H), 5.06 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 7.13 - 7.20 (m, 1 H), 7.37 - 7.44 (m, 1 H), 7.47 - 7.51 (m, 1 H), 7.53 - 7.58 (m, 1 H), 9.16 (s, 2 H)
【0193】
化合物93
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.94 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.03 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 2.05 - 2.17 (m, 1 H), 3.62 (dd, J=8.9, 6.4 Hz, 1 H), 3.97 (t, J=9.3 Hz, 1 H), 4.05 - 4.11 (m, 1 H), 4.35 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 5.18 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 7.48 - 7.53 (m, 1 H), 7.58 (t, J=8.1 Hz, 1 H), 7.83 (s, 1 H), 7.90 - 7.95 (m, 1 H), 9.18 (s, 2 H)
【0194】
化合物95
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) d ppm 0.88 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 0.97 (d, J=7.0 Hz, 3 H), 1.44 (t, J=7.0 Hz, 3 H), 2.02 - 2.11 (m, 1 H), 3.80 (dd, J=10.5, 6.4 Hz, 1 H), 3.86 - 3.92 (m, 1 H), 4.03 - 4.12 (m, 3 H), 4.29 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 5.15 (d, J=17.8 Hz, 1 H), 7.41 - 7.47 (m, 1 H), 7.55 - 7.61 (m, 1 H), 7.90 - 7.94 (m, 1 H), 7.96 - 7.98 (m, 1 H), 8.32 (s, 2 H)
【0195】
試験例1 [グリシン取り込み阻害実験]
グリシン取り込み実験はNeuron,8,927−935,1992に掲載された方法に従って行った。ヒト1型グリシントランスポーター(GlyT1)を発現した神経膠腫であるT98G細胞を用いた。T98G細胞を96ウェルプレートに2.0×104個/ウェルにて播種し、炭酸ガスインキュベーター内にて一晩培養した。被検物質は100%DMSO溶液に溶解したのち、150mM塩化ナトリウム、1mM塩化カルシウム、5mM塩化カリウム、1mM塩化マグネシウム、10mMグルコースおよび0.2%ウシ血清アルブミンを含む10mMHEPES緩衝液(pH7.4)に溶解させた。細胞培養用培地を除去した後、被検物質を10分間前処置した。その後、被検物質および[3H]グリシン(最終濃度 250nM)を細胞に添加し、室温にて15分間反応させた。反応終了後、マニーホールドにて細胞外液を吸引し、細胞外に存在する余分な標識グリシンを除去したのち、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液にて細胞を溶解した。細胞内に存在するグリシン量は、細胞溶解液中の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定することにより求めた。10μMのALX5407存在下におけるグリシン取り込み量を非特異的取り込みとし、10μMのALX5407非存在下の総取り込み量から非特異的取り込み量を差し引いたものを特異的取り込み量とした。また、被検物質の10-9〜10-5M濃度での抑制曲線からグリシン取り込み阻害活性(IC50値)を算出した。
【0196】
なおALX5407はN−[(3R)−3−([1,1’−ビフェニル]−4−イルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−N−メチルグリシンHCl塩である。
【0197】
本発明化合物中、IC50値が0.001μM〜0.1μMの化合物をA、0.1μM〜1μMの化合物をB、1μM〜10μMの化合物をCと表記し、表2に示す。更に本発明化合物の幾つかについて、IC50値を以下に例示する。化合物2:0.83μM、化合物17:1.1μM、化合物18:0.14μM、化合物25:1.3μM、化合物79:0.062μM、化合物95:0.016μMであった。
【0198】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明化合物はグリシントランスポーター(GlyT1)阻害活性を有し、従って、グリシントランスポーターに関連する疾患、具体的には、統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害、特定の恐怖症、急性ストレス障害等)、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦、疼痛、パーキンソン病、注意欠陥・多動性障害、双極性障害、摂食障害、又は睡眠障害等の予防又は治療に有効である。