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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-159011(P2015-159011A)
(43)【公開日】2015年9月3日
(54)【発明の名称】端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/72 20060101AFI20150807BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20150807BHJP
【FI】
   H01R4/72
   H01R4/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-32603(P2014-32603)
(22)【出願日】2014年2月24日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 大致
(72)【発明者】
【氏名】西田 詩朗
(72)【発明者】
【氏名】秋庭 伸行
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 拓也
(72)【発明者】
【氏名】前川 文隆
【テーマコード(参考)】
5E085
【Fターム(参考)】
5E085BB02
5E085BB13
5E085DD03
5E085HH11
5E085JJ13
(57)【要約】
【課題】端子の防水を確実にすることを目的とする。
【解決手段】相手側端子に接続し、その接続方向と交差する方向に延伸する電線40に接続される端子10であって、相手側端子と接続する接続部11と、接続部11の終端に設けられ、接続部11より大径のフランジ部15と、フランジ部15から接続部11の軸線方向に延びた板状部材であって、その一部が電線40の延伸方向に延伸して電線40が溶接される溶接部23を有し、この溶接部23の根元に隣接して縁部29Aが設けられた電線接続部20とを備え、縁部29Aには、電線40の端部と溶接部23とを覆う熱収縮チューブ50の端部が当接もしくは対向状態で配される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側端子に接続し、その接続方向と交差する方向に延伸する電線に接続される端子であって、
前記相手側端子と接続する接続部と、
前記接続部の終端に設けられ、前記接続部より大径のフランジ部と、
前記フランジ部から前記接続部の軸線方向に延びた板状部材であって、その一部が前記電線の延伸方向に延伸して前記電線が溶接される溶接部を有し、この溶接部の根元に隣接して縁部が設けられた電線接続部とを備え、
前記縁部には、前記電線の端部と前記溶接部とを覆う熱収縮チューブの端部が当接もしくは対向状態で配される
端子。
【請求項2】
前記電線接続部において、前記接続部の軸線方向に延びる部分の幅は前記フランジ部の幅と略同一であり、
前記電線接続部の前記溶接部の根元に隣接する部分に前記フランジ部よりも内側に切欠かれる切欠部が形成されており、
前記縁部が前記切欠部の切欠き方向奥側に形成される請求項1に記載の端子。
【請求項3】
前記溶接部の先端が前記フランジ部の幅内に位置する請求項2に記載の端子。
【請求項4】
前記電線接続部において、前記切欠部によって切欠かれた縁部を肉厚に形成してなる補強部が設けられている請求項2または請求項3に記載の端子。
【請求項5】
前記電線接続部には、前記溶接部を挟んで前記フランジ部と反対側に突出部が形成されており、前記熱収縮チューブにおける前記電線接続部側の端部が前記突出部に当接もしくは対向状態で配される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端子。
【請求項6】
前記溶接部において、前記電線が溶接される部分よりも根元の部分が高くなるように段差が形成されており、前記電線の端部が前記段差の高さと同じかこれより低い請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より相手側端子等に接続する接続部の延伸方向と端子に接続される電線の延伸方向が異なるものが知られている。例えば、特許文献1においては、固定孔を有する締結部と、締結部の側部に形成され、締結部の上面に対して略直角をなして、その開口部が上方に向いた筒状の圧着部とを備えた圧着端子が開示されている。そして、この圧着端子の圧着部には絶縁用のゴムキャップが装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−123289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、圧着部のみしか止水を行うことができない。そのため、端子の機能として防水が求められる場合には、締結部の防水を行うことができず、締結部に腐食などが発生する可能性があり、端子の防水が不十分なものであった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、相手側端子に接続し、その接続方向と交差する方向に延伸する電線に接続される端子であって、前記相手側端子と接続する接続部と、前記接続部の終端に設けられ、前記接続部より大径のフランジ部と、前記フランジ部から前記接続部の軸線方向に延びた板状部材であって、その一部が前記電線の延伸方向に延伸して前記電線が溶接される溶接部を有し、この溶接部分の根元に隣接して縁部が設けられた電線接続部とを備え、前記縁部には、前記電線の端部と前記溶接部とを覆う熱収縮チューブの端部が当接もしくは対向状態で配される。
【0007】
このような構成によると、電線が溶接される溶接部は電線接続部の縁部から突出する形状となることから、電線の端部と溶接部とを熱収縮チューブで覆うことが可能になる。また、熱収縮チューブが差し込まれる際に、溶接部の根元に隣接する縁部に当接することで、熱収縮チューブの位置合わせがなされることになる。そして、熱収縮チューブが縁部に当接する位置まで差し込まれると、溶接部と電線の端部との接続部分を熱収縮チューブが覆うことになる。そのため、当該接続部分が熱収縮チューブによって防水されることになる。
【0008】
本発明のコネクタの実施の態様として、以下の構成としてもよい。
前記電線接続部において、前記接続部の軸線方向に延びる部分の幅は前記フランジ部の幅と略同一であり、前記電線接続部の前記溶接部の根元に近接する部分に前記フランジ部よりも内側に切欠かれる切欠部が形成されており、前記縁部が前記切欠部の切欠き方向奥側に形成される構成としても良い。
このような構成では、切欠部に熱収縮チューブが差し込み可能とされることで、溶接部が電線方向へ突出する長さを短くすることができ、端子の小型化が可能になる。
【0009】
前記溶接部の先端が前記フランジ部の幅内に位置する構成としても良い。
このような構成では、溶接部の全体がフランジ部の幅内に収まるようになるため、さらに端子の小型化が可能である。
【0010】
前記電線接続部において、前記切欠部によって切欠かれた縁部を肉厚に形成してなる補強部が設けられている構成としても良い。
切欠部を設けることで、その切り欠かれた縁部の部分の断面積が小さくなり電気抵抗が大きくなるが、このような構成では縁部を肉厚に形成する補強部を設けることで、断面積を確保することができ、電気抵抗を小さくできる。
【0011】
前記電線接続部には、前記溶接部を挟んで前記フランジ部と反対側に突出部が形成されており、前記熱収縮チューブにおける前記電線接続部側の端部が前記突出部に当接もしくは対向状態で配される構成としても良い。
このような構成では、熱収縮チューブに溶接部を挿入するときに、突出部に熱収縮チューブの端部が当接することで熱収縮チューブの位置合わせが可能となる。
【0012】
前記溶接部において、前記電線が溶接される部分よりも根元の部分が高くなるように段差が形成されており、前記電線の端部が前記段差の高さと同じかこれより低い構成としても良い。
このような構成では、溶接部において、電線が溶接される部分よりも根元の部分が高くなることで、電線を溶接後の溶接部分が電線が溶接されていない部分よりも高くならない。そのため、熱収縮チューブの接着代を短くでき、熱収縮チューブの接着代を固定するために溶接部を長めに形成しなくてもよく、溶接部の小型化が可能になる。また、段差に電線の端部を突き当てることで、電線の位置決めをすることも可能になる。さらに、根元の部分の断面積が大きくなることで、抵抗値が下がって大電流通電時の温度上昇を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、端子の防水を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1において電線を溶接する前の端子の斜視図
図2】電線を溶接した後の端子の斜視図
図3】熱収縮チューブを圧縮した後の端子の斜視図
図4】同平面図
図5図4のV−V断面での断面図
図6】本発明の実施形態2において電線を溶接する前の端子の斜視図
図7】電線を溶接した後の端子の斜視図
図8】熱収縮チューブを圧縮した後の端子の斜視図
図9】同平面図
図10図9のX−X断面での断面図
図11】本発明の実施形態3において電線を溶接する前の端子の斜視図
図12】電線を溶接した後の端子の斜視図
図13】熱収縮チューブを圧縮した後の端子の斜視図
図14】同平面図
図15図14のXV−XV断面での断面図
図16】本発明の実施形態4において電線を溶接する前の端子の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1図5を用いて説明する。
本実施形態における端子10は、電気自動車等において、車両に搭載されたバッテリに充電するべく車両側に設けられた車両側コネクタに用いられる端子である。このような車両側コネクタには、相手側端子を備えた充電用コネクタが嵌合される。本実施形態における車両側コネクタでは、電線40の引き出し方向が充電用コネクタとの嵌合方向後方以外に設定されている。
以下の説明においては、相手側端子との接続および離脱方向を前後方向として接続する側を前側とし、また、接続方向前側から見た状態を基準として上下左右については規定する。
【0016】
端子10は、図1に示すように、相手側端子に接続する接続部11と、フランジ部15と、車両側のバッテリ等から引き出された電線40と接続可能な電線接続部20とを備えている。そして、端子10の接続部11とフランジ部15と電線接続部20とは一体に形成されており、導電性の金属による鍛造及びプレス加工によって形成されている。
【0017】
接続部11は、前後方向に延びる筒状に形成されている。そして、接続部11の軸線は前後方向に延びている。そして、相手側端子は前方から接続部11に接続するようになっている。そして、接続部11の後端には、接続部11よりも径寸法が大きくされた円板状のフランジ部15が設けられている。接続部11とフランジ部15は同軸配置とされている。
【0018】
フランジ部15の後側には、電線接続部20が設けられている。つまり、フランジ部15は、接続部11と電線接続部20の間に設けられている。電線接続部20は、板状の電線接続部本体21と、溶接部23と、突出部27と、切欠部29とを備えている。溶接部23と電線40の溶接部分は熱収縮チューブ50によって覆われることでシールされる。電線接続部本体21は、フランジ部15の高さ(上下方向の寸法)の略中央付近から、後方(接続部11の軸線方向)に向かってフランジ部15の幅寸法(左右方向の寸法)で延びている。このように、電線接続部本体21がフランジ部15の幅寸法で延びるように形成されている理由は、電線接続部本体21の断面積が大きくなり、電線接続部本体21における許容電流量が大きくなるようにするためである。また、電線接続部本体21の幅寸法がフランジ部15の幅寸法内に収まるようになっていることから、端子10全体の幅寸法が大きくなることもない。
【0019】
溶接部23の右側縁(先端)23Aは、電線接続部本体21の後端縁21Aから連続するようにして電線接続部本体21の右側縁21Bよりも右側に突出している。そして、端子10の接続部11の軸線方向と溶接部23の延伸する方向とが直交している。このように、接続部11の軸線方向と溶接部23の延伸方向とが直交することで、接続部11の接続方向と電線40の引き出し方向とが直交する場合の端子として本実施形態の端子10が用いられることになる。また、溶接部23の長さ(左右方向の寸法)c(図5参照)は、電線40が溶接される部分の長さと熱収縮チューブ50の固定に必要な固定部分の長さとを合わせた長さとされている。また、溶接部23の幅寸法(前後方向の寸法)は、電線40の後述する芯線41が溶接後にはみ出さない程度であって、収縮前の熱収縮チューブ50の内径よりも小さくなっている。
【0020】
電線接続部本体21のうち溶接部23の前方には、切欠部29が形成されている。切欠部29は、電線接続部本体21の右端縁21Bの溶接部23側の部分から溶接部23の根元の部分に向けて矩形状に切欠かれることで形成されている。切欠部29の長さ(左右方向の寸法)は電線接続部本体21の幅寸法(左右方向の寸法)の略3分の1から半分程度とされており、電線接続部本体21における切欠部29の切欠き方向奥側の奥端部29Aの上下左右平面の断面積の大きさと、溶接部23の突出量とのバランスから決定されている。ここで、奥端部29Aとは、電線接続部本体21の切欠部29が形成された位置において、切欠部29を除いた部分(切欠部29から切欠き方向奥側の部分)を指している。このように、切欠部29を形成することで、切欠部29の奥端部29Aに当接するまで熱収縮チューブ50を配することが可能なので、溶接部23の突出量(電線接続部本体21の右側縁21Bから溶接部23の右側縁23Aの位置までの左右方向の長さ)を抑制することができる。
【0021】
電線接続部本体21の後端縁21Aには、切欠部29の奥端部29Aと右側の側面の位置がほぼ揃う位置に突出部27が形成されている。前後方向において、突出部27は溶接部23を挟んで切欠部29と反対側に配されている。突出部27は、切欠部29の前後方向の幅寸法とほぼ同じ程度後方に突出しており、溶接部23を熱収縮チューブ50に挿入した時に当接することで当該熱収縮チューブ50の位置決めが可能となっている。また、端子10の後側に配される部品が突出部27に当たることで、熱収縮チューブ50の配されるスペースを確保可能としている。
【0022】
電線40は、複数の金属素線からなる可撓性を有する芯線41が絶縁被覆43によって覆われた構成とされている。電線40の溶接部23と溶接される端部には芯線41が露出しており、芯線41が露出した部分が溶接部23に溶接されるようになっている。
【0023】
熱収縮チューブ50は、防水性の円形のチューブであって、ポリオレフィン樹脂等から構成され、熱を加えるとチューブ全体の形状が縮むようになっている。収縮前の内径は、溶接後の溶接部23と電線40の芯線41が十分に通る大きさとなっている。また、図5に示すように、その長さxは溶接部23を覆い、電線40の絶縁被覆43の端部を所定の長さzだけ覆うことができる長さとなっている。熱収縮チューブ50は、溶接後の芯線41と溶接部23とに段差51が生じているため、熱収縮チューブ50の端部がめくれ上がり防止(密着性確保)のために、接着代の部分として長さaを有している。そして、熱収縮チューブ50は、所定位置に配された後に熱を加えられて収縮し、収縮後には、芯線41の露出した部分を覆い、絶縁被覆43側の端部と溶接部23側の端部とが水密状態に固定される。この時、熱収縮チューブ50は、長さ方向にはあまり収縮せず、径方向に収縮することで、電線40と溶接部23とに水密状態に密着することになる。
【0024】
次に、上記した端子10の組み付け手順の一例を説明する。
まず、図1に示すように、熱収縮チューブ50が電線40に先通しされる。そして、図2に示すように、電線40の芯線41が露出した部分を溶接部23に溶接する。この際の溶接方法は、抵抗溶接や超音波溶接等溶接時に力を加えながら溶接する周知の方法を用いることができる。力を加えながら溶接することで、芯線41の形状を溶接部23と一体化させやすい形状とすることができ、その後の熱収縮チューブ50の収縮時の段差51(図5参照)を小さくすることが可能となる。
【0025】
その後、熱収縮チューブ50を電線接続部20側に差し込む。この際、切欠部29があるため、電線接続部本体21の右端縁21Bよりも内側に熱収縮チューブ50は入り込むことが可能となる。切欠部29の奥端部29Aと突出部27に当接するところまで、熱収縮チューブ50は差し込まれ、奥端部29Aと突出部27に当接することで位置合わせされる。そして、熱収縮チューブ50を加熱することで、熱収縮チューブ50が収縮する。熱収縮チューブ50のうち電線40の絶縁被覆43を覆う部分は、電線40の形状通り円形の筒形状を維持したまま収縮し、溶接部23を覆う部分は、図3から図5に示すように、溶接部23及び溶接された芯線41の形状に沿うように段差51を形成しながら収縮する。そして、熱収縮チューブ50の一端部は絶縁被覆43に水密状態に密着し、他端部は溶接部23のうち芯線41が溶接されていない溶接部23の根元の部分(固定部分)に水密状態に密着する。このように両端部がそれぞれ電線40と溶接部23に水密状態に密着することで、電線40と溶接部23の接続部分が水密状態に覆われることになる。また、収縮後であっても熱収縮チューブ50は、長さ方向にはあまり収縮しないため奥端部29Aと突出部27と当接するか、若干縮むことによって奥端部29Aと突出部27と対向状態になる。
【0026】
また、溶接部23が端子10の接続部11の軸方向に直交するように配されることで、端子10の接続部11の接続方向と、電線40が延伸する方向が直交するように配されるようになる。そして、切込部29が形成されて、溶接部23のフランジ部15から突出する寸法が小さくなるために、電線40を接続方向と直交した方向(左右方向)に引き出しつつ端子10の小型化が可能となる。
【0027】
以上のように本実施形態によれば、電線40の芯線41が溶接される溶接部23は電線接続部20の奥端部29Aから突出する形状となることから、電線40の端部と溶接部23とを熱収縮チューブ50で覆うことが可能になる。また、熱収縮チューブ50が差し込まれる際に、溶接部23の根元に隣接する奥端部29Aに当接することで、熱収縮チューブ50の位置合わせがなされることになる。そして、熱収縮チューブ50が奥端部29Aに当接する位置まで差し込まれると、溶接部23と電線40の端部との接続部分を熱収縮チューブ50が覆うことになる。そのため、当該接続部分が熱収縮チューブ50によって防水されることになる。
【0028】
また、電線接続部20において、接続部11の軸線方向に延びる電線接続部本体21の幅寸法(左右方向の寸法)はフランジ部15の幅寸法(左右方向の寸法)と略同一であり、電線接続部20の溶接部23の根元に隣接する右端縁21Bからフランジ部15よりも内側に切欠かれる切欠部29が形成されており、奥端部29Aが切欠部29の切欠き方向奥側に形成される。
このような構成では、切欠部29に熱収縮チューブ50が差し込み可能とされることで、溶接部23が電線40の方向(右方向)へ突出する長さを短くすることができ、小型化が可能になる。
【0029】
また、電線接続部20には、溶接部23を挟んでフランジ部15と反対側に突出部27が形成されており、熱収縮チューブ50における電線接続部20側の端部が突出部27に当接もしくは対向状態で配される。
このような構成では、熱収縮チューブ50に溶接部23を挿入するときに、突出部27に熱収縮チューブ50の端部が当接することで熱収縮チューブ50の位置合わせが可能となる。
【0030】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図6ないし図10によって説明する。
本実施形態の端子110では、電線接続部120の溶接部123に段差125が形成されている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同一機能を有する部材、部位については、同一の符号を付すことで、説明を省略しまたは簡略化する。
【0031】
溶接部123は、図6に示すように、溶接部123の根元(固定部分123C)及び電線接続部120(電線接続部本体121)が実施形態1よりも肉厚になっている。そして、電線40の芯線41が溶接される部分123Bの断面積が実施形態1の断面積とほぼ同程度になっている。そのため、溶接部123のうち、熱収縮チューブ150の固定部分123C(接着代の部分)と芯線41が溶接される部分123Bとの間に段差125が形成され、溶接される部分123Bより固定部分123Cの上面が高くなっている。このように、固定部分123Cと電線接続部121が肉厚になることで、その断面積が増加して、抵抗値が下がることで大電流通電時の温度上昇を抑えることができる。
【0032】
また、電線40の芯線41の端部は、図7に示すように、段差125により形成された端面125Aに当接することで、溶接位置に位置合わせされる。そして、抵抗溶接等により溶接されることで、溶接部123の固定部分123Cの上面と溶接後の芯線41の上面とが略面一となるように溶接される。つまり、電線40の芯線41の部分の溶接後の高さ(上下方向の寸法)が段差125の高さとほぼ同じとなっている。このように形成すると、図10に示すように、芯線41が溶接部123の固定部分123Cの上側には位置しないことから、熱収縮チューブ150を収縮した時に芯線41と溶接部123との境目において段差が形成されず、熱収縮チューブ150と溶接部123の間に隙間がほとんど形成されない。
【0033】
ここで、実施形態1においては、図5に示すように、電線40の芯線41の上面が溶接部23の上面の位置より高い位置にあったため、熱収縮チューブ50にも段差51が生まれて隙間が形成されるために、熱収縮チューブ50の先端のめくれ上がり防止(密着性確保)のために、熱収縮チューブ50にも接着代の部分の長さaが必要となり、熱収縮チューブ50の長さxも長くなる。また、熱収縮チューブ50の接着代の部分の長さaが長いため、熱収縮チューブ50を溶接部23に固定する固定部分の長さも長くなり、溶接部23の長さcも長くなっている。しかし、本実施形態では、図10に示すように、固定部分123Cの上面と溶接後の芯線41の上面とが略面一となるため、熱収縮チューブ150と溶接部123の間に隙間がほとんど形成されない。そのため、密着性確保に必要な熱収縮チューブ150の接着代の部分の長さbが短くなる。一方、電線40側を覆う長さzは実施形態1と同じ長さとなるため、本実施形態の熱収縮チューブ150の長さyは、実施形態1の熱収縮チューブ50の長さxよりも接着代の部分の長さの差分(a−b)だけ短くなる。また、熱収縮チューブ150の接着代の部分の長さbが短くなることから、熱収縮チューブ150の接着代の部分を固定する溶接部123の固定部分123Cの長さ(左右方向の寸法)も短くなり、溶接部123の長さ(左右方向の寸法)dも実施形態1の溶接部23の長さcよりも短くなっている。このように、溶接部123の長さdを小さくできるため、端子110が小型化できる。
【0034】
以上のように本実施形態よれば、溶接部123において、電線40が溶接される部分123Bより根元の部分(固定部分123C)が高くなるように段差125が形成されており、電線40の端部(芯線41の部分)が段差125の高さと同じかこれより低い。
このような構成では、溶接部123において、電線40が溶接される部分123Bより根元の部分(固定部分123C)が高くなることで、電線40を溶接後の溶接部分が電線40が溶接されていない部分(固定部分123C)よりも高くならない。そのため、熱収縮チューブ150の接着代の部分を短くでき、その接着代の部分を固定するために溶接部123を長めに形成しなくてもよく、溶接部123の小型化が可能になる。また、段差125に電線40の端部を突き当てることで、電線40の位置決めをすることも可能になる。さらに、固定部分123Cの断面積が大きくなることで、抵抗値が下がって大電流通電時の温度上昇を抑制できる。
【0035】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図11ないし図15によって説明する。
本実施形態の端子210では、電線接続部220の切欠部229の形状が、実施形態2とは相違する。そのため、溶接部123の先端123Aがフランジ部15の幅寸法内に位置するようになっている。なお、実施形態1及び実施形態2と同一機能を有する部材、部位については、同一の符号を付すことで、説明を省略しまたは簡略化する。
【0036】
電線接続部本体221のうち溶接部123の前方には、切欠部229が形成されている。切欠部229は、電線接続部本体221の右端縁221Bの溶接部123側部分から溶接部123の根元の部分に向けて矩形状に切欠かれることで形成されている。切欠部229の長さ(左右方向の寸法)は溶接部123の長さと同程度とされており、フランジ部15の幅寸法(左右方向の寸法)内に溶接部123の右端縁(先端)123Aが位置する様にされている。そのため、縁部229Aの上下左右平面の断面積は実施形態2に比べると小さくなるが、溶接部123に合わせて、電線接続部本体221が肉厚になっているため、実施形態1と同程度の断面積は確保可能となる。そして、フランジ部15の幅寸法(左右方向の寸法)内に溶接部123が収まるように切欠部229の長さ(左右方向の寸法)が決められることで、溶接部123の右端縁(先端)123Aがフランジ部15の幅寸法内に位置するようになっている。そのため、端子210の小型化が可能になる。
【0037】
電線接続部本体221の後端部で、溶接部123を挟んで切欠部229の前後方向反対側には、突出部227が形成されている。突出部227は電線接続部本体221の左端縁221Cから連なるように形成されている。突出部227は、切欠部229の前後方向の幅寸法とほぼ同じ程度後方に突出しており、溶接部123を熱収縮チューブ150に挿入した時に当接することで熱収縮チューブ150の位置決めが可能となっている。また、端子210の後側に配される部品が突出部227に当たることで、熱収縮チューブ150の配されるスペースを確保可能としている。
【0038】
以上のように本実施形態よれば、溶接部123の右端縁(先端)123Aがフランジ部15の幅内に位置する。
このような構成では、溶接部123の全体がフランジ部15の幅内に収まるようになるため、さらに端子210の小型化が可能である。
【0039】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図16によって説明する。
実施形態3のように、切欠部229を電線接続部本体部221の深くまで切り欠くと、奥端部229Aの部分の左右上下平面における断面積が小さくなる。そのため、本実施形態の端子310では、電線接続部本体321の一部に補強リブ328を設けている。なお、実施形態1から実施形態3と同一機能を有する部材、部位については、同一の符号を付すことで、説明を省略しまたは簡略化する。
【0040】
本実施形態では、電線接続部本体321において、フランジ15から突出部327に亘って補強リブ328が形成されている。この補強リブ328は、電線接続部本体321に突出部327の左右方向の寸法で、フランジ15から突出しない高さで突出する壁状に設けられている。そして、この補強リブ328から電線接続部本体321の平板状の部分及び、溶接部123が突出している。そして、電線接続部本体321の平板状の部分と溶接部123の間が切欠部229となっている。そして、切欠部229の奥端部329Aの部分を含むフランジ15から突出部327の部分に肉厚な補強リブ328が形成されることになっている。
【0041】
このように補強リブ328が形成されることで、奥端部329Aの上下左右平面の断面積が増加して電気抵抗を減少させることができる。また、フランジ15から突出部327まで補強リブ328を形成することで、切欠部229を形成した位置における電線接続部本体321の強度を向上することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、電線接続部320において、切欠部229によって切欠かれた奥端部329Aを肉厚に形成してなる補強リブ328が設けられている。
奥端部329Aを肉厚に形成してなる補強リブ328を設けることで、断面積を確保することができ、電気抵抗を小さくできる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、右側に溶接部23、123を設けたが左側に設けるようにしても良い。その場合には、切欠部29、229も左側に設けられる。
(2)上記実施形態では、切欠部29、229を設けたが、切欠部がなくても良い。その場合には、溶接部23、123が電気接続部本体の右端縁(もしくは左端縁)から突出することになる。
【0044】
(3)上記実施形態では、突出部27、227が形成されていたが、突出部がなくても良い。
(4)上記実施形態1及び2では、溶接部23、123が後端縁21Aに連なるように延伸していたが、電気接続部本体の中央付近から突出するようにしても良い。その場合には、両側に切欠部を形成して、突出部をなくしても良い。
【0045】
(5)上記実施形態では、接続部11の軸線方向と溶接部23、123の延伸方向とが直交していたが、直交以外で交差するようになっていても良い。
(6)上記実施形態では、実施形態3の変形である実施形態4のみに補強リブ328を設けているが、実施形態1及び実施形態2に補強リブを設けても良い。
(7)上記実施形態4では、補強部として補強リブ328を設けているが、電気接続部本体320の切欠部229の奥壁部329A(縁部)のみに高さ方向(上下方向)に肉厚を大きくするようにして、断面積を確保するようにしても良い。
【0046】
(8)上記実施形態2から4では、段差125は電気接続部本体121、221及び固定部分123Cを肉厚にすることで形成していたが、溶接される部分123Bを薄肉にすることで段差を形成しても良い。このようにすると、熱収縮チューブ150の内径が小さいものを利用可能となる。
(9)上記実施形態2から4では、固定部分123Cに合わせて電気接続部本体121、221も肉厚にされていたが、固定部分123Cのみを肉厚にして、段差を形成するようにしても良い。
(10)上記実施形態2から4では、溶接後の電線40の芯線41が溶接部123の固定部分123Cと略面一になるように形成していたが、芯線41の方が低くなるようにしても良い。このような場合であっても、熱収縮チューブ150と固定部分123Cとの間に隙間はほとんど形成されないため、接着代を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0047】
10、110、210、310…端子
11…接続部
15…フランジ部
20、120、220、320…電線接続部
21、121、221、321…電線接続部本体
23、123…溶接部
125…段差
27、227、327…突出部
328…補強リブ(補強部)
29、229…切欠部
29A、229A…奥端部(縁部)
40…電線
50、150…熱収縮チューブ
図1
図2
図3
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図5
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