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  • 特開2015158625-光拡散体 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-158625(P2015-158625A)
(43)【公開日】2015年9月3日
(54)【発明の名称】光拡散体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20150807BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20150807BHJP
   F21V 3/04 20060101ALI20150807BHJP
【FI】
   G02B5/02 B
   F21V3/00 320
   F21V3/04 131
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-33992(P2014-33992)
(22)【出願日】2014年2月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石森 史高
(72)【発明者】
【氏名】町田 和毅
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA15
2H042BA18
(57)【要約】
【課題】十分な光透過性、光拡散性、及び耐光性を確保しつつ、薄型化することが可能な光拡散体を提供する。
【解決手段】樹脂粒子と、無機化合物とが基材樹脂中に分散した光拡散性樹脂組成物を成形して光拡散体とする。前記樹脂粒子は、(メタ)アクリル系単官能単量体と、多官能単量体とを含む単量体混合物の重合体からなる体積平均粒子径2〜10μm、屈折率1.540〜1.580の重合体粒子である。前記無機化合物は、体積平均粒子径が0.4〜0.7μmの硫酸バリウムである。前記光拡散性樹脂組成物は、前記基材樹脂100重量部に対して、前記樹脂粒子を1.0〜5.0重量部含む。また、前記光拡散性樹脂組成物中における前記樹脂粒子と前記無機化合物の含有比が、重量比で、1:0.20〜1:1.35の範囲内である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂粒子と、無機化合物とが基材樹脂中に分散した光拡散性樹脂組成物からなる光拡散体であって、
前記樹脂粒子は、(メタ)アクリル系単官能単量体と、多官能単量体とを含む単量体混合物の重合体からなる体積平均粒子径2〜10μm、屈折率1.540〜1.580の重合体粒子であり、
前記無機化合物は、体積平均粒子径が0.4〜0.7μmの硫酸バリウムであり、
前記光拡散性樹脂組成物は、前記基材樹脂100重量部に対して、前記樹脂粒子を1.0〜5.0重量部含み、
前記光拡散性樹脂組成物中における前記樹脂粒子と前記無機化合物の含有比が、重量比で、1:0.20〜1:1.35の範囲内であることを特徴とする光拡散体。
【請求項2】
請求項1に記載の光拡散体であって、
前記多官能単量体が、(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体であることを特徴とする光拡散体。
【請求項3】
請求項2に記載の光拡散体であって、
前記樹脂粒子を構成する前記重合体粒子の屈折率が、1.560超〜1.580であることを特徴とする光拡散体。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の光拡散体であって、
前記光拡散性樹脂組成物は、前記基材樹脂100重量部に対して、前記樹脂粒子を1.0重量部以上、1.5重量部未満含むことを特徴とする光拡散体。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の光拡散体であって、
前記光拡散性樹脂組成物は、前記基材樹脂100重量部に対して、前記樹脂粒子を2.5超〜5.0重量部含むことを特徴とする光拡散体。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1つに記載の光拡散体であって、
前記光拡散性樹脂組成物中における前記樹脂粒子と前記無機化合物の含有比が、重量比で、1:0.20以上、1:0.50未満の範囲内であることを特徴とする光拡散体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の光拡散体であって、
前記単量体混合物が、スチレン系単官能単量体を含むことを特徴とする光拡散体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の光拡散体であって、
前記基材樹脂が、アクリル系樹脂であることを特徴とする光拡散体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の光拡散体であって、
前記光拡散性樹脂組成物が、ゴム成分を含むことを特徴とする光拡散体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の光拡散体であって、
当該光拡散体の厚みが1.0〜3.0mmであることを特徴とする光拡散体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の光拡散体であって、
前記樹脂粒子と、前記無機化合物と、前記基材樹脂とを混合して得られた前記光拡散性樹脂組成物を、押出成形法により成形してなる光拡散体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性と光拡散性を有する光拡散体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂等の基材樹脂を含む樹脂組成物からなる光拡散体が、照明器具において、光源からの光を拡散させるための光拡散体(例えば、光源を覆う照明カバー)として使用されている。
【0003】
照明器具の光源には、従来、蛍光灯又は白熱灯が広く用いられてきたが、近年では、長寿命化を図る目的で、蛍光灯及び白熱灯に代えて、LEDが用いられるようになってきている。蛍光灯及び白熱灯が全方位に光を発する一方で、LEDは、前方に光を発し、蛍光灯及び白熱灯と比べて、指向性が高い。また、LEDを光源とする照明器具では、例えば、基板上に配列された複数のLEDチップを覆うように光拡散体としての照明カバーが設けられるが、この光拡散体による光拡散が不十分であると、照明カバー越しに、LEDチップが透けて見えてしまい、見栄えが悪い。このため、LEDを光源とする照明器具用の光拡散体には、蛍光灯又は白熱灯を光源とする照明器具用の光拡散体と比べて、より高い光拡散性が求められる。
【0004】
例えば、特許文献1には、メタクリル酸メチルを主体とする単量体が重合してなる重合体(A)と、粒子状の無機化合物(B)と、粒子状の架橋樹脂(C)とを含むメタクリル樹脂組成物からなるLED光源用光拡散板が開示されている。
【0005】
この特許文献1に開示のLED光源用光拡散板は、高い光透過性と光拡散性を有しているため、LEDを光源とする照明器具において、LEDからの光を十分に拡散させて、LEDチップが透けて見えることを抑制しつつ、LEDからの光を十分に透過させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−77179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、シーリングライト等の住宅に使用される照明器具の照明カバー(光拡散体)には、住人が容易に取り外しできるよう、薄型化して軽量化することが求められている。また、住宅に使用される照明器具の照明カバーには、長期間使用できるように、紫外線等の外部からの光に対して、十分な耐光性を有することが求められる。
【0008】
しかし、特許文献1に開示のLED光源用光拡散板は、3mmの厚さでは十分な光拡散性を発揮するが、3mmよりも薄くすると、十分な光拡散性を発揮することができない。また、特許文献1に開示のLED光源用光拡散板は、紫外線等の周囲の光の影響を受けて変色し易く、耐光性に劣るものであった。
【0009】
本発明は、上記した状況に鑑みてなされたものであって、十分な光透過性、光拡散性、及び耐光性を確保しつつ、薄型化することが可能な光拡散体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光拡散体は、樹脂粒子と、無機化合物とが基材樹脂中に分散した光拡散性樹脂組成物からなる光拡散体であって、前記樹脂粒子は、(メタ)アクリル系単官能単量体と、多官能単量体とを含む単量体混合物の重合体からなる体積平均粒子径2〜10μm、屈折率1.540〜1.580の重合体粒子であり、前記無機化合物は、体積平均粒子径が0.4〜0.7μmの硫酸バリウムであり、前記光拡散性樹脂組成物は、前記基材樹脂100重量部に対して、前記樹脂粒子を1.0〜5.0重量部含み、前記光拡散性樹脂組成物中における前記樹脂粒子と前記無機化合物の含有比が、重量比で、1:0.20〜1:1.35の範囲内であることを特徴とする。なお、本明細書中において、(メタ)アクリルとは、メタクリル又はアクリルを意味する。
【0011】
この本発明の光拡散体は、(メタ)アクリル系単官能単量体と、多官能単量体とを含む単量体混合物の重合体からなる所定の屈折率及び体積平均粒子径を有する樹脂粒子と、所定の体積平均粒子径を有する硫酸バリウムとを、所定の割合で含むことにより、従来よりも薄い厚さ(具体的には、2mmの厚さ)で、優れた光透過性と光拡散性とを有し、且つ、紫外線等の光に対して、優れた耐光性を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、十分な光透過性、光拡散性、及び耐光性を確保しつつ、薄型化することが可能な光拡散体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施例1に係る光拡散体における透過光の拡散性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔本発明の光拡散体〕
本発明の光拡散体は、樹脂粒子と、無機化合物とを基材樹脂中に分散させた光拡散性樹脂組成物を成形してなるものである。
【0015】
前記基材樹脂は、透明な樹脂であれば、特に限定されないが、前記樹脂粒子との屈折率差が0.05〜0.07程度の樹脂、例えば、アクリル系樹脂であることが好ましい。前記基材樹脂として使用可能なアクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチルを主成分として重合して得られる樹脂を挙げることができる。前記アクリル系樹脂を形成し得るメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体類、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類、無水マレイン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、本明細書中において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
【0016】
前記樹脂粒子は、(メタ)アクリル系単官能単量体と、多官能単量体とを含む単量体混合物の重合体からなる重合体粒子である。
【0017】
前記(メタ)アクリル系単官能単量体とは、エチレン性不飽和基を1つ有する(メタ)アクリル系単量体を意味する。前記(メタ)アクリル系単官能単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の(メタ)アクリル酸誘導体、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。本発明においては、所望の光透過性及び光拡散性を得ることができるため、メタクリル酸メチルが好ましい。また、これらの(メタ)アクリル系単官能単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
前記多官能単量体は、2以上のエチレン性不飽和基を有する多官能単量体を意味する。前記多官能単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジアリルフタレートおよびこれらの誘導体である芳香族ビニル系多官能単量体が挙げられる。これら多官能単量体の中でも、(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体を使用することが好ましい。多官能単量体として、(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体を使用すると、上記光拡散体において、耐光性の向上を図ることができる。本発明において、これらの多官能単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
前記単量体混合物中における前記多官能単量体の含有量は、この単量体混合物を重合させて得られる樹脂粒子の屈折率1.540〜1.580を実現し得る含有量であれば特に限定されないが、前記単量体混合物100重量部に対して、0.5〜50重量部であることが好ましく、3〜30重量部であることがより好ましい。前記単量体混合物中の前記多官能単量体の含有量が、前記単量体混合物100重量部に対して、0.5重量部未満の場合には、前記単量体混合物を重合させて得られる樹脂粒子に十分な耐熱性が備えられず、前記樹脂粒子が基材樹脂への溶融混練時に溶解するおそれがある。一方、前記単量体混合物中の前記多官能単量体の含有量が、前記単量体混合物100重量部に対して、50重量部を超える場合には、前記多官能単量体の含有量に見合った前記樹脂粒子の耐熱性の向上効果が得られないため、コスト高となるおそれがある。
【0020】
前記単量体混合物は、この単量体混合物の重合体からなる重合体粒子(樹脂粒子)の屈折率1.540〜1.580を実現できれば、上記した(メタ)アクリル系単官能単量体と、多官能単量体とのみを単量体として含むものであってよいが、上記した(メタ)アクリル系単官能単量体及び多官能単量体以外に、他の単量体を含んでいてもよい。例えば、前記単量体混合物に、(メタ)アクリル系単官能単量体及び多官能単量体に加えて、スチレン系単官能単量体を含有させると、低コストで、屈折率1.540〜1.580の重合体粒子を得ることができる。
【0021】
前記スチレン系単官能単量体とは、エチレン性不飽和基を1つ有するスチレン系単量体を意味する。前記スチレン系単官能単量体としては、スチレンおよび置換スチレン(置換基には、低級アルキル、ハロゲン原子(特に塩素原子)等が含まれる)のいずれも使用することができる。具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、α−メチルスチレン等を使用することができる。本発明においては所望の光透過性及び光拡散性を得ることができるため、スチレンが好ましい。また、これらスチレン系単官能単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
なお、前記単量体混合物中における前記スチレン系単官能単量体と、前記(メタ)アクリル系単官能単量体との含有比率は、この単量体混合物の重合体からなる重合体粒子(樹脂粒子)の屈折率1.540〜1.580を実現し得る比率であれば特に限定されない。
【0023】
本発明で用いられる前記樹脂粒子は、公知の重合方法によって前記単量体混合物を重合させることによって製造することができる。具体的な重合方法としては、溶液重合、懸濁重合、シード重合等が挙げられる。ここで、シード重合によって上記単量体混合物の重合を行って前記樹脂粒子を製造する場合、所望の物性に影響を与えない限り、その樹脂粒子中にシードに由来する任意の成分を含んでいてもよい。なお、これらの製造方法を用いることにより、樹脂粒子中における各種の単量体成分の比率が、意図した比率(単量体成分の配合比率)となり得る。
【0024】
本発明で用いられる前記樹脂粒子の体積平均粒子径は、2〜10μmの範囲内であり、2〜8μmの範囲内であることがより好ましい。前記樹脂粒子の体積平均粒子径が、2μm未満の場合には、光拡散体において、十分な光透過性を得ることができないおそれがあり、10μmを超える場合には、光拡散体において、十分な光拡散性を得ることができないおそれがある。
【0025】
また、本発明で用いられる前記樹脂粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、特に限定されないが、20〜50%であることが好ましく、25〜40%であることがより好ましい。前記樹脂粒子のCV値が25〜40%であると、粒子径が小さい粒子から粒子径が大きい粒子の含まれる割合が適度になり、光拡散体において、十分な全光線透過率を確保しつつ、光拡散性をより向上させることができる。
【0026】
また、本発明で用いられる前記樹脂粒子の屈折率は、1.540〜1.580の範囲内であり、1.545〜1.574の範囲内であることがより好ましい。前記樹脂粒子の屈折率が、1.540未満である場合には、光拡散体において、十分な光拡散性を得ることができないおそれがあり、1.580を超える場合には、光拡散体の耐光性が悪くなるおそれがある。
【0027】
また、本発明において、前記(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体を前記多官能単量体として含む前記単量体混合物の重合体からなり、屈折率が1.560超〜1.580である重合体粒子を前記樹脂粒子として用いると、本発明の光拡散体の光透過性および/または光拡散性のさらなる向上を図ることができる。
【0028】
また、本発明において、前記光拡散性樹脂組成物における前記基材樹脂に対する前記樹脂粒子の含有量は、前記基材樹脂100重量部に対して、1.0〜5.0重量部であり、1.2〜5.0重量部であることがより好ましい。前記樹脂粒子の含有量が、前記基材樹脂100重量部に対して、1.0重量部未満である場合、光拡散体において、十分な光透過性と光拡散性を得ることができないおそれがある。また、前記樹脂粒子の含有量が、前記基材樹脂100重量部に対して、5.0重量部を超えると、光拡散性樹脂組成物からなる光拡散体の耐光性が悪くなるおそれがある。
【0029】
また、本発明において、前記(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体を前記多官能単量体として含む前記単量体混合物の重合体からなる重合体粒子を前記樹脂粒子として用いた場合、前記光拡散性樹脂組成物における前記基材樹脂に対する前記樹脂粒子の含有量を、前記基材樹脂100重量部に対して、1.0重量部以上、1.5重量部未満の量とすると、本発明の光拡散体において、十分な光透過性及び光拡散性を確保しつつ、生産コストの削減を図ることができる。
【0030】
また、本発明において、前記(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体を前記多官能単量体として含む前記単量体混合物の重合体からなる重合体粒子を前記樹脂粒子として用いた場合、前記光拡散性樹脂組成物における前記基材樹脂に対する前記樹脂粒子の含有量は、前記基材樹脂100重量部に対して、2.5超〜5.0重量部であってよい。
【0031】
また、本発明において、前記無機化合物としては、体積平均粒子径が0.4〜0.7μm、好ましくは、0.5〜0.62μmの硫酸バリウムを用いる。前記無機化合物として用いる硫酸バリウムの粒子径が0.4μm未満である場合、光拡散体を薄型化した時(具体的には、2mmの厚さとした時)に、十分な光透過性を得ることができないおそれがあり、0.7μmを超える場合には、光拡散体を薄型化した時(具体的には、2mmの厚さとした時)に、十分な光拡散性を得ることができないおそれがあり、光拡散体における光拡散性と光透過性のバランスが悪くなるおそれがある。
【0032】
本発明において、前記無機化合物として使用する硫酸バリウムのCV値は、特に限定されないが、50〜70%であることが好ましく、55〜70%であることがより好ましい。前記硫酸バリウムのCV値が50〜70%であると、粒子径が小さい粒子から粒子径が大きい粒子の含まれる割合が適度になり、本発明の光拡散体において、十分な全光線透過率を確保しつつ、光拡散性をより向上させることができる。
【0033】
本発明において、前記無機化合物として使用する硫酸バリウムの比表面積は、3〜5m2/gの範囲内にあることが好ましく、3〜4m2/gの範囲内にあることがより好ましい。硫酸バリウムの比表面積が3〜5m2/gの範囲内にあると、本発明の光拡散体において、十分な全光線透過率を確保しつつ、光拡散性をより向上させることができる。
【0034】
また、本発明において、前記光拡散性樹脂組成物における前記樹脂粒子に対する硫酸バリウムの含有量は、前記樹脂粒子1重量部に対して、0.20〜1.35重量部、好ましくは、0.20〜1.33重量部である。すなわち、本発明において、前記光拡散性樹脂組成物中における前記樹脂粒子と硫酸バリウム(無機化合物)の含有比は、重量比で、1:0.20〜1:1.35の範囲内である。前記光拡散性樹脂組成物における硫酸バリウムの含有量が、前記樹脂粒子1重量部に対して、0.20重量部よりも少ない場合は、光拡散体において、十分な全光線透過率と十分な光拡散性とを兼ね備えることができないおそれがある。また、前記光拡散性樹脂組成物における硫酸バリウムの含有量が、前記樹脂粒子1重量部に対して、1.35重量部よりも多い場合は、光拡散体において、十分な全光線透過率を確保することができないおそれがある。
【0035】
また、本発明において、前記(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体を前記多官能単量体として含む前記単量体混合物の重合体からなる重合体粒子を前記樹脂粒子として用いた場合、前記光拡散性樹脂組成物中における前記樹脂粒子と硫酸バリウム(無機化合物)の含有比が、1:0.20以上、1:0.50未満の範囲内であると、本発明の光拡散体において、十分な光透過性及び光拡散性を確保しつつ、生産コストの削減を図ることができる。
【0036】
また、前記光拡散性樹脂組成物における前記基材樹脂に対する硫酸バリウムの含有量は、特に限定されないが、前記基材樹脂100重量部に対して、1.0〜2.0重量部であることが好ましく、1.0〜1.5重量部であることがより好ましい。前記光拡散性樹脂組成物における硫酸バリウムの含有量が、前記基材樹脂100重量部に対して、1.0〜2.0重量部の範囲内であると、光拡散体の十分な光透過性と耐光性を確保しつつ、光拡散性をより向上させることができる。
【0037】
また、本発明の光拡散体において、前記光拡散性樹脂組成物は、ゴム成分を含むことが好ましい。前記光拡散性樹脂組成物にゴム成分を含有させることにより、光拡散体の強度を向上させることができる。本発明で用いることができるゴム成分としては、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス層は、例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。これらのゴム成分(ゴム粒子)は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。前記コアシェル型ゴム粒子の具体例としては、ガンツ化成株式会社製の「スタフィロイド(登録商標)AC3832」、「スタフィロイド(登録商標)AC3816N」などが挙げられる。前記架橋アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)粒子の具体例としては、JSR株式会社製の「XER−91」(平均粒径0.5μm)などが挙げられる。前記架橋スチレンブタジエンゴム(SBR)粒子の具体例としては、JSR株式会社製の「XSK−500」(平均粒径0.5μm)などが挙げられる。前記アクリルゴム粒子の具体例としては、三菱レイヨン株式会社製の「メタブレン(登録商標)W−300A」(平均粒径0.1μm)、「メタブレン(登録商標)W450A」(平均粒径0.2μm)などが挙げられる。上記したゴム成分の中でも、基材樹脂(例えば、アクリル系樹脂)に練り込んだ際の透明性の観点から、前記アクリルゴム粒子が好ましい。ゴム成分の平均粒径は、基材樹脂(例えば、アクリル系樹脂)に練り込んだ際の透明性の観点から、好ましくは0.005〜0.3μmの範囲であり、より好ましくは0.05〜0.3μmの範囲である。
【0038】
また、前記光拡散性樹脂組成物におけるゴム成分の含有量は、前記基材樹脂100重量部に対して、1〜10重量部が好ましく、2〜5重量部がより好ましい。ゴム成分の含有量が、前記基材樹脂100重量部に対して、1重量部よりも少ないと、光拡散体の強度を十分に向上させることができないおそれがあり、また、10重量部よりも多いと、光拡散体の光透過性が低下するおそれがある。
【0039】
また、本発明の光拡散体において、前記光拡散性樹脂組成物は、光透過性、光拡散性、及び耐光性等の所望の物性に影響を与えない限り、その他の樹脂成分を少量含んでいてもよい。例えば、前記光拡散性樹脂組成物は、蛍光増白剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の各種成分を含むこともできる。本発明においてこれらの各種成分は、光拡散性樹脂組成物に、所望の蛍光増白性、熱安定性、紫外線吸収性等の物性を与えることができる。
【0040】
本発明において、蛍光増白剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、オキサゾール系蛍光増白剤(例えば、日本化薬株式会社製の「カヤライト(登録商標)OS」)、イミダゾール系蛍光増白剤、ローダミン系蛍光増白剤を用いることができる。このような蛍光増白剤を、光拡散性樹脂組成物中に、前記基材樹脂100重量部に対し、好ましくは0.0005〜0.1重量部、より好ましくは0.001〜0.1重量部、さらに好ましくは0.001〜0.05重量部の割合で含めると、光拡散性樹脂組成物に蛍光増白性を付与することができる。
【0041】
本発明において、熱安定剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル等の有機リン系熱安定剤;ヒンダードフェノール系熱安定剤;ラクトン系熱安定剤;熱酸化を抑制する機能を有するフォスファイト系酸化防止剤(例えば、株式会社ADEKA製の「アデカスタブ(登録商標)PEP−36」)等を用いることができる。このような熱安定剤を、光拡散性樹脂組成物中に、前記基材樹脂100重量部に対し、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.001〜0.3重量部の割合で含めると、光拡散性樹脂組成物に熱安定性を付与することができる。
【0042】
本発明において、紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(例えば、株式会社ADEKA製の「アデカスタブ(登録商標)LA−31」)、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等を用いることができる。このような紫外線吸収剤を、光拡散性樹脂組成物中に、前記基材樹脂100重量部に対し、好ましくは0.01〜2.0重量部、より好ましくは0.03〜2.0重量部、さらに好ましくは0.05〜1.0重量部の割合で含めると、光拡散性樹脂組成物に紫外線吸収性を付与することができる。
【0043】
本発明において、帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、ブリードアウトして帯電防止性能を発揮するブリードアウト型帯電防止剤、及び、ブリードアウトせずに永久的に帯電防止性能を発揮する永久帯電防止剤のいずれも使用できる。
【0044】
上記ブリードアウト型帯電防止剤としては、特に限定されないが、例えば、カチオン系、アニオン系、ベタイン系(両性イオン系)、及び非イオン系の界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤の中でもアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、グリセリン脂肪酸エステルが好ましい。アルキルスルホン酸塩としては、例えば、花王株式会社製の「エレクトロストリッパー(登録商標)PC」を挙げることができ、グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ミヨシ油脂株式会社製の「ダスパーK200」を挙げることができる。このような界面活性剤(ブリードアウト型帯電防止剤)は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。このような界面活性剤(ブリードアウト型帯電防止剤)を、前記基材樹脂100重量部に対し、0.1〜3重量部、より好ましくは、0.5〜1.5重量部の割合で含めると、光拡散性樹脂組成物を変色させることなく、光拡散性樹脂組成物に十分な帯電防止性能を付与することが可能となる。
【0045】
また、上記永久帯電防止剤としては、特に限定されないが、少量添加で永久帯電防止性能を得るという点では、親水性ブロックと疎水性ブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
【0046】
親水性ブロックと疎水性ブロックからなるブロック共重合体とは、親水性ブロックと疎水性ブロックがエステル結合、イミド結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合などの結合を介して繰り返し交互に結合したものであり、疎水性ブロックとしては、ポリオレフィンなどが挙げられ、親水性ブロックとしては、ポリエーテル、ポリエーテル含有親水性ポリマー、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーなどが挙げられる。
【0047】
疎水性ブロックとしてのポリエーテルには、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、およびこれらの変性物を使用できる。疎水性ブロックとしてのポリエーテル含有親水ポリマーには、ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド、同じくポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルアミドイミド、同じくポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステル、同じくポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルアミド、同じくポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルウレタンを使用できる。疎水性ブロックとしてのカチオン性ポリマーには、カチオン性基を分子内に有するカチオン性ポリマーを使用できる。前記カチオン性基としては、4級アンモニウム塩およびホスホニウム塩を有する基が挙げられる。疎水性ブロックとしてのアニオン性ポリマーとしては、スルホン酸基を有するジカルボン酸とジオールまたはポリエーテルとを必須構成単位とし、かつ分子内に2〜80個のスルホン酸基を有するアニオン性ポリマーなどを使用できる。
【0048】
上記したような親水性ブロックと疎水性ブロックからなるブロック共重合体の具体例としては、分子内にポリエーテルブロックとポリオレフィンブロックを有するブロック共重合体である三洋化成工業株式会社製の「ペレスタット(登録商標)230」(屈折率1.50)が挙げられる。
【0049】
上記したような永久帯電防止剤を、光拡散性樹脂組成物中に、前記基材樹脂100重量部に対し、好ましくは2〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部の割合で含めると、光拡散性樹脂組成物に十分な帯電防止性能を永久的に付与することができる。
【0050】
本発明の光拡散体は、その製造方法により限定されるものではないが、前記基材樹脂、前記樹脂粒子、前記無機化合物、および必要に応じて、その他の添加剤(例えば、蛍光増白剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、又は帯電防止剤等)を所定量混合、混練して得られた光拡散性樹脂組成物を、押出成形法により、成形して製造したものであることが好ましい。前記混合および混練は、例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等により行うことができる。前記混練の温度条件は通常、240〜300℃が適当である。そして、前記混合および混練して得られた混合物を、押出成形法によりペレット状に成形して、ペレット状の光拡散性樹脂組成物を得て、このペレット状の光拡散性樹脂組成物を板状に押出成形することにより、板状の光拡散体(光拡散板)を得ることができる。或いは、前記混合および混練して得られた光拡散性樹脂組成物を押出成形法により板状に成形することにより、板状の光拡散体(光拡散板)を得ることができる。さらに、上記板状の光拡散体(光拡散板)を真空成形、又は圧空成形等することにより、各種形状の光拡散体を得ることができる。
【0051】
本発明の光拡散体は、厚みが2mmのときに、好ましくは55%以上の、より好ましくは55〜65%の全光線透過率を示し、好ましくは55°以上の、より好ましくは55〜60°の分散度を示す。また、本発明の光拡散体は、厚みが2mmの場合において、後述する促進曝露後の色差の測定方法で求められる200時間曝露した後の色差(ハンターΔE)が、3未満であることが好ましく、1未満であることがより好ましい。
【0052】
このような本発明の光拡散体は、薄い厚さで(具体的には、厚み2mmのときに)、高い全光線透過率と分散度を示し、例えば、LED光源を有する照明器具(例えば、一般照明装置、照明ディスプレイ、及び照明看板等)の光拡散体として使用された場合において、LED光源からの光を十分に拡散させることができる。さらに、優れた耐光性を有しており、少なくとも屋内用の照明器具用の光拡散体として、高い耐久性を有する。なお、上記した200時間曝露した後の色差(ハンターΔE)の小さいもの、例えば、色差(ハンターΔE)が1未満のものは、屋内用としてだけでなく、屋外用の照明器具用の光拡散体としても、高い耐久性を有する。
【0053】
本発明の光拡散体の厚みは、特に限定されるものではないが、1.0〜3.0mm、より好ましくは、1.4〜2.0mmに設定されることで、優れた光拡散性、光透過性および耐光性を発揮し得る。
【0054】
本発明の光拡散体は、例えば、蛍光灯、発光ダイオード(LED)等の各種光源を用いた照明器具において、光源を覆う照明カバーとして使用することができる。本発明の光拡散体の形状は、特に限定されず、その用途により種々の形状とすることができる。例えば、本発明の光拡散体が照明カバーとして使用される場合、その光拡散体の形状は、半円筒状、平板状、ドーム状とされ得る。
【実施例】
【0055】
以下に、本発明の実施例に係る光拡散体の物性について詳述する。
【0056】
まず、本発明の実施例に係る光拡散体の製造に用いた樹脂粒子及び硫酸バリウムの体積平均粒子径の測定方法、前記樹脂粒子及び硫酸バリウムの粒子径の変動係数(CV値)の算出方法、硫酸バリウムの比表面積の測定方法、樹脂粒子の屈折率の測定方法、並びに促進曝露後の色差の測定方法について説明する。
【0057】
〔樹脂粒子の体積平均粒子径の測定方法〕
樹脂粒子の体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)は、コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター株式会社製測定装置)により測定する。測定は、ベックマン・コールター株式会社発行のMultisizerTM 3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施するものとする。
【0058】
なお、測定に用いるアパチャーの選択は、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が1μm以上10μm以下の場合は50μmのサイズを有するアパチャーを選択し、測定する樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が10μmより大きく30μm以下の場合は100μmのサイズを有するアパチャーを選択し、樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が30μmより大きく90μm以下の場合は280μmのサイズを有するアパチャーを選択し、樹脂粒子の想定の体積平均粒子径が90μmより大きく150μm以下の場合は400μmのサイズを有するアパチャーを選択するなど、適宜行う。測定後の体積平均粒子径が想定の体積平均粒子径と異なった場合は、適正なサイズを有するアパチャーに変更して、再度測定を行う。
【0059】
又、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−800、Gain(ゲイン)は4と設定し、100μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−1600、Gain(ゲイン)は2と設定し、280μmおよび400μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−3200、Gain(ゲイン)は1と設定する。
【0060】
測定用試料としては、樹脂粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10ml中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)および超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。コールターマルチサイザーIIIの測定部に、ISOTON(登録商標)II(ベックマン・コールター株式会社製:測定用電解液)を満たしたビーカーをセットし、ビーカー内を緩く攪拌しながら、前記分散液を滴下して、コールターマルチサイザーIII本体画面の濃度計の示度を5〜10%に合わせた後に、測定を開始する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。樹脂粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均径である。
【0061】
〔硫酸バリウムの体積平均粒子径の測定方法〕
硫酸バリウムの体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、「LS 13 320型」)で測定する。具体的には、硫酸バリウム0.1g、1重量%ピロリン酸ナトリウム水溶液10mlを試験管に投入し、タッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)で2秒間混合する。この後、試験管中の硫酸バリウムを市販の超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて10分間分散させて、分散液を得る。分散液に超音波を照射しながら、分散液中の硫酸バリウムの体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)を、上記のレーザー回折散乱粒度分布測定装置で測定する。その測定のときの光学モデルは、測定する硫酸バリウムの屈折率(1.64)にあわせる。
【0062】
〔樹脂粒子及び硫酸バリウムのCV値の算出方法〕
樹脂粒子及び硫酸バリウムの各々のCV値を、前述の体積基準の粒度分布の測定を行った際の標準偏差(σ)および体積平均粒子径(x)から、以下の式により算出する。
【0063】
CV値(%)=(σ/x)×100
【0064】
〔硫酸バリウムの比表面積の測定方法〕
硫酸バリウムの比表面積は、JIS R1626記載のBET法(窒素吸着法)により測定する。測定対象となる硫酸バリウムについて、株式会社島津製作所社製の自動比表面積/細孔分布測定装置Tristar3000を用いてBET窒素吸着等温線を測定し、窒素吸着量からBET多点法を用いて比表面積を算出する。なお、窒素吸着等温線の測定は、吸着質として窒素を用い、吸着質断面積0.162nm2の条件下で定容法を用いて行った。
【0065】
〔樹脂粒子の屈折率の測定方法〕
樹脂粒子の屈折率測定はベッケ法により行った。このベッケ法による屈折率測定においては、スライドガラス上に樹脂粒子を載せ、屈折液(CARGILLE社製:カーギル標準屈折液、屈折率1.538〜1.562の屈折液を、屈折率差0.002刻みで複数準備)を滴下する。そして、樹脂粒子と屈折液をよく混ぜた後、下から、岩崎電気株式会社製の高圧ナトリウムランプ(型番「NX35」、中心波長589nm)の光を照射しながら、上部から光学顕微鏡により粒子の輪郭を観察した。そして、輪郭が見えない場合を、屈折液と樹脂粒子の屈折率が等しいと判断した。
【0066】
なお、光学顕微鏡による観察は、樹脂粒子の輪郭が確認できる倍率での観察であれば特に問題ないが、粒子径5μmの粒子であれば、500倍程度の倍率で観察することが適当である。上記操作により、樹脂粒子と屈折液の屈折率が近いほど樹脂粒子の輪郭が見えにくくなることから、樹脂粒子の輪郭が最も判りにくい屈折液の屈折率をその樹脂粒子の屈折率と等しいと判断した。
【0067】
また、屈折率差が0.002の2種類の屈折液の間で樹脂粒子の見え方に違いがない場合は、これら2種類の屈折液の屈折率の中間値を当該樹脂粒子の屈折率と判定した。例えば、屈折率1.554と1.556の屈折液それぞれで試験をしたときに、両屈折液で樹脂粒子の見え方に違いがない場合は、これら屈折液の屈折率の中間値1.555を樹脂粒子の屈折率と判定した。
【0068】
次に、本発明の実施例に係る光拡散体の全光線透過率及び分散度の測定方法について説明する。なお、全光線透過率及び分散度の測定では、後述する実施例及び比較例で得た厚さ2mm、50mm×100mmの板状の光拡散体(光拡散板)を測定対象とする。
【0069】
〔光拡散体の全光線透過率の測定方法〕
光拡散体の全光線透過率はJIS K 7361に従って測定する。具体的には、全光線透過率を、日本電色工業株式会社製の「NDH−4000」を使用して測定する。測定サンプル数n=10として、これら10個の測定サンプルの全光線透過率(%)の平均値を算出し、この平均値を光拡散体の全光線透過率(%)とする。
【0070】
〔光拡散体の分散度の測定方法〕
光拡散体の分散度(D50)は、自動変角光度計(村上色彩技術研究所製ゴニオフォトメータGP−200)を用いて以下の手順で求める。
【0071】
自動変角光度計の光源からの直進光線を、光源から75cmの距離に設置した光拡散体の法線方向から当てる。可動式受光器にて光拡散体を透過した光の強度を測定する。この強度を透過率に換算し、法線方向からの角度に対応させて透過率をグラフにプロットする。このグラフから、法線方向の光の透過率(直進光透過率)の50%の透過率になるところの角度を求める。この角度を分散度(D50)と称する。この分散度(D50)の単位は「°(度)」である。また、分散度(D50)は大きいほど拡散性に優れていることを意味する。
【0072】
次に、本発明の実施例に係る光拡散体の促進曝露後の色差の測定方法について説明する。なお、促進暴露後の色差の測定では、後述する実施例及び比較例で得た厚さ2mm、50mm×100mmの板状の光拡散体(光拡散板)を試験片とする。
【0073】
〔促進曝露後の色差の測定方法〕
まず、試験片のハンター値(E0)を下記に示す色の測定方法により測定する。次いで、以下に示す促進曝露試験を行い、促進曝露試験後の試験片のハンター値(E1)を下記に示す色の測定方法により測定した。そして、促進曝露試験前の試験片のハンター値(E0)と、促進曝露試験後の試験片のハンター値(E1)との差(E1−E0)を、促進曝露後の色差(ハンターΔE値)とした。
【0074】
−促進曝露試験−
光拡散体の促進暴露試験は、JIS K7350-2(プラスチック−実験室光源による曝露試験方法−第2部:キセノンアークランプ)に準拠して行った。具体的には、試験片を、下記試験条件下で、キセノンアークランプで200時間曝露した。
【0075】
<試験条件>
照射装置:スーパーキセノンウェザーメーターSX75型(スガ試験器株式会社製)
照射条件:ブラックパネル温度(63℃)、暗転無し、スプレー(噴霧)無し、アウターフィルター#275
波長域:300〜400nm
放射照度:180W/m2
試験片:厚さ2mm、50mm×100mm
試験槽:温度(28〜32℃)、湿度(45〜55%)
−色の測定方法−
色の測定は、JIS Z8722(色の測定方法−反射及び透過物体色)に準拠して行った。具体的には、下記の測定条件下で、試験片の色を基準押え専用白板の上に載せて測定し、ハンター値を求めた。
【0076】
<測定条件>
測定装置:分光式色彩計 SE−2000(日本電色工業株式会社製)
色彩管理ソフト カラーメイト5(日本電色工業株式会社製)
標準板の三刺激値(C/2):Y=96.09、X=94.13、Z=113.36
基準押え専用白板:Y=76.5、X=75.4、Z=84.6
測定方法:反射法
光源:C/2°視野条件測定
【0077】
次いで、本発明の実施例1〜6の光拡散体の製造に用いた樹脂粒子(A)及び樹脂粒子(B)の製造方法について、説明する。
【0078】
〔樹脂粒子(A)の製造方法〕
容積5Lのステンレスビーカーに、純水3000g、ラウリル硫酸ナトリウム1.5g(500ppm)、ピロ燐酸マグネシウム90gを投入し、水相を調製した。
【0079】
水相の調製に使用したステンレスビーカーとは別のステンレスビーカーに、(メタ)アクリル系単官能単量体としてのメタクリル酸メチル400gと、スチレン系単官能単量体としてのスチレン500gと、多官能単量体としてのジビニルベンゼン(DVB)100gと、連鎖移動剤としてのn−ドデシルメルカプタン3gと、重合開始剤としての2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)7gと、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4gとを投入し、十分に攪拌して油相を調製した。
【0080】
調製した油相を、先に調製した水相に加え、プライミクス株式会社製TKホモミキサーを用いて8000rpmで、15分攪拌し、懸濁液を得た。次いで、得られた懸濁液を、攪拌機および温度計を備えた容量5Lの反応器に移し、その後、60℃で5時間単量体(モノマー)を重合させてから、110℃で2時間加熱した後、30℃まで冷却し、樹脂粒子スラリーを得た。次に、樹脂粒子スラリーに、スラリーのpHが2以下になるまで塩酸を加えた。次に、塩酸が加えられた樹脂粒子スラリーを、遠心脱水機を用いて、洗浄水のpHが6〜7になるまで洗浄し、その後脱水した。これにより得られた脱水ケーキを、真空乾燥機を用いてジャケット温度60℃で20時間真空乾燥した。次に400メッシュの篩いを通過させ、樹脂粒子(A)を得た。
【0081】
この樹脂粒子(A)の体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.4μmであった。また、樹脂粒子(A)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、37.9%であった。また、この樹脂粒子(A)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.555であった。
【0082】
〔樹脂粒子(B)の製造方法〕
メタクリル酸メチルの使用量を550gとし、スチレンの使用量を350gとした以外は、上記した樹脂粒子(A)の製造方法と同様にして、樹脂粒子(B)を得た。この樹脂粒子Bの体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.8μmであった。また、樹脂粒子(B)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、33.9%であった。また、この樹脂粒子(B)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.540であった。
【0083】
次いで、後述する比較例1の光拡散体の製造に用いた樹脂粒子(C)、及び比較例9の光拡散体の製造に用いた樹脂粒子(D)の製造について、説明する。
【0084】
〔樹脂粒子(C)の製造方法〕
メタクリル酸メチルを使用せず、スチレンの使用量を900gとした以外は、上記した樹脂粒子(A)の製造方法と同様にして、樹脂粒子(C)を得た。この樹脂粒子(C)の体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.6μmであった。また、樹脂粒子(C)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、38.2%であった。また、この樹脂粒子(C)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.592であった。
【0085】
〔樹脂粒子(D)の製造方法〕
容積5Lのステンレスビーカーに、純水3000g、ラウリル硫酸ナトリウム1.5g(500ppm)、ピロ燐酸マグネシウム90gを投入し、水相を調製した。
【0086】
水相の調製に使用したステンレスビーカーとは別のステンレスビーカーに、(メタ)アクリル系単官能単量体としてのメタクリル酸メチル950gと、多官能単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)50gと、連鎖移動剤としてのn−ドデシルメルカプタン3gと、重合開始剤としての2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)7gと、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4gとを投入し、十分に攪拌して油相を調製した。
【0087】
調製した油相を、先に調製した水相に加え、プライミクス株式会社製TKホモミキサーを用いて8000rpmで、15分攪拌し、懸濁液を得た。次いで、得られた懸濁液を、攪拌機および温度計を備えた容量5Lの反応器に移し、その後、50℃で5時間単量体(モノマー)を重合させてから、105℃で2時間加熱した後、30℃まで冷却し、樹脂粒子スラリーを得た。次に、樹脂粒子スラリーに、スラリーのpHが2以下になるまで塩酸を加えた。次に、塩酸が加えられた樹脂粒子スラリーを、遠心脱水機を用いて、洗浄水のpHが6〜7になるまで洗浄し、その後脱水した。これにより得られた脱水ケーキを、真空乾燥機を用いてジャケット温度60℃で20時間真空乾燥した。次に400メッシュの篩いを通過させ、樹脂粒子(D)を得た。この樹脂粒子(D)の体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.2μmであった。また、樹脂粒子(D)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、34.2%であった。また、この樹脂粒子(D)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.496であった。
【0088】
次いで、本発明の実施例7〜11の光拡散体の製造に用いた樹脂粒子(E)〜(H)の製造方法について、説明する。
【0089】
〔樹脂粒子(E)の製造方法〕
(メタ)アクリル系単官能単量体としてのメタクリル酸メチルの使用量を350gとし、スチレン系単官能単量体としてのスチレンの使用量を600gとし、さらに、多官能単量体として、ジビニルベンゼン(DVB)100gに代えて、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)50gを使用したこと以外は、上記した樹脂粒子(A)の製造方法と同様にして、樹脂粒子(E)を得た。
【0090】
この樹脂粒子(E)の体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.5μmであった。また、樹脂粒子(E)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、37.0%であった。また、この樹脂粒子(E)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.554であった。
【0091】
〔樹脂粒子(F)の製造方法〕
(メタ)アクリル系単官能単量体としてのメタクリル酸メチルの使用量を350gとし、スチレン系単官能単量体としてのスチレンの使用量を600gとし、さらに、多官能単量体として、ジビニルベンゼン(DVB)100gに代えて、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMP)50gを使用したこと以外は、上記した樹脂粒子(A)の製造方法と同様にして、樹脂粒子(F)を得た。
【0092】
この樹脂粒子(F)の体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.4μmであった。また、樹脂粒子(F)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、36.5%であった。また、この樹脂粒子(F)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.553であった。
【0093】
〔樹脂粒子(G)の製造方法〕
(メタ)アクリル系単官能単量体としてのメタクリル酸メチルの使用量を350gとし、スチレン系単官能単量体としてのスチレンの使用量を600gとし、さらに、多官能単量体として、ジビニルベンゼン(DVB)100gに代えて、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(1,6HX)50gを使用したこと以外は、上記した樹脂粒子(A)の製造方法と同様にして、樹脂粒子(G)を得た。
【0094】
この樹脂粒子(G)の体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.3μmであった。また、樹脂粒子(G)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、38.9%であった。また、この樹脂粒子(G)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.553であった。
【0095】
〔樹脂粒子(H)の製造方法〕
(メタ)アクリル系単官能単量体としてのメタクリル酸メチルの使用量を350gとし、スチレン系単官能単量体としてのスチレンの使用量を600gとし、さらに、多官能単量体として、ジビニルベンゼン(DVB)100gに代えて、アリルメタクリレート(AMA)50gを使用したこと以外は、上記した樹脂粒子(A)の製造方法と同様にして、樹脂粒子(H)を得た。
【0096】
この樹脂粒子(H)の体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.8μmであった。また、樹脂粒子(H)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、39.4%であった。また、この樹脂粒子(H)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.554であった。
【0097】
次いで、本発明の実施例12〜16の光拡散体の製造に用いた樹脂粒子(I)及び(J)の製造方法について、説明する。
【0098】
〔樹脂粒子(I)の製造方法〕
油相の調製において、(メタ)アクリル系単官能単量体としてのメタクリル酸メチルの使用量を250gとし、多官能単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)の使用量を50gとし、さらに、スチレン系単官能単量体としてのスチレン700gを使用したこと以外は、上記した樹脂粒子(D)の製造方法と同様にして、樹脂粒子(I)を得た。
【0099】
この樹脂粒子(I)の体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.5μmであった。また、樹脂粒子(I)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、35.1%であった。また、この樹脂粒子(I)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.564であった。
【0100】
〔樹脂粒子(J)の製造方法〕
油相の調製において、(メタ)アクリル系単官能単量体としてのメタクリル酸メチルの使用量を150gとし、多官能単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)の使用量を50gとし、さらに、スチレン系単官能単量体としてのスチレン800gを使用したこと以外は、上記した樹脂粒子(D)の製造方法と同様にして、樹脂粒子(J)を得た。
【0101】
この樹脂粒子(J)の体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.3μmであった。また、樹脂粒子(J)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、35.6%であった。また、この樹脂粒子(J)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.574であった。
【0102】
次いで、本発明の比較例10の光拡散体の製造に用いた樹脂粒子(K)の製造方法について、説明する。
【0103】
〔樹脂粒子(K)の製造方法〕
油相の調製において、(メタ)アクリル系単官能単量体としてのメタクリル酸メチルの使用量を50gとし、多官能単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)の使用量を50gとし、さらに、スチレン系単官能単量体としてのスチレン900gを使用したこと以外は、上記した樹脂粒子(D)の製造方法と同様にして、樹脂粒子(K)を得た。
【0104】
この樹脂粒子(K)の体積平均粒子径は、上記測定方法により測定したところ、5.6μmであった。また、樹脂粒子(K)のCV値は、上記算出方法により算出したところ、34.7%であった。また、この樹脂粒子(K)の屈折率は、上記した測定方法により測定したところ1.584であった。
【0105】
以下に、本発明の実施例1〜16及び比較例1〜12に係る光拡散体を示す。
【0106】
〔実施例1〕
基材樹脂としてのアクリル系樹脂(住友化学株式会社製、商品名「スミペックス(登録商標)EX」)100重量部と、ゴム成分としてのアクリルゴム粒子(三菱レイヨン株式会社製、商品名「メタブレン(登録商標)W−300A」)2.5重量部と、上記製造方法により得られた屈折率1.555の樹脂粒子(A)2.0重量部と、上記測定方法により測定される体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部(樹脂粒子1重量部に対して1重量部)とを、ヘンシェルミキサーで15分間混合し、混合物を得た。この混合物を単軸型押出機(株式会社ホシプラスチック製の「R50」)を用いて温度210〜260℃、吐出量10〜25kg/hの条件で押出し、水冷後、ペレタイザーでカットして、ペレット状の光拡散性樹脂組成物を得た。次いで、得られたペレット状の光拡散性樹脂組成物を105℃で、5時間予備乾燥し、水分を十分に除去した後、Tダイ押出成形機(株式会社創研製、口径30mm、L/D=38、Tダイ幅250mm、リップ2mm)を用いて温度220〜260℃で板状に押出成形し、厚み2mmの光拡散板(光拡散体)を得た。この様にして得た光拡散板を幅50mm、長さ100mmにカットし、光学特性の評価(全光線透過率及び分散度の測定)及び耐光性の評価(促進曝露試験後の色差の測定)を行った。
【0107】
図1は、実施例1で得た光拡散板(光拡散体)の透過光強度を、自動変角光度計を用いて測定した結果である。縦軸は透過光強度の相対値で、この値が50%時のグラフのプロット点から垂線を引き、横軸との交点を求める。この横軸の値は角度(°)であり、分散度(D50)と呼ぶ。この図1に示す測定結果では、分散度(D50)は57.3°となる。なお、分散度(D50)は、横軸の原点0°の左右2つの値(透過光強度が50%のときの角度の値)の絶対値の相加平均とする。
【0108】
〔実施例2〕
基材樹脂100重量部に対し、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部に代えて、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)2.0重量部(樹脂粒子1重量部に対して1重量部)を配合した以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0109】
〔実施例3〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)を1.5重量部配合し、さらに、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部に代えて、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)2.0重量部(樹脂粒子1重量部に対して1.33重量部)を配合した以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0110】
〔実施例4〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)を2.5重量部配合し、さらに、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部に代えて、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)1.5重量部(樹脂粒子1重量部に対して0.6重量部)を配合した以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0111】
〔実施例5〕
基材樹脂100重量部に対し、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部に代えて、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)2.0重量部(樹脂粒子1重量部に対して1重量部)を配合し、ゴム成分としてのアクリルゴム粒子(三菱レイヨン株式会社製、商品名「メタブレン(登録商標)W−300A」)を配合しない以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0112】
〔実施例6〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.540の樹脂粒子(B)2.5重量部を配合した以外は、実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0113】
〔実施例7〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.554の樹脂粒子(E)2.0重量部を配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0114】
〔実施例8〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.553の樹脂粒子(F)2.0重量部を配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0115】
〔実施例9〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.553の樹脂粒子(G)2.0重量部を配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0116】
〔実施例10〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.554の樹脂粒子(H)2.0重量部を配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0117】
〔実施例11〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.554の樹脂粒子(E)5.0重量部を配合し、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)を1.2重量部(樹脂粒子1重量部に対して0.24重量部)配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0118】
〔実施例12〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.564の樹脂粒子(I)2.5重量部を配合し、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)を1.5重量部(樹脂粒子1重量部に対して0.60重量部)配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0119】
〔実施例13〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.564の樹脂粒子(I)3.0重量部を配合し、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)を1.2重量部(樹脂粒子1重量部に対して0.40重量部)配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0120】
〔実施例14〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.564の樹脂粒子(I)5.0重量部を配合し、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)を1.0重量部(樹脂粒子1重量部に対して0.20重量部)配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0121】
〔実施例15〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.574の樹脂粒子(J)1.2重量部を配合し、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)を1.4重量部(樹脂粒子1重量部に対して1.17重量部)配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0122】
〔実施例16〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.574の樹脂粒子(J)1.6重量部を配合し、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)を1.2重量部(樹脂粒子1重量部に対して0.75重量部)配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0123】
〔比較例1〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.592の樹脂粒子(C)2.0重量部を配合し、さらに、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部に代えて、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)2.0重量部(樹脂粒子1重量部に対して1重量部)を配合した以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0124】
〔比較例2〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)を0.7重量部配合し、さらに、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部に代えて、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)2.2重量部(樹脂粒子1重量部に対して3.14重量部)を配合した以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0125】
〔比較例3〕
基材樹脂100重量部に対して、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部に代えて、体積平均粒子径が0.34μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B30」、CV値89.4%、比表面積13.84g/m2)2.0重量部(樹脂粒子1重量部に対して1重量部)を配合した以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0126】
〔比較例4〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)を1重量部配合し、さらに、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部に代えて、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)4重量部(樹脂粒子1重量部に対して4重量部)を配合した以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0127】
〔比較例5〕
基材樹脂100重量部に対して、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)を配合しない以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0128】
〔比較例6〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)を3重量部配合し、さらに、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)を配合しない以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0129】
〔比較例7〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)を5重量部配合し、さらに、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)を配合しない以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0130】
〔比較例8〕
基材樹脂100重量部に対して、体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部に代えて、体積平均粒子径が0.75μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B−1」、CV値49.4%、比表面積2.2g/m2)2.0重量部を配合した以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0131】
〔比較例9〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.496の樹脂粒子(D)を2.0重量部配合し、更に体積平均粒子径が0.50μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「B55」、CV値65.9%、比表面積4.13g/m2)2.0重量部に代えて、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)2.0重量部(樹脂粒子1重量部に対して1重量部)を配合した以外は実施例1と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0132】
〔比較例10〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.584の樹脂粒子(K)1.2重量部を配合し、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)を1.4重量部(樹脂粒子1重量部に対して1.17重量部)配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0133】
〔比較例11〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.574の樹脂粒子(J)10.0重量部を配合し、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)を配合しない以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0134】
〔比較例12〕
基材樹脂100重量部に対して、樹脂粒子(A)2.0重量部に代えて、上記した製造方法により得られた屈折率1.564の樹脂粒子(I)10重量部を配合し、体積平均粒子径が0.62μmの硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製の沈降性硫酸バリウム「300」、CV値59.9%、比表面積3.4g/m2)を0.5重量部(樹脂粒子1重量部に対して0.05重量部)配合した以外は、実施例5と同様の方法により、光拡散板(光拡散体)を得た。
【0135】
表1及び表2に、実施例1〜16および比較例1〜12に係る光拡散体の製造に用いた光拡散性樹脂組成物の各種原料の配合量(基材樹脂100重量部に対する重量部)、これらの製造に用いた樹脂粒子1重量部に対する硫酸バリウム(BaSO4)の重量部(重量比(BaSO4/樹脂粒子))、これら実施例1〜16および比較例1〜12に係る光拡散体の全光線透過率、分散度(D50)、及び促進曝露試験後の色差(ハンターΔE値)を示す。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2】
表1及び表2に示されるように、本発明の実施例1〜16の光拡散体は、2mmの厚みとされた場合において、55%以上(具体的には、55.44〜59.63%)の全光線透過率と、55°以上(具体的には、55.00〜58.20°)の分散度を示し、優れた光透過性と光拡散性を示すことが認められた。また、本発明の実施例1〜16の光拡散体の促進曝露200時間後の色差(ハンターΔE値)は3未満(具体的には、2.9以下)であり、実施例1〜16の光拡散体は、少なくとも屋内照明用として実用上十分な耐光性を有することが認められた。
【0138】
また、多官能単量体として(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体を使用して製造された屈折率が1.540〜1.560の樹脂粒子(E)〜(H)のいずれかを基材樹脂100重量部に対して1.5〜2.5重量部含む実施例7〜10の光拡散体は、多官能単量体としてジビニルベンゼン(DVB)を使用して製造された屈折率が1.540〜1.560の樹脂粒子(A)又は(B)を基材樹脂100重量部に対して1.5〜2.5重量部含む実施例1〜6の光拡散体と比べて、促進曝露200時間後の色差(ハンターΔE値)が小さく、耐光性により優れることが認められた。具体的には、実施例7〜10の光拡散体の促進曝露200時間後の色差(ハンターΔE値)は、1未満(具体的には、0.6以下)であり、屋内照明用としてだけでなく、屋外照明用としても、実用可能な耐光性を有していた。
【0139】
また、実施例1〜10の光拡散体と、実施例12の光拡散体と、実施例16の光拡散体との光学特性の比較より、多官能単量体として(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体を使用して製造された屈折率が1.560超〜1.580の樹脂粒子(具体的には、樹脂粒子(I)及び(J))は、ジビニルベンゼン(DVB)を使用して製造された屈折率が1.540〜1.560の樹脂粒子(具体的には、樹脂粒子(A)及び(B))、及び、多官能単量体として(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体を使用して製造された屈折率が1.540〜1.560の樹脂粒子(具体的には、樹脂粒子(E)〜(H))と比べて、光拡散体の全光線透過率を向上させて、光透過性を向上させる効果に特に優れるものであることが認められた。
【0140】
また、屈折率が1.580を超える樹脂粒子(具体的には、樹脂粒子(C)及び(K))を用いて製造した比較例1及び比較例10の光拡散体は、屈折率1.540〜1.580の樹脂粒子(A)、(B)、及び(E)〜(J)のいずれかを用いて製造した実施例1〜16の光拡散体と比べて、促進曝露後の色差が3を超えるものであり、耐光性に劣るものであった。
【0141】
また、樹脂粒子の含有量が基材樹脂100重量部に対して0.7重量部で、硫酸バリウムの含有量が樹脂粒子1重量部に対して3.14重量部である光拡散性樹脂組成物からなる比較例2の光拡散体は、樹脂粒子の含有量が基材樹脂100重量部に対して1.0〜5.0重量部(より具体的には、1.2〜5.0重量部)で、硫酸バリウムの含有量が樹脂粒子1重量部に対して0.20〜1.35重量部(より具体的には、0.20〜1.33重量部)である光拡散性樹脂組成物からなる実施例1〜16の光拡散体と比べて、全光線透過率及び分散度が低く、光学特性に劣るものであった。
【0142】
また、体積平均粒子径が0.34μmの硫酸バリウムを用いて製造した比較例3の光拡散体は、体積平均粒子径が0.4〜0.7μm(より、具体的には、0.50〜0.62μm)の硫酸バリウムを用いて製造した実施例1〜16の光拡散体と比べて、全光線透過率が低く、光透過性に劣るものであった。
【0143】
また、硫酸バリウムの含有量が樹脂粒子1重量部に対して4重量部である光拡散性樹脂組成物からなる比較例4の光拡散体は、硫酸バリウムの含有量が樹脂粒子1重量部に対して0.20〜1.35重量部(より具体的には、0.20〜1.33重量部)である光拡散性樹脂組成物からなる実施例1〜16の光拡散体と比べて、全光線透過率が低く、光透過性に劣るものであった。
【0144】
また、硫酸バリウムを含有しない光拡散性樹脂組成物からなる比較例5〜7の光拡散体は、硫酸バリウムを含有する光拡散性樹脂組成物からなる実施例1〜16の光拡散体と比べて、分散度が低く、光拡散性に劣るものであった。また、比較例6及び7の光拡散体は、促進曝露後の色差が3を超えるものであり、耐光性に劣るものであった。
【0145】
また、体積平均粒子径が0.75μmの硫酸バリウムを用いて製造した比較例8の光拡散体は、体積平均粒子径が0.4〜0.7μm(より、具体的には、0.50〜0.62μm)の硫酸バリウムを用いて製造した実施例1〜16の光拡散体と比べて、分散度が低く、光拡散性に劣るものであった。
【0146】
屈折率1.496の樹脂粒子(D)を用いて製造した比較例9の光拡散体は、屈折率1.540〜1.580の樹脂粒子(A)、(B)、及び(E)〜(J)のいずれかを用いて製造した実施例1〜16の光拡散体と比べて、分散度が低く、光拡散性に劣るものであった。
【0147】
また、樹脂粒子の含有量が基材樹脂100重量部に対して10重量部であり、硫酸バリウムを含有しない光拡散性樹脂組成物からなる比較例11の光拡散体は、樹脂粒子の含有量が基材樹脂100重量部に対して1.0〜5.0重量部(より具体的には、1.2〜5.0重量部)で、硫酸バリウムを含有する光拡散性樹脂組成物からなる実施例1〜16の光拡散体と比べて、全光線透過率が低く、光透過性に劣るものであった。また、比較例11の光拡散体は、促進曝露後の色差が3を超えるものであり、耐光性にも劣るものであった。
【0148】
また、樹脂粒子の含有量が基材樹脂100重量部に対して10重量部で、硫酸バリウムの含有量が樹脂粒子1重量部に対して0.05重量部である光拡散性樹脂組成物からなる比較例12の光拡散体は、樹脂粒子の含有量が基材樹脂100重量部に対して1.0〜5.0重量部(より具体的には、1.2〜5.0重量部)で、硫酸バリウムの含有量が樹脂粒子1重量部に対して0.20〜1.35重量部(より具体的には、0.20〜1.33重量部)である光拡散性樹脂組成物からなる実施例1〜16の光拡散体と比べて、全光線透過率が低く、光透過性に劣るものであった。
図1