【解決手段】 二次電池9の温度Tbを検出する温度計11Cにて検出された検出温度T1に基づいて、燃料電池5から二次電池9に入力される入力電力、及び当該二次電池9から出力される出力電力のうち少なくとも一方の電力を制御する。これにより、当該二次電池9を適切な温度範囲に維持することが可能となるので、二次電池9の寿命が早期に尽きることを抑制することが可能となり得る。
前記制御部は、前記検出温度が予め設定された第1所定温度未満の場合には、前記検出温度が前記第1所定温度以上の場合に比べて前記入力電力を小さくする制御モードを有することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
前記制御部は、前記検出温度が予め設定された第1所定温度未満の場合には、前記検出温度が前記第1所定温度以上の場合に比べて前記入力電力を大きくする制御モードを有することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
前記制御部は、前記検出温度が前記第1所定温度より低い値に予め設定された第2所定温度未満の場合には、前記入力電力を0とする制御モードを有することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の電源装置。
前記制御部は、前記検出温度が前記第1所定温度より高い値に予め設定された第3所定温度未満の場合には、前記出力部から出力される出力電力を制御目標として前記入力電力の大きさを制御する制御モードを有することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の電源装置。
前記制御部は、前記検出温度が前記第3所定温度より高い値に予め設定された第4所定温度未満である場合には、前記燃料電池から出力される出力電力を予め設定された上限電力以下とするとともに、前記二次電池から前記出力部に向けて出力される出力電力、又は前記二次電池に入力される入力電力を予め設定された上限値以下となるように前記燃料電池から出力される出力電力を制御する制御モードを有することを特徴とする請求項6に記載の電源装置。
前記制御部は、前記検出温度が前記第3所定温度より高い値に予め設定された第5所定温度より高い場合には、前記入力電力を0とする制御モードを有することを特徴とする請求項7に記載の電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する「発明の実施形態」は実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的手段や構造等に限定されるものではない。
【0010】
本実施形態は、電動工具等の電気機器に電力を供給する電源装置に本発明を適用したものである。少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「複数」や「2つ以上」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
1.電源装置の概略構成
図1に示すように、電源装置1は、燃料カートリッジ3、燃料電池5、充電回路7、二次電池9及び制御部11等を有している。燃料カートリッジ3等の構成機器は、
図2に示すケーシング13内に収納されている。燃料カートリッジ3には燃料電池5に供給される燃料が充填されている。
【0012】
燃料カートリッジ3は、着脱自在にケーシング13に装着されている。燃料カートリッジ3に充填された燃料が枯渇した場合には、燃料を再充填するのではなく、当該燃料カートリッジ3を新しい燃料カートリッジ3に交換する必要がある。
【0013】
ケーシング13には、空気を取り込む吸気口13Aが設けられている。吸気口13Aから取り込まれた空気は、酸化剤として燃料電池5に供給されるとともに、冷却用の空気として燃料電池5及び二次電池9等に送風される。そして、燃料電池5等の冷却を終えた空気等はファン13Bにて外部に排出される。
【0014】
図1に示す出力部15は電動工具等の外部負荷に電力を出力する。このため、出力部15には電動工具等の外部負荷を電気的に接続するための接続ポートが設けられている。燃料電池5は燃料と酸化剤とを酸化反応させることにより電力を発生させる。
【0015】
本実施形態に係る燃料電池5は、改質後の燃料(水素)ではなく、燃料カートリッジ3に蓄えられた液体燃料(メタノール)を直接供給する直接メタノール型燃料電池(DMFC)である。なお、本実施形態では、燃料電池5に燃料を送り出すためのポンプ等は設けられておらず、燃料カートリッジ3内の圧力と燃料電池5内の圧力との差圧を利用して燃料を供給する。
【0016】
二次電池9は充放電可能な化学電池である。本実施形態では、二次電池9としてリチウムイオン電池を採用している。充電回路7は燃料電池5から二次電池9に入力される入力電力を制御するための回路である。電磁弁3Aは燃料カートリッジ3から燃料電池5に供給される燃料の量を調節するバルブである。
【0017】
制御部11は電磁弁3A及び充電回路7の作動を制御する。そして、本実施形態では、制御部11が電磁弁3A及び充電回路7の作動を制御することにより、燃料電池5から出力される出力電力が制御される。つまり、充電回路7を経由して二次電池9側に出力される出力を「燃料電池5から出力される出力電力」という。
【0018】
制御部11は、CPU、ROM及びCPU等を有するマイクロコンピュータにて構成されている。電磁弁3A及び充電回路7の作動を制御するためのプログラム等は、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されている。そして、CPUは、ROM等に記憶されているプログラム等を読み込んで電磁弁3A等の制御を実行する。
【0019】
第1電流計11Aは充電回路7から二次電池9に向けて出力された電流値を検出する。第2電流計11Bは出力部15から外部負荷に向けて出力される電流値を検出する。温度計11Cは二次電池9の温度Tbを検出する温度検出部である。
【0020】
電圧計11Dは二次電池9の電圧を検出する。制御部11及び電磁弁3A、並びに第1電流計11A、第2電流計11B、温度計11C及び電圧計11Dは、二次電池9から電力の供給を受けて作動する。
【0021】
そして、第1電流計11A、第2電流計11B、温度計11C及び電圧計11Dで検出された検出値は制御部11に入力される。なお、電圧計11Dは、二次電池9が出力可能な電力、つまり二次電池9の残容量を検出する残量検出部を構成する。
【0022】
2.燃料電池等の出力制御
2.1 制御の概要
制御部11は、二次電池9の温度Tbを予め決められた温度範囲(例えば、0℃以上、50℃以下)に維持するための制御モードを実行する。すなわち、制御部11は、温度計11Cにより検出された検出温度T1に基づいて、燃料電池5から二次電池9に入力される入力電力、及び二次電池9から出力される出力電力のうち少なくとも一方の電力を制御する。
【0023】
本実施形態に係る電源装置1では、電磁弁3Aの開度、つまり燃料電池5に供給される燃料の量を調節することにより、間接的に上記入力電力及び上記出力電力のうち少なくとも一方を制御する。
【0024】
そして、電磁弁3Aの開度が大きくなると、燃料電池5に供給される燃料の量が増大して燃料電池5から出力される出力電力が増大する。電磁弁3Aの開度が小さくなると、燃料電池5に供給される燃料の量が減少して燃料電池5から出力される出力電力が減少する。
【0025】
なお、以下の説明においては、燃料電池5から出力される出力電力は、二次電池9に入力される入力電力と一致するとしている。そして、制御部11は、出力電力や入力電力等の電力の大きさを判断する際には、第1電流計11A又は第2電流計11Bにより検出された電流値を利用して判断する。これは、電流値が大きくなると電力も大きくなることからである。
【0026】
出力部15から出力される電力(以下、外部出力という。)は、二次電池9から供給される電力(以下、電池出力という。)と燃料電池5から供給される電力(以下、FC出力という。)との和である。
【0027】
制御部11は、第1電流計11Aで検出された第1電流値I1を利用してFC出力の大きさを判断するとともに、第2電流計11Bで検出された第2電流値I2を利用して外部出力の大きさを判断する。
【0028】
制御部11は外部出力からFC出力を減じた値を電池出力とする。このとき、外部出力がFC出力より大きい場合、つまり第1電流値I1が第2電流値I2より小さい場合には、制御部11は、燃料電池5及び二次電池9の両者から出力部15に電力が供給されている状態であると判断する。
【0029】
外部出力とFC出力とが同一の場合、つまり第1電流値I1と第2電流値I2とが同一の場合には、制御部11は、燃料電池5のみから出力部15に電力が供給され、二次電池9からは出力部15に電力が供給されていない状態であると判断する。このため、二次電池9の残量は低下しない。
【0030】
外部出力がFC出力より小さい場合、つまり第1電流値I1が第2電流値I2より大きい場合には、制御部11は、燃料電池5から出力された電力が出力部15及び二次電池9に供給され、二次電池9が充電状態となっていると判断する。
【0031】
したがって、制御部11は、第1電流値I1と第2電流値I2と差分電流値I3が、正の数、負の数及び0の場合のいずれであるかによって、上記3つの状態のいずれかの状態であるかを判断する。そして、差分電流値I3が電池出力に対応する物理量となる。
【0032】
2.2 制御の詳細(
図3参照)
図3に示す制御(以下、電源制御という。)は、上記不揮発性記憶部に予め記憶されているとともに、電源装置1の起動スイッチ(図示せず。)が投入されたときにCPUに読み込まれて起動する。起動スイッチが遮断されると、その時点で電源制御は停止する。
【0033】
電源制御が起動されると、出力部15に電動工具等の外部負荷が接続されているか否か、つまり外部出力がされているか否か判断される(S1)。外部出力がされていない場合には(S1:NO)、S1が再度実行されて待機状態となる。
【0034】
外部出力がされていると判断された場合には(S1:YES)、温度計11Cの検出温度T1を利用して二次電池9の温度Tbが所定の温度範囲(0℃<Tb<50℃)内であるか否かが判断される(S3)。
【0035】
二次電池9の温度Tbが所定の温度範囲外であると判断された場合には(S3:NO)、出力部15が停止されて外部出力が停止する(S5)とともに、その旨がランプやディスプレイ又はブザー等の報知部(図示せず。)を介して利用者に報知される。
【0036】
二次電池9の温度Tbが所定の温度範囲内であると判断された場合には(S3:YES)、外部出力がされて外部負荷へ電力が供給されるとともに(S7)、平均第2電流値I2、つまり外部出力が検出される(S9)。
【0037】
次に、検出温度T1を利用して二次電池9の温度Tbが予め設定された第2所定温度(本実施形態では5℃)未満であるか否かが判断される(S11)。二次電池9の温度Tbが第2所定温度(5℃)未満であると判断された場合には(S11:YES)、電磁弁3Aが閉じられて燃料電池5への燃料供給が停止されて、燃料電池5から二次電池9への電力の供給が停止する(S13)。
【0038】
そして、S13においては、燃料電池5が停止するので、外部負荷への電力の供給は二次電池9のみにより行われる。このため、二次電池9の発熱量が増大し、二次電池9の温度Tbが次第に上昇し始める。
【0039】
二次電池9の温度Tbが第2所定温度(5℃)以上であると判断された場合には(S11:NO)、二次電池9の温度Tbが予め設定された第1所定温度(本実施形態では10℃)未満であるか否かが判断される(S15)。
【0040】
二次電池9の温度Tbが第1所定温度(10℃)未満であると判断された場合には(S15:YES)、電圧計11Dが検出した電圧を利用して二次電池9の残量が予め決められた所定残量(例えば、満充電の80%)より大きいか否かが判断される(S17)。
【0041】
二次電池9の残量が所定残量より大きいと判断された場合には(S17:YES)、FC出力、つまり二次電池9に入力される入力電力が、現在の出力電力から所定電力を差し引いた電力となるように電磁弁3Aの開度が調整される(S19)。具体的には、制御部11は、第1電流値I1が、第2電流値I2から所定電流値αを差し引いた電流値となるように電磁弁3Aを制御する。
【0042】
二次電池9の残量が所定残量以下と判断された場合には(S17:NO)、二次電池9に入力される入力電力が、現在の出力電力から所定電力を加算した電力となるように電磁弁3Aの開度が調整される(S21)。具体的には、制御部11は、第1電流値I1が、第2電流値I2に所定電流値αを加算した電流値となるように電磁弁3Aを制御する。
【0043】
二次電池9の温度Tbが第1所定温度(10℃)以上であると判断された場合には(S15:NO)、二次電池9の温度Tbが第3所定温度(本実施形態では40℃)未満であるか否か判断される(S23)。
【0044】
二次電池9の温度Tbが第3所定温度(40℃)未満である場合には(S23:YES)、FC出力が外部出力となるように電磁弁3Aの開度が調整される(S25)。具体的には、制御部11は、第1電流値I1が第2電流値I2となるように電磁弁3Aを制御する。
【0045】
二次電池9の温度Tbが第3所定温度(40℃)以上であるあと判断された場合には(S23:NO)、二次電池9の温度Tbが第4所定温度(本実施形態では45℃)未満であるか否が判断される(S27)。
【0046】
二次電池9の温度Tbが第4所定温度(45℃)未満である場合には(S27:YES)、(a)燃料電池5から出力される出力電力が予め設定された上限電力以下に保持された状態で、(b)電池出力の絶対値、つまり二次電池9から出力部15に向けて出力される出力電力、又二次電池9に入力される入力電力を予め設定された上限値以下となるようにFC出力が制御される。
【0047】
具体的には、制御部11は、第1電流値I1が予め設定された最大出力電流値Ioを越えない範囲で、差分電流値I3が予め設定された範囲(−β<I3<β)となるように電磁弁3Aの開度を制御する。
【0048】
最大出力電流値Ioは燃料電池5にて出力可能な電流値に基づいて選定された値である。上記βの値は、二次電池9の温度Tb上昇度が0又は負とすることが可能な値である。しかし、βは雰囲気温度等の環境要件及び二次電池9の劣化度合い等により変化する値であるので、本実施形態では、試験等によりβの値を決定している。
【0049】
二次電池9の温度Tbが第4所定温度(45℃)以上である場合には(S27:NO)、再び、S1が実行される。そして、二次電池9の温度Tbが第4所定温度(45℃)以上である場合が継続して、二次電池9の温度Tbが第5所定温度(本実施形態では50℃)を越えると(S3:NO)、出力部15が停止されて外部出力が停止する(S5)とともに、その旨が利用者に報知される。
【0050】
3.本実施形態に係る電源装置の特徴
本実施形態では、二次電池9は、適切な温度範囲(本実施形態では、0℃より大きく、50℃より小さい範囲)にて使用されることになる。したがって、本実施形態では、二次電池9の寿命が早期に尽きることを抑制することが可能となり得る。
【0051】
本実施形態に係る二次電池9は、上記の温度範囲のうち第1所定温度(10℃)以上であって第3所定温度40℃以下の温度範囲(以下、最適範囲という。)で使用すると、更に早期に寿命が尽きることを抑制できる。
【0052】
そこで、本実施形態では、二次電池9の温度Tbが最適範囲にある場合には、二次電池9の残量に応じて、2の制御モード(S19、S21)を切り替えて実行することにより、必要な外部出力を確保しつつ、二次電池9の温度Tbを最適範囲に維持することが可能な構成としている。
【0053】
具体的には、二次電池9の残量が所定残量より大きい場合には、二次電池9の温度Tbが第1所定温度(10℃)以上の場合に比べて入力電力を小さくする制御モード(S19)が実行される。二次電池9の残量が所定残量以下の場合には、二次電池9の温度Tbが第1所定温度(10℃)以上の場合に比べて入力電力を大きくする制御モード(S21)が実行される。
【0054】
本実施形態では、二次電池9の温度Tbが第2所定温度(5℃)未満の場合には、入力電力を0とする制御モード(S13)が実行されることを特徴とする。これにより、二次電池9から出力される電力が増大するので、二次電池9の温度Tbを最適範囲となるように上昇させることができる。
【0055】
本実施形態では、第1所定温度(10℃)以上であって二次電池9の温度Tbが第3所定温度(40℃)未満の場合には、出力部15から出力される出力電力を制御目標として入力電力の大きさを制御する制御モード(S25)が実行される。
【0056】
これにより、本実施形態では、二次電池9の温度Tbが最適範囲の上限を越えてしまうことを抑制しながら、外部負荷に電力を出力し続けることが可能となり得る。
本実施形態では、二次電池9の温度Tbが最適範囲の上限(第3所定温度(40℃))を越え、かつ、第4所定温度(45℃)未満である場合には、燃料電池5から出力される出力電力を予め設定された上限電力以下とするとともに、電池出力を予め設定された上限値以下とする制御モード(S29)が実行される。
【0057】
これにより、本実施形態では、二次電池9の温度Tbが適切な温度範囲の上限(第5所定温度(50℃))に到達することを抑制しつつ、外部負荷に電力を出力することができる。
【0058】
本実施形態では、制御部11は、検出温度T1が第3所定温度(45℃)より高い値に予め設定された第5所定温度(50℃)より高い場合には、入力電力を0とする制御モードを有することを特徴とする。
【0059】
これにより、本実施形態では、二次電池9の温度Tbが適切な温度範囲の上限(第5所定温度(50℃))を越えることを防止できるので、二次電池9の寿命が早期に尽きてしまうことを抑制できる。
【0060】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、二次電池9の温度Tbに基づいてFC出力を制御したが、本実施形態は二次電池9の電圧に基づいてFC出力を制御するものである。
【0061】
1.燃料電池等の出力制御
制御部11は、二次電池9の電圧を予め決められた電圧範囲(例えば、4.0V以上、4.1V以下)に維持するための制御モードを実行する。すなわち、制御部11は、電圧計11Dにより検出された検出電圧V1に基づいて、燃料電池5から二次電池9に入力される入力電力、及び二次電池9から出力される出力電力のうち少なくとも一方の電力を制御する。
【0062】
本実施形態に係る電源装置1においても、第1実施形態と同様に、電磁弁3Aの開度、つまり燃料電池5に供給される燃料の量を調節することにより、間接的に上記入力電力及び上記出力電力のうち少なくとも一方を制御する。
【0063】
そして、
図4に示す制御(以下、電源制御という。)は、上記不揮発性記憶部に予め記憶されているとともに、電源装置1の起動スイッチが投入されたときにCPUに読み込まれて起動する。起動スイッチが遮断されると、その時点で電源制御は停止する。
【0064】
電源制御が起動されると、出力部15に電動工具等の外部負荷が接続されているか否か、つまり外部出力がされているか否か判断される(S51)。外部出力がされていない場合には(S51:NO)、S51が再度実行されて待機状態となる。
【0065】
外部出力がされていると判断された場合には(S51:YES)、電圧計11Dの検出電圧V1を利用して二次電池9の残量が0%より大きいか否か判断される(S53)。二次電池9の残量が0%である判断された場合には(S53:NO)、出力部15が停止されて外部出力が停止する(S55)とともに、その旨が利用者に報知される。
【0066】
二次電池9の残量が0%より大きいと判断された場合には(S53:YES)、外部出力がされて外部負荷へ電力が供給されるとともに(S57)、平均第2電流値I2、つまり外部出力が検出される(S59)。
【0067】
次に、二次電池9の電圧が予め設定された第2所定電圧(本実施形態では4.0V)未満であるか否かが判断される(S61)。二次電池9の電圧が第2所定電圧(4.0V)未満であると判断された場合には(S61:YES)、二次電池9の残量が予め決められた所定残量(例えば、30%)より大きいか否かが判断される(S63)。
【0068】
二次電池9の残量が所定残量より大きいと判断された場合には(S63:YES)、FC出力が外部出力となるように電磁弁3Aの開度が調整される(S65)。具体的には、制御部11は、第1電流値I1が第2電流値I2となるように電磁弁3Aを制御する。
【0069】
二次電池9の残量が所定残量以下であると判断された場合には(S63:NO)、二次電池9に入力される入力電力が、現在の出力電力から所定電力を加算した電力となるように電磁弁3Aの開度が調整される(S67)。具体的には、制御部11は、第1電流値I1が、第2電流値I2に所定電流値αを加算した電流値となるように電磁弁3Aを制御する。
【0070】
二次電池9の電圧が第2所定電圧(4.0V)以上であると判断された場合には(S61:NO)、二次電池9の電圧が第2所定電圧(4.0V)より大きい第1所定電圧(本実施形態では4.1V)未満であるか否か判断される(S69)。
【0071】
二次電池9の電圧が第1所定電圧(4.1V)未満であると判断された場合には(S69:YES)、FC出力、つまり二次電池9に入力される入力電力が、現在の出力電力から所定電力を差し引いた電力となるように電磁弁3Aの開度が調整される(S71)。具体的には、制御部11は、第1電流値I1が、第2電流値I2から所定電流値βを差し引いた電流値となるように電磁弁3Aを制御する。
【0072】
二次電池9の電圧が第1所定電圧(4.1V)以上であると判断された場合には(S69:NO)、電磁弁3Aが閉じられて燃料電池5への燃料供給が停止されて、燃料電池5から二次電池9への電力の供給が停止する(S73)。
【0073】
そして、S73においては、燃料電池5が停止するので、外部負荷への電力の供給は二次電池9のみにより行われる。このため、電池出力が増大し、二次電池9の電圧、つまり二次電池9の残量が次第に減少し始める。
【0074】
2.本実施形態に係る電源装置の特徴
本実施形態では、二次電池9の電圧が予め設定された第1所定電圧(4.1V)より高い場合には、二次電池9の電圧が第1所定電圧(4.1V)以下の場合に比べて、FC出力を小さくする制御モード(S71)が実行される。
【0075】
これにより、二次電池9の温度Tbが上昇することを抑制でき得るともに、二次電池9が過充電状態になることを抑制できる。したがって、二次電池9の寿命が早期に尽きてしまうことを抑制できる。
【0076】
本実施形態では、二次電池9の電圧が第1所定電圧(4.1V)より高い場合には、入力電力を0とする制御モード(S73)が実行される。これにより、二次電池9の過充電を防止できる。延いては、二次電池9の寿命が早期に尽きてしまうことを抑制できる。
【0077】
なお、本実施形態では、第1所定電圧は予め決められたで電圧範囲の上限電圧に相当し、第2所定電圧は予め決められたで電圧範囲の下限電圧に相当する。
(第3実施形態)
本実施形態は、
図5に示すように、出力部15を電池パック17が接続可能な構成としたものである。なお、電池パック17とは、電動工具に着脱自在に装着される電源である。
【0078】
(第4実施形態)
上述の実施形態では、電磁弁3Aにより燃料電池5に供給される燃料の量を調節することによりFC出力を制御したが、本実施形態は、
図6に示すように、FC出力を電気抵抗3B等により消費させるとともに、電気抵抗3Bでの消費量を制御部11にて調整することにより、二次電池9に入力される入力電力を制御するものである。
【0079】
すなわち、電気抵抗3Bでの消費量が大きくなると、二次電池9に入力される入力電力が小さくなる。電気抵抗3Bでの消費量が小さくなると、二次電池9に入力される入力電力が大きくなる。
【0080】
なお、
図6では、電磁弁3Aが設けられていないが、電磁弁3Aと電気抵抗3Bとを併用して二次電池9に入力される入力電力を制御してもよい。
(第5実施形態)
上述の実施形態の実施形態では、二次電池9の温度Tbが最適範囲(10℃〜40℃)にあるとき、又は二次電池9の電圧が最適範囲(4.0V〜4.1V)にあるときには、外部負荷からの要求電力を出力部15から出力していた。しかし、本実施形態は、二次電池9の残量に応じて出力可能な外部出力(最大外部出力という。)を制限するものである。
【0081】
1.制御の詳細
図7に示す制御は、第4実施形態に係る電源装置1に本実施形態を適用した場合の制御を示す。
図7に示すように、先ず、充電が必要な電池パック17又は未充電の電池パック17が出力部15に接続されているか否かが判断される(S81)。
【0082】
充電が必要な電池パック17等が接続されていないと判断された場合には(S81:NO)、電源装置1に設けられた充電回路(図示せず。)において、出力停止状態が所定時間(例えば、1分)以上、継続しているか否かが判断される(S83)。
【0083】
出力停止状態が所定時間以上、継続していると判断された場合には(S83:YES)、出力部15及び充電回路が停止するとともに、燃料電池5への燃料供給が停止される(S85)。出力停止状態が所定時間以上、継続していないと判断された場合には(S83:NO)、S81が実行される。
【0084】
充電が必要な電池パック17等が接続されていると判断された場合には(S81:YES)、二次電池9の残量が80%以上であるか否かが判断される(S87)。二次電池9の残量が80%以上であると判断された場合には(S87:YES)、最大外部出力が制限されることなく、外部負荷からの要求電力を出力可能な状態となる(S89)。
【0085】
二次電池9の残量が80%未満であると判断された場合には(S87:NO)、二次電池9の残量が50%以上であるか否かが判断される(S91)。二次電池9の残量が50%以上であると判断された場合には(S91:YES)、最大外部出力が第1出力(例えば、200W)以下に制限される(S93)。
【0086】
二次電池9の残量が50%未満であると判断された場合には(S91:NO)、二次電池9の残量が20%以上であるか否かが判断される(S95)。二次電池9の残量が20%以上であると判断された場合には(S95:YES)、最大外部出力が第2出力(例えば、150W)以下に制限される(S97)。
【0087】
そして、二次電池9の残量が20%未満であると判断された場合には(S95:NO)、最大外部出力が第3出力(例えば、100W)以下に制限される(S99)。
2.本実施形態に係る充電装置の特徴
本実施形態では、二次電池9の残量に応じて電源装置1の最大外部出力を制限するので、二次電池9の残量不足に起因する不具合の発生を未然に防止でき得る。
【0088】
(その他の実施形態)
本発明は電源装置に関する発明であるので、本発明に係る電源装置から電力の供給を受けて稼働する機器の種類は不問である。なお、本実施形態に係る電源装置1は屋外での使用も考慮し、防水性や傾斜面に置かれる場合等も想定した構造であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、屋内のみで使用を前提とした電源装置にも適用できる。
【0089】
上述の実施形態では、着脱自在な燃料カートリッジ3に燃料が充填されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、燃料を配管にて供給する据え置き型の電源装置にも適用できる。
【0090】
上述の実施形態に係る燃料電池5は直接メタノール型燃料電池であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他方式の燃料電池であってもよい。
上述の実施形態に係る二次電池9はリチウムイオン電池であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の二次電池であってもよい。
【0091】
上述の実施形態では、FC出力、つまり燃料電池5に供給する燃料の量を制御することにより、間接的に二次電池9から出力される電力(電池出力)を制御したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電池出力を直接的に制御してもよい。
【0092】
上述の実施形態では、電流値を制御することにより電力を制御したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電圧値又は電圧値及び電流値を制御することにより電力を制御してもよい。
【0093】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。