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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-158616(P2015-158616A)
(43)【公開日】2015年9月3日
(54)【発明の名称】光アダプタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20150807BHJP
【FI】
   G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-33731(P2014-33731)
(22)【出願日】2014年2月25日
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598098526
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】吉田 太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】牧迫 伸治
(72)【発明者】
【氏名】河岸 弘志
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137AB05
2H137AB06
2H137AC02
2H137BA01
2H137BA06
2H137BB02
2H137BB12
2H137CD01
2H137CD12
2H137DA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光ファイバや光アダプタに対する外部からの影響によって生じた、逆方向に伝送する不正な信号を遮断できる光アダプタを提供する。
【解決手段】2つの光プラグ400を接続するための光アダプタは、光プラグ400を挿し込むための挿入口102を備えたハウジング100を含み、ハウジング100の内部には、光プラグ400が挿入されたときに、光プラグ400の先端と対向する位置に、光を一方向に伝送する一方向伝送部材として、受発光素子202を備えることで、光信号の伝送方向を一方向に規制することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの光プラグを接続するための光アダプタにおいて、
前記光プラグを挿し込むための挿入口を有するハウジングを含み、
前記ハウジングの内部には、前記光プラグが挿入されたときに、前記光プラグの先端と対向する位置に、光を一方向に伝送する一方向伝送部材を備えること
を特徴とする光アダプタ。
【請求項2】
前記一方向伝送部材を装着する基板をさらに含み、
前記ハウジングは前記基板を収納する空間が形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の光アダプタ。
【請求項3】
前記一方向伝送部材は、受光素子及び発光素子からなること
を特徴とする請求項1又は2に記載の光アダプタ。
【請求項4】
前記基板には、前記一方向伝送部材に電力を供給し、前記一方向伝送部材を用いて光を中継するための中継回路が配線されていること
を特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の光アダプタ。
【請求項5】
前記挿入口は、それぞれ異なる形状であることを特徴とする請求項1から4いずれか一項に記載の光アダプタ。
【請求項6】
前記光アダプタを設置位置に固定するための複数の脚部を有する土台部材をさらに含み、
前記土台部材は、前記ハウジングに嵌め合わされて、前記ハウジングに収容された前記基板を固定することを特徴とする請求項1から5いずれか一項に記載の光アダプタ。
【請求項7】
前記一方向伝送部材を収容するための収容部を備え、
前記収容部は、前記一方向伝送部材と前記挿入口から挿し込まれた前記光プラグの先端とを近接して向かい合わせにできる位置に形成されていること
を特徴とする、請求項1に記載の光アダプタに用いられるハウジング。
【請求項8】
前記一方向伝送部材を備え、
前記ハウジングに収容された際に、前記挿入口から挿し込まれた前記光プラグの先端と近接して向かい合わせにできる位置に、前記一方向伝送部材を配置したこと
を特徴とする、請求項1に記載の光アダプタに収容される基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル機器や自動車などの分野において、主に短距離通信用途で用いられる光ファイバケーブル用の光アダプタに関する。特に、光ファイバからの光の伝送を一方向に規制するための内部構造を有する光アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器内部における短距離通信や、家庭内又は自動車内の電子機器間の短距離通信では、光信号の伝送損失等をあまり考慮しなくても良いことから、一般的に、プラスチック製の光ファイバが用いられる。プラスチック製の光ファイバは、ガラス製の光ファイバに比べて、大口径であり、軽くて曲げに強く折れにくいという特徴を有し、プラスチック素材を用いて製造されるのでコストを抑えることができる。そのため、短距離通信の他にも、照明・装飾など様々な用途に用いられている。
【0003】
短距離通信のために用いられるプラスチック製の光ファイバの先端は、光プラグに保持されて、光ファイバの先端を保持した光プラグが、電子機器の基板上の光アダプタ(又は、光レセプタクル)などに接続される。従来技術では、例えば、特開11−242134号公報(特許文献1)に記載のデュプレックスアダプタ32は、その両端に光コネクタ20と光コネクタ40を差し込むことで、光コネクタ20及び光コネクタ40それぞれのプラスチック光ファイバ11を接続することができる。これにより、デュプレックスアダプタ32で接続されたプラスチック光ファイバ11を介して、光信号は機器間で送受信される。すなわち、光信号を双方向に伝送することができる。
【0004】
従来、光ファイバ同士を接続するための光アダプタは、特許文献1に記載されているように、光ファイバの先端部を向かい合わせにして光信号の伝送を行うため、受光素子や発光素子を必要としない。一方、特開平8−86940号公報(特許文献2)に記載の光レセプタクル(光伝送モジュール)は、光ファイバからの光信号を電気信号として電子機器の内部回路や内部機構等に伝送するため、又は、電子機器の内部回路から電気信号を光信号として光ファイバに伝送するために、受光素子又は発光素子を備えている。これらの受光素子又は発光素子は、一方向にのみ光信号を伝送することができる。
【0005】
光ファイバ内を伝送する光信号の伝送方向は、通常、電子機器の内部回路等によって制御されており、逆方向に光信号が伝送することはないが、光ファイバや光コネクタに対する外部からの影響、例えば、外部信号、外乱やノイズなどの影響により、光ファイバ内を逆方向に伝送し得る不正な光信号が発生する場合がある。そのような場合においても、例えば、特許文献2に記載されているような光レセプタクルでは、その内部に備えている受光素子又は発光素子で、光ファイバ内を逆方向に伝送する不正な光信号を遮断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−242134号公報
【特許文献2】特開平8-86940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されているような光アダプタでは、それ自体で逆方向に伝送する不正な信号を遮断することができない。基本的に、光アダプタは、その両端に接続された光ファイバにより光信号を双方向に伝送するものであるから、光ファイバや光アダプタに対する外部からの影響によって生じた、逆方向(意図せぬ方向)に伝送する不正な信号を遮断することができない。また、光アダプタに差し込む光プラグの差し間違え等の人為的なミスによっても、逆方向に不正な光信号を伝送してしまう場合も生じ得る。不正な光信号が伝送されたとしても、通常、電子機器の内部回路等は、そのような逆方向の光信号を受け付けないように設計されているが、電子機器の動作に悪影響を及ぼす可能性は完全には否定できない。そのため、電子機器の誤動作の要因となる不正な信号の伝送を未然に防ぐことが必要である。
【0008】
このような課題を解決するために、光アダプタのハウジング内部に受光素子及び発光素子又は、それらを一体にした受発光素子を備えることで、光信号の伝送方向を一方向に規制することが可能な光アダプタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光アダプタの1つの実施形態として、2つの光プラグを接続するための光アダプタは、
前記光プラグを挿し込むための挿入口を有するハウジングを含み、
前記ハウジングの内部には、前記光プラグが挿入されたときに、前記光プラグの先端と対向する位置に、光を一方向に伝送する一方向伝送部材を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る光アダプタの好ましい実施形態として、前記光アダプタは、前記一方向伝送部材を装着する基板をさらに含み、
前記ハウジングは前記基板を収容する空間が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る光アダプタの好ましい実施形態として、前記一方向伝送部材は、受光素子及び発光素子からなることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る光アダプタの好ましい実施形態として、前記基板には、前記一方向伝送部材に電力を供給し、前記一方向伝送部材を用いて光を中継するための中継回路が配線されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る光アダプタの好ましい実施形態として、前記挿入口は、それぞれ異なる形状であることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る光アダプタの好ましい実施形態として、前記光アダプタは、該光アダプタを設置位置に固定するための複数の脚部を有する土台部材をさらに含み、
前記土台部材は、前記ハウジングに嵌め合わされて、前記ハウジングに収容された前記基板を固定することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る光アダプタに用いられるハウジングの1つの実施形態として、前記ハウジングは、前記一方向伝送部材を収容するための収容部を備え、
前記収容部は、前記一方向伝送部材と前記挿入口から挿し込まれた前記光プラグの先端とを近接して向かい合わせにできる位置に形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る光アダプタに収容される基板の1つの実施形態として、前記基板は、前記一方向伝送部材を備え、
前記ハウジングに収容された際に、前記挿入口から挿し込まれた前記光プラグの先端と近接して向かい合わせにできる位置に、前記一方向伝送部材を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る光アダプタは、ハウジング内部の光プラグの先端と対向する位置に、受光素子及び発光素子からなる一方向伝送部材を設けたことによって、光アダプタで2つの光プラグを接続した場合に、一方の光プラグから発せられた光信号は、光アダプタのハウジング内の一方向伝送部材を介して、もう一方の光プラグに伝送されるが、逆方向への光信号の伝送は、ハウジング内の一方向伝送部材によって遮断することができる。本発明に係る光アダプタは、従来技術にはない、逆方向(意図せぬ方向)に伝送する不正な信号を遮断する機能を有していることから、不正な信号による電子機器等の誤動作を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】光アダプタの構成を示す図である。
図2】光アダプタに光ファイバの光プラグを接続した状態を示す図である。
図3図2中のA−Aの線に沿って垂直方向に光アダプタを切断した断面図である。
図4】光アダプタの光プラグ挿入方向からの正面図である。
図5】光アダプタ内部の基板上の回路を簡略化した図である。
図6】光アダプタの形状の変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る光アダプタの構成を示す。光アダプタは、ハウジング100と、基板200と、土台300から構成される。ハウジング100は、光プラグ400を接続するための長方体状の上部部分と、基板200を収容するための長方体状の下部部分とからなり、上部部分の両端には、光プラグ400を挿入して、光ファイバ402同士を接続するための挿入口102をそれぞれ備え、下部部分の内側には基板200を収容するための収容空間を有する。なお、後述する図6に示されるように、設置する位置、空間及び用途等に応じて、光アダプタの形状は、図1に示す実施形態とは、別の形状を採用することは可能である。
【0021】
光プラグ400は、光ファイバ402の先端部分を内部に保持し、光プラグ400を光アダプタのハウジング100の挿入口102に挿入して接続した際に、接続を維持するためのレバー状のラッチ404を上部に備える。ハウジング100の上部部分には、光プラグ400のラッチ404に対応する位置に、ラッチ404を収容して、ラッチ404の突起部を係止させるための開口部を有するラッチ収容部104が形成される。なお、光ファイバ402として、短距離通信の用途であれば、プラスチック製のものを用いるのが一般的であるが、使用目的や用途等に応じて別の素材の光ファイバを用いることもできる。
【0022】
基板200は、上部に受発光素子202を備える。受発光素子202は、光信号(又は光)の伝送を一方向に規制するための一方向伝送部材である。図1に示される受発光素子202は、受光素子204と発光素子206とから構成されているが、受光素子204と発光素子206を一体にした1つの素子であってもよい。
【0023】
基板200には、受光素子204と発光素子206間の光信号の受け渡しをするための中継回路が配線され、基板200の下部に受発光素子202(受光素子204、発光素子206)及び中継回路に電力を供給するための電源端子208を備える。受発光素子202は、ハウジング100に収容された際に、挿入口102から挿し込まれた光プラグ400の先端と近接して向かい合わせになるように、基板200上の所定の位置に装着される。
【0024】
土台300は、基板200を収容して、基板200の底面を支持するための壁状の支持部302と、基板200の下部の電源端子208を外部に露出させるための端子挿入孔304とを備える。また、土台300は、光アダプタの設置先の電子機器等の内部基板に光アダプタを固定するための脚部306を備える。
【0025】
本発明の一実施形態に係る光アダプタは、ハウジング100に基板200を収容して、土台300をハウジング100に嵌め合わせることで組み立てられる。嵌め合わせた際に、土台300の側面にある突状の係止部308が、ハウジング100の側面にある係止口106に嵌め込まれる。係止口106の周囲にあるスリット108は、係止口106に柔軟性を持たせて係止部308を嵌め込み易くするためのものである。組み立てられた光アダプタの外観を図2に示す。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係る光アダプタのハウジング100の2つの挿入口102にそれぞれ光プラグ400を差し込んで、光ファイバ402を接続した状態を示す。ラッチ収容部104の開口部にラッチ404の突起部が係止されて、光アダプタと光プラグ400との接続が固定される。ラッチ収容部104の上面にある三角マーク110は、三角形の頂点の方向で光の伝送方向を表しており、図2では、手前の光ファイバ402から奥の光ファイバ402に光が伝送されること表している。このように、三角マーク110などの目印によって、光アダプタへの光プラグの挿し間違えを予防することができる。
【0027】
図2に示される光アダプタは、左右対称であるから、ハウジング100の2つの挿入口102の形状は同一であり、それらの形状に対応する2つの光プラグ400の形状も同一である。そのため、三角マーク110の目印に関わらず、光アダプタに2つの光プラグ400を逆に挿すことができる。仮に、光プラグ400を逆に挿したとしても、ハウジング100内の受発光素子202は、光を一方向にしか通さない一方向伝送部材であるから、逆方向への光の伝送を防止することができる。
【0028】
しかしながら、光アダプタに2つの光プラグ400を逆に挿して、光信号の伝送方向を意図的に入れ替えることも可能であり、その場合には、電子機器の内部回路等に予期せぬ光信号が伝送されることが考えられる。そこで、ハウジング100の2つの挿入口102の形状をそれぞれ異なる形状にし、それらの形状に対応させて2つの光プラグ400の形状もそれぞれ異なる形状にすることで、光アダプタに光プラグ400を逆に挿すことを物理的に防止することができる。
【0029】
例えば、2つの光プラグ400の側面のそれぞれ異なる位置に凸部を設けて、それら凸部の位置に対応させて、2つの挿入口102の内面のそれぞれ異なる位置に凹部を設ける。それによって、挿入口102の形状に対応していない形状の光プラグ400は、凸部と凹部の位置が合わず、挿し込むことができず、光プラグ400の挿し間違えや、故意に光プラグ400を逆に挿すことを防止することができる。
【0030】
図3は、図2中のA−Aの線に沿って垂直方向に光アダプタを切断した断面図である。ハウジング100の上部部分は、受発光素子202を収容するための素子収容部112を内部に有する。素子収容部112に収容された受発光素子202は、光プラグ400がハウジング100に挿し込まれた状態で、光プラグ400の先端から露出する光ファイバ402の先端部分(すなわち、光ファイバの被覆から露出したベアファイバ)に近接し、当該先端部分と受発光素子202の受光部又は発光部とが向かい合わせになる位置に固定されている。ハウジング100の下部部分は、その内部の空間に基板200を収容している。
【0031】
図3に示す本発明の一実施形態に係る光アダプタでは、受発光素子202は、受光素子204と発光素子206とから構成されるので、それぞれの素子を収容するための素子収容部112が壁を挟んで独立して設けられている。受光素子204の受光部と発光素子206の発光部はそれぞれ光ファイバ402の先端部分に近接して対向する位置に配置される。基板200は、該基板200の底面を土台300の支持部302が支えることによって固定される。
【0032】
図4は、光プラグの挿入方向からみた光アダプタの正面図である。土台300は、ハウジング100の下部部分に、基板200と共に収められ、脚部306が外部に延出している。脚部306の先端部分は、先から徐々に太くなり突起部が形成されている。脚部306の突起部は電子機器等の内部基板に設けられた係止孔(図示せず)に嵌め込まれ、光コネクタを当該内部基板に固定することができる。電源端子208は、図1に示す土台300の端子挿入孔304を介して、光アダプタの外部に延出し、光アダプタが電子機器等の内部基板に取り付けられた際に、当該内部基板の回路に電気的に接続される。光アダプタ内の基板200に配線された中継回路や基板200に備えられた受発光素子202は、電源端子208を介して電子機器等の内部基板から電力の供給を受けることができる。
【0033】
図5は、本発明の一実施形態に係る光アダプタの内部の基板に配線された回路の簡略図である。基板200は、受光素子204と、発光素子206と、中継回路210とを含み、受光素子204は光ファイバ402からの光信号を受光して電気信号に変換し、電気信号に基づいて発光素子206は発光して光信号を復元する。中継回路210は、受光素子204により光信号から変換された電気信号を増幅させることで、発光素子206による光信号の復元を正確に行うことができる。発光素子206は受光することはできず、受光素子204は発光することはできないので、基板200上の構成により、光信号の伝送を一方向に規制することができる。これにより、本発明に係る光アダプタを設置した電子機器は、逆方向に不正な光信号が伝送して、内部回路等に悪影響を及ぼすことはないことが明らかであるから、電子機器に対する信頼性が向上する。
【0034】
基板200の実施例として、受光素子204にフォトICダイオード、発光素子206に発光ダイオード(LED)、光ファイバ402にプラスチック光ファイバ(POF)を用いることできる。中継回路210は、単に光信号の伝送を一方向に中継するものであり、光信号を正確に中継できる回路であれば、どのような構成でもよい。また、受光素子204と発光素子206が、光信号から電気信号への変換、電気信号から光信号への変換において、信号を増幅させる必要のない変換特性を有しているならば、中継回路を省略することも可能である。例えば、受光素子204及び発光素子206の少なくとも一方の変換効率が良い場合や、光信号の強度が高い場合などは、受光素子204により光信号から変換された電気信号そのものが、発光素子206により光信号を復元するのに十分な信号となり得る。そのような場合には、中継回路は必要ない。
【0035】
中継回路を必要とする場合、例えば、0(消光)、1(発光)を表す光信号のパルス波から受光素子204により変換された電気信号を、コンパレータ(比較回路)を用いて、0、1を表すパルス波に復元(及び増幅)するように中継回路を構成することができる。コンパレータ(比較回路)は、光アダプタを設置した機器から電源端子208を介して電力の供給を受けて、受光素子204によって光信号から変換された電気信号を、所定のしきい値電圧と比較して、しきい値以上であれば1、しきい値未満であれば0としてパルス波を復元することができる。発光素子206を発光させるのに必要であれば、電気信号として復元されたパルス波を増幅させることができる。発光素子206は、電気信号のパルス波に基づいて、規則的に発光、消光(すなわち、点滅)を行うことで、電気信号から光信号に変換し、変換された光信号を光ファイバ402に伝送することができる。
【0036】
図6は、光アダプタの複数の実施形態を示す上面図である。本発明に係る光アダプタは、設置する位置、空間及び用途等に応じて、様々な形状を採用することができる。図6(a)は、図1から4に示される一実施形態の光アダプタの上面を示す。図6(a)に示す光アダプタは直線的な形状であり、その両端に光プラグの挿入口を備えている。その他の実施形態として、光アダプタにおける光プラグの挿入口は、上下左右どの方向を向いていてもよい。
【0037】
例えば、図6(b)に示すように、L字状に光アダプタを形成することができ、図6(c)に示すように、同じ向きに光プラグの挿入口を向けたような形状(U字状)に光アダプタを形成することもできる。また、上述したとおり、光アダプタの挿入口を異なる形状にし、それに対応して光プラグも異なる形状にしてもよい。当然のことながら、光アダプタの形状に応じて、光アダプタ内部の基板の形状が定められ、基板の形状に応じて、受発光素子(受光素子と発光素子)が配置され、中継回路が配線される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る光コネクタは、電子機器内部における通信、家庭内又は自動車内の機器間の通信など、主に短距離通信を必要とする分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
100 ハウジング
102 挿入口
104 ラッチ収容部
106 係止口
108 スリット
110 三角マーク
112 素子収容部
200 基板
202 受発光素子
204 受光素子
206 発光素子
208 電源端子
210 中継回路
300 土台
302 支持部
304 端子挿入孔
306 脚部
308 係止部
400 光プラグ
402 光ファイバ
404 ラッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6